本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
吸収性物品本体と、該吸収性物品本体から該吸収性物品本体の幅方向外側へ延出したウイング部と、を備える吸収性物品であって、
前記ウイング部の、前記吸収性物品本体の長手方向における端部、に位置する該ウイング部の根元部、
の剛性よりも高い剛性を有する高剛性部が、
前記ウイング部の、前記長手方向における中央部、から前記吸収性物品本体まで前記幅方向に沿って連続して設けられていることを特徴とする吸収性物品。
このようにすれば、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない吸収性物品を実現することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記根元部として、
前記ウイング部の、前記長手方向における一端部、に位置する該ウイング部の一端根元部と、前記ウイング部の、前記長手方向における他端部、に位置する該ウイング部の他端根元部と、を備え、
前記高剛性部は、前記一端根元部及び前記他端根元部のいずれの剛性よりも高い剛性を有することとしてもよい。
かかる場合には、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに、より一層、不快な感触を与えない吸収性物品を実現することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記ウイング部として、
前記吸収性物品本体の幅方向一端部から前記幅方向外側へ延出した第一ウイング部と、前記吸収性物品本体の幅方向他端部から前記幅方向外側へ延出した第二ウイング部と、を備え、
前記高剛性部は、前記第一ウイング部の前記中央部の最外側端から前記第二ウイング部の前記中央部の最外側端まで前記幅方向に沿って連続して設けられていることとしてもよい。
かかる場合には、より一層容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない吸収性物品を実現することができる。
かかる吸収性物品であって、
該吸収性物品は、表面側シート及び裏面側シートを備え、
前記高剛性部は、該表面側シートと該裏面側シートとが重なった重なり部分であり、前記根元部は、該表面側シート及び該裏面側シートのうちの表面側シートのみからなる部分であることとしてもよい。
かかる場合には、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない吸収性物品を、簡便な方法で得ることが可能となる。
かかる吸収性物品であって、
該吸収性物品は、表面側シート及び裏面側シートを備え、
前記高剛性部は、
該表面側シートと該裏面側シートとが重なった重なり部分、及び、該表面側シートにエンボス加工が施されたエンボス加工部分、のうちの少なくともどちらか一方の部分であり、
前記根元部は、該表面側シート及び該裏面側シートのうちの表面側シートのみからなりエンボス加工が施されていない非エンボス加工部分、であることとしてもよい。
かかる場合には、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない吸収性物品を得る際に、裏面側シートを節約することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記中央部のうちの一部分からは、前記高剛性部が、前記エンボス加工部分、前記重なり部分の順に、前記吸収性物品本体まで前記幅方向に沿って連続して設けられている一方で、
前記中央部のうち、前記長手方向において前記一部分とは異なる位置、に位置する他の部分、
からは、前記エンボス加工部分、前記非エンボス加工部分、及び、前記重なり部分が、この順に、前記吸収性物品本体まで前記幅方向に沿って連続して設けられていることとしてもよい。
かかる場合には、容易に取り外し可能であり、ユーザに不快な感触を与えず、さらに、容易にウイング部を折り返すことが可能な吸収性物品を実現することができる。
表面側シートと裏面側シートとが重なった重なり部分と、該表面側シート及び該裏面側シートのうちの表面側シートのみからなる部分と、を備えた吸収性物品の製造方法であって、
裏面側シート基材の、
前記裏面側シートの外縁のうちの、前記重なり部分と前記表面側シートのみからなる部分との境界に位置する境界外縁、
に相当する部分、
をカットするステップと、
カットされた裏面側シート基材と、表面側シート基材と、を重ねて貼り合わせるステップと、
貼り合わされた裏面側シート基材及び表面側シート基材の、前記表面側シートの外縁に相当する部分、をカットするステップと、
を有することを特徴とする吸収性物品の製造方法。
かかる吸収性物品の製造方法によれば、吸収性物品を適切に製造することができる。
互いに貼り合わされた表面側シートと裏面側シートを備え、
前記表面側シートの貼り合わせ面に、前記裏面側シートと貼り合わされることなく露出した露出部分が設けられている吸収性物品であって、
前記裏面側シートの貼り合わせ面とは反対側の面に、吸収性物品を固定するための第一接着剤が塗られている吸収性物品、
の製造方法であって、
表面側シート基材の、前記表面側シートの貼り合わせ面に相当する面に、
前記露出部分に相当する部分も含めて、前記第一接着剤のタック力よりも小さいタック力を有する第二接着剤、を塗るステップと、
前記第二接着剤が塗られた前記表面側シート基材と、裏面側シート基材と、を前記露出部分に相当する部分が露出するように重ねて貼り合わせるステップと、
を有することを特徴とする吸収性物品の製造方法。
かかる吸収性物品の製造方法によれば、吸収性物品を簡易に製造することができる。
互いに貼り合わされた表面側シートと裏面側シートを備え、
前記表面側シートの貼り合わせ面に、前記裏面側シートと貼り合わされることなく露出した露出部分が設けられている吸収性物品であって、
前記裏面側シートの貼り合わせ面とは反対側の面に、吸収性物品を固定するための第一接着剤が塗られている吸収性物品、
の製造方法であって、
裏面側シート基材の、前記裏面側シートの貼り合わせ面に相当する面に、前記第一接着剤のタック力よりも小さいタック力を有する第二接着剤、を塗るステップと、
前記第二接着剤が塗られた前記裏面側シート基材と、表面側シート基材と、を重ねて貼り合わせるステップと、
貼り合わされた前記裏面側シート基材及び前記表面側シート基材から、
前記裏面側シート基材の不用部分であって、
前記表面側シート基材の前記露出部分に相当する部分、
と前記第二接着剤により貼り合わされた不用部分、
を除去するステップと、
を有することを特徴とする吸収性物品の製造方法。
かかる吸収性物品の製造方法によれば、吸収性物品を簡易に製造することができる。
===吸収性物品1の構成について===
この吸収性物品1は、例えば生理用ナプキンである。以下では、人体に接触する側を表面側とし、下着に接触する側を裏面側とし、装着時に人体の前側に位置する端部を前端部とし、後側に位置する端部を後端部として、吸収性物品1の構成について、図1乃至図6を用いて説明する。図1は、吸収性物品1の表面側の平面概略図であり、図2は、吸収性物品1の裏面側の平面概略図である。図3及び図4については、後述する。図5は、サイドシート40と表面シート14とが貼り合わされている部分を示した概略図である。図6は、吸収性物品1においてラウンドシールが施される部位を示した概略図である。
図1及び図2に示すように、吸収性物品1は、吸収性物品本体3と、該吸収性物品本体3から該吸収性物品本体3の幅方向外側へ延出したウイング部5と、を備えている。
吸収性物品本体3は、その平面形状が長手方向に長尺な略長方形である部分である。そして、図1に示すように、吸収性物品本体3の幅方向における中心線CL上であって、前記長手方向における中央より前側には、膣口対面想定位置Zが位置している。そして、前記長手方向において膣口対面想定位置Zを中心とする所定範囲からは、前記幅方向外側へ延出しており、当該延出した部分がウイング部5となっている。なお、吸収性物品本体3の長手方向は、装着状態において人体の前後方向と一致する。また、前記長手方向におけるウイング部5の中心位置と、膣口対面想定位置Zとは一致している。
吸収性物品1には、図1及び図2に示すように、ウイング部5として、吸収性物品本体3の幅方向一端部から幅方向外側へ延出した第一ウイング部6と、吸収性物品本体3の幅方向他端部から幅方向外側へ延出した第二ウイング部8とが設けられている。第一ウイング部6と第二ウイング部8は、同一の形状を備えており、双方は、中心線CLを中心に線対称となっている。
ウイング部5の前記幅方向における長さ(すなわち、幅)については、ウイング部5の前記長手方向における端部50における幅の方が、前記長手方向における中央部58の幅よりも短くなっている。端部50における当該幅は、中央部58から離れるほど、短くなっており、また、中央部58における当該幅は、前記膣口対面想定位置Zに対応する中央部58上の位置付近で、略同一の長さとなっている。また、ウイング部5の前記長手方向における長さは、前記吸収性物品本体3から離れるほど、短くなっている。
また、吸収性物品1は、その構成部材として、吸収体12と、表面側シート13と、裏面側シート30と、を備えており、表面側シート13と裏面側シート30とが吸収体12を挟んで重なり合うことにより、吸収性物品1が形成されている。
吸収体12は、経血等の液体を吸収する。この吸収体12は、高吸収性ポリマーが混入された粉砕パルプ積層体と、この粉砕パルプ積層体を包むティッシュペーパー等の液透過性シートと、とを有しており、その外観形状は略矩形平板状である。吸収体12は、図1に示すように、前述した吸収性物品本体3の中央に位置しており、本実施の形態においては、前記長手方向及び前記幅方向のいずれにおいても、吸収性物品本体3の最外側端(最も外側に位置する端、すなわち、外縁)まで至っていない(このことは、吸収体12が、前記ウイング部5まで至っていないことをも意味する)。なお、吸収体12の、前記幅方向における最外側端を、図1において、符号12aで示している。
表面側シート13は、表面側(人体に接触する側)に設けられたシートであり、本実施の形態においては、表面側シート13として、表面シート14とサイドシート40とが備えられている。
表面シート14は、前記吸収体12の表面を全域に亘って覆っており、かつ、液透過性を有するシート状の部材であり、表面シート14の表側から侵入した経血等の液体を吸収体12へ適切に導く。その素材は、適宜な不織布等であり、例えば、ポリエステルやポリエチレン等の合成樹脂繊維で形成されたエアースルー不織布や同スパンレース不織布等が親水化処理等されて使用される。表面シート14は、前記吸収性物品本体3の中央に位置しており、本実施の形態においては、前記長手方向において吸収性物品本体3の最外側端まで至っている一方で、前記幅方向においては吸収性物品本体3の最外側端まで至っていない(このことは、表面シート14が、前記ウイング部5まで至っていないことをも意味する)。なお、表面シート14の、前記幅方向における最外側端を、図1において、符号14aで示している。
サイドシート40は、経血等の液体の幅方向外側への漏れ(にじみ)を防止するための疎水性を有するシート状の部材である。このサイドシート40は、図1に示すように、幅方向において、前記表面シート14の外側に設けられており、また、サイドシート40の前記幅方向における内側端部40aが、前記表面シート14の前記幅方向における外側端部14bと重なり合っている(重なり部分は、前記長手方向に沿っており、当該重なり部分において、サイドシート40の方が、表面シート14よりも表側に位置している)。そして、当該重なり部分において、サイドシート40と表面シート14は、ホットメルト接着剤やエンボス加工などにより、貼り合わされている(接合されている)が、重なり部分の、前記長手方向における中央、かつ、前記幅方向のおける内側に位置する部分については、貼り合わせが施されていない(図5において、重なり部分のうち、貼り合わされている部分のみを、斜線部で表している)。すなわち、重なり部分の前記長手方向における中央にて、サイドシート40の前記幅方向における最内側端40bは、自由端となっており、そのため、該中央において、サイドシート40の非貼り合わせ部40cが起立し、当該非貼り合わせ部40cが、前記幅方向において外側へ移動しようとする経血等の液体をブロックする防漏壁として作用することとなる。このことにより、経血等の液体の幅方向外側への漏れ(にじみ)が適切に防止されるようになっている。
なお、サイドシート40の素材としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂繊維で形成されたスパンボンド不織布等が使用される。
また、サイドシート40は、前記吸収性物品本体3と前記ウイング部5とに跨って位置しており、本実施の形態においては、前記長手方向において吸収性物品本体3又はウイング部5の最外側端まで至っており、かつ、前記幅方向においては吸収性物品本体3を越えてウイング部5の最外側端まで至っている。
また、吸収性物品1には、図1に示すように、サイドシート40として、前記表面シート14の前記幅方向における外側一端部と重なり合った第一サイドシート42と、前記表面シート14の前記幅方向における外側他端部と重なり合った第二サイドシート44とが設けられている。第一サイドシート42と第二サイドシート44は、同一の形状を備えており、双方は、中心線CLを中心に線対称となっている。
裏面側シート30は、裏面側(下着に接触する側)に設けられた、液不透過性を有するシート状の部材である。この裏面側シート30は、前記吸収体12の裏面を全域に亘って覆っており、吸収体12に吸収された経血等の液体の裏面側への漏れを防止する。裏面側シート30の素材は、ポリエチレンやポリプロピレン等である。
裏面側シート30は、前記吸収性物品本体3と前記ウイング部5とに跨って位置しており、本実施の形態において、前記幅方向において吸収性物品本体3の最外側端まで至っている。しかしながら、裏面側シート30は、前記幅方向においてウイング部5の前記中央部58の最外側端まで至っているものの、前記幅方向においてウイング部5の前記端部50の最外側端までは至っていない。また、裏面側シート30は、前記長手方向において吸収性物品本体3の最外側端まで至っている一方で、前記長手方向においてウイング部5の最外側端までは至っていない。
また、図2に示すように、裏面側シート30の裏面には、吸収性物品1を下着に装着した後にその装着位置から吸収性物品1がずれないように下着に吸収性物品1を固定するためのずれ止め用付着部31が設けられている。このずれ止め用付着部31は、裏面側シート30の裏面における所定範囲に塗られたホットメルト接着剤である。本実施の形態においては、ずれ止め用付着部31として、第一ずれ止め用付着部31a、第二ずれ止め用付着部31b、第三ずれ止め用付着部31c、及び、第四ずれ止め用付着部31dが設けられている。第一ずれ止め用付着部31a及び第二ずれ止め用付着部31bは、吸収性物品本体3に備えられており、幅方向の左右に、互いに幅方向に所定間隔を隔てつつ、吸収性物品1の前端部から後端部に亘って前記吸収体12の位置に略対応する位置に連続して形成されている。一方、第三ずれ止め用付着部31c及び第四ずれ止め用付着部31dは、ウイング部5に(第一ウイング部6及び第二ウイング部8にそれぞれ)備えられており、各々の付着部の長手方向が吸収性物品本体3の長手方向に沿うように連続して形成されている。
そして、ウイング部5と吸収性物品本体3との境界が折り目となるように当該ウイング部5が折り返されて、下着に吸収性物品1が装着されると、第一ずれ止め用付着部31a及び第二ずれ止め用付着部31bは、下着の内面に、第三ずれ止め用付着部31c及び第四ずれ止め用付着部31dは、下着の外面に、それぞれ付着することとなる。
なお、製品出荷時の吸収性物品1には、前記裏面側シート30の裏側(ずれ止め用付着部31)を覆うように、不図示の保護シートが取り付けられている。当該保護シートは、前記ずれ止め用付着部31(の付着力)を、吸収性物品1が使用されるときまで保護する役割を果たす。そして、吸収性物品1が使用される際には、保護シートが剥がされて、ずれ止め用付着部31が露出した状態で、吸収性物品1が下着に装着される。
次に、上述した吸収体12、表面側シート13、及び、裏面側シート30の、相互の位置関係について、図1、図3、及び、図4を参照しつつ、さらに詳しく説明する。
先ず、吸収体12と、表面側シート13及び裏面側シート30と、の位置関係は、以下のようになっている。すなわち、前述したとおり、吸収体12は、吸収性物品本体3の中央に位置しており、前記長手方向及び前記幅方向のいずれにおいても、吸収性物品本体3の最外側端(最も外側に位置する端、すなわち、外縁)まで至っていない。その一方で、表面側シート13及び裏面側シート30は、双方とも、前記長手方向及び前記幅方向のいずれにおいても、吸収性物品本体3の最外側端まで至っている(表面側シート13については、表面シート14は、前記幅方向において吸収性物品本体3の最外側端まで至っていないが、これに接合されたサイドシート40が、吸収性物品本体3の最外側端まで至っているため、表面側シート13としては、吸収性物品本体3の最外側端まで至っている)。したがって、吸収体12の外縁は、全周において表面側シート13及び裏面側シート30の外縁よりも内側に位置しており、吸収体12は、互いに重なり合う表面側シート13及び裏面側シート30に挟まれて、該表面側シート13及び裏面側シート30により全域に亘って覆われていることとなる。
また、表面側シート13と裏面側シート30との位置関係について考察すると、表面側シート13及び裏面側シート30の双方とも、前記長手方向及び前記幅方向のいずれにおいても、吸収性物品本体3の最外側端まで至っている。しかしながら、ウイング部5については、表面側シート13は、前記長手方向及び前記幅方向のいずれにおいても、ウイング部5の最外側端まで至っている一方で、裏面側シート30は、前記幅方向においてウイング部5の前記中央部58の最外側端まで至っているものの、前記幅方向においてウイング部5の前記端部50の最外側端までは至っておらず、また、裏面側シート30は、前記長手方向においてウイング部5の最外側端までは至っていない。
つまり、吸収性物品1には、表面側シート13と裏面側シート30とが重なった重なり部分70と、表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなる部分(以下、この部分を、便宜上、非重なり部分76と呼ぶ)と、が存在しており、当該非重なり部分76は、ウイング部5に位置している。より具体的には、当該非重なり部分76は、ウイング部5の、前記吸収性物品本体3の長手方向における端部50(本実施の形態においては、前記長手方向における一端部52と他端部54)に位置している。
そして、本実施の形態に係る吸収性物品1において、非重なり部分76は、前記端部50以外に存在しない。したがって、裏面側シート30の外縁のうちの、前記重なり部分70と前記非重なり部分76との境界に位置する境界外縁30a以外の外縁は、表面側シート13の外縁、つまり、吸収性物品1の外縁と一致することとなる。
ここで、図3及び図4に着目する。図3及び図4は、それぞれ、図1中のA−A断面概略図及びB−B断面概略図である。
図3には、左側から順に、前記一端部52に位置する(一端部52のうちの)第一ウイング部6の根元部50a(以下、一端根元部52aとも呼ぶ)、吸収性物品本体3、前記一端部52に位置する(一端部52のうちの)第二ウイング部8の一端根元部52aが、表されている。そして、図3から明らかなように、当該二つの根元部50a(一端根元部52a)は、非重なり部分76となっており、当該吸収性物品本体3は、重なり部分70となっている。したがって、前記一端部52からは、非重なり部分76、重なり部分70が、この順に、吸収性物品本体3まで幅方向に沿って連続して設けられていることとなる。
一方で、図4には、左側から順に、第一ウイング部6の前記中央部58、吸収性物品本体3、第二ウイング部8の前記中央部58が、表されている。そして、図3から明らかなように、当該中央部58及び吸収性物品本体3は、いずれも重なり部分70となっている。したがって、当該中央部58からは、重なり部分70が、吸収性物品本体3まで幅方向に沿って連続して設けられていることとなる(換言すれば、重なり部分70が、中央部58から吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続する連続部分、を含んでいる)。また、本実施の形態においては、B−B断面において、表面側シート13の最外側端(外縁)は、裏面側シート30の最外側端(外縁)と一致している。したがって、重なり部分70は、第一ウイング部6の前記中央部58の最外側端(図4における左端)から第二ウイング部8の前記中央部58の最外側端(図4における右端)まで前記幅方向に沿って連続して設けられていることとなる。
なお、前述したとおり、吸収性物品本体3の中央においては、吸収体12が、表面側シート13と裏面側シート30とにより挟まれている。また、表面側シート13は、表面シート14とサイドシート40からなり、双方は、一部重なり合っている。このことを踏まえて、A−A断面及びB−B断面における部材の重なり具合についてより詳細に考察すると、A−A断面においては、外側から内側へ向かって、サイドシート40のみからなる部分(一重部分)、サイドシート40及び裏面側シート30からなる部分(二重部分)、サイドシート40、表面シート14、及び、裏面側シート30からなる部分(三重部分)、サイドシート40、表面シート14、吸収体12、及び、裏面側シート30からなる部分(四重部分)、表面シート14、吸収体12、及び、裏面側シート30からなる部分(三重部分)が、この順に、前記幅方向に沿って連続して設けられている。
一方、B−B断面においては、外側から内側へ向かって、サイドシート40及び裏面側シート30からなる部分(二重部分)、サイドシート40、表面シート14、及び、裏面側シート30からなる部分(三重部分)、サイドシート40、表面シート14、吸収体12、及び、裏面側シート30からなる部分(四重部分)、表面シート14、吸収体12、及び、裏面側シート30からなる部分(三重部分)が、この順に、前記幅方向に沿って連続して設けられている。
なお、上記において、ウイング部5の前記一端部52(のうちの根元部50a、つまり、一端根元部52a)からは、非重なり部分76、重なり部分70が、この順に、吸収性物品本体3まで幅方向に沿って連続して設けられていることについて説明したが、ウイング部5の前記他端部54(のうちの根元部50a、つまり、他端根元部54a)からも、非重なり部分76、重なり部分70が、この順に、吸収性物品本体3まで幅方向に沿って連続して設けられている(断面図の図示は省略している)。
そして、このような位置関係になるように配置された吸収体12、表面側シート13、及び、裏面側シート30は、ホットメルト接着剤により適切に接合されている。すなわち、吸収体12と表面側シート13との間、吸収体12と裏面側シート30との間、及び、表面側シート13と裏面側シート30との間、には、ホットメルト接着剤が介在し、双方の部材が、それぞれ、互いに当該ホットメルト接着剤により貼り合わされている。なお、表面側シート13の人体に接触する側の面とは反対側の面と、裏面側シート30の下着に接触する側の面とは反対側の面が、それぞれ、表面側シート13の貼り合わせ面及び裏面側シート30の貼り合わせ面となる。そして、前述したとおり、ウイング部5には、表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなる部分が存在するため、表面側シート13の貼り合わせ面には、裏面側シート30と貼り合わされることなく露出した露出部分(前述したウイング部5の端部50の裏面側の部分)が設けられることとなる。また、吸収性物品1を下着に固定するための前述したホットメルト接着剤は、裏面側シート30の貼り合わせ面とは反対側の面に塗られていることとなる。
なお、本実施の形態においては、吸収性物品1を下着に固定するための当該ホットメルト接着剤(以下、便宜上、第一接着剤とも呼ぶ)と、吸収体12と表面側シート13との間、吸収体12と裏面側シート30との間、及び、表面側シート13と裏面側シート30との間、に介在する前記ホットメルト接着剤(以下、便宜上、第二接着剤とも呼ぶ)と、は相互に異なる接着剤となっている。すなわち、第二接着剤は、低タックタイプのホットメルト接着剤である一方で、第一接着剤は、そうではなく、したがって、第二接着剤のタック力は、第一接着剤のタック力よりも小さくなっている。なお、本明細書において、低タックタイプのホットメルト接着剤とは、低タックであること(又は、タック力が低いこと)又はノータックであること(又は、タック力がないこと)を、パッケージ、説明書、容器、宣伝等において、掲げている(謳っている)ホットメルト接着剤のことをいう。
さらに、図6に示すように、表面側シート13と裏面側シート30との間には、裏面側シート30の外縁よりも若干内側の位置に、該外縁に沿って該外縁全周に亘って、熱溶着によるラウンドシールが施されており、当該ラウンドシールによっても、双方の部材が、適切に貼り合わされている。このラウンドシールを施すためのラウンドシール加工については、後に詳述する。
===本実施の形態に係る吸収性物品1の有効性について===
ここでは、本実施の形態に係る吸収性物品1の有効性について、図7を用いて説明する。図7は、吸収性物品1が下着90等から引き剥がされるときの様子を示した概略図である。
背景技術の項等で説明したとおり、吸収性物品本体3とウイング部5とを有する吸収性物品1は、ウイング部5と吸収性物品本体3との境界が折り目となるように当該ウイング部5が折り返されて、下着90等に吸収性物品1が装着された状態で、使用される。そして、ユーザが、ウイング部5が折り返されて下着90等に装着された吸収性物品1を取り外す際には、図7に示すように、吸収性物品1の、ユーザの前側に位置する前端、を摘んで、該吸収性物品1を下着90等から引き剥がす場合がある。
このような場合に、前記幅方向においてウイング部5から吸収性物品本体3へ至る部分(当該部分を、図7において、符号80で示す)、の剛性が弱いと、引き剥がしの際に、当該部分80が伸びて、ユーザが吸収性物品の取り外しを適切に(容易に)行えなくなる問題が発生し得る。また、ユーザがやっと吸収性物品を取り外せたとしても、部分80の伸びが戻るときに生ずる反発力に起因して、経血等の液体が飛び散ってしまう問題が発生する。
しかしながら、この問題を解消するために、前記幅方向においてウイング部5から吸収性物品本体3へ至る部分80、の剛性を高めると、ウイング部5のユーザの肌に触れている部分が、ユーザに不快な感触を与えることとなる。
これに対し、本実施の形態に係る吸収性物品1においては、ウイング部5の、吸収性物品本体3の長手方向における端部50、に位置するウイング部5の根元部50aが、表面側シート13及び該裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなる部分である一方で、表面側シート13と裏面側シート30とが重なった重なり部分70が、ウイング部5の、前記長手方向における中央部58から、吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている。
つまり、本実施の形態に係る吸収性物品1においては、重なり部分70は、前記非重なり部分76である根元部50aの剛性よりも高い剛性を有する高剛性部であり、当該高剛性部が、前記中央部58から吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられていることとなる。このことにより、前述した伸びの発生が抑えられ、引き剥がしの際に、ユーザが吸収性物品の取り外しを適切に(容易に)行えなくなる問題や経血等の液体が飛び散ってしまう問題を抑制することが可能となる。また、本実施の形態に係る吸収性物品1においては、ユーザの肌に触れることにより当該肌に影響を与えやすいウイング部5の端部50に位置する根元部50a、が低剛性部(非重なり部分76)となっているため、ウイング部5のユーザの肌に触れている部分が、ユーザに不快な感触を与える問題が適切に抑制されることとなる。
このように、本実施の形態に係る吸収性物品1においては、ウイング部5の、吸収性物品本体3の長手方向における端部50、に位置するウイング部5の根元部50a、の剛性よりも高い剛性を有する高剛性部が、ウイング部5の、前記長手方向における中央部58から、吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられており、このことにより、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない吸収性物品1が実現されることとなる。
===吸収性物品1の製造方法について===
次に、上述した吸収性物品1の製造方法について説明する。以下では、先ず、当該製造方法の概要について説明し、これに引き続いて、メイン製造ステップの詳細について説明する。
<<<吸収性物品1の製造方法の概要>>>
図8は、吸収性物品1の製造方法の概要を示すフローチャートである。図8に示すように、本実施の形態に係る吸収性物品1の製造方法は、吸収体製造ステップ(ステップS100)と、メイン製造ステップ(ステップS200)と、包装ステップ(ステップS300)と、を備えている。
吸収体製造ステップ(ステップS100)は、吸収体12を製造するためのステップである。すなわち、本ステップにおいては、粉砕パルプ積層体に高吸収性ポリマーが混入された後に、高吸収性ポリマーを含んだ粉砕パルプ積層体が、ティッシュペーパー等の液透過性シートにより包まれる。そして、液透過性シートにより包まれた粉砕パルプ積層体等が、略矩形平板形状になるようにカッターにより切断されて、最終的に、図1に示した吸収体12が製造されることとなる。
メイン製造ステップ(ステップS200)は、本製造方法の主工程であり、ステップS100により製造された吸収体12と、表面側シート13(表面シート14及びサイドシート40)と、裏面側シート30から、図1に示した吸収性物品1を製造するステップである。メイン製造ステップについては、後に詳述する。
包装ステップ(ステップS300)は、メイン製造ステップにより製造された吸収性物品1を、製品出荷時の(包装用の)形態とするステップである。本ステップにおいては、先ず、吸収性物品1の裏面に、前記第一接着剤(ホットメルト接着剤)を塗ることにより、前述した4つのずれ止め用付着部31を設ける。そして、当該ずれ止め用付着部31を覆うように、前記保護シートが吸収性物品1の裏面に取り付けられる。さらに、保護シールが取り付けられた吸収性物品1が三つ折りに折り曲げられて、当該吸収性物品1が製品出荷時の形態となる。
そして、以上において説明した、吸収体製造ステップ(ステップS100)、メイン製造ステップ(ステップS200)、包装ステップ(ステップS300)が、この順に実行されることにより、吸収性物品1の製造が完了することとなる。
<<<メイン製造ステップ>>>
次に、前述したメイン製造ステップの詳細について、図9を用いて説明する。図9は、メイン製造ステップを説明するための概念図(イメージ図)である。なお、図9には、メイン製造ステップに属する5つの工程(ステップ)が表されており、この5つの工程の各々には、記号1A〜1Eを付している。以下では、これらの工程の各々毎に、その詳細について説明する。
<工程1A:裏面側シート基材のカット及び不用部分除去ステップ>
当該工程においては、裏面側シート基材130がカットされ、該裏面側シート基材130の不用部分が除去される。本工程の直後に、当該裏面側シート基材130と表面側シート基材113との貼り合わせステップ(工程1C、後に詳述する)が実行されるが、この工程1Aは、工程1Cの準備段階と位置付けられる。なお、表面側シート基材113とは、表面側シート13の基となる材であり、当該表面側シート基材113が製品形状にカットされると、表面側シート13となる。また、同様に、裏面側シート基材130とは、裏面側シート30の基となる材であり、当該裏面側シート基材130が製品形状にカットされると、裏面側シート30となる。
図9には、互いに対向し回転可能な一対のローラ(上側ローラ及び下側ローラ)からなる第一シートカッター202が示されており、当該第一シートカッター202が、裏面側シート基材130をカットし、かつ、不用部分を除去する役割を果たす。すなわち、例えば、上側ローラには、裏面側シート基材130をカットする(本実施の形態においては、穴を開ける)ための刃(凸部202a)が、下側ローラには、裏面側シート基材130に穴が開けられることにより生ずる前記不用部分、を回収するための回収部(穴部202b)が、それぞれ設けられている。なお、下側ローラの内部には、当該不用部分を吸引するための吸引機構(不図示)が備えられており、当該吸引機構の作用により、穴部202bを介した前記不用部分の回収が円滑に行われることとなる。
そして、裏面側シート基材130の、裏面側シート30の前記貼り合わせ面に相当する面(以下、相当面130aとする)、が上を向いた状態で、裏面側シート基材130が、搬送され、回転する上側ローラ及び下側ローラの間を通過し続けるが、回転する上側ローラの凸部202aが、裏面側シート基材130を挟んで、回転する下側ローラの前記穴部202bに対向する状態となった際に、凸部206aにより裏面側シート基材130がカットされ(に穴が開けられ)、穴部202bにより前記不用部分が回収されることとなる。
図10Aは、カット及び不用部分除去が実行される前と実行された後の裏面側シート基材130の様子を示した模式図である。上図に、実行前の裏面側シート基材130の様子が、下図に、実行後の裏面側シート基材130の様子が、それぞれ表されている。
図10Aから明らかなように、本工程においては、裏面側シート基材130の4箇所において穴130c(当該穴130cを、図10Aの下図において、実線で示す)が開けられ(すなわち、4つの穴130cが開けられる)、4つの穴130cの形状及び大きさは、互いに略同一となっている。
また、図10Aには、裏面側シート基材130の、裏面側シート30の外縁に相当する部分(以下、外縁相当部130bとする)、を二点鎖線で示しているが、図10Aの上図と下図を比較することにより理解できるように、当該二点鎖線の一部が、穴130cの外周(すなわち、カットされる部分)の一部と一致している。つまり、本工程においては、裏面側シート基材130の外縁相当部130bの一部が、カットされることとなる。
さらに、本工程でカットされる当該外縁相当部130bの一部は、裏面側シート基材130の、前述した境界外縁30aに相当する部分(以下、境界外縁相当部130dとする)となっている。つまり、本工程においては、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dがカットされることとなる。なお、本実施の形態においては、外縁相当部130bのうちの、本工程でカットされる部分は、境界外縁相当部130dのみであり、外縁相当部130bのうちの、境界外縁相当部130d以外の部分は、後述する工程1E(最終的なカット及び不用部分除去ステップ)で、表面側シート基材113と共に、カットされることとなる。
以上のとおり、裏面側シート基材130と表面側シート基材113の貼り合わせステップ(工程1C)が実行される前に、外縁相当部130bのうちの境界外縁相当部130dのみが前記上側ローラによりカットされることとなる。そして、当該カットが実行されつつ、カットが行われることにより生じる不用部分が前記下側ローラによって除去される。
<工程1B:第二接着剤塗布ステップ>
当該工程においては、前述した第二接着剤、すなわち、低タックタイプのホットメルト接着剤、が、吸収体12が貼り付けられた表面側シート基材113(以下、単に、表面側シート基材113と呼ぶ)、に塗布される。本工程の直後に、当該表面側シート基材113と裏面側シート基材130の貼り合わせステップ(工程1C)が実行されるが、この工程1Bは、前述した工程1Aと同様、工程1Cの準備段階と位置付けられる。
図9には、第二接着剤を塗布するための塗布機204が示されており、当該塗布機204が、第二接着剤を表面側シート基材113に塗布する役割を果たす。すなわち、表面側シート基材113の、表面側シート13の前記貼り合わせ面に相当する面(以下、相当面113aとする)、が上を向いた状態で、表面側シート基材113が搬送されると、やがて、表面側シート基材113は、当該相当面113aが塗布機204に対向する対向位置に至る。そして、かかる際に、塗布機204から第二接着剤が吐出され、吐出された第二接着剤が、表面側シート基材113の相当面113aに付着することとなる。
図10Bは、第二接着剤が塗布される前と塗布された後の表面側シート基材113の様子を示した模式図である。上図に、塗布前の表面側シート基材113の様子が、下図に、塗布後の表面側シート基材113の様子が、それぞれ表されている(下図において、斜線が施された部分が、接着剤が塗られた部分である)。
なお、表面側シート基材113は、裏面側シート基材130と貼り合わされた(工程1C)後に、後述する工程1Eで、製品形状にカットされ、かつ、不用部分が除去されるが、図10Bには、工程1Eで将来的にカットされる部分(すなわち、表面側シート基材113の、表面側シート13の外縁に相当する部分(以下、外縁相当部113bとする))を、二点鎖線で示している。また、前述したとおり、表面側シート13の貼り合わせ面には、裏面側シート30と貼り合わされることなく露出した露出部分が設けられることとなるが、表面側シート基材113の、当該露出部分に相当する部分(露出部分相当部)、を、図10Aにおいて符号113cで示している。
そして、図10Bの下図から明らかなように、第二接着剤は、表面側シート基材113の相当面113aの略全面に塗られることとなる。すなわち、本工程においては、当該相当面113aに、前記露出部分相当部113cや外縁相当部113bの外側に位置する部分も含めて、第二接着剤を塗布することとなる。
なお、詳細説明は省略するが、本工程の実行前に、表面側シート基材113に、吸収体12が貼り付けられるようになっている。また、その前に、表面側シート基材113が、表面シート14の基材とサイドシート40の基材とが接合されることにより形成されるようになっている。
<工程1C:表面側シート基材と裏面側シート基材との貼り合わせステップ>
当該工程においては、第二接着剤が塗られた表面側シート基材113と、裏面側シート基材130と、を重ねて貼り合わせる。
図9には、表面側シート基材113と裏面側シート基材130とが合流する合流部208が示されており、当該合流部208において、双方の基材が重ねられ貼り合わされる。すなわち、前記相当面113aに第二接着剤が塗られた表面側シート基材113が、搬送されると、やがて、合流部208に至る。一方、裏面側シート基材130は、斜め下方へ合流部208に向けて搬送されて、当該合流部208にて、表面側シート基材113と合流する。
そして、当該合流部208においては、表面側シート基材113の前記貼り合わせ面に相当する前記相当面113aが上を向き、裏面側シート基材130の前記貼り合わせ面に相当する前記相当面130aが下を向いた状態で、双方の基材が合流することとなる。したがって、相当面113aと相当面130aが向い合うようにして、双方の基材が、合流部208において、重なり合うこととなる。そして、相当面113aには第二接着剤が塗布されているため、双方の基材は、第二接着剤により、適切に貼り合わされることとなる。
図10Cは、貼り合わせ前と貼り合わせ後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子を示した模式図である。左上図に、貼り合わせ前の裏面側シート基材130の様子が、右上図に、貼り合わせ前の表面側シート基材113の様子が、下図に、貼り合わせ後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、それぞれ表されている。なお、図10Cにおいては、図を分かり易くするために、便宜上、吸収体12の記載を省略している(以下で説明する図10D及び図10Eについても同様)。
また、図10Aと同様、図10Cの左上図及び下図には、裏面側シート基材130の外縁相当部130bを、二点鎖線で示している。また、図10Bと同様、図10Cの右上図及び下図には、表面側シート基材113の外縁相当部113bを、二点鎖線で示している。また、図10Bと同様、図10Cの右上図及び下図には、表面側シート基材113の露出部分相当部を符号113cで示している。
図10Cの下図に示されるように、裏面側シート基材130には、4つの穴130cが開いているため、貼り合わせが行われた後の表面側シート基材113には、裏面側シート基材130と貼り合わされることなく露出した部位(図10Cの下図において、実線で囲まれた部位)が4箇所存在することになる。そして、当該部位の一部は、前述した露出部分相当部113cとなっている。つまり、当該部位の一部は、将来的に(工程1Eが実行された後に)、表面側シート13の貼り合わせ面に設けられ、裏面側シート30と貼り合わされることなく露出した露出部分(ウイング部5の端部50(根元部50a)に位置する部分)となる。
なお、前記工程1Bにおいては、当該部位にも、第二接着剤が塗布される。そのため、当該部位は、表面側シート基材113の前記相当面113a上において第二接着剤が剥き出しになった状態となる。そして、当該部位の一部は、将来的に(工程1Eが実行された後に)、前記露出部分となり、当該露出部分は、第二接着剤が剥き出しになった状態となる。
以上のように、本工程では、第二接着剤が塗られた表面側シート基材113と、裏面側シート基材130と、を前記露出部分相当部113cが露出するように重ねて貼り合わせることとなる。
ところで、図10Aに示したように、前述した工程1Aにおいては、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dをカットする一方で、裏面側シート基材130の部分であって、裏面側シート30の外縁のうちの前記中央部58の最外側端に位置する最外側端外縁に相当する部分(以下、最外側端外縁相当部130eとする)、の少なくとも一部(本実施の形態においては全部)をカットしないようにしている。そして、このことは、本工程(工程1C)において、以下に述べるメリットをもたらすこととなる。
例えば、仮に、工程1Aにおいて、境界外縁相当部130dだけでなく最外側端外縁相当部130eもカットした場合には、裏面側シート基材130が、斜め下方へ合流部208に向けて搬送されて当該合流部208にて表面側シート基材113と合流する際に、裏面側シート基材130のウイング部5に相当する部分が下方へ垂れ下がった(おじぎした)状態で表面側シート基材113と合流してしまう可能性がある。そして、このような状況においては、表面側シート基材113と裏面側シート基材130の貼り合わせが適切に行われない恐れがある。
そのため、本実施の形態の工程1Aにおいては、このような事態の発生を防止する目的で、最外側端外縁相当部130eの少なくとも一部をカットしないようにしている。
<工程1D:ラウンドシール加工実施ステップ>
当該工程においては、第二接着剤により貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130に対するラウンドシール加工、を実施する。
前述したとおり、工程1Cにおいては、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130が接着剤により貼り合わされる。しかしながら、接着剤として、第一接着剤よりタック力の小さいタック力を有する第二接着剤(低タックタイプのホットメルト接着剤)を用いているため、工程1Bにおいて、第二接着剤が表面側シート基材113に塗布されてから、工程1Cにおいて、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130が貼り合わされるまでの間に、第二接着剤のタック力が顕著に失われていることとなる(全く無くなっているわけではない)。そのため、表面側シート基材113と裏面側シート基材130との貼り合わせが不十分となる懸念があり、当該貼り合わせをより強固なものとするために、本工程で、ラウンドシール加工が実施される。
図9には、互いに対向し回転可能な一対のローラ(上側ローラ及び下側ローラ)であって、少なくともどちらか一方のローラ(本実施の形態においては、下側ローラ)に凸部(不図示)が備えられているローラ、からなるラウンドシール加工装置210が示されており、当該ラウンドシール加工装置210が、第二接着剤により貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130に、熱溶着によるラウンドシールを施す。
すなわち、第二接着剤により貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130は、搬送され、回転する上側ローラ及び下側ローラの間を通過し続けるが、回転する下側ローラの前記凸部が、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130を挟んで、回転する上側ローラに対向する状態となった際に、下側ローラの凸部及び上側ローラにより表面側シート基材113及び裏面側シート基材130が加熱圧着される。そして、このことにより、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130に、ラウンドシールが施されることとなる。
図10Dは、ラウンドシール加工前とラウンドシール加工後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子を示した模式図である。上図に、ラウンドシール加工前の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、下図に、ラウンドシール加工後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、それぞれ表されている(下図において、ラウンドシールが施される位置を、太線で示している)。なお、図10Cと同様、図10Dには、表面側シート基材113の外縁相当部113bと裏面側シート基材130の外縁相当部130bを、二点鎖線で示している。また、表面側シート基材113の露出部分相当部を符号113cで、裏面側シート基材130の境界外縁相当部を符号130dで、それぞれ示している。
図10Dの下図に示されるように、ラウンドシールは、裏面側シート基材130の外縁相当部130bよりも若干内側の位置に、該外縁相当部130bに沿って該外縁相当部130b全周に亘って、施される。なお、当該内側の位置であって表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の間には、第二接着剤が介在しているが、ラウンドシール加工による加熱圧着処理により当該第二接着剤が溶けることとなる。したがって、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130のラウンドシールが施された部分は、加熱圧着と溶けた接着剤による作用とによって、より強固に接合されることとなる。
<工程1E:最終的なカット及び不用部分除去ステップ>
当該工程においては、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130を、最終的に、製品形状にカットし、カットすることにより生ずる不用部分を除去する。この工程1Eが終了すると、図1に示した吸収性物品1が得られることとなる。
図9には、互いに対向し回転可能な一対のローラ(上側ローラ及び下側ローラ)からなる第二シートカッター212が示されており、当該第二シートカッター212が、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130を製品形状にカットする役割を果たす。例えば、上側ローラには、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130をカットする(より具体的には、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130から、貼り合わされた表面側シート13及び裏面側シート30、すなわち、吸収性物品1、を刳り貫く)ための刃(不図示)が設けられている。
そして、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130は、搬送され、回転する上側ローラ及び下側ローラの間を通過し続けるが、回転する上側ローラの前記刃が、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130を挟んで、回転する下側ローラに対向する状態となった際に、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130が前記刃によりカットされる。つまり、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130から、貼り合わされた表面側シート13及び裏面側シート30、すなわち、吸収性物品1、が前記刃により刳り貫かれることとなる。そして、刳り貫かれた吸収性物品1は、図9中第二シートカッター212の左方に位置するコンベア214に載せられ、該コンベア214により搬送される。その一方で、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の不用部分(図9において、符号140で示す)は、斜め上方へ搬送され、除去される。
図10Eは、最終カット前と最終カット後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130(表面側シート13及び裏面側シート30)の様子を示した模式図である。上図に、最終カット前の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、左下図に、最終カット後に得られる吸収性物品1(表面側シート13及び裏面側シート30)の様子が、右下図に、最終カット後に生ずる不用部分140の様子が、それぞれ表されている。
なお、図10Dと同様、図10Eの上図には、表面側シート基材113の外縁相当部113bと裏面側シート基材130の外縁相当部130bを、二点鎖線で示している。また、図10Eの上図には、表面側シート基材113の露出部分相当部を符号113cで、裏面側シート基材130の境界外縁相当部を符号130dで、それぞれ示している。
図10Eに示されるように、本工程においては、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の前記外縁相当部113bが、当該外縁相当部113bの全周に亘ってカットされる。前述したとおり、裏面側シート30の外縁のうちの境界外縁30a以外の外縁は、表面側シート13の外縁、つまり、吸収性物品1の外縁と一致しており、また、裏面側シート基材130の、当該境界外縁30aに相当する境界外縁相当部130dは、工程1Aで、既にカットされている。したがって、本工程で、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の前記外縁相当部113bがカットされれば、前記境界外縁相当部130d以外の外縁相当部130bもカットされ、吸収性物品1が得られることとなる。
<<<本実施の形態に係る吸収性物品1の製造方法の有効性について>>>
上述したとおり、本実施の形態に係る吸収性物品1の製造方法は、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dをカットするステップと、カットされた裏面側シート基材130と、表面側シート基材113と、を重ねて貼り合わせるステップと、貼り合わされた裏面側シート基材130及び表面側シート基材113の外縁相当部113bをカットするステップと、を有している。そして、このような製造方法によれば、吸収性物品1を適切に製造することが可能となる。
吸収性物品1の中には、表面側シート13と裏面側シート30を重ね合わせることにより形成されているものがあり、このような吸収性物品1は、表面側シート基材113と裏面側シート基材130を準備して、これらを重ねて貼り合わせた後に、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の、吸収性物品1の外縁に相当する部分、をカットする(すなわち、製品形状にカットする)製造方法により製造することができる。
しかしながら、前記吸収性物品1としては、表面側シート13と裏面側シート30とが重なった重なり部分70の他に、該表面側シート13及び該裏面側シート30のうちの表面側シートのみからなる非重なり部分76を備えた吸収性物品1(すなわち、本実施の形態に係る吸収性物品1)、が考えられ、このような吸収性物品1に、当該製造方法を単に適用しただけでは、吸収性物品1を製造することができない。
また、当該製造方法の代替の製造方法として、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の各々を個別に製品形状にカットして、カットされた表面側シート13と裏面側シート30を貼り合わせる方法も考えられるが、当該方法によって吸収性物品1を製造した場合には、カットされた表面側シート13と裏面側シート30を貼り合わせる際に、双方のシートがずれてしまう恐れがある。
これに対し、本実施の形態に係る製造方法によれば、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dが先ずカットされ、カットされた裏面側シート基材130と表面側シート基材113とが重ねて貼り合わされた後、貼り合わされた裏面側シート基材130及び表面側シート基材113の外縁相当部113bがカットされる。そのため、双方のシートがずれるという前述した問題は生じず、吸収性物品1が適切に製造されることとなる。
なお、本製造方法は、表面側シート13と裏面側シート30とが重なった重なり部分と該表面側シート13及び該裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなる部分とを備えた吸収性物品1であれば、どの吸収性物品1にも適用できる。
図13に示す吸収性物品1においては、その前端部及び後端部(それぞれ2箇所、合計4箇所)に、主に腹部(前端部に相当)及び臀部(後端部に相当)の通気性を向上させる目的で、表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなる非重なり部分476が設けられており、その他の箇所は、表面側シート13と裏面側シート30とが重なった重なり部分470となっている。そして、かかる吸収性物品1を製造する際にも、当該製造方法を用いることが可能である。
また、本実施の形態に係る吸収性物品1の製造方法は、表面側シート基材113の相当面113aに、露出部分相当部113cも含めて、第一接着剤のタック力よりも小さいタック力を有する第二接着剤(本実施の形態においては、低タックタイプのホットメルト接着剤であるが、これに限定されるものではない)、を塗るステップと、第二接着剤が塗られた表面側シート基材113と、裏面側シート基材130と、を露出部分相当部113cが露出するように重ねて貼り合わせるステップと、を有している。そして、このような製造方法によれば、吸収性物品1を簡易に製造することが可能となる。
前述した露出部分相当部113cに、第二接着剤ではなく、第一接着剤を塗った場合には、製造された吸収性物品1の露出部分にべとつきが生じてしまう。一方、かかる事態の発生が回避されるよう、露出部分に第一接着剤が塗布されないようにするためには、露出部分には第一接着剤が塗布されない一方で、露出部分に隣接する部分には第一接着剤が塗布されるように、接着剤を塗る必要があり、かかる場合には、厳密な接着剤の塗布制御が要求され、製造方法が複雑化する。
これに対し、本実施の形態に係る製造方法によれば、露出部分相当部113cも含めて第一接着剤のタック力よりも小さいタック力を有する第二接着剤が塗られるから、前記べとつきが抑えられ、かつ、厳密な接着剤の塗布制御が要求されない。すなわち、吸収性物品1が簡易に製造されることとなる。
なお、本製造方法は、互いに貼り合わされた表面側シート13と裏面側シート30を備え、表面側シート13の貼り合わせ面に、前記裏面側シート30と貼り合わされることなく露出した露出部分が設けられている吸収性物品1であれば、どの吸収性物品1にも適用できる。例えば、前述の図13に示した吸収性物品1を製造する際にも、当該製造方法を用いることが可能である。
===吸収性物品1の製造方法の変形例について===
次に、上述した吸収性物品1の製造方法(以下、第一実施形態とも呼ぶ)の変形例(以下、第二実施形態とも呼ぶ)について説明する。製造方法の概要については、第一実施形態において説明したものと同様であるので、以下では、変形例に係るメイン製造ステップの詳細について、説明する。
<<<メイン製造ステップ>>>
図11は、変形例に係るメイン製造ステップを説明するための概念図(イメージ図)である。なお、図11には、メイン製造ステップに属する6つの工程(ステップ)が表されており、この6つの工程の各々には、記号2A〜2Fを付している。以下では、これらの工程の各々毎に、その詳細について説明する。
<工程2A:裏面側シート基材のカットステップ>
当該工程においては、裏面側シート基材130がカットされる。本工程は、第一実施形態の工程1Aに相当するものであるが、不用部分の除去が行われない点で、前記工程1Aとは異なっている。本工程の直後に、当該裏面側シート基材130と表面側シート基材113との貼り合わせステップ(工程2C、後に詳述する)が実行されるが、この工程2Aは、工程2Cの準備段階と位置付けられる。
図11には、互いに対向し回転可能な一対のローラ(上側ローラ及び下側ローラ)からなる第一シートカッター302が示されており、当該第一シートカッター302が、裏面側シート基材130をカットする役割を果たす。例えば、上側ローラには、裏面側シート基材130をカットするための刃(不図示)が設けられている。
そして、裏面側シート基材130の、裏面側シート30の前記貼り合わせ面に相当する相当面130a、が上を向いた状態で、裏面側シート基材130が、搬送され、回転する上側ローラ及び下側ローラの間を通過し続けるが、回転する上側ローラの前記刃が、裏面側シート基材130を挟んで、回転する下側ローラに対向する状態となった際に、裏面側シート基材130が前記刃によりカットされる。
図12Aは、カット前とカット後の裏面側シート基材130の様子を示した模式図である。上図に、カット前の裏面側シート基材130の様子が、下図に、カット後の裏面側シート基材130の様子が、それぞれ表されている。
図12Aに示されるように、本工程においては、第一実施形態の工程1Aと同様、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dがカットされる。
より詳しく説明すると、図12Aには、裏面側シート基材130の、裏面側シート30の外縁に相当する外縁相当部130b、を二点鎖線で示しているが、図12Aの上図と下図を比較することにより理解できるように、当該二点鎖線の一部が、カットされる部分の一部と一致している。つまり、本工程においては、裏面側シート基材130の外縁相当部130bの一部が、カットされることとなる。さらに、本工程でカットされる当該外縁相当部130bの一部は、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dとなっている。つまり、本工程においては、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dがカットされることとなる。なお、本実施の形態においては、外縁相当部130bのうちの、本工程でカットされる部分は、境界外縁相当部130dのみであり、外縁相当部130bのうちの、境界外縁相当部130d以外の部分は、後述する工程2F(最終的なカット及び不用部分除去ステップ)で、表面側シート基材113と共に、カットされることとなる(この点も、工程1Aと同様である)。
一方で、以下の点では、工程1Aと異なっている。すなわち、工程1Aにおいては、裏面側シート基材130に穴が開けられたが、本工程においては、裏面側シート基材130に穴が開けられることはない。すなわち、図12Aの下図に示されるように、本工程においては、裏面側シート基材130に、複数の(二つの)境界外縁相当部130dを結ぶようにミシン目130f(換言すれば、スリットが連続して設けられたもの)が入れられる(ミシン目130fを入れる目的については、後述する)。そして、このミシン目130fが存在することにより、裏面側シート基材130がカットされたとしても、切り離される部位(すなわち、不用部分)が生じず、したがって、本工程においては、不用部分の除去が行われないこととなる。
なお、本実施の形態においては、前記ミシン目130fも、カットされる部分と同様、前記上側ローラの刃により形成される。また、図12Aの下図に示されるように、カットされる部分は、ある吸収性物品1の境界外縁30aに相当する境界外縁相当部130dと、当該ある吸収性物品1の次に製造される吸収性物品1の境界外縁30aに相当する境界外縁相当部130dとが繋がるように形成される(繋がり部を、図12Aの下図において、符号130gで示している)。
以上のとおり、裏面側シート基材130と表面側シート基材113の貼り合わせステップ(工程2C)が実行される前に、外縁相当部130bのうちの境界外縁相当部130dのみが前記上側ローラによりカットされることとなる。
<工程2B:第二接着剤塗布ステップ>
当該工程においては、前述した第二接着剤、すなわち、低タックタイプのホットメルト接着剤、が、裏面側シート基材130に塗布される。本工程は、第一実施形態の工程1Bに相当するものであるが、工程1Bにおいては、第二接着剤が表面側シート基材113の方に塗布されていたのに対し、本工程においては、第二接着剤が裏面側シート基材130の方に塗布される点で、本工程は工程1Bと異なっている。本工程の直後に、当該表面側シート基材113と裏面側シート基材130との貼り合わせステップ(工程2C)が実行されるが、この工程2Bは、前述した工程2Aと同様、工程2Cの準備段階と位置付けられる。
図11には、第二接着剤を塗布するための塗布機304が示されており、当該塗布機304が、第二接着剤を裏面側シート基材130に塗布する役割を果たす。すなわち、裏面側シート基材130が搬送されると、やがて、裏面側シート基材130は、裏面側シート基材130の前記相当面130aが塗布機304に対向する対向位置に至る。そして、かかる際に、塗布機304から第二接着剤が吐出され、吐出された第二接着剤が、裏面側シート基材130の相当面130aに付着することとなる。
図12Bは、第二接着剤が塗布される前と塗布された後の裏面側シート基材130の様子を示した模式図である。上図に、塗布前の裏面側シート基材130の様子が、下図に、塗布後の裏面側シート基材130の様子が、それぞれ表されている(下図において、斜線が施された部分が、接着剤が塗られた部分である)。なお、図12Aと同様、図12Bには、裏面側シート基材130の外縁相当部130bを二点鎖線で示している。
そして、図12Bの下図から明らかなように、第二接着剤は、裏面側シート基材130の相当面130aの略全面に塗られることとなる。
<工程2C:表面側シート基材と裏面側シート基材との貼り合わせステップ>
当該工程においては、表面側シート基材113と、第二接着剤が塗られた裏面側シート基材130と、を重ねて貼り合わせる。本工程は、第一実施形態の工程1Cに相当するものである。
図11には、吸収体12が貼り付けられた表面側シート基材113(以下、単に、表面側シート基材113と呼ぶ)と、裏面側シート基材130と、が合流する合流部308が示されており、当該合流部308において、双方の基材が重ねられ貼り合わされる。すなわち、前記表面側シート基材113が、搬送されると、やがて、合流部308に至る。一方、前記相当面130aに第二接着剤が塗られた裏面側シート基材130は、斜め下方へ合流部308に向けて搬送されて、当該合流部308にて、表面側シート基材113と合流する。
そして、当該合流部308においては、表面側シート基材113の前記貼り合わせ面に相当する前記相当面113aが上を向き、裏面側シート基材130の前記貼り合わせ面に相当する前記相当面130aが下を向いた状態で、双方の基材が合流することとなる。したがって、相当面113aと相当面130aが向い合うようにして、双方の基材が、合流部308において、重なり合うこととなる。そして、相当面130aには第二接着剤が塗布されているため、双方の基材は、第二接着剤により、適切に貼り合わされることとなる。
図12Cは、貼り合わせ前と貼り合わせ後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子を示した模式図である。左上図に、貼り合わせ前の裏面側シート基材130の様子が、右上図に、貼り合わせ前の表面側シート基材113の様子が、下図に、貼り合わせ後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、それぞれ表されている。なお、図12Cの下図においては、図を分かり易くするために、便宜上、吸収体12の記載を省略している(以下で説明する図12D乃至図12Fについても同様)。また、図12Bと同様、図12Cの左上図及び下図には、裏面側シート基材130の外縁相当部130bを、二点鎖線で示している。また、図12Cの右上図及び下図には、表面側シート基材113の外縁相当部113bを、二点鎖線で示している。
以上のように、本工程では、表面側シート基材113と、第二接着剤が塗られた裏面側シート基材130と、を重ねて貼り合わせることとなる。
ところで、図12Aに示したように、前述した工程2Aにおいては、第一実施形態の工程1Aと同様、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dをカットする一方で、裏面側シート基材130の部分であって、裏面側シート30の外縁のうちの前記中央部58の最外側端に位置する最外側端外縁に相当する部分(最外側端外縁相当部130e)、の少なくとも一部(本実施の形態においては全部)をカットしないようにしている。さらに、裏面側シート基材130の、当該最外側端外縁相当部130eよりも外側には、前述したミシン目130fが入れられている(当該外側はミシン目130fであり、カットされているわけではない)。そして、このことは、本工程(工程2C)において、以下に述べるメリット、すなわち、工程1Cの項で述べたメリットと同様のメリット、をもたらすこととなる。
例えば、仮に、工程2Aにおいて、境界外縁相当部130dだけでなく最外側端外縁相当部130eもカットした場合や、また、前記外側をミシン目130fとせずにカットした場合、には、裏面側シート基材130が、斜め下方へ合流部308に向けて搬送されて当該合流部308にて表面側シート基材113と合流する際に、裏面側シート基材130のウイング部5に相当する部分が下方へ垂れ下がった(おじぎした)状態で表面側シート基材113と合流してしまう可能性がある。そして、このような状況においては、表面側シート基材113と裏面側シート基材130の貼り合わせが適切に行われない恐れがある。
そのため、本実施の形態の工程2Aにおいては、このような事態の発生を防止する目的で、最外側端外縁相当部130eの少なくとも一部をカットしないようにし、かつ、前記外側をミシン目130fとしている。
なお、詳細説明は省略するが、本工程の実行前に、表面側シート基材113に、吸収体12が貼り付けられるようになっている。また、その前に、表面側シート基材113が、表面シート14の基材とサイドシート40の基材とが接合されることにより形成されるようになっている。
<工程2D:ラウンドシール加工実施ステップ>
当該工程においては、第二接着剤により貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130に対するラウンドシール加工、を実施する。本工程は、第一実施形態の工程1Dに相当するものである。
前述したとおり、工程2Cにおいては、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130が接着剤により貼り合わされる。しかしながら、接着剤として、第一接着剤よりタック力の小さいタック力を有する第二接着剤(低タックタイプのホットメルト接着剤)を用いているため、工程2Bにおいて、第二接着剤が裏面側シート基材130に塗布されてから、工程2Cにおいて、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130が貼り合わされるまでの間に、第二接着剤のタック力が顕著に失われていることとなる(全く無くなっているわけではない)。そのため、表面側シート基材113と裏面側シート基材130との貼り合わせが不十分となる懸念があり、当該貼り合わせをより強固なものとするために、本工程で、ラウンドシール加工が実施される。
図11には、互いに対向し回転可能な一対のローラ(上側ローラ及び下側ローラ)であって、少なくともどちらか一方のローラ(本実施の形態においては、下側ローラ)に凸部(不図示)が備えられているローラ、からなるラウンドシール加工装置310が示されており、当該ラウンドシール加工装置310が、第二接着剤により貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130に、熱溶着によるラウンドシールを施す。
すなわち、第二接着剤により貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130は、搬送され、回転する上側ローラ及び下側ローラの間を通過し続けるが、回転する下側ローラの前記凸部が、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130を挟んで、回転する上側ローラに対向する状態となった際に、下側ローラの凸部及び上側ローラにより表面側シート基材113及び裏面側シート基材130が加熱圧着される。そして、このことにより、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130に、ラウンドシールが施されることとなる。
図12Dは、ラウンドシール加工前とラウンドシール加工後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子を示した模式図である。上図に、ラウンドシール加工前の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、下図に、ラウンドシール加工後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、それぞれ表されている(下図において、ラウンドシールが施される位置を、太線で示している)。なお、図12Cと同様、図12Dには、表面側シート基材113の外縁相当部113bと裏面側シート基材130の外縁相当部130bを、二点鎖線で示している。また、裏面側シート基材130の境界外縁相当部を符号130dで示している。
図12Dの下図に示されるように、ラウンドシールは、裏面側シート基材130の外縁相当部130bよりも若干内側の位置に、該外縁相当部130bに沿って該外縁相当部130b全周に亘って、施される。なお、当該内側の位置であって表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の間には、第二接着剤が介在しているが、ラウンドシール加工による加熱圧着処理により当該第二接着剤が溶けることとなる。したがって、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130のラウンドシールが施された部分は、加熱圧着と溶けた接着剤による作用とによって、より強固に接合されることとなる。
<工程2E:裏面側シート基材の不用部分除去ステップ>
当該工程においては、裏面側シート基材130の不用部分を除去する。本工程は、第一実施形態には無い工程であるが、第一実施形態の工程1Aの中の、裏面側シート基材130の不用部分が除去される工程、に相当するとも言える。すなわち、本実施形態と前述した第一実施形態とを比較した場合に、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の最終的なカット及び不用部分除去の前に、双方の基材のうちの裏面側シート基材130のみのカット及び不用部分除去を行う点は、双方の実施形態に共通しているが、第一実施の形態においては、裏面側シート基材130のみのカットの際に、裏面側シート基材130のみの不用部分の除去が行われる(工程1A)のに対し、本実施の形態においては、裏面側シート基材130のみのカットの際(工程2A)には、裏面側シート基材130のみの不用部分の除去が行われず、裏面側シート基材130と表面側シート基材113とが重ねて貼り合わされた後に、裏面側シート基材130のみの不用部分の除去が行われる。
本工程は、ラウンドシール加工が実施される工程2Dの直後に行われる。すなわち、ラウンドシールは、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130に施されるが、ラウンドシール加工後に、直ちに、裏面側シート基材130のうちの工程2Aでカットされた部分(図12Aの下図参照)よりも外側に位置する部分が、斜め上方へ、引っ張られる。そして、当該カットされた部分が存在するため、かかる際に、当該外側に位置する部分が、表面側シート基材113から引き剥がされることとなる(引き剥がされた部分が、裏面側シート基材130の不用部分である)。
図12Eは、裏面側シート基材130の不用部分除去が実行される前と実行された後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子を示した模式図である。上図に、不用部分除去前の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、左下図に、不用部分除去後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、右下図に、不用部分除去後に生ずる裏面側シート基材130の不用部分130hの様子が、それぞれ表されている。なお、図12Dと同様、図12Eの上図及び左下図には、表面側シート基材113の外縁相当部113bと裏面側シート基材130の外縁相当部130bを、二点鎖線で示している。また、裏面側シート基材130の境界外縁相当部を符号130dで示している。
裏面側シート基材130の不用部分130hが引き剥がされると(図12Eの右下図参照)、図12Eの左下図に示されるように、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130には、表面側シート基材113と裏面側シート基材130が重なった部位と、表面側シート基材113のみからなる部位とが、生ずることとなる。そして、表面側シート基材113のみからなる部位の一部は、前述した露出部分相当部113cとなっている。つまり、当該部位の一部は、将来的に(工程2Fが実行された後に)、表面側シート13の貼り合わせ面に設けられ、裏面側シート30と貼り合わされることなく露出した露出部分(ウイング部5の端部50(根元部50a)に位置する部分)となる。
また、前記工程2Bにおいては、第二接着剤が裏面側シート基材130の略全面に塗られるため、本工程においては、裏面側シート基材130の、第二接着剤により表面側シート基材113と貼り合わされた不用部分、が表面側シート基材113から引き剥がされることとなる。そのため、表面側シート基材113の前記露出部分相当部113cは、前記相当面113a上において裏面側シート基材130側から転写された第二接着剤が剥き出しになった状態となる。そして、当該露出部分相当部113cは、将来的に(工程2Fが実行された後に)、前記露出部分となり、当該露出部分は、第二接着剤が剥き出しになった状態となる。
このように、本工程においては、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130から、裏面側シート基材130の不用部分であって、前記露出部分相当部113cと第二接着剤により貼り合わされた不用部分、が除去されることとなる。
なお、裏面側シート基材130には、前述したとおり、複数の境界外縁相当部130dを結ぶようにミシン目130fが入れられている。そのため、引き剥がし(不用部分の除去)が、(ミシン目130fが入れられていないときと比較して、)より円滑に行われることとなる。また、前述したとおり、ミシン目130fの部分は、カットされているわけではないので、引き剥がしの際に、この部分は、乱雑に切除されることとなる(乱雑に切除されている様子を、図12Eの左下図及び右下図に示している)。
また、本実施形態においては、表面側シート基材113と裏面側シート基材130とを貼り合わせるための接着剤として、第一接着剤よりタック力の小さいタック力を有する第二接着剤(低タックタイプのホットメルト接着剤)を用いているため、引き剥がし(不用部分の除去)が、(接着剤として第一接着剤を用いているときと比較して、)より一層円滑に行われることとなる。
また、本工程の直前には、前述したとおり、ラウンドシールが、裏面側シート基材130の外縁相当部130bよりも若干内側の位置に、該外縁相当部130bに沿って該外縁相当部130b全周に亘って、施されている。そのため、本工程で、裏面側シート基材130の不用部分が斜め上方へ引っ張られる際に、当該不用部分以外の部分が当該不用部分に引き摺られて不用部分と共に引き剥がされてしまうことが、適切に回避されることとなる。
<工程2F:最終的なカット及び不用部分除去ステップ>
当該工程においては、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130を、最終的に、製品形状にカットし、カットすることにより生ずる不用部分を除去する。この工程2Fが終了すると、図1に示した吸収性物品1が得られることとなる。本工程は、第一実施形態の工程1Eに相当するものである。
図11には、互いに対向し回転可能な一対のローラ(上側ローラ及び下側ローラ)からなる第二シートカッター312が示されており、当該第二シートカッター312が、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130を製品形状にカットする役割を果たす。例えば、上側ローラには、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130をカットする(より具体的には、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130から、貼り合わされた表面側シート13及び裏面側シート30、すなわち、吸収性物品1、を刳り貫く)ための刃(不図示)が設けられている。
そして、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130は、搬送され、回転する上側ローラ及び下側ローラの間を通過し続けるが、回転する上側ローラの前記刃が、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130を挟んで、回転する下側ローラに対向する状態となった際に、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130が前記刃によりカットされる。つまり、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130から、貼り合わされた表面側シート13及び裏面側シート30、すなわち、吸収性物品1、が前記刃により刳り貫かれることとなる。そして、刳り貫かれた吸収性物品1は、図11中第二シートカッター312の左方に位置するコンベア314に載せられ、該コンベア314により搬送される。その一方で、表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の不用部分(図11において、符号140で示す)は、斜め上方へ搬送され、除去される。
図12Fは、最終カット前と最終カット後の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130(表面側シート13及び裏面側シート30)の様子を示した模式図である。上図に、最終カット前の表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の様子が、左下図に、最終カット後に得られる吸収性物品1(表面側シート13及び裏面側シート30)の様子が、右下図に、最終カット後に生ずる不用部分140の様子が、それぞれ表されている。
なお、図12Eと同様、図12Fの上図には、表面側シート基材113の外縁相当部113bと裏面側シート基材130の外縁相当部130bを、二点鎖線で示している。また、図12Fの上図には、表面側シート基材113の露出部分相当部を符号113cで、裏面側シート基材130の境界外縁相当部を符号130dで、それぞれ示している。
図12Fに示されるように、本工程においては、第一実施形態の工程1Eと同様、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の前記外縁相当部113bが、当該外縁相当部113bの全周に亘ってカットされる。前述したとおり、裏面側シート30の外縁のうちの境界外縁30a以外の外縁は、表面側シート13の外縁、つまり、吸収性物品1の外縁と一致しており、また、裏面側シート基材130の、当該境界外縁30aに相当する境界外縁相当部130dは、工程2Aで、既にカットされている。したがって、本工程で、貼り合わされた表面側シート基材113及び裏面側シート基材130の前記外縁相当部113bがカットされれば、前記境界外縁相当部130d以外の外縁相当部130bもカットされ、吸収性物品1が得られることとなる。
なお、上述したとおり、工程2Eにおいて、裏面側シート基材130が引き剥がされる際に、ミシン目130fの部分が乱雑に切除されるため、図12Fの上図に示されるように、本工程の前には、当該乱雑に切除された部分が存在する。しかしながら、図12Fの右下図に示されるように、当該乱雑に切除された部分は、外縁相当部113bよりも外側に位置するため、不用部分140として除去され、吸収性物品1の形状に影響を与えることはない。
<<<変形例に係る吸収性物品1の製造方法の有効性について>>>
上述したとおり、変形例に係る吸収性物品1の製造方法は、第一実施形態に係る吸収性物品1の製造方法と同様、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dをカットするステップと、カットされた裏面側シート基材130と、表面側シート基材113と、を重ねて貼り合わせるステップと、貼り合わされた裏面側シート基材130及び表面側シート基材113の外縁相当部113bをカットするステップと、を有している。したがって、第一実施形態に係る吸収性物品1の製造方法と同様、本製造方法によれば、吸収性物品1を適切に製造することが可能となる。
なお、本製造方法も、表面側シート13と裏面側シート30とが重なった重なり部分と該表面側シート13及び該裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなる部分とを備えた吸収性物品1であれば、どの吸収性物品1にも適用可能であり、例えば、前述の図13に示した吸収性物品1を製造する際にも、当該製造方法を用いることができる。
また、変形例に係る吸収性物品1の製造方法は、裏面側シート基材130の相当面130aに、第一接着剤のタック力よりも小さいタック力を有する第二接着剤(本実施の形態においては、低タックタイプのホットメルト接着剤であるが、これに限定されるものではない)、を塗るステップと、第二接着剤が塗られた裏面側シート基材130と、表面側シート基材113と、を重ねて貼り合わせるステップと、貼り合わされた裏面側シート基材130及び表面側シート基材113から、裏面側シート基材130の不用部分であって、露出部分相当部113cと第二接着剤により貼り合わされた不用部分、を除去するステップと、を有している。そして、このような製造方法によれば、第一実施形態に係る吸収性物品1の製造方法と同様、吸収性物品1を簡易に製造することが可能となる。
変形例に係る吸収性物品1の製造方法で用いる接着剤を第二接着剤ではなく第一接着剤とする場合、すなわち、裏面側シート基材130の相当面130aに、第二接着剤ではなく、第一接着剤を塗り、第一接着剤が塗られた裏面側シート基材130と、表面側シート基材113と、を重ねて貼り合わせた後に、貼り合わされた裏面側シート基材130及び表面側シート基材113から、裏面側シート基材130の不用部分であって、露出部分相当部113cと第一接着剤により貼り合わされた不用部分、を除去する場合には、裏面側シート基材130側から露出部分相当部113cへ転写される第一接着剤の作用により、製造された吸収性物品1の露出部分にべとつきが生じてしまう。一方、かかる事態の発生が回避されるよう、露出部分に第一接着剤が塗布されないようにするためには、裏面側シート基材130の、露出部分相当部113cと貼り合わされる部分、には、第一接着剤が塗布されない一方で、当該部分に隣接する部分には第一接着剤が塗布されるように、接着剤を塗る必要があり、かかる場合には、厳密な接着剤の塗布制御が要求され、製造方法が複雑化する。
これに対し、本実施の形態に係る製造方法によれば、貼り合わされた裏面側シート基材130及び表面側シート基材113から、裏面側シート基材130の不用部分であって、露出部分相当部113cと第一接着剤のタック力よりも小さいタック力を有する第二接着剤により貼り合わされた不用部分、を除去するから、前記べとつきが抑えられ、かつ、厳密な接着剤の塗布制御が要求されない。すなわち、吸収性物品1が簡易に製造されることとなる。
なお、本製造方法も、互いに貼り合わされた表面側シート13と裏面側シート30を備え、表面側シート13の貼り合わせ面に、前記裏面側シート30と貼り合わされることなく露出した露出部分が設けられている吸収性物品1であれば、どの吸収性物品1にも適用できる。例えば、前述の図13に示した吸収性物品1を製造する際にも、当該製造方法を用いることが可能である。
===その他の実施形態===
以上、上記実施形態に基づき、本発明に係る吸収性物品等について説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
上記実施の形態においては、表面側シート13は、二種類のシート、すなわち、表面シート14及びサイドシート40、からなることとしたが、これに限定されるものではなく、一枚のシートであってもよい。
また、上記実施の形態においては、根元部50aとして、ウイング部5の、前記長手方向における一端部52、に位置する該ウイング部5の一端根元部52aと、ウイング部5の、前記長手方向における他端部54、に位置する該ウイング部5の他端根元部54aと、が備えられ、前記高剛性部(ウイング部5の中央部58から吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている部分)は、一端根元部52a及び他端根元部54aのいずれの剛性よりも高い剛性を有することとしたが、これに限定されるものではなく、前記高剛性部は、一端根元部52a及び他端根元部54aのうちのどちらか一方よりも高剛性であればよい。例えば、一端根元部52a及び他端根元部54aのうちの一端根元部52aのみが非重なり部分76となっており、他端根元部54aが、重なり部分70となっている場合であってもよい。
ただし、吸収性物品1の取り外しが容易となる効果が維持されつつ、ユーザに、より一層、不快な感触を与えないようにすることができる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
また、上記実施の形態においては、前記高剛性部(ウイング部5の中央部58から吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている部分)が、前記端部50のうちの根元部50aと根元部でない部分(非根元部)、のいずれの剛性よりも高い剛性を有することとしたが、これに限定されるものではなく、前記高剛性部は、根元部50aよりも高剛性であればよい。
図14は、上記実施の形態の第一変形例に係る吸収性物品1を示した平面概略図である。この吸収性物品1においては、前記端部50のうちの根元部50aが、表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなる部分となっている一方で、前記端部50のうちの非根元部500は、表面側シート13と裏面側シート30とが重なった重なり部分となっている。したがって、かかる吸収性物品1においては、前記高剛性部が、前記端部50のうちの根元部50aよりも高剛性になっているものの、前記端部50のうちの非根元部500よりも高剛性にはなっていない。しかしながら、このような吸収性物品1においても、ユーザの肌に触れることにより当該肌に影響を与えやすい根元部50aが低剛性部(非重なり部分76)となっており、したがって、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えないという効果が奏される。したがって、このような吸収性物品1であっても構わない。
また、図15は、上記実施の形態の第二変形例に係る吸収性物品1を示した平面概略図である。この吸収性物品1においては、下着等に吸収性物品1を装着するためにウイング部5が折り返される際にウイング部5の前記幅方向における外側端部が捲れてしまうことを防止するための補強材502(図15において、当該補強材502に斜線を施している)が、ウイング部5の前記外側端部に設けられている。そして、かかる吸収性物品1においては、当該補強材502が存在することにより、前記高剛性部が、前記端部50のうちの根元部50aよりも高剛性になっているものの、前記端部50のうちの非根元部504(補強材502の位置する部分)よりも高剛性にはなっていない。そして、このような吸収性物品1においても、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えないという効果が奏される。したがって、このような吸収性物品1であっても構わない。
また、上記実施の形態においては、ウイング部5として、吸収性物品本体3の幅方向一端部から前記幅方向外側へ延出した第一ウイング部6と、吸収性物品本体3の幅方向他端部から前記幅方向外側へ延出した第二ウイング部8とが備えられ、前記高剛性部は、第一ウイング部6の前記中央部58の最外側端から前記第二ウイング部8の前記中央部58の最外側端まで前記幅方向に沿って連続して設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図16に示す第三変形例に係る吸収性物品1のように、高剛性部が、第一ウイング部6の前記中央部58の最外側端から前記第二ウイング部8の前記中央部58の最外側端まで設けられていないこととしてもよい(すなわち、第三変形例においては、中央部58の外側端部512が表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなる部分となっているため、高剛性部が前記最外側端まで至っていない)。
ただし、ユーザに不快な感触を与えない効果が維持されつつ、吸収性物品1の取り外しがより一層容易となる点で、(第三変形例よりも)上記実施の形態の方がより望ましい。
また、上記実施の形態においては、吸収体12と表面側シート13との間、吸収体12と裏面側シート30との間、及び、表面側シート13と裏面側シート30との間、に介在させる接着剤として、前記第二接着剤(低タックタイプのホットメルト接着剤)を用いることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、双方の部材の間に、前記第一接着剤等の低タックタイプでないホットメルト接着剤が介在していてもよい。
第一実施形態に係る吸収性物品1の製造方法の工程1Bにおいては、当該製造方法により製造される吸収性物品1の露出部分にべとつきが生じてしまうことを回避するために、図10Bの下図に示したように、第二接着剤(低タックタイプのホットメルト接着剤)を、露出部分相当部113cも含めて表面側シート基材113の相当面113aの略全面に塗ることとした。これに対し、工程1Bにおいて、低タックタイプのホットメルト接着剤と低タックタイプでないホットメルト接着剤とを、例えば2回に分けて、表面側シート基材113の相当面113aに、図17に示すように塗ることとすれば、吸収体12と裏面側シート30との間、及び、表面側シート13と裏面側シート30との間に、低タックタイプでないホットメルト接着剤を介在させることができる。
図17は、図10Bの下図に相当する図であり、接着剤の他の塗布方法を示した図である。図17において、右上がり斜線が施された部分が、低タックタイプのホットメルト接着剤が塗られる部分であり、右下がり斜線が施された部分が、低タックタイプでないホットメルト接着剤が塗られる部分である。このように、表面側シート基材113の、露出部分相当部113cを含んだ幅方向両端部に、低タックタイプのホットメルト接着剤を、表面側シート基材113の幅方向中央部に、低タックタイプでないホットメルト接着剤を、それぞれ塗ることとすれば、吸収性物品1の幅方向中央部において、吸収体12と裏面側シート30との間、及び、表面側シート13と裏面側シート30との間に、低タックタイプでないホットメルト接着剤が介在することとなる。そして、かかる場合には、露出部分にべとつきが生じてしまうことを回避させつつ、吸収性物品1の幅方向中央部における貼り合わせをより強固なものとすることが可能となる。
また、吸収性物品1が、図14に示した第一変形例に係る吸収性物品1である場合には、低タックタイプのホットメルト接着剤と低タックタイプでないホットメルト接着剤とを、例えば2回に分けて、表面側シート基材113の相当面113aに塗ることにより、露出部分にべとつきが生じてしまうことを回避させつつ、吸収性物品1の幅方向中央部における貼り合わせのみならず、吸収性物品1の幅方向両端部(ウイング部5の前記幅方向における外側両端部)における貼り合わせをも、より強固なものとすることができる。
図18は、図10Bの下図に相当する図であり、接着剤の他の塗布方法を示した図である。図18において、右上がり斜線が施された部分が、低タックタイプのホットメルト接着剤が塗られる部分であり、右下がり斜線が施された部分が、低タックタイプでないホットメルト接着剤が塗られる部分である。このように、製造される吸収性物品1が、図14に示した第一変形例に係る吸収性物品1である場合には、露出部分が端部50のうちの根元部50aにしか存在しないため、露出部分相当部113cに低タックタイプでないホットメルト接着剤が塗られることを避けつつ、表面側シート基材113の幅方向中央部だけでなく、前記表面側シート基材113の、吸収性物品1の幅方向両端部に相当する部分、にも、低タックタイプでないホットメルト接着剤を塗ることができる。したがって、このようにすれば、露出部分にべとつきが生じてしまうことを回避させつつ、吸収性物品1の幅方向中央部における貼り合わせのみならず、吸収性物品1の幅方向両端部における貼り合わせをより強固なものとすることが可能となる。
なお、図17や図18に示した塗布方法は、第二実施形態に係る吸収性物品1の製造方法の工程2B(図12Bの下図)にも適用することができる。
また、上記においては、吸収体12と裏面側シート30との間、及び、表面側シート13と裏面側シート30との間に、低タックタイプでないホットメルト接着剤を介在させる方法について説明したが、吸収体12と表面側シート13との間に、低タックタイプでないホットメルト接着剤を介在させるためには、表面側シート基材113に吸収体12を貼り付ける際に、接着剤として低タックタイプでないホットメルト接着剤を用いればよい。
また、厳密な接着剤の塗布制御の実行を避けるためには、露出部分相当部113cに隣接する部分に、低タックタイプでないホットメルト接着剤を塗らないようにすることが望ましい。すなわち、低タックタイプでないホットメルト接着剤が塗られる部分は、前記幅方向において、露出部分相当部113cから十分間隔を開ける方がよい。
また、上記実施の形態においては、ウイング部5の、吸収性物品本体3の長手方向における端部50、に位置するウイング部5の根元部50a、の剛性よりも高い剛性を有する高剛性部が、ウイング部5の、前記長手方向における中央部58から、吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている吸収性物品1として、前記高剛性部が表面側シートと裏面側シートが重なった重なり部分であり、前記根元部50aが表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなる部分である吸収性物品1、を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、他の例も考えられる。
当該他の例(第四変形例とする)について、図19乃至図21を用いて説明する。図19は、第四変形例に係る吸収性物品1の表面側の平面概略図である。図20及び図21は、それぞれ、図19中のA−A断面概略図及びB−B断面概略図である。
第四変形例に係る吸収性物品1においては、前述した高剛性部が、表面側シート13と裏面側シート30とが重なった重なり部分70、及び、表面側シート13にエンボス加工が施されたエンボス加工部分522、のうちの少なくともどちらか一方の部分となっており、また、前記根元部50aが、表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなりエンボス加工が施されていない非エンボス加工部分526、となっている。
より具体的に説明すると、図19に示すように、第四変形例に係る吸収性物品1においては、上記実施の形態とは異なり、ウイング部5の、前記端部50のみならず前記中央部58も、表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなっている(裏面側シート30の、前記幅方向における最外側端を、図19において、符号521で示している)。すなわち、ウイング部5は、端部50であるか中央部58であるかに関わらず、前記非重なり部分76となっている。しかしながら、ウイング部5の中央部58には、エンボス加工が施されており、中央部58に施された当該エンボス加工により、中央部58の剛性が高められている(図19において、エンボス加工部分522を、斜線部で表している)。
ここで、図20及び図21に着目する。図20には、左側から順に、前記一端部52に位置する(一端部52のうちの)第一ウイング部6の根元部50a(一端根元部52a)、吸収性物品本体3、第二ウイング部8の根元部50a(一端根元部52a)が、表されている。そして、当該二つの根元部50a(一端根元部52a)は、非重なり部分76となっており、当該吸収性物品本体3は、重なり部分70となっている。したがって、前記一端部52からは、非重なり部分76、重なり部分70が、この順に、吸収性物品本体3まで幅方向に沿って連続して設けられていることとなる。なお、非重なり部分76である前記根元部50aには、エンボス加工が施されていないため、当該根元部50aは低剛性部となっている。
一方で、図21には、左側から順に、第一ウイング部6の前記中央部58、吸収性物品本体3、第二ウイング部8の前記中央部58が、表されている。当該中央部58は、端部50(根元部50a)と同様、非重なり部分76であるが、端部50(根元部50a)と異なり、エンボス加工部分522となっている。また、吸収性物品本体3は、重なり部分70となっている。したがって、当該中央部58からは、根元部50a(一端根元部52a)の剛性よりも高い剛性を有する高剛性部が、エンボス加工部分522、重なり部分70の順に、吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられていることとなる(より厳密には、図19及び図21に示されるように、エンボス加工部分522は、重なり部分70にまで至っているため、前記高剛性部は、非重なり部分76におけるエンボス加工部分522、重なり部分70におけるエンボス加工部分522、エンボス加工が施されていない重なり部分70の順に、吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている)。なお、本実施の形態においては、エンボス加工部分522が中央部58の最外側端(外縁)にまで至っている。したがって、前記高剛性部は、第一ウイング部6の前記中央部58の最外側端(図21における左端)から第二ウイング部8の前記中央部58の最外側端(図21における右端)まで前記幅方向に沿って連続して設けられていることとなる。
なお、前記エンボス加工は、例えば、相対向する二つのローラにより、表面側シート13(前記重なり部分70においては、表面側シート13及び裏面側シート30)を、加熱圧着する処理である。そして、当該圧着処理により、エンボス加工部分522は硬化し、その剛性が高まることとなる。
このように、第四変形例に係る吸収性物品1の態様は、上記実施の形態と異なるが、当該第四変形例においても、ウイング部5の、吸収性物品本体3の長手方向における端部50、に位置するウイング部5の根元部50a、の剛性よりも高い剛性を有する高剛性部が、ウイング部5の、前記長手方向における中央部58から、吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている。したがって、当該第四変形例に係る吸収性物品1も、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない効果を奏することとなる。
なお、上記においては、ウイング部5の、吸収性物品本体3の長手方向における端部50、に位置するウイング部5の根元部50a、の剛性よりも高い剛性を有する高剛性部が、ウイング部5の、前記長手方向における中央部58から、吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている吸収性物品1の例として、二つの例(上記実施の形態及び第四変形例)を挙げたが、これらに限定されるものではない。例えば、中央部58に補強材を入れることにより、このような吸収性物品1を実現してもいい。ただし、上記実施の形態に係る例は、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない吸収性物品1を、簡便な方法で(中央部58において裏面側シート30を延伸させるだけで)得ることができる点で、第四変形例は、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない吸収性物品1を得る際に、裏面側シート30を節約することができる点で、より望ましい。
次に、上記第四変形例をさらに変形させた例(第五変形例とする)について、図22を用いて説明する。図22は、第五変形例に係る吸収性物品1の表面側の平面概略図である。
第五変形例に係る吸収性物品1は、表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなりエンボス加工が施されていない根元部50a、の剛性よりも高い剛性を有する高剛性部が、中央部58から、エンボス加工部分522、重なり部分70の順に、吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている点で、第四変形例に係る吸収性物品1と共通している。そのため、当該第五変形例に係る吸収性物品1も、第四変形例と同様、容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない効果を奏することとなる。
しかしながら、第四変形例とは異なり、第五変形例に係る吸収性物品1の前記中央部58は、ウイング部5と吸収性物品本体3との境界付近において、表面側シート13及び裏面側シート30のうちの表面側シート13のみからなりエンボス加工が施されていない非エンボス加工部分526、を備えている。
より具体的に説明すると、前記中央部58のうちの一部分532からは、前記高剛性部が、前記エンボス加工部分522、前記重なり部分70の順に、前記吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている。その一方で、前記中央部58のうち、前記長手方向において前記一部分532とは異なる位置、に位置する他の部分533、からは、前記エンボス加工部分522、前記非エンボス加工部分526、及び、前記重なり部分70が、この順に、前記吸収性物品本体3まで前記幅方向に沿って連続して設けられている(高剛性部の連続が、前記非エンボス加工部分526が存在することにより途切れている)。つまり、吸収性物品1を前記長手方向に沿って見たときに、中央部58から吸収性物品本体3まで高剛性部が連続している箇所と、中央部58から吸収性物品本体3まで高剛性部が連続していない箇所とが存在している。なお、本変形例においては、前記一部分532(前記高剛性部が連続している箇所)と前記他の部分533(前記高剛性部が連続していない箇所)とが、前記長手方向において、交互に存在している。
そして、当該第五変形例に係る吸収性物品1は、このような構成を備えていることにより、前述した効果(容易に取り外し可能であり、かつ、ユーザに不快な感触を与えない効果)に加えて、ウイング部5を容易に折り返すことを可能とする効果を奏することとなる。すなわち、上述したとおり、当該吸収性物品1には、前記長手方向において、中央部58から吸収性物品本体3まで高剛性部が連続している箇所だけでなく、中央部58から吸収性物品本体3までの高剛性部の連続が、低剛性部である前記非エンボス加工部分526が存在することにより途切れている箇所が存在する。そして、当該低剛性部である前記非エンボス加工部分526が、ウイング部5の折り返し容易性に寄与することとなるため、本変形例によれば、容易にウイング部を折り返すことが可能な吸収性物品1を実現することが可能となる。
また、上述した第一実施形態及び第二実施形態に係る吸収性物品1の製造方法においては、裏面側シート基材130の境界外縁相当部130dをカットした後に、カットされた裏面側シート基材130と表面側シート基材113とを重ねて貼り合わせることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、裏面側シート基材130と表面側シート基材113とを重ねて貼り合わせた後に、貼り合わされた裏面側シート基材130及び表面側シート基材113のうちの裏面側シート基材130のみ(の境界外縁相当部130d)をカットするようにしてもよい。