JP5166078B2 - 固形状油中水型乳化化粧料 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来のワックスでは固化可能な程度以上の配合量で用いようとすると仕上がりが遅くなったり、きしみが生じたり、みずみずしさに欠けるようになったりと、種々の問題点が生じていた。
特許文献1には、シリコーン油と、ワックスと、水と、特定の構造式で示されるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンとを有する固形状油中水型乳化化粧料が開示されている。この固形状油中水型乳化化粧料は、通常使用時に固化して容器に充填されていて、安定性が良好で使用感触に優れるものであるとされている。
また特許文献2には、特定のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンと、揮発性シリコーン油と、固形油と、水性成分とを含有することで充填成型性と経時安定性に優れる固形状油中水型乳化化粧料が開示されている。
(a)シリコーン油
(b)ヨウ素価および酸価が3.0以下の精製ライスワックスを含むワックスを2.0〜4.0質量%
(c)ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン
本発明の固形状油中水型乳化化粧料は通常化粧料として使用する温度範囲(0℃〜50℃)で流動性がなく固化しているもの(ペースト状を含む)を指す。
市販のライスワックスは、米ヌカより抽出して得られた脱ロウを、精製することにより得られ、炭素数が40〜60のエステルワックスである。その精製の程度により、色は黄色から白色を呈し、酸価およびヨウ素価が異なる。
本発明に用いる精製ライスワックスは、ヨウ素価および酸価が3.0以下のライスワックスであり、市販品としては、例えばTOWAX−3P3(東亜化成株式会社製。ヨウ素価:1.3、酸価:1.0)などが挙げられる。また、ヨウ素価および酸価が3.0を超える市販のライスワックスからカラム精製などの手段によって得ることもできる。
本発明においては上記の精製ライスワックスを用いることで、ワックス使用量を従来の約半分に減量することが可能となり、このためワックスに起因する使用感の悪さ、例えば仕上がりの遅さ、きしみ感や、化粧持ちが悪いといった欠点を低減することができる。
本発明の精製ライスワックスは、単独で配合しても充分な硬度を有するが、さらに、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックスおよびキャンデリラロウから選ばれる一種または二種以上のワックスを配合してもよい。
本発明に用いるシリコーン油は通常化粧料に用いられるものでジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のアルキルアリールポリシロキサン、ジアリールポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、および前記構造式(1)、(2)、(3)、(4)以外のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンが用いられる。
本発明で用いられるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは前記の一般式(1)(2)(3)(4)で示され、分子中にポリオキシアルキレン基を5〜40%含有し、かつ該ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの分子量が1000以上のものが使用される。ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの配合量は乳化される水相の量に応じて選択されるが、全化粧料中の0.2〜10質量%が好ましい。
本発明で用いられるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンとしては、市販されているものとして、シリコーンKF−6017、シリコーンKF−6028、シリコーンKF−6038(信越化学工業株式会社製)、ABIL EM90(Degussa社製)などが挙げられる。
本発明においては、上記必須成分(a)〜(c)に加えて、さらに(d)架橋型メチルポリシロキサンを配合することが好ましい。架橋型メチルポリシロキサンを配合することにより、硬度が若干高くなり、みずみずしさやのびの軽さがあるにもかかわらず、フォギー感も兼ね備えた仕上がりとなる。架橋型メチルポリシロキサンとしては、例えばシロキサン鎖をシロキサンで部分架橋させたKSG−15や、シロキサン鎖をポリエーテルで部分架橋させたKSG−210(信越化学工業株式会社製)等が好適に用いられる。
本発明ではシリコーン油とワックスとポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの必須成分の他に、顔料の粉末が配合される。
用いられる顔料粉末は通常化粧料で用いられるものであれば特に限定されず、無機顔料、有機顔料、金属顔料等任意の顔料の粉末を配合することができ、無機顔料としては、例えばタルク、カオリン、炭酸カルシウム、亜鉛華、二酸化チタン、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、チタンコーティッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、ベンガラ、粘結顔料、グンジョウピンク、水酸化クロム、雲母チタン、酸化クロム、酸化アルミニウムコバルト、紺青、カーボンブラック、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ベントナイト、マイカ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、カラミン等が挙げられる。
本発明においては、配合される水の量は全化粧料中の5質量%以上であることが好ましく、これ以下であると使用時に清涼感が期待できない。特に使用時に大きな清涼感を求めるためには10質量%以上配合することが好ましい。
(処方)
次の表1、表2に示す処方で固形状油中水型乳化化粧料を製造し、その効果を後記する評価方法で評価した。その結果を併せて表1、表2に示す。ただし、実施例7は本発明に含まれない参考例である。
表1、表2中の(1)〜(6)の各成分を90℃にて均一に加熱混合した後、(7)〜(12)を加えて均一に分散させて分散液Aを得た。
(13)〜(15)を均一に加熱混合させ、分散液Bを作成し、その分散液Bを分散液Aに加え、均一な乳化状態にさせた。脱気した後、中皿容器に充填・冷却して固形状油中水型乳化化粧料を製造した。
〔評価方法〕
装置にはRHEO METER(不動工業株式会社製)を用い、5.6mmΦの針にて針進入深さ1mm、針進入速度2cm/minの条件の下、硬度測定を行った時の最大応力を測定し、その値を硬度値とした。測定サンプルはあらかじめ37℃恒温槽に1時間静置させ、取り出した後速やかに測定した。
◎:硬度値が70〜120
○:硬度値が120〜150または50〜70
△:硬度値が30〜50または150超
×:硬度値が30未満
〔評価方法〕
固形状油中水型乳化化粧料を専門のパネリスト(20名)が使用し、瑞々しさ、透明感、カバー力を4段階官能評価し、下記評価基準で判定した。
尚、比較例2〜3、及び5〜6は充分に固化されず使用可能な状態ではないため、本評価の対象外とした。
◎:20人中16人以上が良いと認めた。
○:20人中12〜15人が良いと認めた。
△:20人中8〜11人が良いと認めた。
×:20人中7人以下が良いと認めた。
※2:精製ライスワックスS−100(横関油脂工業株式会社製)
※3:シリコーンKF6017(信越化学工業株式会社製)
これに対し比較例1は、マイクロクリスタリンワックスを5質量%加えて固化しているため、瑞々しさ、透明感に乏しい結果となっている。また比較例2,5,6では、いずれも本発明の精製ライスワックスを用いていないために固化せず使用できないものとなっている。比較例3では本発明の精製ライスワックスの配合量が少なすぎるために固化せず使用できないものとなっており、また比較例4では本発明の精製ライスワックスの配合量が多すぎるために硬度が高すぎ、瑞々しさや透明感に欠けるものとなっている。
次の表3に示す処方で後記する方法により固形状油中水型乳化化粧料を製造し、その効果を前記した評価方法で評価すると共に、実施例1と比較したときの瑞々しさを次の方法で評価した。その結果を併せて表3に示す。
表3中の(1)〜(8)の各成分を90℃にて均一に加熱混合した後、(9)〜(14)を加えて均一に分散させて分散液Aを得た。
(15)〜(17)を均一に加熱混合させ、分散液Bを作成し、その分散液Bを分散液Aに加え、均一な乳化状態にさせた。脱気した後、中皿容器に充填・冷却して固形状油中水型乳化化粧料を製造した。
〔評価方法〕
固形状油中水型乳化化粧料を専門のパネリスト(20名)が使用し、20名中、16名以上が実施例よりも明らかに瑞々しいと感じた場合を「良好」とした。
※2:精製ライスワックスS−100(横関油脂工業株式会社製)
※3:シリコーンKF6017(信越化学工業株式会社製)
※4:KSG−15(信越化学工業株式会社製)
※5:KSG−210(信越化学工業株式会社製)
(1)ライスワックス 2 質量%
(TOWAX−3P3(東亜化成株式会社製))
(2)パラフィンワックス 1
(3)デカメチルシクロペンタンシロキサン 23
(4)ジメチルポリシロキサン 5
(5)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 2
(シリコーンKF6017(信越化学工業株式会社製))
(6)セスキイソステアリン酸ソルビタン 2
(7)p−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル
パルソールMCX(GIVAUDAN社製) 1
(8)アルキル変性シリコン樹脂被覆黄酸化鉄 3
(9)アルキル変性シリコン樹脂被覆ベンガラ 1
(10)アルキル変性シリコン樹脂被覆黒酸化鉄 適量
(11)アルキル変性シリコン樹脂被覆酸化チタン 15
(12)酸化チタン・ベンガラ被覆雲母 3
(13)パルミチン酸 0.5
(14)精製水 36.2
(15)ジプロピレングリコール 5
(16)防腐剤 0.3
(1)ライスワックス 2 質量%
(TOWAX−3P3(東亜化成株式会社製))
(2)マイクロクリスタリンワックス 1
(3)デカメチルシクロペンタンシロキサン 23
(4)ジメチルポリシロキサン 5
(5)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 2
(シリコーンKF6017(信越化学工業株式会社製))
(6)セスキイソステアリン酸ソルビタン 2
(7)オクトクリレン(ユビナールN539T;BASF社製) 5
(8)アルキル変性シリコーン樹脂被覆黄酸化鉄 3
(9)アルキル変性シリコーン樹脂被覆ベンガラ 1
(10)アルキル変性シリコーン樹脂被覆黒酸化鉄 適量
(11)アルキル変性シリコーン樹脂被覆酸化チタン 15
(12)酸化チタン・ベンガラ被覆雲母 3
(13)パルミチン酸 0.5
(14)精製水 32.2
(15)ジプロピレングリコール 5
(16)防腐剤 0.3
(1)ライスワックス 2 質量%
(TOWAX−3P3(東亜化成株式会社製))
(2)パラフィンワックス 0.5
(3)マイクロクリスタリンワックス 0.5
(4)デカメチルシクロペンタンシロキサン 23
(5)ジメチルポリシロキサン 5
(6)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 2
(シリコーンKF6017(信越化学工業株式会社製))
(7)セスキイソステアリン酸ソルビタン 2
(8)オクトクリレン(ユビナールN539T;BASF社製) 5
(9)アルキル変性シリコーン樹脂被覆黄酸化鉄 3
(10)アルキル変性シリコーン樹脂被覆ベンガラ 1
(11)アルキル変性シリコーン樹脂被覆黒酸化鉄 適量
(12)アルキル変性シリコーン樹脂被覆酸化チタン 15
(13)酸化チタン・ベンガラ被覆雲母 3
(14)パルミチン酸 0.5
(15)精製水 32.2
(16)ジプロピレングリコール 5
(17)防腐剤 0.3
Claims (3)
- 下記(a)〜(c)を配合し、ワックス中におけるヨウ素価および酸価が3.0以下の精製ライスワックス量が50質量%以上であることを特徴とする固形状油中水型乳化化粧料。
(a)シリコーン油
(b)ヨウ素価および酸価が3.0以下の精製ライスワックスを含むワックスを2.0〜4.0質量%
(c)ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン - さらに(d)架橋型メチルポリシロキサンを配合してなることを特徴とする請求項1に記載の固形状油中水型乳化化粧料。
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