JP2008248189A - 樹脂組成物および樹脂組成物を使用して作製した半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、弾性率が低く良好な接着性を示す半導体用ダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料および耐リフロー性等の信頼性に優れた半導体装置を提供すること。
【解決手段】半導体素子または放熱部材を支持体に接着する樹脂組成物であって、一般式(1)で示される化合物(A)を含むことを特徴とする樹脂組成物および該樹脂組成物をダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として使用して作製した半導体装置である。
【選択図】なし
Description
一方環境対応の一環として半導体製品からの鉛撤廃が進められている中、基板実装時に使用する半田も鉛フリー半田が使用されるため、錫−鉛半田の場合よりリフロー温度を高くする必要がある。高温でのリフロー処理は半導体パッケージ内部のストレスを増加させるため、リフロー中に半導体製品中に剥離ひいてはクラックが発生しやすくなる。
また半導体製品における外装めっきの脱鉛化目的のためリードフレームのめっきをNi−Pdに変更する場合が増えてきている。ここでNi−Pdめっきは表面のPd層の安定性を向上する目的で薄く金めっき(金フラッシュ)が行われるが、Ni−Pdめっきそのものの平滑性および表面に存在する金のため通常の銀めっき銅フレーム等と比較すると接着力が低下する。接着力の低下はリフロー処理時の半導体製品中の剥離、クラックの原因となる。
ここで硬化物の熱伝導率を向上させるためには銀粉などの高熱伝導性フィラーを高充填する必要があり液状樹脂組成物の高粘度化に繋がっていた。液状樹脂組成物の粘度が高い場合にはヒートスラッグ、リードフレーム、有機基板などの被着体へ濡れ性が悪化しその結果接着性の悪化の原因となっていた。また液状樹脂組成物の粘度を下げる目的で溶剤を使用することは一般的であるが、液状樹脂組成物に含まれる溶剤は硬化中に揮発する必要があり、溶剤の揮発に基づくボイドが接着性のみならず熱伝導性の悪化の原因となっていた。このように従来から使用されているダイアタッチペースト(例えば、特許文献1参照)よりも熱伝導性に優れかつ各種界面に対する接着性に優れる材料が望まれているが満足なものはなかった。
[1]半導体素子または放熱部材を支持体に接着する樹脂組成物であって、一般式(1)
で示される化合物(A)を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[3]前記化合物(B)が以下の(B1)〜(B6)の群から選ばれる少なくとも1種である上記[2]に記載の樹脂組成物。
アクリロイル基を有するポリウレタン化合物で脂肪族環を有する化合物(B1)
アクリロイル基を有するジエン系化合物の重合体または共重合体(B2)
アクリロイル基を有するポリエステル化合物で脂肪族環を有する化合物(B3)
アクリロイル基を有するポリカーボネート化合物(B4)
アクリロイル基を有する主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物(B5)
アクリロイル基を有する化合物とダイマー酸またはその誘導体とを反応させたアクリロイル基を有する化合物(B6)
[4]さらに(メタ)アリルエステル基を有する化合物(C)を含む上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[5]さらにマレイミド基を有する化合物(D)を含む上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[6]さらにS−S結合を有するシランカップリング剤(E)を含む上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7]さらに充填材(F)を含む上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8]上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物をダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として用いて製作されることを特徴とする半導体装置。
有機基板としては、ガラスエポキシ基板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板)、BT基板(シアネートモノマーおよびそのオリゴマーとビスマレイミドとからなるBTレジン使用基板)、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。
以下、本発明について詳細に説明する。
ここでアクリロイル基とは、アクリロイル基のαまたはβ位がアルキル基、アルケニル基、フェニル基などの炭素数1〜8の有機基で置換されているものも含むこととする。
中でも好ましいアクリロイル基を有する化合物(B)としては以下の(B1)〜(B6)の群から選ばれる少なくとも1種である。
アクリロイル基を有するポリウレタン化合物で脂肪族環を有する化合物(B1)
アクリロイル基を有するジエン系化合物の重合体または共重合体(B2)
アクリロイル基を有するポリエステル化合物で脂肪族環を有する化合物(B3)
アクリロイル基を有するポリカーボネート化合物(B4)
アクリロイル基を有する主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物(B5)
アクリロイル基を有する化合物とダイマー酸またはその誘導体とを反応させたアクリロイル基を有する化合物(B6)
(B1)〜(B6)の化合物について以下説明を行う。
一般にウレタンアクリレートと総称されるアクリロイル基を有するポリウレタン化合物は良く知られているが、なかでも分子骨格に脂肪族環を有する場合には室温で液状のものを得やすく、また硬化物は特に低い弾性率を示すので好適に使用可能である。
このような化合物としてはノルボルネンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートとジオールと水酸基およびアクリロイル基とを有する化合物とを反応することにより得ることが可能である。より好ましいのは前記ジオールの分子量が200以上、2000以下のポリエーテルジオール、ポリエステルジオールおよびポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種の場合であり、さらに前記水酸基およびアクリロイル基を有する化合物が2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドである場合である。ジイソシアネートとしてノルボルネンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種を、ジオールとしてポリエーテルジオール、ポリエステルジオールおよびポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種を用いることでより低弾性率の硬化物を得ることが可能となるとともに、室温で液状であるため樹脂組成物に充填材を配合した場合でも低粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。アクリロイル基を有することで硬化性に優れる樹脂組成物を得ることが可能となる。
本発明では低弾性率の硬化物を得るためにアクリロイル基を有するジエン系化合物の重合体または共重合体(B2)も使用可能である。期待する低弾性率化のためには分子量が500以上であることが好ましい。分子量が5000を超える場合には粘度が高くなりすぎるため好ましくない。前記ジエン系化合物の重合体または共重合体は、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン共重合体またはイソプレン共重合体であることが好ましい。アクリロイル基は化合物(A)と共重合するために必要であり、官能基をもつジエン系化合物の重合体または共重合体との反応により導入することが可能である。具体的にはジエン系化合物の重合体または共重合体がカルボキシ基を有する場合には、水酸基、グリシジル基またはアミノ基とアクリロイル基とを有する化合物を反応することで得ることが可能であり、ジエン系化合物の重合体または共重合体が水酸基を有する場合には、アクリロイル基およびカルボキシ基を有する化合物を反応することで得ることが可能である。より好ましい化合物(B2)としては、両末端にカルボキシ基を有するジエン系化合物の重合体または共重合体とポリアルキレンオキサイドジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールモノ(メタ)アクリレートおよびポリカーボネートジオールモノ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種との反応物の場合である。アクリロイル基がポリエーテル、ポリエステルおよびポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種の結合を介してジエン系化合物の重合体または共重合体と結合していることでより低弾性率の硬化物を得ることが可能となるとともに、室温で液状であるため樹脂組成物に充填材を配合した場合でも低粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。アクリロイル基を有することで硬化性に優れる樹脂組成物を得ることが可能となる。
本発明ではアクリロイル基を有するポリエステル化合物で脂肪族環を有し室温で液状の化合物(B3)を使用することも可能である。化合物(B3)は分子骨格に脂肪族環を有するため特に弾性率の低い硬化物を得ることが可能であるため好適に用いられる。脂肪族環を有するポリエステル化合物は、脂肪族環を有するジカルボン酸またはその誘導体とジオールとの反応、脂肪族環を有するジオールとジカルボン酸との反応などにより得ることが可能である。このようなポリエステル化合物は末端がカルボキシ基または水酸基であるので、これらカルボキシ基または水酸基と反応可能な官能基およびアクリロイル基を有する化合物と反応することで化合物(B3)を得ることが可能である。前記脂環構造を有するジカルボン酸としてはシクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソホロンジカルボン酸、およびシクロヘキセンジカルボン酸などが挙げられ、その誘導体とはこれら化合物の酸無水物、アルキルエステル化合物、ハロゲン化化合物などが挙げられる。特に好ましいのはシクロヘキサンジカルボン酸またはその誘導体であり、これらを用いた場合にはポリエステル骨格にシクロヘキサンジカルボン酸残基が含まれる。前記脂肪族環を有するジオールとしてはシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジアルキルアルコールなどが挙げられ、これらを用いた場合にはポリエステル骨格にシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジアルキルアルコール残基が含まれる。化合物(B3)はジカルボン酸またはその誘導体とジオールを先に反応させ、末端がカルボキシ基または水酸基のポリエステル化合物を得た後にカルボキシ基または水酸基と反応可能な官能基およびアクリロイル基を有する化合物と反応することでも得ることが可能であるし、例えば2-ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物とジカルボン酸とジオールとを同時に仕込んで反応することにより得ることも可能である。好ましい化合物(B3)の分子量は200以上、5000以下であり、より好ましくは500以上、2000以下である。アクリロイル基を有するポリエステル化合物で脂肪族環を有する化合物(B3)は低弾性率の硬化物を得ることが可能となるとともに、室温で液状であるため樹脂組成物に充填材を配合した場合でも低粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。アクリロイル基を有することで硬化性に優れる樹脂組成物を得ること
が可能となる。
本発明ではアクリロイル基を有する室温で液状のポリカーボネート化合物(B4)を使用することも可能である。代表的なポリカーボネートとして知られているビスフェノールAを原料とするポリカーボネートのように芳香族環を有するポリカーボネートの場合には分子間の凝集力が強すぎ液状のものを得ることが難しいとともに硬化物の弾性率が高くなりすぎるため好ましくない。好ましい化合物(B4)としては、脂肪族ジオールと炭酸ジアルキルをエステル交換反応によりポリカーボネートジオールを得た後、(メタ)アクリル酸またはその誘導体と反応することにより得られる化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明ではアクリロイル基を有する主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物(B5)を使用することも可能である。アクリロイル基を有する主鎖が炭素−炭素結合で構成され
る化合物(B5)の分子量は1000以上20000以下が好ましい。この範囲であれば弾性率の低い硬化物が得られると共に樹脂組成物としても粘度が低く作業性に優れるものが得られる。このような化合物(B5)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの第1の成分と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレートなどの官能基を有する第2の成分とを共重合することで分子量が1000以上20000以下で水酸基、カルボキシ基またはグリシジル基を有する共重合体を得た後、アクリロイル基を導入した化合物が挙げられる。また第1の成分としてスチレンを含むことも好ましい。共重合体の作製方法は特に限定されず、一般的には溶媒中、重合開始剤および連鎖移動剤を用いて反応させることが可能であり、特に重合開始剤および連鎖移動剤の濃度が反応に用いられるすべての成分に対して1重量%以下であることが好ましい。なかでも特に好ましいのは重合開始剤および連鎖移動剤をほとんど使用せずに、さらに好ましくは使用せずに高温高圧化で反応を行うことで得ることが可能である。このようにして得られた共重合体は低分子量で分子量分布が狭いため、さらにアクリロイル基を導入した化合物としても粘度の低い液状である。このような共重合体としては東亞合成(株)からArufon(アルフォン)の商品名で販売されている。共重合体の作製時に第2の成分としてヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートを使用すれば主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下で水酸基を有する共重合体を得ることができ、これと(メタ)アクリル酸またはその誘導体とを反応することでアクリロイル基を導入した化合物を得ることができる。または、第2の成分として(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基を有する化合物を使用すれば主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でカルボキシ基を有する共重合体を得ることができ、これとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基およびアクリロイル基を有する化合物とを反応することでアクリロイル基を導入した化合物を得ることができる。さらに、第2の成分としてグリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを使用すれば主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が1000以上20000以下でグリシジル基を有する共重合体を得ることができ、これと(メタ)アクリル酸またはその誘導体とを反応することでアクリロイル基を導入した化合物を得ることができる。アクリロイル基を有する主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物(B5)は低弾性率の硬化物を得ることが可能となるとともに、室温で液状であるため樹脂組成物に充填材を配合した場合でも低粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。アクリロイル基を有することで硬化性に優れる樹脂組成物を得ることが可能となる。
本発明ではアクリロイル基を有する化合物とダイマー酸またはその誘導体とを反応させたアクリロイル基を有する化合物(B6)を使用することも可能である。ここでダイマー酸とは、例えばオレイン酸2分子が結合した炭素数36の2塩基酸およびその水素添加を示し、主として炭素数36の2塩基酸で構成されていればよく炭素数36以外の2塩基酸が含まれていても差し支えない。
またダイマー酸誘導体とは前記ダイマー酸の末端のカルボキシ基が、水酸基、アミノ基で置き換えられた化合物を示すものとする。ダイマー酸またはその誘導体はその構造から結晶性が低くアクリロイル基を導入することで室温において液状の化合物を得ることが可能となる。アクリロイル基の導入は末端がカルボキシ基であるダイマー酸(炭素数36)の場合にはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートなどの水酸基とアクリロイル基とを有する化合物と反応することで得られる。
末端が水酸基であるダイマー酸誘導体の場合には(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基またはアクリロイル基を有する化合物と反応することで得られる。末端がアミノ基であるダイマー酸誘導体の場合には(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基またはアクリロイ
ル基を有する化合物あるいはグリシジル(メタ)アクリレートなどグリシジル基とアクリロイル基とを有する化合物と反応することで可能である。アクリロイル基を有する化合物とダイマー酸またはその誘導体とを反応させたアクリロイル基を有する化合物(B6)は低弾性率の硬化物を得ることが可能となるとともに、室温で液状であるため樹脂組成物に充填材を配合した場合でも低粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。アクリロイル基を有することで硬化性に優れる樹脂組成物を得ることが可能となる。
希釈剤の配合量は硬化反応中の揮発性、硬化物の弾性率などの観点から希釈剤と化合物(A)の合計に対し80重量%以下が好ましい。より好ましくは60重量%以下であり、特に好ましいのは40重量%以下である。上限値を超えると前述の化合物(A)を配合する効果を十分に発揮できない場合があるからである。
好ましい化合物(C)としては、分子量500以上、5000以下のものであり、より好ましい分子量の範囲は800以上、2000以下である。下限値より小さい場合には樹脂組成物中の官能基の数が多くなり硬化物の弾性率が高くなる傾向にあり、上限値より大きい場合には樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ実用的でないためである。
このような化合物(C)としては、シクロヘキサンジカルボン酸またはその誘導体とジオールとアリルアルコールとを反応することにより得られる。仕込み比により分子量を制御することが可能である。前記ジオールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールおよびポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種を用いればより低弾性率の硬化物を得ることが可能となるので好ましい。またシクロヘキサンジアリルエステルと脂肪族ポリオールとのエステル交換反応により得られる化合物も好ましい。(メタ)アリルエステル基を有する化合物(C)は低弾性率の硬化物を得ることが可能となるとともに、室温において液状であるため樹脂組成物に充填材を配合した場合でも低粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。(メタ)アリルエステル基を有することで硬化性に優れる樹脂組成物を得ることが可能となる。
ーテルジオール、ポリエステルジオールおよびポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種である場合である。最も好ましいのは前記ジオールの分子量が200以上、2000以下のポリエーテルジオール、ポリエステルジオールおよびポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種の場合である。ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールおよびポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種を用いることでより低弾性率の硬化物を得ることが可能となるとともに、室温で液状であるため樹脂組成物に充填材を配合した場合でも低粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。マレイミド基を有することで硬化性に優れる樹脂組成物を得ることが可能となる。
本発明の樹脂組成物は、例えば各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練した後真空下脱泡することにより製造することができる。
物をディスペンス塗布した後、半導体チップをマウントし、加熱硬化する。その後、ワイヤーボンディングして、エポキシ樹脂を用いてトランスファー成形することによって半導体装置を製作する。またはフリップチップ接合後アンダーフィル材で封止したフリップチップBGA(Ball Grid Ararry)などの半導体チップ裏面に樹脂組成物をディスペンスしヒートスプレッダー、リッドといった放熱部品を搭載し加熱硬化するなどといった使用方法も可能である。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。配合割合は重量部で示す。
化合物B1
2−ヒドロキシエチルアクリレートとポリテトラメチレングリコールジオールとイソホロンジイソシアネートとの反応生成物(新中村化学工業(株)製、NKオリゴ UA160TM、アクリロイル基を有するポリウレタン化合物で脂肪族環を有する化合物、室温で液状、以下化合物B1)
カルボキシ基を有するポリブタジエン(日本曹達(株)製、C−1000、数平均分子量1200〜1500)120gとポリオキシブチレンオキシプロピレンモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマー10PPB−500B,水酸基およびポリアルキレンオキサイド骨格を有するモノメタクリレート)150gおよびトルエン/酢酸エチル混合溶媒(7/3)500gをセパラブルフラスコに入れ、還流下ディーンスタークトラップにて1時間脱水を行った。室温まで冷却した後、攪拌しながらジシクロカルボジイミド/ジメチルアミノピリジンの酢酸エチル溶液を滴下し、滴下後室温で16時間反応した。イオン交換水を添加し30分攪拌した後、さらにイオン交換水を用いて5回分液洗浄を行った後有機溶剤層をろ過することにより固形分を除去、エバポレータおよび真空乾燥機にて溶剤を除去し生成物を得、以下の試験に用いた。(収率約89%。室温で粘ちょうな液体。重クロロホルムを用いたプロトンNMRの測定により水酸基およびカルボキシ基の消失、エステル結合の生成を確認した。IRによりエステル結合の生成を確認した。GPCによるスチレン換算分子量は約2500であり、カルボキシ基を有するポリブタジエンと水酸基およびポリアルキレンオキサイド骨格を有するモノメタクリレートのエステル化化合物であることを確認した。アクリロイル基を有するジエン系化合物の重合体または共重合体、以下化合物B2)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(試薬)69g、3−メチル−1,5−ペンタンジオール((株)クラレ製、MPD)35g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO)26gおよびトルエン/MIBK混合溶剤(7:3)200gをセパラブルフラスコに入れ、室温で30分攪拌した後パラトルエンスルホン酸を添加し還流下8時間反応を行った。なお反応中生成した水分はディーンスタークトラップにて除去した。室温付近まで冷却しイオン交換水を添加し30分攪拌、その後静置し溶剤層を得た。さらに70℃のイオン交換水にて3回、室温のイオン交換水にて2回分液洗浄を行った後エバポレータおよび真空乾燥機にて溶剤を除去し生成物を得た。(収率約78%。室温で液状。GPCによるスチレン換算分子量は約1200であった。重クロロホルムを用いたプロトンNMRの測定により3−メチル−1,5−ペンタンジオールの水酸基および2−ヒドロキシエチルメタクリレートの水酸基のプロトンに基づく2.0ppm付近のピークの消失、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のカルボキシ基のプロトン11.9ppm付近のピークの消失、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの1位及び5位のメチレン基のプロトンのエステル化によるシフト(4.1ppm付近)を確認した。アクリロイル基を有するポリエステル化合物で脂肪族環を有する化合物(B3)、
以下化合物B3)
アクリロイル基を有するポリカーボネート化合物(B4)として、1,4−ジメタノールシクロヘキサン/1,6−ヘキサンジオール(=3/1(重量比))と炭酸ジメチルから合成した分子量約900のポリカーボネートジオールにメタクリル酸メチルを反応することにより得られるポリカーボネートジメタクリレート化合物(宇部興産(株)製、UM−90(3/1)DM、以下化合物B41)
アクリロイル基を有するポリカーボネート化合物(B4)として、アクリロイル基を有するポリカーボネート化合物(B4)として1,4−ジメタノールシクロヘキサン/1,6−ヘキサンジオール(=1/3(重量比))と炭酸ジメチルから合成した分子量約900のポリカーボネートジオールにメタクリル酸メチルを反応することにより得られるポリカーボネートジメタクリレート化合物(宇部興産(株)製、UM−90(1/3)DM、以下化合物B42)
水酸基価33mgKOH/gで分子量5000のアクリルオリゴマー(東亞合成(株)製、Arufon(アルフォン)UH−2130、連鎖移動触媒を用いずに高温、高圧で連続塊状重合することにより得られる水酸基を有するアクリル系オリゴマーで主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物)100g、メタクリル酸(試薬)7g、トルエン(試薬)500gをセパラブルフラスコに入れディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後攪拌しながらジシクロヘキシルカルボジイミド17gを酢酸エチル50mlに溶解させた溶液を10分かけて滴下しその後室温で6時間反応した。反応後攪拌しながら50mlのイオン交換水を添加することで過剰のジシクロヘキシルカルボジイミドを析出させた後、ディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後反応液をろ過することで固形物を取り除き、70℃のイオン交換水にて3回、室温のイオン交換水にて2回分液洗浄を行った。溶剤層を再度ろ過することにより得られたろ液をエバポレータおよび真空乾燥機にて溶剤を除去し生成物を得た。(収率約97%。室温で液状。GPC測定により分子量(スチレン換算)が約5500で、メタクリル酸が残存していないことを確認。重クロロホルムを用いたプロトンNMRの測定により水酸基の消失、メタクリル基の存在、エステル結合の生成を確認。主鎖が炭素−炭素結合で構成され分子量が5500でラジカル重合性官能基であるメタクリロイル基を約3個有する化合物、アクリロイル基を有する主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物、以下化合物B5)
ダイマー酸の水素還元反応により得られるダイマージオール(ユニケマ社製、PRIPOL2033、分子量約600)120g、メタクリル酸(試薬)38gおよびトルエン1200mlをセパラブルフラスコに入れ、ディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後攪拌しながらジシクロヘキシルカルボジイミド150gを酢酸エチル500mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下しその後室温で6時間反応した。反応後攪拌しながら50mlのイオン交換水を添加することで過剰のジシクロヘキシルカルボジイミドを析出させた後、ディーンスタークトラップを用い還流下30分間攪拌し水分の除去を行った。室温まで冷却した後反応液をろ過することで固形物を取り除き、70℃のイオン交換水にて3回、室温のイオン交換水にて2回分液洗浄を行った。溶剤層を再度ろ過することにより得られたろ液をエバポレータおよび真空乾燥機にて溶剤を除去し生成物を得た。(GPC測定により分子量(スチレン換算)が約820で、メタクリル酸が残存していないことを確認。重クロロホルムを用いたプロトンNMRの測定により水酸基の消失、メタクリル基の存在、エステル結合の生成を確認。アクリロイル基を有するダイマー酸誘導体、以下化合物B61)
アクリロイル基を有する化合物とダイマー酸またはその誘導体を反応させたアクリロイル基を有する化合物(B6)としてダイマー酸骨格およびアクリロイル基を4つ有する化合物(コグニス社製、PHOTOMER5430、以下化合物B62)
充填材として、平均粒径8μm、最大粒径30μmのフレーク状銀粉(以下銀粉)を、化合物(A)として、2−デカリルアクリレート(スガイ化学工業(株)製、2DHA、一般式(1)のR1が水素、以下化合物A11)、化合物(B)として2−ヒドロキシエチルアクリレートとポリテトラメチレングリコールジオールとイソホロンジイソシアネートとの反応生成物(新中村化学工業(株)製、NKオリゴ UA160TM、アクリロイル基を有するポリウレタン化合物で脂肪族環を有する化合物、室温で液状、以下化合物B1)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1、6HX、以下化合物X1)、ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、パークミルD、急速加熱試験における分解温度:126℃、以下開始剤)、カップリング剤としてテトラスルフィド結合を有するカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−1289、以下カップリング剤1)、メタクリル基を有するカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM−503、以下カップリング剤2)を表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し、脱泡することで樹脂組成物を得た。配合割合は重量部である。得られた樹脂組成物を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
表1に示す割合で配合し実施例1と同様に樹脂組成物を得、評価に用いた。
実施例1以外で使用したものを以下に記載する。
実施例2ではアクリロイル基を有するジエン系化合物の重合体または共重合体(B2)として前記化合物B2を、実施例3ではアクリロイル基を有するポリエステル化合物で脂肪族環を有する化合物(B3)として前記化合物B3を、実施例4ではアクリロイル基を有するポリカーボネート化合物(B4)として1,4−ジメタノールシクロヘキサン/1,6−ヘキサンジオール(=3/1(重量比))と炭酸ジメチルから合成した分子量約900のポリカーボネートジオールにメタクリル酸メチルを反応することにより得られるポリカーボネートジメタクリレート化合物(宇部興産(株)製、UM−90(3/1)DM、以下化合物B41)を、実施例5ではアクリロイル基を有するポリカーボネート化合物(B4)として1,4−ジメタノールシクロヘキサン/1,6−ヘキサンジオール(=1/3(重量比))と炭酸ジメチルから合成した分子量約900のポリカーボネートジオールにメタクリル酸メチルを反応することにより得られるポリカーボネートジメタクリレート化合物(宇部興産(株)製、UM−90(1/3)DM、以下化合物B42)を、実施例6ではアクリロイル基を有する主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物(B5)として前記化合物B5を、実施例7ではアクリロイル基を有する化合物とダイマー酸またはその誘導体とを反応させたアクリロイル基を有する化合物(B6)として前記化合物B61を、実施例8ではアクリロイル基を有する化合物とダイマー酸またはその誘導体とを反応させたアクリロイル基を有する化合物(B6)としてダイマー酸骨格およびアクリロイル基を4つ有する化合物(コグニス社製、PHOTOMER5430、以下化合物B62)を、実施例9では化合物(A)として、2−デカリルメタクリレート(スガイ化学工業(株)製、2DHM、一般式(1)のR1がメチル基、以下化合物A12)とマレイミド基を有する化合物(D)としてポリエーテル系ビスマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200、ポリエーテルジオールとマレイミド化グリシンのエステル化化合物、室温で液状、以下化合物D)を、実施例10では(メタ)アリルエステル基を有する化合物(C)としてシクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルとポリプロピレングリコールとの反応により得られたジアリルエステル化合物(分子量1000、ただし原料として用いたシクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルを約15%含む、以下化合物C)と前記化合物A12と前記化合物Dを用いた。
比較例1,2ではラウリルアクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルLA、以下化合物X2)を用いた。
・接着強度:表1に示す樹脂組成物を用いて、6×6mmのシリコンチップをNi−Pd/Auめっきした銅フレームにマウントし、150℃オーブン中30分硬化した。硬化後及び吸湿処理(85℃、85%、72時間)後に自動接着力測定装置を用い260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。260℃熱時ダイシェア強度が40N/チップ以上の場合を合格とした。接着強度の単位はN/チップである。
測定温度:−100〜300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:10Hz
荷重:100mN
25℃における貯蔵弾性率を弾性率とし5000MPa以下の場合を合格とした。弾性率の単位はMPaである。
・耐温度サイクル性:表1に示す樹脂組成物を用いて、15×15×0.5mmのシリコンチップをNiめっきした銅ヒートスプレッダー(25×25×2mm)にマウントし、150℃オーブンにて30分硬化した。硬化後及び温度サイクル処理後(−65℃←→150℃、100サイクル)後の剥離の様子を超音波探傷装置(反射型)にて測定した。剥離面積が10%以下のものを合格とした。
パッケージ:QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:Ni−Pd/Auめっきした銅フレーム
チップサイズ:6×6mm
樹脂組成物の硬化条件:オーブン中150℃、30分
Claims (8)
- さらに前記化合物(A)以外のアクリロイル基を有する化合物(B)を含む請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記化合物(B)が以下の(B1)〜(B6)の群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の樹脂組成物。
アクリロイル基を有するポリウレタン化合物で脂肪族環を有する化合物(B1)
アクリロイル基を有するジエン系化合物の重合体または共重合体(B2)
アクリロイル基を有するポリエステル化合物で脂肪族環を有する化合物(B3)
アクリロイル基を有するポリカーボネート化合物(B4)
アクリロイル基を有する主鎖が炭素−炭素結合で構成される化合物(B5)
アクリロイル基を有する化合物とダイマー酸またはその誘導体とを反応させたアクリロイル基を有する化合物(B6) - さらに(メタ)アリルエステル基を有する化合物(C)を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- さらにマレイミド基を有する化合物(D)を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- さらにS−S結合を有するシランカップリング剤(E)を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- さらに充填材(F)を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物をダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として用いて製作されることを特徴とする半導体装置。
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