JP2008248377A - 疲労特性に優れた溶接継手および溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビード断面の止端部の形状が良好で疲労き裂発生が遅く,かつき裂発生後,破断までの伝播寿命も長く,疲労特性に優れる溶接継手および溶接方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.40%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.4〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.3〜2.0%、N:0.015%以下、更に、Cr:0.1〜1.5%,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ残留オーステナイトを面積率で2〜30%含む組織を有する鋼材を用いた溶接継手であって、溶接金属の組成がC:0.005〜0.5%,Si:5.6〜8.0%,Mn:0.1〜2.0%を含有することを特徴とする疲労特性に優れた溶接継手。
【選択図】図1
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.40%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.4〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.3〜2.0%、N:0.015%以下、更に、Cr:0.1〜1.5%,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ残留オーステナイトを面積率で2〜30%含む組織を有する鋼材を用いた溶接継手であって、溶接金属の組成がC:0.005〜0.5%,Si:5.6〜8.0%,Mn:0.1〜2.0%を含有することを特徴とする疲労特性に優れた溶接継手。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶接継手および溶接方法に関し、ビード断面の止端部の形状が良好で疲労き裂発生が遅く,かつき裂発生後,破断までの伝播寿命も長く,疲労特性に優れるものに関する。
船舶、橋梁、貯槽、及び建設機械等の溶接構造物においては、大型化とそれに伴う軽量化を目的に、使用鋼材の高強度化が求められ、Cr,Ni,Mo等を添加した引張強度レベルが300〜590MPaの鋼材が用いられている。
しかし、鋼材の引張強度が増加しても溶接継手の疲労強度は、鋼材の引張強度ほどには向上せず、この原因として、溶接継手の溶接部に生じる引張残留応力も増大することが挙げられる。
特許文献1は、溶接継手の疲労強度を向上させる溶接方法に関し、溶接後の冷却過程において溶接金属をマルテンサイト変態させ、室温においてマルテンサイト変態の開始時よりも膨張した状態とし、溶接継手の溶接金属に生じた引張残留応力を低減、あるいは引張残留応力に代えて圧縮残留応力を与え、溶接施工後に、研削等の特別な後処理を行わなくても溶接継手の疲労強度が向上させることが記載されている。
特許文献1記載の溶接方法では、マルテンサイト変態開始温度が250℃未満170℃以上と低温側の鉄合金系溶接材料(溶接ワイヤ)を用いる。
特許文献2は疲労特性に優れた鋼板に関し,鋼中に残留オーステナイトを含有させることにより疲労寿命を向上させることが記載されている。
特開平11−138290号公報
特開2004−76156公報
しかしながら、特許文献1に開示された溶接材料による溶接継手は、疲労強度は向上するものの、溶接金属の組織がマルテンサイト主体で、溶接部の靭性、特に溶接金属の靭性が低値となり、実地において適用できる構造物は少なく、実用的でない。
特許文献2記載の鋼板など、鋼板の疲労き裂伝播抵抗を高めることによって、疲労き裂伝播速度を低減し鋼構造物の疲労寿命を向上させる場合は,鋼構造物における溶接継手で,止端形状による応力集中,引張残留応力の影響などにより,疲労き裂の発生が容易となり、鋼板の疲労き裂伝播抵抗のみでは,疲労強度は向上しない。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、止端形状の改善と母材の疲労き裂伝播進展抑制効果により、溶接継手の疲労寿命を飛躍的に向上させることが可能な溶接継手および溶接方法を提供することを目的とする。
本発明の課題は以下の手段により達成される。
1.質量%で、C:0.01〜0.40%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.4〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.3〜2.0%、N:0.015%以下、更に、Cr:0.1〜1.5%,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ残留オーステナイトを面積率で2〜30%含む組織を有する鋼材を用いた溶接継手であって、溶接金属の組成がC:0.005〜0.5%,Si:5.6〜8.0%,Mn:0.1〜2.0%を含有することを特徴とする疲労特性に優れた溶接継手。
2.質量%で、C:0.01〜0.40%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.4〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.3〜2.0%、N:0.015%以下、更に、Cr:0.1〜1.5%,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上を含有し、かつ残留オーステナイトを面積率で2〜30%含む組織を有する鋼材を用いて溶接継手を作製する際、溶接金属の組成がC:0.005〜0.5%,Si:5.6〜8.0%,Mn:0.1〜2.0%を含有するように溶接することを特徴とする溶接方法。
3.溶接継手部の断面形状が,下記式で示されるKt(応力集中係数)の値が2.3以下である1記載の疲労特性に優れた溶接継手。
Kt=[1+f(θ)×{g(ρ)−1}] (1)
ここでf(θ):溶接余盛角の影響、g(ρ):止端半径の影響
f(θ)=[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π−θ)}]
/[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π/2)}] (2)
g(ρ)=1+2.2×[(h/ρ)/{2.8×(W/t)−2}]0.65 (3)
ここでW=(t+4×h)+0.3×(tp+2×hp)
h:リブ方向脚長、θ:余盛角、t:主板(母材)厚、tp:リブ板厚
hp:主板方向脚長、ρ:止端半径
4.溶接継手部の断面形状が,下記式で示されるKt(応力集中係数)の値が2.3以下であるように溶接することを特徴とする2記載の溶接方法
Kt=[1+f(θ)×{g(ρ)−1}] (1)
ここでf(θ):溶接余盛角の影響、g(ρ):止端半径の影響
f(θ)=[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π−θ)}]
/[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π/2)}] (2)
g(ρ)=1+2.2×[(h/ρ)/{2.8×(W/t)−2}]0.65(3)
ここで W=(t+4×h)+0.3×(tp+2×hp)
h:リブ方向脚長、θ:余盛角、t:主板(母材)厚、tp:リブ板厚
hp:主板方向脚長、ρ:止端半径
1.質量%で、C:0.01〜0.40%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.4〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.3〜2.0%、N:0.015%以下、更に、Cr:0.1〜1.5%,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ残留オーステナイトを面積率で2〜30%含む組織を有する鋼材を用いた溶接継手であって、溶接金属の組成がC:0.005〜0.5%,Si:5.6〜8.0%,Mn:0.1〜2.0%を含有することを特徴とする疲労特性に優れた溶接継手。
2.質量%で、C:0.01〜0.40%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.4〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.3〜2.0%、N:0.015%以下、更に、Cr:0.1〜1.5%,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上を含有し、かつ残留オーステナイトを面積率で2〜30%含む組織を有する鋼材を用いて溶接継手を作製する際、溶接金属の組成がC:0.005〜0.5%,Si:5.6〜8.0%,Mn:0.1〜2.0%を含有するように溶接することを特徴とする溶接方法。
3.溶接継手部の断面形状が,下記式で示されるKt(応力集中係数)の値が2.3以下である1記載の疲労特性に優れた溶接継手。
Kt=[1+f(θ)×{g(ρ)−1}] (1)
ここでf(θ):溶接余盛角の影響、g(ρ):止端半径の影響
f(θ)=[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π−θ)}]
/[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π/2)}] (2)
g(ρ)=1+2.2×[(h/ρ)/{2.8×(W/t)−2}]0.65 (3)
ここでW=(t+4×h)+0.3×(tp+2×hp)
h:リブ方向脚長、θ:余盛角、t:主板(母材)厚、tp:リブ板厚
hp:主板方向脚長、ρ:止端半径
4.溶接継手部の断面形状が,下記式で示されるKt(応力集中係数)の値が2.3以下であるように溶接することを特徴とする2記載の溶接方法
Kt=[1+f(θ)×{g(ρ)−1}] (1)
ここでf(θ):溶接余盛角の影響、g(ρ):止端半径の影響
f(θ)=[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π−θ)}]
/[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π/2)}] (2)
g(ρ)=1+2.2×[(h/ρ)/{2.8×(W/t)−2}]0.65(3)
ここで W=(t+4×h)+0.3×(tp+2×hp)
h:リブ方向脚長、θ:余盛角、t:主板(母材)厚、tp:リブ板厚
hp:主板方向脚長、ρ:止端半径
本発明によれば、溶接継手における疲労き裂の発生・伝播の両方の観点から疲労強度を向上させることが可能で、溶接部において疲労特性に優れた溶接継手が作製でき、産業上、極めて有用である。
本発明は、疲労特性に優れる鋼材を、溶接止端部の形状が良い溶接部が得られるように溶接する。疲労特性に優れる鋼材として、耐疲労き裂伝播特性に優れる、質量%で、C:0.01〜0.40%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.4〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.3〜2.0%、N:0.015%以下、更に、Cr:0.1〜1.5%,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上を含有し、かつ残留オーステナイトを面積率で2〜30%含む組織を有する鋼材が好適である。
化学成分の限定理由を以下に述べる。以下の説明において%は質量%とする。
C:0.01〜0.40%
Cは鋼の強度を高める成分であるだけでなく、残留オーステナイトを得る上で有用な元素である。しかしながら、含有量が0.01%未満ではその効果に乏しく、一方、0.40%を超えると延性が低下したり、溶接割れの可能性が高まるので、0.01〜0.40%とする。
Cは鋼の強度を高める成分であるだけでなく、残留オーステナイトを得る上で有用な元素である。しかしながら、含有量が0.01%未満ではその効果に乏しく、一方、0.40%を超えると延性が低下したり、溶接割れの可能性が高まるので、0.01〜0.40%とする。
Si:0.10〜3.0%
Siは鋼の脱酸に必要な元素である。Siが0.10%未満では、溶製時の脱酸効果が期待できないので、0.10%以上必要とする。また、Siは残留オーステナイトを得るために重要な元素であるが、3.0%を超えると鋼の靭性が損なわれるので、0.10〜3.0%とする。好ましくは0.10〜0.40%である。
Siは鋼の脱酸に必要な元素である。Siが0.10%未満では、溶製時の脱酸効果が期待できないので、0.10%以上必要とする。また、Siは残留オーステナイトを得るために重要な元素であるが、3.0%を超えると鋼の靭性が損なわれるので、0.10〜3.0%とする。好ましくは0.10〜0.40%である。
Mn:0.4〜3.0%
Mnは鋼の強化元素として有用なだけでなく、残留オーステナイトを得る上でも有用である。しかしながら、含有量が0.4%未満ではその効果に乏しく、一方、3.0%を超えると延性の低下を招くので、Mn量は0.4〜3.0%とする。好ましくは0.5〜2.0%である。
Mnは鋼の強化元素として有用なだけでなく、残留オーステナイトを得る上でも有用である。しかしながら、含有量が0.4%未満ではその効果に乏しく、一方、3.0%を超えると延性の低下を招くので、Mn量は0.4〜3.0%とする。好ましくは0.5〜2.0%である。
P:0.05%以下
Pは低いほど好ましく、含有量が0.05%を超えると溶接時のわれ発生の原因となるので、0.05%以下とする。
Pは低いほど好ましく、含有量が0.05%を超えると溶接時のわれ発生の原因となるので、0.05%以下とする。
S:0.05%以下
Sは少ないほど好ましくは、含有量が0.05%を超えると靭性や延性が低下するようになるので、0.05%以下とする。
Sは少ないほど好ましくは、含有量が0.05%を超えると靭性や延性が低下するようになるので、0.05%以下とする。
Al:0.3〜2.0%
Alは、残留オーステナイトを得るために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.3%未満ではその効果に乏しく、一方、2.0%を超えると延性が低下するようになるので、0.3〜2.0%とする。好ましくは0.5〜1.5%である。
Alは、残留オーステナイトを得るために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.3%未満ではその効果に乏しく、一方、2.0%を超えると延性が低下するようになるので、0.3〜2.0%とする。好ましくは0.5〜1.5%である。
N:0.015%以下
Nは、靭性を劣化させるため少ないほど好ましい。一方、Alが存在する場合はAl窒化物を生成し、靭性を劣化させないので、0.015%以下とする。
Nは、靭性を劣化させるため少ないほど好ましい。一方、Alが存在する場合はAl窒化物を生成し、靭性を劣化させないので、0.015%以下とする。
上記の成分の他,更に、Cr:0.1〜1.5%以下,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上含有する。
Cr:0.1〜1.5%
Crは、鋼の強度向上に有用なだけでなく、靭性も大幅に向上させるが,0.1%未満ではその効果が得られず、1.5 %を超えると効果が飽和するので、Cr量は0.1〜1.5%の範囲とするのが好ましい。
Crは、鋼の強度向上に有用なだけでなく、靭性も大幅に向上させるが,0.1%未満ではその効果が得られず、1.5 %を超えると効果が飽和するので、Cr量は0.1〜1.5%の範囲とするのが好ましい。
Ni:0.1 〜5.0 %
Niは、鋼の強度向上に有用なだけでなく、靭性も大幅に向上させるが,0.1%未満ではその効果が得られず、5.0 %を超えると効果が飽和するので、Ni量は0.1 〜5.0 %の範囲とするのが好ましい。
Niは、鋼の強度向上に有用なだけでなく、靭性も大幅に向上させるが,0.1%未満ではその効果が得られず、5.0 %を超えると効果が飽和するので、Ni量は0.1 〜5.0 %の範囲とするのが好ましい。
Nb:0.005 〜0.10%
Nbは、鋼の強度を向上するのに有用な元素であるが,0.005%未満ではその効果が得られず、0.10%を超えると靭性が劣化するので、Nb量は0.005 〜0.10%の範囲とするのが好ましい。
Nbは、鋼の強度を向上するのに有用な元素であるが,0.005%未満ではその効果が得られず、0.10%を超えると靭性が劣化するので、Nb量は0.005 〜0.10%の範囲とするのが好ましい。
残留オーステナイト(面積率):2〜30%
残留オーステナイトは、応力が負荷されると加工誘起変態するが、この現象は疲労き裂先端のみで認められ、その結果、き裂先端では局所的な応力集中の緩和作用が働き、疲労き裂伝播速度が低減する。さらに、加工誘起変態により、き裂先端に発生する圧縮残留応力が負荷応力を緩和をさせて疲労き裂伝播速度が低減する。
残留オーステナイトは、応力が負荷されると加工誘起変態するが、この現象は疲労き裂先端のみで認められ、その結果、き裂先端では局所的な応力集中の緩和作用が働き、疲労き裂伝播速度が低減する。さらに、加工誘起変態により、き裂先端に発生する圧縮残留応力が負荷応力を緩和をさせて疲労き裂伝播速度が低減する。
上述した効果を得るため、残留オーステナイトの面積率は2%以上とする。一方、残留オーステナイトの強度はベイナイトやマルテンサイトに比較して低く、面積率が30%を超えると、鋼の強度が低下するので、面積率を2〜30%とする。好ましくは5〜15%とする。
残留オーステナイトの面積率は、X線回折法により求める。オーステナイト面積率が100%の標準試料についてX線回折法により回折強度を求め、次に、被測定試料について、標準試料と同一の条件でX線回折法により回折強度を求める。そして、標準試料の回折強度に対する被測定試料の回折強度の比率を、残留オーステナイトの面積率とする。
溶接は、溶接金属の組成がC:0.005〜0.5%,Si:5.6〜8.0%,Mn:0.1〜2.0%を含有するように行う。溶接金属にSiが5.6〜8.0%添加されると溶融金属の湯流れ性を向上し、溶接止端部の形状が良好となり、疲労き裂の発生が抑制される。
溶接金属の化学成分の限定理由を述べる。
C:0.005〜0.5%
Cは溶接金属の強度を高める成分として有用である。しかしながら、含有量が0.005%未満ではその効果に乏しく、一方、0.5%を超えると延性が低下したり、溶接割れの可能性が高くなるので0.005〜0.5%とする。
Cは溶接金属の強度を高める成分として有用である。しかしながら、含有量が0.005%未満ではその効果に乏しく、一方、0.5%を超えると延性が低下したり、溶接割れの可能性が高くなるので0.005〜0.5%とする。
Si:5.6〜8.0%
Siは、溶接部の止端形状を良好にするために必要な元素である。しかしながら、5.6%以上ではその効果に乏しく、一方、8.0%を超えると溶接金属の靭性が低下するほか溶接金属内に欠陥が発生するようになるため、5.6〜8.0%とする。
Siは、溶接部の止端形状を良好にするために必要な元素である。しかしながら、5.6%以上ではその効果に乏しく、一方、8.0%を超えると溶接金属の靭性が低下するほか溶接金属内に欠陥が発生するようになるため、5.6〜8.0%とする。
Mn:0.1〜2.0%
Mnは溶接金属の強化元素として有用であるが、含有量が0.1%未満ではその効果に乏しく、一方、2.0%を超えると延性の低下を招くため、0.1〜2.0%とする。
Mnは溶接金属の強化元素として有用であるが、含有量が0.1%未満ではその効果に乏しく、一方、2.0%を超えると延性の低下を招くため、0.1〜2.0%とする。
以下、実施例を用いて、本発明を説明する。図1に示す角回し溶接継手を作製し、疲労寿命(応力範囲150MPa,応力比0.1での破断寿命)を調査した。図2はビード断面を説明する図、図3は、止端半径、余盛角度を説明する図で、図2のA部拡大を示す。
表1に溶接材料の全溶着金属の化学組成を、表2に溶接される鋼板の化学組成および残留オーステナイト量をそれぞれ示す。
表3に溶接材料と鋼板の組合せおよび溶接金属の化学組成を示す。溶接条件は電流300A,電圧30.5Vとし,手溶接で行った。
表4に各溶接継手における、止端半径、余盛角度、応力集中係数Kt、疲労寿命と欠陥発生の有無を示す。本発明例(記号1〜4)はいずれも溶接金属中のSi含有量が5.6%以上8.0%以下で,溶接止端部形状(止端半径、余盛角度)が良好で、かつ母材(鋼板)の疲労き裂伝播速度の低減の効果により優れた疲労寿命が得られた。
一方、比較例(記号5,6)は、溶接止端部形状(止端半径、余盛角度)が不良で、本発明例と比較すると疲労寿命が短く、疲労特性に劣る。比較例(記号7,8)は,溶接金属中のSi含有量が高いため,溶接部に内在する欠陥からき裂が発生し、本発明例と比較すると疲労特性に劣った。
尚、本発明例の溶接継手部の断面形状は下記(1)式で示される応力集中係数Ktの値が2.3を超えると疲労強度が低下するようになるため、2.3以下とする。
Kt=[1+f(θ)×{g(ρ)−1}] (1)
ここでf(θ):溶接余盛角の影響、g(ρ):止端半径の影響
f(θ)=[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π−θ)}]
/[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π/2)}] (2)
g(ρ)=1+2.2×[(h/ρ)/{2.8×(W/t)−2}]0.65 (3)
ここでW=(t+4×h)+0.3×(tp+2×hp)
h:リブ方向脚長、θ:余盛角、t:主板(母材)厚、tp:リブ板厚、hp:主板方向脚長、ρ:止端半径
本発明では溶接金属にSiが5.6%以上8.0%以下含有していればよく、溶接方法は特に限定しない。例えば、鋼板上にSi含有材を置いておいて溶接すれば、積層される複数のビードのうち、鋼板上に直接溶接されるビードにのみ、溶融金属の湯流れ性を向上させるSiが含有される。
Kt=[1+f(θ)×{g(ρ)−1}] (1)
ここでf(θ):溶接余盛角の影響、g(ρ):止端半径の影響
f(θ)=[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π−θ)}]
/[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π/2)}] (2)
g(ρ)=1+2.2×[(h/ρ)/{2.8×(W/t)−2}]0.65 (3)
ここでW=(t+4×h)+0.3×(tp+2×hp)
h:リブ方向脚長、θ:余盛角、t:主板(母材)厚、tp:リブ板厚、hp:主板方向脚長、ρ:止端半径
本発明では溶接金属にSiが5.6%以上8.0%以下含有していればよく、溶接方法は特に限定しない。例えば、鋼板上にSi含有材を置いておいて溶接すれば、積層される複数のビードのうち、鋼板上に直接溶接されるビードにのみ、溶融金属の湯流れ性を向上させるSiが含有される。
又は、溶接材料としてSiが15%以上添加されたフラックスを含有するフラックス入りワイヤを用いて溶接する。全溶着金属でのSi量が8.6%以上である溶接材料(フラックス入りワイヤ,ソリッドワイヤなど)を用いることが可能である。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.01〜0.40%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.4〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.3〜2.0%、N:0.015%以下、更に、Cr:0.1〜1.5%,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ残留オーステナイトを面積率で2〜30%含む組織を有する鋼材を用いた溶接継手であって、溶接金属の組成がC:0.005〜0.5%,Si:5.6〜8.0%,Mn:0.1〜2.0%を含有することを特徴とする疲労特性に優れた溶接継手。
- 質量%で、C:0.01〜0.40%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.4〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.3〜2.0%、N:0.015%以下、更に、Cr:0.1〜1.5%,Ni:0.1〜5.0%,Nb:0.005〜0.10%の1種または2種以上を含有し、かつ残留オーステナイトを面積率で2〜30%含む組織を有する鋼材を用いて溶接継手を作製する際、溶接金属の組成がC:0.005〜0.5%,Si:5.6〜8.0%,Mn:0.1〜2.0%を含有するように溶接することを特徴とする溶接方法。
- 溶接継手部の断面形状が,下記式で示されるKt(応力集中係数)の値が2.3以下である請求項1記載の疲労特性に優れた溶接継手。
Kt=[1+f(θ)×{g(ρ)−1}] (1)
ここでf(θ):溶接余盛角の影響、g(ρ):止端半径の影響
f(θ)=[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π−θ)}]
/[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π/2)}] (2)
g(ρ)=1+2.2×[(h/ρ)/{2.8×(W/t)−2}]0.65 (3)
ここでW=(t+4×h)+0.3×(tp+2×hp)
h:リブ方向脚長、θ:余盛角、t:主板(母材)厚、tp:リブ板厚
hp:主板方向脚長、ρ:止端半径 - 溶接継手部の断面形状が,下記式で示されるKt(応力集中係数)の値が2.3以下であるように溶接することを特徴とする請求項2記載の溶接方法
Kt=[1+f(θ)×{g(ρ)−1}] (1)
ここでf(θ):溶接余盛角の影響、g(ρ):止端半径の影響
f(θ)=[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π−θ)}]
/[1−exp{−0.90×(W/2h)0.5×(π/2)}] (2)
g(ρ)=1+2.2×[(h/ρ)/{2.8×(W/t)−2}]0.65(3)
ここで W=(t+4×h)+0.3×(tp+2×hp)
h:リブ方向脚長、θ:余盛角、t:主板(母材)厚、tp:リブ板厚
hp:主板方向脚長、ρ:止端半径
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JP2007310447A JP2008248377A (ja) | 2007-03-07 | 2007-11-30 | 疲労特性に優れた溶接継手および溶接方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011056571A (ja) * | 2009-09-14 | 2011-03-24 | Nippon Steel Corp | 脆性き裂停止後の破壊発生防止特性に優れた溶接構造体 |
-
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- 2007-11-30 JP JP2007310447A patent/JP2008248377A/ja active Pending
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