JP6606947B2 - 溶接継手の製造方法 - Google Patents
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Q≧−0.18[H2]+5.3…(1)
ただし、式(1)において、Qの単位はkJ/cmであり、[H2]には前記シールドガス中のH2の混合率が体積%で代入される。
Q≧−0.18[H2]+5.3…(1)
ただし、式(1)において、Qの単位はkJ/cmであり、[H2]にはシールドガス中のH2の混合率が体積%で代入される。
本実施形態で用いるオーステナイトステンレス鋼(以下、母材という場合がある。)は、以下に説明する化学組成を有する。以下の説明において、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。
炭素(C)は、オーステナイトを安定化するのに有効な元素である。この効果を十分に得るためには、C含有量を0.005%以上にする必要がある。しかしながら、C含有量が高すぎると、溶接時の加熱により粒界に炭化物が形成され、鋼の耐食性及び靱性が低下する。そのため、C含有量は0.005〜0.1%である。C含有量の下限は、好ましくは0.008%である。C含有量の上限は、好ましくは0.08%である。
シリコン(Si)は、脱酸剤として有効な元素であるとともに、耐食性の向上に有効な元素である。Siはさらに、母材製造時にNの溶解度を大きくして、鋼の強度を高めるのに間接的に寄与する。しかしながら、Si含有量が高すぎると、Ni、Cr等と金属間化合物を形成し、熱間加工性を著しく低下させる場合がある。また、溶接金属においては凝固時に柱状晶境界に偏析して液層の融点を下げ、凝固割れ感受性を高める場合がある。そのため、Si含有量は1.2%以下である。Si含有量の下限は、好ましくは0.01%である。Si含有量の上限は、好ましくは1.0%である。
マンガン(Mn)は、脱酸剤として有効な元素であるとともに、オーステナイトを安定化するのにも有効な元素である。Mnはさらに、母材製造時にNの溶解度を大きくして、強度を高めるのに間接的に寄与する。この効果を十分に得るためには、Mn含有量を2.5%以上にする必要がある。一方、Mn含有量が高すぎると、靱性が低下する。そのため、Mn含有量は2.5〜6.5%である。Mn含有量の下限は、好ましくは2.7%である。Mn含有量の上限は、好ましくは6.0%である。
ニッケル(Ni)は、安定なオーステナイトを得るための必須の元素である。この効果を十分に得るためには、Ni含有量を8.0%以上にする必要がある。しかしながら、Niは高価な元素であるため、多量の含有はコストの増大を招く。また、Ni含有量が高すぎると、母材製造時のNの溶解度が小さくなる。そのため、Ni含有量は8.0〜15.0%である。Ni含有量の下限は、好ましくは9.0%である。N含有量の上限は、好ましくは14.5%である。
クロム(Cr)は、使用環境下での耐食性を確保するために必須の元素である。Crはさらに、母材製造時にNの溶解度を大きくして、強度を高めるのに間接的に寄与する。この効果を十分に得るためには、Cr含有量を19.0%以上にする必要がある。一方、Cr含有量が高すぎると、オーステナイトが不安定になり、接ガス環境の種類によっては鋼が脆化する。そのため、Cr含有量は19.0〜25.0%である。Cr含有量の下限は、好ましくは19.2%である。Cr含有量の上限は、好ましくは24.5%である。
モリブデン(Mo)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。Moはまた、使用環境下での耐食性の向上に有効な元素である。この効果を十分に得るためには、Mo含有量を0.01%以上にする必要がある。しかしながら、Moは高価な元素であるため、多量の含有はコストの増大を招く。また、Mo含有量が高すぎるとオーステナイトが不安定になる。そのため、Mo含有量は0.01〜4.5%である。Mo含有量の下限は、好ましくは0.5%である。Mo含有量の上限は、好ましくは4.0%である。
バナジウム(V)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。この効果を得るためには、V含有量を0.01%以上にする必要がある。しかしながら、V含有量が高すぎると、炭窒化物が多量に析出して延性が低下する。そのため、V含有量は0.01〜0.5%である。V含有量の下限は、好ましくは0.05%である。V含有量の上限は、好ましくは0.4%である。
ニオブ(Nb)は、マトリックスに固溶し又は炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。この効果を得るためには、Nb含有量を0.01%以上にする必要がある。しかしながら、Nb含有量が高すぎると、炭窒化物が多量に析出して延性が低下する。そのため、Nb含有量は0.01〜0.5%である。Nb含有量の下限は、好ましくは0.05%である。Nb含有量の上限は、好ましくは0.4%である。
Al(アルミニウム)は、Si及びMnと同様、脱酸剤として含有される。しかしながら、Al含有量が高すぎると、多量の窒化物が形成され、鋼の延性が低下する。そのため、Al含有量は0.05%未満である。Al含有量は、好ましくは0.04%以下である。
窒素(N)は、マトリックスに固溶するとともに微細な窒化物を形成し、鋼の強度を高める。この効果を十分に得るためには、N含有量を0.15%以上にする必要がある。しかしながら、N含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下する。そのため、N含有量は0.15〜0.45%である。N含有量の下限は、好ましくは0.16%である。N含有量の上限は、好ましくは0.42%である。
酸素(O)は、鋼中に不純物として含まれる。O含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下するとともに、溶接金属の靱性及び延性が低下する。そのため、O含有量は、0.02%以下である。O含有量は、好ましくは0.01%以下である。
リン(P)は、鋼中に不純物として含まれる。P含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下する。P含有量は低いほど好ましいが、極端な低減は製造コストの増大を招く。そのため、P含有量0.05%以下である。P含有量は、好ましくは0.03%以下である。
硫黄(S)は、鋼中に不純物として含まれる。S含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下する。S含有量は低いほど好ましいが、極端な低減は製造コストの増大を招く。そのため、S含有量は0.04%以下である。S含有量は、好ましくは0.03%以下である。
上記の化学組成を有する母材を、溶接材料を用いずに、ガスタングテンアーク溶接によって溶接する。ガスタングステンアーク溶接は、以下の条件で実施する。
本実施形態におけるガスタングステンアーク溶接では、成分が、体積%で、H2:0〜20%、N2:0〜50%、残部:Arであるシールドガスを用いる。本実施形態において、H2及びN2は、任意の成分である。すなわち、本実施形態で用いるシールドガスは、H2及びN2の、一方又は両方を含んでいなくてもよい。
シールドガスにH2を混合させると、溶け込み深さが大きくなり、より小さい入熱で溶接が可能になる。小さい入熱で溶接することで、溶融池からのNの飛散を抑制し、溶接継手の強度を向上させることができる。H2の混合率が高いほど、溶け込み深さを大きくできる。一方、20体積%を超えてH2を混合しても、溶け込み深さは飽和する。したがって、H2の混合率は0〜20体積%である。H2の混合率の下限は、好ましくは0.1体積%であり、さらに好ましくは1体積%である。
シールドガスにN2を混合させると、溶融池からのNの飛散を抑制できるとともに、溶接金属中へNを補填することができる。そのため、溶接金属のN含有量をより高くすることができ、より高強度の溶接金属を得ることができる。N2の混合率が高いほど、よりこの効果が得られる。一方、N2の混合率が50体積%を超えると、ブローホールと呼ばれる溶接欠陥が生じる。したがって、N2の混合率は0〜50体積%である。N2の混合率の下限は、好ましくは0.1体積%であり、さらに好ましくは0.5体積%である。N2の混合率の上限は、好ましくは40体積%であり、さらに好ましくは30体積%である。
本実施形態におけるガスタングステンアーク溶接では、入熱Qが10.0kJ/cm以下であり、かつ、下記の式(1)を満たす。
Q≧−0.18[H2]+5.3…(1)
ただし、式(1)において、Qの単位はkJ/cmであり、[H2]にはシールドガス中のH2の混合率が体積%で代入される。
各溶接継手を被溶接線と垂直な方向に切断し、溶接部断面を現出させ、溶け込み形状を観察した。突き合わせ面に未溶融部分が残っている場合、溶け込み不足と判断した。突き合わせ面に未溶融部分がなく、十分な溶け込み深さが得られている場合、優れた溶接施工性を有すると判断した。
各溶接継手から引張試験片を採取した。引張試験片は、平行部の中央が溶接金属となるように採取した。引張試験片を用いて、常温で引張試験を実施した。引張強さが690MPa以上となる場合、水素設備に用いられる材料に要求される強度を有すると判断した。
引張強さが690MPa以上であった溶接継手から、低歪速度引張試験片を採取した。低歪速度引張試験片は、平行部の中央が溶接金属となるように採取した。低歪速度引張試験片を用いて、大気中、及び85MPaの高圧水素環境中で低歪速度引張試験を実施した。歪速度は3×10−5/秒とした。高圧水素環境中での破断絞りの値が大気中での破断絞りの値の90%以上であった場合、優れた耐水素脆化特性を有すると判断した。
Claims (5)
- 化学組成が、質量%で、C:0.005〜0.1%、Si:1.2%以下、Mn:2.5〜6.5%、Ni:8.0〜15.0%、Cr:19.0〜25.0%、Mo:0.01〜4.5%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、Al:0.05%未満、N:0.15〜0.45%、O:0.02%以下、P:0.05%以下、S:0.04%以下、残部:Fe及び不純物であるオーステナイトステンレス鋼を準備する工程と、
成分が、体積%で、H2:0〜20%、N2:0〜50%、残部:Arであるシールドガスを用いて、前記オーステナイトステンレス鋼を、溶接材料を用いずにガスタングステンアーク溶接によって溶接する工程とを備え、
前記ガスタングステンアーク溶接の入熱Qが10.0kJ/cm以下であり、かつ、下記の式(1)を満たす、溶接継手の製造方法。
Q≧−0.18[H2]+5.3…(1)
ただし、式(1)において、Qの単位はkJ/cmであり、[H2]には前記シールドガス中のH2の混合率が体積%で代入される。 - 請求項1に記載の溶接継手の製造方法であって、
前記シールドガスは、Arのみからなる、溶接継手の製造方法。 - 請求項1に記載の溶接継手の製造方法であって、
前記シールドガスは、体積%で、H2:0.1〜20%を含む、溶接継手の製造方法。 - 請求項1又は3に記載の溶接継手の製造方法であって、
前記シールドガスは、体積%で、N2:0.1〜50%を含む、溶接継手の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶接継手の製造方法であって、
前記ガスタングステンアーク溶接を一回のみ実施する、溶接継手の製造方法。
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