JP2008250050A - 光学素子ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成でありながら、偏心誤差が残っても結合効率の劣化を抑えることができる光学素子ユニットを提供する。
【解決手段】(1)式を満たすときは、第2のレンズL2を入射開口AP側に配置し、第1のレンズL1を光源LD側に配置し、(2)式を満たすときは、第2のレンズL2を光源LD側に配置し、第1のレンズL1を入射開口AP側に配置することで、結合効率を高く維持した状態で、光源LDと入射開口APとがシフトした場合における集光位置の調整を行うことができる。
(ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y) > 1.0 (1)
(ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y) < 1.0 (2)
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば光ファイバやSHG素子などの端面に収束光を照射できる光学素子ユニットに関する。
半導体レーザから照射されたレーザ光を、集光光学系を介して光伝送路を形成する光ファイバやSHG素子等(光ファイバ等という)の端面に集光させる半導体光源モジュールが知られている。
ところで、半導体レーザや光ファイバから出力した光束を、SHG素子の導波路や光ファイバの端面に入射させるとき、導波路に光源を集光させるためのレンズが必要となる。しかるに、例えばシングルモードファイバでは、コア径もしくはモードフィールド径が10μm以下、マルチモードファイバでも50μm程度であり、更にSHG素子などの光導波路では数μmのものもある。この微小領域に光を入射させる必要があるので、半導体レーザやレンズや導波路等の光学要素の調整も、そのレベルで行わなくてはならない。このためパッシブアライメントで結合性能を出すことは難しく、かつ歩留まりも悪くなるという問題がある。
これに対し、特許文献1には、半導体レーザから照射されたレーザ光を、集光光学系を介して光ファイバ等の端面に集光させる際に、端面からの反射光もしくは光伝送路を通過中の光を検出して、集光光学系を光軸直交方向に駆動させ、それにより光ファイバ等の端面に適切にスポットを集光させる技術が開示されている。
特開2003−338795号公報
ところで、光源からの光束を光ファイバの端面やSHG素子の導波路など(以下、導波路等という)に集光させる光学系は、光源をコリメートするレンズと、コリメート光を導波路にカップリングさせるレンズの2枚以上の構成であると望ましい。1枚レンズだと、レンズを駆動調整したときに発生する収差により結合劣化を起こす恐れがあり、また、レンズ駆動調整感度が大きくなってしまうからである。
更に、部品・組付精度の問題から、光源と導波路等とが光軸直交方向にシフトして配置され偏心誤差が残った場合には、アクチュエータを用いてレンズを駆動することにより、光源からの光束を効率よく導波路等に集光させ、結合効率を向上させることが考えられる。しかるに、複数のレンズ構成を採用する場合、各レンズを3次元的に変位させることができれば、光束の集光位置を理想的に調整できる。しかしながら、各レンズを3次元的に変位させる駆動装置は、少なくとも1つのレンズに3つの駆動軸が必要となり、構成が複雑且つ大型となるという問題がある。即ち、アクチュエータを可能な限り簡素化しつつ、精度良く導波路等に集光させる技術が望まれている。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡素な構成でありながら、偏心誤差が残っても結合効率の劣化を抑えることができる光学素子ユニットを提供することを目的とする。
請求項1に記載の光学素子ユニットは、所定波長の光束を出射する光源と、入射開口との間に設けられ、前記光源から出射された光束を、前記入射開口に集光させる光学素子ユニットにおいて、
少なくとも第1のレンズと第2のレンズとを備えた光学系と、
前記第1のレンズを、光軸垂直方向であるX方向に駆動する第1のアクチュエータと、
前記第2のレンズを、光軸垂直方向であり且つ前記X方向に交差するY方向に駆動する第2のアクチュエータと、を有し、
前記光源から出射する光束において前記X方向のモード半径をω1Xとし、前記Y方向のモード半径をω1Yとし、
前記入射開口において前記X方向のモード半径をω2Xとし、前記Y方向のモード半径をω2Yとしたとき、
(1)式を満たすときは、前記第2のレンズを前記入射開口側に配置し、前記第1のレンズを前記光源側に配置し、
(2)式を満たすときは、前記第2のレンズを前記光源側に配置し、前記第1のレンズを前記入射開口側に配置し、
(ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y) > 1.0 (1)
(ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y) < 1.0 (2)
更に、前記光源と、前記第1のレンズの前記Y方向と前記第2のレンズの前記X方向との、偏心誤差量をδとし、前記光源と前記入射開口との偏心誤差量をΔとし、前記光源から前記入射開口までの距離をIOとしたときに、以下の式を満たすことを特徴とする光学素子ユニット。
δ ≦ │Δ・f1/(f1+f2)│ (3)
IO ≦ f1+3・f2 (4)
但し、
f1:前記光源側に配置されたレンズの焦点距離
f2:前記入射開口側に配置されたレンズの焦点距離
本発明の原理を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一例として、光源LDと、レンズL1,L2と、導波路等である入射開口APとの関係を示す概略図である。図1において、便宜的に、光軸方向をZ方向とし、Z方向に直交する水平方向をX方向とし、Z方向及びX方向に交差する方向をY方向とする。光源LDから出射された光束は、実線で示すようにレンズL1,L2を通過し、入射開口APに入射するようになっている。出射光束の断面をとったとき、一般的には楕円形状となる。ここでは、楕円形状の長径方向をX方向に合わせ、短径方向をY方向に合わせるように、光源LDと入射開口APとを位置合わせするものとする。更に、出射光束のX方向のモード半径(1/e2)を、ω1Xとし、Y方向のモード半径をω1Yとする。同様に、入射開口APにおいてX方向のモード半径をω2Xとし記Y方向のモード半径をω2Yとする。
ここで、図2に示すように、入射開口APの軸線に対して、光源LDからの光束が角度θだけ傾いて入射する場合を考える。図3は、入射開口APに入射する光束の傾き角と、結合効率の関係を示したグラフである。ここでは、ω1X=20μm、ω1Y=10μm、ω2X=20μm、ω2Y=10μm、光源LDから出射する光束を集光する光学系の倍率を1としている。図3に示すように、傾き角θ=0の時の結合効率を100%とすると、傾き角θが大きくなるにつれて、結合効率が低下することがわかる。しかるに、結合効率の低下度合いは、X方向よりY方向の方が少なくなる。より具体的には、X方向においては5度傾くと結合効率は80%に低下するが、Y方向には10度傾くまで結合効率は80%に低下しない。これは、入射開口のモードと、光源LDから出射した光束が入射開口に入射するときのモードが、X方向よりY方向の方が小さいためである。
ところで、光学素子ユニットを組み立てる場合において、光源LDは光束を出射するため、通常は位置決めされた当該光源LDから出射された光束の光軸に対して、後の光学系や光伝送路の入射端を位置合わせするという実情がある。しかるに、光源LDを基準に部品を組み付けていったとき、最終的に光源LDの光軸と、入射開口APの光軸とがずれる場合がある。これを偏心誤差という。かかる場合、構成を簡素化するために、各レンズの駆動方法をX方向及びY方向のうち、いずれか一方向に限るとした場合、いかなるレンズをいかなる方向に駆動(シフト補正という)すべきか考察する。
図4、5は、光源LDと、レンズL1,L2と、入射開口APとをY方向から見た図であり、X方向に光源LDと入射開口APとが偏心誤差を持った状態を示している。ここでは初期状態として、光源LDの光軸と、レンズL1、L2の光軸は一致しているものとする。又、レンズL1の焦点距離をf1,レンズL2の焦点距離をf2とする。
図4に示すように、入射開口AP側のレンズL2を光軸に対してΔX2だけシフトさせ、光源LDからの光束を入射開口APに集光させる場合を考える。かかる場合、入射開口AP面上に入射する光束のX方向位置x2と、光束の傾き角θ2とは、下式(5)の関係で表せる。つまり、光源LDと入射開口APに偏心誤差量ΔXAPがある時、レンズL2を光源LDに対してΔXAPだけシフトさせれば、光源LDより出射した光束を入射開口APに位置ずれすることなく入射させることができる。
(x2、θ2)=(ΔX2、ΔX2/f2) (5)
一方、図5に示すように、光源LD側のレンズL1を光軸に対してΔX1だけシフトさせ、光源LDからの光束を入射開口APに集光させる場合を考える。かかる場合、入射開口AP面上に入射する光束のX方向位置x1と、光束の傾き角θ1とは、下式(6)の関係で表せる。つまり、光源LDと入射開口APに偏心誤差量ΔXAPがある時、レンズL1を光源LDに対してf1・ΔXAP/f2だけシフトさせれば、光源LDより出射した光束を入射開口APに位置ずれすることなく入射させることができる。但し、レンズは薄肉レンズとし、dは、レンズL1,L2間距離とする。
(x1、θ1)=(f2・ΔX1/f1、((1/f1)−d/(f1・f2))ΔX1) (6)
ここで、(5)、(6)式より、(4)式を満たすとき、つまりd<2・f2である場合には、θ2>θ1となる。即ち、光源LDと入射開口APとが偏心誤差を持った状態では、光源LD側のレンズL1を光軸直交方向に駆動した方が、結合効率を高く維持することが可能となる。IOが(4)式を満たさない場合、θ2>θ1が成り立たなくなる。しかし、IOを大きくすることはモジュールの大きさを大きくすることと等しいので、構成の大型化を招くので好ましくないといえる。
以上を言い換えると、(1)式を満たすときは、前記第2のレンズを前記入射開口側に配置し、前記第1のレンズを前記光源側に配置し、(2)式を満たすときは、前記第2のレンズを前記光源側に配置し、前記第1のレンズを前記入射開口側に配置することで、前記光源と前記入射開口に偏心誤差が発生している場合でも、結合効率を高く維持して集光位置の調整が行うことができる。
(ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y) > 1.0 (1)
(ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y) < 1.0 (2)
尚、前記入射開口と、前記第1のレンズの前記Y方向と前記第2のレンズの前記X方向との、偏心誤差を極力抑えることが好ましい。具体的には、以下の式を満たすことが好ましい。
δ ≦ │Δ・f1/(f1+f2)│ (3)
但し、
f1:前記光源側に配置されたレンズの焦点距離
f2:前記入射開口側に配置されたレンズの焦点距離
尚、光学系に3枚以上のレンズを用いても良いが、3枚以上のレンズの場合、「光源側に配置したレンズ」とは、光源に最も近いレンズをいい、また「入射開口側に配置したレンズ」とは、入射開口に最も近いレンズをいうものとする。
請求項2に記載の光学素子ユニットは、請求項1に記載の形態において、前記第1のレンズはX軸方向にのみ駆動され、前記第2のレンズはY軸方向にのみ駆動されることを特徴とする。
請求項3に記載の光学素子ユニットは、請求項1又は2に記載の形態において、前記X方向と前記Y方向とは直交していることを特徴とする。
請求項4に記載の光学素子ユニットは、請求項1〜3のいずれかに記載の形態において、前記第1のレンズと前記第2のレンズは、正の屈折率を有することを特徴とするので、前記光源からの光束を前記入射開口に効率よく集光させることができる。
請求項5に記載の光学素子ユニットは、請求項4に記載の形態において、前記第1のレンズと前記第2のレンズのうち少なくとも一方は、コリメートレンズであることを特徴とするので、レンズの偏心公差を良好に確保できる。
請求項6に記載の光学素子ユニットは、請求項1〜5のいずれかに記載の形態において、前記光学系は、パワーを有する素子としては単レンズである前記第1のレンズと前記第2のレンズのみを有することを特徴とする。
請求項7に記載の光学素子ユニットは、請求項1〜6のいずれかに記載の形態において、前記第1のレンズと前記第2のレンズの光学面形状は互いに等しく且つ対向する位置に配置されている(即ち第1のレンズの光源側の光学面は、第2のレンズの入射開口側の光学面に等しい)ことを特徴とするので、倍率1で使用できることから、第1のレンズL1と第2のレンズL2とを異なる方向に駆動したときに、集光スポットの移動量が駆動量に対して等しくなるので駆動制御がし易くなる。
本発明において、より高い効果を実現するためには、前記光源の光軸と、前記光源側に配置されたレンズとの光軸が極力一致していることが望ましい。図4において、光源LDと入射開口APとの偏心誤差量をΔとしたときに、光源LDとレンズL1との光軸ずれの絶対値が、Δ・f1/(f1+f2)以内である場合、本発明の効果は有効に発揮される。
請求項8に記載の光学素子ユニットは、請求項1〜7のいずれかに記載の形態において、前記光学系のレンズを光軸方向に駆動する第3のアクチュエータを有することを特徴とする。これにより入射開口APに入射する光束の焦点ズレを補正できる。
請求項9に記載の光学素子ユニットは、請求項1〜8のいずれかに記載の形態において、前記第1のレンズと前記第2のレンズのうち少なくとも一方は樹脂製であることを特徴とするので、安価に大量生産ができる。尚、環境温度変化等による屈折率変化が生じた場合、前記第3のアクチュエータで前記レンズをZ方向に駆動することによって焦点位置の調整を行える。
請求項10に記載の光学素子ユニットは、請求項1〜8のいずれかに記載の形態において、前記第1のレンズと前記第2のレンズのうち少なくとも一方はガラス製であることを特徴とするので、環境温度変化等による屈折率変化が生じにくいというメリットがある。
請求項11に記載の光学素子ユニットは、請求項1〜10のいずれかに記載の形態において、前記光学素子ユニットは第2高調波発生装置に用いられることを特徴とする。第2高調波発生装置としては、分極反転構造を持った素子を用いたものがある。
請求項12に記載の光学素子ユニットは、請求項1〜10のいずれかに記載の形態において、前記光学素子ユニットは光送受信装置に用いられることを特徴とする。光送受信装置とは、例えば光ファイバを用いて光を送受するものをいい、送信のみ行うもの又は受信のみ行うものを含む。
本発明によれば、簡素な構成でありながら、最初に位置決めされる光源の光軸を中心とした通常の位置合わせを行う場合であっても、偏心誤差に係らず結合効率の劣化が小さい光学素子ユニットを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図6は、本実施の形態にかかる光学素子ユニットを含む半導体光源モジュールの概略構成図である。図6において、ベースBSには、光源(ここでは半導体レーザ)LDと、正の屈折力を有する光源LD側のレンズL1と、第2高調波発生装置H2と、一部の光のみを反射し残りを透過するハーフミラーMRと、ハーフミラーMRからの反射光を受光し、受光量に応じて制御回路CNTに信号を送信する受光素子PDとが固定的に配置されている。又、ベースBS上に配置された駆動機構DRは、制御回路CNTの信号に応じて、光源LD側のレンズL1を光軸直交方向に駆動し、また第2高調波発生装置H2側のレンズL2と開口絞りSとを光軸直交方向に駆動するようになっている。
本実施の形態は、ガラス製であって正の屈折率を有する同一形状のコリメートレンズであるレンズL1とレンズL2を反転して用いており、即ち、レンズ1の光学面とレンズL2の光学面は、同一の非球面形状となっている。
図7は、第2高調波発生装置H2の斜視図である。第2高調波発生装置H2は、図7に示すように、ベースBS上に取り付けられた熱電冷却装置HCと、レンズL2に集光されて光導波路(光伝送路ともいう)HTの一端側に入射されたレーザ光の第2高調波を生成する光導波路型SHG素子HSと、光導波路型SHG素子HSを支持する支持体HDと、光導波路型SHG素子HGを支持した状態の支持体HDを覆うカバーHVとが備えられている。支持体HDには、光導波路型SHG素子HSを載置するための溝HGが形成されている。
光導波路型SHG素子HSは、光導波路HTを通過する光を、非線形光学結晶を用いて第二高調波に変換して出力する特性を有し、特開2003−338795号公報等に記載されており、良く知られているので詳細は説明しない。光導波路HTの入射開口径は1μm以上15μm以下である。
図8は、レンズを駆動する駆動装置DRの斜視図である。レンズL1は、レンズホルダDH1により保持されており、一体的に移動するようになっている。可動部材となるレンズホルダDH1は、駆動力を受ける連結部DH1aを有している。
連結部DH1aの端部には、四角柱状のX軸駆動軸XDSと対応する形状を有し且つそれに接する角溝DH1bが設けられ、また角溝DH1bとの間にX軸駆動軸XDSを挟むようにして板ばねXSGが取り付けられている。連結部DH1aと板ばねXSGとの間で挟持された駆動部材であるX軸駆動軸XDSは、レンズL1の光軸に直交する方向(X軸方向)に延在しており、板ばねXSGの付勢力で適度に押圧されている。X軸駆動軸XDSの一端は自由端であり、その他端は、電気機械変換素子であるX軸圧電アクチュエータXPZに連結されている。X軸圧電アクチュエータXPZは、ベースBSの側壁に取り付けられている。
一方、レンズL2と開口絞りSとは、レンズホルダDH2により保持されており、一体的に移動するようになっている。可動部材となるレンズホルダDH2は、駆動力を受ける連結部DH2aを有している。
連結部DH2aの端部には、四角柱状のY軸駆動軸YDSと対応する形状を有し且つそれに接する角溝DH2bが設けられ、また角溝DH2bとの間にY軸駆動軸YDSを挟むようにして板ばねYSGが取り付けられている。連結部DH2aと板ばねYSGとの間で挟持された駆動部材であるY軸駆動軸XDSは、X軸方向及びレンズL2の光軸に直交する方向(Y軸方向)に延在しており、板ばねYSGの付勢力で適度に押圧されている。Y軸駆動軸YDSの一端は自由端であり、その他端は、電気機械変換素子であるY軸圧電アクチュエータYPZに連結されている。Y軸圧電アクチュエータYPZは、ベースBSの上面に取り付けられている。
圧電アクチュエータXPZ、YPZは、PZT(ジルコン・チタン酸鉛)などで形成された圧電セラミックスを積層してなる。圧電セラミックスは、その結晶格子内の正電荷の重心と負電荷の重心とが一致しておらず、それ自体分極していて、その分極方向に電圧を印加すると伸びる性質を有している。しかし、圧電セラミックスのこの方向への歪みは微小であり、この歪み量により被駆動部材を駆動することは困難であるため、図9に示すように、複数の圧電セラミックスPEを積み重ねてその間に電極Cを並列接続した構造の積層型圧電アクチュエータが実用可能なものとして提供されている。本実施の形態では、この積層型圧電アクチュエータPZを駆動源として用いている。
次に、このレンズL1、L2の駆動方法について説明する。一般に、積層型圧電アクチュエータは、電圧印加時の変位量は小さいが、発生力は大でその応答性も鋭い。したがって、圧電アクチュエータXPZに、図10(a)に示すように立ち上がりが鋭く立ち下がりがゆっくりとした略鋸歯状波形のパルス電圧を印加すると、圧電アクチュエータXPZは、パルスの立ち上がり時に急激に伸び、立ち下がり時にそれよりもゆっくりと縮む。したがって、圧電アクチュエータXPZの伸長時には、その衝撃力でX軸駆動軸XDSが図8の手前側へ押し出されるが、レンズL1を保持したレンズホルダDH1の連結部DH1aと板ばねXSGは、その慣性により、X軸駆動軸XDSと一緒には移動せず、X軸駆動軸XDSとの間で滑りを生じてその位置に留まる(わずかに移動する場合もある)。一方、パルスの立ち下がり時には立ち上がり時に比較してX軸駆動軸XDSがゆっくりと戻るので、連結部DH1aと板ばねXSGがX軸駆動軸XDSに対して滑らずに、X軸駆動軸XDSと一体的に図8の奥側へ移動する。即ち、周波数が数百から数万ヘルツに設定されたパルスを印加することにより、レンズL1を保持したレンズホルダDH1を、X軸方向に所望の速度で連続的に移動させることができる。
同様に、圧電アクチュエータYPZに、図10(a)に示すように立ち上がりが鋭く立ち下がりがゆっくりとした略鋸歯状波形のパルス電圧を印加すると、圧電アクチュエータYPZは、パルスの立ち上がり時に急激に伸び、立ち下がり時にそれよりもゆっくりと縮む。したがって、圧電アクチュエータYPZの伸長時には、その衝撃力でY軸駆動軸YDSが図8の上側へ押し出されるが、レンズL2及び絞りSを保持したレンズホルダDH2の連結部DH2aと板ばねYSGは、その慣性により、Y軸駆動軸YDSと一緒には移動せず、Y軸駆動軸YXDSとの間で滑りを生じてその位置に留まる(わずかに移動する場合もある)。一方、パルスの立ち下がり時には立ち上がり時に比較してY軸駆動軸YDSがゆっくりと戻るので、連結部DH2aと板ばねYSGがY軸駆動軸YDSに対して滑らずに、Y軸駆動軸YDSと一体的に図8の下側へ移動する。即ち、周波数が数百から数万ヘルツに設定されたパルスを印加することにより、レンズL2及び開口絞りSを保持したレンズホルダDH2を、Y軸方向に所望の速度で連続的に移動させることができる。
即ち、所定のパルス入力を印加することにより、レンズL1をX軸方向に、レンズL2及び開口絞りSをY軸方向に所望の速度で連続的に移動させることができるのである。尚、以上より明らかであるが、図10(b)に示すように電圧の立ち上がりがゆっくりで、立ち下がりが鋭いパルスを印加すれば、レンズホルダDH1,DH2を逆の方向へ移動させることができる。本実施の形態では、X軸駆動軸XDS及びY軸駆動軸YDSを四角柱状(回り止め機構)としているので、レンズホルダDH1,DH2の回り止め機能が発揮され、レンズL1,L2のチルトが抑制されるので、別個にガイド軸を設ける必要はない。
ここで、光源LDとレンズL1との偏心誤差について考察する。図11は、光源LDと、レンズL1,L2と、第2高調波発生装置H2との関係を示す図である。ここでは、Y方向のモード半径がX方向のモード半径より小さいもの((1)式を満たす)とする。図11(a)、(c)は、光源LD側のレンズL1を固定し、レンズL2をX方向に駆動して補正を行う例であり、図11(b)、(d)は、入射開口AP側のレンズL2を固定し、レンズL1をX方向に駆動して補正を行う例である。又、図11(a)、(b)は、光源LDと、固定したレンズL1との間で偏心誤差がない状態を示し、図11(c)、(d)は、光源LDと、固定したレンズL1との間で偏心誤差がある状態である。
図12は、本発明者の行った検討結果を示すグラフであるが、(a)〜(d)は図11に示す関係にそれぞれ対応する。ここで、光源LDと第2高調波発生装置H2の入射開口との光軸垂直方向の偏心誤差量Δが0.1mmある場合を考え、X方向のモード半径1.7μm、Y方向のモード半径0.7μmである波長1.064μmの光束を光源LDから出射し、焦点距離f1=1.0mmのレンズL1と、焦点距離f2=1.5mmのレンズL2を介して、第2高調波発生装置H2のX方向のモード半径2.5μm、Y方向のモード半径1.0μmである入射開口に集光させたものとする。尚、レンズL1,L2間の距離dを0.3mmとする。図12の実線は本発明による補正方法を採用した例であり、点線は本発明と逆の補正方法を採用した例である。また細線はY方向のずれのみが発生したときのグラフであり、太線はX方向のずれのみが発生したときのグラフを示している。
図12より明らかであるが、本発明で示す補正方法を採用すれば少なくとも結合効率を84%まで確保することができるので結合効率の劣化を少なく抑えることが可能なことが分かる。その場合、光源LDとレンズL2との光軸垂直方向の偏心誤差量δは、Δ・f1/(f1+f2)=0.04mm以下である必要がある。もし仮に、本発明と逆の補正方法を採用した場合では、最低結合効率が84%を下回ることもあることが図12から分かる。例えば、X方向に偏芯誤差Δが発生し、光源LDとレンズL1の偏心誤差量δがゼロの場合、結合効率は77%となってしまう。
(実施例)
次に、比較例と対比して実施例について述べる。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5E―3)を用いて表すものとする。
実施例にかかる光学系の光学面は、それぞれ「数1」に、表に示す係数を代入した数式で規定される、光軸の周りに軸対称な非球面に形成されている。
但し、
Z(h):非球面形状(非球面の面頂点から光軸に沿った方向の距離、光の進行方向を正とする)
h:光軸垂直方向の高さ(h=(x2+y21/2とする。ここで、xとyはそれぞれ光軸からの距離を表し、光軸に垂直な面内において互いに直交する方向にとるものとする。)
r:曲率半径
k:コーニック係数
2,A4,A6,A8,A10:非球面係数
本実施の形態に用いることができる、実施例1のレンズデータを表1に示し、実施例2のレンズデータを表2に示す。
実施例1において、表1に示すように、(ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y)=3.3のモード条件の場合、補正のために光源LD側のレンズL1をX方向に駆動可能な距離(結合効率が最適結合効率の90%以下に低下しない距離、以下同じ)は106μmであり、同レンズL1をY方向に駆動可能な距離は123μmである。一方、補正のために第2高調波発生装置H2側のレンズL2をX方向に駆動可能な距離は69μmであり、同レンズL2をY方向に駆動可能な距離は125μmである。従って、かかる場合、X方向に駆動するレンズは、光源LD側に設けるべきであり、Y方向に駆動するレンズは、第2高調波発生装置H2側に設けるべきである。
一方、実施例1において、(ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y)=0.6のモード条件の場合、補正のために光源LD側のレンズL1をX方向に駆動可能な距離は129μmであり、同レンズL1をY方向に駆動可能な距離は122μmである。一方、補正のために第2高調波発生装置H2側のレンズL2をX方向に駆動可能な距離は98μmであり、同レンズL2をY方向に駆動可能な距離は75μmである。従って、かかる場合、X方向に駆動するレンズは、第2高調波発生装置H2側に設けるべきであり、Y方向に駆動するレンズは、光源LD側に設けるべきである。
光学系として3枚のレンズL1〜L3を用いた実施例2においては、表2に示すように、(ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y)=1.7のモード条件の場合、補正のために光源LD側のレンズL1をX方向に駆動可能な距離は76μmであり、同レンズL1をY方向に駆動可能な距離は64μmである。又、補正のために中間のレンズL2をX方向に駆動可能な距離は121μmであり、同レンズL1をY方向に駆動可能な距離は125μmである。更に、補正のために第2高調波発生装置H2側のレンズL3をX方向に駆動可能な距離は100μmであり、同レンズL3をY方向に駆動可能な距離は123μmである。従って、かかる場合、X方向に駆動するレンズは、光源LD側か中間に設けるべきであり、Y方向に駆動するレンズは、中間か第2高調波発生装置H2側に設けるべきである。これらは、モジュールの構成に従い、任意に選択できる。尚、中間のレンズL2を、図8に示すものと同様なアクチュエータを用いてZ方向に駆動することもできる。かかる場合、レンズL1〜L3の少なくとも一つを樹脂製として良い。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、第2高調波発生装置H2の代わりに、光ファイバを用いることもできる。この場合、光ファイバの端面が入射開口であり、その内部が光伝送路となる。更に、上述した実施の形態では、光学素子を変位させているが、半導体光源、光学素子、光伝送路のいずれか1つ以上を相対的に変位させても良いことはいうまでもない。また、受光素子で検出する光は、SHG素子によって波長変換されずに光導波路から出射した(半導体光源と同じ波長の)光でも、SHG素子によって波長変換された(例えば半導体光源の波長の1/2の)光のいずれでも良い。
本発明の一例として、光源LDと、レンズL1,L2と、導波路等である入射開口APとの関係を示す概略図である。 入射開口の軸線に対する入射光束の傾き角θを示す図である。 入射光束の傾き角θと結合効率との関係を示す図である。 光源LDと、レンズL1,L2と、入射開口APとをY方向から見た図である。 光源LDと、レンズL1,L2と、入射開口APとをY方向から見た図である。 本実施の形態にかかる半導体光源モジュールの概略構成図である。 第2高調波発生装置H2の斜視図である。 駆動装置DRの斜視図である。 複数の圧電セラミックスPEを積み重ねてその間に電極Cを並列接続した構造の積層型圧電アクチュエータPZを示す斜視図である。 圧電アクチュエータPZに印加される電圧パルスの波形を示す図である。 光源LDと、レンズL1,L2と、第2高調波発生装置H2との関係を示す図である。 本発明者の行った検討結果を示すグラフである。
符号の説明
BS ベース
C 電極
CNT 制御回路
DH1 レンズホルダ
DH2 レンズホルダ
DH1a 連結部
DH1b 角溝
DH2a 連結部
DH2b 角溝
DR 駆動装置
H2 高調波発生装置
HC 熱電冷却装置
HD 支持体
HG 溝
HS 素子
HT 光導波路
HV カバー
IL 入射光束
L1,L2 レンズ
M レンズ
LD 光源
LH1 レンズホルダ
LH2 レンズホルダ
MR ハーフミラー
OL 出射光束
PD 受光素子
PE 圧電セラミックス
PP 平行平板
PS プリズム
PZ 圧電アクチュエータ
S 開口絞り
XDS X軸駆動軸
XPZ X軸圧電アクチュエータ
YDS Y軸駆動軸
YPZ Y軸圧電アクチュエータ

Claims (12)

  1. 所定波長の光束を出射する光源と、入射開口との間に設けられ、前記光源から出射された光束を、前記入射開口に集光させる光学素子ユニットにおいて、
    少なくとも第1のレンズと第2のレンズとを備えた光学系と、
    前記第1のレンズを、光軸垂直方向であるX方向に駆動する第1のアクチュエータと、
    前記第2のレンズを、光軸垂直方向であり且つ前記X方向に交差するY方向に駆動する第2のアクチュエータと、を有し、
    前記光源から出射する光束において前記X方向のモード半径をω1Xとし、前記Y方向のモード半径をω1Yとし、
    前記入射開口において前記X方向のモード半径をω2Xとし、前記Y方向のモード半径をω2Yとしたとき、
    (1)式を満たすときは、前記第2のレンズを前記入射開口側に配置し、前記第1のレンズを前記光源側に配置し、
    (2)式を満たすときは、前記第2のレンズを前記光源側に配置し、前記第1のレンズを前記入射開口側に配置し、
    (ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y) > 1.0 (1)
    (ω1X/ω1Y)・(ω2X/ω2Y) < 1.0 (2)
    更に、前記光源と、前記第1のレンズの前記Y方向と前記第2のレンズの前記X方向との、偏心誤差量をδとし、前記光源と前記入射開口との偏心誤差量をΔとし、前記光源から前記入射開口までの距離をIOとしたときに、以下の式を満たすことを特徴とする光学素子ユニット。
    δ ≦ │Δ・f1/(f1+f2)│ (3)
    IO ≦ f1+3・f2 (4)
    但し、
    f1:前記光源側に配置されたレンズの焦点距離
    f2:前記入射開口側に配置されたレンズの焦点距離
  2. 前記第1のレンズはX軸方向にのみ駆動され、前記第2のレンズはY軸方向にのみ駆動されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子ユニット。
  3. 前記X方向と前記Y方向とは直交していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子ユニット。
  4. 前記第1のレンズと前記第2のレンズは、正の屈折率を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子ユニット。
  5. 前記第1のレンズと前記第2のレンズのうち少なくとも一方は、コリメートレンズであることを特徴とする請求項4に記載の光学素子ユニット。
  6. 前記光学系は、パワーを有する素子としては単レンズである前記第1のレンズと前記第2のレンズのみを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学素子ユニット。
  7. 前記第1のレンズと前記第2のレンズの光学面形状は互いに等しく且つ対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子ユニット。
  8. 前記光学系のレンズを光軸方向に駆動する第3のアクチュエータを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学素子ユニット。
  9. 前記第1のレンズと前記第2のレンズのうち少なくとも一方は樹脂製であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学素子ユニット。
  10. 前記第1のレンズと前記第2のレンズのうち少なくとも一方はガラス製であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学素子ユニット。
  11. 前記光学素子ユニットは第2高調波発生装置に用いられることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学素子ユニット。
  12. 前記光学素子ユニットは光送受信装置に用いられることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学素子ユニット。
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