JP2008251546A - ランプユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】HIDランプの発光部を所定のロービーム位置およびハイビーム位置に確実に配置できるようにする。
【解決手段】ランプの移動方向に沿って配置したガイド部と、前記ランプを保持しつつ前記ガイド部に沿って移動するランプ保持部とを有するランプユニットである。前記ランプ保持部にテーパ状のランプ側傾斜面を設けるとともに、前記ランプ保持部の移動限界において、前記ランプ側傾斜面と面接触することにより、前記ランプ保持部を所定位置に保持するテーパ状のガイド側傾斜面を設けた。
【選択図】図9

Description

この発明は、照明用のランプユニットに係り、特に高輝度放電ランプを車両の前照灯として用いる場合などに好適なランプユニットに関する。
これまで車両の前照灯はハロゲンランプが主流であったが、近年では高輝度放電ランプ(いわゆるHIDランプ:High Intensity Discharge lamp)が採用されるようになってきている。HIDランプは、発光効率が高く、より明るい光を得られるという特徴を有する。そして、すでに購入した車両の前照灯にハロゲンランプが採用されている場合、これをHIDランプに取り替えることを希望する人も多い。
もっとも、H4タイプのハロゲンランプは2個のフィラメントを有し、それぞれがロービーム(すれ違いビーム)時およびハイビーム(走行ビーム)時の発光点となる。これに対し、HIDランプは、2個の発光点を設けることが現状では困難とされている。そのため、HIDランプは、既存のハロゲンランプと取り替えて使用する場合、HIDランプの1個の発光点を、ロービーム位置とハイビーム位置との間で移動させて使用する必要がある。
H4タイプのハロゲンランプに代えてHIDランプを使用する場合、JIS C 7506−1(以下、単にJISという)に規定されている要件を満足する必要がある。このJISには、リフレクタの後端開口部に取り付ける取付け部材のフランジ部前面を基準面として、ロービーム時およびハイビーム時における発光点の位置が規定されている。具体的には、ロービーム時における発光点の位置は基準面から29.5mm前方とされ、ハイビーム時における発光点の位置は基準面から23.5mm前方とされている。また、ハイビーム時における発光点の位置は、ロービーム時における発光点の位置より0.8mm低く設定されている。
そこで、特許文献1には、ソレノイドを用いてHIDランプを軸方向(車両の前後方向)に移動させるランプユニットが提案されている。このランプユニットは、HIDランプ(放電管)の移動方向に沿って配置したガイド部材(ロッド)と、HIDランプを保持しつつガイド部材に沿って移動するランプ保持部材(ソケット)とを有している。このランプ保持部材は、圧縮ばねの付勢力によりロービーム位置に付勢されている。一方、ソレノイド(駆動手段)によりランプ保持部材を引けば、ランプがハイビーム位置まで移動する。
特開2001−35211号公報
ところが、特許文献1に記載のランプユニット(以下、従来のランプユニットという)は、HIDランプとソレノイドとを直列的に一体化して形成している。このため、従来のランプユニットは、前記したフランジの後方に突出した部分が非常に長くなる。したがって、従来のランプユニットは、リフレクタに取り付ける際に車両に設けた他の部品と干渉してしまうため、取り付けることができない車種が多い。また、従来のランプユニットは、HIDランプをその軸線上を前後動させているだけであるため、発光部をハイビーム位置に移動させたときの発光の中心位置が、ロービーム位置と同じ高さとなっており、JISの要件を完全に満足するものでない。そして、JISの要件を満たすためには、HIDランプを斜め上下方向に移動させる必要がある。そして、これを実現するために、リンク機構によってHIDランプを移動させる構造が提案されている。しかし、リンク機構によってHIDランプを移動させる場合、構造が複雑、大型化して高価となり、また故障する可能性も大きくなる。
また、HIDランプは、発光時に高温に発熱するという特徴がある。これにより、ランプユニットは、ランプ保持部材およびガイド部材の温度も上昇して、これらの各部材が膨張する。そして、ランプユニットは、ランプ保持部材およびガイド部材が熱膨張した場合でも、ガイド部材に沿ってランプ保持部材を移動可能とするために、ガイド部材とランプ保持部材との間に予め十分なクリアランスを確保しておく必要がある。特に、ランプ保持部材が線膨張係数の大きい樹脂材料等で形成され、ガイド部材が線膨張係数の小さい金属材料等で形成された場合、両者間のクリアランスを大きく確保しておく必要がある。
しかし、両者間に大きなクリアランスを設けた場合には、ガイド部材に対するランプ保持部材の位置にばらつきが生じる。特に、ロービーム時およびハイビーム時におけるランプ保持部材の位置がばらつくと、HIDランプの発光部の位置もばらつくことになる。その結果、リフレクタによる反射光が十分に得られずに、予定していたロービームおよびハイビームが形成できなくなる。
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、多くの車種のH4タイプの灯具に装着できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、簡易な構造でランプを斜め方向に移動できるようにすることを目的としている。
そして、本発明は、ハイビーム時とロービーム時との良好な配光特性が得られるようにすることを目的としている。
さらに、本発明は、小型化、省エネルギー化できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、HIDランプの発光部を所定のロービーム位置およびハイビーム位置に確実に配置できるようにすることを目的としている。
本発明に係るランプユニットは、ランプの移動方向に沿って配置したガイド部と、前記ランプを保持しつつ前記ガイド部に沿って移動するランプ保持部とを有するランプユニットであって、前記ランプ保持部にテーパ状のランプ側傾斜面を設けるとともに、前記ランプ保持部の移動限界において、前記ランプ側傾斜面と面接触することにより、前記ランプ保持部を所定位置に保持するテーパ状のガイド側傾斜面を設けたことを特徴としている。この場合において、前記ランプの給電用コードは、コードガイドにより前記ガイド部の側方に案内され、前記コードガイドは、前記ランプ保持部の移動に伴って生ずる前記給電用コードの変位を許容する変位許容部が設けてある構成とすることができる。また、前記ガイド部は、後端側が下方に向けて所定の角度傾斜しているようにすればよい。
このようになっている本発明では、テーパ状のランプ側傾斜面およびガイド側傾斜面を有するので、ランプ保持部がガイド部に沿って移動すると、ランプ側傾斜面がガイド側傾斜面によって案内される。そして、ランプ側傾斜面およびガイド側傾斜面が面接触した時点で、ランプ保持部は所定の移動限界位置に保持される。したがって、本発明のランプユニットは、ガイド部とランプ保持部との間に大きなクリアランスを確保した場合でも、HIDランプの発光部を所定のロービーム位置およびハイビーム位置に正確に配置することができ、良好な配光特性とすることができる。
本発明に係るランプユニットの好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の第1参考例に係るランプユニットの断面図であり、図2はその分解図である。これらの図において、ランプユニット10は、図示しないリフレクタ(灯具)の後部開口部に装着する取付け部材12を有している。この取付け部材12は、側面視つば付灰皿状をしており、JISに規定されたH4タイプの自動車用電球の口金に設けられている取付け金具の要件を満たすように形成してある。そして、取付け部材12は、フランジ部14の前面がJISに規定されている電球のフィラメント位置(発光位置)を定める基準面16となっている。また、取付け部材12は、ランプであるHIDランプ20を配置するための開口部18が中央部に設けてある。この開口部18には、遮光部材22が車両前方側(図1の右側)に突出させて取り付けてある。
遮光部材22は、HIDランプ20を点灯させたときに、後述する走行ビーム(ハイビーム)とすれ違いビーム(ロービーム)とを選択可能にするためのものである。この遮光部材22は、第1遮光部材24と、第1遮光部材24の先端に設けた第2遮光部材26とからなっている。第1遮光部材24は、先端部と後端部とが円筒状をなし、中間部が半円筒上に形成してある。第1遮光部材24は、半円筒上の中間部がHIDランプ20の軸線に沿ってHIDランプ20の下側に配置され、HIDランプ20の発した光がリフレクタの下側反射面に達して、車両前方に反射されるのを阻止する。また、第1遮光部材24は、円筒状をなす後端の上部が取付け部材12の開口部18に挿入されている。
第2遮光部材26は、第1遮光部材24の先端リング部25に取り付けてあって、HIDランプ20の先端部を覆い、HIDランプ20の発した光が車両前方に放射されるのを阻止している。そして、第1遮光部材24には、長手方向中間部に走行ビーム用窓28が形成してある。走行ビーム用窓28は、後述するように、HIDランプ20の発光部30が走行ビーム用窓28と対応した位置に移動したときに、発光部30から放射させる光をリフレクタの下側反射面に導き、走行ビームが得られるようにする。
さらに、取付け部材12の開口部18には、ガイド部32が後方側に突設してある。このガイド部32は、実施形態の場合、円筒状に形成してあって、後端側が下方に向けて所定の角度傾斜している。この傾斜角度φは、実施形態の場合、HIDランプ20が図1に示したすれ違いビーム位置から後方側に6mm移動して、走行ビーム位置となったときに、発光部30の中心位置がすれ違いビーム位置から0.8mm下がる角度となっている。すなわち、ガイド部32の軸線bは、取付け部材12の軸線aに対して7.56度傾斜している。なお、この傾斜角度φは、(7.56±1)度の範囲で許容され得る。傾斜角度φが6.56度〜7.56度の範囲であれば、HIDランプ20をすれ違いビームを得るために前進させた場合、または走行ビームを得るために後退させた場合に、発光部30がほぼJISに規定するすれ違いビーム位置または走行ビーム位置に配置され、比較的良好なすれ違いビームまたは走行ビームの配光特性を得ることができる。
ガイド部32は、実施形態の場合、図2に示したように、半割構造となっていて、半円筒状の上側ガイド片32aと下側ガイド片32bとから構成してある。ガイド部32の内部には、ランプ支持部34が移動自在に配置してある。ランプ支持部34は、プラスチックなどの絶縁材から形成してあって、ランプ保持部36とシャフト取付け部38とからなっている。シャフト取付け部38は、ランプ保持部36の後部に一体に設けてある。そして、ランプ保持部36は、先端側にHIDランプ20の基端側を挿入する保持孔40を備えている。保持孔40の軸線は、ガイド部32の軸線と交差していて、取付け部材12の軸線と平行となっている。したがって、保持孔40に保持させたHIDランプ20は、基準面16に直交した状態でランプ支持部34に支持され、取付け部材12の前面から突出している。このため、ランプユニット10を図示しない車両前照灯のリフレクタに装着したときに、HIDランプ20は、リフレクタの軸線と平行に、水平に保持される。
シャフト取付け部38は、後端面にねじ孔42を有する。このねじ孔42には、ソレノイドシャフト44の先端部が螺着される。ソレノイドシャフト44は、先端側の小径部と後端側の大径部とからなっていて、小径部の基端部にばね受け46が嵌めてある。そして、シャフト取付け部38の後端面とばね受け46との間には、ソレノイドシャフト44の小径部を貫通させた圧縮ばね48が介装してある。
ガイド部32の下側ガイド片32bは、図2に示したように、先端部に取付け部材12に螺着するためのフランジ部50を有するとともに、後端部に上側ガイド片32aに締結するための連結部52を有する。そして、前記したばね受け46は、連結部52の内部に配置される。このため、圧縮ばね48は、ランプ支持部34を前方へ付勢する。また、下側ガイド片32bの後端面には、L字状に形成した複数の係止爪54が同心円上に設けてある。これらの係止爪54には、駆動部であるソレノイド56が着脱自在に装着される。なお、取付け部材12の前端部には、ランプ支持部34の前進限位置を定めるストッパ部55が設けてある。
ソレノイド56は、図2に示したように、ケーシング58、ソレノイド本体60、カバー62とからなっている。そして、ケーシング58は、前面に一体に形成された円筒凸部64を有する。この円筒凸部64の前端面には、図2(2)に示したように、ソレノイドシャフト44の大径部を貫入させる中心孔66が形成してある。また、中心孔66の周囲には、下側ガイド片32bに設けた係止爪54を受け入れ可能な複数の爪孔68が、中心孔66と連通させて形成してある。したがって、ソレノイド56のケーシング58に設けた爪孔68に下側ガイド片32bの係止爪54を挿入し、ソレノイド56を回転させることによって、ソレノイド56を下側ガイド片32bに着脱自在に装着することができるようになっている。
下側ガイド片32bは、後部側の下部にコードガイド70を配置する切欠き部72を有する。コードガイド70は、半円筒状のガイド本体74と一対のスリーブ部76とを有している。スリーブ部76は、実施形態の場合、下方に向けて形成してある。これらのスリーブ部76のそれぞれには、ランプ支持部34から引き出された、HIDランプ20を点灯させるための給電用コード78が通してあって、給電用コード78をガイド部32の側方、すなわちガイド部32の下方に案内している。そして、これらの給電用コード78は、シリコンゴムによる被覆が設けてあって、先端に雄コネクタ80と雌コネクタ82とが取り付けてある。
コードガイド70は、実施形態の場合、給電用コード78に沿って移動自在となっている。そして、ガイド本体74の下部には、変位許容部84が設けてある(図1参照)。変位許容部84は、ガイド本体74を切り欠いて形成してあって、HIDランプ20を前後方向に移動させて走行ビームとすれ違いビームとに切り替えるときに、ランプ支持部34と一体に移動する給電用コード78の変位を許容する前後方向の長さを有する。また、コードガイド70のスリーブ部76は、内径が給電用コード78の外形より充分に大きく形成してあって、給電用コード78の変位を容易にしている。すなわち、スリーブ部76の内径は、例えば給電用コード78の外形が3.5mmである場合、6〜7mmに形成してある。
このようになっている実施形態のランプユニット10は、図示しない車両用前照灯のリフレクタに取り付けられる。リフレクタに取り付ける場合、図3に示したように、ソレノイド56を下側ガイド片32bから取り外し、ソレノイドシャフト44を露出させた状態にする。実施形態の場合、取付け部材12のフランジ部14の後面からソレノイドシャフト44の後端までの長さが、JISに規定されているH4タイプの電球にソケットを装着した場合とほとんど同じ長さとなるようにしてある。
その後、コードガイド70を給電用コード78に沿って後方側に移動させておき、車両に装備された純正の防水ゴムカバー90の前側から、ソケット80、82、コードガイド70を防水ゴムカバー90の孔に通す。さらに、ガイド部32を防水ゴムカバー90の孔に通し、防水ゴムカバー90の先端を遮光部材22の後端に当接させてガイド部32の周面に装着する。このように、実施形態のランプユニット10は、コードガイド70が移動自在となっているため、ランプユニット10への防水ゴムカバー90の装着を容易に行なうことができる。
その後、図3に示したように、コードガイド70を上方に移動させ、下側ガイド片32bの切欠き部72に嵌合させる。そして、防水ゴムカバー90を取り付けたランプユニット10をリフレクタの後部開口部に図示しない押さえばねなどによって装着する。このとき、ランプユニット10は、ソレノイド56が取り外されているため、取付け部材12の後面からの突出量が小さく、車両に設けてある他の部品と干渉することなく容易に取り付けることができる。したがって、ほとんどの車種に取付けが可能となっている。
次に、ガイド部32の後端部にソレノイド56を取り付ける。すなわち、ソレノイド56のケーシング58に設けた爪孔68に下側ガイド片32bに設けた係止爪54を挿入し、ソレノイド56を回転させて係止爪54に係止させる。
このようにしてリフレクタに取り付けたランプユニット10は、ランプ支持部34が圧縮ばね48によって前方側に付勢されているため、図4(1)に模式的に示したように、前進限位置にある。そして、HIDランプ20は、図1、図3に示したように、発光部30が走行ビーム用窓28より前方に位置している。したがって、このときHIDランプ20を点灯させると、リフレクタの下側反射面に光が達しないため、すれ違いビーム(ロービーム)が得られる。
また、ランプユニット10は、HIDランプ20が取付け部材12の軸線と平行に、すなわち基準面16に直交しており、リフレクタの軸線に平行で、水平に保持される。このため、ランプユニット10は、図5に示したJISに規定されているすれ違いビームの配光特性を容易、確実に得ることができる。なお、図5に示した符号101は灯具(リフレクタ)の水平線であり、符号103は灯具の垂直線である。そして、同図の符号105はすれ違いビームの照射範囲を示し、符号107は影の範囲を示す。
すなわち、HIDランプ20は、水平に保持されている場合、図6(1)に一部を示したように、発光部30の電極30a、30b間に生ずるアーク30cが中空の回転楕円体状をなす。このため、HIDランプ20を傾斜させた場合、予期しない影や光むらを生ずるおそれがある。また、HIDランプ20を傾斜させると、図6(2)に示したように、アーク30cの形状が変形し、発熱が均一にならず、HIDランプ20のガラスに悪影響をおよぼし、車両の振動による立ち消えのおそれがある。
一方、ソレノイド56に電流を供給して励磁すると、ソレノイドシャフト44がソレノイド56によって後方側に引かれ、図4(2)に示したように、圧縮ばね48の付勢力に抗して後方側に移動する。このため、ランプ支持部34がソレノイドシャフト44と一体にガイド部32に沿って後方側に移動して後退限位置となる。また、HIDランプ20は、ランプ支持部34とともに後退し、発光部30が遮光部材22に設けた走行ビーム用窓28と対応した位置になる。このとき、発光部30は、ガイド部32の後方側が前方側より下方となるように傾斜しているため斜め下方に後退する。実施形態のランプユニット10は、前記したように、ガイド部32の軸線bが取付け部材12の軸線a(水平面)に対して7.56度傾斜しているため、発光部30がすれ違いビーム位置から走行ビーム位置に6mm後退したときに、0.8mm高さが低くなる。したがって、JISに規定されている要件を完全に満足するようになっていて、良好な配光特性を得ることができる。
また、給電用コード78は、コードガイド70に変位許容部84が設けてあるため、ランプ支持部34の後退の際に、容易に撓んで変位する。このため、ランプ支持部34の後退、前進の際における給電用コード78の変位に伴う抵抗を小さくすることができ、駆動部であるソレノイド56の小型化、省エネルギー化が図れる。
走行ビーム位置に後退した発光部30が放射した光は、走行ビーム用窓28を介してリフレクタの下側反射面に入射し、車両の前方に向けて反射され、走行ビーム(ハイビーム)を形成する。そして、ソレノイド56への給電を停止すると、HIDランプ20は、圧縮ばね48のばね力によって、ランプ支持部34を介して自動的にすれ違いビーム位置に前進する。
このように、第1参考例に係るランプユニット10は、HIDランプ20を保持させたランプ支持部34を案内するガイド部32が、後端側を下方に向けて所定の角度傾斜させたことにより、ソレノイド56によってランプ支持部34を移動させるだけで、HIDランプ20の発光部30を、JISに規定するすれ違いビーム位置と走行ビーム位置とに配置することができ、リンク機構などを必要とせず、構造を簡素にすることができる。
なお、前記実施形態は、本発明の一態様であって、これに限定されるものではない。例えば、前記実施形態においては、駆動部がソレノイド56である場合について説明したが、駆動部はステッピングモータや電磁石、カム、シリンダなどであってもよい。また、駆動部としてソレノイドを用いる場合、ソレノイドシャフトを前進限位置と後退限位置とに保持する方法として、磁石を用いた自己保持型にしてもよいし、ソレノイドに電流を供給して保持させるようにしてもよい。そして、前記実施形態においては、コードガイド70が給電用コード78に沿って移動自在である場合について説明したが、コードガイドをガイド部32に固定するとともに、スリーブ部76を変形自在は柔軟性のあるものによって構成してもよい。さらに、前記実施形態においては、給電用コード78をガイド部32の下方に案内する場合について説明したが、必要に応じて任意の方向に案内することができる。
図7は、第2参考例に係るランプユニットの側面断面図である。この第2参考例に係るランプユニット10Aは、基本的構成が第1参考例のランプユニット10とほぼ同じである。しかし、第2参考例のランプユニット10Aは、テーパ状のランプ側傾斜面37a、37bをランプ保持部材(ランプ保持部)36aに設けるとともに、ランプ保持部材36aの移動限界においてランプ側傾斜面37a、37bと面接触することにより、ランプ保持部材36aを所定位置に保持するテーパ状のガイド側傾斜面13、33が設けてある。
なお、実施形態におけるガイド部材(ガイド部)32aは、前方の大径円筒部と後方の小径円筒部とからなっていて、アルミダイキャストなどによって形成してある。また、ガイド部材32aの内部に配置したランプ保持部材36aは、前方の大径部と後方の小径部とからなっていて、プラスチックなどの絶縁材によって形成してある。
ランプ保持部材36aは、ガイド部材32aに沿って移動自在に配置してある。一方、取付け部材12の開口部18は、ランプ保持部材36aの大径部よりも小さく形成してある。したがって、ランプ保持部材36aがガイド部材32aに沿って前方に移動すると、取付け部材12における開口部18の周縁部に当接して停止する。このランプ保持部材36aの前進限界位置において、HIDランプ20の発光部30がすれ違いビーム位置21に配置される。また、ランプ保持部材36aがガイド部材32aに沿って後方に移動すると、ガイド部材32aの大径部の後端面に当接して停止する。このランプ保持部材36aの後退限界位置において、HIDランプ20の発光部30は走行ビーム位置23に配置される。
一方、ランプ保持部材36aの大径部における前端面の周縁部全周にはテーパ状に面取りが施され、ランプ側前方傾斜面37aが形成されている。また、取付け部材12における開口部18の周縁部全周にも、テーパ状のガイド側前方傾斜面13が形成されている。そして、ランプ保持部材36aの前進限界において、ランプ側前方傾斜面37aおよびガイド側前方傾斜面13は面接触し、ランプ保持部材32aを所定位置に保持することができる。
また、ランプ保持部材36aの大径部における後端面の周縁部全周にはテーパ状に面取りが施され、ランプ側後方傾斜面37bが形成されている。また、ガイド部材32aにおける大径円筒部の後端面と側面との角部全周にも、テーパ状のガイド側後方傾斜面33が形成されている。そして、ランプ保持部材36aの後退限界において、ランプ側後方傾斜面37bおよびガイド側後方傾斜面33は面接触し、ランプ保持部材36aを所定位置に保持することができる。
なお、ランプ側傾斜面37a、37bおよびガイド側傾斜面13、33として、必ずしも全周にテーパ状の傾斜面を形成する必要はなく、周上3箇所以上にテーパ状の傾斜面を形成すればよい。ただし、隣接する傾斜面の間隔は180°未満とする。また、ガイド側傾斜面13、33のみをテーパ状の傾斜面とし、ランプ側傾斜面37a、37bには突起を形成して、両者を点接触または線接触させてもよい。
一方、ガイド部材32aの後端部には、ソレノイド56との連結部(連結板)52が形成してある。また、ランプ保持部材36aの後端面には、ソレノイドシャフト44の小径部が螺着されるねじ孔42が形成してある。ソレノイドシャフト44は、前方の小径部と後方の大径部とからなっていて、その小径部は連結板52中央部の貫通孔を通して、ランプ保持部材36aに固定してある。一方、連結板52の前方側には、ばね受け46が配置してあり、そのばね受け46とランプ保持部材36aの後端面との間には、圧縮ばね48が介装してある。これにより、圧縮ばね48がランプ支持部34を前方へ付勢して、HIDランプ20の発光部30をすれ違いビーム位置21に配置する。
また、連結部52には、ソレノイドシャフト44の駆動部としてソレノイド56が装着してある。ソレノイド56は、圧縮ばね48の付勢力に抗してソレノイドシャフト44およびランプ支持部34を後方に移動させ、HIDランプ20の発光部30を走行ビーム位置23に配置する。なお、ソレノイド56は連結板52に対して着脱自在とするのが好ましい。ソレノイド56を取り外すことによって、ランプユニット10の長さを短くすることができるので、ランプユニット10のリフレクタ8への装着時に、車載部品との干渉をなくすことが可能となる。したがって、ランプユニット10を多くの車種に容易に取り付けることができる。
このように構成してある第2参考例に係るランプユニット10Aは、車両用前照灯のリフレクタ8に取り付けて使用する。ソレノイド56を着脱可能に形成した場合には、ソレノイド56をガイド部材32aから取り外し、ソレノイドシャフト44を露出させた状態にして、リフレクタ8に取り付ける。実施形態の場合、取付け部材12のフランジ部14の前面(基準面16)からソレノイドシャフト44の後端までの長さが、JISに規定されているH4タイプのハロゲンランプにソケットを装着した長さと同等になるようにしてある。
図8(1)は、すれ違いビーム状態のランプユニット10Aを示している。図8(1)におけるランプ保持部材36aは、圧縮ばね48によって前方側に付勢され、前進限界位置にある。ここで、HIDランプ20の発光部30は、ハイビーム用窓28より前方に位置している。この場合、HIDランプ20における発光部30からの光は、第1遮光部材24によって反射され、リフレクタの下側反射面に達することがない。これにより、すれ違いビームが得られる。
また、図8(2)は、走行ビーム状態のランプユニット10Aを示している。ソレノイド56に電流を供給して励磁すると、ソレノイドシャフト44が圧縮ばね48の付勢力に抗して後方側に移動する。さらに、ソレノイドシャフト44に結合したランプ保持部材36aも、ガイド部材32aに沿って後退限界位置まで移動する。ここで、HIDランプ20の発光部30は、ハイビーム用窓28の上方に位置する。この場合、発光部30からの光は、ハイビーム用窓28を通過して、リフレクタの下側反射面に達し、車両前方に反射される。これにより、走行ビームが得られる。
一方、ランプ側後方傾斜面37bおよびガイド側後方傾斜面33はテーパ状に形成されているので、ランプ保持部材36aが後方に移動すると、ランプ側後方傾斜面37bがガイド側後方傾斜面33によって案内される(図8(1)参照)。そして、ランプ側後方傾斜面37bおよびガイド側後方傾斜面33が面接触した時点で、ランプ保持部材36aが所定の後退限界位置に保持される。すなわち、ランプ保持部材36aは、後退限界位置においてガイド部材32aと同心に保持される。これにより、HIDランプ20の発光部30が所定の走行ビーム位置23に配置される。
また、ソレノイド56への電流の供給を停止して消磁すると、ランプ保持部材36aが圧縮ばね48によって前方側に付勢され、図8(1)に示すように前進限界位置に復帰する。ここで、ランプ側前方傾斜面37aおよびガイド側前方傾斜面13はテーパ状に形成されているので、ランプ保持部材36aが前方に移動すると、ランプ側前方傾斜面37aがガイド側前方傾斜面13によって案内される(図2(2)参照)。そして、ランプ側前方傾斜面37aおよびガイド側前方傾斜面13が面接触した時点で、ランプ保持部材36aが所定の前進限界位置に保持される。すなわち、ランプ保持部材36aは、前進限界位置においてガイド部材32aと同心に保持される。これにより、HIDランプ20の発光部30が所定のハイビーム位置22に配置される。
このように、第2参考例に係るランプユニット10Aは、テーパ状のランプ側傾斜面をランプ保持部材に設けるとともに、ランプ保持部材の移動限界においてランプ側傾斜面と面接触することによりランプ保持部材を所定位置に保持するテーパ状のガイド側傾斜面を設けた。テーパ状のランプ側傾斜面およびガイド側傾斜面を有するので、ランプ保持部材がガイド部材に沿って移動すると、ランプ側傾斜面がガイド側傾斜面によって案内される。そして、ランプ側傾斜面およびガイド側傾斜面が面接触した時点で、ランプ保持部材は所定の移動限界位置に保持される。したがって、ガイド部材とランプ保持部材との間に大きなクリアランスを確保した場合でも、HIDランプ20の発光部30を所定のすれ違いビーム位置21および走行ハイビーム位置23に正確、確実に配置することができる。これにより、良好な配光特性を有する安定したすれ違いビームおよび走行ビームを形成することが可能となり、H4タイプのハロゲンランプをHIDランプに取り替えて使用することができる。
次に、本発明の実施形態に係るランプユニットについて説明する。
図9に、実施形態に係るランプユニットの説明図を示す。なお、図9(1)はすれ違いビーム状態であり、図9(2)は走行ビーム状態である。実施形態に係るランプユニット110は、リフレクタの後端開口部に取り付けられる取付け部材112と、この取付け部材112の中央開口部に設けられて後方側に突出しているガイド部材(ガイド部)132と、このガイド部材132の側面に設けられたガイド溝162と、前記ガイド部材132に沿って移動自在に設けたランプ保持部材(ランプ保持部)136と、このランプ保持部材136の側面から突出し前記ガイド溝162に係合するピン166と、前記ランプ保持部材136の前端部に固定されて前記取付け部材112の前面から突出し、前記リフレクタ内に配置されるHIDランプ120と、前記ランプ保持部材136を前記ガイド部材132に沿って移動させるソレノイド156およびソレノイドシャフト144と、前記ランプ保持部材136と前記ソレノイドシャフト144とを接続するリンク部材143とを有するランプユニット110であって、テーパ状のランプ側傾斜面137a、137bをランプ保持部材136に設けるとともに、ランプ保持部材136の移動限界においてランプ側傾斜面137a、137bと面接触することにより、ランプ保持部材136を所定位置に保持するテーパ状のガイド側傾斜面113、133を設けたものである。なお、上述した第2参考例と同様の構成となる部分については、その説明を省略する。
実施形態におけるガイド部材132は、前方の大径円筒部および後方の小径円筒部からなっていて、取付け部材112の軸線と平行に配置してある。ガイド部材132における大径円筒部の側方には、ガイド溝162が形成してある。ガイド溝162は長円状に形成し、HIDランプ120における発光部130のロービーム位置121およびハイビーム位置122を水平移動させた位置に、長円の2定点を配置してある。一方、ガイド部材132の内部には、前方の大径部および後方の小径部からなるランプ保持部材136が配置してある。そして、ランプ保持部材136における大径部の側方に突出させたピン166を、ガイド部材132のガイド溝162に係合させてある。
また、ランプ保持部材136の後方には、リンク部材143を介してソレノイドシャフト144が配置してある。リンク部材143は、ランプ保持部材136における小径部の側方およびソレノイドシャフト144の側方に、それぞれピン結合してある。
図9(1)におけるランプ保持部136は、圧縮ばね148により前方側に付勢されて前進限界位置にある。ここで、ソレノイド156に電流を供給して励磁すると、図9(2)に示すように、ソレノイドシャフト144が後方側に引かれて、ランプ保持部材136は後退限界位置に移動する。その際、ピン166がガイド溝162を倣うので、ランプ保持部材136は下方にも移動する。これにより、HIDランプ120の発光部130がハイビーム位置122に配置される。なお、ランプ保持部材136の上下移動はリンク部材143によって吸収されるので、ソレノイドシャフト144に曲げモーメントが作用することはない。
また、ソレノイド156への電流の供給を停止して消磁すると、図9(1)に示すように、ランプ保持部136は圧縮ばね148により付勢されて前進限界位置に復帰する。その際、ピン166がガイド溝162を倣うので、ランプ保持部材136は上方にも移動する。これにより、HIDランプ120の発光部130がすれ違いビーム位置121に配置される。
一方、ランプ保持部材136の大径部における後端面の周縁部全周にはテーパ状に面取りが施され、ランプ側後方傾斜面137bが形成されている。また、ガイド部材132における大径円筒部の後端面と側面との角部全周にも、テーパ状のガイド側後方傾斜面133が形成されている。そして、ランプ保持部材136が後方に移動すると、ランプ側後方傾斜面137bがガイド側後方傾斜面133によって案内される(図9(1)参照)。さらに、ランプ側後方傾斜面137bおよびガイド側後方傾斜面133が面接触した時点で、ランプ保持部材136が所定の後退限界位置に保持される。すなわち、ランプ保持部材136は、後退限界位置においてガイド部材132と同心に保持され。これにより、HIDランプ120の発光部130が所定の走行ビーム位置123に配置される。
また、ランプ保持部材136の大径部における前端面の周縁部全周にはテーパ状に面取りが施され、ランプ保持部材136の進行方向に斜交するランプ側前方傾斜面137aが形成されている。また、取付け部材112における開口部の周縁部全周にも、テーパ状のガイド側前方傾斜面113が形成されている。そして、ランプ保持部材136が前方に移動すると、ランプ側前方傾斜面137aがガイド側前方傾斜面113によって案内される(図9(2)参照)。さらに、ランプ側前方傾斜面137aおよびガイド側前方傾斜面113が面接触した時点で、ランプ保持部材136が所定の前進限界位置に保持される。すなわち、ランプ保持部材136は、前進限界位置においてガイド部材132と同心に保持される。これにより、HIDランプ120の発光部130がすれ違いビーム位置121に配置される。
上述したように、本実施形態では、ガイド部材の側面に形成したガイド溝にランプ保持部材の側面に突出させたピンを係合させるとともに、リンク機構を用いてHIDランプを斜め上下方向に移動させる。この場合でも、テーパ状のランプ側傾斜面をランプ保持部材に設けるとともに、ランプ保持部材の移動限界においてランプ側傾斜面と面接触することによりランプ保持部材を所定位置に保持するテーパ状のガイド側傾斜面を設けることにより、HIDランプの発光部を所定のすれ違いビーム位置および走行ビーム位置に配置することができる。したがって、良好な配光特性を有する安定したすれ違いビームおよび走行ビームを形成することが可能となり、H4タイプのハロゲンランプをHIDランプに取り替えて使用することができる。
本発明は、車両のヘッドランプに使用することが可能であり、特にH4タイプのハロゲンランプに替えて使用することができる。
本発明の第1参考例に係るランプユニットの断面図である。 第1参考例に係るランプユニットの分解図である 第1参考例に係るランプユニットをリフレクタに取り付けるときの断面図である。 第1参考例に係るランプユニットの作用を説明する図である。 ヘッドランプのロービームの配光特性を説明する図である。 HIDランプの発光部に生ずるアークの説明図である。 第2参考例に係るランプユニットの側面断面図である。 (1)は第2参考例に係るランプユニットのロービーム状態の説明図であり、(2)は第2参考例に係るランプユニットのハイビーム状態の説明図である。 (1)は本発明の実施形態に係るランプユニットのロービーム状態の説明図であり、(2)は本発明の実施形態に係るランプユニットのハイビーム状態の説明図である。
符号の説明
110………ランプユニット、112………取付け部材、113、133………ガイド側傾斜面、120………HIDランプ、132………ガイド部、136………ランプ保持部、137a、137b………ランプ側傾斜面、143………リンク部材、144………ソレノイドシャフト、156………ソレノイド、162………ガイド溝、166………ピン。

Claims (3)

  1. ランプの移動方向に沿って配置したガイド部と、前記ランプを保持しつつ前記ガイド部に沿って移動するランプ保持部とを有するランプユニットであって、
    前記ランプ保持部にテーパ状のランプ側傾斜面を設けるとともに、
    前記ランプ保持部の移動限界において、前記ランプ側傾斜面と面接触することにより、前記ランプ保持部を所定位置に保持するテーパ状のガイド側傾斜面を設けた、
    ことを特徴とするランプユニット。
  2. 請求項1に記載のランプユニットにおいて、
    前記ランプの給電用コードは、コードガイドにより前記ガイド部の側方に案内され、
    前記コードガイドは、前記ランプ保持部の移動に伴って生ずる前記給電用コードの変位を許容する変位許容部が設けてある、
    ことを特徴とするランプユニット。
  3. 請求項1または請求項2に記載のランプユニットにおいて、
    前記ガイド部は、後端側が下方に向けて所定の角度傾斜していることを特徴とするランプユニット。
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