JP2008249658A - レーザ装置および距離測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ光を用いる距離測定装置において、レーザ光を生成する装置を小型化および低コスト化する。
【解決手段】レーザ増幅部103の出力側の光軸に、非線形結晶107または透明媒質部材108を適宜選択的に配置可能とする。透明媒質部材108を選択することで、レーザ増幅部103から出力されるレーザ光が選択され、非線形結晶107を選択することで、レーザ増幅部103から出力されるレーザ光の高調波が選択される。レーザ発振装置101およびレーザ増幅部103を共通として、2波長を選択的に出力することができるので、装置を小型化および低コスト化することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、距離の測定に利用されるレーザ装置、およびこのレーザ装置を用いた距離測定装置に関する。
レーザ光を利用して距離を測定する技術において、異なる2波長のレーザ光を用いる技術が知られている。例えば、特許文献1には、異なる2種類の波長のレーザ光を合成したものを対象物に照射し、その反射光における2波長の強度比に基づいて、測定対象を特定し、さらに反射光の戻り時間から対象物までの距離を算出する構成が記載されている。この特許文献1には、装置内に2波長分のレーザ発振装置を備え、それらを適宜光学系で合成あるいは切り換える構造が記載されている。
特開平9―318743(要約書)
ところで、レーザ光を用いる距離の測定においては、以下のような問題がある。まず第1の問題は、測定対象物における反射強度の波長依存性の問題である。これは、測定対象物の色や材質によって、反射率の波長依存性があり、測定対象物と波長との組み合わせによっては、反射光の強度が微弱になり、その検出が困難になる場合がある問題である。
第2の問題は、測定環境の問題である。これは、霧やスモッグのある環境下では、短い波長のレーザ光ほど散乱を受け、減衰が大きくなるという問題である。
第3の問題は、アイセーフ(目への安全性)の問題である。これは、可視光領域以下の波長は、眼球を透過し、眼底に吸収され易い傾向が大となるので、その強度によっては、目への悪影響が懸念される問題である。
例えば、波長1400nm以上の赤外波長は、角膜、水晶体、硝子体の透過率と眼底の吸収率が共にゼロに近いため、高出力のレーザ光を用いても比較的安全である。このため、波長1400nm以上の赤外波長のレーザ光は、アイセーフレーザと称されている。しかしながら、波長1000nm付近のレーザ光は、水晶体等の透過率が約40%、眼底吸収率が約10%であり、出力によっては、目への悪影響が問題となる。さらに、波長500nm付近のレーザ光は、水晶体等の透過率が約90%、眼底吸収率が約70%であり、眼への悪影響の問題はさらに深刻となる。
第4の問題は、長波長光は、長距離の計測に有利であるが、回折広がりが大きくなるため、測定分解能の点で不利となり、逆に短波長光は、測定分解能の点で有利であるが、散乱を受けやすくなるので、長距離の計測には、不利となる問題である。
これらの問題を解決する方法として、異なる波長のレーザ光を利用する方法が挙げられる。しかしながら、引用文献1に記載されているような波長毎にレーザ発振装置を備える構成は、構成が複雑になり、装置の小型化および低コスト化の点で不利となる。
このような背景において、本発明は、レーザ光を用いる距離測定装置において、レーザ光を生成する装置を小型化および低コスト化できる技術を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、レーザ光を発振するレーザ発振部と、レーザ発振部からの出力光が入射され波長変換を行う非線形結晶と、前記非線形結晶を前記出力光の光軸上に挿入または前記光軸上から退避させる切換手段と、装置光軸上に配置されたレンズと、非線形結晶を前記光軸上に挿入した場合と、前記光軸上から退避させた場合とにおいて、レンズに入射するレーザ光の光路長を等しくする光路長調整手段とを備えることを特徴とするレーザ装置である。
請求項1に記載のレーザ装置によれば、非線形結晶をレーザ発振部の光軸上(以下、装置光軸上)から退避させた場合に、レーザ発振装置から出力される原波長のレーザ光が装置外に出力される。また、非線形結晶をレーザ発振部の光軸上に配置した場合に、原波長の高調波が非線形結晶において生成され、それを装置の出力光として利用することができる。この構成によれば、波長毎にレーザ発振装置を備える必要がないので、構成を簡素化でき、装置の小型化および低コスト化の点で有利となる。
なお、利用する高調波は、n次(n=2、3、4・・・の自然数)高調波の中から選択された1または複数を利用することができる。レーザ発振部は、所望の波長および出力のレーザ光を生成することができる構成であればよい。非線形結晶を前記出力光の光軸上に挿入または前記光軸上から退避させる切換手段は、当該光軸上に非線形結晶が位置するか、しないかを切り換える。この切り換えの構造としては、例えば、非線形結晶を物理的に移動させる構成を挙げることができる。
また請求項1に記載の発明によれば、光路長調整手段により、非線形結晶の使用/未使用に係わらず、非線形結晶が挿入される光軸における光学的な距離を一定に保つことができる。このため、非線形結晶を利用した場合でも、利用しない場合であってもレンズの焦点距離の設定等の光学系の設計条件を保つことができ、ビーム形状の乱れや変化等を抑えることができる。光路長を調整する方法としては、所定屈折率と光軸長を有する透明部材の当該光軸への挿入、光学系における光学部材の位置の調整(例えば、レンズ位置の調整)といった方法を挙げることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、光路長調整手段は、出力光が透過する媒質部材を備え、この媒質部材は、非線形結晶が前記光軸上から退避した際に、前記光軸上に挿入されることを特徴とする。この態様によれば、媒質部材の屈折率と光軸方向の寸法とを調整することで、非線形結晶の使用/未使用に係わらず、光学系における光学的な距離を揃えることができる。出力光が透過する媒質部材としては、該当する波長の透過性に優れた材質(可視光〜赤外光帯域であれば、例えば高純度石英)が用いられる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記非線形結晶から出力される前記出力光の高調波を選択する波長選択手段を備えることを特徴とする。波長選択手段としては、高調波の波長を透過し、原波長を反射する選択反射ミラー、高調波の波長を反射し、原波長を透過する選択反射ミラー、高調波を透過または反射し、原波長を吸収する光学フィルタを挙げることができる。この態様によれば、非線形結晶から出力されるレーザ光から、高調波成分を選択的に取り出すことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、レーザ発振部の出力光が相対的に長波長の第1の波長λを有し、非線形結晶で生成される高調波が相対的に短波長の第2の波長λを有し、λが赤外光の波長域であり、λが可視光の波長域であることを特徴とする。この態様によれば、散乱に強く長距離の距離測定に有利な赤外光レーザの選択と、距離測定の精度に優れる可視光帯域のレーザ光の選択とを、非線形結晶の当該光軸への挿入または退避を選択することで実行することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、レーザ発振部は、レーザ媒質を含み、このレーザ媒質は、NdイオンまたはErイオンをドープした結晶またはファイバーであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ装置からの出力光を所定の対象物に出力する出力部と、対象物から反射した反射光を受光する受光部と、この受光部の出力信号に基づいて距離の算出を行う信号処理部とを備えることを特徴とする距離測定装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、非線形結晶の装置光軸上への挿入または装置光軸上からの退避を選択するための手動入力手段を備えることを特徴とする。この態様によれば、操作者が目測で、あるいは図面等に基づいて概略の距離を判断し、その判断の結果に基づいて手動入力手段(例えば装置の操作盤等に設けられた距離設定モードスイッチ)を操作し、非線形結晶の装置光軸上への挿入または退避が選択される。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、対象物までの距離に基づいて非線形結晶の装置光軸上への挿入または退避が選択されることを特徴とする。この態様によれば、被計測対象である対象物までの距離(おおよその距離でよい)に応じて、長波長(赤外光)または短波長(可視光)のいずれかが選択される。こうすることで、対象物までの距離に応じて、適切な波長を選択することができる。なお、対象物までの距離を測定する手段(方法)としては、CCDカメラが撮像した画像を画像処理により解析する手段(方法)によるもの、GPSデータを用いての対象物までの距離を算出する手段(方法)によるもの、長波長レーザ光による距離測定装置を別途配置する方法等を挙げることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、対象物との間における空気の透明度を検出する透明度検出手段を備え、この透明度検出手段の出力に基づいて非線形結晶の装置光軸上への挿入または装置光軸上からの退避が選択されることを特徴とする。請求項9に記載の発明によれば、測定環境における空気の透明度に応じて、距離の測定に適した波長を選択することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、対象物を含む対象エリアを撮影する画像撮影部と、この画像撮影部で撮影された画像を赤緑青(RGB)の3色に分解し、前記対象物の色彩データを得る画像処理部とを備え、前記色彩データに基づいて、(1)非線形結晶の装置光軸上への挿入を行った場合の出力光を用いた距離の測定、または(2)非線形結晶の装置光軸上への挿入を行わない場合の出力光を用いた距離の測定、のいずれかが選択されることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、対象物の材質や色による反射効率を考慮した測距光の波長選択を行うことができる。すなわち、より反射効率の高い波長を利用した計測を選択することができる。これにより、反射光が微弱になることによる距離測定の不良や測定精度の低下を抑えることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、受光部で受光した光の受光強度に基づいて、(1)非線形結晶の装置光軸上への挿入を行った場合の出力光を用いた距離の測定、または(2)非線形結晶の装置光軸上への挿入を行わない場合の出力光を用いた距離の測定、のいずれかが選択されることを特徴とする。この態様によれば、反射光の強度の高い測距光を用いた距離の測定が行われる。これにより、微弱な反射光に起因する距離測定の不良や測定精度の低下を抑えることができる。
本発明によれば、レーザ光を用いる距離測定装置において、レーザ光を生成する装置を小型化および低コスト化できる技術を提供することができる。
(1)第1の実施形態
(1−1:レーザ装置の構成)
まず、本発明を利用したレーザ装置の一例を説明する。ここで例示するレーザ装置は、異なる波長のパルスレーザ光を出力する機能を備える。図1は、本発明を利用したレーザ装置の一例を示す概念図である。
図1には、Qスイッチによりパルスレーザ光を生成するレーザ装置100が示されている。レーザ装置100は、半導体レーザ装置101、集光レンズ102、レーザ共振器103、非線形結晶107、透明媒質部材108、選択反射ミラー109、および集光レンズ111を備えている。
半導体レーザ装置101は、最終的に装置から出力されるレーザ光の元となる波長808nmの励起用レーザ光を生成する。ここでは、半導体レーザ装置101として、半導体レーザ発光素子を利用している。集光レンズ102は、半導体レーザ装置101からの出力光を集光する。この集光されたレーザ光は、レーザ共振器103に入力される。
レーザ共振器103は、レーザ半導体装置101が生成した励起用レーザ光を利用してレーザ発振(レーザ増幅)を行う。レーザ共振器103は、その内部にレーザ媒質104、過飽和吸収体105および出力鏡106を備えている。レーザ媒質104の入力側には、図示省略したミラー面がコーティングされている。このミラー面は、入射する波長808nmの光を透過し、内部から外側に向かう波長1064nmの光を反射する光学特性とされている。レーザ媒質104は、レーザ発振を行うための媒質(増幅媒質)であり、ここではネオジム(Nd)がドープされたYAG結晶が利用されている。レーザ媒質へのドーピング物質としては、Er(エルビウム)を用いることもできる。また、レーザ媒質として結晶の代わりにファイバーを用いることもできる。
過飽和吸収体105は、Qスイッチとして機能する部材であり、レーザ光の吸収係数が非線形性を有する性質を備えている。ここでは、過飽和吸収体105として、クロムをドープしたYAG結晶が利用されている。過飽和吸収体105は、ある程度レーザ光を吸収すると飽和して透過率が急激に高まる光学的な性質を備えている。この性質を利用することで、レーザ光を間欠的に出力することができる。出力鏡106は、入射するレーザ光の90%を反射し、10%を透過する機能を備えている。レーザ媒質104の入射面に形成された図示省略したミラー面と出力鏡106との間の寸法は、波長1064nmの定常波を形成するためのキャビティー(共振器)となる値に設定されている。なお、Qスイッチとしては、電気光学的な手法による方法や音響光学的な手法による構成を採用することもできる。
非線形結晶107は、レーザ共振器103が増幅したレーザ光の高調波(この場合は、第2高調波)を生成する。非線形結晶107は、光学的な非線形性を有し、入射したレーザ光の高調波を発生する。この例において、非線形結晶107は、KTP結晶(KTiOPO)を利用し、主に2次高調波を効率良く発生する性質に調整されたものが採用されている。非線形結晶107に波長1064nmのレーザ光が入射させると、入射光である波長1064nmのレーザ光と共に第2高調波である波長532nmのレーザ光が非線形結晶107から出力される。
選択反射ミラー109は、波長1064nmの光を反射し、波長532nmの光を透過する。非線形結晶107と選択反射ミラー109とは、移動ステージ110上に固定され、一体構造とされている。移動ステージ110は、レーザ共振器103からの出力光の光軸(あるいはレーザ共振器103と集光レンズ111との間を結ぶ光軸)上に移動し、非線形結晶107を当該光軸上に配置、または当該光軸上から退避、させることができる構成とされている。なお、選択反射ミラー109で反射された1064nmの光は、選択反射ミラー109の下方に配置された図示省略した光吸収材料に吸収される。
透明媒質部材108は、波長1064nmの光に対して透明な(透過率の高い)高純度石英により構成されている。また、その光軸方向の長さは、レーザ共振器103の光軸上に非線形結晶107を挿入した場合と、透明媒質部材108を挿入した場合とで、光学的な距離が略同じになるように設定されている。つまり、非線形結晶107が選択された場合と、透明媒質部材108が選択された場合とにおいて、レーザ共振器103と対物レンズ111との間の光学的な距離が、略同一となるように、透明媒質部材108の屈折率およびその光軸方向の長さが選択されている。
透明媒質部材108は、移動ステージ110と連結された支持体(図示省略)上に支持されており、移動ステージの動きに合わせて図の上下方向に移動する。すなわち、移動ステージ110上の非線形結晶109がレーザ共振器103の光軸(装置光軸)上に移動した場合は、透明媒質部材108が当該光軸から退避し、移動ステージ110上の非線形結晶109がレーザ共振器103の光軸(装置光軸)から退避した場合には、透明媒質部材108が当該光軸上に挿入される。
集光レンズ111は、入射するレーザ光を集光し、距離計測に適した光束(ビーム形状)を形成する機能を有する。この例では、集光レンズ111の焦点の位置に出力鏡106の光軸部分(中心部分)が位置するように光学設計がされ、図の右方向に出力されるレーザ光が平行光束となるように設定されている。
上述したように、非線形結晶107が選択された場合と、透明媒質部材108が選択された場合とにおいて、レーザ共振器103と対物レンズ111との間の光学的な距離が、略同一となるように透明媒質部材108の材質と、その光軸方向の長さが選択されている。このため、集光レンズ106の機能は、非線形結晶107と透明媒質部材108のいずれが選択された場合であっても保たれ、平行光束に成形されたレーザビームを出力することができる。
(1−2:レーザ装置の動作)
図2は、図1に示すレーザ装置の動作の一例を説明する概念図である。図2(A)は、波長1064nm(=λ)のパルスレーザ光を出力する状態を概念的に示し、図2(B)は、波長532nm(=λ)のパルスレーザ光を出力する状態を概念的に示す。
(λの出力)
まず、波長1064nm(λ)のパルスレーザ光を出力する場合を説明する。この場合、図2(A)に示すように、装置の光軸上に透明媒質部材108が挿入され、非線形結晶107および選択反射ミラー109は、当該光軸上から外れる。
この状態で半導体レーザ装置101から波長808nmのレーザ光(CW発振)を発生させる。このレーザ光は、集光レンズ102で集光され、レーザ共振器103に入射する。レーザ共振器103では、レーザ媒質104の作用により、半導体レーザ装置101からの波長808nmのレーザ光に基づいて波長1064nmのレーザ光が生成される。この波長1064nmのレーザ光が図示省略したミラー面と出力鏡106との間で反射されて往復し、定常波が発生する。この際、レーザ媒質104の作用により、波長1064nmのレーザ発振(レーザ増幅)が行われ、波長1064nmのレーザ光が所定のレベルにまで強められる。
レーザ発振エネルギーの一部は、出力鏡106から外部に出力され、透明媒質部材108に入射する。透明媒質部材108に入射したレーザ光は、そこを透過し、集光レンズ111に至る。
上記のレーザ発振(レーザ増幅)において、レーザ光の積算強度が所定のレベルに達すると、過飽和吸収体105が飽和し、透過率が急激に高まり、レーザ光が発振される。また、このレーザ発振後、不飽和吸収体105の透過率は減少するが、所定の時間が経過すると、過飽和吸収体105が飽和し透過率が急激に高まり、再びレーザ共振がなされる。この動作を周期的に繰り返すことで、波長1064nm(λ)のレーザ光のパルス発振が行われる。パルス発振された波長1064nm(λ)のレーザ光は、集光レンズ110で平行光束とされ、装置外に出力される。
(λの出力)
次に波長532nm(λ)のパルスレーザ光を出力する場合の動作の一例を説明する。この場合、図2(B)に示すように、移動ステージ110は、装置の光軸上に挿入され、非線形結晶107と選択反射ミラー109が装置の光軸上に配置される。一方、透明媒質部材108は、装置の光軸上から外れる。
この状態において、半導体レーザ装置101から波長808nmのレーザが出力されると、上述したλの出力の場合と同様の原理によって、レーザ共振器103から、波長1064nm(λ)のパルスレーザ光が出力される。
レーザ共振器103から、出力された波長1064nm(λ)のパルスレーザ光は、非線形結晶107に入射し、その光学的な非線形作用によって2次高調波を生成する。その結果、非線形結晶107から波長1064nm(λ)のパルスレーザ光と波長532nm(λ)のパルスレーザ光とが、出力される。
波長1064nm(λ)の光は、選択反射ミラー109において図の下方向に反射され、波長532nm(λ)の光は、選択反射ミラー109を透過するので、集光レンズ111には、波長532nm(λ)のパルスレーザ光が入射する。集光レンズ111に入射した波長532nm(λ)のレーザ光は、集光レンズ110で平行光束とされ、装置外に出力される。つまり、波長1064nm(λ)のパルスレーザ光は、出力されず、波長532nm(λ)のパルスレーザ光が出力される。
(1−3:レーザ装置の優位性)
図1および2に示すレーザ装置の優位性について説明する。レーザ装置100は、装置の光軸上に透明媒質部材108を配置した場合に、相対的に長い波長のレーザ光である波長1064nmのパルスレーザ光を出力する。また、光軸に非線形結晶107を配置した場合に、相対的に短い波長のレーザ光である波長532nmのパルスレーザ光を出力する。この仕組みによれば、2種類の波長のレーザ光を出力する構成において、半導体レーザ装置101、集光レンズ102、レーザ共振器103および対物レンズ111は共通にすることができる。このため、波長別に装置を用意する場合に比較して、装置構成を簡略化することができ、装置を小型化し、低コスト化することができる。
また、非線形結晶107を光軸上に配置した場合と、透明媒質部材108を光軸上に配置した場合とで、レーザ共振器100と集光レンズ111との間における光学的な距離が同一になるようにしている。このため、集光レンズ111のレーザ光を平行光束にする機能は、両方の状態において保たれる。このことは、距離計測の精度を保つ上で重要である。
(2)第2の実施形態
以下、第1の実施形態で例示したレーザ装置を利用した距離測定装置の一例を説明する。図3は、本発明を利用した距離測定装置の一例である。
(概要)
図3には、距離測定装置1が示されている。距離測定装置1は、本体2と、この本体2に対して回転可能な回転光学部3とを備えている。回転光学部3は、ベアリング41および42を介して本体2に対して回転自在な状態で固定されている。本体2と回転光学部3との間のデータ信号のやり取り、および本体2から回転光学部3への電力供給は、データ伝送装置40および電力伝送装置50で行われる。これら伝送装置は、回転中心を軸とするコイルを本体2側と回転光学部3側に備え、両コイルは、僅かに離間している。この構成によれば、回転光学部3の回転に関係なく、コイル間の相互誘導によりデータ信号および電力の電送が行われる。
(回転機構)
本体2には、ステータ201が配置されている。このステータ201は、コイルが巻かれた複数の磁極を円周上に配置した構造を備えている。ステータ201に対向する回転光学部3の部分には、ロータ301が配置されている。ロータ301は永久磁石を円周上に複数備えた構造を有している。ステータ201の複数の磁極への通電が、図4には図示しない制御回路によってスイッチングされることで、ステータ201に対してロータ301が回転しようとする力が生じ、本体2に対して回転光学部3が回転する。ステータ201とロータ301とは、DCブラシレスモータの原理を利用したDD(ダイレクト・ドライブ)モータを構成している。
(本体2の構成)
以下、本体2の構成について説明する。本体2は、集光レンズ202を備えている。集光レンズ202の後ろ(図の下方)には、斜め反射ミラー210が配置されている。斜め反射ミラー210は、両面が反射面とされている。斜め反射ミラー210の下方には、選択反射ミラー203が配置されている。選択反射ミラー203は、図の上方向から入射する入射光の内、波長532nm(λ)の光を上方に選択的に反射し、他の波長を下方に透過する反射面203aを上面に備えている。また、選択反射ミラー203は、図の上方から入射した光の内、波長1064nm(λ)の光を選択的に図の左方向に反射させ、その他の波長の光を下方に透過させる斜めの反射面203bを備えている。
選択反射ミラー203の左側には、波長1064nm(λ)の光を検出する第1の受光部207が配置されている。また、斜め反射ミラー210の右側には、斜め反射ミラー211が配置され、その下方に波長532nm(λ)の光を検出する第2の受光部208が配置されている。第1の受光部207および第2の受光部208は、検出する波長帯域の感度を有するフォトダイオードおよびその周辺回路を備えている。斜め反射ミラー210の左側には、測距光発光部205が配置されている。測距光発光部205は、図1に示すレーザ装置100を備えている。選択反射ミラー203の下方には、CCDカメラ209が配置されている。CCDカメラ209は、回転反射ミラー302が捉えた画像を撮像し、その画像データを出力する。
上述した選択反射ミラー203を備えた構成によれば、測距光発光部205から出力された波長1064nm(λ)および波長532nm(λ)のレーザ光(測距光)は、斜め反射ミラー210の上面で上方に反射され、集光レンズ202に下方から入射する。この集光レンズ202に下方から入射した2種類の波長のレーザ光(測距光)は、回転反射ミラー302で反射され、距離測定装置1の外部に放射される。
また、距離測定装置1の外部から回転反射ミラー302に入射した光は、そこで下方に反射されて、集光レンズ202で集光され、選択反射ミラー203に入射する。この選択反射ミラー203への入射光の内、波長532nm(λ)の光は、反射面203aにおいて上方に選択的に反射され、他の波長の光は、反射面203aを透過する。反射面203aで上方に反射された波長532nm(λ)の光は、斜め反射ミラー210の下面で右方向に反射され、さらに斜め反射ミラー211で下方に反射されて第2の受光部208に至る。
一方、反射面203aを透過した透過光の内、波長1064nm(λ)の光は、反射面203bにおいて選択的に左方向に反射され、第1の受光部207に至る。また、反射面203aを透過した透過光の内、波長1064nm(λ)以外の光は、反射面203bを透過し、CCDカメラ209に至る。
こうして、装置の外部から入射した波長1064nm(λ)の光は、第1の受光部207で検出され、波長532nm(λ)の光は、第2の受光部208で検出され、その他の波長の光は、CCDカメラ209で検出される。つまり、2波長の測距光を個別に検出し、また同時に回転反射ミラー302に映し出された画像をCCDカメラ209によって撮像することができる。
本体2は、回転光学部3の指向している方向(水平測角(方位角))を検出するためのロータリエンコーダの角度読み取り部212を備えている。角度読み取り部212は、コの字形状の部材の一方の壁部に発光ダイオードを、他方の壁部にフォトトランジスタを備え、その間を通過する後述の角度読み取られ部310のスリットを通過するパルス光をフォトトランジスタが検出することで、角度情報の信号を出力する。角度読み取られ部310と角度読み取り部212は、通常のロータリエンコーダと同じ原理により角度を検出する角度検出装置を構成している。
(回転光学部3の構成)
次に回転光学部3の構成について説明する。回転光学部3は、本体2のステータ201に対向する位置に、ロータ301を備えている。ロータ301は永久磁石を円周上に複数備えた構造を有している。また、回転光学部3は、回転反射ミラー302を備えている。回転反射ミラー302は、仰角制御用回転軸303によって回転光学部3に対して仰角変化が可能な状態で固定されている。仰角制御用回転軸303は、ベアリング304および305によって回転光学部3に支持されている。また、図示されていないが、回転反射ミラー302の正面には、開口が設けられ、外部に光を照射し、また外部からの光を採り入れることができる構成とされている。なお、仰角は、水平面から上下(つまり±)に振ることが可能である。
回転光学部3には、ステータ306が配置されている。このステータ306は、コイルが巻かれた複数の磁極を円周上に配置した構造を備えている。ステータ306に対向する回転反射ミラー302側には、ロータ307が配置されている。ロータ307は永久磁石を円周上に複数備えた構造を有している。ステータ306とロータ307とは、DCブラシレスモータの原理を利用したDD(ダイレクト・ドライブ)モータを構成している。ステータ306の複数の磁極への通電が、図4には図示しない制御回路によってスイッチングされることで、ステータ306に対してロータ307が回転しようとする力が生じる。これにより、回転反射ミラー302の仰角制御を行うことができる。
仰角制御用回転軸303の他端には、円周方向にスリットが形成された角度読み取られ部308が取り付けられている。また、回転光学部3は、角度読み取り部309を備えている。角度読み取り部309は、コの字形状の部材の一方の壁部に発光ダイオードを、他方の壁部にフォトトランジスタを備え、その間を通過する角度読み取られ部308のスリットを通過するパルス光をフォトトランジスタが検出することで、角度情報の信号を出力する。角度読み取られ部308と角度読み取り部309は、通常のロータリエンコーダと同じ原理により角度を検出する角度検出装置を構成している。
回転光学部3の下部には、角度読み取られ部310が配置されている。角度読み取られ部310は、円周方向にスリットが形成された円環形状であり回転光学部3の回転時に、コの字形状の角度読み取り部212の間を通過する。
回転光学部3の上部には、照準装置311が配置されている。照準装置311は、距離測定装置1を操作する利用者が、計測対象物(目標)への照準を付けるための光学照準装置である。照準装置311は、照準用の表示や目盛等を備えた望遠鏡を基本構造としている。
(制御系の構成)
次に、距離測定装置1の制御系の構成について説明する。図4は、図3に示す距離測定装置1の制御系の構成の一例を示すブロック図である。図4に示す制御系は、CPU401、RAM402、ROM403、表示部404、仰角検出センサ405、水平測角検出センサ406、水平測角制御部407、水平測角制御モータ408、仰角制御部409、仰角制御モータ410、発光制御部411、測距光発光部205、距離データ処理部412、第1の受光部207、第2の受光部208、画像処理部413、CCDカメラ209、および操作部414を備えている。
CPU401は、距離測定装置1の動作を統括し、各種処理の演算を行う。具体的には、後述する処理手順を動作プログラムに基づいて実行する。RAM402は、CPU401が行う各種の処理の際に、プログラムやデータ等を一時的に記憶するワーキングエリアとして利用される。また、RAMには、動作に必要な各種の条件や測定データ等が記憶される。RAM402は、半導体メモリやハードディスク装置等により構成されている。なお、RAM402には、不揮発性メモリが含まれ、主電源がOFFにされてもデータを保持できるようにされている。ROM403は、CPU401が行う処理の動作プログラムや動作に必要な条件等が記憶されている。
表示部404は、ディスプレイ(例えば液晶ディスプレイ)を備えている。このディスプレイには、距離測定装置1の動作状態、操作に必要な情報、さらに測定した距離の情報等が表示される。仰角検出センサ405は、回転反射ミラー302(図3参照)の仰角の値を検出する。仰角検出センサ405は、図3に示す角度読み取られ部308および角度読み取り部309を備えている。水平測角検出センサ406は、回転光学部3の水平測角(方位角)を検出する。水平測角検出センサ406は、図3に示す角度読み取られ部310および角度読み取り部212を備えている。
水平測角制御部407は、後述の水平測角制御モータ408を駆動する駆動回路と、その制御を行う制御回路を備えている。水平測角制御モータ408は、水平測角制御部407によって駆動されて回転光学部3(図3参照)を回転させ、その水平測角を制御する。水平測角制御モータ408は、図3に示すステータ201およびロータ301を備えている。仰角制御部409は、後述の仰角制御モータ410を駆動する駆動回路と、その制御を行う制御回路を備えている。仰角制御モータ410は、仰角制御部409によって駆動され、回転反射ミラー302の仰角を制御する。仰角制御モータ410は、図3に示すステータ306およびロータ307を備えている。
発光制御部411は、測距光発光部205(図3参照)の発光タイミングを制御する。距離データ処理部412は、第1の受光部207および/または第2の受光部208の出力に基づいて後述する処理を行い、対象物までの距離の算出を行うのに必要なデータを出力する。画像処理部413は、CCDカメラ209(図3参照)が撮像した画像のデータに基づいて後述の画像処理を行う。操作部414は、距離測定装置1(図3参照)の操作を行うための手動入力手段であり、操作のための各種スイッチを備えている。
(距離測定部)
以下、図4の距離データ処理部412の詳細な構成の一例を説明する。図5は、距離データ処理部412の機能を説明するブロック図である。図5には、波長1064nm(λ)の測距光が第1の受光部に入射し、波長532nm(λ)の測距光が第2の受光部に入射する状態が概念的に示されている。
図5に示すように、距離データ処理部412(図4参照)は、比較判定部421とデータ出力部422を備えている。比較判定部421は、第1の受光部207の出力と第2の受光部208の出力とを比較し、いずれの出力を距離データの算出に用いるかを判定する機能を有する。判定の内容については後述する。データ出力部422は、比較判定部421の判定結果に基づき、第1の受光部208の出力または第2の受光部208の出力を距離データ処理部412の外部に出力する。
(第1の測定動作)
以下、図3に示す距離測定装置1における距離測定動作の一例を説明する。ここでは、対象物までの測定距離に応じて、測距光の波長を選択する場合の動作の例を説明する。図6は、距離の測定を行う手順の一例を示すフローチャートである。この例の場合、距離測定装置1(図3参照)の操作部414(図4参照)は、長距離測定エリアと短距離測定エリアの2種類の測定エリアを手動で設定するための設定ボタンを供えている。また、図4に示すROM403には、以下の処理手順を実行するのに必要な動作プログラムが記憶されている。
操作部414(図4参照)が操作されて、距離計測の処理がスタートすると(ステップS601)、ROM403に記憶されている上記の動作プログラムがRAM402に読み出され、以下の動作が開始される。
まず基準点を設置する処理が行われる(ステップS602)。この処理では、RAM402に記憶されている基準点に関するデータが読み出される。この基準点に関するデータは、以下の処理において求められる距離データに関連付けされ、最終的な計測データが得られる。なお、この基準点に関するデータは、計測装置1を計測現場に設置した際に、手動入力やGPS衛星を用いた位置特定装置からのデータ伝送によって計測装置1に入力される。
ステップS602の後、整準実行・完了の処理が行われる(ステップS603)。この処理では、装置の水平や方角を決める調整が行われる。この処理は、図示省略する水準器や方角センサの出力に基づいて自動的に行われる。
ステップS603までの処理が終了したら、その旨が図4の表示部404に表示される。次に距離測定装置1を操作する者が照準装置311を用いて、距離の測定を行う対象物に狙いを定め、距離測定装置1の大体の方向を定める。そして、図4の操作部414が操作されて、CCDカメラ209(図3参照)による測定エリアの撮像(ステップS604)が行われる。また、測定エリアの設定が行われる(ステップS605)。
また、このタイミングにおいて、操作者は、操作部414を操作し、測定距離が短距離か、長距離かを選択する設定を行う(ステップS605)。この際、操作者は、対象物までの距離を目測し、それが波長1064nmの測距光の利用が適当な長距離測定範囲か、あるいは波長532nmの測距光が利用できる短距離測定範囲かを判断し、何れかの範囲を設定する操作を行う。
ステップS605の処理を自動的に行うこともできる。この場合、ステップ604において撮像した画像を画像処理部413(図4参照)において画像解析し、対象物までの概略の距離を算出する。そして、この算出値に基づいて、長距離測定範囲または短距離測定範囲が選択され、選択された設定内容がRAM402内に記憶される。
次にステップS605において、設定された対象物までの距離に関する設定内容が読み取られ、設定内容が、短距離範囲の設定か、長距離範囲の設定かが判定される。ここでは、測長距離が短い設定であるか否か、が判定される(ステップS606)。測長距離が短い場合(つまり短距離範囲が設定されているのであれば)、ステップS607に進み、そうでなければステップS608に進む。
ステップS607では、短波長(波長532nm=λ)のパルスレーザ光を用いた測定エリアスキャンが行われる。ステップS607では、図3および4に図示する測距光発光部205を構成するレーザ装置(図1の符号100)が、図2(B)の状態で動作し、波長532nm(λ)のパルスレーザ光を出力する。このパルスレーザ光は、図3に示す測距光発光部205から出力され、斜め反射ミラー210で図の上方に反射され、集光レンズ202および回転反射ミラー302を経て、測定エリアに照射される。
この際、測距光は、測定エリア内に設定された複数の測定点を順次走査しつつ当該計測点(各対象物)に照射される。例えば、この測定点は、測定エリア内に格子状にm×n個(m、nは0を含まない自然数)設定されており、各測定点に1パルス以上のレーザパルスが照射されるように、パルス発振に対応させて、回転光学部3の水平測角と回転反射ミラー302の仰角が逐次制御される。
ステップS607に進まず、ステップS608に進んだ場合、測距光発光部205を構成するレーザ装置(図1の符号100)が、図2(A)の状態で動作し、波長1064nm(λ)のパルスレーザ光を出力する。このパルスレーザ光は、図3に示す測距発光部205から出力され、選択反射ミラー203で図の上方に反射され、集光レンズ202および回転反射ミラー302を経て、対象物に照射される。この際も、ステップS606の場合と同様なスキャン制御が行われる。
ステップS607またはS608において、測距用のパルスレーザ光の対象物への照射は、1または複数回のパルスで行われる。そして、対象物で反射され、距離測定装置1側に帰ってきた測距光の反射光は、その波長に対応して、第1の受光部207または第2の受光部208において受光される。すなわち、対象物に照射された測距光が波長1064nm(λ)のパルスレーザ光であれば、その反射光は、第1の受光部207において受光される。また、対象物に照射された測距光が波長532nm(λ)のパルスレーザ光であれば、その反射光は、第2の受光部208において受光される。
ステップS607またはS608における対象物への測距光の照射が行われているタイミングに同期させて、その反射光の時間遅れに計測することで、対象物までの距離の算出(測定)が行われる(ステップS610)。
以下、図4のブロック図を主に参照してステップS610の処理内容を説明する。まず、発光制御部411からレーザパルスの発振タイミングに関する信号が出力される。また、距離データ処理部412から、反射光の受光タイミングに関する信号が出力される。レーザパルスの対象物への往復には、対象物までの距離に応じた時間(伝搬時間)を要するので、反射光のレーザパルスの受光タイミングは、測距用のレーザパルスの照射タイミングから対象物までの距離に応じた遅れを生じる。したがって、CPU401において、上記2つの信号を比較することで、伝搬時間を算出し、それと光速の値とから、距離計測装置から対象物までの距離を算出することができる。この原理により、ステップS609における距離測定の処理が行われる。
この距離算出の処理は、測定エリア内に所定の密度で設定された計測対象物毎(計測対象点毎)に測距光を操作しつつ照射し、そのスキャニングに対応させて逐次行われる。なお、通常は、測定エリア内に格子状に測定点を設定し、そこを順次スキャンしてゆくことで、測定エリア内の距離データ群を得る。
ステップS610までの処理によって、当該対象エリアまでの距離データ群(3次元的な距離データのリスト)を得る。この距離データ群は、ステップS604において撮像した画像データやその他データ等と関連付けがされ、RAM402(図4参照)に記憶される。また、表示部405(図4参照)に測定された距離情報が表示される。
そして、測定を終了するのであれば、ステップS610からステップS611に進み、処理を終了し、そうでなければ、ステップS605の前段階に戻り、ステップS605以下の処理を再度実行する。
(第1の測定動作の特徴)
上述した第1の測定動作によれば、測長距離の相対的な大小(遠いか、近いか)によって、測距光の波長が手動で選択される。すなわち、対象物までの距離が遠い場合には、長距離伝搬に有利な波長1064nmのレーザ光を選択し、対象物までの距離が近い場合は、長距離伝搬には、不利であるが、測定対象物の測定分解能の高い波長532nmのレーザ光が選択される。
532nmのレーザ光は、1064nmのレーザ光よりもレーザ光のスポット径を小さくすることができるので、測定分解能は高い。このため、長距離の測長において、高出力の短波長レーザ光を利用することを避けることができ、長距離測定が可能でありながらアイセーフの問題において有利となる。また、短距離測定の場合は、高い測定分解能を得ることができるので、長距離測定が可能でありながら、短距離測定の対象物の測定分解能を高めることができるという特徴を有している。
(第2の測定動作)
ここでは、距離の測定を行う環境の空気透明度に応じて、測距光の波長を選択する場合の動作の例を説明する。図7は、測定の動作手順の一例を示すフローチャートである。処理のスタート(ステップS701)からステップS703までは、図6のステップS601からS603と同じである。ステップS703の後、測定エリアの撮像が行われ(ステップS704)、また測定エリアの設定が行われる(ステップS705)。
次にステップS704において撮像された画像の内容が画像処理部413(図4参照)において解析され、測定環境の透明度(空気の透明度)が算出される。この透明度から塵や水蒸気等の分散値が算出され、塵や水蒸気等の影響が計測される。そして、この計測結果に基づき、散乱物質の量が判定され(ステップS706)、散乱物質が多いと判定された場合には、長波長λでのエリアスキャンが行われ(ステップS707)、散乱物質が多くないと判定された場合には、短波長λでのエリアスキャンが行われる(ステップS708)。ステップS706における判定の基準は、予め実験的に求めておいたものを用いる。
ステップ709以下の処理は、図6のステップ609以下の処理と同じであるので、説明は省略する。なお、測定環境の透明度を操作者が判断し、ステップS706の真偽を判定する設定を操作者がマニュアル操作で装置に入力するようにすることもできる。
(第2の測定動作の特徴)
上述した第2の測定動作によれば、測長環境の空気の透明度に応じて、測距光の波長が選択される。すなわち、空気の透明度が高い場合は、光の散乱が少ないので、塵や水蒸気の散乱に弱いが、高分解能の測長を行うことができる波長532nm(λ)の短波長光が選択される。この場合、高分解能の測長を行うことができる。
一方、測長環境の透明度が悪い場合は、塵や水蒸気による散乱の程度がより小さい長波長の測距光(波長1064nm(λ))が選択される。この場合、測定分解能は犠牲になるが、透明度の悪い悪条件であっても、測長を行うことができる。
このように、測長環境の透明度に応じて、測距光の波長を選択することで、測長環境が悪くても(測定環境の透明度が悪くても)測長を行うことができ、また測長環境が良い場合は、高分解能の測長を行うことができる。
(第3の測定動作)
ここでは、測定対象物の色に応じて、測距光の波長を選択する場合の動作の例を説明する。図8は、測定の動作手順の一例を示すフローチャートである。まず、処理のスタート(ステップS801)からステップS805までは、図7のステップS701からS705と同じである。
ステップS805の後、画像処理部413において、ステップS804で撮像した画像のデータに対して画像処理を行い、測定エリアの画像をRGBの3色素の画像に分解する(ステップS806)。RGBの各画像データは、RAM402(図4参照)に記憶させる。
次に、短波長の波長532nm(λ)の測距光の測定エリアスキャンを行う(ステップS807)。この測定エリアスキャンにおける測距光の照射は、測距光発光部205に備えたレーザ装置を、図2(B)の状態とすることで行われる。この際、各測定点におけるデータを各測定点の座標データと関連付けて取得し、RAM402(図4参照)内に記憶させておく。なお、この段階で距離算出のための演算は行わず、発光制御部411から出力されるレーザパルスの出力タイミングに関するデータと、それに対応する距離データ処理部から出力される当該レーザパルスの受光タイミングに関するデータをそのまま(生データとして)RAM402に記憶させる。
次に、長波長の波長1064nm(λ)の測距光の測定エリアスキャンを行う(ステップS808)。この測定エリアスキャンにおける測距光の照射は、測距光発光部205に備えたレーザ装置を、図2(A)の状態に切り換えることで行われる。この際も各測定点におけるデータを取得し、その生データをRAM402(図4参照)内に記憶させておく。なお、ステップS807とS808とは、その実行順序が逆であっても良い。
次にRAM402(図4参照)内から、ステップS807およびS808において取得したデータ、および測定エリアの撮像画像をRGBに分解した画像データを読み出し、以下の処理を行う。この処理では、CCD209の撮像画像中における複数ある計測点について、次の処理を行う。すなわち、例えば格子状に設定された撮像画像中の計測点を左上から順に調べ、当該計測点が、RおよびBの色素である(またはその成分の影響が大である)場合に、その計測点の距離データとしてλ(波長1064nm)の測距光のデータを選択する。また、当該計測点が、Gの色素である(またはその成分の影響が大である)場合に、その計測点の距離データとしてλ(波長532nm)の測距光のデータを選択する(ステップS809)。
ステップS809におけるデータ選択の後、選択されたデータに基づく距離の算出が行われ、測定エリア内の測定値に関する距離を測定する(ステップS810)。こうして当該対象エリアまでの距離データ群を得る。この距離データ群は、ステップS804において撮像した画像データやその他のデータ等と関連付けがされ、RAM402に記憶される。また、表示部405に測定された距離情報が表示される。そして、測定を終了するのであれば、ステップS811からステップS812に進み、そうでなければ、ステップS805以下の処理を再度実行する。
この処理によれば、測距光が照射された対象物(計測点)の色がRとBである場合、波長532nmの吸収率が高いので、λ(波長532nm)の測距光の反射光量が十分に得られないと予測し、より大きな反射光量が期待できるλ(波長1064nm)の測距光を選択する。また、逆に測距光が照射された対象物(計測点)の色がGである場合、波長1064nmの吸収率が高いので、λ(波長1064nm)の測距光の反射光量が十分に得られないと予測し、より大きな反射光量が期待できるλ(波長532nm)の測距光を選択する。これにより、測定エリア内の色彩分布に応じて、適宜より大きな反射光量を期待できる波長の測距光を選択することができ、反射光量の不足による計測誤差を減らすことができる。
(第3の測定動作の特徴)
第3の測定動作によれば、測定対象物における反射強度の波長依存性の問題を緩和あるいは解決することができる。すなわち、測定対象物の色や材質によって、反射率の波長依存性があり、測定対象物と波長との組み合わせによって、反射光の強度が微弱になり、その検出が困難になる場合があるが、測距光として2種類の波長を用い、画像解析から測距光の照射位置の反射状態を推測し、その結果に応じて、いずれかの測距光の反射光データを選択することで、より大きな反射光量の受光データを利用することができる。このため、測定対象物と波長との組み合わせによって、反射光の強度が微弱になり、その検出が困難になる問題を緩和あるいは解決することができる。
(第4の測定動作)
ここでは、2種類の波長の測距光を対象物に照射し、反射光の強度の高い方の反射光データ用いる例を説明する。図9は、測定の動作手順の一例を示すフローチャートである。まず、処理のスタート(ステップS901)からステップS905までは、図8のステップS701からS705と同じである。
ステップS905において、測定エリアを設定したら、短波長の波長532nm(λ)の測距光の測定エリアスキャンを行う(ステップS906)。この測定エリアスキャンにおける測距光の照射は、測距光発光部205に備えたレーザ装置を、図2(B)の状態とすることで行われる。この際、各測定点におけるデータを各測定点の座標データと関連付けて取得し、RAM402(図4参照)内にそれを記憶させておく。なお、この段階で距離算出のための演算は行わず、発光制御部411から出力されるレーザパルスの出力タイミングに関するデータと、それに対応する距離データ処理部412から出力される当該レーザパルスの受光タイミングに関するデータをそのまま(生データとして)RAM402に記憶させる。また、距離データ処理部412は、受光した反射光の受光強度(受光素子の出力レベル)に関する情報を出力し、この情報は、上記受光タイミングに関するデータに関連付けされてRAM402に記憶される。
次に、長波長の波長1064nm(λ)の測距光の測定エリアスキャンを行う(ステップS907)。この測定エリアスキャンにおける測距光の照射は、測距光発光部205に備えたレーザ装置を、図2(A)の状態に切り換えることで行われる。この際も各測定点における送受のタイミングデータおよび受光強度のデータを取得し、その生データをRAM402(図4参照)内に記憶させておく。なお、ステップS906とS907とは、その実行順序が逆であっても良い。
次にRAM402(図4参照)内から、ステップS906およびS907において取得したデータを読み出し、同一の測定点における2つの反射測距光の受信強度を比較する。そして、より高強度の受光データを選択する(ステップS908)。この処理は、例えば図4の比較判定部421において行われる。勿論、この処理をCPU401において行っても良い。
次に選択された受光データを用いての距離の算出が、測定点毎に行われる(ステップS909)。ステップS909の処理の内容は、ステップS609と同じである。こうして当該対象エリアまでの距離データ群を得る。この距離データ群は、ステップS904において撮像した画像データやその他のデータ等と関連付けがされ、RAM402(図4参照)に記憶される。また、表示部405(図4参照)に測定された距離情報が表示される。そして、測定を終了するのであれば、ステップS910からステップS911に進み、そうでなければ、ステップS905以下の処理を再度実行する。
第4の測定動作によれば、測距光として2種類の波長を用い、より受光強度の大きい反射光の受光データが採用されるので、塵や濃霧の影響による測定誤差の増大や測定不能の問題、対象物の色や材質に起因する反射光が微弱となる問題を緩和、あるいは解決することができる。
(3)第3の実施形態
以下、図1に示すレーザ装置における非線形結晶107と透明媒質部材108との切り替え機構の他の構造例について説明する。図10は、レーザ装置の一例を示す斜視概念図および断面概念図である。図10(A)には、透明媒質部材が装置の光軸上に配置された状態の斜視概念図が示されている。また、図10(B)には、非線形結晶が装置光軸上に配置された状態の装置光軸方向から見た断面概念図が示されている。なお、図10において、図1と同じ符号部分は、図1に示す構成と同じである。
図10には、レーザ発振ユニット121、切換ユニット122、および集光レンズ111が示されている。レンズ発振ユニット121は、図1における半導体レーザ装置101、集光レンズ102、レーザ共振器103を備えている。切換ユニット122は、略円筒形状を有し、その内部に非線形結晶107、透明媒質部材108および選択反射ミラー109が収納されている。
切換ユニット122は、その円筒軸回りを図示省略したモータ駆動機構により回転可能な構造とされている。切換ユニット122が回転することで、非線形結晶107または透明媒質部材108をレーザ発振ユニット121の光軸上(装置の光軸上)に位置させることができる。すなわち、切換ユニット122を回転させ、図10(A)に示す状態とすることで、透明媒質部材108が装置の光軸上に配置され、図2(A)に示す状態となる。また、切換ユニット122を回転させ、図10(B)に示す状態とすることで、非線形結晶107および選択反射ミラー109が装置の光軸上に配置され、図2(B)に示す状態となる。このように、切換ユニットを回転させることで、波長1064nm(λ)の測距光を出力するか、波長532nm(λ)の測距光を出力するか、を選択することができる。
(4)第4の実施形態
図1に示す例示では、基本波として波長1064nmの半導体レーザ光を用い、光軸上に非線形結晶を適宜挿入することで、第2高調波である波長532nmのレーザ光を生成している。この構成では、選択できる波長は、2波長である。ここでは、第2高調波および第4高調波を用いることで、3波長のレーザ光を得ることができるレーザ装置の例を説明する。
図11は、レーザ装置の一例を示す概念図である。図11には、Qスイッチによりパルスレーザ光を生成するレーザ装置500が示されている。レーザ装置500は、半導体レーザ装置501、集光レンズ502、レーザ共振器503、透明媒質部材507、非線形結晶508、移動ステージ510、および集光レンズ514を備えている。ここで、移動ステージ510には、透明媒質部材513と選択反射ミラー509がレーザ共振器503の光軸方向に隣接して配置され、非線形結晶511および選択反射ミラー512がレーザ共振器503の光軸方向に隣接して配置されている。透明媒質部材513および選択反射ミラー509と、非線形結晶511および選択反射ミラー512は、レーザ共振器503の光軸に対して垂直な方向に隣り合って配置されている。
半導体レーザ装置501は、最終的に装置から出力されるレーザ光の元となる波長785nmの励起用レーザ光を生成する。ここでは、半導体レーザ装置501として、半導体レーザ発光素子を利用している。集光レンズ502は、半導体レーザ装置501からの出力光を集光する。この集光されたレーザ光は、レーザ共振器503に入力される。
レーザ共振器503は、図1のレーザ共振器103と同様な作用により、波長2000nmの励起用レーザ光をレーザ発振の原理により増幅する。レーザ共振器503は、その内部にレーザ媒質504、過飽和吸収体505および出力鏡506を備えている。これらの構成および役割は、図1に示すレーザ共振器103の構成と同じである。なお、各材質や光学特性等は、利用する波長に応じて選択される。
透明媒質部材507は、波長2000nmの光に対して透明な(透過率の高い)高純度石英により構成されている。また、その光軸方向の長さは、レーザ共振器503の光軸上に非線形結晶508および非線形結晶511を挿入した場合と、透明媒質部材507を挿入した場合とで、光学的な距離が略同じになるように設定されている。
非線形結晶508は、レーザ共振器503で増幅させたレーザ光の第2高調波(波長1000nm)を発生させる。この例において、非線形結晶508は、KTP結晶を利用し、主に2000nm付近のレーザ光の第2高周波を効率良く発生する性質に調整されたものが採用されている。透明媒質部材513は、波長1000nmの光に対して透明な(透過率の高い)高純度石英により構成されており、その光軸上における光学的な長さは、非線形結晶511と同じになるように光軸方向における寸法が調整されている。非線形結晶511は、非線形結晶508によって周波数変換した1000nmのレーザ光の第2高調波(波長500nm、つまりレーザ共振器503からのレーザ光の第4高調波)を発生させる。この例において、非線形結晶511は、KTP結晶を利用し、主に1000nm付近のレーザ光の第2高調波を効率良く発生する性質に調整されたものが採用されている。
選択反射ミラー509は、波長2000nmの光を図の下方向に反射し、波長1000nmの光を透過する。選択反射ミラー512は、波長2000nmの光および波長1000nmの光を図の下方向に反射し、波長500nmの光を透過する。
透明媒質部材507、非線形結晶508、移動ステージ510は、装置の光軸に対して垂直な方向に平行移動できる構造とされている。この構造により、透明媒質部材507、非線形結晶508および透明媒質部材513または非線形結晶508および非線形結晶511を適宜、レーザ共振器503の光軸上に移動させ配置することができる。つまり、波長2000nmのパルスレーザ光の出力、波長1000nmのパルスレーザ光の出力、または波長500nmのパルスレーザ光の出力を適宜選択することができる。
(波長2000nmのレーザ光の出力)
図11のレーザ装置500において、波長2000nmのレーザ光を出力する場合の例を説明する。図11(A)には、レーザ共振器503の光軸上に透明媒質部材507を位置させ、移動ステージ510を当該光軸上から外した状態が示されている。この場合、レーザ共振器503から出力された波長2000nmのレーザ光は、透明媒質部材507を透過し、集光レンズ514に至り、そこで集光されてレーザ装置500から出力される。
(波長1000nmのレーザ光の出力)
図11のレーザ装置500において、波長1000nmのレーザ光を出力する場合の例を説明する。図11(B)には、レーザ共振器503の光軸上に非線形結晶508、透明媒質513および選択反射ミラー509を位置させた状態が示されている。
この場合、レーザ共振器503から出力された波長2000nmのレーザ光は、非線形結晶508に入射し、そこで波長2000nmのレーザ光の第2高調波である波長1000nmのレーザ光が生成される。非線形結晶508からは、波長2000nmと波長1000nmのレーザ光が出力され、それらは、選択反射ミラー509に入射する。
選択反射ミラー509は、波長2000nmの光を図の下方向に反射し、波長1000nmの光を透過するので、波長1000nmのレーザ光が集光レンズ514に出力され、そこで集光される。こうして、波長1000nmのレーザ光がレーザ装置500から出力される。
(波長500nmのレーザ光の出力)
図11に示す構成において、波長500nmのレーザ光を出力する場合の例を説明する。図11(C)には、レーザ共振器503の光軸上に非線形結晶508、非線形結晶511および選択反射ミラー512を位置させた状態が示されている。この場合、レーザ共振器503から波長2000nmのレーザ光が出力され、非線形結晶508においてその2倍高調波である波長1000nmのレーザ光が生成される。非線形結晶508からは、波長2000nmのレーザ光と波長1000nmのレーザ光が出力され、それらは非線形結晶511に入射する。
非線形結晶511は、主に1000nm付近のレーザ光の第2高調波(波長500nm付近)を効率良く発生する性質に調整されているので、波長2000nmと1000nmのレーザ光が非線形結晶511に入射することで、波長500nmのレーザ光が生成される。この結果、非線形結晶511からは、波長2000nm、1000nm、500nmのレーザ光が出力され、それらは、選択反射ミラー512に入射する。
選択反射ミラー512は、波長2000nmの光および波長1000nmの光を図の上方向に反射し、波長500nmの光を透過するから、集光レンズ502には、波長500nmのレーザ光が到達し、そこで集光される。こうして、レーザ装置500から波長500nmのレーザ光が出力される。
(第4の実施形態の優位性)
この態様によれば、多様な状況に応じて、その状況に適した測距光の波長を選択することができる。このため、測定対象物における反射強度の波長依存性の問題、霧やスモッグといった測定環境の問題、アイセーフ(目への安全性)の問題、および長距離計測と計測精度の両立の問題に対して、適宜3波長の中から、最もその状況で問題となる事項を低減できる波長を選択することができる。
ここでは、透明媒質部材507、非線形結晶508、非線形結晶511および透明媒質部材513が、平行移動し、それらが装置の光軸上に適宜挿入される場合の例を説明したが、図10に示すような回転式の切換ユニットを2つ用意し、一方に透明媒質部材507と非線形結晶508を、他方に透明媒質部材513と非線形結晶511を収め、切換ユニットの回転により、出力波長の選択を行えるようにすることもできる。またここでは、3波長の出力切換が可能な例を示したが、非線形結晶の数を増やし、4波長以上を切換可能とする構成も可能である。
また、一つの非線形結晶で複数の高調波(例えば、第2高調波と第3高調波)を生成させ、そのいずれかを選択反射ミラーや波長選択フィルタによって選択する構成も可能である。
(5)第5の実施形態
図1に示すレーザ装置100において、透明媒質部材108を用いない構成とすることもできる。この場合、透明媒質部材108が位置した部分には、何も配置せず媒質は空気となる。そして、非線形結晶107が光軸に挿入されている状態と、退避している状態とにおけるレーザ共振器103と集光レンズ111との間の光学的距離を同じにするために、集光レンズ111をその光軸方向に移動させることを可能にする移動機構を配置する。
この態様によれば、非線形結晶107が光軸から退避した際は、集光レンズ111がレーザ共振器103に近付き、光路長の補正が行われる。こうすることで、非線形結晶107の光軸への挿入および光軸からの退避に関係なく、レーザ共振器103と集光レンズ111との間の光学的距離を同じにすることができる。
(6)第6の実施形態
非線形結晶をレーザ共振器の光軸上に挿入または退避させる切換手段として、非線形結晶を移動させるのではなく、2つの光路を用意し、それを適宜切り換えることで、第1の光路または第2の光路が選択される構成としてもよい。この場合、第1の光路が選択された場合には、非線形結晶が装置の光軸上に挿入され、第2の光路が選択された場合には、非線形結晶が装置の光軸上から外れる構成となる。光路を切り換える手段としては、例えば光軸上に出し入れできるミラーを利用することができる。
以上の実施形態では、レーザ媒質としてNd:YAG結晶を用いる例を主に示したが、発振線が1064nmのNd:YVOや、発振線が700〜900nmのTi:Sapphire、発振線が2940nmのEr:YAG、発振線2.09μmのTm:Ho:YAG等も採用される。
また、本発明の実施形態では、非線形結晶としてKTP結晶を用いる例を示したが、BBO(β−BaB)結晶やLBO(LiB)結晶、KN(KNbO)結晶等を適宜使用することもできる。
本発明は、レーザ光を出力するレーザ装置、さらにレーザ光を用いて距離を測定する距離測定装置に利用することができる。
発明を利用したレーザ装置の概要を示す概念図である。 図1に示すレーザ装置の動作状態を示す概念図である。 発明を利用した距離測定装置の概要を示す概念図である。 図4に示す距離測定装置の制御系の構成を示すブロック図である。 距離データ処理部の構成を示す概念図である。 距離測定の手順の一例を示すフローチャートである。 距離測定の手順の一例を示すフローチャートである。 距離測定の手順の一例を示すフローチャートである。 距離測定の手順の一例を示すフローチャートである。 切換手段の一例を示す概念図である。 レーザ装置の一例を示す概念図である。
符号の説明
100…レーザ装置、101…半導体レーザ装置、102…集光レンズ、103…レーザ共振器、104…レーザ媒質、105…過飽和吸収体、106…出力鏡、107…非線形結晶、108…透明媒質部材、109…選択反射ミラー、111…集光レンズ、201…ステータ、202…集光レンズ、203…選択反射ミラー、205…測距光発光部、207…第1の受光部、208…第2の受光部、209…CCDカメラ。

Claims (11)

  1. レーザ光を発振するレーザ発振部と、
    前記レーザ発振部からの出力光が入射され波長変換を行う非線形結晶と、
    前記非線形結晶を前記出力光の光軸上に挿入または前記光軸上から退避させる切換手段と、
    前記光軸上に配置されたレンズと、
    前記非線形結晶を前記光軸上に挿入した場合と、前記光軸上から退避させた場合とにおいて、前記レンズに入射するレーザ光の光路長を等しくする光路長調整手段と
    を備えることを特徴とするレーザ装置。
  2. 前記光路長調整手段は、前記出力光が透過する媒質部材を備え、
    前記媒質部材は、前記非線形結晶が前記光軸上から退避した際に、前記光軸上に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  3. 前記非線形結晶から出力される前記出力光の高調波を選択する波長選択手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ装置。
  4. 前記出力光が相対的に長波長の第1の波長λを有し、
    前記高調波が相対的に短波長の第2の波長λを有し、
    前記λが赤外光の波長域であり、
    前記λが可視光の波長域であることを特徴とする請求項3に記載のレーザ装置。
  5. 前記レーザ発振部は、レーザ媒質を含み、
    前記レーザ媒質は、NdイオンまたはErイオンをドープした結晶またはファイバーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ装置からの出力光を所定の対象物に出力する出力部と、
    前記対象物から反射した反射光を受光する受光部と、
    前記受光部の出力信号に基づいて距離の算出を行う信号処理部と
    を備えることを特徴とする距離測定装置。
  7. 前記非線形結晶の前記光軸上への挿入または前記光軸上からの退避を選択するための手動入力手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の距離測定装置。
  8. 前記対象物までの距離に基づいて前記非線形結晶の前記光軸上への挿入または前記光軸上からの退避が選択されることを特徴とする請求項6に記載の距離測定装置。
  9. 前記対象物との間における空気の透明度を検出する透明度検出手段を備え、
    前記透明度検出手段の出力に基づいて前記非線形結晶の前記光軸上への挿入または前記光軸上からの退避が選択されることを特徴とする請求項6に記載の距離測定装置。
  10. 前記対象物を含む対象エリアを撮影する画像撮影部と、
    前記画像撮影部で撮影された画像を赤緑青の3色に分解し、前記対象物の色彩データを得る画像処理部と
    を備え、
    前記色彩データに基づいて、前記非線形結晶の前記光軸上への挿入を行った場合の出力光を用いた距離の測定または前記非線形結晶の前記光軸上への挿入を行わない場合の出力光を用いた距離の測定のいずれかが選択されることを特徴とする請求項6に記載の距離測定装置。
  11. 前記受光部で受光した光の受光強度に基づいて、前記非線形結晶の前記光軸上への挿入を行った場合の出力光を用いた距離の測定または前記非線形結晶の前記光軸上への挿入を行わない場合の出力光を用いた距離の測定のいずれかが選択されることを特徴とする請求項6に記載の距離測定装置。
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