JP2008247816A - 油中水型日焼け止め化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】化粧膜の透明性が良好で、優れた紫外線遮蔽効果を有するとともに、伸び広がりの良さ、油性感が少なくさらっとした仕上がりなど使用感が著しく向上した油中水型日焼け止め化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(E);(A)揮発性オルガノポリシロキサン、(B)微粒子金属酸化物、(C)分子中に枝ポリマーとして、オルガノポリシロキサン基、長鎖アルキル基及び親水基を有することを必須とするシロキサン化合物、(D)油溶性有機紫外線吸収剤、(E)特定のオルガノポリシロキサン、を配合したことを特徴とする油中水型日焼け止め化粧料。
【選択図】なし

Description

本発明は、揮発性オルガノポリシロキサン、微粒子金属酸化物、オルガノポリシロキサン基と親水基を枝ポリマーに有する特定のシロキサン化合物、油溶性有機紫外線吸収剤及び特定のオルガノポリシロキサンとを配合した油中水型日焼け止め化粧料に関し、更に詳しくは、化粧膜の透明性に優れ、高い紫外線遮蔽効果と良好な使用性と安定性を有する油中水型日焼け止め化粧料に関するものである。
従来、紫外線から肌を防御する日焼け止め化粧料には、桂皮酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物等の油溶性有機紫外線吸収剤や、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の微粒子金属酸化物が配合されている。
また、日焼け止め化粧料は、汗水に強く、さらっとした仕上がりが求められるため、揮発性シリコーンを配合した油中水型乳化タイプ(W/Oエマルション製剤)が多用されてきた。日焼け止め化粧料は、微粒子金属酸化物、を微細分散することにより、効果的な紫外線遮蔽効果を得ることができるが、微粒子金属酸化物粉体は凝集性が強いため、凝集体を形成しやすく、それが化粧膜の透明性や紫外線遮蔽効果の低下、さらには安定性の悪化を招いていた。そのため、微粒子金属酸化物を効率よく分散させるために、種々の粉体表面処理技術(例えば、特許文献1)や、粉体分散剤の検討(例えば、特許文献2,3)がなされている。
特開2005−232069号公報 特開2001−58926号公報 特許第3661119号公報
しかしながら、微粒子金属酸化物の粉体表面処理は、いずれも凝集や沈降等の改善はなされてはいるものの、その効果は充分なものではなく、経時的に粉体が凝集して沈降したり、再分散性が悪化する等して、製品品質や使用性を損ねてしまう場合があった。粉体分散剤についても、分散性は非常に良好となるが、分散剤に特有のべたつきが生じ、使用性の面で問題があったり、また、紫外線遮蔽効果を高めるために油溶性有機紫外線吸収剤を多量に配合すると、微粒子金属酸化物粉体が凝集してしまうことがあった。これは、分散剤と油溶性紫外線吸収剤との相溶性が良くないため、微粒子金属酸化物の表面から脱離したり、油層中で相分離してしまうことで、粉体分散剤としての機能を失うためであると考えられる。さらにこの現象は、該油中水型日焼け止め化粧料を肌に塗布した場合にも見られ、肌上で揮発性シリコーンが揮発することにより、微粒子金属酸化物粉体を分散している油系の組成が、油溶性有機紫外線吸収剤の多い組成に変化し、微粒子金属酸化物の凝集が促進されることがあった。その結果、紫外線遮蔽効果の低下や化粧膜の白さの原因となっていた。そこで、化粧膜の透明性に優れ、高い紫外線遮蔽効果と良好な使用性と安定性を有する日焼け止め化粧料の開発が望まれていた。
かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、揮発性オルガノポリシロキサンと、微粒子金属酸化物と、オルガノポリシロキサン基と親水基を枝ポリマーに有することを必須とするシロキサン化合物、有機紫外線吸収剤及び特定のオルガノポリシロキサンとを配合することにより、上記課題を解決し得る油中水型日焼け止め化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(E);
(A)揮発性オルガノポリシロキサン
(B)微粒子金属酸化物
(C)分子中に枝ポリマーとして、オルガノポリシロキサン基及び親水基を有することを必須とするシロキサン化合物
(D)油溶性有機紫外線吸収剤
(E)下記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサン
(Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rは炭素数4〜8のアルキル基、R及びRはR又はRの何れか一つと同一の基、mは2以上の整数、nは2以上の整数を示す。)
を配合したことを特徴とする油中水型日焼け止め化粧料である。
また、本発明は、上記成分(C)が、下記一般式(2)で示されるシロキサン化合物
SiO(4−a−b−c)/2 (2)
[式中、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシ置換アルキル基あるいは下記一般式(3)
−C2p−O−(CO)(CO)−R (3)
で示される有機基から選択される同種または異種の有機基、
は下記一般式(4)
−C2q−O−(CO)(CO)−R (4)
で示されるポリオキシアルキレン基を有する有機基、もしくは下記一般式(5)
−Q−O−X (5)
(式中、Qはエーテル結合及びエステル結合の少なくとも一方を含有してもよい炭素数3〜20の二価の炭化水素基を示し、Xは水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール置換炭化水素基を示す。)で示される有機基から選択される同種または異種の有機基、
は下記一般式(6)で示されるオルガノポリシロキサン
(但し、Rは炭素数4〜30の炭化水素基又はR10−(CO)−で示される有機基、Rは水素原子若しくは炭素数1〜30の炭化水素基又はR10−(CO)−で示される有機基、R10は炭素数1〜30の炭化水素基である。d、eはそれぞれ0≦d≦50の整数、0≦e≦50の整数、f、gはそれぞれ2≦f≦200の整数、0≦g≦200の整数、かつf+gが3〜200であり、hは1≦h≦500の整数である。また、p、qはそれぞれ0≦p≦15の整数、1≦q≦5の整数である。また、a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5である。)]
であることを特徴とする油中水型日焼け止め化粧料である。
本発明の油中水型日焼け止め化粧料は、油溶性有機紫外線吸収剤が多量に配合された場合でも微粒子金属酸化物同士が凝集せず、微粒子金属酸化物の分散性に優れたものである。更には、肌に該油中水型日焼け止め化粧料を塗布する過程においても、良好な分散状態を保ち均一な化粧膜となるため、紫外線遮蔽効果、化粧膜の透明性に優れ、塗布時の伸び広がりの良さ、さらっとした仕上がりなど使用性に優れた油中水型日焼け止め化粧料である。
本発明に用いられる成分(A)の揮発性オルガノポリシロキサンは、さっぱりとした感触のシリコーン油であり、粉体を分散し化粧料に適度な伸び広がりを与えるために使用される。具体的には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、メチルトリメチコン等が挙げられ、目的に応じて一種又は二種以上を配合することができる。その中でも、揮発速度や粉体の濡れ性や適度な乾燥速度で肌へののび広がりと化粧膜のおさまりの良さからデカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、メチルトリメチコンが好ましい。
本発明における成分(A)の配合量は特に限定されないが、5〜35質量%(以下、単に「%」と記す)配合することが望ましく、使用性の観点から10〜30%が更に好ましい。この範囲であれば、塗布時の伸び広がりが良く、さらっとした仕上がりの日焼け止め化粧料が得られる。
本発明に用いられる成分(B)の微粒子金属酸化物としては、化粧料に利用可能な金属酸化物であれば特に制限はなく、具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化セリウム等が挙げられる。これらの中でも紫外線遮蔽効果を有する、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムからなる群から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
また、本発明における微粒子とは、平均粒子径が1μm以下程度のものをいい、好ましくは0.01〜1μm、さらに、紫外線遮蔽効果と透明性から0.01〜0.5μmが特に好ましい。1μmを超えると紫外線遮蔽効果が低下し、可視光の反射が高くなるため化粧膜に白さを感じる場合がある。
本発明の微粒子金属酸化物は、一般的に化粧料に使用される公知の表面処理剤で公知の方法により処理されているものを用いることもできる。例えば、無機系処理としてはシリカ被覆、アルミナ被覆等が挙げられ、有機系処理としてはシリコーン処理、シリコーンレジン処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化合物処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、金属石鹸処理等が挙げられる。その中でも油剤への分散の容易性から、シリコーン処理、アクリルシリコーン処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤が好ましい。これらの表面処理剤は一種又は二種以上を目的に応じて組み合わせて用いてもよい。
本発明における成分(B)の配合量は特に限定されないが、0.1〜50%配合することが望ましく、使用性から1〜30%が更に好ましい。この範囲であれば、塗布時の伸び広がりも良く、紫外線遮蔽効果の良好な日焼け止め化粧料が得られる。
本発明に用いられる成分(C)のシロキサン化合物は、分子中の枝ポリマーとして、オルガノポリシロキサン基及び親水基を有するものであり、粉体の分散剤として使用される。枝ポリマーの親水基は、ポリオキシアルキレン基、若しくは、ポリグリセリル基を含有するものが、微粒子金属酸化物表面との吸着性や油剤への濡れ性から好ましい。また、成分(C)のシロキサン化合物は、分子中に少なくとも一個以上の炭素数10以上の長鎖アルキル基を含有するものが、有機系紫外線吸収剤や油剤との相溶性の観点から特に好ましい。
上記成分(C)のシロキサン化合物として、特に好ましいものは、下記の一般式(2)に示されるものである。
SiO(4−a−b−c)/2 (2)
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、トリフロロプロピル基、ヘプタデカフロロデシル基などのフッ素置換アルキル基、3−アミノプロピル、3−〔(2−アミノエチル)アミノ〕プロピル基等のアミノ置換アルキル基、3−カルボキシプロピル基等のカルボキシ置換アルキル基等が挙げられる。
の一部は、下記一般式(3)
−C2p−O−(CO)(CO)−R (3)
であらわされる有機基であってもよい。ここでRは炭素数4〜30の炭化水素基、又はR10−(CO)−で示される有機基であって、R10は炭素数1〜30の炭化水素基である。pは0≦p≦15の整数、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数である。このRの一部はアルコール残基又はアルケニル付加型残基であり、具体例としては、
p=0のとき、
−O−(CO)(CO)−R
この場合、d=0、e=0であれば炭素数4〜30のアルコキシ基、例えばブトキシ基などの低級アルコキシ基からセチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール等のオレイロキシ基、ステアロキシ基などの高級アルコキシ基が挙げられ、あるいは酢酸、乳酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸残基が挙げられる。また、d>1、e>1であれば高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物(末端は水酸基)のアルコール残基となる。
p≧1、d=e=0の場合は、特にdが3、5又は11が好ましく、この場合はアリルエーテル、ペンテニルエーテル、ウンデセニルエーテル残基であり、Rの置換基によって例えばアリルステアリルエーテル残基、ペンテニルベヘニルエーテル残基、ウンデセニルオレイルエーテル残基などが挙げられる。d若しくはeが0でない場合は、ポリオキシアルキレンを介してアルコキシ基やエステル基が存在することとなる。ここでd、eが何であれ、p=0のときは耐加水分解性に劣る場合があり、dが15以上であると油臭が強い為、3〜5であることが望ましい。
は、下記一般式(4)
−C2q−O−(CO)(CO)−R (4)
で示されるポリオキシアルキレン基を有する有機基、もしくは下記一般式(5)
−Q−O−X (5)
(式中、Qはエーテル結合及びエステル結合の少なくとも一方を含有してもよい炭素数3〜20の二価の炭化水素基を示し、Xは水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール置換炭化水素基を示す。)で示される有機基から選択される同種または異種の有機基である。
一般式(4)中のRは、水素原子若しくは炭素数1〜30の炭化水素基、又はR10−(CO)−で示される有機基であり、R10は炭素数1〜30の炭化水素基である。fは2〜200、好ましくは5〜100の整数、gは0〜200、好ましくは0〜100の整数で、かつ、f+gは3〜200、好ましくは5〜100であり、油中水型乳化物を得るのに充分な親水性を付与するには、f/g≧1であることが好ましい。なお、一般式(4)で示されるポリオキシアルキレン基がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方からなる場合は、これら両単位のブロック重合体及びランダム重合体のいずれでも良い。
一般式(5)中のQは、−(CH−、−(CH−、−CHCH(CH)CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−CH(CHCHCH)−、−CH−CH(CHCH)−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−O−(CH−、−(CH−O−CHCH(CH)−、−CH−CH(CH)−COO(CH−等を例示することができる。Xは、水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール置換炭化水素基であって、好ましくはグリセリンから選択される炭化水素基である。
グリセリンとしては、下記一般式(7)〜(9)に示す化合物が挙げられる。
ここで、上記式(7)〜(9)中のQは、一般式(5)中のQと同様であり、j及びkは1〜20の整数である。また、上記化合物中の水酸基の一部がアルコキシ基あるいはエステル基で置換されていても良い。
は、下記一般式(6)で示されるオルガノポリシロキサンである。
ここで、hは0〜500であり、好ましくは1〜50の整数である。rは1〜5の整数であり、特にビニル基とハイドロジェンシロキサンとの反応から合成する場合、rは2である。hが500より大きいと主鎖のハイドロジェンシロキサンとの反応性が悪くなるなどの問題が起こる場合がある。
本発明に用いられる上記一般式(2)で例示される成分(C)は、aは1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.3である。aが1.0より小さいと油剤との相溶性に劣り、2.5より大きいと親水性に乏しくなる。bは0.001〜1.5、好ましくは0.05〜1.0である。bが0.001より小さいと親水性に乏しくなり、1.5より大きいと親水性が高くなりすぎる。cは0.001〜1.5、好ましくは0.05〜1.0である。cが0.001より小さいとシリコーン油との相溶性に劣り、1.5より大きくなると親水性に乏しくなる。
また、上記一般式(2)で例示される成分(C)の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜200000が好ましく、さらに好ましくは1000〜100000である。
本発明に用いられる成分(C)の市販品としては、KF−6028(信越化学工業社製、表示名称;PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)、KF−6038(信越化学工業社製、表示名称;ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)、KF−6105(信越化学工業社製、表示名称;ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)、KF−6104(信越化学工業社製、表示名称;ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)等が挙げられる。
本発明における成分(C)の配合量は特に限定されないが、成分(B)の微粒子金属酸化物に対する質量比(C)/(B)で0.05〜1が好ましく、更には、0.1〜0.5が特に好ましい。この範囲であれば、微粒子金属酸化物の分散安定性が良好で、期待した紫外線遮蔽効果を得ることができる。
本発明において、成分(B)の分散方法は特に限定されないが、成分(A)〜(C)、更には必要に応じて、その他の油剤や粉体を混合して、ローラー処理やボールミル、ビーズミル、サンドミル等を用いて分散処理を行うことができる。なかでも、ビーズミル処理が微粒子金属酸化物の微細分散化に優れるため好ましい。
本発明に用いられる成分(D)の油溶性有機紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のPABA系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパン−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルへキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が挙げられ、目的に応じて一種又は二種以上を配合することができる。
その中でも、揮発性シリコーンへの相溶性、入手の容易性、かつ紫外線防御効果の高さから、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好適に使用される。
本発明における成分(D)の配合量としては、1〜20%が望ましく、さらには3〜15%がより好ましい。この範囲であれば、微粒子金属酸化物の分散安定化効果が特に発揮され、使用性も良く、期待した紫外線遮蔽効果を得ることができる。
本発明に用いられる成分(E)は、下記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンであり、前記成分(C)のシロキサン化合物と前記成分(D)の油溶性有機紫外線吸収剤の相溶化剤として用いられる。
(Rで示される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。Rで示される炭素数4〜8のアルキル基としては、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。これらの中でも、Rが炭素数6のアルキル基(ヘキシル基)であるオルガノポリシロキサンが他の油剤との相溶性が良く、使用性及び安定性の点で好ましい。また、R及びRはR又はRの何れか一つと同一の基、mは2以上の整数、nは2以上の整数を示すものである。)
本発明に用いられる成分(E)のオルガノポリシロキサンの上記一般式(1)中のm及びnはそれぞれ共に2以上が望ましい。mまたはnが2より小さいと前記成分(C)のシロキサン化合物と前記成分(D)の油溶性有機紫外線の相溶化剤としての効果が弱くなり、肌に塗布した際に前記成分(B)の微粒子金属酸化物の凝集を抑えることが困難になる。
本発明に用いられる成分(E)のオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定はされないが、10000cs以下であれば軽い伸び広がりやさっぱりした使用感が得られ、より好ましい。
本発明に用いられる成分(E)のオルガノポリシロキサンの配合量は、効果の発現及び使用性において、0.01〜50%が好ましく、更に好ましくは0.1〜40%である。又、このオルガノポリシロキサンは必要に応じて一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
さらに、本発明の油中水型日焼け止め化粧料には、水の配合が必須であり、その配合量は、化粧料の性状によって異なり、特に限定されないが、1〜60%の範囲で適宜配合される。
本発明の油中水型日焼け止め化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料に使用される成分、例えば成分(A)、成分(D)、成分(E)以外の油剤、界面活性剤、アルコール類、保湿剤、ゲル化剤及び増粘剤、成分(B)以外の粉体、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等を配合することができる。
本発明の油中水型日焼け止め化粧料は、例えば液状、乳液状、クリーム状、固形状、ゲル状、ペースト状等、種々の性状にて実施することができる。また、本発明の油中水型日焼け止め化粧料は、日焼け止め乳液及びクリーム、化粧下地、ファンデーション等の形態に適応することができる。
以下に、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1〜8及び比較例1〜4 日焼け止め乳液
表1に示す組成の油中水型日焼け止め乳液を下記の製造方法に基づいて調製した。各サンプルについて、次の評価項目、紫外線遮蔽効果、安定性、伸び広がりの良さ、化粧膜の透明性を、下記の評価方法により評価した。その結果も併せて表1、2に示す。
(製造方法)
A:成分1〜2を成分3〜9に添加して充分に分散させる。
B:成分10〜13を均一に混合したあと、Aを添加して充分に分散させる。
C:成分14〜18を均一に混合する。
D:BにCを添加しながら乳化して、日焼け止め乳液を得た。
(紫外線遮蔽効果の評価)
実施例1〜8及び比較例1〜4の各試料について、石英板上に厚さ6μmの薄膜を作成して透過スペクトルを測定し、360nmにおける透過率を紫外線遮蔽効果の指標とした。ここでUVA領域である360nmの透過率が低い方が紫外線遮蔽効果の高いことを示す。
(紫外線遮蔽効果判定)
◎:360nm透過率5%未満
○:360nm透過率5%以上10%未満
△:360nm透過率10%以上15%未満
×:360nm透過率15%以上
(安定性の評価)
実施例1〜8及び比較例1〜4の各試料をガラスびんに充填し、40℃の恒温槽で2週間静置後、外観の変化(きめ、粘度変化)について目視観察し、下記判定基準により判定した。
(安定性判定)
◎:外観に変化なし
○:外観にわずかに変化あり
△:外観に変化あり(キメが悪い、粘度上昇)
×:外観にかなり変化あり(キメが悪く分離、ゲル化)
(伸び広がりの良さ、化粧膜の透明性の評価)
専門パネル10名により、実施例1〜8及び比較例1〜4の各試料について、肌に塗付する際の伸び広がりの良さ、化粧膜の透明性の各評価項目について使用テストを行ない、パネル各人が下記評価基準aを用いて評点を付け、試料毎にパネル全員の評点合計からその平均値を算出したものを、下記判定基準bを用いて判定した。
(評価基準a)
(評点):(評価)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い
(判定基準b)
(判定):(評点平均値)
◎ : 5点を超える
○ : 4.5点を超え、かつ、5点以下
△ : 2.5点を超え、かつ、4.5点以下
× : 2.5点以下
表2の結果から明らかなように、実施例1〜8の日焼け止め乳液は、紫外線遮蔽効果、安定性に優れていた。また、肌へ塗布する際の伸び広がりの良さ、塗布膜の透明性等、全ての項目において良好な結果を示すものであり、優れた油中水型日焼け止め乳液であることが実証された。
一方、成分(E)の特定のオルガノシロキサンを配合しない比較例1はすべての項目で、また、成分(E)の代わりにカプリリルトリメチコンを配合した比較例2は、化粧膜の透明性の点で特に劣っていた。オルガノポリシロキサン基を枝ポリマーに持たないシロキサン化合物を用いた比較例3、及び、揮発性シリコーンを配合しない比較例4はすべての項目で満足な結果が得られなかった。
実施例5:日焼け止めクリーム
(成分) (%)
1.メチルトリメチコン 5
2.アクリル−シリコーン処理微粒子酸化チタン(注8) 5
3.ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注1) 0.5
4.ジメチルポリシロキサン(注9) 2
5.トリメチルシロキシケイ酸/
デカメチルシクロペンタシロキサン溶液(注10) 5
6.ステアリン酸イヌリン(注11) 2
7.パラメトキシケイ皮酸オクチル 8
8.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート 0.5
9.2−エチルへキサン酸セチル 2
10.オルガノポリシロキサン(注12) 7
11.セチル・ポリエーテル変性シリコーン(注13) 2
12.エタノール 3
13.グリセリン 2
14.塩化ナトリウム 1
15.防腐剤 適量
16.シリコーン複合球状粉体(注14) 2
17.香料 適量
18.精製水 残量
注8:KF−549(信越化学工業社製)処理微粒子酸化チタン(平均粒経0.02μm)
注9:KF96A−2cs(信越化学工業社製)
注10:KF−7312J(信越化学工業社製)
注11:レオパールISK(千葉製粉社製)
注12:一般式(1)においてR=R=R=CH、R=C17、m=20、n=20
注13:アビルEM−90(ゴールドシュミット社製)
注14:KSP−100(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜3をビーズミル処理して均一に分散する。
B:成分4〜11を加温溶解し、Aを添加して均一に混合する。
C:成分12〜15及び成分18を混合溶解する。
D:BにCを添加しながら乳化後、冷却する。
E:Dに成分16、17を添加して均一に混合して、日焼け止めクリームを得た。
以上のようにして得られた実施例5の日焼け止めクリームは、肌へ塗布した時の伸び広がりが良く、油っぽさのないさっぱりした仕上がりで、化粧膜の透明性と紫外線遮蔽効果に優れ、安定性においても極めて優れた効果を示すものであった。
実施例6:日焼け止め化粧下地
(成分) (%)
1.架橋型メチルポリシロキサン/
デカメチルシクロペンタシロキサン配合物(注15) 13
2.アクリル−シリコーングラフト共重合体/
デカメチルシクロペンタシロキサン溶液(注16) 1
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 7
4.オルガノポリシロキサン処理微粒子酸化亜鉛(注17) 3
5.オルガノポリシロキサン処理微粒子酸化チタン(注18) 1
6.ポリグリセリル−3
ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注4) 1
7.パラメトキシケイ皮酸オクチル 7
8.オルガノポリシロキサン(注19) 3
9.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注2) 2
10.エタノール 2
11.1,3−ブチレングリコール 7
12.球状シリカパウダー 1
13.架橋型アクリルアミド系共重合体分散液(注20) 0.3
14.防腐剤 適量
15.香料 適量
16.精製水 残量
注15:KSG−15(信越化学工業社製)
注16:KP−545(信越化学工業社製)
注17:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理微粒子酸化亜鉛(平均粒経0.02μm)
注18:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理微粒子酸化チタン(平均粒経0.02μm)
注19:一般式(1)においてR=R=R=CH、R=C、m=55、n=40
注20:セピゲル305(セピック社製)
(製造方法)
A:成分1〜6をローラー処理して均一に混合する。
B:成分7〜9にAを添加して混合する。
C:成分10〜14及び16を均一に混合する。
D:BにCを添加しながら乳化後、成分15を添加して均一に混合して日焼け止め化粧下地を得た。
以上のようにして得られた本発明品6の日焼け止め化粧下地は、肌へ塗布した時の伸び広がりが良く、油っぽさのないさっぱりした仕上がりで、化粧膜の透明性と紫外線遮蔽効果に優れ、安定性においても極めて優れた効果を示すものであった。
実施例7:リキッドファンデーション
(成分) (%)
1.ドデカメチルシクロヘキサシロキサン 10
2.メチルトリメチコン 4
3.ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注1) 2.5
4.オルガノポリシロキサン処理微粒子酸化チタン(注18) 5
5.オルガノポリシロキサン処理酸化チタン(注22) 7
6.オルガノポリシロキサン処理ベンガラ(注23) 0.5
7.オルガノポリシロキサン処理黄酸化鉄(注24) 1.4
8.オルガノポリシロキサン処理黒酸化鉄(注25) 0.1
9.オルガノポリシロキサン処理マイカ(注26) 3
10.ジメチルポリシロキサン(注21) 3
11.オルガノポリシロキサン(注27) 5
12.リンゴ酸ジイソステアリル 2
13.パラメトキシケイ皮酸オクチル 7
14.ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注4) 1
15.1,3−ブチレングリコール 3
16.エタノール 7
17.ヒドロメトキシベンゾフェノンスルホン酸 0.2
18.防腐剤 適量
19.精製水 残量
20.香料 適量
注21:KF−96A−6cs(信越化学工業社製)
注22:SA−チタンCR−50(三好化成社製)
注23:SA−ベンガラ七宝(三好化成社製)
注24:SA−イエローレモン(三好化成社製)
注25:SA−ブラックBL−100(三好化成社製)
注26:SA−セリサイトFSE(三好化成社製)
注27:一般式(1)においてR=R=R=CH、R=C13、m=5、n=5
(製造方法)
A:成分1〜10をローラー処理して均一に混合する。
B:成分11〜14を均一に混合溶解し、Aを添加して混合する。
C:成分15〜19を均一に混合溶解する。
D:BにCを添加しながら乳化後、成分20を添加して均一に混合してリキッドファンデーションを得た。
以上のようにして得られた実施例7のリキッドファンデーションは、肌へ塗布した時の伸び広がりが良く、油っぽさのないさっぱりした仕上がりで、透明感のある自然な化粧膜と紫外線遮蔽効果に優れ、安定性においても極めて優れた効果を示すものであった。

Claims (4)

  1. 次の成分(A)〜(E);
    (A)揮発性オルガノポリシロキサン
    (B)微粒子金属酸化物
    (C)分子中に枝ポリマーとして、オルガノポリシロキサン基及び親水基を有するシロキサン化合物
    (D)油溶性有機紫外線吸収剤
    (E)下記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサン
    (Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rは炭素数4〜8のアルキル基、R及びRはR又はRの何れか一つと同一の基、mは2以上の整数、nは2以上の整数を示す。)
    を配合したことを特徴とする油中水型日焼け止め化粧料。
  2. 前記成分(C)が、下記一般式(2)で示されるシロキサン化合物
    SiO(4−a−b−c)/2 (2)
    [式中、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシ置換アルキル基あるいは下記一般式(3)
    −C2p−O−(CO)(CO)−R (3)
    で示される有機基から選択される同種または異種の有機基、
    は下記一般式(4)
    −C2q−O−(CO)(CO)−R (4)
    で示されるポリオキシアルキレン基を有する有機基、もしくは下記一般式(5)
    −Q−O−X (5)
    (式中、Qはエーテル結合及びエステル結合の少なくとも一方を含有してもよい炭素数3〜20の二価の炭化水素基を示し、Xは水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール置換炭化水素基を示す。)で示される有機基から選択される同種または異種の有機基、
    は下記一般式(6)で示されるオルガノポリシロキサン
    (但し、Rは炭素数4〜30の炭化水素基又はR10−(CO)−で示される有機基、Rは水素原子若しくは炭素数1〜30の炭化水素基又はR10−(CO)−で示される有機基、R10は炭素数1〜30の炭化水素基である。d、eはそれぞれ0≦d≦50の整数、0≦e≦50の整数、f、gはそれぞれ2≦f≦200の整数、0≦g≦200の整数、かつf+gが3〜200であり、hは1≦h≦500の整数である。また、p、qはそれぞれ0≦p≦15の整数、1≦q≦5の整数である。また、a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5である。)]
    であることを特徴とする請求項1記載の油中水型日焼け止め化粧料。
  3. 前記成分(B)の微粒子金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムからなる群から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の油中水型日焼け止め化粧料。
  4. 前記成分(D)油溶性有機紫外線吸収剤の配合量が、全化粧料中の3〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油中水型日焼け止め化粧料。
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