JP2006316175A - 硬化性組成物及びそれを用いた放熱部材の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の請求項1では、(A)一分子中にビニル基とイソシアネート基をそれぞれ1つ以上有する化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)熱伝導性充填材とを含む組成物であって、前記組成物の配合割合が、(B)成分については(A)成分に対して0.01〜10重量%、(C)成分については組成物全体に対して50〜97重量%である熱伝導性を有する硬化性組成物とした。
また、本発明の請求項5では、上記した(A)〜(C)を含む硬化性組成物を用いて、発熱体と放熱体とを接合するようにした。
Description
このため、光ピックアップモジュールなどの精密機器に使用されるレーザーダイオードはレーザー発光時の効率的な放熱が重要な課題となっているが、その放熱方法としては、例えばレーザーダイオードなどの発熱体にアルミ板などの放熱体を取り付ける方法が一般的であり、発熱体と放熱体の間の隙間に熱伝導性の高いグリースや液状樹脂を塗布する対策がとられている。
このため、プラズマディスプレイの映している画面によっては、発光している要素が多い箇所と少ない箇所とにかなりの温度差が生じるため熱膨張率の違いからガラス基板に機械的負荷がかかり、パネル自体が割れを起こす危険性がある。また、プラズマディスプレイの種類によっては画面全体の発熱量が大きくなって、それを構成するガラス基板等に悪影響を与える恐れが生ずる。このため、熱による影響を極力排除するため構成されるガラス基板の一部にアルミニウム等の熱伝導性の高い材料からなる放熱板を設け、プラズマディスプレイが限界以上に高温になったり、温度差が生じたりするのを防いでいる。
上述のように、発光で発熱したガラス基板等の発熱体と上記アルミニウム等からなる放熱板のような放熱体との間には、通常、発熱体から発生した熱を効率よく放熱体に伝えるために熱伝導性組成物を介在させる。
そこで、湿気や加熱により硬化する硬化反応型のシリコーン系やエポキシ系の放熱樹脂が使用されるようになり、グリースタイプの問題であった流出性は抑えることができるようになった。しかしながら、湿気硬化性シリコーン系の放熱樹脂は硬化時間が長く、またエポキシ系の放熱樹脂は硬化に加熱が必要であることから、それぞれ作業時間、熱に対するワークへのダメージなどに問題があった。
レーザーダイオードやプラズマディスプレイ等の電子部品や精密部品はクリーンな環境下でワークが作成されるため、これらに使用される接着剤やシール剤から発生するアウトガス、特に低分子シロキサンによる周辺部位の汚染が問題となっており、このような有害な物質を含まないかもしくは発生しない接着剤やシール剤が要求されている。しかしながら、上述した光硬化性組成物では低分子シロキサンの発生を否定できない。
一方、特公平7−86187号公報では、ウレタンアクリレートを合成する際イソシアネートを過剰に添加し、光硬化性組成物に湿気硬化性を付与できる接着剤系を一部開示するが、熱伝導性については全く検討されていない。
また、本発明の請求項5では、上記した(A)〜(C)を含む硬化性組成物を用いて、発熱体と放熱体とを接合するようにした。
具体的には、(A)〜(C)を含む硬化性組成物を、例えば、CPU、レーザーダイオード、プラズマディスプレイなどの発熱体と放熱体の接合部に塗布し、塗布した硬化性組成物のはみ出し部に紫外線を照射して一部を硬化させることで放熱体を短時間で仮固定し、硬化性組成物の内部はその後空気中の湿気によって固体化するという特徴を有することとなる。
また、高分子量の多官能ポリオールと多官能性ポリイソシアネートとを反応させた後、この合成物中に残存するイソシアネート基にさらに活性水素基を有する(メタ)アクリレート化合物またはビニルエーテルを反応させることで、高分子量の(A)成分を得ることも可能である。(特公平7−86187参照)
またさらに、活性水素基を有するビニル化合物の種類、及びイソシアネート化合物の種類を適宜選択使用することで、一分子内に導入されるビニル基、イソシアネート基の数を制御することもできる。
また、(2)有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4′,4″−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、2,4ートリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートのキサントリオール付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。
(3)活性水素基を有するビニル化合物としては(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物等がありこの内、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート等がある。またアミノ基含有(メタ)アクリレートとしてはN−イソプロピルアクリルアミド等がある。
またヒドロキシ基含有ビニルーテルとしては2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテルがある。
また、上記例示した(1)〜(3)の各化合物を任意に選択して反応させることで、本発明の(A)成分を合成できるが、合成された(A)成分はそれぞれ単独で使用してもよく、また複数種を併用してもよい。
具体例を挙げると、(1)単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、多官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら単官能もしくは多官能(メタ)アクリレート化合物は、1種または2種以上を混合使用することができ、その添加量は、本発明の硬化性組成物中に通常0〜15重量%、好ましくは1〜5重量%配合できる。
上記(B)光重合開始剤の添加量は、前記(A)成分もしくは(D)成分を添加している場合はそれを含めた合計量に対して0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
添加量が0.01重量%未満であると、重合度が低下し、モノマー臭の強い重合体しか得られないことがあり、10重量%を超えると、ラジカル発生量が多くなり、分子量が低下してしまい、重合体に必要な凝集力が得られなくなることがある。
また、上記熱伝導性充填材と熱伝導性組成物のベースとなる重合体との親和性を向上させるために、シラン処理等の各種表面処理を行った熱伝導性充填材を用いてもよい。
上記熱伝導性充填材の形状としては特に限定されず、例えば、球状、針状、繊維状、鱗片状、樹枝状、平板状、不定形等のものが用いられる。
上記熱伝導性充填材の配合量は、本発明の硬化性組成物全体に対して50〜97重量%の範囲で添加することが好ましい。配合量が50重量%未満であると、十分な熱伝導率向上効果が得られないことがあり、97重量%を超えると、熱伝導性組成物の硬度が高くなり、反りや凹凸に追従しにくくなることがある。
上記(E)湿気硬化触媒の添加量は、本発明の硬化性組成物全体に対して0〜0.1重量%の範囲で配合することが好ましい。
このうち、フェノール化合物の具体例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレン ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル 3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネートジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、イソオクチル 3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を挙げることができる。
リン化合物の具体例としては、トリス(ノニル化フェニル)ホスファイト、アデカスタブ PER−4C(旭電化工業社製)、アデカスタブ 260(旭電化工業社製)、アデカスタブ 522A(旭電化工業社製)等を挙げることができる。
これらの添加剤は2種以上を併用してもよく、またその添加量は本発明の硬化性組成物に対して通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%の範囲で配合できる。
また、本発明の硬化性組成物には高分子ポリマーとして、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリビニル系等の樹脂を含有させてもよい。
(実施例1) 攪拌機、温度計、及び冷却管を備えた調合容器の周囲を遮光し、その容器内に室温で、湿気硬化性付与型ラジカル重合性ビニル化合物((A)成分)であるUN−2100Nを5重量部、イソシアネート基を有しない(メタ)アクリレートM−113を1重量部及び光重合開始剤であるIrgacure184を0.2重量部を仕込み、60℃に加温しながら混合撹拌し均一な硬化性組成物を調製した後、熱伝導性充填材のアルミナ粉94重量部を添加し混合撹拌した後、湿潤・分散剤であるBYK161を添加して、更に撹拌して均一な調合液とした。
(比較例3)湿気硬化型シリコーン
アルコキシシリル基含有ジメチルポリシロキサンを主原料とした湿気硬化性シリコーン組成物(製品名ThreeBond1212)10gに酸化アルミナを90重量部添加した後、湿潤・分散剤であるBYK161を添加して、更に撹拌して均一な調合液とした。
(比較例4)光/湿気硬化型シリコーン
ラジカル重合性ビニル基及びアルコキシシリル基含有ジメチルポリシロキサンを主原料とした光及び湿気硬化型シリコーン組成物(製品名ThreeBond3168)10gに酸化アルミナを90重量部添加した後、湿潤・分散剤であるBYK161を添加して、更に撹拌して均一な調合液とした。
(A)一分子中にビニル基とイソシアネート基をそれぞれ1つ以上有する化合物
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート‥‥(商品名「カレンズMOI」:昭和電工株式会社製)
2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート‥‥(商品名「カレンズAOI」:昭和電工株式会社製)
ヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピルアクリレートの反応物‥‥(商品名「UN−2100N」:根上工業社製)
(D)イソシアネート基を実質的に含有しない(メタ)アクリレート化合物
ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート‥‥(商品名「M−113」:東亞合成社製)
(B)光重合開始剤
α−ヒドロキシケトン‥‥(商品名「Irgacure184」:チバスペシャリティーケミカルズ社製)
ビスアシルフォスフィンオキサイド‥‥(商品名「Irgacure819」:チバスペシャリティーケミカルズ社製)
(C)熱伝導性充填材
酸化アルミニウム‥‥(商品名「アドマファインAO509」:(株)アドマテックス社製)
窒化ホウ素‥‥(商品名「HP−1」:水島合金鉄(株)社製)
その他の成分
湿潤・分散剤
高分子共重合物系湿潤剤‥‥(商品名「BYK−161」:ビック・ケミー社製)
<熱伝導率(W/m・K)>
内径が6cm×15cm×3cmのアルミ容器に厚さ2cmになるように調合液を流し込み試験片とした。23℃±2℃の環境温度で、迅速熱伝導率計QTM500(京都電子工業社製)を用いて測定を行った。
<熱抵抗(k/W)>
面積10cm×10cm、厚み、100μmにて熱源と放熱部材を貼り合わせ、熱抵抗値を測定した。
<アウトガス(ppm)>
ガスクロマトグラフを用いて100℃−1時間で発生する低分子シロキサン(D−3〜10の合計)の定量を行った。
<光硬化性(mJ/cm2)>
紫外線照度を200mW/cm2に設定し、調合液が厚さ1mm硬化するまでの積算光量を測定した。
<湿気硬化性(min.)>
25℃−55%RHの恒温恒湿内にて指触乾燥時間を測定した。
なお、測定に使用した紫外線照射器は、浜松フォトニクス社製 LC−6(200Wタイプ)を用いた。
Claims (8)
- (A)一分子中にビニル基とイソシアネート基をそれぞれ1つ以上有する化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)熱伝導性充填材とを含む組成物であって、前記組成物の配合割合が、(B)成分については(A)成分に対して0.01〜10重量%、(C)成分については組成物全体に対して50〜97重量%である熱伝導性を有する硬化性組成物。
- 前記(B)成分がアシルフォスフィンオキサイド化合物を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記(C)成分が、酸化アルミニウムを含む請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記硬化性組成物が、低分子シロキサンを実質的に含有しないか、もしくはその含有量が200ppm以下である請求項1記載の硬化性組成物。
- 前記硬化性組成物が、湿気硬化性および光硬化性を有する請求項1記載の硬化性組成物。
- (A)一分子中にビニル基とイソシアネート基をそれぞれ1つ以上有する化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)熱伝導性充填材とを含む組成物であって、前記組成物の配合割合が、(B)成分については(A)成分に対して0.01〜10重量%、(C)成分については組成物全体に対して50〜97重量%である熱伝導性を有する硬化性組成物を用いて、発熱体と放熱体とを接合したことを特徴とする放熱部材の形成方法。
- 前記発熱体が、レーザーダイオードである請求項6に記載の放熱部材の形成方法。
- 前記発熱体が、PDP(プラズマディスプレイ)である請求項6に記載の放熱部材の形成方法。
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