JP2008248953A - 緩衝器 - Google Patents

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Abstract

【課題】作動油注入作業に大きな力を要せず行うことができ作業者の負担を軽減することが可能な緩衝器を提供することであり、また、シリンダ内からエア抜きを簡単に行うことが可能な緩衝器を提供することである。
【解決手段】シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内に二つの圧力室R1,R2を区画するピストン3と、ピストン3に連結されるとともにシリンダ1内に移動自在に挿入されるピストンロッド4とを備えた緩衝器において、ピストンロッド4に各圧力室同士R1,R2を連通する通路4b,4cと、当該通路4b,4cを閉塞するプラグ9とを設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、緩衝器の改良に関する。
この種緩衝器にあっては、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンでシリンダ内に区画した二つの圧力室と、ピストンに連結されるとともにシリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるフリーピストンでシリンダの下方に区画される気室とを備えており、伸縮動作時に各圧力室を交流する作動油の流れに抵抗を与えて所定の減衰力を発生するようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、このような緩衝器を製造する工程のうち、シリンダ内に作動油を注入する作業においては、予め、フリーピストンをシリンダ内の所定位置に挿入してシリンダ内を作動油が注入される圧力室側と気室とに区画し、気室にはガスを封入しない状態で、シリンダのフリーピストンより上方の圧力室側に各圧力室に必要な所定量の作動油を注入しておいてから、ピストンとピストンに設けた通路を開閉するリーフバルブ等とをピストンロッドに組み付けたアッセンブリを作動油注入済みのシリンダ内に挿入するようにしている。なお、気室へのガス封入はシリンダ端部を閉塞するキャップに設けた孔等から行われ、気室にガスを封入するのは作動油の注入後に行われる。これは作動油注入前に気室にガスを封入すると気室内の圧力でフリーピストンが押圧されてシリンダ内で所定位置を維持することができないからである。
このように、作動油注入済みのシリンダにアッセンブリを挿入するようにしているため、ピストンより上方側の圧力室内に作動油を行き渡らせるためには、ピストンロッドをシリンダ内に押し込んでピストンをシリンダの下方側へ移動させる。
このようにすることで、下方側の圧力室が増圧されてピストンに設けたポートを介して上方側の圧力室へ作動油が移動し、各圧力室内に作動油を充満させることができる。
特開2005−265090号公報(図1)
このシリンダの上方側の圧力室内に作動油を移動させる際には、上述のように作動油にピストンに設けたポートを通過させる必要があるが、当該ポートはオリフィスやチョークによって連通状態におかれる他はリーフバルブによって閉塞されているため、上記ピストンロッドの押し込みによる作動油の移動は、オリフィスやチョークを介して行われることになる。
しかしながら、特にピストン速度が極低い場合にあっても充分な減衰力の発揮を望まれる緩衝器にあっては、上記オリフィスやチョークの流路面積が極めて小さく設定されるため、ピストンロッドの押し込み作業には大きな力を必要で作業者の作業負担が重く、また、あまりにもオリフィス等の流路面積が小さい場合には押し込み作業自体を人の力で行うことができなくなってしまう虞もある。
さらに、フリーピストンをシリンダ内の所定位置に挿入しておいてから上記の通り作動油注入作業を行うようにしており、この注入作業時には気室にはガスが封入されていない状態であるため、上記の如くピストンロッドをシリンダ内に押し込むと、フリーピストンが作動油に押されて所定位置からずれてしまうばかりでなく、圧力室からエア抜きが出来ない虞もある。
そこで、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、作動油注入作業に大きな力を要せず行うことができ作業者の負担を軽減することが可能な緩衝器を提供することであり、また、シリンダ内からエア抜きを簡単に行うことが可能な緩衝器を提供することである。
上記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内に二つの圧力室を区画するピストンと、ピストンに連結されるとともにシリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドとを備えた緩衝器において、ピストンロッドに各圧力室同士を連通する通路と、当該通路を閉塞するプラグとを設けた。
本発明の緩衝器によれば、ピストンロッドを押し込む作業工程において、作動油が圧力室から圧力室へ殆ど抵抗なく移動可能であるので、ピストンロッドの押し込みに必要な力は僅かでよくなり、作業員の作業負担が軽減されるとともに、わざわざ専用の押し込み機具等を使用するような煩雑な作業も回避でき、緩衝器の製造組立も簡単となる。
そして、各圧力室内に作動油が満たされた後には、プラグで通路を閉塞する事によって、通路による各圧力室の連通が遮断すれば、作動油注入作業が終了し、緩衝器に伸縮の両行程で設定どおりの減衰力を発揮させることができる。
また、緩衝器がシリンダ内にフリーピストンで画成される気室を備える単筒型緩衝器とされる場合には、ピストンロッドを押し込む作業工程において圧力室が殆ど増圧されないので、フリーピストンを下方へと押圧する力が小さく、フリーピストンの位置ずれが生じず、さらに、その後のピストンロッドの上下方向へ往復動させることによってもフリーピストンの位置ずれが生じないので、圧力室内にエアが取り残されてしまうことがなく、確実にエア抜きを行うことができる。
さらに、ピストンロッドの押し込み作業時にフリーピストンの位置ずれが生じないので、緩衝器の組立加工時に油室の容積変化が招来されることがなく、設計どおりに緩衝器を製造することが可能であり、また、緩衝器の性能が製品毎に異なってしまうということもなく、製品歩留まりも向上することになる。
以下、本発明の緩衝器を図に基づいて説明する。図1は、一実施の形態における緩衝器における縦断面図である。図2は、他の実施の形態における緩衝器における縦断面図である。図3は、別の一実施の形態における緩衝器における縦断面図である。
一実施の形態における緩衝器D1は、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内に油室Lと気室Gとを隔成するフリーピストン2と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内の油室Lを二つの圧力室R1,R2を区画するピストン3と、一端がピストン3に連結されるとともにシリンダ1内に移動自在に挿入されるピストンロッド4と、シリンダ1の図1中上方の開口端を閉塞するととともにピストンロッド4を軸支するヘッド部材5と、シリンダ1の図1中下方の開口端に嵌合するキャップ6とを備え、上記圧力室R1,R2内には作動油が充満されるとともに、気室G内には所定圧の不活性ガスが封入され、この場合、緩衝器D1は、単筒型緩衝器として構成されている。
つづいて、緩衝器D1を構成する各部について詳細に説明すると、ピストン3は、上述のように、シリンダ1内を2つの圧力室R1,R2に区画し、さらには、上記圧力室R1と圧力室R2とを連通するポート3a,3bを有している。
また、これら各ポート3a,3bは、それぞれ、ピストン3に積層されるリーフバルブ7a,7bで開閉されるようになっていて、ピストン3および各リーフバルブ7a,7bはピストンロッド4の小径とされる先端4aに組み付けられ、当該先端4aに螺着されるピストンナット8によって固定されている。
ピストンロッド4は、図1中上端となるシリンダ外側の端部から開口してシリンダ内側の端部まで通じる縦孔4bと、ピストン3の組み付け位置より上方側の側部から開口して縦孔4bへ連通される横孔4cとを備えており、縦孔4b内にはプラグ9が嵌着されている。
このプラグ9は、頭部9aで縦孔4bを閉塞するとともに、側部9bを横孔4cに対向させて横孔4cをも閉塞しており、この縦孔4bと横孔4cによる各圧力室R1,R2同士の連通を遮断している。
また、この場合、縦孔4bの横孔4cへの接続部位より圧力室R2側となる図1中下方側が小径とされて、プラグ9を小径な部位まで押し込むと、頭部9aが縦孔4bの段部4dの内縁に密着して縦孔4bを確実に閉塞できるようになっている。
このように、プラグ9が縦孔4bを閉塞している場合には各圧力室R1,R2同士の連通が遮断されるが、プラグ9が縦孔4bを閉塞していない場合には、各圧力室R1,R2は当然に連通状態におかれることになり、この実施の形態の場合、通路は、当該縦孔4bおよび横孔4cで形成されている。
なお、プラグ9は、縦孔4bのみならず外周を横孔4cに対向させて横孔4cをも閉塞しており、これによって確実に各圧力室R1,R2同士の連通を遮断するようにしているが、プラグ9は各圧力室R1,R2同士の連通を遮断することができればよいので、縦孔4bの途中であって横孔4cより圧力室R2側を閉塞するようにしてもよい。さらに、図示したところでは、プラグ9は、小型な栓とされているが、全長がピストンロッド4のシリンダ外側端部まであるように構成されてもよく、そのように全長が長い場合には、端部でピストンロッド4に溶接してもよい。また、プラグ9は、上記したところでは、縦孔4b内に打ち込んで嵌着するようにしているが、縦孔4bに螺着するようにしてもよく、さらには、プラグ9の背面側にプラグ9の抜けを阻止する部材や作動油の漏洩を阻止するシールを設けてもよい。
つづいて、ピストンロッド4を軸支するヘッド部材5は、環状に形成される本体5aと、本体5aの内周に保持されてピストンロッド4の外周に摺接してピストンロッド4をガイドする筒状のベアリング5bと、を備えて構成されており、シリンダ1の図1中上端内周に嵌合されて、シリンダ1の上端を閉塞する。
そして、このヘッド部材5の図1中上端側には、環状のシール部材10が積層されており、このシール部材10は、内周側に設けたピストンロッド4の外周に摺接するリップ10aと、外周側に設けたシリンダ1の内周に密着する外周シール10bとを備えて緩衝器D1内から作動油の漏洩を防止しており、シリンダ1の図1中上方の開口端を加締めることで、上記ヘッド部材5とともにシリンダ1に固定される。
また、シリンダ1の下端は、上記したようにキャップ6で閉塞されており、キャップ6にはフリーピストン2で区画される気室G内へガス封入を行うための小孔6aが設けられ、この小孔6aは、上記気室Gへのガス封入後に車両へ緩衝器D1を取り付けるブラケット11をキャップ6へ取り付けることで閉塞される。
このように、緩衝器D1は、シリンダ1内に挿入されるフリーピストン2により画成される油室Lと気室Gとを備えた単筒型の緩衝器として構成されており、ピストン3がシリンダ1に対して図1中上方向に移動して緩衝器D1が伸長すると、リーフバルブ7aが開いて上記ポート3aを開放して作動油が圧力室R1から圧力室R2へ流れ、この作動油の流れにリーフバルブ7aで抵抗を与えて緩衝器D1に伸側の減衰力を発生させることができるようになっている。
そして、緩衝器D1が伸長する際には、ピストンロッド4がシリンダ1から退出するので、シリンダ1内で不足するピストンロッド退出体積分が気室Gの容積膨張によって補償される。
逆に、ピストン3がシリンダ1に対して図1中下方向に移動して緩衝器D1が収縮すると、リーフバルブ7bが開いて上記ポート7bを開放して作動油が圧力室R2から圧力室R1へ流れ、この作動油の流れにリーフバルブ7bで抵抗を与えて緩衝器D1に伸側の減衰力を発生させることができるようになっている。
そして、緩衝器D1が収縮する際には、ピストンロッド4がシリンダ1から進入するので、シリンダ1内で過剰となるピストンロッド進入体積分が気室Gの容積収縮によって補償される。
このように構成された緩衝器D1にあっては、作動油をシリンダ1内に注入する際には、ピストンロッド4に設けた通路をプラグ9で閉塞しない状態としておく。つまり、図1中の縦孔4bからプラグ9を除去した状態としておき、その状態で作動油をシリンダ1内に注入する。
具体的には、従来と同様に、予め、フリーピストン2をシリンダ1内の所定位置に挿入してシリンダ1内を作動油が注入される油室Lと気室Gとに区画し、気室Gにはガスを封入しない状態で、シリンダ1のフリーピストン2より上方の油室Lに各圧力室R1,R2に必要な所定量の作動油を注入しておく。
そうしておいてから、ピストン3とピストン3に設けた通路3a,3bを開閉するリーフバルブ7a,7bとをピストンロッド4に組み付けたアッセンブリを作動油注入済みのシリンダ1内に図1中上方から挿入する。
すなわち、油室L内に作動油注入済みのシリンダ1内にピストンロッド4を図1中下方へと押し込んで、ピストン3の上方側に形成される圧力室R1内へ作動油を移動させるようにする。このピストンロッド4を押し込む作業工程では、通路はプラグ9で閉塞されておらず、各圧力室R1,R2同士を連通状態に維持しているので、作動油は、リーフバルブ7a,7bで閉塞される流路面積が極小のポート3a,3bを迂回し、流路面積が大きな通路である縦孔4bおよび横孔4cを介して圧力室R2から圧力室R1へ殆ど抵抗なく移動する。
したがって、ピストンロッド4を押し込む作業工程において、作動油が圧力室R2から圧力室R1へ殆ど抵抗なく移動可能であるので、ピストンロッド4の押し込みに必要な力は僅かでよくなり、作業員の作業負担が軽減されるとともに、わざわざ専用の押し込み機具等を使用するような煩雑な作業も回避でき、緩衝器の製造組立も簡単となる。
また、ピストンロッド4を押し込む作業工程において、作動油が圧力室R2から圧力室R1へ殆ど抵抗なく移動可能であるので、気室Gとフリーピストン2を隔てて隣り合う圧力室R2が殆ど増圧されないので、フリーピストン2を下方へと押圧する力が小さく、フリーピストン2はシリンダ1との間の摩擦力によってシリンダ1内で所定位置に維持されることになる。
したがって、ピストンロッド4の押し込み作業時にフリーピストン2の位置ずれが生じず、さらに、その後のピストンロッド4の上下方向へ往復動させることによってもフリーピストン2の位置ずれが生じないので、圧力室R2内にエアが取り残されてしまうことがなく、確実にエア抜きを行うことができる。
さらに、ピストンロッド4の押し込み作業時にフリーピストン2の位置ずれが生じないので、緩衝器D1の組立加工時に油室Lの容積変化が招来されることがなく、設計どおりに緩衝器D1を製造することが可能であり、また、緩衝器D1の性能が製品毎に異なってしまうということもなく、製品歩留まりも向上することになる。
そして、各圧力室R1,R2内に作動油が満たされた後には、プラグ9を縦孔9内に打ち込んで、通路を閉塞する。すると、通路による各圧力室R1,R2の連通が遮断されて、作動油注入作業が終了し、緩衝器D1は、上述したように、伸縮の両行程で設定どおりの減衰力を発揮することになる。
このように、本発明の緩衝器D1によれば、その作動油注入作業における作業員の負担を軽減できるのであるが、この実施の形態では、通路がピストンロッド4のシリンダ外端部から開口する縦孔4bで形成されているため、この縦孔4bを介してシリンダ1内の各圧力室R1,R2へ作動油の注入を行うこともできる。
すなわち、通路がピストンロッド4のシリンダ外端部から開口する縦孔4bで形成される場合には、上述したような別途の作動油の注入のみに使用される注入孔を廃することが可能であり、通路は各圧力室R1,R2へ通じているため、各圧力室R1,R2へ同時に作動油を注入することも可能となり、作動油注入時にピストンロッド4の押し込み作業を行う必要が無くなり、加工コストを低減できるとともに作動油注入作業がより一層簡単となる。
また、通路がピストンロッド4のシリンダ外端部から開口する縦孔4bで形成されているため、通路のプラグ9による閉塞作業も外方から簡単に行うことができるのである。
つづいて、他の実施の形態における緩衝器D2について説明する。この他の実施の形態における緩衝器D2は、図2に示すように、シリンダ21と、シリンダ21内に摺動自在に挿入されシリンダ21内を油室L1と気室G1とに区画するフリーピストン22と、シリンダ21内に挿通されるピストンロッド24と、ピストンロッド24の中間に設けられるとともにシリンダ21内に摺動自在に挿入されて油室L1を二つの圧力室R3,R4に区画するピストン23とを備えて構成され、ピストンロッド24の一端24aが気室G1内に突出されて、常時ピストンロッド24の一端24aが気室G1内に存在するようになっている。
詳しくは、ピストン23は、環状とされてピストンロッド24の中間に取り付けられ、上述のように、作動油が充填されているシリンダ21内の油室L1を2つの圧力室R3,R4に区画し、さらには、上記圧力室R3と圧力室R4とを連通するポート23a,23bを有している。
そして、ピストン23は、ポート23aを開閉するリーフバルブ25aおよびポート23bを開閉するリーフバルブ25bとともに、ピストンロッド24の中間に取り付けられている。
すなわち、ピストン23がシリンダ21に対して図2中上方向に移動して緩衝器D2が伸長すると、圧力室R3から圧力室R4へ上記ポート23aを介して移動する作動油の流れにリーフバルブ25aで抵抗を与えて緩衝器D2に減衰力を発生させ、逆に、ピストン23がシリンダ21に対して図2中下方に移動して緩衝器Dが圧縮されると、圧力室R4から圧力室R3へ上記ポート23bを介して移動する作動油の流れにリーフバルブ25bで抵抗を与えて緩衝器D2に減衰力を発生させることができるようになっている。
また、ピストンロッド24は、ピストン23より図2中下方に配置される一端24aと、ピストン23より図2中上方に配置される一端24aと同外径の他端24bとを備えて構成されており、一端24aの上端に螺子孔24cを設けて、他端4bの下端に設けた小径部24dをピストン23内に挿通させて螺子孔24cに螺合させることで、ピストン23を中間に保持しながら一端24aと他端24bとが一体化されている。
さらに、ピストンロッド24の他端24bは、シリンダ21の図2中上端に嵌合される環状のヘッド部材26の内側に挿通されてシリンダ21外へ突出させてあり、このピストンロッド24の他端24bを車両における車体側に、シリンダ21の下端に螺着されて当該下端を閉塞するキャップ27に設けたブラケット28を用いてシリンダ21の下端を車両における車軸側に取り付けることによって、緩衝器D2を車体と車軸との間に介装することができるようになっている。なお、キャップ27とシリンダ21との間にはシール31によってシールされて、気体のシリンダ21外への漏洩が阻止されている。
そして、このピストンロッド24は、シリンダ外側の端部となる他端24bの図2中上端から開口する縦孔24eと、他端24bのピストン23の組み付け位置より上方側の側部から開口して縦孔24eへ連通される横孔24fと、小径部24dのピストン23の組み付け位置より下方側の側部から開口して縦孔24eへ連通される横孔24gと、一端24aの側部から開口して一端24aと他端24bとを一体化した際に横孔24gと圧力室R4とを連通する横孔24hとを備えており、縦孔24e内にはプラグ32が嵌着されている。
このプラグ32は、頭部32aで縦孔24eを閉塞するとともに、側部32bを横孔24fに対向させて横孔24fをも閉塞しており、縦孔24eおよび各横孔24f,24g,24hによる各圧力室R3,R4同士の連通を遮断している。
また、シリンダ21の螺子部21aには、シリンダ21の上端を覆うカバー29が螺着され、当該カバー29と上記ヘッド部材26との間には、環板状のインサートメタル30aと該インサートメタル30aの内周に保持されてロッド4の外周に摺接するリップ30bとを備えたシール部材30が介装され、このシール部材30によってシリンダ21の上端は封止されて、作動油のシリンダ21外への漏洩が阻止されている。
戻って、ピストンロッド24の一端24aは、シリンダ21の図2中下方側に摺動自在に挿入される環状のフリーピストン22の内側に挿通されて気室L側へ突出させてあり、緩衝器D2が伸長しても当該一端24aが常に気室G1内に存在するようになっている。
また、フリーピストン22は、ピストンロッド24の一端24aの挿入を許容するため環状とされており、具体的には、内筒33と、内筒33の外周に螺合によって固定され内筒33の気室側面34に対向するフランジ36を備えた外筒35と、内筒33の内周に固定されてピストンロッド24の一端24aの外周に摺接する筒状のベアリング37と、内筒33の気室側面34と外筒35のフランジ36との間で挟持される環板状のインサートメタル38aとインサートメタル38aの内周部に設けられてピストンロッド24の一端24aの外周に摺接するリップ38bと外筒35の内周に密着する外周シール38cとを備えたシール部材38と、外筒35の外周に設けた環状溝39内に装着されてシリンダ21の外周に摺接する環状シール部材40とを備えて構成されている。
なお、ベアリング37とピストンロッド24との間を通過した作動油は、内筒33に設けた通孔33aを介して圧力室R4へ還流するようになっており、内筒33と外筒35の内周およびフランジ36とで仕切られる空間内に作動油が貯留されて蓄圧されないよう配慮されている。
すなわち、フリーピストン22は、シリンダ21内に油室L1気室G1とを仕切るとともに、上下方向に移動するピストンロッド24をガイドして、ピストンロッド24に作用する横方向の荷重をも支持できるようになっている。したがって、緩衝器D2に横力が作用しても、ヘッド部材26、ピストン23およびフリーピストン22の三つの部材で横力を分散して受けることができ、ピストンロッド24の摺動部における摩擦抵抗を低減でき、緩衝器D2のより滑らかな伸縮を実現することが可能である。
また、このフリーピストン22は、ベアリング37を備えているので、ピストンロッド24の上下方向への移動をより一層円滑なものとすることができ、さらに、リップ38bを備えたシール部材38でピストンロッド24の外周とフリーピストン22との間をシールするようにしているので、摺動性と作動油の密封性を満足することができるようになっている。
なお、ピストンロッド24の一端24aにおける先端となる図2中最下端には、フリーピストン22から当該一端24aが抜けてしまうことが無いようにナット41によって固定されるストッパ42が設けられており、一端24aがフリーピストン22から抜けて油室L1と気室G1とがフリーピストン22内周を介して連通されて緩衝器D2が減衰力を発揮できなくなるような事態の招来を阻止している。
そして、このフリーピストン22で仕切られる気室G1内には、所定圧のガスが封入されており、この緩衝器D2にあっては、ピストンロッド24の一端24aがフリーピストン22内に挿入されて気室G1へ突出するようになっているため、伸縮する際に油室L1の容積変化は無く、単に緩衝器D2が伸縮する場合、基本的にはフリーピストン22がシリンダ21に対し図2中上下方向に移動しない。つまり、気室G1は、内部の圧力によって油室L1を加圧するとともに温度変化による油室L1の容積変化について容積補償するのは、従来の単筒型緩衝器と同じであるが、伸縮時には油室L1の容積が変化しないため、伸縮時の容積補償を行わない。
すなわち、この緩衝器D2では、基本的に、伸縮時にフリーピストン22が上下方向へ移動しないので、フリーピストン22とシリンダ21との間の不安定な摩擦力が圧力室R2内の圧力に影響を与えることが無い。
したがって、この緩衝器Dによれば、フリーピストン22とシリンダ21との間の制御できない不安定な摩擦力が発生減衰力に影響を与えることが無く、緩衝器D2は安定した減衰力を発揮でき、車両における乗り心地を向上することが可能である。
さて、このように構成された緩衝器D2にあっても、一実施の形態における緩衝器Dと同様に、油室L1内に作動油を注入するには、ピストンロッド24に設けた通路をプラグ32で閉塞しない状態としておく。つまり、図2中の縦孔24eからプラグ32を除去した状態としておき、その状態で作動油をシリンダ21内に注入する。
具体的には、一実施の形態と同様に、予め、フリーピストン22をシリンダ21内の所定位置に挿入してシリンダ21内を作動油が注入される油室L1と気室G1とに区画し、気室G1にはガスを封入しない状態で、シリンダ21のフリーピストン22より上方の油室Lに各圧力室R3,R4に必要な所定量の作動油を注入しておく。
そうしておいてから、ピストン23とピストン23に設けた通路23a,23bを開閉するリーフバルブ27a,27bとをピストンロッド24の中間に組み付けたアッセンブリを作動油注入済みのシリンダ21内に図2中上方から挿入する。
すなわち、油室L1内に作動油注入済みのシリンダ21内にピストンロッド24を図2中下方へと押し込んで、ピストン23の上方側に形成される圧力室R3内へ作動油を移動させるようにする。このピストンロッド24を押し込む作業工程では、通路はプラグ32で閉塞されておらず、各圧力室R3,R4同士を連通状態に維持しているので、作動油は、リーフバルブ27a,27bで閉塞される流路面積が極小のポート23a,23bを迂回し、流路面積が大きな通路である縦孔24eおよび各横孔24f,24g,24hを介して圧力室R4から圧力室R3へ殆ど抵抗なく移動する。
したがって、この実施の形態にあっても、ピストンロッド24を押し込む作業工程において、作動油が圧力室R4から圧力室R3へ殆ど抵抗なく移動可能であるので、ピストンロッド24の押し込みに必要な力は僅かでよくなり、作業員の作業負担が軽減されるとともに、わざわざ専用の押し込み機具等を使用するような煩雑な作業も回避でき、緩衝器の製造組立も簡単となり、気室G1とフリーピストン22を隔てて隣り合う圧力室R4が殆ど増圧されないので、フリーピストン22を下方へと押圧する力が小さく、フリーピストン22はシリンダ21との間の摩擦力によってシリンダ1内で所定位置に維持されることになる。
したがって、ピストンロッド24の押し込み作業時にフリーピストン22の位置ずれが生じず、さらに、その後のピストンロッド24の上下方向へ往復動させることによってもフリーピストン22の位置ずれが生じないので、圧力室R4内にエアが取り残されてしまうことがなく、確実にエア抜きを行うことができる。
さらに、ピストンロッド24の押し込み作業時にフリーピストン22の位置ずれが生じないので、緩衝器D2の組立加工時に油室L1の容積変化が招来されることがなく、設計どおりに緩衝器D2を製造することが可能であり、また、緩衝器D2の性能が製品毎に異なってしまうということもなく、製品歩留まりも向上することになる。
つづいて、別の実施の形態における緩衝器D3について説明する。この別の実施の形態における緩衝器D3は、図3に示すように、シリンダ51と、シリンダ51の一端を閉塞するキャップ52と、拡径部53aと小径部53bを備え拡径部53aがシリンダ51内に嵌合され小径部53bがキャップ52に連結されて内方が外部へと連通されるとともにシリンダ51との間にリザーバR5を形成するパイプ53と、シリンダ51内に挿通されるとともに一端54a側がパイプ53内に挿通されるピストンロッド54と、パイプ53の拡径部53aの内周側に固定されてピストンロッド54の一端54aをガイドする環状のガイド部材55と、ピストンロッド54の中間に設けられるとともにシリンダ51内に二つの圧力室R6,R7を隔成するピストン56と、パイプ53の小径部53bとシリンダ51との間に摺動自在に挿入されてリザーバR5を貯油室70と気室G2に区画する環状のフリーピストン57と、パイプ53の拡径部53aに設けられて貯油室70と圧力室R7とを連通するオリフィス53cとを備えて構成されている。
以下、各部材について詳細に説明すると、シリンダ51には、シリンダ51の一端たる図3中下端を閉塞するキャップ52が螺着されており、このキャップ52は、シリンダ51の下端を車両における車軸側に取り付けるブラケット52aを備えている。
そして、キャップ52は、シリンダ51内を向く図3中上端から開口する嵌合孔52bと、側方から開口して上記嵌合孔52bに通じて嵌合孔52bを緩衝器D3外へ連通する横孔52cとを備えており、この嵌合孔52b内にはシリンダ51内に挿入されるパイプ53の小径部53bの先端となる図3中下端が嵌合される。
パイプ53は、図3中上端側が拡径されて拡径部53aが形成され、拡径部53aから下方は小径部53bとされ、この小径部53bの先端である図3中下端の外周には環状溝53dが形成されている。さらに、拡径部53aの外周には軸方向となる図3中上下方向に沿う縦溝が設けられており、この縦溝は、拡径部53aをシリンダ51内に嵌合することでオリフィス53cとして機能する。
そして、このパイプ53における小径部53bの先端をキャップ52の嵌合孔52b内に挿入嵌合させ、キャップ52に一対の螺子部材58,58をパイプ53の接線方向から平行に螺着させてパイプ53の環状溝53d内に挿入することで、パイプ53をキャップ52に固定するようになっており、パイプ53内は、横孔52cを介して緩衝器D3外へ連通されて大気開放されるとともに、パイプ53は螺子部材58,58と環状溝53dとの遊びによってキャップ52およびシリンダ51に対して若干の振れが可能なようになっている。
このように、パイプ53をシリンダ51内に挿入してキャップ52に固定すると、パイプ53の拡径部53aはシリンダ51の内周に嵌合して、パイプ53は、シリンダ51内に環状隙間を画成し、この環状隙間でリザーバR5を形成するとともに、シリンダ51の図3中上方側に作動油が充填される油室L2を仕切っている。
そして、このパイプ53の小径部53bとシリンダ51の内周との間には、環状のフリーピストン57が摺動自在に挿入され、このフリーピストン57は、リザーバR5を作動油が充填される貯油室70と所定圧のガスが封入される気室G2とに区画している。なお、パイプ53の小径部53bの先端となる図3中下端外周には環状のシール80が装着されており、このシール80によりキャップ52の嵌合孔52bと小径部53bとの間がシールされて、気体のシリンダ51外への漏洩が阻止されている。
また、フリーピストン57は、内周および外周に環状シール57a,57bを備えており、貯油室70内の作動油の漏れを防止している。
つづいて、ピストン56は、環状とされてピストンロッド54の中間に取り付けられ、パイプ53でシリンダ51の図3中上方側に仕切られて作動油が充填される油室L2を2つの圧力室R6,R7に区画し、さらには、上記圧力室R1と圧力室R2とを連通するポート56a,56bを有している。
そして、ピストン56は、ポート56aを開閉するリーフバルブ59aおよびポート56bを開閉するリーフバルブ59bとともに、ピストンロッド54の中間に取り付けられている。
すなわち、ピストン56がシリンダ51に対して図3中上方向に移動して緩衝器D3が伸長すると、圧力室R6から圧力室R7へ上記ポート56aを介して移動する作動油の流れにリーフバルブ59aで抵抗を与えて緩衝器D3に減衰力を発生させ、逆に、ピストン56がシリンダ51に対して図3中下方に移動して緩衝器D3が収縮すると、圧力室R7から圧力室R6へ上記ポート56bを介して移動する作動油の流れにリーフバルブ59bで抵抗を与えて緩衝器D3に減衰力を発生させることができるようになっている。
また、このように構成されることで、リザーバR5の貯油室70は、オリフィス53cを通じて作動室のうち圧力室R7に連通されるようになっており、リザーバR5は、各圧力室R6,R7を気室G2の圧力によって加圧している。
さらに、ピストンロッド54は、ピストン56より図3中下方に配置される一端54aと、ピストン56より図3中上方に配置される一端54aと同外径の他端54bとを備えて構成されており、一端54aの上端に螺子孔54cを設けて、他端54bの下端に設けた小径部54dをピストン53内に挿通させて螺子孔54cに螺合させることで、ピストン56を中間に保持しながら一端54aと他端54bとが一体化されている。なお、このようにピストンロッド54を一端54aと他端54bの二つの部材で構成することで、中間へのピストン56の設置が容易となるが、ピストンロッド54およびピストン56を一体的に製造するようにしてもよい。
さらに、ピストンロッド54の他端54bは、シリンダ51の図3中上端に嵌合される環状のヘッド部材60の内側に挿通されてシリンダ51外へ突出させてあり、このピストンロッド54の他端54bを車両における車体側に、シリンダ51の下端に螺着されて当該下端を閉塞するキャップ52に設けたブラケット52aを用いてシリンダ51の下端を車両における車軸側に取り付けることによって、緩衝器D3を車体と車軸との間に介装することができるようになっている。なお、キャップ52とシリンダ51との間にはシール61によってシールされて、気体のシリンダ51外への漏洩が阻止されている。
そして、このピストンロッド54は、シリンダ外側の端部となる他端54bの図3中上端から開口する縦孔54eと、他端54bのピストン56の組み付け位置より上方側の側部から開口して縦孔54eへ連通される横孔54fと、小径部54dのピストン56の組み付け位置より下方側の側部から開口して縦孔54eへ連通される横孔54gと、一端54aの側部から開口して一端54aと他端54bとを一体化した際に横孔54gと圧力室R7とを連通する横孔54hとを備えており、縦孔54e内にはプラグ71が嵌着されている。
このプラグ71は、頭部71aで縦孔54eを閉塞するとともに、側部71bを横孔54fに対向させて横孔54fをも閉塞しており、縦孔54eおよび各横孔54f,54g,54hによる各圧力室R6,R7同士の連通を遮断している。
さらに、シリンダ51の螺子部51aには、シリンダ51の図3中上端を覆うカバー62が螺着され、当該カバー62と上記ヘッド部材60との間には、環板状のインサートメタル63aと該インサートメタル63aの内周に保持されてロッド4の外周に摺接するリップ63bとを備えたシール部材63が介装され、このシール部材63によってシリンダ51の上端は封止されて、作動油のシリンダ51外への漏洩が阻止されている。
戻って、ピストンロッド54の一端54aは、シリンダ51内に挿入されるパイプ53内に移動自在に挿通されるとともに、パイプ53の拡径部53a内に固定される環状のガイド部材55によって摺動自在に軸支されている。すなわち、ピストンロッド54の一端54aはパイプ53の拡径部53aに設置されたガイド部材55によってガイドされて小径部53b内に突出されており、パイプ53内は大気開放されているので、緩衝器D3が伸縮しても当該一端54aに大気圧以外の圧力が作用することがないようになっている。
上記ガイド部材55は、ピストンロッド54の一端54aの挿入を許容するため環状とされており、具体的には、パイプ53の拡径部53aの内周に螺着される環状本体55aと、環状本体55aの内周に固定されてピストンロッド54の一端54aの外周に摺接する筒状のベアリング55bとを備えて構成されており、このガイド部材55とパイプ53における拡径部53aと小径部53bとの境の段部53eとの間には、シール部材64が介装されている。
シール部材64は、環状本体55aとパイプ53の段部53eとの間で挟持される環板状のインサートメタル64aとインサートメタル64aの内周部に設けられてピストンロッド54の一端54aの外周に摺接するリップ64bとパイプ53の拡径部53aの内周に密着する外周シール64cとを備えて構成され、このシール部材64によって、圧力室R7からパイプ53内への作動油の漏洩が阻止されている。
なお、ベアリング55bとピストンロッド54との間を通過した作動油は、環状本体55aに設けた通孔55cを介して圧力室R7へ還流するようになっており、環状本体55aとパイプ53における拡径部53aの内周および段部53eとで仕切られる空間内に作動油が貯留されて蓄圧されないよう配慮されている。
上述したところから理解できるように、この緩衝器D3は、いわゆる両ロッド型の緩衝器として構成されており、伸縮する際に各圧力室R6,R7の全体の容積に変化は無く、単に緩衝器D3が伸縮する場合、基本的にはフリーピストン57がシリンダ51に対し図3中上下方向に移動しない。つまり、リザーバR5は、内部の圧力によって作動室である各圧力室R6,R7を加圧するとともに温度変化による作動室である各圧力室R6,R7の全体の容積変化について気室G2で吸収して容積補償し、基本的には、伸縮時の容積補償を行わない。
すなわち、この緩衝器D3では、基本的に、伸縮時にフリーピストン57が上下方向へ移動しないので、フリーピストン57とシリンダ51との間の不安定な摩擦力が圧力室R7内の圧力に影響を与えることが無く、緩衝器D3は安定した減衰力を発揮できる。
また、突発的に、圧力室R7内の圧力が上昇あるいは下降することがあっても、ピストン速度が低速となる場合にはフリーピストン57とシリンダ51との摩擦力によってフリーピストン57の移動が制限されることになり、ピストン速度が高速となる場合にはオリフィス53cの絞り効果によって貯油室70内への作動油の流入が規制されて、温度補償時以外において貯油室70と圧力室R7との作動油の交流を制限することができ、緩衝器D3の発生減衰力に影響を与えることがない。
このように、この緩衝器D3は、両ロッド型の緩衝器として構成され、シリンダ1内に内部が大気開放されるパイプ53を挿入してシリンダ51内に環状のリザーバRを形成し、このパイプ53内にピストンロッド54の一端54aを挿通するようにしているので、ピストンロッド54の両端には大気圧が作用するのみであってリザーバR5の気室G2内の圧力が作用することがないため、ロッド反力が生じない。
したがって、この緩衝器D3によれば、上記ロッド反力が生じないので、気室G2内の圧力の設定に制限を受けることがなく、気室G2内の圧力を自由に設定することができ、緩衝器の発生減衰力や応答性の設定の自由度が飛躍的に高まり、気室G2内の圧力を車両における乗り心地にとって最適となるように設定することができ、車両における乗り心地を飛躍的に向上させることができる。
また、シリンダ51内にシリンダ51の端部を閉塞するキャップ52に連結されるパイプ53を挿入してシリンダ51内に環状のリザーバRを形成するようにしたので、両ロッド型の緩衝器D3の構成をモノチューブで実現することができ、緩衝器D3の外径をコンパクトにすることができるとともに、ピストン56における受圧面積を大きく設定することができ緩衝器D3を大きな減衰力の発生に適するものとすることができる。
さらに、シリンダ51内に内部が大気開放されるパイプ53を挿入してシリンダ51内に環状のリザーバR5を形成するようにし、このリザーバR5はパイプ53の拡径部53aに設けたオリフィス53cによって圧力室R7に連通されるようになっているため、緩衝器D3の構成が複雑とならず容易に緩衝器D3を製造することが可能である。
さて、このように構成された緩衝器D3にあっても、一実施の形態における緩衝器Dと同様に、油室L2内に作動油を注入するには、ピストンロッド54に設けた通路をプラグ71で閉塞しない状態としておく。つまり、図3中の縦孔54eからプラグ71を除去した状態としておき、その状態で作動油をシリンダ51内に注入する。
具体的には、予め、シリンダ51にパイプ53およびフリーピストン57をシリンダ51内の所定位置に挿入してシリンダ51内を作動油が注入される油室L2とリザーバR5および気室G2とに区画し、気室G2にはガスを封入しない状態で、シリンダ51の油室L2に各圧力室R6,R7および貯油室70で必要な所定量の作動油を注入しておく。なお、貯油室70内への作動油の注入は、フリーピストン57を上下方向に往復動させて注射器の容量で貯油室70に作動油を吸い込ませつつエアを抜けばよい。
そうしておいてから、ピストン56とピストン56に設けた通路56a,56bを開閉するリーフバルブ59a,59bとをピストンロッド54の中間に組み付けたアッセンブリを作動油注入済みのシリンダ51内に図3中上方から挿入する。
すなわち、油室L2内に作動油注入済みのシリンダ51内にピストンロッド54を図3中下方へと押し込んで、ピストン56の上方側に形成される圧力室R6内へ作動油を移動させるようにする。このピストンロッド54を押し込む作業工程では、通路はプラグ71で閉塞されておらず、各圧力室R6,R7同士を連通状態に維持しているので、作動油は、リーフバルブ59a,59bで閉塞される流路面積が極小のポート56a,56bを迂回し、流路面積が大きな通路である縦孔54eおよび各横孔54f,54g,54hを介して圧力室R7から圧力室R6へ殆ど抵抗なく移動する。
したがって、この実施の形態にあっても、ピストンロッド54を押し込む作業工程において、作動油が圧力室R7から圧力室R6へ殆ど抵抗なく移動可能であるので、ピストンロッド54の押し込みに必要な力は僅かでよくなり、作業員の作業負担が軽減されるとともに、わざわざ専用の押し込み機具等を使用するような煩雑な作業も回避でき、緩衝器の製造組立も簡単となり、圧力室R7が殆ど増圧されないので気室G2とフリーピストン57を隔てて隣り合う貯油室70も殆ど増圧されず、フリーピストン57を下方へと押圧する力が小さく、フリーピストン57はシリンダ51との間の摩擦力によってシリンダ51内で所定位置に維持されることになる。
したがって、ピストンロッド54の押し込み作業時にフリーピストン57の位置ずれが生じず、さらに、その後のピストンロッド54の上下方向へ往復動させることによってもフリーピストン57の位置ずれが生じないので、圧力室R7内にエアが取り残されてしまうことがなく、確実にエア抜きを行うことができる。
さらに、ピストンロッド54の押し込み作業時にフリーピストン57の位置ずれが生じないので、緩衝器D3の組立加工時に油室L2の容積変化が招来されることがなく、設計どおりに緩衝器D3を製造することが可能であり、また、緩衝器D3の性能が製品毎に異なってしまうということもなく、製品歩留まりも向上することになる。
このように、本発明は、片ロッド型のみならず両ロッド型の緩衝器にも具現化できる。また、緩衝器D1,D2,D3は、図示および説明したところでは、いわゆる単筒型の緩衝器とされているが、これは例示であって本発明は複筒型の緩衝器にも適用しても作業員の作業負担を軽減することができ、さらには、緩衝器の製造組立を簡単とするという優れた効果を失うことはない。
またさらに、上述したところでは、緩衝器D2,D3をシリンダを車軸側に設置するいわゆる正立型の緩衝器として利用可能なように、フリーピストンを用いて液室と気室とを仕切るようにしているが、シリンダ側を車体側に取り付け、ロッドを車軸側に取り付ける、いわゆる倒立型とする場合には、緩衝器D2,D3を天地逆とする配置になるため、気室が必然的に上方に配置されて気液分離が可能となるので、フリーピストンを省略するとしてもよく、そうしても本発明の作用効果を失うことが無い。換言すれば、フリーピストンを設けることで、緩衝器D2,D3が正立型でも倒立型でも使用可能になるということである。また、この倒立型に設定される緩衝器では、フリーピストンを省略できるので、部品点数を削減できる。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
一実施の形態における緩衝器における縦断面図である。 他の実施の形態における緩衝器における縦断面図である。 別の一実施の形態における緩衝器における縦断面図である。
符号の説明
1,21,51 シリンダ
2,22,57 フリーピストン
3,23,56 ピストン
3a,3b,23a,23b,56a,56b ピストンにおけるポート
4,24,54 ピストンロッド
4a ピストンロッドにおける先端
4b,24e,54e ピストンロッドにおける縦孔
4c,24f,24g,24h,54f,54g,54h ピストンロッドにおける横孔
4d ピストンロッドにおける段部
5,26,60 ヘッド部材
5a ヘッド部材における本体
5b ヘッド部材におけるベアリング
6,27,52 キャップ
6a キャップにおける小孔
7a,7b,25a,25b,59a,59b リーフバルブ
8 ピストンナット
9,32,71 プラグ
9a,32a,71a プラグにおける頭部
9b,32b,71b プラグにおける側部
10,30,63,64 シール部材
10a,30a,63a,64a シール部材におけるリップ
10b,30b,63b,64b シール部材における外周シール
11,28,52a ブラケット
21a,51a シリンダにおける螺子部
24a,54a ピストンロッドにおける一端
24b,54b ピストンロッドにおける他端
24c,54c 螺子孔
24d,54d 小径部
29,62 カバー
31,61,80 シール
33 フリーピストンにおける内筒
33a 内筒における通孔
34 内筒における気室側面
35 フリーピストンにおける外筒
36 外筒におけるフランジ
37 フリーピストンにおけるベアリング
38 フリーピストンにおけるシール部材
38a フリーピストンのシール部材におけるインサートメタル
38b フリーピストンのシール部材におけるリップ
38c フリーピストンのシール部材におけるシール
39 外筒における環状溝
40 フリーピストンにおける環状シール部材
41 ナット
42 ストッパ
52b キャップにおける嵌合孔
52c キャップにおける横孔
53 パイプ
53a パイプにおける拡径部
53b パイプにおける小径部
53c パイプにおけるオリフィス
53d パイプにおける環状溝
53e パイプにおける段部
55 ガイド部材
55a ガイド部材における環状本体
55b ガイド部材におけるベアリング
55c 環状本体における通孔
57a,57b フリーピストンにおける環状シール
58 螺子部材
70 貯油室
D1,D2,D3 緩衝器
G,G1,G2 気体室
L,L1,L2 油室
R1,R2,R3,R4,R6,R7 圧力室
R5 リザーバ

Claims (5)

  1. シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内に二つの圧力室を区画するピストンと、ピストンに連結されるとともにシリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドとを備えた緩衝器において、ピストンロッドに各圧力室同士を連通する通路と、当該通路を閉塞するプラグとを設けたことを特徴とする緩衝器。
  2. シリンダ内に油室と気室とを備え、ピストンはピストンロッドの中間に設けられて、ピストンロッドの一端が気室内に突出されてなることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  3. 拡径部と小径部を備え拡径部がシリンダ内に嵌合され小径部がキャップに連結されて内方が外部へと連通されるとともにシリンダとの間に貯油室と気室とでなるリザーバを形成するパイプと、パイプの拡径部に設けられて貯油室と圧力室とを連通するオリフィスとを備え、ピストンがピストンロッドの中間に設けられて、ピストンロッドの一端がパイプ内に挿通されてなることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  4. ピストンロッドのシリンダ外側の端部から開口する縦孔を設け、当該縦孔で各圧力室同士を連通する通路の一部を形成してなり、プラグは各圧力室の連通を断つように縦孔を閉塞することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の緩衝器。
  5. 通路はシリンダ内に作動油を注入する際には連通状態におかれ、注入作業後にプラグで閉塞されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の緩衝器。
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