JP5030268B2 - セラミックスの製造方法 - Google Patents

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本発明は、焼結性に優れる炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法、その製造方法により得られるセラミックス、及び当該セラミックスを含有してなる摺動部材又は高温構造部材に関する。
炭化ケイ素セラミックスは、硬度、耐熱性、耐食性等に優れるため、近年、構造部材としての応用が積極的に検討されている。特に、メカニカルシール、軸受け等の構造部材として一部実用化されている。
一方、品質の良好な炭化ケイ素セラミックスを生産レベルで安定して製造できる条件に着目した技術の開示はあまりなされていない。
例えば、特許文献1には、緻密な炭化ケイ素セラミックスを得るために、特定の炭素原料を炭化ケイ素、焼結助剤と共に混合し、一定の揮発成分を含有する条件下で焼結する炭化ケイ素セラミックスの製造方法が開示されている。
特開平6-206770号公報
本発明の課題は、焼結後の構造及び諸物性、特に、密度及び強度が優れる炭素含有炭化ケイ素セラミックスの工業的な製造方法を提供すること、及び、該製造方法により得られる密度及び強度が優れる炭素含有炭化ケイ素セラミックスを提供することにある。
即ち、本発明の要旨は、
[1] 炭化ケイ素と炭素原料と焼結助剤とを含む原材料の混合物Xを焼成する工程を有する炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法であって、該混合物Xを構成する粒子の平均粒径が0.05〜3μmである炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法、
[2] 前記[1]記載の製造方法で得られる炭素含有炭化ケイ素セラミックス、及び
[3] 前記[2]記載の炭素含有炭化ケイ素セラミックスを含有してなる摺動部材又は高温構造部材
に関する。
本発明によれば、焼結後の構造及び諸物性、特に、密度及び強度が優れる炭素含有炭化ケイ素セラミックスの工業的な製造方法、及び、該製造方法により得られる密度及び強度が優れる炭素含有炭化ケイ素セラミックスを提供することができる。
本発明は、炭化ケイ素と炭素原料と焼結助剤とを含む原材料の混合物Xを焼成する工程を有する炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法であって、該混合物Xを構成する粒子の平均粒径が0.05〜3μmである炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法に関する。本発明の製造方法によれば、密度及び強度が優れた炭素含有炭化ケイ素セラミックスの工業規模での安定的な製造が可能になる。
[混合物X]
混合物Xは、例えば、炭化ケイ素と炭素原料と焼結助剤とを含む原材料を混合し、粉砕することにより、得ることができる。原材料の混合又は粉砕は、乾式で行う場合と湿式で行う場合がある。また、原材料を混合した後に、混合物を仮焼した上で粉砕する場合(態様1)と、混合と粉砕を同時に行う場合(態様2)とがある。態様1の場合、焼成後に得られる炭素含有炭化ケイ素セラミックス(以下、単に「セラミックス」と称することがある)中の炭化ケイ素と炭素とが緊密になることから、セラミックスの相対密度が向上し得る。また、態様2の場合、混合物Xを構成する粒子の平均粒径が0.05〜3μmである場合、仮焼工程を経なくても密度及び強度が優れたセラミックスが得られ得るため、仮焼工程が不要となることから、製造工程を簡略化し得る。
[炭化ケイ素]
本発明の製造方法で使用する炭化ケイ素は、α、βのいずれの結晶型のものであってもよい。炭化ケイ素の純度としては、特に限定されないが、セラミックスに良好な焼結体密度、強度、及び破壊靭性を付与し、また、ヤング率等の機械的特性をも向上させる観点から、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。また、炭化ケイ素の形態としては、焼結性が良好であることから、好ましくは平均粒径が5μm以下の粉末であり、より好ましくは0.1〜3μmの粉末である。
[炭素原料]
本発明の製造方法で使用する炭素原料とは、焼成後の炭素への転換率が50〜95重量%である有機物であって、湿式混合に使用する場合は、溶媒に可溶性若しくは良分散性を示すものであれば、特に限定されるものではない。炭素原料の焼成後の炭素への転換率としては、セラミックスの相対密度向上の観点から、50〜90重量%が好ましい。また、同様の観点から、その平均粒子径としては5〜200μmが好適である。該炭素原料としては、焼成後の炭素への転換率が高いことから、芳香族炭化水素が好ましい。該芳香族炭化水素としては、例えば、フラン樹脂、フェノール樹脂、コールタールピッチ等が挙げられ、中でも、フェノール樹脂及びコールタールピッチがより好適に使用される。なお、炭素原料の焼成後の炭素への転換率とは、JIS K2425に基づいて測定される炭素原料中の固定炭素の重量%をいう。
[焼結助剤]
本発明の製造方法で使用する焼結助剤としては、通常、セラミックスの製造において焼結助剤として選択されるものであれば、特に限定されるものではなく、いずれのものも使用することができる。該焼結助剤としては、例えば、B、BC等のホウ素化合物、アルミニウム化合物、イットリア化合物等が挙げられ、アルミニウム化合物、イットリア化合物等の具体例としては、Al、Y等の酸化物等が挙げられる。
[その他の成分]
本発明の製造方法で原材料として使用することができるその他の成分としては、通常、セラミックスの製造に使用される添加剤、例えば、TiC、TiN、Si、AlN等が挙げられる。
セラミックスの相対密度及び曲げ強度向上の観点から、本発明の製造方法により得られるセラミックス中における炭素と炭化ケイ素の含有量比[C(重量%)/SiC(重量%)]は、好ましくは5/95〜45/55、より好ましくは10/90〜40/60、さらに好ましくは15/85〜35/65である。
従って、混合する際の炭化ケイ素、炭素原料、及び焼結助剤の混合割合としては、特に限定されるものではないが、得られるセラミックスが上記含有量比を満たすように換算して、炭素原料及び炭化ケイ素を焼結助剤とともに用いることが好ましい。焼結助剤の使用量としては、通常、炭化ケイ素100重量%に対し、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.2〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、さらにより好ましくは1〜3重量%混合すればよい。その他の成分を使用する場合は混合する際に所定量を混合すればよい。
また、セラミックスの相対密度及び曲げ強度向上の観点から、セラミックス中の炭化ケイ素の含有量は、好ましくは54〜94重量%、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは65〜85重量%である。
[態様1]
上記の原材料を混合する方法としては、乾式混合、湿式混合、又は熱間混練等のいずれの方法でもよいが、炭素原料の分散性の観点から、湿式混合が好ましい。
湿式混合に用いる溶媒としては、水又は有機溶剤のどちらを用いても良いが、炭素原料の分散性及び炭化ケイ素の酸化防止の観点からは、有機溶剤を用いることが好ましく、環境維持の観点からは、水を用いることが好ましい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤やベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤等を用いることができる。
混合装置としては、一般の混合機を用いることができる。該混合機としては、例えば、ボールミル、振動ミル等のポット式ミルや、サンドミル、アトライターミル等の撹拌式ミル、及びこれらの連続式ミルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次いで、得られた混合物を仮焼する。湿式混合を行った場合は、仮焼の前に公知の方法により脱溶媒を行うことが好ましい。仮焼は、好ましくは200〜600℃、より好ましくは300〜500℃、さらに好ましくは400〜500℃で、好ましくは0.5〜12時間、より好ましくは1〜10時間、好ましくは非酸化性雰囲気中で行う。200℃以上の温度で仮焼する場合、揮発成分が適度に揮発することから、焼成後に得られるセラミックスの気孔率を低減することができる。また、600℃以下の温度で仮焼する場合、炭素の焼結能が維持され得ることから、緻密な焼結体を得ることができる。前記非酸化性雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、炭酸ガスあるいはこれらの混合ガスや真空のいずれでもよく、場合によっては、ガスによる加圧下で仮焼を行ってもよい。
上記仮焼により得られた仮焼体は、乾式又は湿式粉砕により、所定の平均粒径、即ち、0.05〜3μmとなるように粉砕される。粉砕効率の観点から、粉砕は湿式で行われることが好ましい。湿式粉砕は、例えば、ボールミル、振動ミル、遊星ミルアトライター等の公知の粉砕機を用いて行えばよい。その際に使用する溶媒としては、例えば、環境への配慮から水が好ましいが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、又はメチルエチルケトン等のケトン系溶剤等も使用できる。その他の溶剤としては、水と前記有機溶剤との混合溶剤等も使用することができる。通常、以上のような原材料の混合物100重量%に対し溶媒は50〜200重量%程度使用すればよい。
[態様2]
上記の原材料の混合と粉砕を同時に行うことにより、原材料の混合物は平均粒径が0.05〜3μmとなるように粉砕される。当該混合及び粉砕は乾式又は湿式のいずれの方法でもよいが、炭素原料の分散性の観点から、湿式で行われることが好ましい。湿式混合及び粉砕に用いる溶媒としては、水又は有機溶剤のどちらを用いても良いが、炭素原料の分散性及び炭化ケイ素の酸化防止の観点からは、有機溶剤を用いることが好ましく、環境維持の観点からは、水を用いることが好ましい。有機溶剤としては、態様1の湿式混合に用いられるものと同様のものを用いることができる。混合及び粉砕を同時に行う装置としては、例えば、ボールミル、振動ミル等のポット式ミルや、サンドミル、アトライターミル等の撹拌式ミル、及びこれらの連続式ミルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
粉砕効率の観点から、本発明の製造方法は、上記のようにして調製され得る混合物Xにおいて、該混合物Xを構成する粒子の平均粒径が、0.05〜3μm、好ましくは0.1〜2.5μm、より好ましくは0.15〜1.5μm、さらに好ましくは0.2〜1.2μmであることを1つの特徴とする。良好な相対密度と曲げ強度を確保する観点から、本発明の製造方法は、該混合物Xを構成する粒子の平均粒径が、0.05〜3μm、好ましくは0.05〜2.5μm、より好ましくは0.05〜1.2μm、さらに好ましくは0.05〜0.15μmであることを1つの特徴とする。
当該平均粒径が、上記の好適範囲を満たす場合、炭素と炭化ケイ素の好適焼結温度が相違するにも拘わらず、原材料の混合物の焼結がバランスよく達成されることから、密度及び強度が優れたセラミックスが製造されるという効果が奏される。かかる効果は、本発明の製造方法が仮焼工程を含む場合に、より好適に発揮され得る。
なお、本発明において平均粒径とは、D50、即ち、小粒径側からの積算粒径分布(体積基準)が、50%となる粒径を意味する。該平均粒径は、レーザー回折/散乱法により測定する。具体的には、商品名:LA-920(堀場製作所製)を用いて該平均粒径を測定する。
混合物Xを構成する粒子の平均粒径を所望の粒径範囲内に調整する手段としては、特に限定されないが、例えば、粉砕する装置の設定条件を調整することが挙げられる。例えば、粉砕する装置として、振動ミルを用いる場合、ジルコニアボールを粉砕メディアとして用いて粉砕を行えばよい。
本発明の製造方法においては、上記の混合物Xを焼成することにより、炭素含有炭化ケイ素セラミックスが得られる。具体的には、例えば、混合物Xを、防漏処置をした成形型に充填して成形した後、又は、スプレードライヤー等を用いて造粒し、得られた顆粒を成形型に充填して成形した後に焼成すること等により、炭素含有炭化ケイ素セラミックスが得られる。ここで、焼成とは、混合物Xを構成する粒子が焼結するために必要な熱処理をいう。
また、緻密なセラミックスを得る観点から、混合物X中における揮発成分の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜8重量%、さらに好ましくは0.3〜8重量%である。混合物X中における揮発成分の含有量が0.1重量%以上である場合、焼成中に炭素に由来する焼結能が十分に発揮され得ることから、緻密な焼結体を得ることができる。また、混合物X中における揮発成分の含有量が10重量%以下である場合、焼成中の揮発成分の揮発による亀裂の発生、及び焼成後の残留気孔の発生率が低減され得ることから、緻密な焼結体を得ることができる。揮発成分の含有量を調整する手段としては、仮焼が挙げられ、仮焼により該含有量を低減することができる。
なお、本発明において、混合物X中における揮発成分の含有量は、次のようにして求められる。即ち、溶媒を除去する目的で混合物Xを130℃で16時間乾燥させた後、金型(φ60mm)に充填し、147MPaの圧力の下で9mmの厚さになるように成形して得た成形体重量と該成形体を2150℃で4時間焼成して得た焼結体重量とを、それぞれ化学天秤を用いて測定し、次式により算出される。
揮発成分の含有量 (重量%) = (成形体重量−焼結体重量) / 成形体重量 × 100
[造粒]
造粒方法としては、特に限定されない。該方法としては、例えば、混合物Xをスプレードライヤー等の造粒機で処理する方法が挙げられる。造粒の際、必要に応じ、成形用バインダーを添加することができる。成形型への充填性の観点から、造粒後に得られる顆粒の形状としては、流動性に富む球状が好ましく、平均粒径は20〜150μmが好ましい。
[成形]
成形方法としては、特に限定されない。該方法としては、例えば、金型成形法、CIP(COLD ISOSTATIC PRESS)法、混合物Xを造粒せずにそのまま用いるスリップキャスティング法等の一般の成形法が挙げられる。場合により、成形後、得られた成形体を加工する。成形型についても特に限定はない。本発明において作製された成形体は、揮発成分を適度に含み得るため、成形体の強度が高く、加工性に優れている。
[脱脂]
脱脂は必要に応じて行い、非酸化性雰囲気下で行う。非酸化性雰囲気ガスは、仮焼工程で用いたものと同様のものが使用される。脱脂温度は、通常300〜1400℃が好ましい。
[焼成]
焼成方法としては、特に限定されないが、好ましくは1900〜2300℃の焼成温度で常圧焼結で行う。焼成時間は、通常、0.5〜8時間である。焼成温度を1900〜2300℃の範囲内とすることにより、緻密で強度の高い焼結体として本発明のセラミックスを得ることができる。焼成中の雰囲気は、真空又は前記と同様の非酸化性雰囲気が好ましい。焼成法としては、セラミックスを高密度化させるためにホットプレス、HIP(HOT ISOSTATIC PRESS)法等を用いても良い。
本発明の炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法の一例としては、炭化ケイ素と炭素原料と焼結助剤とを含む原材料の混合物を平均粒径が0.05〜3μmの粒子となるように粉砕する工程(I)、及び工程(I)で得られた粉砕物を、成形型に充填し焼成する工程(II)を経て炭素含有炭化ケイ素セラミックスを得ることが挙げられる。
[セラミックス]
本発明の製造方法により得られる炭素含有炭化ケイ素セラミックスは、好ましくはその相対密度が85%以上であり、より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。相対密度が高いことにより、曲げ強度が高く、破壊に対する抵抗性が高いという特性が発現し得る。当該相対密度は、炭化ケイ素の純度、炭素原料の炭素転換率、セラミックス中における炭素と炭化ケイ素との含有量比、焼結助剤の使用量、混合物X中における炭化ケイ素と炭素原料と焼結助剤の含有量比、混合物Xを構成する粒子の平均粒径等の製造条件を、前記した好適範囲内となるように調整することで向上できる。なお、当該相対密度は、後述の実施例のようにして求めることができる。
また、本発明の製造方法により得られる炭素含有炭化ケイ素セラミックスにおいて、炭素ドメインの径は、セラミックスの曲げ強度を向上する観点から、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.1〜7μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。炭素ドメインの径とは、炭化ケイ素マトリックス中に分布している炭素粒子又はそれらの集合体の大きさを意味する。なお、炭素ドメインの径は、鏡面仕上げした試料面上を略均等100箇所について走査型電子顕微鏡により倍率500倍で観察し、得られる100画像中の炭素ドメインを画像解析装置により解析し、平均値として算出する。
また、本発明の製造方法により得られる炭素含有炭化ケイ素セラミックスにおいて、炭素ドメインの割合は、セラミックスの曲げ強度を向上する観点から、好ましくは6〜70体積%、より好ましくは9〜60体積%、さらに好ましくは15〜50体積%である。炭素ドメインの割合とは、炭化ケイ素マトリックス中に占める炭素ドメインの体積割合の平均値を意味する。なお、炭素ドメインの体積割合は、炭素ドメインの径と同様に、上記の1画像中の炭素ドメインの面積%についての100画像の平均値として画像解析により算出する。
炭素ドメインの径は、炭素原料の焼成後の炭素への転換率が高いときに増大する傾向にあり、炭素ドメインの割合は、混合物Xを構成する粒子の平均粒径が大きいときに増大する傾向にある。
上記のような構造特性を有する本発明のセラミックスは、相対密度が高く、曲げ強度が 大きいことから、熱衝撃抵抗性及び摺動特性に優れたものである。そのため、本発明のセラミックスは、バルブ、メカニカルシール、軸受等の摺動部材用、又は、高温成形型、熱処理用治具等の高温構造部材用に好適に使用され得る。
本発明はまた、前記のセラミックスを含有してなる摺動部材又は高温構造部材に関する。本発明の摺動部材又は高温構造部材は、前記のセラミックスを含有するため、熱衝撃抵抗性及び摺動特性に優れたものである。本発明の摺動部材又は高温構造部材としては、前記のセラミックスを含有する限り、特に制限はなく、例えば、バルブ、メカニカルシール、軸受等の摺動部材用、又は、高温成形型、熱処理用治具等の高温構造部材用であり得る。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
実施例1〜5、9、10、比較例1〜3(ただし、実施例9、10は参考例である。)
原材料として、α−炭化ケイ素(平均粒径0.7μm、純度99重量%)、炭素原料(コールタールピッチ:焼成後の炭素への転換率 50重量%、平均粒径33μm)及び焼結助剤(B4C)を表1記載の配合量で用いた。該原材料を、5リットル容の振動ミル(型番MB:中央化工機社製)を用いてエタノール中で混合後、脱溶媒を行なった。得られた混合物を窒素雰囲気下、表1記載の仮焼温度でそれぞれ2時間仮焼した。得られた仮焼体を5リットル容の振動ミル(型番MB:中央化工機社製)を用いてエタノール中で湿式粉砕することにより、表1記載の平均粒径を有する混合物Xを得た。得られた混合物Xをスプレードライヤー(蒸発量:15L/時間)により平均粒径50μmに造粒した。次いで、成形型として金型(φ60mm)を用い、CIP法により100MPaの圧力下で9mmの厚さになるように成形を行い、窒素雰囲気下、600℃で4時間脱脂を行った。脱脂後、表1記載の焼成温度でアルゴン雰囲気下、4時間焼成し、試験片として焼結体(炭素含有炭化ケイ素セラミックス)を得た。
実施例6〜8、比較例4〜6
原材料として、α−炭化ケイ素(平均粒径0.7μm、純度99重量%)、炭素原料(仮焼ピッチ:焼成後の炭素への転換率 90重量%、平均粒径12μm)、及び焼結助剤(BC)を表1記載の配合量で用いた。該原材料を、15リットル容振動ミル(型番MB:中央化工機社製)を用いて水中で混合粉砕することにより、表1記載の平均粒径を有する混合物Xを得た。得られた混合物Xを、実施例1〜5、9、10及び比較例1〜3と同様に造粒、成形、脱脂、及び焼成し、試験片として焼結体(炭素含有炭化ケイ素セラミックス)を得た。
[炭素ドメイン径及び炭素ドメインの割合の測定方法]
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた各焼結体を鏡面仕上げして得られた試料面上を略均等100箇所について走査型電子顕微鏡により倍率500倍で観察した。得られた100画像を画像解析装置(型番:LUZEX-III、ニレコ社製)により解析し、前述のようにしてそれぞれの値を算出した。結果を表2に示す。
[揮発成分の含有量の測定方法]
混合物X中における揮発成分の含有量の測定は、次のように行った。即ち、実施例1〜10及び比較例1〜6における各混合物Xを130℃で16時間乾燥させた後、金型(φ60mm)に充填し、147MPaの圧力の下で厚さ9mmになるように成形して得た成形体重量と該成形体を2150℃で4時間焼成した後の焼結体重量とを、それぞれ化学天秤を用いて測定し、次式により算出した。結果を表1に示す。
揮発成分の含有量 (重量%) = (成形体重量−焼結体重量) / 成形体重量 × 100
[相対密度の測定方法]
JIS R1634に基づき、実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた各焼結体の密度を測定し、該密度を理論密度で除し100を乗じて相対密度を求めた。なお、理論密度は炭化ケイ素の理論密度3.14 g/cm3と、炭素単体の理論密度2.26 g/cm3とにより求めることができる。結果を表2に示す。
[曲げ強度の測定方法]
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた各焼結体について、JIS R1601に基づき、曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
[炭素と炭化ケイ素の含有量比の測定方法]
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた各焼結体1gを内容積50mlのタングステンカーバイト製のポットと直径13mmのタングステンカーバイト製ボールとを用い、シェーキングミルにより、20分間乾式粉砕した。得られた粉砕物について、JIS R6124に基づき、炭化ケイ素の酸化補正を行って焼結体中の炭素量を求めた。また、焼結体中の炭化ケイ素量は、当該焼結体を製造する際の炭化ケイ素の配合量とした。焼結体中の炭素と炭化ケイ素の含有量比を表2に示す。
Figure 0005030268
Figure 0005030268
表2に示される通り、本発明の製造方法で得られたセラミックスは、常圧焼結で、安定した高密度及び高強度をもつ焼結体であった。
本発明の製造方法は、焼結後の構造及び諸物性、特に、密度及び強度が優れた炭素含有炭化ケイ素セラミックスの工業的な製造に好適に使用され得る。

Claims (6)

  1. 炭化ケイ素と炭素原料と焼結助剤とを含む原材料の混合物Xを焼成する工程を有する炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法であって、
    下記工程(1)〜(3):
    工程(1):炭化ケイ素と炭素原料と焼結助剤を混合して、混合物を得る工程
    工程(2):工程(1)で得られた混合物を仮焼し、粉砕して、混合物Xを得る工程
    工程(3):工程(2)で得られた混合物Xを焼成する工程
    を含み、
    該混合物Xを構成する粒子の平均粒径が0.05〜1.5μmである炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法。
  2. 炭化ケイ素と炭素原料と焼結助剤とを含む原材料の混合物Xを焼成する工程を有する炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法であって、
    下記工程(4)及び(5):
    工程(4):炭化ケイ素と炭素原料と焼結助剤の混合と粉砕を水を溶媒として同時に行い、混合物Xを得る工程
    工程(5):工程(4)で得られた混合物Xを焼成する工程
    を含み、
    該混合物Xを構成する粒子の平均粒径が0.05〜1.5μmである、炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法。
  3. 粉砕が湿式粉砕により行われる請求項記載の炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法。
  4. 混合物Xが、揮発成分を0.1〜10重量%含有するものである請求項1〜3いずれか記載の炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法。
  5. 炭素含有炭化ケイ素セラミックス中の炭素と炭化ケイ素の含有量比[C(重量%)/SiC(重量%)]が5/95〜45/55である請求項1〜4いずれか記載の炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法。
  6. 炭素含有炭化ケイ素セラミックスの相対密度が85%以上、炭素ドメインの径が0.1〜10μm、炭素ドメインの割合が6〜70体積%である請求項1〜5いずれか記載の炭素含有炭化ケイ素セラミックスの製造方法。
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