JP5228419B2 - 樹脂組成物及び樹脂組成物を使用して作製した半導体装置 - Google Patents
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Description
[1]半導体素子または放熱部材を支持体に接着する樹脂組成物であって、ジエン系化合物の重合体または共重合体で両末端に重合可能な炭素−炭素2重結合を有する化合物(A)、アクリル酸エステル化合物(B)、熱ラジカル重合開始剤(C)、及び充填材(D)を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[2]前記化合物(A)が、ブタジエンの重合体または共重合体で両末端に重合可能な炭
素−炭素2重結合を有する化合物である前記[1]項に記載の樹脂組成物。
[3]前記化合物(A)に含まれる1,4ビニル結合の割合が、1,4ビニル結合と1,2ビニル結合の合計に対し60%以上である前記[1]または[2]項に記載の樹脂組成物。
[4]前記化合物(B)が、一般式(1)で示される化合物(B1)を含むものである前記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
脂肪族炭化水素基である前記[4]または[5]項に記載の樹脂組成物。
[7]前記一般式(1)で示される化合物(B1)のR2が、イソデシル基または2−エ
チルヘキシル基である前記[4]〜[6]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8]前記化合物(B)として、さらにカルボキシ基を有するアクリル酸エステル化合物(B2)を含む前記[1]〜[7]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[9]前記[1]〜[8]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物を使用して作製したことを特徴とする半導体装置。
以下、本発明について詳細に説明する。
なかでも特に好ましいジエン系化合物としてはブタジエン、イソプレンなどが挙げられ
、好ましい共重合体としてはアクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレンから選ばれる少なくとも1種との共重合体である。また両末端に重合可能な炭素−炭素2重結合を有することが好ましいが、これは反応により硬化物に取り込まれることで良好な硬化物物性を示すために官能基が必要であり、官能基としては後述するアクリル酸エステル化合物(B)と反応するために重合可能な炭素−炭素2重結合が好ましく用いられる。なかでも好ましい官能基としてはアクリロイル基、ビニル基、アリル基、マレイミド基などが挙げられ、特に好ましいのはアクリロイル基である。ここでアクリロイル基とはアクリロイル基のαまたはβ位がアルキル基、アルケニル基、フェニル基などの炭素数1〜8の有機基で置換されているものも含むこととする。このような官能基はジエン系化合物の重合体または共重合体の両末端にあることが好ましいが、これは両末端に存在することで反応点間距離を長くすることができ硬化物の弾性率をより低くすることができるからである。
本発明で使用する化合物(A)の分子量は500から10000の範囲が好ましい。より好ましくは700から5000であり、特に好ましいのは1000から5000である。分子量がこれより低い場合には目的とする低弾性率化を十分に発揮できず、これより高い場合には粘度が高くなりすぎ樹脂組成物の塗布作業性悪化の原因となる。ここで分子量とはGPC(ゲルパーミュエイションクロマトグラフ)を用いて測定した数平均分子量である。
,3,4,4−ヘキサフロロブチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイロキシメチルトリシクロデカン、N−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルフタルイミドなどが挙げられる。前記化合物(A)との相溶性を考慮した場合、アクリル酸エステル化合物(B)の50重量%以上が一般式(1)で示される化合物(B1)であることが好ましい。
〜12の脂肪族炭化水素基の場合には前記化合物(A)との相溶性が良好であるため好適に用いられる。炭素数がこれよりも少ない場合には揮発性が高いため樹脂組成物を加熱硬化する際の揮発分量が多くなりすぎるため好ましくなく、これより多い場合には相溶性は良好であるが分子の規則性が高くなるため低温で結晶化がおこることがある。
一般に本発明の樹脂組成物は樹脂成分の反応及び後述する充填材(D)の沈降を抑制する目的で例えば−15℃、−40℃などの低温で保管する。低温保管時に樹脂組成物中の一部の成分が結晶化すると室温に戻した後でも樹脂組成物の均一性は損なわれた状態となり安定した塗布を行うことができなくなる。このため化合物(B1)のなかでも特に好ましいものは、一般式(1)中のR2が炭素数6〜12の分岐した脂肪族炭化水素基である
化合物であり、最も好ましい化合物(B1)は一般式(1)中のR2がイソデシル基また
は2−エチルヘキシル基である化合物である。
い。このようなカルボキシ基を有するアクリル酸エステル化合物(B2)としては、1分子内に少なくとも1つのカルボキシ基を有するアクリル酸エステル化合物であれば特に限定されないが、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物とジカルボン酸を反応させた化合物が好ましい。より好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとジカルボン酸とを反応させた化合物であり、好ましいジカルボン酸としてはコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びこれらの誘導体を反応させた化合物である。反応の容易性の観点からも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水コハク酸またはシクロヘキサンジカルボン酸無水物との反応物は特に好ましい。カルボキシ基を有するアクリル酸エステル化合物(B2)はアクリル酸エステル化合物(B)中30重量%以下含まれることが好ましい。より好ましくはアクリル酸エステル化合物(B)中、1重量%以上、25重量%以下含まれることであり、さらに好ましいのは1重量%以上、20重量%以下含まれることである。これより多く含まれる場合には、樹脂組成物が高粘度になるとともに前述した化合物(A)との相溶性が悪化する恐れがある。
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられる。これらは単独または硬化性を制御するため2種類以上を混合して用いることもできる。特に限定されるわけではないが樹脂組成物中0.001〜2重量%含有されるのが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、例えば各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練した後真空下脱泡することにより製造することができる。
物をディスペンス塗布した後、半導体素子をマウントし、加熱硬化する。その後、ワイヤーボンディングして、エポキシ樹脂を用いてトランスファー成形することによって半導体装置を製作する。またはフリップチップ接合後アンダーフィル材で封止したフリップチップBGA(Ball Grid Array)などのチップ裏面に樹脂組成物をディスペンスしヒートスプレッダー、リッドなどの放熱部品を搭載し加熱硬化するなどといった使用方法も可能である。
化合物A2:両末端水酸基のポリブタジエン(出光興産(株)製、R−15HT)120gとメタクリル酸(試薬)17.2g、ヒドロキノンモノメチルエーテル(川口化学工業(株)製、MQ−F)0.06g、パラトルエンスルホン酸一水和物(試薬)1.9gを用いた他は化合物A1と同様にして生成物を得、以下の試験に用いた。(以下化合物A2、収率約94%。室温で粘ちょうな液体。プロトンNMRの測定により化合物A1と同様に水酸基消失、エステル結合の生成、及び1,4ビニル結合の全ビニル結合(1,2−ビニル結合と1,4ビニル結合の合計)に対する割合が約80%であることを確認した。GPCによるスチレン換算数平均分子量は約1500であり、メタクリル酸に基づくピークが存在しないことを確認した。)
化合物(A)として、前記化合物A1を、化合物(B1)としてイソデシルメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルID、一般式(1)のR1がメチル基であり
、R2がイソデシル基である化合物、以下化合物B11)を、化合物(B2)として2−
メタクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとコハク酸のエステル化化合物でカルボキシ基を有する。以下化合物B2)を、熱ラジカル重合開始剤(C)として、ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、パークミルD、急速加熱試験における分解温度:126℃、以下開始剤)を、充填材(D)として、平均粒径8μm、最大粒径30μmのフレーク状銀粉(以下銀粉)を、グリシジル基を有するカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM−403E、以下カップリング剤1)、メタクリル基を有するカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM−503P、以下カップリング剤2)を表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し、脱泡することで樹脂組成物を得た。配合割合は重量部である。得られた樹脂組成物を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
表1に示す割合で配合し実施例1と同様に樹脂組成物を得た。
なお実施例1以外で使用したものを以下に記載した。
化合物(A)として前記化合物A2を、化合物(B)として2−エチルヘキシルメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルEH、以下化合物B12)、テトラデシルメタクリレート(以下化合物B31)及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1、6HX、以下化合物B32)、テトラスルフィド結合を有するカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−1289、以下カップリング剤3)、アクリル変性ポリブタジエン(新日本石油化学(株)製、MM−1000−80、マレイン化ポリブタジエンと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの反応物で重合可能な炭素−炭素2重結合を分岐官能基として有する(両末端に重合可能な炭素−炭素2重結合を有さない)。数平均分子量は約1000でプロトンNMR法により測定した。1,4−ビニル結合の全ビニル結合(1,2−ビニル結合と1,4ビニル結合の合計)に対する割合は32%、以下化合物X)
・粘度及びチキソ性:E型粘度計(3°コーン)を用い25℃、0.5rpm及び2.5rpmでの値を樹脂組成物作製直後に測定した。2.5rpmでの値を粘度とし粘度の値が20±10Pa.Sのものを合格とした。粘度の単位はPa.S。0.5rpmでの値を2.5rpmの値で割った値をチキソ性(作業性の指標)とし、3.0以上のものを合格とした。
・塗布試験−1:得られた樹脂組成物を100メッシュでろ過してシリンジ2本に充填した。そのうち1本を用い、打点試験機(武蔵エンジニアリング(株)製、SHOTMASTER−300)にて金属ニードル25Gシングルノズル(内径0.26mm、長さ15mm)を用い1,000点塗布(塗布量20mg/1点)し塗布安定性の確認を行った。塗布安定性の確認は光学顕微鏡を用い目視で糸引き(上面から見たときに糸切れ部がディスペンスしたドットの円から外に飛び出ている場合)、空打ち(ノズル周辺部のみ液状樹脂組成物が転写されており中心部にはほとんどディスペンスされていない場合)、過剰吐出(ディスペンスドットの径が20%以上大きい場合)の数を測定しこれらの合計が5点(5箇所)以下の場合を合格とした。
・塗布試験−2:塗布試験−1で準備したシリンジの未使用の1本を冷凍庫(−38〜−43℃)に1週間保管し、冷凍庫から取り出し一旦冷蔵庫(4℃〜10℃)に2時間静置後室温に取り出し1時間経過したものを打点試験に用いた。打点試験機(武蔵エンジニアリング(株)製、SHOTMASTER−300)にて金属ニードル25Gシングルノズル(内径0.26mm、長さ15mm)を用い1,000点塗布(塗布量20mg/1点)し塗布安定性の確認を行った。塗布安定性の確認は光学顕微鏡を用い目視で糸引き(上面から見たときに糸切れ部がディスペンスしたドットの円から外に飛び出ている場合)、空打ち(ノズル周辺部のみ液状樹脂組成物が転写されており中心部にはほとんどディスペンスされていない場合)、過剰吐出(ディスペンスドットの径が20%以上大きい場合)の数を測定しこれらの合計が5点(5箇所)以下の場合を合格とした。
・弾性率:表1に示す樹脂組成物を用いて、4×20×0.1mmのフィルム状の試験片を作製し(硬化条件150℃30分)、動的粘弾性測定機(DMA)にて引っ張りモードでの測定を行った。測定条件は以下の通りである。
測定温度:−100〜300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:10Hz
荷重:100mN
25℃における貯蔵弾性率を弾性率とし2000MPa以下の場合を合格とした。弾性率の単位はMPaである。
・耐リフロー性:表1に示す樹脂組成物を用いて、下記のリードフレームとシリコンチップを150℃30分間硬化し接着した。さらに、封止材料(スミコンEME−7026、住友ベークライト(株)製)を用い封止し、半導体装置を作製した。この半導体装置を用いて、30℃、相対湿度60%、168時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行った。処理後の半導体装置を超音波探傷装置(透過型)により剥離の程度を測定した。ダイアタッチ部の剥離面積が10%未満の場合を合格とした。剥離面積の単位は%である。
半導体装置:QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:Ni−Pd/Auめっきした銅フレーム
チップサイズ:6×6mm
樹脂組成物の硬化条件:オーブン中150℃、30分
Claims (6)
- 半導体素子または放熱部材を支持体に接着する樹脂組成物であって、
ジエン系化合物の重合体または共重合体で両末端に重合可能な炭素−炭素2重結合を有する化合物(A)、
(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)、
熱ラジカル重合開始剤(C)、及び
充填材(D)
を含み、
前記化合物(A)に含まれる1,4ビニル結合の割合が、1,4ビニル結合と1,2ビニル結合の合計に対し60%以上であり、
前記化合物(B)が、一般式(1)で示される化合物(B1)を含むものであり、
前記化合物(A)、(B)、(B1)の配合量が、(4.38/19.05≦(B1)/{(A)+(B)}≦7.24/19.05を満たし、
充填材(D)の配合量が、全樹脂組成物中70重量%以上、95重量%以下であることを特徴とする樹脂組成物。
R 1 は水素原子、メチル基、R 2 は炭素数6〜12の分岐した脂肪族炭化水素基である。 - 前記化合物(A)が、ブタジエンの重合体または共重合体で両末端に重合可能な炭素−炭素2重結合を有する化合物である請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記一般式(1)で示される化合物(B1)が、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)に対して50重量%以上含む請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記一般式(1)で示される化合物(B1)のR2が、イソデシル基または2−エチルヘキシル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記化合物(B)として、さらにカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物(B2)を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を使用して作製したことを特徴とする半導体装置。
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