JP2008247672A - セラミックス焼結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化アルミニウム粉体、溶媒、硬化性樹脂および焼結助剤を含む混合物から含溶媒セラミックス成形体を作成し、次いで脱溶媒、脱脂、焼結してセラミックス焼結体を製造する方法において、酸化アルミニウム粉体のBET比表面積が1〜3m2/gであり、焼結助剤としてCr2O3、Fe2O3のうち少なくとも1種とCoOを含有することを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法
【選択図】 なし
Description
ここでいう平均粒子径とは粒度分布測定装置等を用いた測定で求められる値をいう。
得られたセラミックス成形体を焼結体にするために脱脂、焼結を行う。脱脂条件はバインダーの種類、量、成形体の形状等により、焼結温度は使用するセラミックス素材及びセラミックス成形体の形状等により適宜決定すると良い。特に大型成形体や肉厚成形体は脱脂による割れが発生しないように600℃程度まで30℃/時間以下の速度で昇温してバインダーを取り除くと良い。焼結条件は1600〜1700℃で2時間〜3時間保持すると良い。
実施例の物性の測定、評価は以下のように行った。
(1)BET比表面積値
BET比表面積値の測定はJIS−R1626(1996)「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に則り、BET1点法で行った。
(2)乾燥時の割れ
作製した100mm×70mm、厚さ30mmの含溶媒成形体サンプルを温度30℃、相対湿度60%で24時間加湿乾燥し、割れの有無を確認した。乾燥には恒温恒湿乾燥機を用いた。
(3)焼結体の相対密度
焼結体の焼結密度をアルキメデス法により測定した。焼結密度を理論密度で除した値を百分率で表した値を相対密度とした。ここで、それぞれの理論密度は以下のようにした。
酸化アルミニウム:3.98g/cm3
(4)焼結体の曲げ強度
焼結体の曲げ強度はJIS−R1601(1995)「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」に則り求めた。
表1の実施例1に示す粉末処方と、酸化アルミニウム及び焼結助剤の合計量100重量部に対して14重量部の蒸留水、0.35重量部の分散剤、4重量部の硬化性樹脂をボールミルに入れ12時間混合した。
酸化アルミニウム粉末のBET比表面積は3m2/gであった。分散剤にはポリカルボン酸塩を、硬化性樹脂には水溶性エポキシ樹脂(グリシジルエーテル型)を用いた。次に、ボールミルから混合物を取り出し、ロータリーエバポレーターで硬化剤を混合し、成形型に流し込み、20℃で24時間放置して硬化させ含水成形体を得た。硬化剤は1−(2−アミノエチル)ピペラジンを使用した。成形型はPP製100mm×70mm、厚さ30mmと、PP製50mm×40mm、厚さ10mmを用いた。
表1の実施例2に示す粉末処方と、酸化アルミニウム及び焼結助剤の合計量に対して14重量部の蒸留水、0.35重量部の分散剤、4重量部の硬化性樹脂をボールミルに入れ12時間時間混合した。
酸化アルミニウム粉末のBET比表面積は1.7m2/gであった。分散剤にはポリカルボン酸塩を、硬化性樹脂には水溶性エポキシ樹脂(グリシジルエーテル型)を用いた。次に、ボールミルから混合物を取り出し、ロータリーエバポレーターで硬化剤を混合し、成形型に流し込み、20℃で24時間放置して硬化させ含水成形体を得た。硬化剤は1−(2−アミノエチル)ピペラジンを使用した。成形型はPP製100mm×70mm、厚さ30mmと、PP製50mm×40mm、厚さ10mmを用いた。
100mm×70mm、厚さ30mmの含水成形体サンプルは温度30℃相対湿度60%で24時間加湿乾燥し、割れの有無を確認した。また、50mm×40mm、厚さ10mmの含水成形体サンプルを温度30℃相対湿度90%から0.6%/時間で相対湿度を下げ、相対湿度50%となった段階で加湿乾燥を終え、その後100℃で24時間熱風乾燥し成形体を得た。さらに電気炉で600℃まで25℃/時間の 昇温速度で昇温後、さらに昇温し1600℃で2時間焼結し焼結体サンプルを得た。1650℃で2時間焼結したサンプルも作成した。得られた焼結体サンプルで密度を測定後、抗折片に加工し曲げ強度を測定した。結果は表1に示すとおり乾燥割れが無く、1600℃焼結体の曲げ強度は300MPa以下であったが、1650℃焼結体の相対密度は96%以上、曲げ強度は320MPa以上であった。
表1の実施例3に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は1.7m2/gであった。結果は表1に示すとおり、乾燥割れがなく、また1650℃焼結体において相対密度97%以上、曲げ強度370MPa以上であった。
表1の実施例4に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は1.7m2/gであった。結果は表1に示すとおり、乾燥割れがなく、1600℃焼結体の相対密度は96%以下、曲げ強度は300MPa以下であったが、1650℃焼結体において相対密度96%以上、曲げ強度310MPa以上であった。
表1の実施例5に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は1.7m2/gであった。結果は表1に示すとおり乾燥割れがなかった。1650℃焼結体の相対密度97%以上、曲げ強度は若干低く284MPaであった。
表1の実施例6に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は2.2m2/gであった。結果は表1に示すとおり乾燥割れがなかった。1650℃焼結体の相対密度96%以上、曲げ強度は若干低く276MPaであった。
表1の実施例7に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は2.2m2/gであった。結果は表1に示すとおり乾燥割れがなかった。1650℃焼結体の相対密度97%以上、曲げ強度は若干低く263MPaであった。
表1の実施例8に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は2.2m2/gであった。結果は表1に示すとおり乾燥割れがなかった。1650℃焼結体の相対密度97%以上、曲げ強度は340MPa以上であった。
表2の比較例1に示す処方以外は実施例1と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は4.5m2/gであった。結果は表2に示すとおり、1600℃の相対密度は98%以上、曲げ強度は330MPa以上と高い値を示したが、乾燥割れが発生した。
表2の比較例2に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は1.7m2/gであった。結果は表2に示すとおり、乾燥割れはなかったが、1650℃焼結体において相対密度95%以下、曲げ強度230MPa以下と低い値であった。
表2の比較例3に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は1.7m2/gであった。結果は表2に示すとおり、乾燥割れはなかったが、1650℃焼結体の曲げ強度が230MPa以下と低い値であった。
表2の比較例4に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は1.7m2/gであった。結果は表2に示すとおり、乾燥割れはなかった、1650℃焼結体の相対密度95%以下、曲げ強度230MPa以下と低い値であった。
表2の比較例5に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は1.7m2/gであった。結果は表4に示すとおり、乾燥割れはなかったが焼結体の相対密度は96%以下、曲げ強度が230MPa以下と低い値であった。
表2の比較6に示す処方以外は実施例2と同様にして作成、評価した。酸化アルミニウム粉末のBET比表面は0.6m2/gであった。結果は表4に示すとおり、乾燥割れはなかったが焼結体の相対密度は95%以下、曲げ強度が230MPa以下と低い値であった。
Claims (4)
- 酸化アルミニウム粉体、溶媒、硬化性樹脂および焼結助剤を含む混合物から含溶媒セラミックス成形体を作成し、次いで脱溶媒、脱脂、焼結してセラミックス焼結体を製造する方法において、酸化アルミニウム粉体のBET比表面積が1〜4m2/gであり、焼結助剤としてCr2O3、Fe2O3のうちの少なくともいずれか1種と、CoOを含有することを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法。
- 酸化アルミニウム粉体および焼結助剤の合計量に対してCoOを0.05〜1.0重量%、Cr2O3を0.1〜1.3重量%およびFe2O3を0.01〜1.0重量%添加し、添加量の合計が0.5〜1.5重量%であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス焼結体の製造方法。
- 焼結助剤中の組成比が、CoO1重量部に対してCr2O3およびFe2O3の合計重量部が3〜10重量部であることを特徴とする請求項2記載のセラミックス焼結体の製造方法。
- 硬化性樹脂が水溶性エポキシ樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス焼結体の製造方法。
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