JP2008251782A - セラミック配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 絶縁層の比誘電率を増加せることなく、マイクロ波加熱による焼成が可能なセラミック配線基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 内部配線導体2、ビアホール導体3および表面配線導体4,5は、Ag系、Cu系、Pd系、Ptなどの金属導体に加えて、絶縁層よりも比誘電率の高い材料から成る添加剤を含むように構成されている。添加剤の比誘電率は7以上が好ましく、具体的には、比誘電率が高いSiC、TiO2、ZrO2、MgO、AlN、Cr2O3、ZnOおよびSi3N4から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらの中でもSiC、TiO2、ZrO2、MgO、Cr2O3、ZnOは、少ない添加量で比誘電率を高くすることができるので好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、絶縁層がセラミックスで構成されるセラミック配線基板およびその製造方法に関し、特にマイクロ波を用いて加熱焼成されたセラミック配線基板およびその製造方法に関する。
近年、使用される周波数帯域がGHzを超える高周波帯に移行しつつある。高周波信号を高速で伝送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいことが要求され、絶縁層にもより低い比誘電率が要求される。
このため、ガラスとセラミックス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガラスセラミックスを絶縁層として用いる多層配線基板が注目されている。
このような多層配線基板は、ガラスとフィラーとの混合物に有機バインダ、可塑剤、溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりセラミックグリーンシートを成形した後、Ag、Cu、Pd、Pt等の粉末を含有する導体ペーストを印刷するなどして前記セラミックグリーンシート上に導体パターンを形成し、ついで複数枚のセラミックグリーンシートを積層して800〜1000℃の温度で焼成して得られる。
このように、ガラスセラミックスは比較的低温で焼成できるので、配線層としてAgやCuなどの低抵抗金属を用いることができ、導体抵抗を低くすることができる。また、ガラスセラミックス自体の比誘電率も低いため、配線の容量成分を小さくすることができ、高周波信号に適した多層配線基板を実現できる。
最近では、このようなセラミック配線基板を焼成する際に、マイクロ波加熱を利用することが提案されている。マイクロ波は、被焼成物を直接発熱させるため、被焼成物が焼結する際の温度ばらつきが小さくなるので好ましい。
しかし、ガラス、フィラー、有機バインダは、特に低温でのマイクロ波吸収率が小さいため、セラミックグリーンシート自体を発熱させることは困難である。そこで、加熱炉内で成形体を配置する棚板(特許文献1参照)、成形体を挟む板(特許文献2参照)の材質を炭化ケイ素(SiC)などのマイクロ波吸収率の高い材料を用いることで、熱補助を行う。
この方法では、棚板などマイクロ波吸収率の高い材料に接触する部分と、成形体の内部とで温度差が生じ、焼成時に反りが発生したり、寸法精度が劣化したりする問題がある。
この問題を解決する方法としては、特に厚みが厚いものやサイズの大きなものを均一に加熱する目的で、グリーンシートにマイクロ波吸収率の高い添加剤を添加し、発熱を補助している(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献5に記載されるような絶縁層にマイクロ波吸収率の高い添加剤を添加する方法では、焼結後の絶縁層の比誘電率が増加することで、配線の容量成分が増加し高周波信号の伝播特性が悪化してしまう。
本発明の目的は、絶縁層の比誘電率を増加せることなく、マイクロ波加熱による焼成が可能なセラミック配線基板およびその製造方法を提供することである。
本発明は、セラミックスで構成される絶縁層と、その内部に設けられた複数の配線導体とを有するセラミック配線基板であって、前記配線導体は、前記絶縁層よりも比誘電率が高い材料から成る添加剤を含むことを特徴とするセラミック配線基板である。
また本発明は、前記セラミックスは、コーディエライト、ムライト、アノーサイトおよびセルジアンのいずれかであることを特徴とする。
また本発明は、前記配線導体は、銀、銅、パラジウムおよび白金のいずれかを含むことを特徴とする。
また本発明は、前記添加剤は、比誘電率が7以上であることを特徴とする。
また本発明は、前記添加剤は、SiC、TiO2、ZrO2、MgO、AlN、Cr2O3、ZnOおよびSi3N4のいずれかであることを特徴とする。
また本発明は、前記添加剤は、SiC、TiO2、ZrO2、MgO、AlN、Cr2O3、ZnOおよびSi3N4のいずれかであることを特徴とする。
また本発明は、前記添加剤の含有量は、前記配線導体に対して0.1〜30重量%であることを特徴とする。
また本発明は、複数のセラミックグリーンシートに、該セラミックグリーンシートよりも誘電率の高い材料から成る添加剤を含む導体ペーストをそれぞれ印刷するステップと、
前記複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成するステップと、
前記積層体を、マイクロ波を用いて加熱焼成することによりセラミック配線基板を製造するステップとを有することを特徴とするセラミック配線基板の製造方法である。
前記複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成するステップと、
前記積層体を、マイクロ波を用いて加熱焼成することによりセラミック配線基板を製造するステップとを有することを特徴とするセラミック配線基板の製造方法である。
本発明によれば、セラミックスで構成される絶縁層と、その内部に設けられた複数の配線導体とを有するセラミック配線基板であって、前記配線導体は、前記絶縁層よりも比誘電率が高い材料から成る添加剤を含む。
これにより、配線導体がマイクロ波で優先的に加熱されるので、基板の表面と同様に基板の内部も加熱することができ、焼結での寸法ばらつきが小さくなり、基板の反りも小さくなる。
添加剤は配線導体内に残留するか、または配線導体と絶縁層との界面に留まり、絶縁層内に拡散しないため、絶縁層の比誘電率(誘電損失)が上昇することを防ぐことができる。
図1は、本発明の実施の一形態であるセラミック配線基板7の構成を示す断面図である。セラミック配線基板7は、内部に配線導体による所定回路が形成された積層体基板1を含んで構成され、必要に応じて積層体基板1の主面に表面配線導体4,5および厚膜抵抗体膜、保護膜などを形成し、さらに、表面配線導体4,5に接合した各種電子部品6などから構成される。
積層体基板1は、セラミック絶縁層(以下では単に「絶縁層」という)1a〜1e、内部配線導体2、ビアホール導体3とを含み、所定回路が内装されている。
絶縁層1a〜1eとしては、例えば800〜1000℃前後の比較的低い温度で焼成可能なガラスセラミック材料が用いられる。
ガラスセラミック材料は、主に無機物フィラーおよびガラス成分を含み、無機物フィラーとしては、コランダム(αアルミナ)、クリストバライト、石英、ムライト、コーディエライトなどが例示できる。
また、ガラス成分は、複数の金属酸化物を含む低融点結晶化ガラスからなり、例えば800〜1000℃前後の比較的低い温度で焼成処理することによって、コーディエライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライトやその置換誘導体の結晶相を少なくとも1種類を析出するものである。
内部配線導体2、ビアホール導体3は、Ag系(Ag単体、Ag−PdなどのAg合金)、Cu系(Cu単体、Cu合金)、Pd系(Pd単体、Pd合金)、Pt(Pt単体、Pt合金)などの金属導体からなり、内部配線導体2の厚みは8〜15μm程度であり、ビアホール導体3の直径は任意な値とすることができるが、例えば50〜250μmである。
内部配線導体2およびビアホール導体3として上記のような材質を用いることで、配線導体が確実にマイクロ波加熱され、基板の表面と同様に基板の内部も加熱することができる。
表面配線導体4,5は、Ag系(Ag単体、Ag−PdなどのAg合金)、Cu系(Cu単体、Cu合金)、Pd系(Pd単体、Pd合金)、Pt(Pt単体、Pt合金)などの金属導体から成り、例えば、焼成処理される前の積層体基板1に既に形成されている。
このような積層体基板1の表面配線導体4,5には、厚膜抵抗体膜や保護膜が形成され、チップ状コンデンサ、チップ状抵抗器、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)などの各種電子部品6などが半田、ワイヤボンディングなどによって表面配線導体4,5と導通可能に搭載されている。
ここで、本発明は、内部配線導体2、ビアホール導体3および表面配線導体4,5が、Ag系(Ag単体、Ag−PdなどのAg合金)、Cu系(Cu単体、Cu合金)、Pd系(Pd単体、Pd合金)、Pt(Pt単体、Pt合金)などの金属導体に加えて、絶縁層よりも比誘電率の高い材料から成る添加剤を含むように構成されている。
添加剤の比誘電率は7以上が好ましく、具体的には、比誘電率(εr)が高いSiC(εr=9〜12)、TiO2(εr=80〜180)、ZrO2(εr=20〜30)、MgO(εr=9〜12)、AlN(εr=7〜9)、Cr2O3(εr=10〜14)、ZnO(εr=8〜10)およびSi3N4(εr=7〜9)から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらの中でもSiC、TiO2、ZrO2、MgO、Cr2O3、ZnOは、少ない添加量で比誘電率を高くすることができるので好ましい。
添加剤の含有量は、後述の導電性ペーストにおける金属材料の重量と添加剤の重量の和に対して0.1〜30重量%である。よって、導電ペーストを焼成して得られる配線導体に対する添加剤の含有量も0.1〜30重量%となる。
含有量が0.1重量%以上では、マイクロ波による発熱性の低下を抑えることができ、加熱が可能になる。30重量%以下であると、配線導体の抵抗値の上昇を抑制でき、高周波信号の遅延を抑えることができる。
本実施の形態によるセラミック配線基板によれば、積層体基板の内部に設けられた配線導体がセラミック絶縁層よりも比誘電率が高い材料から成る添加剤を含むことから、配線導体に添加剤を含ませずにマイクロ波を用いて基板を加熱焼成した場合には外部から熱が伝わりにくく昇温しにくい基板の内部も、基板の表面と同様に加熱することができ、焼結での寸法ばらつきが小さくなり、基板の反りも小さくなる。
以下では、セラミック配線基板7の製造方法について説明する。
(グリーンシートおよび導電性ペーストの準備工程)
まず、絶縁層1a〜eとなるセラミックグリーンシートを準備し、内部配線導体2、ビアホール導体3、表面配線導体4,5となる導体膜や導体を形成するための低抵抗金属材料(Ag、Cu、Pd、Pt、それらの合金)、比誘電率の高い添加物(SiC、TiO2、ZrO2、MgO、AlN、Cr2O3、ZnOおよびSi3N4から選ばれる1種または2種以上)、ガラスフリット、有機ビヒクルなどから成る導電性ペーストをそれぞれ準備する。
(グリーンシートおよび導電性ペーストの準備工程)
まず、絶縁層1a〜eとなるセラミックグリーンシートを準備し、内部配線導体2、ビアホール導体3、表面配線導体4,5となる導体膜や導体を形成するための低抵抗金属材料(Ag、Cu、Pd、Pt、それらの合金)、比誘電率の高い添加物(SiC、TiO2、ZrO2、MgO、AlN、Cr2O3、ZnOおよびSi3N4から選ばれる1種または2種以上)、ガラスフリット、有機ビヒクルなどから成る導電性ペーストをそれぞれ準備する。
セラミックグリーンシートは、低融点結晶化ガラスフリット、無機物フィラー、バインダ、溶剤を均質混練して、ドクターブレード法などでテープ成型し、所定の大きさに裁断されて形成される。
低融点結晶化ガラスフリットとは、上述したように、800〜1000℃前後の比較的低い温度で焼成処理することによって、コーディエライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライトやその置換誘導体の結晶相を少なくとも1種類析出するガラス組成物からなり、平均粒径は、1.0〜6.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmである。
特に、アノーサイト、セルジアンを析出するガラスフリットを用いれば、より強度の高い積層体基板1を得ることができ、コージェライト、ムライトを析出するガラスフリットを用いれば、熱膨張率が低い積層体基板1を得ることができ、積層体基板1上にICベアチップなどのシリコンチップを搭載するための積層体基板として有効である。なお、強度が高く、熱膨張率が低い積層体基板1を得るため、アノーサイトやコージェライトを同時に析出させるガラス組成物として、例えば、B2 O3 、SiO2 、Al2 O3 、ZnO、アルカリ土類金属酸化物が有効である。
無機物フィラーは、積層体基板1の骨剤となるものであり、コランダム(αアルミナ)、クリストバライト、石英、ムライト、コージライトなどのセラミックが例示でき、その粒径は1.0〜6.0μm、好ましくは1.5〜4.0μmである。
バインダは、固形成分(ガラスフリット、無機物フィラー)との濡れ性があり、熱分解性の良好なものでなくてはならない。同時にスリップの粘性を決めるものであるため、アクリル酸またはメタクリル酸系重合体のようなカルボキシル基、アルコール性水酸基を備えたエチレン性不飽和化合物が好ましい。添加量としては、全固形成分に対して25wt%以下であることが好ましい。
溶剤としては、有機系溶剤、水系溶剤を用いることができるが、水系溶剤を用いる場合、バインダは水溶性である必要がある。水溶性のバインダには親水性の官能基、例えばカルボキシル基が付加されていることが好ましく、その付加量は酸価で表せば2〜300mgKOH/gであり、好ましくは5〜100mgKOH/gである。
上述のバインダおよび溶剤は、ドクターブレード法による熱乾燥工程および積層体基板の焼成工程の脱バインダ過程で完全に熱分解しなくてはならないが、特に、600℃以下、好ましくは500℃以下で分解する材料がよい。
上述の無機物フィラーとガラス成分との構成比率は、無機物フィラーが10wt%〜50wt%、好ましくは20wt%〜35wt%であり、ガラス成分が90wt%〜50wt%、好ましくは80wt%〜65wt%である。
無機物フィラーが10wt%未満、すなわちガラス成分が90wt%を越えると、絶縁層中に占めるガラス質の割合が大きすぎて、積層体基板1の強度が損なわれ、無機物フィラーが50wt%を越える、すなわちガラス成分が50wt%未満では、積層体基板1の緻密性が損なわれる。
(穴開け加工およびペースト印刷工程)
次に、絶縁層1a〜1eとなるグリーンシートに、ビアホール導体3が形成される位置を考慮してNCパンチ等でスルーホールを形成し、続いて、上述した導電性ペーストを充填することにより、スルーホール内に導体ペーストを充填し、グリーンシート表面には、内部配線導体2となる導体膜を所定の回路形状となるように印刷する。
次に、絶縁層1a〜1eとなるグリーンシートに、ビアホール導体3が形成される位置を考慮してNCパンチ等でスルーホールを形成し、続いて、上述した導電性ペーストを充填することにより、スルーホール内に導体ペーストを充填し、グリーンシート表面には、内部配線導体2となる導体膜を所定の回路形状となるように印刷する。
(積層工程)
スルーホールが充填され配線が印刷されたグリーンシートを、絶縁層1a〜1eとなるよう積層順序を考慮して積層し、熱圧着して未焼成状態の積層体基板を得る。
スルーホールが充填され配線が印刷されたグリーンシートを、絶縁層1a〜1eとなるよう積層順序を考慮して積層し、熱圧着して未焼成状態の積層体基板を得る。
(焼成工程)
図2は、本発明の実施の一形態であるセラミック配線基板7の製造方法を説明するための図である。図2(a)は、製造方法において使用するマイクロ波焼成炉の平面図を示し、図2(b)は、切断面線A−A’における断面図である。
図2は、本発明の実施の一形態であるセラミック配線基板7の製造方法を説明するための図である。図2(a)は、製造方法において使用するマイクロ波焼成炉の平面図を示し、図2(b)は、切断面線A−A’における断面図である。
マイクロ波焼成炉17は、炉壁16の内部空間に、断熱材10で覆われた筐体9が配置される。筐体9の内部空間には、未焼成積層体基板7aを載置するための複数の棚板8が、支柱11によって鉛直方向に所定の間隔をあけて設けられる。筐体9の内部空間は、炉壁16の外部と、雰囲気ガス供給用ノズル12および排気用ノズル14によって連通し、雰囲気ガス13は、外部から雰囲気ガス供給用ノズル12を通って筐体9の内部空間に供給され、排気ガス15は、筐体9の内部空間から排気用ノズル14を通って外部に放出される。
マイクロ波による焼成方法としては、まず、導波管を通してマイクロ波焼成炉17内に導入されたマイクロ波により、未焼成積層体基板7a自体が自己発熱するとともに、マイクロ波焼成炉17内に設けられた筐体9や棚板8も同時に自己発熱することにより、積層体基板1が焼結する。このとき、表層部分は表面からの熱放散によって内部に比べて温度が低くなりがちである。本発明では、積層体基板1の内部配線導体2、ビアホール導体3および表面配線導体4、5にマイクロ波による発熱性が高い添加剤が含まれているため、積層体基板1の内部と表層部分との温度勾配が極めて小さくなる。
また、筐体9および棚板8はマイクロ波吸収性を有している。その材質としては、誘電損失(tanδ)が大きく、マイクロ波の吸収性が高いセラミックス材料が好適である。そのような筐体9および棚板8を構成するセラミックス材料としては、例えば炭化ケイ素系材料、アルミナ系材料等が挙げられる。
また、円筒状の雰囲気ガス供給用ノズル12から雰囲気ガス13が筐体9内に供給されることにより、マイクロ波照射により未焼成の積層体基板に含まれるバインダが熱分解して発生した分解ガスが筐体9内において滞留することなく連続的に対向する側面の排気用ノズル14から排気ガス15として炉外に排出される。
焼成雰囲気は、大気(酸化性)雰囲気または中性雰囲気で行われ、例えば、内部配線導体2などにCu系導体を用いる場合には、還元性雰囲気または中性雰囲気で行われる。
上述の未焼成状態の積層体基板を焼成処理する焼成工程は、脱バインダ過程と焼結過程からなる。
まず脱バインダ過程では、絶縁層1a〜1eとなるグリーンシート層、内部配線導体2となる導体膜、ビアホール導体3となるペーストに含まれる有機成分を焼失するためのものであり、例えば600℃以下の温度領域で行われる。
次に焼結過程では、絶縁層1a〜1eとなるグリーンシート層に含まれる結晶化ガラス成分が所定結晶相の析出反応を行うと同時に、無機物フィラーの粒界に均一に分散される。これにより、強固な積層体基板1が得られる。
また、内部配線導体2となる導体膜、ビアホール導体3となるペーストにおいては、例えばAg系粉末を粒成長させて、低抵抗化させるとともに、絶縁層1a〜1eと一体化させる。このような焼結過程は、ピーク温度800〜1000℃に達する温度領域で行われる。
(表面処理工程)
焼成処理された積層体基板の両主面に表面処理を行う。積層体基板1の上面側主面に、絶縁層1a、1eに形成したビアホール導体3と接続するように、例えば銅系導電性ペーストの印刷・乾燥、焼き付けにより、表面配線導体4,5を形成する。
焼成処理された積層体基板の両主面に表面処理を行う。積層体基板1の上面側主面に、絶縁層1a、1eに形成したビアホール導体3と接続するように、例えば銅系導電性ペーストの印刷・乾燥、焼き付けにより、表面配線導体4,5を形成する。
ここで、銅系の表面配線導体4,5と銀系導体のビアホール導体3とが接合することになる。このため、銀と銅との共晶温度を考慮して、銅系の導電性ペーストは低温(例えば780℃以下)で焼成可能なものを選択し、しかも、銅の酸化を防止するために還元性雰囲気または中性雰囲気下で行うことが重要である。
その後、必要に応じて、厚膜抵抗膜や保護膜などの焼きつけを行い、各種電子部品6を表面実装する。
なお、上述の実施形態について、積層体基板1の表面配線導体4,5として例えば、積層体基板1の焼成工程で同時焼成される導電性ペーストで形成した場合、積層工程中で表面配線導体4,5となる導体膜を形成して、積層体基板1の焼成と一体的に行っても構わない。
また、必要に応じて、未焼成状態の積層体基板に分割溝を形成しておき、焼成直後、または表面処理工程を行ったのちに分割処理を行っても構わない。
(実施例1)
厚みが200μmのグリーンシートを準備し、このグリーンシート上に、Ag系導電性ペーストを用いて導体膜をスクリーン印刷にて形成した後、積層、熱圧着して積層体基板を作製した。このとき、Ag系導電性ペーストは、添加剤としてTiO2を5wt%添加したものを用いた。
厚みが200μmのグリーンシートを準備し、このグリーンシート上に、Ag系導電性ペーストを用いて導体膜をスクリーン印刷にて形成した後、積層、熱圧着して積層体基板を作製した。このとき、Ag系導電性ペーストは、添加剤としてTiO2を5wt%添加したものを用いた。
作製した積層体基板をマイクロ波によって自己発熱するSiC系材料の筐体内に載置し、この筐体内に大気を供給するとともに、2.45GHzのマイクロ波を連続照射し有機成分を除去しつつ、900℃まで焼成した。焼成炉内の棚板はSiC系材料で作製したものを使用した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは40μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度(収縮ばらつき)は±0.05%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
(実施例2)
添加剤としてZrO2を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは45μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.06%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
添加剤としてZrO2を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは45μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.06%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
(実施例3)
添加剤としてMgOを用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは50μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.06%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
添加剤としてMgOを用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは50μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.06%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
(実施例4)
添加剤としてAlNを用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは50μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.07%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
添加剤としてAlNを用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは50μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.07%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
(実施例5)
添加剤としてCr2O3を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは55μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.07%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
添加剤としてCr2O3を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは55μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.07%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
(実施例6)
添加剤としてZnOを用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは50μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.07%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
添加剤としてZnOを用いたこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは50μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無かった。また、寸法精度は±0.07%と良好であった。さらに、内部配線導体の導通抵抗は問題なく、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。
(比較例1)
添加剤としてTiO2を0.08wt%添加したこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板は層間の剥離やクラックは無く、内部配線導体の導通抵抗、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。しかし、反りが105μmと比較的大きく、寸法精度も±0.12%と比較的大きかった。
添加剤としてTiO2を0.08wt%添加したこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板は層間の剥離やクラックは無く、内部配線導体の導通抵抗、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。しかし、反りが105μmと比較的大きく、寸法精度も±0.12%と比較的大きかった。
(比較例2)
添加剤としてTiO2を31wt%添加したこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは50μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無く、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。しかし、寸法精度が±0.10%と比較的大きく、内部配線導体の導通抵抗が上昇した。
添加剤としてTiO2を31wt%添加したこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板の反りは50μmと良好であり、層間の剥離やクラックは無く、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。しかし、寸法精度が±0.10%と比較的大きく、内部配線導体の導通抵抗が上昇した。
(比較例3)
添加剤を用いないこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板は層間の剥離やクラックは無く、内部配線導体の導通抵抗、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。しかし、反りが135μmと比較的大きく、寸法精度も±0.15%と比較的大きかった。
以上の結果をまとめて表1に示す。
添加剤を用いないこと以外は実施例1と同様に積層体基板を作製した。
作製した積層体基板を実施例1と同様の方法でマイクロ波によって焼成した。
焼成後、得られたセラミック基板は層間の剥離やクラックは無く、内部配線導体の導通抵抗、内部配線導体間の絶縁性および容量値も適正であった。しかし、反りが135μmと比較的大きく、寸法精度も±0.15%と比較的大きかった。
以上の結果をまとめて表1に示す。
実施例1〜6のように、配線導体に添加剤を加えることで、基板の反りが小さく寸法精度も向上した。
比較例3では、添加剤を含まないため、基板の反りが大きく寸法精度も悪かった。比較例1,2は、添加剤を含むもののその含有量が適切でないために、寸法精度の低下または導通抵抗の上昇がみられた。
1 積層体基板
1a〜1e 絶縁層
2 内部配線導体
3 ビアホール導体
4,5 表面配線導体
6 電子部品
7 セラミック配線基板
1a〜1e 絶縁層
2 内部配線導体
3 ビアホール導体
4,5 表面配線導体
6 電子部品
7 セラミック配線基板
Claims (7)
- セラミックスで構成される絶縁層と、その内部に設けられた複数の配線導体とを有するセラミック配線基板であって、前記配線導体は、前記絶縁層よりも比誘電率が高い材料から成る添加剤を含むことを特徴とするセラミック配線基板。
- 前記セラミックスは、コーディエライト、ムライト、アノーサイトおよびセルジアンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のセラミック配線基板。
- 前記配線導体は、銀、銅、パラジウムおよび白金のいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック配線基板。
- 前記添加剤は、比誘電率が7以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のセラミック配線基板。
- 前記添加剤は、SiC、TiO2、ZrO2、MgO、AlN、Cr2O3、ZnOおよびSi3N4のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のセラミック配線基板。
- 前記添加剤の含有量は、前記配線導体に対して0.1〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のセラミック配線基板。
- 複数のセラミックグリーンシートに、該セラミックグリーンシートよりも比誘電率の高い材料から成る添加剤を含む導体ペーストをそれぞれ印刷するステップと、
前記複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成するステップと、
前記積層体を、マイクロ波を用いて加熱焼成することによりセラミック配線基板を製造するステップとを有することを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2007090464A JP2008251782A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | セラミック配線基板およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017163931A1 (ja) * | 2016-03-22 | 2017-09-28 | 株式会社村田製作所 | セラミック電子部品およびセラミック電子部品の製造方法 |
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-
2007
- 2007-03-30 JP JP2007090464A patent/JP2008251782A/ja active Pending
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