JP6642282B2 - オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法 - Google Patents
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前記ガスタングステンアーク溶接の入熱Qが7kJ/cm以下であり、かつ、下記の式(2)を満たす。
Nieq=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)・・・(1)
Q≧−0.18[H2]+4.8・・・(2)
ただし、式(1)中の各元素記号には、前記第2部材の各元素の含有量が質量%で代入される。式(2)において、Qの単位はkJ/cmであり、[H2]には前記シールドガス中のH2の混合率が体積%で代入される。
Q≧−0.18[H2]+4.8…(1)
ただし、Qの単位はkJ/cmであり、[H2]にはシールドガス中のH2の混合率が体積%で代入される。
以下の説明において、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。また、以下の説明において、第1部材と第2部材とを区別せずに「母材」と呼ぶ場合がある。
第1部材は、以下に説明する化学組成を有する。
炭素(C)は、オーステナイトを安定化するのに有効な元素である。この効果を十分に得るためには、C含有量を0.005%以上にする必要がある。しかしながら、C含有量が高すぎると、溶接時の加熱により粒界に炭化物が形成され、鋼の耐食性及び靱性が低下する。そのため、C含有量は0.005〜0.1%である。C含有量の下限は、好ましくは0.008%である。C含有量の上限は、好ましくは0.08%である。
シリコン(Si)は、脱酸剤として有効な元素であるとともに、耐食性の向上に有効な元素である。Siはさらに、母材製造時にNの溶解度を大きくして、鋼の強度を高めるのに間接的に寄与する。Si含有量が0.2%未満だと、この効果が十分に得られない。しかしながら、Si含有量が高すぎると、Ni、Cr等と金属間化合物を形成し、熱間加工性を著しく低下させる場合がある。また、溶接金属においては凝固時に柱状晶境界に偏析して液層の融点を下げ、凝固割れ感受性を高める場合がある。そのため、Si含有量は0.2〜1.2%である。Si含有量の下限は、好ましくは0.25%である。Si含有量の上限は、好ましくは1.0%である。
マンガン(Mn)は、脱酸剤として有効な元素であるとともに、オーステナイトを安定化するのにも有効な元素である。Mnはさらに、母材製造時にNの溶解度を大きくして、強度を高めるのに間接的に寄与する。この効果を十分に得るためには、Mn含有量を2.5%以上にする必要がある。一方、Mn含有量が高すぎると、靱性が低下する。そのため、Mn含有量は2.5〜6.5%である。Mn含有量の下限は、好ましくは2.7%である。Mn含有量の上限は、好ましくは6%である。
ニッケル(Ni)は、安定なオーステナイトを得るために必須の元素である。この効果を十分に得るためには、Ni含有量を8%以上にする必要がある。しかしながら、Niは高価な元素であるため、多量の含有はコストの増大を招く。また、Ni含有量が高すぎると、母材製造時のNの溶解度が小さくなる。そのため、Ni含有量は8〜15%である。Ni含有量の下限は、好ましくは9%である。N含有量の上限は、好ましくは14.5%である。
クロム(Cr)は、使用環境下での耐食性を確保するために必須の元素である。Crはさらに、母材製造時にNの溶解度を大きくして、強度を高めるのに間接的に寄与する。この効果を十分に得るためには、Cr含有量を19%以上にする必要がある。一方、Cr含有量が高すぎると、オーステナイトが不安定になり、接ガス環境の種類によっては鋼が脆化する。そのため、Cr含有量は19〜25%である。Cr含有量の下限は、好ましくは19.2%である。Cr含有量の上限は、好ましくは24.5%である。
モリブデン(Mo)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。Moはまた、使用環境下での耐食性の向上に有効な元素である。この効果を十分に得るためには、Mo含有量を0.01%以上にする必要がある。しかしながら、Moは高価な元素であるため、多量の含有はコストの増大を招く。また、Mo含有量が高すぎるとオーステナイトが不安定になる。そのため、Mo含有量は0.01〜4.5%である。Mo含有量の下限は、好ましくは1%である。Mo含有量の上限は、好ましくは4%である。
バナジウム(V)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。この効果を得るためには、V含有量を0.01%以上にする必要がある。しかしながら、V含有量が高すぎると、炭窒化物が多量に析出して延性が低下する。そのため、V含有量は0.01〜0.5%である。V含有量の下限は、好ましくは0.05%である。V含有量の上限は、好ましくは0.4%である。
ニオブ(Nb)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。この効果を得るためには、Nb含有量を0.01%以上にする必要がある。しかしながら、Nb含有量が高すぎると、炭窒化物が多量に析出して延性が低下する。そのため、Nb含有量は0.01〜0.5%である。Nb含有量の下限は、好ましくは0.05%である。Nb含有量の上限は、好ましくは0.4%である。
アルミニウム(Al)は、Si及びMnと同様、脱酸剤として含有される。しかしながら、Al含有量が高すぎると、多量の窒化物が形成され、鋼の延性が低下する。そのため、Al含有量は0.05%未満である。Al含有量の下限は、好ましくは0.0003%である。Al含有量の上限は、好ましくは0.04%である。
窒素(N)は、マトリックスに固溶するとともに微細な窒化物を形成し、鋼の強度を高める。この効果を十分に得るためには、N含有量を0.15%以上にする必要がある。しかしながら、N含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下する。また、溶接の際にブローホール等の溶接欠陥を生じる場合がある。そのため、N含有量は0.15〜0.45%である。N含有量の下限は、好ましくは0.16%である。N含有量の上限は、好ましくは0.42%である。
酸素(O)は、鋼中に不純物として含まれる。O含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下するとともに、溶接金属の靱性及び延性が低下する。そのため、O含有量は、0.02%以下である。O含有量は、好ましくは0.01%以下である。
リン(P)は、鋼中に不純物として含まれる。P含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下する。P含有量は低いほど好ましいが、極端な低減は製造コストの増大を招く。そのため、P含有量0.05%以下である。P含有量は、好ましくは0.03%以下である。
硫黄(S)は、鋼中に不純物として含まれる。S含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下する。S含有量は低いほど好ましいが、極端な低減は製造コストの増大を招く。そのため、S含有量は0.04%以下である。S含有量は、好ましくは0.03%以下である。
チタン(Ti)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。しかしながら、Ti含有量が高すぎると、炭窒化物が多量に析出して延性が低下する。そのため、Ti含有量は0〜0.5%である。Ti含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。Ti含有量の上限は、好ましくは0.45%である。
銅(Cu)は、安定なオーステナイト組織を得るのに有効な元素である。しかしながら、Cu含有量が高すぎると、その効果が飽和するとともに、靱性の低下を招く。そのため、Cu含有量は0〜3.0%である。Cu含有量の下限は、好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.008%であり、さらに好ましくは0.01%である。Cu含有量の上限は、好ましくは2.5%であり、さらに好ましくは2%である。
ボロン(B)は、粒界に偏析して粒界固着力を高め、強度向上に寄与する。Bはまた、水素環境下での脆化を抑制する効果も有する。しかしながら、B含有量が高すぎると、溶接材料を使用しない場合、溶接時の割れ感受性を増大させる。したがって、B含有量は0〜0.01%である。B含有量の下限は、好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0002%であり、さらに好ましくは0.0005%である。B含有量の上限は、好ましくは0.008%であり、さらに好ましくは0.005%である。
Nieq=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)
上記の式の各元素記号には、第1部材の各元素の含有量が質量%で代入される。
第2部材は、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo及びNを含むオーステナイト系ステンレス鋼であり、下記の式で規定されるNieqが27%以上である。
Nieq=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)
上記の式の各元素記号には、第2部材の各元素の含有量が質量%で代入される。
炭素(C)は、オーステナイトを安定化するのに有効な元素である。この効果を十分に得るためには、C含有量を0.001%以上にする必要がある。しかしながら、C含有量が高すぎると、溶接時の加熱により粒界に炭化物が形成され、鋼の耐食性及び靱性が低下する。そのため、C含有量は0.001〜0.06%である。C含有量の下限は、好ましくは0.005%である。C含有量の上限は、好ましくは0.05%である。
シリコン(Si)は、脱酸剤として有効な元素であるとともに、耐食性の向上に有効な元素である。Si含有量が0.01%未満だと、この効果が十分に得られない。しかしながら、Si含有量が高すぎると、Ni、Cr等と金属間化合物を形成し、熱間加工性を著しく低下させる場合がある。また、溶接金属においては凝固時に柱状晶境界に偏析して液層の融点を下げ、凝固割れ感受性を高める場合がある。そのため、Si含有量は0.01〜1.0%である。Si含有量の下限は、好ましくは0.03%である。Si含有量の上限は、好ましくは0.9%である。
マンガン(Mn)は、脱酸剤として有効な元素であるとともに、オーステナイトを安定化するのにも有効な元素である。この効果を十分に得るためには、Mn含有量を0.01%以上にする必要がある。一方、Mn含有量が高すぎると、靱性が低下する。そのため、Mn含有量は0.01〜6.0%である。Mn含有量の上限は、好ましくは5.5%である。なお、Mnは、Nの溶解度を大きくする効果も有する。Nを積極的に活用する場合、Mn含有量を2.0%以上にすることが好ましい。一方、Nを積極に活用しないのであれば、Mn含有量は、2.0%以下であってもよい。
ニッケル(Ni)は、安定なオーステナイトを得るために必須の元素である。この効果を十分に得るためには、Ni含有量を8%以上にする必要がある。しかしながら、Niは高価な元素であるため、多量の含有はコストの増大を招く。また、Ni含有量が高すぎると、母材製造時のNの溶解度が小さくなる。そのため、Ni含有量は8〜15%である。Ni含有量の下限は、好ましくは9%である。N含有量の上限は、好ましくは14.5%である。
クロム(Cr)は、使用環境下での耐食性を確保するために必須の元素である。この効果を十分に得るためには、Cr含有量を15%以上にする必要がある。一方、Cr含有量が高すぎると、オーステナイトが不安定になり、接ガス環境の種類によっては鋼が脆化する。そのため、Cr含有量は15〜25%である。Cr含有量の下限は、好ましくは16%である。Cr含有量の上限は、好ましくは24.5%である。
モリブデン(Mo)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。Moはまた、使用環境下での耐食性の向上に有効な元素である。この効果を十分に得るためには、Mo含有量を0.01%以上にする必要がある。しかしながら、Moは高価な元素であるため、多量の含有はコストの増大を招く。また、Mo含有量が高すぎるとオーステナイトが不安定になる。そのため、Mo含有量は0.01〜4.0%である。Mo含有量の下限は、好ましくは1%である。Mo含有量の上限は、好ましくは3.5%である。
アルミニウム(Al)は、Si及びMnと同様、脱酸剤として含有される。しかしながら、Al含有量が高すぎると、多量の窒化物が形成され、鋼の延性が低下する。そのため、Al含有量は0.05%未満である。Al含有量の下限は、好ましくは0.0003%である。Al含有量の上限は、好ましくは0.04%である。
窒素(N)は、マトリックスに固溶するとともに微細な窒化物を形成し、鋼の強度を高める。一方、N含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下する。また、溶接の際にブローホール等の溶接欠陥を生じる場合がある。そのため、N含有量は0.001%以上0.2%未満である。N含有量の下限は、好ましくは0.003%である。N含有量の上限は、好ましくは0.18%である。
酸素(O)は、鋼中に不純物として含まれる。O含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下するとともに、溶接金属の靱性及び延性が低下する。そのため、O含有量は、0.02%以下である。O含有量は、好ましくは0.01%以下である。
リン(P)は、鋼中に不純物として含まれる。P含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下する。P含有量は低いほど好ましいが、極端な低減は製造コストの増大を招く。そのため、P含有量0.05%以下である。P含有量は、好ましくは0.03%以下である。
硫黄(S)は、鋼中に不純物として含まれる。S含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下する。S含有量は低いほど好ましいが、極端な低減は製造コストの増大を招く。そのため、S含有量は0.04%以下である。S含有量は、好ましくは0.03%以下である。
バナジウム(V)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。しかしながら、V含有量が高すぎると、炭窒化物が多量に析出して延性が低下する。そのため、V含有量は0〜0.5%である。V含有量の下限は、好ましくは0.01%である。V含有量の上限は、好ましくは0.4%である。上述のとおり、第2部材は必ずしも高強度でなくてもよいので、V含有量は0.01%以下であってもよい。
ニオブ(Nb)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。しかしながら、Nb含有量が高すぎると、炭窒化物が多量に析出して延性が低下する。そのため、Nb含有量は0〜0.5%である。Nb含有量の下限は、好ましくは0.01%である。Nb含有量の上限は、好ましくは0.4%である。上述のとおり、第2部材は必ずしも高強度でなくてもよいので、Nb含有量は0.01%以下であってもよい。
チタン(Ti)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。しかしながら、Ti含有量が高すぎると、炭窒化物が多量に析出して延性が低下する。そのため、Ti含有量は0〜0.5%である。Ti含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。Ti含有量の上限は、好ましくは0.45%である。
銅(Cu)は、安定なオーステナイト組織を得るのに有効な元素である。しかしながら、Cu含有量が高すぎると、その効果が飽和するとともに、靱性の低下を招く。そのため、Cu含有量は0〜3.0%である。Cu含有量の下限は、好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.008%であり、さらに好ましくは0.01%である。Cu含有量の上限は、好ましくは2.5%であり、さらに好ましくは2%である。
ボロン(B)は、粒界に偏析して粒界固着力を高め、強度向上に寄与する。Bはまた、水素環境下での脆化を抑制する効果も有する。しかしながら、B含有量が高すぎると、溶接材料を使用しない場合、溶接時の割れ感受性を増大させる。したがって、B含有量は0〜0.01%である。B含有量の下限は、好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0002%であり、さらに好ましくは0.0005%である。B含有量の上限は、好ましくは0.008%であり、さらに好ましくは0.005%である。
カルシウム(Ca)は、鋼の熱間加工性を改善する。しかしながら、Ca含有量が高すぎると、Oと結合して清浄性を劣化させ、却って熱間加工性が劣化する。そのため、Ca含有量は0〜0.05%である。Ca含有量の下限は、好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.0015%である。Ca含有量の上限は、好ましくは0.03%であり、さらに好ましくは0.01%である。
マグネシウム(Mg)は、鋼の熱間加工性を改善する。しかしながら、Mg含有量が高すぎると、Oと結合して清浄性を劣化させ、却って熱間加工性が劣化する。そのため、Mg含有量は0〜0.05%である。Mg含有量の下限は、好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.0015%である。Mg含有量の上限は、好ましくは0.03%であり、さらに好ましくは0.01%である。
希土類元素(REM)は、Sとの親和力が強く、鋼の熱間加工性を改善する。しかしながら、REM含有量が高すぎると、Oと結合して清浄性を劣化させ、却って熱間加工性が劣化する。そのため、REM含有量は0〜0.05%である。REM含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.0015%であり、さらに好ましくは0.002%である。REM含有量の上限は、好ましくは0.45%であり、さらに好ましくは0.4%である。
溶接材料を用いずに、第1部材と第2部材とをガスタングテンアーク溶接によって溶接する。ガスタングステンアーク溶接は、以下の条件で実施する。
本実施形態におけるガスタングステンアーク溶接では、Arガス、N2ガス、ArとN2との混合ガス、ArとH2との混合ガス、及びArとN2とH2との混合ガスのいずれかをシールドガスとして用いる。
本実施形態におけるガスタングステンアーク溶接では、入熱Qが7kJ/cm以下であり、かつ、下記の式を満たす。
Q≧−0.18[H2]+4.8
ただし、上式において、Qの単位はkJ/cmであり、[H2]にはシールドガス中のH2の混合率が体積%で代入される。なお、シールドガスが、Arガス、N2ガス、又はArとN2との混合ガスの場合、[H2]には0が代入される。
各溶接継手から、溶接金属を平行部の中央に有する板状引張試験片を作製した。試験片に対して、常温で引張試験を実施した。引張試験において、溶接金属で破断したものを不合格とし、母材破断したもの(第2部材で破断したもの)を合格と評価した。
引張試験で合格と評価した溶接継手に対して、高圧水素環境下における耐水素脆化特性を評価するために、低歪速度引張試験を実施した。引張試験で合格と評価した溶接継手から、溶接金属を平行部の中央に有する板状低歪速度引張試験片を作製した。この試験片を用いて、大気中、及び85MPaの高圧水素環境中で低歪速度引張試験を実施した。歪速度は3×10−5/秒とした。高圧水素環境中での破断絞りの値が大気中での破断絞りの値の80%以上となる場合を合格と評価し、特に90%以上であった場合、優れた耐水素脆化特性を有すると評価した。一方、80%未満となるものを不合格と評価した。
Claims (5)
- 化学組成が、質量%で、C:0.005〜0.1%、Si:0.2〜1.2%、Mn:2.5〜6.5%、Ni:8〜15%、Cr:19〜25%、Mo:0.01〜4.5%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、Al:0.05%未満、N:0.15〜0.45%、Ti:0〜0.5%、Cu:0〜3.0%、B:0〜0.01%、残部:Fe及び不純物であり、前記不純物としてのO、P、Sがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.05%以下、及びS:0.04%以下である第1部材を準備する工程と、
C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo及びNを含むオーステナイト系ステンレス鋼であって、式(1)で規定されるNieqが27%以上である第2部材を準備する工程と、
Arガス、N2ガス、ArとN2との混合ガス、ArとH2との混合ガス、及びArとN2とH2との混合ガスのいずれかをシールドガスとして、溶接材料を用いずにガスタングステンアーク溶接によって前記第1部材と前記第2部材とを溶接する工程とを備え、
前記ガスタングステンアーク溶接の入熱Qが7kJ/cm以下であり、かつ、下記の式(2)を満たす、オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法。
Nieq=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)・・・(1)
Q≧−0.18[H2]+4.8・・・(2)
ただし、式(1)中の各元素記号には、前記第2部材の各元素の含有量が質量%で代入される。式(2)において、Qの単位はkJ/cmであり、[H2]には前記シールドガス中のH2の混合率が体積%で代入される。 - 請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法であって、
前記第2部材の化学組成が、質量%で、C:0.001〜0.06%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.01〜6.0%、Ni:8〜15%、Cr:15〜25%、Mo:0.01〜4.0%、Al:0.05%未満、N:0.001%以上0.2%未満、V:0〜0.5%、Nb:0〜0.5%、Ti:0〜0.5%、Cu:0〜3.0%、B:0〜0.01%、Ca:0〜0.05%、Mg:0〜0.05%、REM:0〜0.5%、残部:Fe及び不純物であり、前記不純物としてのO、P、Sがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.05%以下、及びS:0.04%以下である、オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法。 - 請求項1又は2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法であって、
前記シールドガスは、体積%で、H2:0.1〜20%を含む、オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のオーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法であって、
前記シールドガスは、体積%で、N2:0.1〜50%を含む、オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のオーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法であって、
前記第1部材の化学組成は、式(3)で規定されるNieqが30%以上である、オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法。
Nieq=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)・・・(3)
ただし、式(3)中の各元素記号には、前記第1部材の各元素の含有量が質量%で代入される。
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