JP2008253219A - 核酸クローニング法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
非特異的な核酸増幅断片を減少させ、目的遺伝子を含む核酸断片を特異的に選別する核酸クローニング法を提供する。
【解決手段】
アダプターを核酸にライゲーションして、アダプターを付加した核酸断片を得る核酸断片生成工程と、上記核酸断片生成工程にて得られた上記アダプターを付加した核酸断片を3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いたPCRによって増殖して、PCR産物を得るPCR産物生成工程と、上記PCR産物を付着末端生成制限酵素及び平滑末端生成制限酵素で消化したベクターにライゲーションして、クローニングベクターを得るクローニングベクター生成工程と、上記クローニングベクターをコンピテントな細胞に導入して、目的遺伝子を含むクローンを増殖させるクローン増殖工程とを有する
【選択図】 図1

Description

本発明は、核酸の特異的な増幅に好適なクローニング法に関する。
近年、医療分野における遺伝子診断やゲノム創薬において不可欠な遺伝子解析、農業分野における農植物に導入した遺伝子の特定、さらに分子生物学分野における遺伝子プロモーターの取得等に遺伝子クローニング法が重要な役割を果たしている。
遺伝子クローニングとは、遺伝子操作によって、目的とする遺伝子を含んだ組換え体を作成して細胞の中に導入し、その細胞を増やすことにより、初めに単離したものと全く同じ遺伝子を無限に供給するものである。
従来から使用されている方法としては、ゲノムDNAを制限酵素消化後、ベクターにライゲーションし、宿主細胞に導入させ、該当するクローンを選別する方法がある。例えば、コスミドライブラリーや細菌人工染色体(BAC)ライブラリーを作成し、該当するクローンを選別する方法である。この方法は一度に長鎖をクローニングすることができる方法であるが、ライブラリーの作成には高度な技術が必要とされ、相当数のクローンの中からサザンハイブリダイゼーション法等によって目的遺伝子を含むクローンを探索しなければならず、多大な労力と費用が必要となり、簡素化と自動化が困難な方法である。
一方、別の方法として、制限酵素で消化した核酸にアダプターをライゲーションし、これを鋳型としてアダプター及び目的遺伝子に特異的に設計したプライマーを用いて、PCR法で酵素的に増幅させるという方法がある。
PCR法は、DNAを鋳型として、特定領域を挟むように短いプライマーDNAを各相補鎖にハイブリット結合させ、基質である4種類のdNTP存在下、DNAポリメラーゼを作用させることによって、このプライマーの3’末端の塩基配列に従ってヌクレオチドが添加され、鎖が伸長していく反応が繰り返されることで、数時間で目的遺伝子を含むDNA断片を指数関数的に増幅させることができる増幅方法である。
このPCR法によるクローニング法は、ライブラリーを作成してクローンニングする上記方法と比較して、簡単に、しかも短時間で目的遺伝子を含む核酸断片を得ることができるという点でとても有用である。しかも、近年では種々のDNAポリメラーゼが開発され、PCRの増幅効率が高まり、従来よりも長鎖の核酸を正確に増幅させることが可能となっている。その代表的なDNAポリメラーゼがPfuDNAポリメラーゼであり、このDNAポリメラーゼは3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を有することから、誤った塩基の取り込みに対して校正する機能を有しており、また熱安定性にも優れていることから、正確性の高いPCRを行うことができる。
そして、この3'→5'エキソヌクレア−ゼ活性を有するDNAポリメラーゼを利用したクローニング法にTAクローニング法がある。このTAクローニング法は、まず該DNAポリメラーゼを用いて得られたPCR産物の平滑末端をTaqDNAポリメラーゼ等のpolI型酵素によって処理することによって、3'末端にアデニン又はチミンを付加させる。一方、ベクターにdTTP又はtaqDNAポリメラーゼを反応させることのよってTAベクターを作製する。そして、上記のように処理した核酸断片とベクターをライゲーションさせて宿主細胞に形質転換し、クローニングするというものである。このTAクローニング法は、PCR産物をリン酸化する工程を省略でき、また平滑末端同士のライゲーションよりも付着末端化させることでライゲーション効率を高めることができるという利点がある(例えば、非特許文献1参照)。
編集田村隆明氏「改訂遺伝子工学実験ノート下巻(第2版)」羊土社出版、2006年5月15日、p.34−36
上述のTAクローニング法のようなPCR法を用いたクローニング法は、短時間で効率的に目的遺伝子を増幅する方法である。しかし、目的とする遺伝子を含まない非特異的なクローンが出現してしまうという欠点を有している。PCR法を利用したクローニング法は、このような特異性が十分ではないという問題があることから、より特異性のあるDNAクローンを増幅する技術が求められていた。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、非特異的な増幅断片を減少させ、目的遺伝子を含むクローンを特異的に選別するクローニング法を提供するものである。
本件発明者は、上述した目的を達成するために、様々な観点から鋭意研究を重ねてきた。その結果、制限酵素切断部位が末端に付加されたアダプターを用いたPCRにおいて、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いて核酸断片を増幅させ、そのPCR断片を、付着末端生成制限酵素及び平滑末端生成制限酵素で消化したベクターにライゲーションさせることで、目的遺伝子を含む核酸断片を特異的に増幅させることができることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明に係る核酸クローニング方法は、アダプターを核酸にライゲーションして、アダプターを付加した核酸断片を得る核酸断片生成工程と、上記工程にて得られた上記アダプターを付加した核酸断片を3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いたPCRによって増殖して、PCR産物を得るPCR産物生成工程と、上記PCR産物を付着末端生成制限酵素及び平滑末端生成制限酵素で消化したベクターにライゲーションして、クローニングベクターを得るクローニングベクター生成工程と、上記クローニングベクターをコンピテントな細胞に導入して、目的遺伝子を含むクローンを増殖させるクローン増殖工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る核酸クローニング法によれば、目的遺伝子を含んだPCR産物(標的PCR産物)は、付着末端と平滑末端よりなっていることから、同一の制限酵素及び任意の平滑末端生成制限酵素で消化したベクターとのライゲーションにおいては、両末端が一致した標的PCR産物のみがライゲーションされる。従って,極めて効率的かつ正確に標的PCR産物に特異性を生み出すことができ、その結果、目的遺伝子を含まない非特異的なクローンの増殖を抑えることが可能となる。
また、PCR産物生成工程において、必要に応じて、第1のPCR産物でnestedPCRを行うようにすることにより、PCR増幅過程における非特異的なPCR産物の産出を減少させることができ、より特異性の向上を図ることが可能となる。
本発明のこのような効果によって、当該技術分野における研究の前進に貢献するばかりではなく、医療、法医学分野またはその他の分野において広く利用されることにより、効率的かつ正確なクローニング方法を実現することが可能となる。
以下、本発明の実施方法及び実施態様について説明する。図1に本発明に係るクローニング方法を用いた実施形態の概略図を示す。
本発明に係る核酸クローニング方法は、アダプターを核酸にライゲーションして、アダプターを付加した核酸断片を得る核酸断片生成工程と、上記工程にて得られた上記アダプターを付加した核酸断片を3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いたPCRによって増殖して、PCR産物を得るPCR産物生成工程と、上記PCR産物を付着末端生成制限酵素及び平滑末端生成制限酵素で消化したベクターにライゲーションして、クローニングベクターを得るクローニングベクター生成工程と、上記クローニングベクターをコンピテントな細胞に導入して、目的遺伝子を含むクローンを増殖させるクローン増殖工程とを含む。
先ず、アダプターを付加した核酸断片を得る核酸断片生成工程について説明する。
アダプターは、約20〜40塩基対からなるオリゴヌクレオチドであり、その末端には制限酵素切断部位が付加されている。その制限酵素は、例えばBamHIや、HindIII、EcoRI、ApaIその他、種々のものを用いることができるが、その制限酵素切断末端が4塩基付着末端であることが好ましい。このことより、核酸とのライゲーション効率が上げることができる。図2に、アダプターの例を示す。
アダプターの3’末端は脱リン酸化されており、これによって、核酸とのライゲーション工程においてアダプター同士がライゲーションされることを防ぐことができる。
また、図2に示すように、アダプターにおける核酸とのライゲーション末端とは反対側のプライマー領域の塩基配列には、GC量を多めに設定し、プライマーのTm値を上げるようにすることが好ましい。このことによって、PCRにおいて該末端側から正確にアニーリングすることができるようになる。例えば、アダプタープライマーのTm値を65℃、後述するnestedPCRも行う場合には、nestedプライマーのTm値を55℃となるようにアダプターを設計する。その結果、正確にアニーリングされる。
さらに、該アダプターにはPCR産物生成工程におけるプライマーと相補的な結合をなす領域があり、nestedPCRを伴わせる場合には、図2に示すような隣接する形でプライマー領域を形成し、または一部重なり合うようにプライマー領域を形成することも可能である。このようにアダプター上にプライマー領域を設けることによって、増幅されたPCR産物上に該アダプターと同一の制限酵素切断部位ができるので、後の工程において該制限酵素で切断することで、PCR産物の一端又は両端を付着末端にすることが可能となる。詳しくは後述する。
一方、クローニングする核酸には、その遺伝子配列に塩基配列既知の目的遺伝子領域が存在している。ここで、上記核酸はDNAに限定されず、DNAの転写によって得られたmRNAから逆転写酵素を用いて生成したcDNAでも当然良い。
そして、該核酸を、上記アダプターに付加されている制限酵素切断末端と同一の切断末端を形成する制限酵素で消化して核酸断片を作り、上記アダプターにライゲーションする。その結果、核酸断片の両端にアダプターが付加された形の核酸断片が生成されるが、この生成核酸断片には、目的遺伝子配列が両端のアダプターに挟まれた形で存在している断片(標的核酸断片)や目的遺伝子配列を含まず両端にアダプターを付加しているだけの断片(非標的核酸断片)とが存在している。
このように、核酸断片に制限酵素切断部位を有するアダプターを付加する結果、後述のPCRで得られた増幅断片を、同一の制限酵素で消化することで、PCR産物の末端に付着末端を形成させることが可能となる。そして、こうして得られたPCR産物は、極めて容易に脱リン酸化したベクターにライゲーションさせることができ、本実施形態の効果である特異性を与えることができる。
次に、上記生成核酸断片をPCRにより増幅する工程について説明する。
PCRでは、DNAを鋳型として、特定領域を挟むように短いプライマーDNAを各相補鎖にハイブリット結合させ、基質である4種類のdNTP存在下、DNAポリメラーゼを作用させると、このプライマーの3’末端に、鋳型の塩基配列に従ってヌクレオチドが添加され、鎖が伸長していく反応が起きる。PCRはこの反応が繰り返されることで、数時間で目的遺伝子を含むDNA断片を指数関数的に増幅させることができる増幅方法である。
本実施形態においては、2種類のプライマーと、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いて行われる。なお、第1のPCR産物でnestedPCRを行う場合には、nestedPCRプライマーを別に用意する。
本実施形態に用いられるプライマーの1つは、上記アダプターのプライマー領域と相補的に結合するように設計されたプライマーであり、nestedPCRを行う場合にはnestedPCRプライマー領域に相補的なプライマーを用意する。また、別のもう一種類のプライマーは核酸上の目的遺伝子配列に特異的に結合する様に設計したプライマーである。
ここで、nestedPCRについて説明する。nestedPCRは、外側と内側のプライマーを使って2段階のPCRを行う方法であり、目的とする領域からの最初のPCR産物を鋳型にして、最初に使用したプライマーの位置より、両側とも内側にプライマーを設定して行う方法である。nestedPCRは一組のプライマー対で増幅される目的配列の内側に第2のプライマーをデザインし、最初のPCRで増えた生成物を希釈して新たな鋳型とした第2のPCRを行う。PCRは、2つのプライマー対が適当な間隔で向き合って存在することによる特異性に基づいて特定の断片を増幅する方法であるが、プライマーの類似配列によってミススプライミングが時々起こり、目的配列の増幅とともに非特異的な増幅も起こってしまう。この非特異的断片を含むPCR産物を鋳型にしてnestedPCRを行うと、非特異的な断片の中にnestedプライマーに類似した配列が存在する確率が極めて低くなるため、非特異的増幅のノイズの海から目的配列のみをうまく抽出することが可能となる。従って、バックグラウンドが出やすいPCRの場合に有効な方法となる。
本実施形態においても、第1のPCRによって無数の断片が生じた場合、該PCR産物でnestedPCRを行うことにより絞込みができると共に、非特異的な増幅をこの段階においても排除することができるので、最終的に、目的遺伝子を含んだ核酸をより一層特異的にクローニングすることができる。
さらに、本実施形態におけるPCRでは、DNAポリメラーゼとして3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するものを用いて行う。該活性を有するDNAポリメラーゼを用いることによって、PCR増幅過程における誤った塩基の取り込みに対する校正機能を有するので、正確性の高いPCR増幅ができると共に、PCR産物の3’末端にdAが付加されないので平滑末端を有するPCR産物を生成させることができる。
ここで一般的に、DNAポリメラーゼの種類は、polI型とα型、そして混合型に大別される。PolI型DNAポリメラーゼは比較的安価であり、伸長活性が高いという利点を持つが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有さないことより、誤った塩基の取り込みに対して校正ができず、正確性の高いPCR産物を生成することができない。また、3’末端にはdAが付加されるので付着末端を形成させることになる。それに対し、α型DNAポリメラーゼは、伸長活性は高くないが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有することから増幅過程において校正が可能となる。その結果、正確性に富んだ増幅ができ、また該活性により3’末端にdAが付加させないので平滑末端を有するPCR産物を生成させることができる。また、これら上記ポリメラーゼの各々の欠点を補ったのが混合型DNAポリメラーゼである。PolI型とα型の両者を一定割合で混合した混合型DNAポリメラーゼは、polI型の有する伸長活性とα型の有する3’→5’エキソヌクレアーゼ活性によって、比較的長い核酸を正確に増殖させ、さらにそのPCR産物の3’末端を平滑末端とすることができる。
本実施形態におけるPCRでは、上記したアダプター上に相補的に結合するプライマーと、核酸上の目的遺伝子配列に特異的に結合するプライマーと、そして3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いてPCR産物を得ることにより、目的遺伝子を含むPCR産物(標的PCR産物)の一方の末端のみを平滑末端とすることを可能とし、標的PCR産物に特異性を与えることできる。
従って、本実施形態では、PCR工程において3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するα型のDNAポリメラーゼを選択する。α型DNAポリメラーゼとしては、例えばKOD DNAポリメラーゼやPfu DNAポリメラーゼ等を用いることができる。なお、混合型DNAポリメラーゼも3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有しているが、polI型酵素も一定の割合で含まれていることにより、α型を用いる方が好ましい。
次に、クローニングベクターを生成する工程について説明する。
上記PCRによって増幅された核酸には、一方の断片が平滑末端であり、他方の末端に制限酵素切断部位を有する目的遺伝子を含んだ核酸断片(標的核酸断片)だけでなく、両端に制限酵素切断部位を有するか、又は両端ともに制限酵素切断部位を有さない目的遺伝子非含有の核酸断片(非標的核酸断片)も含まれている。
本実施形態は、PCRで増幅した標的核酸断片の末端の特異性を利用して、上記制限酵素と同じ制限酵素又は上記制限酵素と同じ切断断片を生じさせる制限酵素及び平滑末端生成酵素で消化したベクターとPCR産物をライゲーションさせるという、二次的に標的核酸断片を選別する工程を含んでいる。
PCRで増幅した非標的核酸断片は、その末端がベクターの末端と完全に一致しない為、ライゲーションすることができない。一方で、標的核酸断片の末端はベクターの両末端と完全に一致する為、ライゲーションされる。
このようにPCR産物を付着末端及び平滑末端を有するベクターとライゲーションさせることにより、ベクターとのライゲーションが可能な標的核酸断片のみを二次的に選別することが可能となる。
なお、ベクターとしては、プラスミドベクターやλファージベクター等の種々のものが用いられ、特に限定されない。
最後に、上記クローニングベクターをコンピテントな細胞に導入して、目的遺伝子を含むクローンを増殖する工程について説明する。
上記説明のようにベクターにクローニングされたPCR産物は、ベクターとの特異的なライゲーションという二次的な選別工程より得られたものであることから、目的遺伝子を含むものである。このクローニングベクターを大腸菌等のコンピテントセルに導入することによって目的遺伝子を含んだクローンを生成させることが可能となる。
ここでコンピテントセルとしては、例えば大腸菌が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、コンピテントセルへのベクターの導入方法としては、エレクトロポレーション法やヒートショック法等が挙げられる。
以上の実施形態のように、アダプターを利用したPCRにおいて、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いることによって、一方が付着末端で他方が平滑末端を有するPCR産物を生成させることができ、そしてこのPCR産物を上記付着末端と同じ末端を生じさせる制限酵素及び平滑末端生成制限酵素で消化したベクターとライゲーションさせることによって、目的遺伝子を含有するPCR産物のみがライゲーションされるという選択性が付与され、目的遺伝子インサートクローンを特異的に増殖させることができる。
(DNA抽出)
まず、Penicillium purpurogenum Stoll(IAM15392)由来のゲノム遺伝子を以下のように抽出した。
Penicillium purpurogenum Stoll(IAM15392)をYMA(Yeast Malt extract Agar)培地中で80時間培養した。この培養液を遠心分離後、回収し、液体窒素で急冷し、凍結させた菌体を乳鉢、乳棒を用いて粉末状にした。
粉末の菌体重量に対して4倍量のDNA抽出液(0.3M NaCl、50mM Tris-HCl(pH.7.5)、20mM EDTA、0.5% SDS、5M UREA、10mM 2−mercaptoethanol、5%(v/v) phenol)を加えて転倒混和した。そして等量のPCI(25:24:1=phenol:chloroform:Isoamylalchol)を加えて、20秒間激しく撹拌し、常温で12000×g、15分間遠心分離し、上層を回収した。そして、このPCIを加えて遠心分離する操作を中間層が無くなるまで繰り返し行った。
その後、上層に2倍量のエタノールを加えて転倒混和後、10分間室温放置し、これを4℃で12000×g、20分間遠心分離した後、上清を除去した。また、70%エタノールを3倍量加え、4℃で15000×gで10分間遠心分離し、上清を除去した。そして、70%エタノールを2倍量加えて上清を除去する作業をもう一度繰り返した。
上清を除去した後、TE(10mM Tris-HCl(PH 7.5)、1mM EDTA、20μg/mL RNase A)100μLに溶解し、16時間4℃で緩やかに撹拌した。そして、37℃で1時間インキュベートし、100μLのPCIを加えて、20秒間激しく撹拌した。そして、常温で12000×g、15分間遠心分離し、上層を回収した。
上層80μLに3M酢酸ナトリウムを8μL(1/10)及び100%エタノールを160μL(2vol.)加え、転倒混和後、室温で1分間放置した。放置後、4℃で12000×g、20分間遠心分離し、上清を除去した。また、70%エタノールを1mL加え、4℃で15000×g、10分間遠心分離し、上清を除去した。さらに、70%エタノールを1mL加え、上清を除去する作業をもう一度繰り返した。
そして、10分間常温で風乾させた後、滅菌水50μLで完全に溶解させ、DNAを抽出した。
(アダプターを用いたPCR)
次に、上記作業で抽出されたDNAを、アダプターを用いたPCR(GCA−PCR)によって以下のように増幅させた。
上記抽出したDNA溶液を制限酵素BamHIで37℃、16時間消化した。そして、制限酵素消化したDNAをSpin Column PCR Product Purification Kit(Bio Basic社製)(以下、SCと呼ぶ。)によって精製し、このDNAにGCA−アダプター(BamHI)をLigaFastTM Rapid DNA Ligation System(Promega社製)を用いて16℃で16時間ライゲーションした。アダプターを下記に示す。
Figure 2008253219

アダプターをライゲーションしたDNAを鋳型にアダプタープライマー、目的遺伝子(polyketide synthase)の部分的な配列により設計したプライマー、及びKOD DNAポリメラーゼ(東洋紡績社製)を用いてPCRを行った。ここで、アダプタープライマーを下記に示す。
GCA-primer TAGCAGCTGCGCCGGCGGAC
まず、95℃、2分間で鋳型DNAを熱変性させ、95℃で15秒間→68℃で5分間のサイクルを10回繰り返した。その後、第2サイクルとして、95℃で15秒間→60℃で30秒間→68℃で5分間のサイクルを40回繰り返し、DNAを増幅させた。
そして、増幅させたDNAの一部を鋳型にして、nestedプライマー、目的遺伝子のアダプターに近い配列より設計したプライマー、及びKOD DNAポリメラーゼを用いて、上記と同様の条件でPCRを行った。すなわち95℃、2分間で鋳型DNAを熱変性させ、95℃で15分間→68℃で50分間のサイクルを10回繰り返し、その後、第2サイクルとして、95℃で15分間→60℃で30秒間→68℃で5分間のサイクルを40回繰り返し、PCR産物を得た。ここで、nestedプライマーを下記に示す。
GCA-nested-primer GTCGAGCTCTACGTACAATT
そして、PCR産物のDNAをSCによって精製した。
得られたPCR産物には、目的遺伝子を含む核酸断片だけではなく、目的遺伝子を含んでいない核酸断片も含有されている。図3が、その様子を示したものであり、PCR産物をアガロースゲル電気泳動にかけた結果である。この図3からもわかる様に、明瞭な1本のバンドパターンと複数本のバンドパターンが確認された。
(ベクターへのライゲーション)
次に、上記アダプターを用いたPCRによって得られたPCR産物を、以下のようにベクターに組み込み、大腸菌に形質転換した。
上記精製されたDNAを制限酵素BamHIによって消化した。この制限酵素で消化したDNAをSCで精製し、アダプターを除去した。
一方、pbluescriptIISK+ベクターを、制限酵素BamHI及び平滑末端生成酵素であるHincIIで消化し、このベクターをSCで精製した。その後、精製ベクターをBAP(Bacterial Alkaline Phosphatase)で処理して脱リン酸化し、SCで精製した。
上記制限酵素消化し、アダプターを除去、精製したDNAの一部を、上記精製ベクターにLigaFastTM Rapid DNA Ligation System(Promega社製)を用いて16℃、16時間ライゲーションした。
そして、大腸菌DH5αコンピテントセルに、上記DNAをライゲートしたベクターを形質転換させ、抗生物質(アンピシリン)選択培地上で目的遺伝子断片を含むクローンを選別した。
比較例
上述と同様に、DNAを抽出後、アダプターを用いたPCRを行った後、上記実施例とは異なり、そのPCR産物をTaq DNAポリメラーゼにて処理してカラムに回収後、T-easyベクター(Promega社製)にライゲーションする、いわゆるTAクローニングを行い、当該ベクターを大腸菌DH5αに形質転換するクローニング法を比較例として行った。
インサートクローン取得の特異性の効果
本実施例に係るクローニング法と上記比較例に係るTAクローニング法によってそれぞれ得られたコロニーをランダムに50個選択し、コロニーPCR法を用いて目的の配列を含むクローンの選別を行った。ここで、コロニーPCR法とは、DNAを抽出することなく、直接コロニーをPCR反応液に懸濁し、PCR反応を起こさせるものである。
そして、このコロニーPCRによって得られた反応液をそのまま電気泳動ゲルにアプライし、インサートチェックを行った。図4が、その結果を示したグラフである。
図4のグラフに示すように、比較例のTAクローニングにより得たクローンのうち、目的遺伝子を含んでいたクローンが26クローンであったのに対して、本実施例に係る方法により得られた目的遺伝子を含むクローンは48クローンと大きな差が出た。
これは、比較例の場合には、目的遺伝子とは異なる遺伝子を含むDNA断片もベクターにライゲーションされるのに対して、本実施例に係るクローニング法では、ベクターに付着末端生成制限酵素及び平滑末端生成制限酵素による処理を加えているため選択性が増し、目的遺伝子を含むクローンが特異的に増加したものと考えられる。
本実施の形態のクローニング法の概略図である。 BamHI、HindIII、EcoRI、ApaIの制限酵素切断末端を有するアダプターの示した図である。 PCR産物のアガロースゲルによる電気泳動の結果を示した図である。 比較例であるTAクローニング法と本実施例に係るクローニング法のそれぞれによる目的遺伝子インサートクローン数の割合を示した図である。

Claims (6)

  1. アダプターを用いたPCRを利用する核酸のクローニング法において、
    アダプターを核酸にライゲーションして、アダプターを付加した核酸断片を得る核酸断片生成工程と、
    上記核酸断片生成工程にて得られた上記アダプターを付加した核酸断片を3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いたPCRによって増殖して、PCR産物を得るPCR産物生成工程と、
    上記PCR産物を付着末端生成制限酵素及び平滑末端生成制限酵素で消化したベクターにライゲーションして、クローニングベクターを得るクローニングベクター生成工程と、
    上記クローニングベクターをコンピテントな細胞に導入して、目的遺伝子を含むクローンを増殖させるクローン増殖工程と
    を有することを特徴とする核酸クローニング法。
  2. 上記核酸断片生成工程では、上記アダプターの付着末端と同じ末端を生じさせる制限酵素によって核酸を消化して、上記アダプターを付加した核酸断片を得ることを特徴とする請求項1記載の核酸クローニング法。
  3. 上記アダプターは、その3'末端が脱リン酸化されていることを特徴とする請求項1記載の核酸クローニング法。
  4. 上記PCR産物生成工程では、第1のPCR産物でnestedPCRを行うことを特徴とする請求項1記載の核酸クローニング法。
  5. 上記PCRは、α型DNAポリメラーゼを用いて行うことを特徴とする請求項1記載の核酸クローニング法。
  6. 請求項1に記載の付着末端生成酵素及び平滑末端生成酵素で消化したベクターを含むことを特徴とする核酸クローニングキット。
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