JP4457937B2 - 樹脂組成物及び樹脂組成物を使用して作製した半導体装置 - Google Patents
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また基板実装時に使用する半田も鉛フリー半田が使用されるため、錫−鉛半田の場合よりリフロー温度を高くする必要がある。接着力の低下およびリフロー温度の高温化に基づくストレスの増加のため、リフロー中に半導体製品中に剥離ひいてはクラックが発生しやすくなるため半導体製品の構成材料はより高い耐リフロー性を有する必要がある。
そこで従来から使用されているダイアタッチペースト(例えば、特許文献1参照)よりもNi−Pdめっきフレームへの接着性に優れ、弾性率が低い低応力性に優れ、かつレジンブリードが発生しない材料が望まれているが、満足なものはなかった。
[1]半導体素子を支持体に接着する樹脂組成物であって、(A)脂環構造を有するジカルボン酸又はその誘導体と脂肪族ジオールと重合可能な2重結合を少なくとも1つ有する化合物とを反応させた化合物、(B)(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(C)熱ラジカル重合開始剤、及び(D)充填材を含み、実質的に光重合開始剤を含まないことを特徴とする樹脂組成物。
[2]前記脂環構造を有するジカルボン酸又はその誘導体がシクロヘキサンジカルボン酸又はその誘導体である第[1]項記載の樹脂組成物。
[3]前記脂肪族ジオールが炭素数3以上、50以下の炭化水素のジオールである第[1]又は[2]項記載の樹脂組成物。
[4]前記脂肪族ジオールが分岐した炭化水素のジオールである第[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[5]前記脂肪族ジオールが3−メチル−1,5−ペンタンジオールである第[1]〜[4]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[6]前記重合可能な2重結合を少なくとも1つ有する化合物が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、及びマレイミド基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含む化合物である第[1]〜[5]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7]前記重合可能な2重結合を少なくとも1つ有する化合物が、(メタ)アクリロイル基を含む化合物である第[1]〜[6]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8](メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)が、一般式(1)で示される化合物を含む第[1]〜[7]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[10]第[1]〜[9]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物をダイアタッチ材料として用いて製作されることを特徴とする半導体装置。
以下、本発明について詳細に説明する。
得られたポリエステル化合物に重合可能な2重結合を少なくとも1つ有する化合物を反応させる。重合可能な2重結合を少なくとも1つ有する化合物としては、ポリエステル化合物が水酸基末端の場合には、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物、カルボキシル基を有するマレイミド化合物などがあり、ポリエステル化合物がカルボキシル基末端の場合には、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物が挙げられる。これらは単独で反応させても、2種以上を併用して反応させてもかまわない。
また、脂環構造を有するジカルボン酸又はその誘導体と脂肪族ジオールと重合可能な2重結合を有する官能基以外に水酸基又はカルボキシル基を有する化合物とを同時に仕込んで反応させることで得ることも可能である。
一般式(1)に示される化合物を使用することにより良好な接着性と優れたレジンブリード性を示すことが可能となる。ここでレジンブリードとは、樹脂組成物をリードフレーム等の被着体に塗布した時、又は加熱硬化した時に樹脂組成物の樹脂成分が被着体表面に広がる現象を指し、しばしばレジンブリードがグランドボンド(半導体素子からダイパッドへのワイヤボンド)不良の原因となったり、封止材料のダイパッドへの接着力を低下させ剥離の原因となったり、クラックの原因となるため好ましくない現象である。ここでレジンブリード性に優れるというのはレジンブリードが発生しにくいということで、すなわち上述したような問題が起こりにくいということである。特に好ましいものとして一般式(1)に示される化合物のR1がメチル基、R2がメチル基、x=1、y=1、z=1である化合物又はR1がメチル基、x=2、y=1、z=0である化合物が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、例えば各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練した後真空下脱泡することにより製造することができる。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。配合割合は重量部で示す。
化合物A1:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールの反応物で両末端が水酸基である化合物((株)クラレ製、クラレポリオールP−1040、分子量1000)100gと末端にカルボン酸を有するメタクリレートとして2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS)51gならびにトルエン/酢酸エチル混合溶媒(5/5)500gをセパラブルフラスコに入れ、還流下ディーンスタークトラップにて1時間脱水を行った。室温まで冷却した後、攪拌しながらジシクロカルボジイミド/ジメチルアミノピリジンの酢酸エチル溶液を滴下し、滴下後室温で16時間反応した。イオン交換水を添加し30分攪拌した後、さらにイオン交換水を用いて5回分液洗浄を行った後有機溶剤層をろ過することにより固形分を除去、エバポレータならびに真空乾燥機にて溶剤を除去し反応生成物を得、以下の試験に用いた。(以下化合物A1、収率約81%。室温で液状。GPCによるスチレン換算分子量は約1500であった。)
化合物A2:末端にカルボン酸を有するメタクリレートとして2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−HH)63gを使用した以外は化合物A1と同様にして反応生成物を得、以下の試験に用いた。(以下化合物A2、収率約78%。室温で液状。GPCによるスチレン換算分子量は約1500であった。)
化合物A3:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(試薬)69g、3−メチル−1,5−ペンタンジオール((株)クラレ製、MPD)35g、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS)46g及びトルエン/MIBK混合溶剤(7:3)200gをセパラブルフラスコに入れ、室温で30分攪拌した後パラトルエンスルホン酸を添加し還流下8時間反応を行った。なお反応中生成した水分はディーンスタークトラップにて除去した。室温付近まで冷却しイオン交換水を添加し30分攪拌、その後静置し溶剤層を得た。さらに70℃のイオン交換水にて3回、室温のイオン交換水にて2回分液洗浄を行った後エバポレータならびに真空乾燥機にて溶剤を除去し反応生成物を得、以下の試験に用いた。(以下化合物A3、収率約78%。室温で液状。GPCによるスチレン換算分子量は約1400であった。)
化合物(A)として、上記化合物A1、化合物A2及び化合物A3を、熱ラジカル重合開始剤(C)としてジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、パークミルD、急速加熱試験における分解温度:126℃、以下開始剤)を、充填材(D)として、平均粒径8μm、最大粒径30μmのフレーク状銀粉(以下銀粉)を用いた。
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルHOP、一般式(1)のR1がメチル基、R2がメチル基、x=1、y=1、z=1、以下化合物X1)、グリセリンジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルG−101P、一般式(1)のR1がメチル基、x=2、y=1、z=0、以下化合物X2)を、
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1、6HX、以下化合物X3)、テトラスルフィド結合を有するカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−1289、以下カップリング剤1)、グリシジル基を有するカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM−403E、以下カップリング剤2)を表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し、脱泡することで樹脂組成物を得た。配合割合は重量部である。得られた樹脂組成物を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
表1に示す割合で配合し実施例1と同様に樹脂組成物を得た。
[比較例2]
化合物Aのかわりにポリエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDE−1000、以下化合物Y1)を使用し、表1に示す割合で配合し実施例1と同様に樹脂組成物を得た。
[比較例3]
テレフタル酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールの反応物で両末端が水酸基である化合物((株)クラレ製、クラレポリオールP−1020、分子量1000)100gを使用した以外は化合物A1と同様にして得られた反応生成物(収率約75%。室温で液状。GPCによるスチレン換算分子量は約1500であった。以下化合物Y2)を使用し、表1に示す割合で配合し実施例1と同様に樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
・接着強度:表1に示す樹脂組成物を用いて、6×6mmのシリコンチップを銅フレームにマウントし、150℃オーブン中30分硬化した。使用した銅フレームは銀スポットめっき(チップをマウントしたダイパッド部に銀めっきあり)、銀リングめっき(チップをマウントしたダイパッド部は銅)、及びNi−Pd/Auめっき(チップをマウントしたダイパッド部にNi−Pd/Auめっきあり)の3種類である。硬化後及び吸湿処理(85℃、85%、72時間)後に自動接着力測定装置を用い260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。260℃熱時ダイシェア強度が30N/チップ以上の場合を合格とした。接着強度の単位はN/チップである。
・レジンブリード:上記接着強度測定前の試験片を用いて、樹脂組成物の硬化物端部からのレジンブリード長さを光学顕微鏡にて観察し、試験片での最長の長さをもってレジンブリードとした。レジンブリードの長さが50μm以下のものを合格とした。レジンブリードの単位はμm。
・耐リフロー性:表1に示す樹脂組成物を用いて、下記のリードフレームとシリコンチップを150℃30分間硬化し接着した。封止材料(スミコンEME−7026、住友ベークライト(株)製)を用い封止しパッケージとし、このパッケージを30℃、相対湿度60%、168時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行った。処理後のパッケージを超音波探傷装置(透過型)により剥離の程度を測定した。チップをマウントしたダイアタッチ部の剥離面積が10%未満の場合を合格とした。剥離面積の単位は%である。
パッケージ:QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:Ni−Pd/Auめっきした銅フレーム
チップサイズ:6×6mm
樹脂組成物の硬化条件:オーブン中150℃、30分
測定温度:室温〜300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:10Hz
荷重:100mN
25℃における貯蔵弾性率を弾性率とし3000MPa以下の場合を合格とした。弾性率の単位はMPa。
Claims (10)
- 半導体素子を支持体に接着する樹脂組成物であり、(A)脂環構造を有するジカルボン酸又はその誘導体と脂肪族ジオールと重合可能な2重結合を少なくとも1つ有する化合物とを反応させた化合物、(B)(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(C)熱ラジカル重合開始剤、及び(D)充填材を含み、光重合開始剤を含まず、
前記(A)化合物が、脂環構造を有するジカルボン酸またはその誘導体と脂肪族ジオールを構成要素とし末端に重合可能な2重結合を有する化合物である樹脂組成物。
- 前記脂環構造を有するジカルボン酸又はその誘導体がシクロヘキサンジカルボン酸又はその誘導体である請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記脂肪族ジオールが炭素数3以上、50以下の炭化水素のジオールである請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- 前記脂肪族ジオールが分岐した炭化水素のジオールである請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記脂肪族ジオールが3−メチル−1,5−ペンタンジオールである請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記重合可能な2重結合を少なくとも1つ有する化合物が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、及びマレイミド基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含む化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記重合可能な2重結合を少なくとも1つ有する化合物が、(メタ)アクリロイル基を含む化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- (メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)が、一般式(1)で示される化合物を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 充填材(D)が銀粉である請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物をダイアタッチ材料として用いて製作されることを特徴とする半導体装置。
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