JP2008254470A - 船舶の機関室への通風装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】温暖水域と寒冷地域との間を航行する船舶の機関室内を効率的に換気する装置を提供する。
【解決手段】 ファンルーム3の内部に開口4を有するデッキ5を配置して上部区画6と下部区画7とを形成し、前記上部区画6を形成する内壁(A)11にヒータ12を配置し、下端部が機関室14内に開口し、かつ通風機15を有する吸気ダクト13の上端部を前記下部区画7内に開口するように取り付けるとともに、前記ヒータ12の取り付け位置の近傍に開閉扉22を有する通風口21を設けた船舶の機関室への通風装置。
【選択図】図4

Description

本発明は、船舶の機関室への通風装置、より詳しくは、寒冷水域と温暖水域とを航行する船舶の機関室へ外気を通風するようにした船舶の機関室への通風装置に関するものである。
最近、世界的なエネルギー需要の拡大から寒冷地域での油田やガス田が開発され、その結果、この寒冷地の海域から需要地の温暖水域にこの油やガスを輸送する船舶が建造されている。
ところで、一般に比較的大型の船舶においては、機関室内に燃焼用の空気や換気用の空気が通風装置によって取り込まれかつ排出されるようになっている。すなわち、船舶の機関室には主機や補機としてのディーゼル機関やボイラなどの燃焼機関が配置されているためこの燃焼機関に燃焼用空気を供給するとともに、これら燃焼機関から発生する熱を除去して機関室内を所定の温度に保つため外気を通風する装置が設けられる。
そして、従来、寒冷水域と温暖水域とを航行する船舶の機関室へ外気を通風するようにした船舶の機関室への通風装置にはヒータが配置されている。
より詳しく説明すれば、この船舶の機関室への通風装置は、図5及び図6に示されるように、船舶1のエンジンルーム2内にファンルーム3を設け、このファンルーム3の内部に開口4を有するデッキ5を配置して上部区画6と下部区画7とを形成し、上部区画6の側壁8を開口9を有する内壁A10と内壁B11とにより形成し、この内側B11にヒータ12(スチームエアヒーター)を配置し、下端部13aが機関室14内に開口し、かつ通風機15を有する吸気ダクト13の上端部13bを前述した下部区画7内に開口するように取り付けて構成されている。また、船底部にある機関室14内には、主機16、ボイラ17や発電機18などが配置され、また、通風室20の窓にはルーバー19が設けられている。
そして、このように構成された船舶の機関室への通風装置において、船舶1が温暖水域を航行するときは外気Gの温度が高いため、ヒータ12の稼動を停止して通風機15により外気を機関室14内に送りこむ。そして、寒冷水域を航行するときは、ヒータ12で冷たい外気Gを加熱して通風機15を介して機関室14内に供給し、各燃焼機関に加熱された空気を給気して燃焼効率の向上を計るとともに機関室14内の温度を調整している。
特に、氷海域を航行する船舶において、機関室内の過冷却による凍結などの低温障害を防止し、かつ、機関室内の温度を有効に再利用することができる機関室への通風装置について特許文献1が提案されている。
特開2003−252295号
前記のように図示して説明したような従来の船舶の機関室14への通風装置においては、ヒータ12が大型で、しかも大風量の通風機15を必要とするため装置の設備費が高くなるばかりでなく、特に、前記通風機15の運転費用が高くなるという問題があった。
すなわち、通常このような船舶1においては、機関室14に通風される外気Gは、燃焼用として利用される量よりも機関室14内などの換気に用いられる量の方が多い。そして、特に温暖海域を航行する場合は、外気温度と機関室14内の温度差の関係から多量の外気Gを換気用として通風する必要があった。そのため、ヒータ12や通風機15に大容量のものを使用して外気Gを通風するように構成しなければならず、その結果、通風装置の製作コストと、その運転費用が高くなるという問題があった。
また、特許文献1に記載された装置は、通風ダクトの外気取り入口部に、機関室の上室部に開口する機関室内空気取り入れ口を分岐して設け、該機関室内空気取り入れ口にダンパーを設けると共に、機関室に温度センサーを配置し、該温度センサーから温度信号を入力され、これを演算して制御信号を前記ダンパーの制御部に入力する演算制御装置を備え、機関室内の温度によりダンパーの開度を調節して取り入れ外気に機関室内の空気を混合して通風するように構成している。
確かに、特許文献に記載された通風装置は、氷海域のみを航行する船舶には適用できる装置ではあるが、赤道下の海域を通過し、氷海域まで航行し、その逆を航行する船舶においては、前記装置を使用する機会が少なく、その上に特別で高価な設備を必要とするなどの問題があり、一般には使用することができない。
また、機関室の温度が主機、ボイラの負荷により変化するために、外気温でダンパーを制御することは困難を伴うという問題がある。
本発明は、前記したような問題点を解決するためになされたものであって、
1)第1の発明は、ファンルーム3の内部に開口4を有するデッキ5を配置して上部区画6と下部区画7とを形成し、上部区画6を形成する側壁11にヒータ12を配置し、下端部が機関室14内に開口しかつ通風機15を有する吸気ダクト13の上端部を下部区画7内に開口するように取り付けるとともに、側壁11であってかつヒータ12の近傍に開閉扉21を有する通風口22を設けたことを特徴としている。
2)また、第2の発明は、ファンルーム3の内部に開口4を有するデッキ5を配置して上部区画6と下部区画7とを形成し、上部区画6を形成する側壁に出力制御装置を設けたヒータ12を配置し、下端部が機関室内に開口し、かつ通風機15を有する吸気ダクトの上端部を下部区画7内に開口するように取り付けるとともに、側壁11であって、かつヒータ12の取り付け位置の近傍に、開閉扉22を有する通風口21を設け、ファンルーム3の外部に温度計28を取り付け、この温度計28の信号により出力制御装置を操作してヒータ12の加熱温度を制御するようにしたことを特徴としている。
3)そして、第3の発明は、通風口がヒータの両側にそれぞれ少なくとも1つ設けられた船舶の機関室への通風装置である。
以上説明したような本発明による船舶の機関室への通風装置によれば、次のような効果がある。
すなわち、第1の発明によれば、ファンルームの内部に開口を有するデッキを配置して上部区画と下部区画とを形成し、上部区画を形成する側壁にヒータを配置し、下端部が機関室内に開口しかつ通風機を有する吸気ダクトの上端部を下部区画内に開口するように取り付けるとともに側壁であってかつヒータの取り付け近傍に開閉扉を有する通風口を設けている。
従って、a)船舶が寒冷水域を航行するときは、この開閉扉を閉じて必要とする外気の全量をヒータで加熱する。b)そして船舶が温暖海域を航行するときは、この開閉扉を開放して必要とする外気の殆どの通風口を経てそれぞれ機関室に通風することができるためヒータ及び通風機を小型化することができる。
その結果、船舶の機関室への通風装置を安価に製作することができるばかりでなくその運転費用も安くなるのである。
また、第2の発明によれば、ファンルームの内部に開口を有するデッキを配置して上部区画と下部区画とを形成し、上部区画を形成する側壁に出力制御装置を設けたヒータを配置し、下端部が機関室内に開口しかつ通風機を有する吸気ダクトの上端部を下部区画内に開口するように取り付けるとともに側壁であってかつヒータの近傍に開閉扉を有する通風口を設け、ファンルームの外部に温度計を取り付け、この温度計の信号により出力制御装置を操作してヒータの加熱温度を制御するように構成している。
従って、寒冷海域の外気温度の変化に係わらずほぼ均一な温度で通風することがでる。その結果、その運転費用もより一層安価にすることができる。
さらに、第3の発明によれば、通風口がヒータの両側にそれぞれ少なくとも1つ設けられているため、特に船舶が温暖海域を航行する場合の外気の流れは通風機に供給されるため、船舶の機関室への通風装置を安価に製作することができるばかりでなくその運転費用をさらに一層安することができる。
以下図1〜図4を参照して本発明による船舶の機関室への通風装置の実施態様を説明する。
図1は、本発明による船舶の機関室への通風装置の主要部をなすファンルーム3の平面図であり、図2は、図1のB―B矢視図、そして図4は、本発明の構成要素を理解し易く描いたファンルームの斜視図である。また、これらの図において前記図5及び図6で使用した同一の符号は同一名称を示している。
この図1〜図4において、通風室20の奥側に配置された内壁(B)11に取り付けられたヒータ12の両側には通風口21a、21bが開口され、この通風口21a、21bをそれぞれ開閉する開閉扉22a、22bが蝶番により取り付けられている。もちろんこの開閉扉22a、22bは、必要により引き戸式(スライド機構)とすることもでき、そしてロック機構が設けてあり、このロック機構により開閉扉22a、22bは、開放状態あるいは閉鎖状態で内壁(A)11に強固に固定されるようになっている。
この開閉扉22a、22bを有する通風口21a、21bは、その形成される位置や個数は適宜選択されるが、外気Gの抵抗などから前記実施態様の如くヒータ12の両側にそれぞれ一つ設けるのが好ましい。
このような構成による船舶の機関室14への通風装置において、船舶1が、「寒冷水域」を航行するときは、開閉扉22a、22bにより通風口21a、21bをそれぞれ閉鎖し、ヒータ12と通風機15を稼動させることにより、外気Gは、ルーバ−19、通風室20、開口9を経て次の内壁(B)11に設けてあるヒータ12に達し、ここで加熱されデッキ5の開口4、吸気ダクト13を経て機関室14に通風されることになる。
一方、船舶1が、「温暖海域」を航行するときは、ヒータ12を停止するとともに開閉扉22a、22bを開放すると共に通風機15を駆動する。すると外気Gは、ルーバー19、通風室20を経てその殆んどが通風口21a、21bから、更にその一部がヒータ12を経てそれぞれ開口4から吸気ダクト13に至り、ここから機関室14内に通風されることとなる。
したがって、温暖海域を航行する場合の大量の外気Gは通風口21a、21bを経て機関室14内に供給されるため、ヒータ12および通風機15を小型化できるのである
図3は、本発明による船舶の機関室14への通風装置の他の実施態様を示すものであって、この図3において23は、ヒータ12に併設された制御装置であって、この制御装置23は、演算器24と比較器25と制御信号作成器26と記憶装置27とにより構成されている。そして、28は、ファンルーム3の外側に取り付けられた温度計であり、この温度計28の信号V1が制御装置23の演算器24に入力されるようになっている。
このような構成において、外気Gの温度t1をこの温度計28により計測し、その信号V1を演算器24に入力してその熱量が求められ、そしてその信号V2が比較器25に入力され、ここで予め記憶装置27に入力されている所定の熱量の信号V3と比較され、そして、この所定の熱量と計測された熱量とに差が生じた時は、信号V4が制御信号作成器26に導かれ、ここで制御信号V5が作成される。そして、この制御信号V5によりヒータ12の出力を制御する。具体的には、ヒータ12がスチームを用いたものであれば、スチームを供給する管路に設けたバルブ29の開閉を制御することになる。
したがって、船舶1が「寒冷海域」を航行する場合に於いてもその外気Gの温度に対応した熱量によりこれを加熱することができるため、効率的な機関室14への通風が可能となるのである。
本発明による船舶の機関室への通風装置の主要部をなすファンルームの平面図である。 図1のB―B矢視図(正面図)である。 本発明による船舶の機関室への通風装置の他の実施態様の説明図である。 本発明の通気装置の斜視図である。 従来の船舶の機関室への通風装置を装備した船舶の一部概略側面図である。 船舶の機関室への通風装置の主要部をなすファンルームの平面図である。
符号の説明
1 船舶
2 上甲板
3 ファンルーム
4、9 開口
5 デッキ
6 上部区画
7 下部区画
8 側壁
10 内壁(A)
11 内壁(B)
12 ヒータ
13 吸気ダクト
14 機関室
15 通風機
16 主機
17 ボイラ
18 発電機
20 通風室
21a、21b 通風口
22a、22b 開閉扉

Claims (3)

  1. ファンルームの内部に開口を有するデッキを配置して上部区画と下部区画とを形成し、前記上部区画を形成する側壁にヒータを配置し、下端部が機関室内に開口し、かつ通風機を有する吸気ダクトの上端部を前記下部区画内に開口するように取り付けるとともに、
    前記側壁であってかつ前記ヒータの取り付け位置の近傍に開閉扉を有する通風口を設けたことを特徴とする船舶の機関室への通風装置。
  2. ファンルームの内部に開口を有するデッキを配置して上部区画と下部区画とを形成し、前記上部区画を形成する側壁に出力制御装置を有するヒータを配置し、下端部が機関室内に開口し、かつ通風機を有する吸気ダクトの上端部を前記下部区画内に開口するように取り付けるとともに、前記側壁であってかつ前記ヒータの近傍に開閉扉を有する通風口を設け、前記ファンルームの外部に温度計を取り付け、前記温度計の信号により前記出力制御装置を操作して前記ヒータの加熱温度を制御するようにしたことを特徴とする船舶の機関室への通風装置。
  3. 通風口がヒータの両側にそれぞれ少なくとも1つ設けられてなる請求項1又は2記載の船舶の機関室への通風装置。
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