JP6523848B2 - フロントフォーク - Google Patents

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Description

本発明は、フロントフォークに関する。
フロントフォークは、二輪車又は三輪車等の鞍乗型車両の前輪を支持するのに利用されている。このようなフロントフォークの中には、内部に封入する気体の圧力で車体を弾性支持する空圧ばね式のフロントフォークがある。
例えば、特許文献1に記載のフロントフォークは、アウターチューブと、このアウターチューブに出入りするインナーチューブとを有するテレスコピック型の筒部材と、この筒部材内に設けられて筒部材の伸縮時に減衰力を発揮する正立型のダンパとを備える。そして、筒部材とダンパとの間に液体が貯留されるとともに、その液面の上方に気体が封入されて気室が形成されており、この気室内に封入される気体が圧縮されると弾性力を発揮してフロントフォークを伸長方向へ附勢する。つまり、上記フロントフォークでは、上記気室により気体ばねが構成されており、当該気体ばねで車体を弾性支持できるので軽量になる。
また、上記フロントフォークでは、アウターチューブとインナーチューブの重複部の間に形成される筒状隙間の外気側開口がインナーチューブの外周に摺接する環状のメインシールで塞がれている。さらに、この筒状隙間には、軸受と、この軸受の摺接面を潤滑する潤滑用の液体が収容されていて、インナーチューブの円滑な摺動を可能にするとともに、当該インナーチューブに形成される孔を介してインナーチューブ内の液体を摺動隙間に供給できる。
特開2013−53671号公報
しかしながら、従来のフロントフォークでは、気体ばねとして機能する気室の圧力がインナーチューブの孔を介してメインシールに作用してメインシールの内径が縮径されるので、メインシールによるインナーチューブを締め付ける緊迫力が大きくなる。このようにメインシールの緊迫力が大きくなるとフロントフォークの動き始めの抵抗が大きくなる。よって、例えば、フロントフォークがモトクロス用のバイクに利用される場合には特に、車両が跳躍して着地する際に受ける力を逃がし難くなって車両の乗り心地が悪化する。
なお、気室内の気体を抜いて気室内の圧力を下げればメインシールの緊迫力が小さくなる。しかし、上記フロントフォークでは、気室内の圧力を利用して車体を弾性支持しているので、上記圧力を下げると気体ばねの弾性力が不足して、この場合にも車両の乗り心地の悪化を招く。つまり、前述のような気体ばねで車体を弾性支持する従来のフロントフォークでは、気体内の圧力を維持しつつメインシールの緊迫力を小さくするのが難しい。そして、このような不具合は、特開2013−53671号公報に記載のフロントフォークに限られず、気体ばねとして機能する気室の圧力が筒状隙間の外気側開口を塞ぐメインシールに作用する場合において生じ得る。
そこで、本発明は、上記不具合を解消し、車両の乗り心地を向上できるフロントフォークの提供を課題とする。
上記課題を解決する請求項1に記載の発明は、筒部材のインナーチューブとダンパのシリンダとの間に摺動可能に挿入されて、前記筒部材の筒状隙間及び前記シリンダ内に連通される液室を形成するフリーピストンと、前記筒部材内に封入される気体の圧力で前記液室を縮小する方向に前記フリーピストンを附勢する気体ばねと、前記液室を拡大する方向に前記フリーピストンを附勢する弾性部材とを備える。このため、気室内の圧力を維持しつつ弾性部材で筒状隙間内の圧力を下げて、筒状隙間の外気側開口を塞ぐメインシールの緊迫力を小さくできる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の構成を備えるとともに、前記シリンダが外周の軸方向の異なる位置に一対のリリーフ溝を有する。また、前記フリーピストンが前記筒部材と前記シリンダとの間の空間を前記液室と、液体が貯留される液溜室とに区画するとともに、内周に環状の内周シールを有する。そして、前記内周シールと前記各リリーフ溝が対向した状態で、前記液室と前記液溜室との連通が許容されるとともに、前記内周シールと反液溜室側の前記リリーフ溝が対向した状態で、前記弾性部材が前記液溜室側に前記フリーピストンを附勢する。つまり、弾性部材が筒状隙間の圧力を下げる減圧ばねとして機能するとともに、内周シールと反液溜室側のリリーフ溝との対向状態を解除する戻しばねとしても機能する。よって、フロントフォークを構成する部品数を減らしてフロントフォークの組立性を良好にでき、フロントフォークの製造コストを低減できる。
本発明のフロントフォークによれば、車両の乗り心地を向上できる。
本発明の一実施の形態に係るフロントフォークの取付状態を簡略化して示した側面図である。 本発明の一実施の形態に係るフロントフォークを具体的に示した縦断面図である。 図2の一部を拡大して示した図である。 (a)は、図3のフリーピストンが下側のリリーフ溝に第二摺接部のOリングが対向するまで移動した状態を示した図である。(b)は、図3のフリーピストンが上側のリリーフ溝に第二摺接部のOリングが対向するまで移動した状態を示した図である。
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るフロントフォークFは、自動二輪車の車体Bと前輪Wとの間に介装される。フロントフォークFは、車体B側のアウターチューブ1と、このアウターチューブ1内に摺動自在に挿入される車輪W側のインナーチューブ2とを有して構成されるテレスコピック型の筒部材Tを備える。アウターチューブ1の外周には、上下の車体側ブラケット10が固定されており、これら車体側ブラケット10が車体Bの骨格となる車体フレームに連結される。他方のインナーチューブ2の図1中下端部外周には、車輪側ブラケット20が固定されており、この車輪側ブラケット20が前輪Wの車軸に連結される。よって、路面凹凸による衝撃が前輪Wに入力されると、アウターチューブ1にインナーチューブ2が出入りして筒部材Tが伸縮し、これによりフロントフォークFが伸縮する。
なお、上記フロントフォークFを搭載する車両は、図示する限りではなく、二輪車又は三輪車等の鞍乗型車両であればよい。また、上記車両における原動機の有無も問わない。また、フロントフォークFによる前輪Wの懸架方法も図示する限りではなく、当該懸架方法及びフロントフォークFの周辺部品に応じて車体側ブラケット10及び車輪側ブラケット20の構成も適宜変更できる。
つづいて、上記フロントフォークFの内部構造について説明する。図2に示すように、フロントフォークFは、筒部材Tの内部に正立型のダンパDを収容するとともに、エアを封入している。そして、上記ダンパDでフロントフォークFの伸縮運動を抑制する減衰力を発揮するとともに、上記エアの圧力でフロントフォークFを伸長方向に附勢して車体Bを弾性支持できる。つまり、上記フロントフォークFは、懸架ばね又はメインスプリングと称されるコイルばねに替えて、エアばね(気体ばね)Sを有し、当該エアばねSで車体Bを弾性支持できるので軽量になる。
筒部材Tにおいて、アウターチューブ1の図2中上端開口がキャップ11で塞がれ、インナーチューブ2の図2中下端開口が当該インナーチューブ2と車輪側ブラケット20の間に挟まれて固定される環状の封止部材21で塞がれる。さらに、アウターチューブ1とインナーチューブ2の重複部の間にできる筒状隙間t1の図2中下側の開口(外気側開口)が、アウターチューブ1の内周に保持されてインナーチューブ2の外周に摺接する環状のメインシールであるオイルシール12とダストシール13で塞がれる。よって、筒部材Tの内部を密閉空間にして外気と区画できる。
また、筒状隙間t1におけるオイルシール12よりも図2中上方には、上下一対の環状のブッシュ22,14が設けられる。図2中上側のブッシュ22は、インナーチューブ2の外周に取り付けられてアウターチューブ1の内周に摺接し、図2中下側のブッシュ14は、アウターチューブ1の内周に取り付けられてインナーチューブ2の外周に摺接する。これらブッシュ22,14は、インナーチューブ2を支えて、当該インナーチューブ2がアウターチューブ1内を円滑に摺動できるようにしている。
つづいて、アウターチューブ1の内側で、且つインナーチューブ2の内側にできる柱状の空間t2に、上記正立型のダンパDが収容されるとともに上記エアばねSを構成する気室Gが形成されている。
ダンパDは、インナーチューブ2の内側に起立する筒状のシリンダ3と、このシリンダ3の内部に摺動自在に挿入されるピストン4と、図2中下端部がピストン4に連結されて図2中上側がシリンダ3外に延びるロッド5と、シリンダ3の図2中上側開口部に固定されてロッド5を摺動自在に軸支する環状のロッドガイド6と、シリンダ3の図2中下側開口部に固定されるボトム部材7と、このボトム部材7の軸部7a外周に保持されるベースバルブ8とを有する。
ロッド5は、シリンダ3から突出する図2中上端部がキャップ11に螺子結合されるとともに、ロックナット50で緩み止めされており、キャップ11を介してアウターチューブ1に連結される。また、ボトム部材7が車輪側ブラケット20に図示しないボルトで固定されており、このボトム部材7にシリンダ3が螺子結合されている。つまり、シリンダ3は、ボトム部材7と車輪側ブラケット20とを介してインナーチューブ2に連結される。したがって、フロントフォークFが伸縮してインナーチューブ2がアウターチューブ1に出入りすると、ロッド5がシリンダ3に出入りしてダンパDが伸縮し、ピストン4がシリンダ3内を軸方向に移動する。
シリンダ3の内部には、ピストン4で区画されるロッド5側の伸側室L1とピストン4側の圧側室L2が形成されており、これら伸側室L1と圧側室L2に作動油が充填されている。ロッドガイド6は、ロッド5の外周に摺接する環状のパッキン61を有し、シリンダ3の図2中上側開口を塞ぐ。他方のシリンダ3の図2中下側開口はボトム部材7で塞がれる。
また、シリンダ3のベースバルブ8よりも図2中下側で、且つ、ボトム部材7との螺子結合部よりも図2中上側には、シリンダ3内外を連通する孔3aが形成されている。シリンダ3の外側には、後に詳細に説明するように、作動油が充填されるダンパ側液室L3が形成されており、当該ダンパ側液室L3が上記孔3aを介してシリンダ3内におけるベースバルブ8の図2中下方まで延びる。そして、このダンパ側液室L3がベースバルブ8により圧側室L2と区画される。
つづいて、シリンダ3の内部に摺動自在に挿入されるピストン4は、環状に形成されてロッド5の取付部外周にナット51で固定されており、伸側室L1と圧側室L2とを連通する伸側流路4aと圧側流路4bとを有する。ピストン4の図2中下端には、伸側流路4aの出口を開閉する伸側バルブ40が積層される。他方のピストン4の図2中上端には、圧側流路4bの出口を開閉する圧側バルブ41が積層される。
伸側バルブ40及び圧側バルブ41は、ともに環状板を一枚以上重ねたリーフバルブであって、内周部をピストン4とともにロッド5の外周に固定され、外周側の撓みが許容されている。そして、伸側バルブ40は伸側室L1の圧力を受けて撓み、伸側流路4aの連通を許容するとともに当該伸側流路4aを伸側室L1から圧側室L2へ向かう作動油の流れに抵抗を与える。他方の圧側バルブ41は圧側室L2の圧力を受けて撓み、圧側流路4bの連通を許容するとともに当該圧側流路4bを圧側室L2から伸側室L1へ向かう作動油の流れに抵抗を与える。
また、ボトム部材7に取り付けられるベースバルブ8は、圧側室L2とダンパ側液室L3とを連通する吸込流路80aと排出流路80bとを有して軸部7a外周にナット70で固定される環状の隔壁部80と、この隔壁部80の図2中上端に積層されて吸込流路80aの出口を開閉するチェックバルブ81と、隔壁部80の図2中下端に積層されて排出流路80bの出口を開閉する減衰バルブ82とを備える。
チェックバルブ81及び減衰バルブ82は、ともに環状板を一枚以上重ねたリーフバルブであって、内周部を隔壁部80とともに軸部7aの外周に固定され、外周側の撓みが許容されている。そして、チェックバルブ81は、ダンパ側液室L3の圧力を受けて撓み、吸込流路80aをダンパ側液室L3から圧側室L2へ向かう作動油の流れのみを許容する。他方の減衰バルブ82は圧側室L2の圧力を受けて撓み、排出流路80bの連通を許容するとともに当該排出流路80bを圧側室L2からダンパ側液室L3へ向かう作動油の流れに抵抗を与える。
上記構成によれば、フロントフォークFが伸長してダンパDが伸長すると、ピストン4がシリンダ3内を図2中上方へ移動して伸側室L1が圧縮され、圧側室L2が拡大する。すると、圧縮される伸側室L1内の圧力が上昇し、伸側室L1の作動油が伸側バルブ40を押し開いて伸側流路4aを通過し圧側室L2へ移動する。シリンダ3内では、退出したロッド体積分の作動油が不足するが、チェックバルブ81が開いて不足分に見合った作動油が吸込流路80aを通ってダンパ側液室L3から圧側室L2に供給される。
伸側室L1から圧側室L2へ向かう作動油の流れに対しては、伸側バルブ40で抵抗が与えられるため、伸側室L1内の圧力が上昇する。これに対して、圧側室L2はダンパ側液室L3からの作動油の供給を受けるので、シリンダ3外部の圧力と略等しくなる。よって、伸側室L1と圧側室L2の圧力に差圧が生じ、この差圧がピストン4に作用してダンパDがフロントフォークFの伸長を妨げる減衰力を発揮する。
反対に、フロントフォークFが収縮してダンパDが収縮すると、ピストン4がシリンダ3内を図2中下方へ移動して圧側室L2が圧縮され、伸側室L1が拡大する。すると、圧縮される圧側室L2内の圧力が上昇し、圧側室L2の作動油が圧側バルブ41を押し開いて圧側流路4bを通過し伸側室L1へ移動する。シリンダ3内では、進入したロッド体積分の作動油が余剰になるが、この余剰分の作動油が減衰バルブ82を押し開いて排出流路80bを通過し圧側室L2からダンパ側液室L3へ移動する。
圧側室L2から伸側室L1及びダンパ側液室L3へ向かう作動油の流れに対しては、圧側バルブ41及び減衰バルブ82で抵抗が与えられるため、圧側室L2内の圧力が上昇する。これに対して、拡大する伸側室L1内の圧力は低下する。よって、圧側室L2と伸側室L1の圧力に差圧が生じ、この差圧がピストン4に作用してダンパDがフロントフォークFの収縮作動を妨げる減衰力を発揮する。
なお、本実施の形態においては、減衰力を発生するための流体として作動油を利用しているが、これ以外の液体を利用してもよい。また、ピストン4に設けたバルブの構成及びベースバルブ8の構成も、所望の減衰力の特性又は作動油の流量に応じて適宜変更できる。
また、上記ダンパDでは、ロッドガイド6とピストン4との間に伸切ばね60が設けられ、フロントフォークFの最伸長時に伸切ばね60が圧縮されて弾性力を発揮して最伸長時の衝撃を緩和できる。他方のフロントフォークFの最圧縮時の衝撃は、ロッドガイド6の図2中上部に起立するオイルロックケース6aに、ロッド5の外周に取り付けられる図示しないオイルロックピースが嵌入する際に発揮されるオイルロック効果により緩和される。
つづいて、シリンダ3の外部に筒部材Tとの間にできる空間は、シリンダ3の外周とインナーチューブ2の内周に摺接するフリーピストン9で図2中上下に区画される。また、当該フリーピストン9は、シリンダ3の外周に取り付けられる図2中上下のストッパ30,31の間を図2中上下に摺動する。そして、このフリーピストン9の図2中下側に作動油が充填される液室L3が形成され、フリーピストン9の図2中上側に作動油が貯留される液溜室Rが形成される。この液溜室Rは、作動油が貯留される液室L4と、作動油の油面O上方に設けられてエアが封入される気室Gとからなる。本実施の形態において、液室L3と液室L4とを区別するため、図2中下側の液室L3をダンパ側液室L3、図2中上側の液室L4を気室側液室L4と呼んでいる。
上記液溜室Rにおける気室Gは、車体を弾性支持する前述のエアばねSを構成し、インナーチューブ2がアウターチューブ1に進入するほど圧縮されて、当該圧縮量が大きくなるほど大きな弾性力を発揮する。また、上記エアばねSのばね特性を、車体Bを弾性支持するのに適した特性にする都合上、気室G内の圧力が高く設定されている。そして、キャップ11にはエアバルブ15が設けられており、当該エアバルブ15を介して気室Gにエアを給排してエアばねSのばね特性を調節できる。なお、気室Gに封入される気体は、エア以外の気体でもよく、当該エア以外の気体を利用して気体ばねとして機能させてもよい。
なお、エアばねSのみでも車体Bを弾性支持できるものの、このようにすると、フロントフォーク全体としてのばね特性がエアばねのみの特性となって、非線形特性となる。したがって、フロントフォークのばね特性をストローク後半の所望の特性に合わせて設定すると、ストローク前半の特に最伸長時近傍の弾性力が過剰になって乗り心地を悪化させる。そこで、上記フロントフォークFは、ロッドガイド6とピストン4との間にエアばねSと附勢する方向が逆になる、即ち、フロントフォークFを収縮方向に附勢できるバランスばね62を設けている。そして、フロントフォークFの最伸長状態で、エアばねSによる伸長方向に作用する附勢力をバランスばね62で相殺するとともに、エアばねSとバランスばね62の合成の特性をストローク量に対して比例するコイルばねの特性に近似させている。このようにすると、フロントフォークFを搭載する車両の乗り心地を良好にできる。
上記気室G内の圧力は、油面Oを介して気室側液溜室L4に伝わり、上記フリーピストン9を介してダンパ側液室L3に伝わる。また、このダンパ側液室L3と圧側室L2はベースバルブ8の流路を介して相互に連通され、圧側室L2と伸側室L1がピストン4の流路を介して相互に連通される。よって、気室G内の圧力を高くするとシリンダ3内の圧力を高くできる。このようにシリンダ3内の圧力が高くなると液柱剛性が高くなり、ダンパDにおける減衰力発生応答性を向上できる。
また、気室G内の圧力は、インナーチューブ2の孔2aを介して筒状隙間t1にも伝わる。なお、インナーチューブ2の図2中上部には、シール部材23が取り付けられており、筒状隙間t1の図2中上端開口を塞いでいるので、気室G内の圧力は筒状隙間t1に直接作用せず、ダンパ側液室L3を介して作用する。よって、気室G内の圧力を高くすると筒状隙間t1内の圧力も高くなる。
さらに、上記シール部材23を設けると、筒状隙間t1内の作動油が液溜室R側に漏れるのを防止できるとともに、気室G内のエアが筒状隙間t1に侵入するのを防止できる。よって、ダンパ側液室L3から筒状隙間t1にかけての空間が常に作動油で満たされた状態になり、当該作動油でブッシュ22,14の摺接面を潤滑してインナーチューブ2の円滑な摺動を可能にできる。また、筒状隙間t1の図2中上端開口がシール部材23で塞がれるとともに、ダンパ側液室L3の図2中上端がフリーピストン9で塞がれるので、気室G内のエアの流出を確実に防止できる。以下、フリーピストン9で液溜室Rと区画され、フリーピストン9に面するダンパ側液室L3と、このダンパ側液室L3と相互に連通されるシリンダ3内部及び筒状隙間t1とを合わせた部屋をフリーピストン区画室Pという。
本実施の形態において、シール部材23は、インナーチューブ2の内周に螺合する結合部24aと、この結合部24aよりも外径が大きくインナーチューブ2から外側に張り出してアウターチューブ1の内周に摺接する摺接部24bとを有するホルダ24と、結合部24aとインナーチューブ2との間を塞ぐOリング25と、摺接部24bに装着されてアウターチューブ1の内周に摺接する環状のパッキン26とを備える。しかし、筒状隙間t1の図2中上端開口を塞ぐための構成は上記の限りではなく、適宜変更できる。例えば、パッキン26を直接インナーチューブ2に装着してもよく、この場合にはホルダ24を省略できる。
つづいて、シリンダ3の外周に設けた図2中上側のストッパ30の下側には、環状のゴム部材32が設けられ、図2中下側のストッパ31の上側には、コイルばねである減圧ばね33が設けられている。そして、フリーピストン9が図2中上方に移動してゴム部材32がフリーピストン9とストッパ30との間で圧縮されると弾性力を発揮する。反対に、フリーピストン9が図2中下方に移動して減圧ばね33がフリーピストン9とストッパ31との間で圧縮されると弾性力を発揮する。上記上下のストッパ30,31は、ともに、シリンダ3の外周に周方向に沿って形成される環状溝に嵌る環状のスナップリング(符示せず)の外周に嵌合し、ゴム部材32又は減圧ばね33の一端を支える。
なお、図2中上側のストッパ30の取付方法及び構造は、シリンダ3の軸方向所定位置よりも図2中上方への移動が規制され、ゴム部材32の図2中上端を支えられる限り、適宜変更できる。他方の図2中下側のストッパ31の取付方法及び構造も、シリンダ3の軸方向所定位置よりも図2中下方への移動が規制され、減圧ばね33の図2中下端を支えられる限り、適宜変更できる。また、ゴム部材32及び減圧ばね33は、弾性を有して圧縮されると当該圧縮に反発する弾性力を発揮する弾性部材であれば、ゴム(エラストマー)、コイルばね、コイルばね以外のばねであってもよい。
上記フリーピストン9は、図3に示すように、インナーチューブ2の内周に摺接する環状の第一摺接部9aと、シリンダ3の外周に摺接する環状の第二摺接部9bと、上記第一摺接部9aと第二摺接部9bとを連結する環状の連結部9cと、第一摺接部9aの外周に周方向に沿って形成される環状溝(符示せず)に装着されて第一摺接部9aとインナーチューブ2との間を塞ぐ外周シールである環状のOリング90と、第二摺接部9bの内周に周方向に沿って形成される環状溝(符示せず)に装着されて第二摺接部9bとシリンダ3との間を塞ぐ内周シールである環状のOリング91とを有して構成される。また、第一摺接部9aにおけるOリング90の装着部(環状溝)よりも図3中上側には、第一摺接部9aの肉厚を貫く第一の孔9dが形成される。他方の第二摺接部9bにおけるOリング91の装着部(環状溝)よりも図3中下側には、第二摺接部9bの肉厚を貫く第二の孔9eが形成されている。
さらに、第一摺接部9aから連結部9cにかけての内径は、略一定であり、シリンダ3における第二摺接部9bが摺接する部分の外径よりもやや大きい。よって、第一摺接部9a及び連結部9cの内周がシリンダ3の外周に接触せず、第一摺接部9a及び連結部9cとシリンダ3との間に環状の隙間92ができる。また、第二摺接部9bから連結部9cにかけての外径は、略一定であり、インナーチューブ2における第一摺接部9aが摺接する部分の内径よりもやや小さい。よって、第二摺接部9b及び連結部9cの外周がインナーチューブ2の内周に接触せず、第二摺接部9b及び連結部9cとインナーチューブ2との間に環状の隙間93ができる。上記構成によれば、例えば、フロントフォークFがモトクロス用のバイクに利用され、車両が跳躍して着地するとき等、筒部材Tに大きな曲げモーメントが入力されてインナーチューブ2が多少撓ったとしても、上記隙間92,93の分フリーピストン9が傾くとともに、この傾いた状態で摺動できる。よって、フリーピストン9の軸方向長さが長くても筒部材Tの撓りによりフリーピストン9の移動が阻害されるのを抑制できる。加えて、上記構成によれば、フリーピストン9自体が変形せずに傾いた状態で摺動できるので、フリーピストン9に負荷がかからない。
また、シリンダ3の外周には、周方向に沿って形成される環状のリリーフ溝3b,3cが軸方向に二条並べて形成されている。そして、フリーピストン9は、第二摺接部9bを、シリンダ3におけるリリーフ溝3b,3cの間の部分(以下、シリンダ・フリーピストン摺接部3dという)に摺接させている。上記Oリング91は、無負荷状態における内径がシリンダ・フリーピストン摺接部3dの外径よりもやや小さく形成されている。よって、当該シリンダ・フリーピストン摺接部3dにOリング91が締め代をもって接している間、当該Oリング91で第二摺接部9bとシリンダ3との間を塞ぎ、ダンパ側液室L3と気室側液室L4との連通を阻止できる。しかし、フリーピストン9が移動してリリーフ溝3b,3cに対向すると、Oリング91の内周に作動油の通過が可能な隙間ができる。よって、フリーピストン9とリリーフ溝3b,3cが対向すると、Oリング91の内周から作動油が漏れてダンパ側液室L3と気室側液室L4との間を移動する。
また、フリーピストン9の図3中上方に設けたゴム部材32は、第二摺接部9bのOリング91が図3中上側のリリーフ溝3bに対向した状態で圧縮されて弾性力を発揮し、図3中下側となるダンパ側液室L3側へ向けてフリーピストン9を附勢する。他方のフリーピストン9の図3中下方に設けた減圧ばね33は、上記Oリング91が図3中下側のリリーフ溝3cに対向した状態で圧縮されて弾性力を発揮し、図3中上側となる液溜室R側へ向けてフリーピストン9を附勢する。この減圧ばね33の附勢する方向は、エアばねSの附勢する方向と逆であり、減圧ばね33の附勢力がダンパ側液室L3を拡大する方向に作用する。よって、減圧ばね33を設けると、気室G内の圧力を低下させずに筒状隙間t1の圧力を下げて、オイルシール12の緊迫力を小さくできる。
以下、説明の便宜上、ロッド5においてロッドガイド6で支えられる部分の外径を直径とする円の面積をロッド断面積A1とし、アウターチューブ1においてブッシュ22が摺接する部分の内径を直径とする円の面積と、インナーチューブ2においてブッシュ14が摺接する部分の外径を直径とする円の面積との差分を筒状隙間断面積A2とし、インナーチューブ2においてフリーピストン9の第一摺接部9aが摺接する部分の内径を直径とする円の面積と、シリンダ・フリーピストン摺接部3dの外径を直径とする円の面積との差分をダンパ側液室断面積A3とし、フロントフォークFのストローク量をストローク量Mとする。また、上記フロントフォークFでは、ロッド断面積A1が筒状隙間断面積A2よりも大きく設定されている(A1>A2)。
すると、後に詳細に説明するようにフロントフォークFが伸縮した場合、ロッド断面積A1と筒状隙間断面積A2の差分にストローク量Mを乗じた分((A1−A2)・M)の作動油がダンパ側液室L3で減少したり増加したりする。そして、フリーピストン9のOリング91がシリンダ3外周を塞いでダンパ側液室L3と気室側液室L4との連通を遮断した状態では、ダンパ側液室L3内の作動油の増減分に応じてフリーピストン9が図3中上下に動く(ストロークする)。このフリーピストン9のストローク量は、上記ダンパ側液室L3で増減した作動油量をダンパ側液室断面積A3で割った値((A1−A2)・M/A3)となる。
また、シリンダ・フリーピストン摺接部3dの軸方向長さは、フロントフォークFが最伸長状態から最収縮状態まで収縮したときに、ダンパ側液室L3で増加した作動油量をダンパ側液室断面積A3で割った値と同じか、これよりもやや大きく設定される。そして、組立時においては、フリーピストン9の位置が最も下がるフロントフォークFの最伸長状態で、第二摺接部9bのOリング91が図3中下側のリリーフ溝3cの直上部に位置するように設定される。よって、通常、フロントフォークFが伸縮してもフリーピストン9のOリング91は図3中上下のリリーフ溝3b,3cに対向せずに、これらの間を移動する。しかし、温度変化等の理由により作動油の体積が変化すると、上記Oリング91がリリーフ溝3b,3cに対向するまでフリーピストン9が移動する。このように、フリーピストン9とリリーフ溝3b,3cが対向すると、Oリング91の内周に隙間ができる。すると、ロッド断面積A1と筒状隙間断面積A2の差分にストローク量Mを乗じた分((A1−A2)・M)の作動油が上記隙間を通ってダンパ側液室L3と気室側液室L4との間を移動するようになるので、フリーピストン9の移動が停止する。
図3中上下のリリーフ溝3b,3cは、ともに、断面台形状となっており、内側に各リリーフ溝3b,3cを形成する上下の壁面がこれらの間の底面に向けて徐々に間隔が狭くなるように傾斜している。シリンダ・フリーピストン摺接部3dと壁面との境界部分は面取りされており、Oリング91が通過したときに当該Oリング91を傷つけないようになっている。さらに、各リリーフ溝3b,3cの深さ(開口端から底面までの距離)は、Oリング91がリリーフ溝3b,3cに対向した状態でOリング91の内周に隙間を形成し、当該隙間を介した作動油の漏れを許容できるように設定される。また、各リリーフ溝3b,3cの図3中上下の幅となる軸方向長さは、Oリング91の軸方向長さよりも長い。上記構成によれば、Oリング91がリリーフ溝3b,3cを通過するのを確実に防止できるので、Oリング91とリリーフ溝3b,3cが対向した状態でフリーピストン9の移動を確実に停止させられる。
なお、リリーフ溝3b,3cの形状は上記の限りではなく、第二摺接部9bのOリング91がリリーフ溝3b,3cに対向した状態で作動油の漏れを許容し、フリーピストン9の移動を停止できる限りにおいて、適宜変更できる。例えば、上記リリーフ溝3b,3cは環状であるが、周方向に連続していなくてもよく、軸方向に直線状に延びていてもよい。
また、フリーピストン9は、図3中下限位置まで移動した状態、即ち、第二摺接部9bのOリング91が下側のリリーフ溝3cに対向した状態で、第一摺接部9aのOリング90がインナーチューブ2の孔2aよりも上方に位置するように設定される(図4(a))必要がある。そして、当該孔2aの位置は、フロントフォークFの最伸長時であっても、ブッシュ14よりも図3中上方に位置するように設定される。さらに、フリーピストン9の最大ストローク量は、前述のように、ロッド断面積A1、筒状隙間断面積A2等から求めたリリーフ溝3b,3cの間隔により決まるが、第一摺接部9aのOリング90がシリンダ3の上端を超えない範囲でフリーピストン9を摺動させる必要がある。また、汎用のインナーチューブ2とシリンダ3を利用する場合、これらの間隔が狭くてフリーピストン9の肉厚を厚くできない。よって、外周のOリング90と内周のOリング91を軸方向の同じ位置に径方向に並べて設けられず、軸方向にずらして設ける必要がある。
つまり、フリーピストン9を設計する場合、上記したような各条件を満たすようにする必要があり、その結果、フリーピストンが軸方向に長くなる場合がある。このように軸方向に長いフリーピストンの内周と外周の摺接面を軸方向に長くすると、前述のようにインナーチューブ2が撓ったときにフリーピストンの摺動が阻害され易くなる。しかし、上記フリーピストン9では、前述のように隙間92,93を設けて摺接面の軸方向長さをなるべく短くして、フリーピストン9が傾いた状態で摺動できるようにしている。よって、上記フリーピストン9によれば、軸方向に長くなってもインナーチューブ2の多少の撓りでは摺動が阻害されず、円滑に摺動できる。
なお、フリーピストン9の構成は上記の限りではなく、適宜変更できる。例えば、フリーピストン9の内周を塞ぐ内周シールと外周を塞ぐ外周シールがともにOリング90,91であるが、これ以外のパッキン、又は金属製の補強環にゴム等を一体化させたオイルシールであってもよい。また、フリーピストン9の円滑な摺動が可能であれば、フリーピストン9の内周全体をシリンダ・フリーピストン摺接部3dに摺接させたり、フリーピストン9の外周全体をインナーチューブ2に摺接させたりしてもよい。また、フリーピストン9の内周シールであるOリング91が各リリーフ溝3b,3cに対向した状態でフリーピストン9の移動を停止できれば、第一、第二の孔9d,9eの一方又は両方を省いてもよい。
以下、本実施の形態に係るフロントフォークFの作動について説明する。
まず、通常状態におけるフロントフォークFの伸長行程では、シリンダ3から退出したロッド体積分、即ち、ロッド断面積A1にフロントフォークFの伸長ストローク量を乗じた分の作動油がダンパ側液室L3内から圧側室L2に流出する。しかし、アウターチューブ1とインナーチューブ2の重複量が少なくなって筒状隙間t1の容積が縮小するので、筒状隙間断面積A2にフロントフォークFの伸長ストローク量を乗じた分の作動油が筒状隙間t1からダンパ側液室L3内に流入する。すると、ダンパ側液室L3では、ロッド断面積A1と筒状隙間断面積A2の差分に上記伸長ストローク量を乗じた分作動油が少なくなるので、当該減少量に応じてフリーピストン9が図2中下方へ移動する。
反対に、通常状態におけるフロントフォークFの収縮工程では、シリンダ3に進入したロッド体積分、即ち、ロッド断面積A1にフロントフォークFの収縮ストローク量を乗じた分の作動油が圧側室L2からダンパ側液室L3内に流入する。しかし、アウターチューブ1とインナーチューブ2の重複量が多くなって筒状隙間t1の容積が拡大するので、筒状隙間断面積A2にフロントフォークFの収縮ストローク量を乗じた分の作動油がダンパ側液室L3内から筒状隙間t1に流出する。すると、ダンパ側液室L3では、ロッド断面積A1と筒状隙間断面積A2の差分に上記収縮ストローク量を乗じた分作動油が多くなるので、当該増加量に応じてフリーピストン9が図2中上方に移動へする。
このように、通常状態では、フリーピストン9は第二摺接部9bのOリング91がリリーフ溝3b,3cに対向しない範囲で、ダンパ側液室L3と気室側液室L4との連通を遮断しながら図2中上下に移動する。よって、ダンパ側液室L3における作動油の油量変化をフリーピストン9の移動により補償できる。
これに対して、外気温の低下、及びフロントフォークFの長時間の停止等の影響で作動油の温度が低下して作動油の体積が減少する等、フリーピストン区画室Pの作動油の油量が減少した状態でフロントフォークFが最伸長時近傍まで伸長すると、図4(a)に示すように、第二摺接部9bのOリング91が図4中下側のリリーフ溝3cに対向するまでフリーピストン9が下降する。すると、Oリング91の内周に隙間ができて、ダンパ側液室L3と気室側液室L4が連通する。さらに、上記フリーピストン9の第二摺接部9bには、第二の孔9eが設けられているので、第二摺接部9bとシリンダ3との間の隙間が小さく作動油が通り難い場合であっても、Oリング91の内周を通過した作動油が第二の孔9eとフリーピストン9の外周の隙間93を通ってダンパ側液室L3に移動できる。
このように、ダンパ側液室L3と気室側液室L4が連通した状態では、フロントフォークFが伸長を続けてダンパ側液室L3で作動油が減少しても、当該減少分に見合った作動油がOリング91の内周にできる隙間を通って気室側液室L4からダンパ側液室L3内に流入するのでフリーピストン9が動かなくなる。
また、第二摺接部9bのOリング91が図4中下側のリリーフ溝3cに対向した状態では、減圧ばね33が圧縮されて弾性力を発揮し、フリーピストン9を図4中上方に押し上げる方向へ附勢する。よって、フロントフォークFが収縮作動に転じると、減圧ばね33の附勢力によりフリーピストン9が図4中上方へ移動し、Oリング91がリリーフ溝3cに対向する状態から速やかに脱してダンパ側液室L3と気室側液室L4との連通を遮断する。すると、前述のようにフロントフォークFの伸縮に伴うダンパ側液室L3の作動油の増減によりフリーピストン9が図4中上下に移動する通常の作動に戻る。
反対に、外気温の上昇、及びフロントフォークFが伸縮を繰り返して作動油が流路を移動する際の摩擦の影響等により、作動油の温度が上昇して作動油の体積が増加したり、ロッドガイド6のパッキン61部分からシリンダ3内に作動油が流入したりする等、フリーピストン区画室Pの作動油の油量が増加した状態でフロントフォークFが最収縮時近傍まで収縮すると、第二摺接部9bのOリング91が図4中上側のリリーフ溝3bに対向するまでフリーピストン9が上昇する。すると、Oリング91の内周に隙間ができて、ダンパ側液室L3と気室側液室L4が連通する。さらに、上記フリーピストン9の第一摺接部9aには第一の孔9dが設けられているので、後述するように、ゴム部材32がフリーピストン9で圧縮されて第一摺接部9a内周とシリンダ3との間を塞いだとしても、Oリング91の内周を通過した作動油がフリーピストン9の内周の隙間92と第一の孔9dを通って気室側液室L4に移動できる。
このように、ダンパ側液室L3と気室側液室L4が連通した状態では、フロントフォークFが収縮を続けてダンパ側液室L3で作動油が増加しても、当該増加分に見合った作動油がOリング91の内周にできる隙間を通ってダンパ側液室L3内から気室側液室L4に流出するのでフリーピストン9が動かなくなる。
また、第二摺接部9bのOリング91が図4中上側のリリーフ溝3bに対向した状態では、ゴム部材32が圧縮されて弾性力を発揮し、フリーピストン9を図4中下方に押し下げる方向へ附勢する。よって、フロントフォークFが伸長作動に転じると、ゴム部材32の附勢力によりフリーピストン9が図4中下方へ移動し、Oリング91がリリーフ溝3bに対向する状態から速やかに脱してダンパ側液室L3と気室側液室L4との連通を遮断する。すると、前述のようにフロントフォークFの伸縮に伴うダンパ側液室L3の作動油の増減によりフリーピストン9が図4中上下に移動する通常の作動に戻る。
また、フロントフォークFの最伸長時には、減圧ばね33の圧縮量が最も大きく、当該減圧ばね33によるダンパ側液室L3拡大させる方向へ附勢する力が大きくなる。よって、フロントフォークFの最伸長時に上記減圧ばね33の大きな附勢力で筒状隙間t1の圧力を低下させ、インナーチューブ2に対するオイルシール12の緊迫力を小さくできる。例えば、フロントフォークFがモトクロス用のバイクに搭載される場合であって車両が跳躍して着地する際に、インナーチューブ2に対するオイルシール12の緊迫力が大きいと最伸長状態から収縮するフロントフォークFの動き出しが悪く、乗り心地の悪化を招く。しかし、上記減圧ばね33を設けてオイルシール12の緊迫力を小さくすると、最伸長状態から収縮するフロントフォークFの動き始めの抵抗を小さくできるので、車両の乗り心地を良好にできる。
また、上記減圧ばね33は、フリーピストン9がゴム部材32を圧縮するまで上昇した状態では当該フリーピストン9から離れるものの、通常状態(作動油の著しい温度上昇又は著しい温度低下のない状態)では、フリーピストン9の略全ストローク領域でフリーピストン9に附勢力を作用させている。このため、フロントフォークFの略全ストローク領域でオイルシール12によるインナーチューブ2の緊迫力を小さくし、インナーチューブ2の円滑な摺動を可能にしている。
つまり、減圧ばね33は、筒状隙間t1の圧力を下げる機能と、伸長作動から収縮作動に転じたときにOリング91とリリーフ溝3bとの対向状態を解除する機能の両方を有する。よって、フロントフォークFを構成する部品数を減らしてフロントフォークFの組立性を良好にでき、フロントフォークFの製造コストを低減できる。なお、減圧ばね33がフリーピストン9に附勢力を及ぼす範囲は、上記の限りではなく、適宜変更できる。例えば、フロントフォークFの最伸長時近傍でのみ、減圧ばね33がダンパ側液室L3を拡大させる方向へフリーピストン9を附勢するとしてもよい。
以下、本実施の形態のフロントフォークFの作用効果について説明する。
本実施の形態において、シリンダ3は、外周の軸方向の異なる位置に一対のリリーフ溝3b、3cを有する。また、フリーピストン9は、筒部材Tとシリンダ3との間の空間をダンパ側液室(液室)L3と、液体が貯留される液溜室Rとに区画するとともに、内周に環状のOリング(内周シール)91を有する。そして、Oリング(内周シール)91と各リリーフ溝3b,3cが対向した状態で、ダンパ側液室(液室)L3と液溜室Rとの連通が許容されるとともに、Oリング(内周シール)91と図2中下側(反液溜室側)のリリーフ溝3cが対向した状態で、減圧ばね(弾性部材)33が図2中上側(液溜室R側)へフリーピストン9を附勢する。
上記構成によれば、減圧ばね(弾性部材)33が筒状隙間t1の圧力を下げる本来の機能を発揮するとともに、Oリング(内周シール)91とリリーフ溝3cとの対向状態を解除する戻しばねとしても機能する。よって、上記構成によれば、フロントフォークFを構成する部品数を減らしてフロントフォークFの組立性を良好にでき、フロントフォークFの製造コストを低減できる。
さらに、上記構成によれば、Oリング91とリリーフ溝3b,3cとを対向させる位置に応じてフリーピストン9の移動を軸方向の所定位置で規制できる。そして、このようにフリーピストン9の移動が規制された状態では、ダンパ側液室(液室)L3と液溜室Rとの連通が許容される。よって、温度変化等の要因によりフリーピストン加圧室(フリーピストン9で液溜室Rと区画される部屋)Pに充填される作動油の油量が変わり、フリーピストン9の移動が規制された状態でフロントフォークFが伸長を続けたり収縮を続けたりしても、Oリング91の内周を作動油が通過できるので、上記油量の変化を補償できる。
なお、フリーピストン9の移動を軸方向の所定位置で規制するための構成、及びフリーピストン9の構成は、上記の限りではなく、適宜変更できる。そして、このような変更は、減圧ばね33の効くフロントフォークFのストローク範囲の設定によらず可能である。
また、本実施の形態において、フロントフォークFは、アウターチューブ1とこのアウターチューブ1内に移動可能に挿入されるインナーチューブ2とを有する筒部材Tと、アウターチューブ1とインナーチューブ2の重複部の間に形成される筒状隙間t1の図2中下側(外気側)開口を塞ぐ環状のオイルシール(メインシール)12と、インナーチューブ2に連結されてインナーチューブ2内に設けられるシリンダ3とアウターチューブ1に連結されてシリンダ3内に移動可能に挿入されるロッド5とを有するダンパDと、インナーチューブ2とシリンダ3との間に摺動可能に挿入されて、筒状隙間t1及びシリンダ3内に連通されるダンパ側液室(液室)L3を形成するフリーピストン9と、筒部材T内に封入されるエア(気体)の圧力で筒部材Tを伸長方向へ附勢するとともにダンパ側液室L3を縮小する方向へフリーピストン9を附勢するエアばね(気体ばね)Sと、ダンパ側液室(液室)L3を拡大する方向へフリーピストン9を附勢する減圧ばね(弾性部材)33とを備える。
上記構成によれば、気室G内の圧力を低下させずに、減圧ばね(弾性部材)33で筒状隙間t1内の圧力を低下させて、オイルシール(メインシール)12の緊迫力を小さくできる。よって、気室G内の圧力を車体Bを弾性支持するのに適した圧力に設定できるとともに、フロントフォークFの動き始めの抵抗を小さくでき、車両の乗り心地を良好にできる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形および変更が可能である。
D・・・ダンパ、F・・・フロントフォーク、L3・・・ダンパ側液室(液室)、R・・・液溜室、S・・・エアばね(気体ばね)、T・・・筒部材、t1・・・筒状隙間、1・・・アウターチューブ、2・・・インナーチューブ、3・・・シリンダ、3b,3c・・・リリーフ溝、5・・・ロッド、9・・・フリーピストン、12・・・オイルシール(メインシール)、33・・・減圧ばね(弾性部材)、91・・・Oリング(内周シール)

Claims (2)

  1. アウターチューブと、前記アウターチューブ内に移動可能に挿入されるインナーチューブとを有する筒部材と、
    前記アウターチューブと前記インナーチューブの重複部の間に形成される筒状隙間の外気側開口を塞ぐ環状のメインシールと、
    前記インナーチューブに連結されて前記インナーチューブ内に設けられるシリンダと、前記アウターチューブに連結されて前記シリンダ内に移動可能に挿入されるロッドとを有するダンパと、
    前記インナーチューブと前記シリンダとの間に摺動可能に挿入されて、前記筒状隙間及び前記シリンダ内に連通される液室を形成するフリーピストンと、
    前記筒部材内に封入される気体の圧力で前記筒部材を伸長方向へ附勢するとともに、前記液室を縮小する方向へ前記フリーピストンを附勢する気体ばねと、
    前記液室を拡大する方向へ前記フリーピストンを附勢する弾性部材とを備える
    ことを特徴とするフロントフォーク。
  2. 前記シリンダは、外周の軸方向の異なる位置に一対のリリーフ溝を有し、
    前記フリーピストンは、前記筒部材と前記シリンダとの間の空間を前記液室と、液体が貯留される液溜室とに区画するとともに、内周に環状の内周シールを有し、
    前記内周シールと前記各リリーフ溝が対向した状態で、前記液室と前記液溜室との連通が許容されるとともに、
    前記内周シールと反液溜室側の前記リリーフ溝が対向した状態で、前記弾性部材が前記液溜室側へ前記フリーピストンを附勢する
    ことを特徴とする請求項1に記載のフロントフォーク。
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