JP4841400B2 - 高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤに関し、特に、耐力620MPa級以上の高張力鋼のガスシールドアーク溶接に使用するのに好適の高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤに関する。
近時の鋼構造物の大型化に伴い、構造物の軽量化が図られるようになり、高張力鋼の適用が進んでいる。特に、海洋構造物、圧力容器等の分野では、良好な低温靭性が必須であり、それを満足する溶接材料の需要が高まっている。これまで、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接等では、低温靭性が優れた溶接材料が適用されているが、作業能率、溶接作業性及び適用姿勢等の面で課題があるのが現状である。このため、高能率、優れた低温靭性及び優れた溶接作業性を兼ね備えたフラックス入りワイヤが強く要望されている。
フラックス入りワイヤに関しては、これまでも種々の開発が行われている。その一例として、特許文献1では、引張強度が690MPa級の高張力鋼用のガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤについて開示されており、TiO、金属フッ化物、Mg量、合金成分の適正範囲を規定し、良好な溶接作業性及び長時間PWHT(溶接後熱処理:Post Weld Heat Treatment)後の高温強度及び低温靭性を確保する方法を提案している。
また、特許文献2では、TiO、MgO、MnOを主成分とするチタニヤ系フラックスを充填する高張力鋼用フラックス入りワイヤについて開示されており、TiO/MgO比及び合金成分の適正範囲を規定し、良好な溶接作業性及び靭性を確保する方法を提案している。
また、特許文献3では、引張強度が680N/mm級以上の高張力鋼用のガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤが開示されている。合金成分の適正化及びTaの適正添加により、小入熱から大入熱までの広い使用範囲において母材強度に相当した強度及び良好な靭性を確保し、更に作業能率向上のため、金属分量を規定するという方法が提案されている。
特開平9−253886号公報 特開平3−47695号公報 特開平8−174275号公報
上述の特許文献1乃至3に記載された方法では、−30乃至−40℃におけるシャルピー衝撃値により低温靭性を評価している。しかしながら、海洋構造物等及び極低温下で使用される構造物への適用を考慮した場合、上記温度域でシャルピー衝撃値を評価しても不十分であり、より低温、即ち、−60℃程度の更に一層の低温域での評価が不可欠である。しかし、特許文献1乃至3においては、−60℃程度の低温域での靭性については言及されていない。
また、特許文献1及び特許文献2では、ワイヤ中にスラグ造滓剤を多量に含有しているため、溶接時に大量のスラグが発生し、スラグ除去に要する工程を増加させ、溶接施工能率の低下を招くことになる。また、特許文献3では、ワイヤ中の金属粉量を規定し、溶接施工能率について言及しているものの、Tiの添加量についてまでは言及されていない。Tiは溶接時スラグ発生の原因となる成分であるため、溶接施工能率を評価する上では重要な成分である。
このように、更に一層の低温域での靭性確保と、優れた耐割れ性を具備すると共に、溶接施工能率が向上した高張力鋼用フラックス入りワイヤの開発が強く望まれているものの、現状では実現されていない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、耐力620MPa級以上の高張力鋼の溶接において、−60℃程度での極低温においても低温靭性が優れた溶接金属が得られ、また、良好な溶接作業性を確保でき、かつ耐割れ性が優れた高張力鋼用ガスシールドアーク溶接ワラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る高張力鋼用ガスシールドアーク溶接ワラックス入りワイヤは、
ワイヤ全質量に対し、
C:0.04乃至0.11質量%、
Si:0.40乃至0.75質量%、
Mn:1.30乃至2.50質量%、
Ni:0.10乃至2.50質量%、
Cr:0.10乃至1.00質量%、
Mo:0.10乃至1.00質量%、
Ti:0.06乃至0.30質量%、
Fe:90質量%以上
を含有し、
N:0.015質量%以下
に規制し、
残部が不可避的不純物である。
また、本発明の高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤは、アルカリ金属フッ化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルカリ土類金属酸化物、B、Al及びMgのいずれかを含有することができる。
そして、本発明においては、C,Si,Mn,Ni,Cr、Mo、Tiの含有量(質量%)を夫々[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[Ti]としたとき、F(x)=−576.9[C]+34.1[Si]+80.1[Mn]+1.5[Ni]−22.8[Cr]−6.8[Mo]−83.1[Ti]で表されるF(x)が100以上であることを特徴とする。なお、例えば、上記Siは、SiO等の化合物として添加される。よって、上記Si含有量は、SiO等の化合物の量を、Siに換算した値である。他の成分も同様である。

本発明の高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤによれば、−60℃程度の極低温においても良好な低温靭性を具備し、更に耐割れ性が優れた溶接金属を得ることができ、また溶接作業性が優れていて、施工能率を向上させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明者等は上述の問題点を解決するため、フラックス入りワイヤでの低温靭性向上のために有効な合金成分について種々の検討を行った。その結果、ワイヤ中の合金成分の添加量と溶接金属の低温靭性との関係を明らかにした。当然ながら、溶接金属の靭性は合金成分の相互的な作用による影響がある。そのため、溶接金属の低温靭性に及ぼすワイヤ中の各種合金成分の影響度について調査し、実験的に関係式を求めた。その結果、以下の知見を得た。
即ち、フラックス入りワイヤの成分C,Si,Mn,Ni,Cr、Mo、Tiの含有量を夫々[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[Ti]としたとき、F(x)=−576.9[C]+34.1[Si]+80.1[Mn]+1.5[Ni]−22.8[Cr]−6.8[Mo]−83.1[Ti]で表されるF(x)と、低温靭性との間には相関関係があり、このF(x)が100以上であることにより、−60℃程度の極低温における低温靭性が向上することを見出した。
耐力620MPa級以上の高張力鋼の溶接においては、ワイヤ中のC、Cr、Ti及びMoの増加に伴って靭性が低下する傾向があり、特にC及びTiは影響度が大きい。
Tiの増加により、溶接金属中の固溶Tiが増大し、再熱部ではTiCが析出するため、核生成能が低下する。それにより、粗大なラス状ベイナイトが支配的となり、靭性が大きく低下する。なお、再熱部とは溶接金属の後続パスによる熱影響部を指す。また、Cの増加により、島状マルテンサイトが生成し、靭性が劣化する。
逆に、Si、Mn及びNiの添加は靭性が向上する傾向があり、特にSi及びMnの影響が強い。Mn及びSiの増加により、溶接金属中の酸素量が低減され、良好な靭性を確保することができる。
本発明は、以上の知見をもとに、ワイヤ中の合金成分を適正化することによってのみ効果を発揮する。以下に本発明の成分添加理由及び組成限定理由について詳細に説明する。なお、以下に示す成分の含有量は、ワイヤ全質量あたりの成分含有量(質量%)で示す。本発明のフラックス入りワイヤは鋼製外皮と充填フラックスとからなり、以下に示す成分は鋼製外皮及び充填フラックスのいずれか一方又は双方から添加される。
C:0.04乃至0.11質量%
Cは溶接金属の強度確保において極めて重要な成分である。Cが0.04質量%未満では、620MPa級以上の耐力を確保できない。また、Cが0.11質量%を超えると、低温割れ感受性が著しく高まる。より好ましくは、Cは0.06乃至0.10質量%である。
Si:0.40乃至0.75質量%
Siは脱酸剤であり、溶接金属の強度確保及び酸素量低減の効果がある。Siが0.4質量%未満では脱酸不足となり、ブローホール発生及び靭性不良となる。一方、Siが0.75質量%を超えると、溶接金属の粘性が高くなり、母材へのなじみが悪くなるなど、溶接作業性が劣化する。より好ましくは、Siは0.50乃至0.60質量%である。
Mn:1.30乃至2.50質量%
MnはSiと同じく脱酸剤として使用する他、溶接金属の靭性向上に有効である。Mnが1.20質量%未満では、脱酸不足となり、ブローホール発生及び靭性不良となる。また、Mnが2.50質量%を超えると、強度が増加し、低温割れ感受性が著しく高まる。より好ましくは、Mnは1.80乃至2.10質量%である。
Ni:0.10乃至2.50質量%
Niは強度及び靭性確保において極めて重要な成分である。Niが0.10質量%未満では、十分な靭性改善効果が得られず、Niが2.50質量%を超えると、高温割れの危険性が高まる。より好ましくは、Niは0.50乃至2.00質量%である。
Cr:0.10乃至1.00質量%
Crは安定的に強度を確保することができるが、Crが0.10質量%未満では十分な強度を確保することができない。Crが1.00質量%を超えると、強度が著しく増加とともに、靭性が劣化し、また、低温割れの原因ともなる。より好ましくは、Crは0.10乃至0.60質量%である。
Mo:0.10乃至1.00質量%
Moは安定的な強度確保が可能であり、また、その添加により結晶粒の微細化を図ることができ、低温靭性が向上する成分である。Moが0.10質量%未満では、十分な強度が確保できず、また、結晶粒微細化の効果が得られず、低靭性となる。Moが1.00質量%を超えると、著しく硬化し、靭性劣化をまねく。より好ましくは、Moは0.20乃至0.60質量%である。
Ti:0.06乃至0.30質量%
Tiは結晶粒の微細化に効果がある一方、大量に添加するとスラグ発生の原因ともなる。Tiが0.06質量%未満では、結晶粒微細化が図られず、低温靭性の劣化につながる。Tiが0.30質量%を超えると、スラグ発生量が多くなり、スラグ除去にかかる工程が増加し、作業能率が低下する。より好ましくは、Tiは0.10乃至0.25質量%である。
なお、Tiは金属Ti、Fe−Ti等のTi合金で添加することが好ましい。酸化物で添加すると、スラグが多量に発生し、スラグ除去工程の増加等により、作業能率低下の原因となる。一方、金属Ti、Ti合金による添加では、スラグ発生量が極めて少量であり、下向溶接及び横向姿勢での溶接施工において、高能率な施工が可能となる。
Fe:90質量%以上
Feは本発明の前提であるメタル系フラックス入りワイヤを実現するために、90質量%以上はフラックス入りワイヤ中に含有されていることが必要である。これにより、メタル系フラックス入りワイヤの高溶着率の特性が達成できる。なお、より好ましくは、Feは93質量%以上である。このFeは、鋼製外皮及び充填フラックス中に含まれる各種Fe合金(Fe−Si,Fe−Mn、Fe−Cr、Fe−Mo、Fe−Ti等)及び鉄粉から由来するFeである。
N:0.015質量%以下
Nは本発明においては、特に積極添加していないが、フラックス入りワイヤのフラックス中の原料に由来して、ある程度はフラックス入りワイヤに含有される。しかし、Nが0.015質量%を超えると、ブローホールが発生するため、0.015質量%以下に規制する必要がある。好ましくは、Nは0.010質量%以下に規制する。
その他、本発明フラックス入りワイヤにはアルカリ金属フッ化物、同酸化物、アルカリ土類金属フッ化物、同酸化物、B、Al、Mg等を含んでもよい。
F(x)=−576.9[C]+34.1[Si]+80.1[Mn]+1.5[Ni]−22.8[Cr]−6.8[Mo]−83.1[Ti]
F(x)≧100
このF(x)は実験的に求めた各種合金成分と低温靭性との関係を示す式である。この関係式は、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Ti、Fe、N、及びその他の成分が下記組成範囲に入る数十種類のワイヤを使用し、その溶着金属の−60℃でのシャルピー衝撃試験結果とワイヤ成分との関係を統計処理することにより、この低温靭性と成分組成との関係を示すものとして求めたものである。
C:0.03乃至0.15質量%、
Si:0.32乃至0,89質量%、
Mn:1.18乃至2.65質量%、
Ni:0.04乃至2.75質量%、
Cr:0.05乃至1.20質量%、
Mo:0.04乃至1.21質量%、
Ti:0.03乃至0.36質量%、
Fe:92.1乃至96.1質量%、
N:0.0010乃至0.0150質量%、
その他成分(B、Na、F、K、Li、Al、Ca、Mg、P、S):0.10乃至3.25質量%。
このF(x)の値は、それが大きいほど低温靭性が高く、低いほど低温靭性が低いことを示すものである。このF(x)の式において、各種合金成分の含有量に乗じてある係数は、低温靭性に及ぼす各合金成分の影響度を表したものであり、係数が高ければ、僅かの含有量増加でもF(x)は増加して含有量の割には低温靭性が大きく向上し、低ければ含有量が増加してもF(x)の上昇は低くなり、低温靭性の向上は小さい。また、係数が負の値の場合には、その成分の添加が低温靭性に悪影響を与えることを意味している。この係数は、数十種類のワイヤについての試験結果から、各成分について、その増量によるF(x)の値の変化が、低温靭性の向上に寄与する割合(寄与度)を、各成分について対比し、その低温靭性に対する寄与度の大小として(相対的な値として)決めたものである。
そして、各成分の寄与度が調整されて低温靭性の指標となるF(x)の値を各ワイヤについて求め、このF(x)値と−60℃でのシャルピー衝撃値(以下、vE−60℃)との関係を示したのが、図1である。この図1に示すように、F(x)とvE−60℃との関係はほぼ比例関係にあり、F(x)≧100ではvE−60℃≧50Jとなり、良好な低温靭性を有することがわかる。従って、このF(x)により、高強度鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤのワイヤ成分と溶接金属の低温靭性との関係を正確に推定されることが実証された。
以下、本発明の効果を実証するために行った試験の結果について、本発明の範囲に入る実施例と、本発明の範囲から外れる比較例とを対比して説明する。下記表1はこの試験の溶接条件を示す。また、表2は供試ワイヤの組成及びF(x)値を示す。これらの供試ワイヤのシースの組成を下記表3に示す。下記表4に対照表を示すように、表2の各ワイヤはこの表3に記載のA又はBのシースを使用した。表1に示す溶接条件にて、HT780鋼溶着金属を作製した。この溶着金属から、引張試験片(JIS Z3111 A1号)及びシャルピー衝撃試験片(JIS Z3111 A4号)を採取し、機械試験を実施した。その結果、0.2%耐力、及びシャルピー衝撃値、並びに溶接作業性の評価結果を下記表5に示す。
なお、溶着金属の耐力が620MPa以上、−60℃でのシャルピー衝撃値が50J以上であれば、これらの特性が良好であると判断した。
また、低温割れ及び高温割れの評価方法は以下のとおりである。低温割れは、溶接後96時間放置した後、裏当て金を切削し、超音波探傷試験(JIS Z 3060)、磁粉探傷試験JIS G 0565)により欠陥の有無を確認した。更に、破面をSEM観察し、割れの形態を確認した。また、高温割れは、溶接後、裏当て金を切削し、超音波探傷試験(JIS Z 3060)、放射線透過試験(JIS Z 3104)により欠陥の有雛を確認した。更に、破面をSEM観察し、割れの形態を確認した。また、引張試験及びシャルピー衝撃試験は、JIS Z 3111溶着金属の引張及び衝撃試験方法に準拠した。
なお、フラックス入りワイヤのフラックス率は、{(フラックスの質量)/(フラックス入りワイヤ全体の質量)}×100(単位%)で定義されるが、実施例比較例で使用したフラックス率は12乃至20%である。このフラックス率は本発明の効果に影響を与えないが、フラックス入りワイヤの一般的な範囲として、フラックス率は10乃至30%が適切である。フラックス率が10%未満では、必要な合金元素の添加がフラックスのみから添加することが困難になり、それらの元素を外皮から添加することは、原材料のコスト上昇となり、また、合金添加による外皮強度の増加で伸線性の劣化を招く。一方、フラックス率が30%を超えると、相対的に外皮が薄くなり、断線しやすく、伸線性の劣化を招く。
Figure 0004841400
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表2に示すように、実施例No.1乃至14が、本発明の範囲に入るワイヤであり、比較例15乃至32が本発明の範囲から外れるワイヤである。
表5に示すように、実施例No.1乃至14のワイヤにおいては、0.2%耐力は620MPa以上、vE−60℃は50J以上であり、適正な強度及び優れた低温靭性が得られている。更に、溶接作業性及び耐割れ性についても良好であった。
これに対し、Cが0.04質量%未満である比較例No.15、Crが0.10未満である比較例No.23では、0.2%耐力が620MPa未満となり、十分な強度を確保することができない。Cが0.11質量%を超える比較例No.16、Crが1.00質量%を超える比較例No.24では、強度が過大になり、靭性が低下し、低温割れが発生した。
Siが0.40質量%未満である比較例No.17、Mnが1.30質量%未満である比較例No.19では、脱酸不足によりブローホールが多発した。Siが0.75質量%を超える比較例No.18では、母材への溶接金属のなじみが不良となり、溶接作業性が劣化した。
Mnが2.50質量%を超える比較例No.20では、強度が過大になり、低温割れが発生した。
Niが0.10質量%未満である比較例No.21、Tiが0.06質量%未満である比較例No.27では、結晶粒の微細化が図られず、靭性不良となった。逆に、Niが2.50質量%を超える比較例No.22では、高温割れが発生した。
比較例No.25ではMoが0.10質量%未満であるが、0.2%耐力が620MPa未満と十分な強度を確保できず、また、結晶粒の微細化が得られず、靭性が低いものであった。
Moが1.00質量%を超える比較例No.26では、溶按金属が著しく硬化し、靭性不良となった。
比較例No.28では、Tiが0.30質量%を超えるが、スラグ発生量が増大し、スラグ除去にかかる時間が増加し、作業能率が低下した。
また、比較例No.29乃至32は、F(x)<100であり、この場合、−60℃でのシャルピー衝撃値が50J以下と低温靭性が低いものであった。
比較例No.33は、その他の成分が多く含まれ、結果的にFeが90質量%未満のため、スラグ量が過多となり、溶着量が下がり、能率が低下した。また、比較例No.34は、Nが0.015質量%を超えているので、ブローホールが発生した。
このように、本発明範囲内の実施例No.1乃至14は、良好な低温靭性並びに優れた溶接作業性及び耐割れ性を確保することができる。
F(x)と−60℃におけるシャルピー衝撃値vE−60℃(J)との関係を示すグラフ図である。

Claims (2)

  1. ワイヤ全質量に対し、
    C:0.04乃至0.11質量%、
    Si:0.40乃至0.75質量%、
    Mn:1.30乃至2.50質量%、
    Ni:0.10乃至2.50質量%、
    Cr:0.10乃至1.00質量%、
    Mo:0.10乃至1.00質量%、
    Ti:0.06乃至0.30質量%、
    Fe:90質量%以上
    を含有し、
    N:0.015質量%以下
    に規制し、
    残部が不可避的不純物であり、
    更にまた、C,Si,Mn,Ni,Cr、Mo、Tiの含有量を夫々[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[Ti]としたとき、F(x)=−576.9[C]+34.1[Si]+80.1[Mn]+1.5[Ni]−22.8[Cr]−6.8[Mo]−83.1[Ti]で表されるF(x)が100以上であることを特徴とする高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ。
  2. ワイヤ全質量に対し、
    C:0.04乃至0.11質量%、
    Si:0.40乃至0.75質量%、
    Mn:1.30乃至2.50質量%、
    Ni:0.10乃至2.50質量%、
    Cr:0.10乃至1.00質量%、
    Mo:0.10乃至1.00質量%、
    Ti:0.06乃至0.30質量%、
    Fe:90質量%以上
    を含有し、
    N:0.015質量%以下
    に規制し、
    更に、アルカリ金属フッ化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルカリ土類金属酸化物、B、Al及びMgのいずれかを含有し、
    残部が不可避的不純物であり、
    更にまた、C,Si,Mn,Ni,Cr、Mo、Tiの含有量を夫々[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[Ti]としたとき、F(x)=−576.9[C]+34.1[Si]+80.1[Mn]+1.5[Ni]−22.8[Cr]−6.8[Mo]−83.1[Ti]で表されるF(x)が100以上であることを特徴とする高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ。
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