以下、この発明に係わるポイント・マルチポイント通信システムの実施の形態について詳細に説明する。
図1は、この発明に係わるポイント・マルチポイント通信システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
図1において、このポイント・マルチポイント通信システムは、m台の従装置10−1、10−2、…10−mと1台の主装置20との間を光伝送路30を介して接続して構築されるもので、主装置20に接続される光伝送路30は光カプラ40でm本の分岐路30−1,30−2、…30−mに分岐されて、それぞれ従装置10−1、10−2、…10−mに接続される。
なお、図1に示すポイント・マルチポイント通信システムにおいては、m台の従装置10−1、10−2、…10−mと1台の主装置20との間をm本の分岐路30−1,30−2、…30−m、光カプラ40、光伝送路30を介して接続して光アクセス網を構築したが、この発明のポイント・マルチポイント通信システムは、主装置の制御により伝送路の帯域を従装置へ割り当てるような、主装置と複数の従装置から構成される通信システムに対して広範に適用できるものであり、伝送路の一部が有線か無線かに依存するものではなく、例えば、従装置の代わりに、複数の無線端末を無線伝送路を介して主装置に接続した構成をもつ無線アクセス網にも適用できるものである。
ここで、無線伝送路を用いる場合は、無線端末および主装置にて信号を単純に合成または分配することにより、本発明のアクセス方式を容易に適用することが可能になる。
図2は、図1に示した従装置10−1、10−2、…10−mの詳細構成を従装置10としてブロック図で示したものである。
図2において、この従装置10は、入力ポートに接続される入力部11、出力ポートに接続される出力部12、送信ポートに接続される送信部13、受信ポートに接続される受信部14、入力部11からの情報信号を一時的に蓄積するバッファメモリ15、バッファメモリ15に蓄積された信号の送信に必要な情報量をカウントするカウンタ16、主装置20からの指示に従ってカウンタ16で計数された情報量を主装置20へ申告したり、バッファメモリ15に一時的に蓄積されている信号を主装置20へ送信をする等の制御を行なう制御部17を具備して構成される。
図3は、図1に示した主装置20の詳細構成を示すブロック図である。
図3において、この主装置20は、入力ポートに接続される入力部21、出力ポートに接続される出力部22、送信ポートに接続される送信部23、受信ポートに接続される受信部24、入力部21からの信号を一時的に蓄積するバッファメモリ25、各従装置10から通知された蓄積量および各従装置10に対して信号の送信を許可する許可量等を記憶する記憶部26、各従装置10へ信号の送信に必要な情報量を申告するように指示したり、信号の送信を指示する等の制御を行う制御部27を具備して構成される。
図4は、図1に示した光伝送路における上りおよび下りの伝送フレームを示したものである。
図4において、下りの1フレームは56スロット(56セル)、上りの1フレームは53スロット(53セル)からなり、これらの伝送フレームに基づいて、主装置20から従装置10への下りがTDM(Time Division Multiplex)、従装置10から主装置20への上りがTDMA(Time Division Multiple Access)の多重方式により、下り53バイト、上り56バイトのセルがそれぞれ送受信される。
なお、上りのセルには3バイトのオーバヘッドが含まれており、下り伝送フレームには、28セルに1セルの割合で1フレームに2つのPLOAMセル(PLOAM1,PLOAM2)が含まれる。
図5は、PLOAMセルのグラントと上り伝送フレームのスロットとの対応を示したものである。
図5に示すように、下り伝送フレームの最初のPLOAMセルPLOAM1には従装置10からの上りセルを要求するグラントが27個、二番目のPLOAMセルPLOAM2にはグラントが26個あり、合計53個のグラントが含まれている。
主装置20は、このPLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2のグラントに、従装置10のID番号等の識別子を書き込むことで、上り伝送フレーム内のどのスロットに、どの従装置10がセルを送信できるかを指示する。
従装置10は、PLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2に該従装置10の識別子が書き込まれていた場合、当該グラントに対応する上り伝送フレームのスロットにセルを送信することができ、この方法により光伝送路上でセルが衝突することを回避できる。
次に、図1に示したポイント・マルチポイント通信システムにおけるアクセス方式を説明する。
なお、以下の説明において、iは従装置10−1〜10−mの識別子として個々の従装置10−1〜10−mのID番号を表しており、従装置10−1〜10−mの総数はmであるので、i=1、2、...、mである。
従装置10−1〜10−mのID番号は主装置20で管理され、システムに加わる全ての従装置10−1〜10−mには、初期の段階でID番号が通知される。このID番号により、主装置20ではどの従装置10−1〜10−mからのセルであるかが識別され、各従装置10−1〜10−mでは受信したセルが自分宛てであるかが識別される。
さて、図2に示した従装置10の入力ポートおよび図3に示した主装置20の入力ポートには、端末あるいは他のネットワークから、音声、映像およびデータ等のような信号が入力され、これらの信号は入力部11および21を介してバッファメモリ15および25に送られ、バッファメモリ15および25内で一時的に蓄積される。
なお、バッファメモリ15および25に蓄積される信号は、例えば、ATMセルやイーサネット(登録商標)パケットのように、バッファメモリ15および25に蓄積される段階でセル化あるいはパケット化されていてもよい。
また、この実施の形態においては、図5に示した伝送フレームのように、下り伝送フレームの1スロット、およびオーバヘッドを除いた上り伝送フレームの1スロットを、それぞれ53バイトとしたので、入力される信号がATMセルであると整合性がよい。
例えば、入力される信号がイーサネット(登録商標)パケットの場合は、ATMのAAL Type5にマッピングすることで整合性がよくなる。
図2示した従装置10のカウンタ16では、バッファメモリ15に一時的に蓄積された信号の送信に必要な情報量が、信号の送信に必要なセル数あるいはスロット数を単位として整数で計数される。
例えば、図5に示した上り伝送フレームでは、オーバヘッドを除いた53バイトで信号が伝送されるので、情報量は53バイトを1単位として計数される。
この計数方法としては、バッファメモリ15への信号の入力およびバッファメモリ15からの信号の出力に応じて随時計数する方法、バッファメモリ15にFIFOで蓄積されている信号の先頭アドレスと末尾アドレスの差から計数する方法等が考えられ、バッファメモリ15に蓄積されている信号の絶対値を情報量としてもよいし、前回の申告からの差分値を情報量としてもよい。
また、この情報量は、ビットあるいはバイトを単位とした整数値で計数してもよいが、信号の送信に必要なセル数あるいはスロット数で計数すれば、主装置20へ申告する値が小さくなるので効率がよい。
なお、蓄積されている信号が53バイト未満の場合には、送信に1セルあるいは1スロット必要として計数してもよいし、53バイトになるまで計数しなくてもよい。
次に、図6乃至図10を参照して、主装置20がPLOAMセルを用いて、従装置10に対して信号の送信に必要な情報量を申告するように指示するように構成した第1の実施の形態について説明する。
図6は、主装置がPLOAMセルに情報量の申告を指示する方法を示したフローチャートである。
図6において、NはPLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2におけるグラントの総数を表し、PLOAMセルPLOAM1の場合にN=27、PLOAMセルPLOAM2の場合にN=26である。また、Pは情報量の申告を指示するグラントの間隔、#nはグラントの番号を表し、それぞれP≧1の整数値、#n=Pで初期化されている(ステップ101)。
そして、N≧#nかを調べ(ステップ102)、N≧#nであると(ステップ102でYES)、グランド#nに情報量の申告指示を設定し(ステップ103)、情報量の申告を指示する従装置を更新する(ステップ105)。その後、#nを#n+Pに設定して(ステップ105)、ステップ102に戻る。
また、ステップ102でN>#nであると判断されると(ステップ102でNO)、#nを#n−Nに設定して(ステップ106)、この処理を終了する。
ところで、PLOAMセル1PLOAM若しくはPLOAMセルPLOAM2のグラントで情報量の申告を指示する場合、信号の送信の指示と情報量の申告の指示とを区別することが必要となる。
例えば、この方法としては図7および図8に示すように、情報量の申告を指示する場合は、従装置10のID番号と特定の値との論理和をグラントに書き込み、特定のビットにフラグを立てることが考えられる。
すなわち、図7において、主装置20は、まず、信号の送信を指示するか否かを調べ(ステップ201)、ここで、信号の送信をすると判断された場合は(ステップ201でYES)、グランド#nに縦装置のID番号を設定し(ステップ202)、この処理を終了する。
しかし、ステップ201で信号の送信を指示しないと判断された場合は(ステップ201でNO)、次に、情報量の申告を指示するかを調べ(ステップ203)、ここで、情報量の申告を指示しないと判断された場合は(ステップ203でNO)、この処理を終了するが、情報量の申告を指示すると判断された場合は(ステップ203でYES)、グランド#nに従装置のIDと特定の値との論理和を設定し(ステップ204)、この処理を終了する。
ここで、特定の値は、従装置のID番号として使われていない値として、例えば0x80等にすればよい。
従装置10は、グラントに書き込まれた値と特定の値の否定との論理積が該従装置のID番号と一致した場合に、グラントに書き込まれた値と特定の値との論理積から、特定のビットにフラグが立っているかを識別し、情報量を申告するか、信号を送信するかを判断する。
すなわち、図8において、まず、グランド#nの値と特定の値の否定との論理積が該従装置のID番号と一致するかを調べ(ステップ211)、ここで、一致すると判断されると(ステップ211でYES)、次に、グランド#nの値と特定の値との論理積が特定の値と一致するかを調べる(ステップ212)。
ここで、一致すると判断されると(ステップ212でYES)、情報量の申告の指示と判断して、情報量を申告し(ステップ213)、この処理を終了する。 なお、ステップ211で、一致しないと判断された場合(ステップ211でNO)、若しくはステップ212で一致しないと判断された場合(ステップ212でNO)は、信号の送信の指示と判断して、信号を送信し(ステップ214)、この処理を終了する。
別の方法としては、図9および図10に示すように、グラントには従装置10のID番号を書き込み、PLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2の付加的な領域に情報量の申告を指示したグラントの番号#nを書き込むことが考えられる。
すなわち、図9において、主装置20は、まず、信号の送信を指示するか否かを調べ(ステップ221)、ここで、信号の送信をすると判断された場合は(ステップ221でYES)、グランド#nに縦装置のID番号を設定し(ステップ222)、この処理を終了する。
しかし、ステップ221で信号の送信を指示しないと判断された場合は(ステップ221でNO)、次に、情報量の申告を指示するかを調べ(ステップ223)、ここで、情報量の申告を指示しないと判断された場合は(ステップ223でNO)、この処理を終了するが、情報量の申告を指示すると判断された場合は(ステップ223でYES)、グランドの付加的な領域に、グランドの番号として#nを設定し(ステップ224)、この処理を終了する。
従装置10は、グラントに書き込まれた従装置10のID番号が該従装置10のID番号と一致した場合に、上述の付加的な領域の値を読み込み、この値と送信を指示されたグラントの番号とを比較して、情報量を申告するか、信号を送信するかを判断する。
すなわち、図10において、まず、グランド#nの値が該当従装置のID番号と一致するかを調べ(ステップ231)、ここで、一致すると判断されると(ステップ231でYES)、次に、グランドの付加的な領域の値が#nと一致するかを調べる(ステップ232)。
ここで、一致すると判断されると(ステップ232でYES)、情報量の申告の指示と判断して、情報量を申告し(ステップ233)、この処理を終了する。 なお、ステップ231で、一致しないと判断された場合(ステップ231でNO)、若しくはステップ232で一致しないと判断された場合(ステップ232でNO)は、信号の送信の指示と判断して、信号を送信し(ステップ234)、この処理を終了する。
次に、この第1の実施の形態において、従装置10が主装置20に対して、信号の送信に必要な情報量を申告する方法について説明する。
従装置10は、図7乃至図10のフローチャートによって、該従装置10に対して情報量の申告が指示されたと判断した場合、情報量の申告を示すセル識別子およびカウンタで計数された情報量および該従装置のID番号を少なくとも書き込んだセルを作成する。
この作成したセルは、申告を指示されたグラントに対応する上り伝送フレームのスロットにより、送信部13を介して主装置20へ送信する。
なお、情報量は、カウンタ16で計数された絶対値、および前回の申告からの差分値の両方か、どちらか1つを申告する。
次に、従装置10から情報量の申告を受けた主装置20が、申告された情報量に基づいて、各従装置10に対して信号の送信を指示する方法を説明する。
なお、以下の説明において、従装置10へ信号の送信を許可する許可量の特定の最大値kビットは、全ての従装置10で同一とする。
さて、図3に示した主装置20において、受信ポートを介して受信された各従装置10からのセルは、受信部24にてヘッダが取り除かれた後に、セルに書き込まれたセル識別子に基づいて識別される。
識別されたセルが情報量を申告するセルの場合は記憶部26に送られ、信号を送信するセルの場合は出力部22に送られる。
図11は、図3に示した主装置20における、記憶部26の構成について示したものである。
主装置10の記憶部26には、従装置10から申告された情報量が記憶される情報量テーブル300(図11(a)参照)、従装置10へ信号の送信を許可する許可量が記憶される許可量テーブル400(図11(b)参照)が、それぞれ設けられている。
ここで、情報量テーブル300の情報量Ri、許可量テーブル400の許可量Giの初期値は0であり、情報量テーブル300および許可量テーブル400の従装置番号i(ID番号i)には、それぞれ、各従装置10に対して個別に割り当てられた情報量Riおよび許可量Giの値が書き込まれている。
受信部24から情報量を申告するセルを受けた記憶部26では、セルに書き込まれた従装置10のID番号と申告された情報量Riを読み取り、これらの読み取られた値に基づいて、情報量テーブル300内で従装置10のID番号が一致する情報量Riを更新する。
主装置20の制御部27では、記憶部26の情報量テーブル300に基づいて各従装置10に対して信号の送信を許可する許可量Giを特定の最大値kビット以下で算出する。
ここで、特定の最大値kは、図12に示す帯域割当てのように、従装置10の総数をm、従装置10が稼動している割合をα(0<α≦1.0)、情報伝送容量をrビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd秒としたときに、
k ≦(r×td)÷(α×m) … (1)
の関係を満たすように決定される。
なお、従装置10が稼動している割合αは、
α=(稼働中の従装置数)÷m … (2)
より求められ、全ての従装置10が稼動している場合はα=1.0である。
式(1)の情報伝送容量rは、上り伝送フレームで実際に信号を伝送可能な容量であり、例えば、図4に示した伝送フレームにおいて、1回/フレームの割合で情報量を申告するようにした場合、r≡144.4Mビット/秒である。
また、情報伝送の遅延許容時間tdは、システムで扱うサービス等を基準にして設定される。例えば、遅延を許容しない音声系のサービスでは、0.001〜0.1秒程度の値が妥当であると考えられる。逆に、ある程度の遅延を許容するデータ系のサービスでは、信号の送信を完了する迄に人間が気にならない時間等を考慮すると、0.1〜1秒程度の値が妥当と考えられる。
式(2)における稼動中の従装置10の数は、図1に示した主装置20にてカウントされる。例えば、この方法としては、従装置10からのセルの到達を監視し、主装置20からの指示に対してセルを送信してくる従装置10を稼働中としてカウントすることが考えられる。
別の方法としては、主装置20から従装置10へポーリングをし、ポーリングの応答をする従装置10を稼働中としてカウントする方法等も考えられる。
図13乃至図15は、主装置における許可量Giの算出処理(図13)、PLOAMセルの送信時に従装置へ信号の送信を指示する指示量giの初期化処理(図14)、PLOAMセルの送信時に従装置へ信号の送信を指示する指示量giの算出処理(図15)をフローチャートで示したものである。
なお、許可量Giの算出は、記憶部26の情報量テーブル300に基づいて算出せずに、情報量を申告するセルを制御部27が受信部24から直接受け取り、情報量の申告を受ける度に逐次的に求めるようにしてもよい。
図13乃至図15において、i、jは従装置10のID番号、mは従装置10の総数、NsはPLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2で信号の送信が指示可能なグラントの数、Riは従装置iの情報量、Giは従装置iの許可量、giは従装置iの指示量、flag1は全ての従装置10の情報量Riが0であるかを示し、flag2はgiの算出が完了しているかを示すフラグである。
なお、図13乃至図15においては、1≦i≦m、1≦j≦mであり、また、j=1、Gi=0、flag2=TRUEが初期値として設定されている。
Nsは、PLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2のグラントが未使用の場合、PLOAMセルPLOAM1の時にNs=27、PLOAMセルPLOAM2の時にNs=26であり、グラントが情報量の申告の指示等で使用されている場合は、使用されているグラントの数を差し引いた値を設定する。
以下、図13乃至図15の各フローチャートについて説明する。
図13において、まず、i−1、flag1=TRUEに初期化し(ステップ501)次に、Giが0かを調べる(ステップ502)。ここで、Giが0であると判断されると(ステップ502でYES)、次に、Ri≦kかを調べ(ステップ503)、Ri≦kであると(ステップ503でYES)、Gi=Riに設定し(ステップ504)、Ri≦kでないと(ステップ503でNO)、Gi=kに設定する(ステップ505)。
そして、Ri=Ri−Giに設定し(ステップ506)、ステップ507へ進む。
しかし、ステップ502で、Giが0でないと判断された場合は(ステップ502でNO)、PLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2のグラントが不足し、主装置20が従装置iに対して許可量Giに相当する信号の送信を指示していないことになるので、Giを更新せずにステップ507に進む。
ステップ507では、いずれかの従装置10のRiが0かを調べ(ステップ507)、Riが0である場合は(ステップ507でYES)、ステップ509に進むが、Riが0でない場合は(ステップ507でNO)、flag1にFALSEを設定し(ステップ508)、ステップ509に進む。
ステップ509では、iを1インクリメント(i=i+1)し、次に、i>mかを調べる(ステップ510)。ここで、i>mでないと判断された場合は(ステップ510でNO)、ステップ502に戻るが、i>mであると判断された場合は(ステップ510でYES)、図14のステップ511に進む。
図14のステップ511では、flag2がTRUEかを調べる。ここで、flag2がTRUEであると判断された場合は(ステップ511でYES)、i=1に設定し(ステップ512)、次に、gi=0に設定し(ステップ513)、iを1インクリメント(i=i+1)する。
そして、i>mかを調べ(ステップ515)、ここで、i>mでないと判断された場合は(ステップ515でNO)、ステップ513に戻るが、i>mであると判断された場合は(ステップ515でYES)、図15のステップ516に進む。
なお、ステップ511で、flag2がTRUEでない、すなわちFALSEの場合は(ステップ511でNO)、従装置iの指示量giが繰り返し算出されている場合なので、上記giの初期化処理を行うことなく、図15のステップ516に進む。
図15のステップ516では、i=jに設定し、次に、flag2がTRUEかを調べる(ステップ517)。ここで、flag2がTRUEであると判断されると(ステップ517でYES)、Nsの設定を行い(ステップ518)、ステップ519に進む。なお、ステップ517で、flag2がTRUEでないと判断されると(ステップ517でNO)、Nsの設定を行うことなくステップ519に進む。
ステップ519では、Ns≧Gjかを調べる。ここで、Ns≧Gjであると判断された場合は(ステップ519でYES)、gj=gj+Gj、Gj=0、Ns=Ns−Gjに設定するとともに、jを1インクリメント(j=j+1)する(ステップ520)。そして、j>mかを調べ(ステップ512)、j>mであると(ステップ512でYES)、ステップ523に進み、j>mでないと(ステップ521でNO)、j=1にして(ステップ522)、ステップ523に進む。
ステップ523では、iとjが等しいかを調べ、iとjが等しくないと(ステップ523でNO)、ステップ519に戻るが、等しいと判断されると(ステップ523でYES)、信号の送信を指示する指示量gjの算出が一巡したので、次に、flag1がFALSEかを調べ(ステップ524)、flag1がFALSEであると判断されると(ステップ524でYES)、図13のステップ501に進み、図13のフローチャートから許可量Giおよび指示量giの算出を繰り返す。
なお、ステップ524で、flag1がFALSE、すなわちTRUEの場合は(ステップ524でNO)、グラントを全て使用したか、全ての情報量Riに対して信号の送信を指示した場合なので、flag2をTRUEに設定し(ステップ527)、この処理を終了する。
また、ステップ519で、Ns≧Gjでない、すなわちGj>Nsの場合は(ステップ519でNO)、許可量Gjに相当する信号の送信の指示が、1回のPLOAMセル1若しくはPLOAMセル2で指示しきれない場合なので、gj=gj+Ns、Gj=Gj−Ns、Ns=0に設定し(ステップ526)、その後、flag2をTRUEに設定し(ステップ527)、この処理を終了する。この場合は、従装置jに対して連続するPLOAMセル1若しくはPLOAMセル2で信号の送信を指示することになる。
図16は、主装置20がPLOAMセルに信号の送信を指示する方法を示したフローチャートである。
主装置20は、上記図13乃至15の算出処理によって求められたgiに基づいて、図16に示したフローチャートに従ってPLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2を作成し、送信部23を介して従装置10へ送信する。
すなわち、まず、i=1、#n=1に設定し(ステップ601)、次に、giが0でないかを調べる(ステップ602)。ここで、giが0でないと(ステップ602でYES)、次に、グラント#nが未使用かを調べ(ステップ603)、未使用であると(ステップ603でYES)、グラント#nに従装置iのID番号を設定する(ステップ604)。
次に、giを1デクリメント(gi=gi−1)し(ステップ605)、#nを1インクリメント(#n=#n+1)して(ステップ606)、ステップ602に戻る。
そして、ステップ602で、giが0であると判断されると(ステップ602でNO)、iを1インクリメント(i=i+1)し(ステップ607)、i>mかを調べる(ステップ608)。ここで、i>mでないと(ステップ608でNO)、ステップ602に戻るが、i>mであると判断されると(ステップ608でYES)、この処理を終了する。
次に、従装置10が主装置20からの指示に従って、信号を送信する方法について説明する。
図2に示した従装置10では、受信ポートを介して受信部14でセルが受信される。受信部14では、セルに書き込まれた宛て先に基づいて、受信したセルが該従装置10宛てであるかが識別される。
ここで、セルが該従装置10宛ての場合は、セルに書き込まれたセル識別子に基づいてセルの種類が識別される。そして、識別されたセルが信号セルの場合は出力部12に送られ、PLOAMセルの場合は制御部17に送られる。
制御部17では、受信部14からPLOAMセルを受け取ると、図7乃至図10のフローチャートによって、信号の送信が指示されたのか、情報量の申告が指示されたのかを判断する。
信号の送信を指示されたと判断した場合は、バッファメモリ15に一時的に蓄積されていた信号を取り出し、信号を送信するセルを作成し、送信部13を介してこの作成したセルを送信する。
以上より、図1に示したポイント・マルチポイント通信システムにおけるこのアクセス方式では、図12に示した帯域割当てのように、主装置20で算出された許可量Gi以下で、信号の送信を指示された従装置10が上りの伝送路を独占的に使用して、信号を連続的に送信することができる。
次に、上記説明したこの発明の第1の実施の形態によるアクセス方式と従来のアクセス方式であるTDMA、およびCSMA/CDとをシミュレーションで比較した結果について説明する。
図17は、この発明の第1の実施の形態によるアクセス方式と従来のTDMAおよびCSMA/CDによるアクセス方式とにおいて、伝送路の負荷率に応じて従装置および端末からバースト的な信号を発生させた場合に、従装置および端末から信号が送信されるまでの最大送信待ち時間を比較した結果である。
シミュレーションの構成としては、この発明によるアクセス方式においては、図1に基づいて、光伝送路30を介して32台の従装置10と1台の主装置20を接続し、伝送容量を155.52Mビット/秒、主装置20と各従装置10との距離を20km、伝搬遅延時間を100μ秒としたポイント・マルチポイント通信システムを構成した場合を想定している。
また、CSMA/CDでは、100Base−Tに基づいて、32台の端末を1台のハブに接続し、伝送容量を100Mビット/秒、端末とハブとの距離を200m、伝搬遅延時間を1μ秒としたポイント・マルチポイント通信システムを想定している。
また、シミュレーションのパラメータとして、この発明によるアクセス方式では、情報量の申告を指示するグラントの間隔を53とし、1回/上り伝送フレームの割合で従装置が情報量を申告するようにし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd=0.1秒として、従装置に信号の送信を許可する許可量の最大値kビットを定めた場合を想定している。
また、従来のTDMAによるアクセス方式では、光伝送路の伝送容量を従装置の総数で割り、各従装置へ4.86Mビット/秒を固定的に割り当てた場合を想定している。
図17において、横軸は伝送路の負荷率であり、縦軸は従装置および端末で発生した信号が送信されるまでの最大送信待ち時間である。
図17から明らかなように、この発明による第1の実施の形態ののアクセス方式では、伝送路の負荷率が50%以上と高くなり、バーストトラヒックが増えた場合でも、従来のTDMAやCSMA/CDのアクセス方式のように最大送信待ち時間が増えることなく比較的低い値で安定しており、バーストトラヒックの収容に優れていることが分かる。
負荷率80%では、この発明のアクセス方式の最大送信待ち時間がTDMAによるアクセス方式に比べて約1/3、CSMA/CDによるアクセス方式に比べて約1/9である。
図18は、この発明の第1の実施の形態のアクセス方式と、従来のTDMAおよびCSMA/CDによるアクセス方式とにおいて、伝送路の負荷率を50%とし、主装置および端末が90Mビット分の信号を受信するまでにかかる時間を比較した結果である。
図18において、横軸は時刻であり、縦軸は各時刻における受信ビット数である。
図18から明らかなように、この発明の第1の実施の形態のアクセス方式は、数Mバイト規模のバーストトラヒックが発生した場合でも短時間で信号の受信を完了しているが、従来のアクセス方式では、信号の受信を完了するまでに長時間を要することが分かる。
上記のシミュレーションにおいて信号の受信を完了するまでの時間は、この発明のアクセス方式がTDMAによるアクセス方式に比べて1/12、CSMA/CDによるアクセス方式に比べて1/20である。
CSMA/CDによるアクセス方式では、数Mバイト規模の信号がバースト的に発生した場合に、信号が64〜1500Kバイト程度のパケットに区切られ繰り返し送信されため、伝送路の負荷率が50%程度でも、バケットの衝突による再送信によって信号の送信に時間がかかり、アクセスの公平性が満足できないことが分かる。
また、帯域が固定的に割り当てられてたTDMAによるアクセス方式では、バースト的に発生した信号に対して伝送路の使用効率が悪く、伝送路の負荷率が50%程度でも、送信待ちの従装置が他の従装置のタイムスロットを使用できず信号の送信に時間かかることが分かる。
一方、この発明の第1の実施の形態のアクセス方式は、数Mバイト規模の信号がバースト的に発生した場合でも、主装置が従装置に対して帯域を動的に割り当てるため、伝送路の使用効率が非常に良く、伝送路の負荷率が50%程度でも、信号の送信に時間が短時間で終了することが分かる。
従って、この発明第1の実施の形態のアクセス方式は、各従装置のアクセスの公平性を保証し、情報伝送の遅延許容時間も満足することができ、バースト的なトラヒックの収容に関して非常に優れていることが分かる。
次に、この発明に係るポイント・マルチポイント通信システムの第2の実施の形態について説明する。
この第2の実施の形態においては、主装置20が従装置10に対して情報量の申告を指示するグラントの間隔Pを、PLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2のグラントの使用状態に応じて動的に更新するように構成されており、これにより、通信の効率を高めることができる。
例えば、PLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2に未使用のグラントが多い場合は、従装置10から申告された情報量が少なく、光伝送路30の負荷率が低いことを意味する。
このような場合は、情報量の申告を指示するグラントの間隔Pを短くしたり、未使用のグラントを用いて情報量の申告を指示したりすることにより、主装置20が従装置10の情報量の変化をより詳細に認識することができるようにする。 従って、主装置20は、従装置10の情報量の変化に対して、より柔軟に信号の送信を指示できるので、従装置10が信号を送信するまでの待ち時間を短縮し、従装置10が信号を一時的に蓄積するために必要なバッファメモリ量も削減することができる。
逆に、PLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2に未使用のグラントが少ないか、全く無い場合は、従装置10から申告された情報量が多く、光伝送路30の負荷率が高いことを意味する。
このような場合は、情報量の申告を指示するグラントの間隔Pを長くすることにより、光伝送路30上で信号の送信に利用可能な帯域が広がり、スループットを向上させることができる。
上述のように、従装置10に対する情報量の申告の指示を動的に行うことで、従装置10が信号を送信するまでの待ち時間を短縮し、従装置10が信号を一時的に蓄積するために必要なバッファメモリ量を削減し、スループットを向上させることができる。
図19は、PLOAMセルのグラントに送信の指示を設定する順序とPLOAMセルの未使用のグラントに情報量の申告を指示する方法を示したフローチャートである。
図19において、各従装置10に対する情報量の申告の指示は、情報量の申告を指示するグラントの間隔Pに基づいた処理と、未使用のグラントが存在した場合の処理とがそれぞれ独立であるため、各従装置10に対して申告の指示の公平性を保証し、かつ効率的に行うことができる。
すなわち、図19において、まず、図6乃至図10に示したフローチャートの処理によりPLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2のグラントに、情報量の申告指示を設定する(ステップ611)。
次に、図10乃至図16のフローチャートの処理により、PLOAMセル1若しくはPLOAMセル2の信号の送信の指示を設定する(ステップ612)。
そして、PLOAMセル1若しくはPLOAMセル2に未使用のグラントがあるかを調べる(ステップ613)。ここで、PLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2に未使用のグラントがある場合は(ステップ613でYES)、この未使用のグラントに、従装置iに対する情報量の申告指示を設定し(ステップ614)、情報量の申告を指示する従装置iを更新し(ステップ615)、ステップ703に戻る。但し、ステップ705の処理において、従装置の総数をmとした場合に、1≦i≦mとする。
このようにして、ステップ703で、PLOAMセルPLOAM1若しくはPLOAMセルPLOAM2に未使用のグラントがないと判断されると(ステップ613でNO)、この処理を終了する。
次に、上記説明したこの発明の第2の実施の形態によるアクセス方式と、従来のTDMA、およびCSMA/CDアクセス方式とをシミュレーションで比較した結果について説明する。
図20は、この発明の第1の実施の形態に関して示した同様のシミュレーション構成により、この発明の第2の実施の形態によるアクセス方式と従来のTDMA、およびCSMA/CDによるアクセス方式とを比較した結果である。
シミュレーションでは、この発明のアクセス方式において、未使用のグラントを用いて情報量の申告を指示し、第1の実施の形態で示した場合と同様に、伝送路の負荷率に応じた最大送信待ち時間を比較する。
なお、図20では、負荷率が低い場合の差が分かるように、縦軸を拡大して表示している。
図20から明らかなように、この発明の第2の実施の形態によるアクセス方式では、伝送路の負荷率が高くなり、バーストトラヒックが増えた場合でも、TDMAやCSMA/CDによるアクセス方式のように最大送信待ち時間が増えることなく比較的低い値で安定しており、バーストトラヒックの収容に優れていることが分かる。
さらに、情報量の申告の指示を動的にすることにより、負荷率が低い場合でも、CSMA/CDによるアクセス方式と比べて、ほとんど差がない結果が得られていることが分かる。
図21は、同様のシミュレーションにより、従装置および端末のバッファメモリに蓄積された信号の量を比較した結果であり、縦軸はバッファメモリの最大信号蓄積量である。
図21から明らかなように、この発明の第2の実施の形態によるアクセス方式では、伝送路の負荷率が高くなり、バーストトラヒックが増えた場合でも、TDMAやCSMA/CDによるアクセス方式のように最大信号蓄積量が増えることなく比較的低い値で安定しており、バーストトラヒックの収容に優れ、従装置に必要なバッファメモリ量を削減できることが分かる。
さらに、負荷率が低い場合でも、TDMAによるアクセス方式より優れており、CSMA/CDによるアクセス方式と比べてもほとんど差がない結果が得られていることが分かる。
負荷率80%では、この発明のアクセス方式の最大信号蓄積量がTDMAによるアクセス方式に比べて約1/2、CSMA/CDによるアクセス方式に比べて約1/3である。
次に、この発明のポイント・マルチポイント通信システムの第3の実施の形態について説明する。
この発明のポイント・マルチポイント通信システムの第3の実施の形態においては、上述した第1若しくは第2の実施の形態において、全ての従装置から申告された情報量に対して信号の送信を指示した後に、伝送容量に余裕がある場合は主装置から各従装置へ信号の送信を逐次的に指示するように構成する。
このような構成によると、従装置から申告された情報量が少なく通信のトラヒックが低い場合に、主装置から従装置に対して信号の送信を常に指示することが可能になるため、従装置が信号を送信するまでに必要な待ち時間と、信号を一時的に蓄積するために必要なバッファメモリ量を削減し、通信の効率をより向上させることができる。
さらに、上述した第1若しくは第2の実施の形態に基づく信号の送信の指示とこの第3の実施の形態によるによる信号の送信の指示とは、各々の処理が独立して実行されるため、全ての従装置に対して情報伝送の遅延要求とアクセスの公平性を保証することができる。
この第3の実施の形態において、図4に示したように、下りの1フレームは56スロット、上りの1フレームは53スロットからなり、これらの伝送フレームに基づいて、主装置20から従装置10−1〜10−mへの下りがTDM(Time Division Multiplex)、従装置10−1〜10−mから主装置20への上りがTDMA(Time Division Multiple Access)の多重方式により、下り53バイト、上り56バイトのセルがそれぞれ送受信される。
また、 図5に示したように、下り伝送フレームには、28セルに1セルの割合で1フレームに2つのPLOAMセルが含まれており、最初のPLOAMセルPLOAM1には従装置10−1〜10−mからの上りセルを要求するグラントが27個、二番目のPLOAMセルPLOAM2にはグラントが26個あり、合計53個のグラントが含まれている。
PLOAMセルPLOAM1のグラントは上り伝送フレームのセル1からセル27に対応し、PLOAMセルPLOAM2のグラントは上り伝送フレームのセル28からセル53に対応する。
主装置20は、図5に示したPLOAMセルのグラントに、従装置10−1〜10−mのID番号等の識別子を書き込むことで、上り伝送フレーム内のどのスロットに、どの従装置10−1〜10−mがセルを送信できるかを指示することができる。
従装置10−1〜10−mのID番号は、主装置20で管理され、システムに加わる全ての従装置10−1〜10−mには、初期の段階でID番号が通知される。
このID番号により、主装置20ではどの従装置10−1〜10−mからのセルであるかが識別され、各従装置10−1〜10−mでは受信したセルが自分宛てであるかが識別される。
従装置10−1〜10−mは、PLOAMセルに該従装置10−1〜10−mの識別子が書き込まれていた場合、グラントに対応する上り伝送フレームのスロットにセルを送信することができ、この方法により光伝送路上でセルが衝突することを回避できる。
従装置10−1〜10−mは、セルの送信に先立ち、主装置20からの指示によりセルの送信に必要な情報量を申告する。
主装置20から従装置10−1〜10−mへ情報量の申告を指示する方法の詳細、および、従装置10−1〜10−mから主装置20へ情報量を申告する方法の詳細については、第1若しくは第2の実施の形態と同様である。
従装置10−1〜10−mから情報量の申告を受けた主装置20は、申告された情報量に基づいて特定の最大値以下で各従装置10−1〜10−mにセルの送信を許可する許可量を算出し、この許可量に基づいて、図5に示したPLOAMセルのグラントを用いてセルの送信を従装置10−1〜10−mへ指示する。
主装置10における許可量の算出方法およびPLOAMセルを用いた送信の指示方法の詳細は、第1若しくは第2の実施の形態と同様である。
主装置20は、上述した許可量に基づくセルの送信の指示後に、PLOAMセルに未使用のグラントがある場合には、各従装置10−1〜10−mへセルの送信を逐次的に指示することで、バースト的な通信をより良好に行うことが可能になる。
例えば、PLOAMセルに未使用のグラントが多い場合は、従装置10−1〜10−mから申告された情報量が少なく、通信のトラヒックが低いことを意味する。
このような場合は、各従装置10−1〜10−mへセルの送信を逐次的に指示することにより、バースト的に発生するセルをより迅速に転送することが可能になるため、従装置10−1〜10−mが信号を送信するまでに必要な待ち時間と、信号を一時的に蓄積するために必要なバッファメモリ量を削減し、通信効率を向上させることができる。
また、バースト的な通信においては、信号の送信間隔がランダムになるため、通信のトラヒックが高い場合でも、PLOAMセルに未使用のグラントが存在する場合があり得る。
このような場合においても、未使用のグラントを用いて各従装置へセルの送信を逐次的に指示することにより同様の効果を得ることができる。
図22は、PLOAMセルのグラントを用いて、従装置10−1〜10−mへ信号の送信の指示を設定する上述した第3実施の形態のフローチャートである。 ここで、逐次的なセルの送信の指示は、許可量に基づくセルの送信の指示後に従装置10−1〜10−mのID番号等の識別子をPLOAMセルの未使用のグラントに順番に割り当てることで容易に実施できる。また、逐次的なセルの送信の指示は、稼働している従装置のみに対して実施することにより、より効率的に行うことが可能になる。
図22において、この処理が開始されると、まず、従装置10−1〜10−mから申告された情報量に基づいて、特定の最大値以下で信号の送信を連続的に指示する。この送信の指示はPLOAMセルのグラントに書き込む(ステップ621)。
次に全ての情報量に対する送信の指示後、POLAMセルに未使用のグラントが存在するかを調べる(ステップ622)。
ここで、POLAMセルに未使用のグラントが存在する場合は(ステップ622でYES)、未使用のグラントを用いて、各従装置10−1〜10−mへ信号の送信を逐次的に指示する。この送信の指示は、PLOAMセルの未使用のグラントに書き込む(ステップ623)。なお、POLAMセルに未使用のグラントが存在しない場合は(ステップ623)、そのままこの処理を終了する。
また、逐次的なセルの送信の指示は、稼働している従装置のみに対して実施することにより、より効率的に行うことが可能になる。
図22において、特定の最大値以下で信号の送信を指示する方法と、PLOAMセルのグラントに逐次的にセルの送信を指示する方法とは、それぞれの処理が独立している。
そのため、逐次的にセルの送信を指示する場合でも、各従装置に対して情報伝送の遅延要求とアクセスの公平性を保証することができる。
このような構成によると、特定の最大値以下で従装置10−1〜10−mが上りの伝送路を独占的に使用して、信号を連続的に送信することができる。
さらに、従装置10−1〜10−mから申告された情報量が少なく、PLOAMセルのグラントに空きがある場合には、各従装置10−1〜10−mへ信号の送信を逐次的に割り当てることによって、バースト的に発生するセルをより迅速に転送することを可能にし、従装置10−1〜10−mが信号を送信するまでに必要な待ち時間と、信号を一時的に蓄積するために必要なバッファメモリ量を削減し、通信効率を向上させることができる。
次に、上記説明した第3の実施の形態によるアクセス方式と、従来のアクセス方式であるTDMAをシミュレーションで比較した結果について説明する。
図23は、第2の実施の形態によるアクセス方式と、スロットを固定的に割り当てるTDMAにおいて、伝送路の負荷率に応じて従装置からバースト的な信号を送信する場合に、従装置10−1〜10−mから信号が送信されるまでの最大送信待ち時間を比較した結果である。
シミュレーションの構成として、この第3実施の形態によるアクセス方式およびTDMAでは、図1に基づいて、光伝送路30を介して32台の従装置10−1〜10−32と1台の主装置20を接続し、伝送容量を155。52Mビット/秒、主装置と各従装置との距離を20km、伝搬遅延時間を100μ秒としたポイント・マルチポイント通信システムを構成した。
また、この第3の実施の形態によるアクセス方式では、情報量の申告を指示するグラントの間隔を53とし、1回/上り伝送フレームの割合で従装置が情報量を申告するようにし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間を0。1秒として、従装置に信号の送信を許可する許可量の最大値を定めた。
また、TDMAでは、光伝送路の伝送容量を従装置の総数で割り、各従装置へ4.86Mビット/秒を固定的に割り当てた。
図23において、横軸は伝送路の負荷率であり、縦軸は従装置10−1〜10−mおよび端末で発生した信号が送信されるまでの最大送信待ち時間である。
図23から明らかなように、この第3の実施の形態のアクセス方式は、主装置20が従装置10−1〜10−32に対して帯域を動的に割り当てるため、通信のトラヒックが増えた場合でも、TDMAのように最大送信待ち時間が増えることなく比較的低い値で安定しており、バーストトラヒックの収容に優れていることが分かる。
負荷率80%では、この発明のアクセス方式の最大送信待ち時間がTDMAに比べて約1/7である。
図24は、上記説明した第3の実施の形態によるアクセス方式と、未使用のグラントを用いて信号の送信の指示をしなかった場合の平均送信待ち時間をシミュレーションによって比較した結果であり、シミュレーションの構成は上記の場合と同様である。
図24から明らかなように、この第3の実施の形態のアクセス方式では、未使用のグラントを用いて各従装置10−1〜10−mへ信号の送信を逐次的に指示することにより、平均送信待ち時間が短くなっていることが分かる。
従って、従装置10−1〜10−mが信号を送信するまでに必要な待ち時間と、信号を一時的に蓄積するために必要なバッファメモリ量を削減し、通信効率を向上させることができ、バースト的なトラヒックの収容に関して非常に優れていることが分かる。
また、伝送路の負荷率が高い場合においても、PLOAMセルの未使用のグラントを使用することにより、平均送信待ち時間が短縮され、同様の効果が得られていることが分かる。
次に、この発明に係るポイント・マルチポイント通信システムの第4の実施の形態について説明する。
図4に示した上り伝送フレームでは、1台の従装置10−1〜10−mからのセルを1スロットで伝送するが、この第4の実施の形態では、スロットを複数に分割したミニスロットを構成することにより、複数の従装置10−1〜10−mからのセルを1スロットで伝送することができるように構成される。
図25は、図4に示した上り伝送フレームの1スロットを8個のミニスロットに分割した例を示したものである。
ここでは説明の都合上、1ミニスロットを7バイトとし、このミニスロットによって3バイトのオーバヘッドと、4バイトのデータからなるミニセルが伝送されるように構成されている。
従って、通常は、1台の従装置10−1〜10−mから送信された56バイトのセルが1スロットで伝送されるが、このミニスロットを構成した場合では、最多で8台の各従装置10−1〜10−mから送信された7バイトのミニセルを1スロットで伝送することができる。
なお、ミニスロットおよびミニセルの大きさは、システムで任意に設定することが可能であり、例えば、1ミニスロットを14バイトとした場合は、最多で4台の各従装置10−1〜10−mから送信された14バイトのミニセルを1スロットで伝送できることになる。
以下に、上記のミニスロットを用いて、主装置20が従装置10−1〜10−mに対して情報量の申告を指示し、従装置10−1〜10−mが主装置20に対して情報量の申告をする方法について説明する。
まず、ミニスロットを用いる場合は、主装置20からの指示に従ってミニセルを送信する従装置10−1〜10−mを特定するために、従装置10−1〜10−mを複数のグループに分け、各従装置10−1〜10−mにグループのID番号を予め割り当てる必要がある。
ここで、グループのID番号は、従装置10−1〜10−mのID番号と1スロットに含まれるミニスロットの総数Sとに基づいて式(3)より求めることができる。
グループのID番号 = 従装置のID番号÷S+1 … (3)
但し、従装置10のID番号は、従装置10−1〜10−mの総数をmとした時に、1≦従装置のID番号≦m、を満たす重複しない値が各従装置10−1〜10−mに割り当てられる。
例えば、従装置10−1〜10−mの総数を32とし、図22のように1スロットを8個のミニスロットに分割した場合、8台の従装置10−1〜10−mを1グループとした4つのグループに分けることができ、各従装置10−1〜10−mには式(3)に基づいて、1≦グループのID番号≦4、を満たすいずれかの値が割り当てられる。
主装置20が従装置10−1〜10−mに対して、ミニスロットを用いて情報量の申告をするように指示する場合は、図6乃至図10のフローチャートにおいて、特定の従装置10−1〜10−mに対して情報量の申告を指示する代わりに特定のグループに対して情報量の申告を指示するように変更すればよい。
従装置10−1〜10−mは、図7乃至図10のフローチャートにおいて、主装置20からの指示を判断する処理部分で、該従装置10−1〜10−mのID番号に基づいた判断のかわりに該従装置10−1〜10−mのグループ番号に基づいた判断をするように変更すればよい。
従装置10−1〜10−mは、該従装置10−1〜10−mに対してミニスロットを用いて情報量の申告が指示されたと判断した場合、情報量の申告を示すセル識別子、カウンタで計数された情報量、および該従装置10のID番号を少なくとも書き込んだミニセルを作成し、上り伝送フレームのミニスロットにより、送信部を介して作成したミニセルを主装置20へ送信する。
なお、従装置10−1〜10−mが用いるミニスロットの番号#sは、従装置10−1〜10−mのID番号、グループのID番号、および、1スロットに含まれるミニスロットの総数Sに基づいて、式(4)より求められる。
#s = 従装置のID番号−((グループのID番号−1)×S)…(4)
図26は、上記第4の実施の形態において、従装置10−1〜10−mのID番号と式(4)より求められたミニスロットの番号#sとの対応を示したものである。
また、主装置20が従装置10−1〜10−mに対してミニスロットを用いて情報量の申告をするように指示する間隔は、第1若しくは第2の実施の形態で述べた同様の方法を適用することが可能であり、PLOAMセルのグラントの使用状態に応じて動的に更新することにより通信の効率を高めることができる。
さらに、この実施の第4の実施の形態では、情報量の申告に関してミニスロットを用いる方法について説明したが、主装置20が従装置10−1〜10−mに対して信号の送信を指示し、従装置10−1〜10−mが主装置20に対して信号を送信する場合にも、ミニスロットを用いることができる。
次に、上記説明したこの発明の第4の実施の形態によるアクセス方式と、従来のTDMA、およびCSMA/CDによるアクセス方式とをシミュレーションで比較した結果について説明する。
図27は、第1の実施の形態に関して示した同様のシミュレーション構成により、この発明の第4の実施の形態によるアクセス方式と従来のTDMA、およびCSMA/CDによるアクセス方式とを比較した結果である。
ここで、このシミュレーションでは、この発明の第4の実施の形態のアクセス方式において、情報量の申告に関してミニスロットを利用し、第1の実施の形態の場合と同様に、伝送路の負荷率に応じた最大送信待ち時間を比較した。
なお、図27では、負荷率が低い場合の差が分かるように、縦軸を拡大して表示している。
図27から明らかなように、この発明の第4の実施の形態によるアクセス方式は、伝送路の負荷率が高くなり、バーストトラヒックが増えた場合でも、TDMAやCSMA/CDによるアクセス方式のように最大送信待ち時間が増えることなく比較的低い値で安定しており、バーストトラヒックの収容に優れていることが分かる。
さらに、情報量の申告に関してミニスロットを利用することにより、負荷率が低い場合でも、CSMA/CDによるアクセス方式と比べて同等の結果が得られていることが分かる。
負荷率10%では、この発明の第4の実施の形態のアクセス方式の最大送信待ち時間がTDMAによるアクセス方式に比べて約1/10、CSMA/CDによるアクセス方式と比べてほぼ同等であり、負荷率80%では、この発明の第4の実施の形態のアクセス方式の最大送信待ち時間がTDMAによるアクセス方式に比べて約1/5であり、CSMA/CDによるアクセス方式に比べて約1/14であり、このミニスロットを用いることで、通信効率が向上していることが分かる。
図28は、同様のシミュレーションにより、従装置10−1〜10−mおよび端末のバッファメモリに蓄積された信号の量を比較した結果であり、縦軸はバッファメモリの最大信号蓄積量である。
なお、図28では、負荷率が低い場合の差が分かるように、縦軸を拡大して表示している。
図28から明らかなように、この発明の第4の実施の形態によるアクセス方式は、伝送路の負荷率が高くなり、バーストトラヒックが増えた場合でも、TDMAやCSMA/CDによるアクセス方式のように最大信号蓄積量が増えることなく比較的低い値で安定しており、バーストトラヒックの収容に優れ、従装置10−1〜10−mに必要なバッファメモリ量を削減できることが分かる。
さらに、負荷率が低い場合でもTDMAによるアクセス方式より優れており、CSMA/CDによるアクセス方式と比べてもほとんど差がない結果が得られていることが分かる。
負荷率80%では、この発明の第4の実施の形態のアクセス方式の最大信号蓄積量がTDMAによるアクセス方式に比べて約1/2、CSMA/CDによるアクセス方式に比べて約1/4であり、ミニスロットを用いることで、通信効率が向上し、従装置に必要なバッファメモリ量を削減できることが分かる。
次に、この発明に係るポイント・マルチポイント通信システムの第5の実施の形態について説明する。
この第5の実施の形態においては、従装置10−1〜10−mへ情報信号の送信を許可する許可量の特定の最大値kを、従装置10に対する課金、契約、緊急度および優先度等の違いにより、従装置10−1〜10−mごとに個別な値を定めるように構成される。
この場合、従装置10−1〜10−mごとの特定の最大値kiビット(i=1、…、m)は、図29に示す帯域割当のように、従装置10の総数をm(mは整数)、従装置10−1〜10−mが稼動している割合をα(0<α≦1.0)、ポイント・マルチポイント通信の情報伝送容量をrビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd秒としたときに、
Σki≦r×td …(5)
の関係を満たすように、従装置10−1〜10−mの個々に決定される。ここで、Σはiについて1からαmまでの加算を示す。なお、従装置10−1〜10−mが稼動している割合αは、式(2)によって同様に求められる。
許可量Giは、図13に示したフローチャートにおいて、kの代わりにkiとすることによって求められる。
PLOAMセルの送信時に従装置iへ信号の送信を指示する指示量giは、図14および図15に示したフローチャートによって同様に求められる。
なお、上記第1乃至第5の実施の形態においては、セルの多重方式をTDMおよびTDMAとしたが、この発明によるアクセス方式は、例えばFDM(Frequency Division Multiplex)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)等にしても容易に実施することができる。
このように上記第1乃至第5の実施の形態によれば、従装置10−1〜10−mは信号の送信に必要な情報量を主装置20へ申告し、主装置20は各従装置10−1〜10−mから申告された情報量に基づいて信号の送信を指示するので、数Mバイト規模の信号をバースト的に送信する場合でも、伝送路上で信号の衝突が全く起こらず、CSMA/CDのようにスループットが低下しない。
また、従装置10−1〜10−mに対して情報量を申告するように指示する間隔を動的に更新したり、スロットを複数に分割したミニスロットを構成することにより、通信の効率をさらに向上させることができる。
信号の送信を許可する許可量は、従装置10−1〜10−mからの申告に基づいて、情報伝送容量を100%有効利用できるように動的かつ効率的に算出されるので、バーストトラヒックや従装置10−1〜10−mの数が増加したような混雑時でも高いスループットが得られる。
許可量の最大値kビットは、従装置10−1〜10−mの総数をm(mは整数)とし、従装置10−1〜10−mが稼動している割合をα(0<α≦1.0)とし、情報伝送容量をrビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd秒としたときに、
k≦(r×td)/(α×m)
の関係を満たすように決定する。
従って、従装置10−1〜10−mは最大でkビットの信号を送信する間、上り方向の伝送路を独占的に使用できるので、大規模な信号を連続的に送信することが可能である。
また、上式に基づいて許可量を決定した場合は、全ての従装置10−1〜10−mがkビットの信号を送信した場合でも、その送信に必要な時間はtd秒なので、全ての従装置10−1〜10−mに対して情報伝送の遅延許容時間tdを保証することができる。
全ての従装置10−1〜10−mは、この遅延許容時間td秒以内で、信号を必ず送信できるのでアクセスの公平性と情報伝送の遅延許容時間を保証することができる。
さらに、従装置10−1〜10−mが信号を送信するまでの最大送信待ち時間は、伝送路の負荷率が高くなり、バーストトラヒックが増えた場合でも、TDMAやCSMA/CDのように増加することなく低い値で安定しており、負荷率が低い場合でも、TDMAより優れており、CSMA/CDと比べてもほとんど差がない結果が得られる。
また、この実施の形態において、従装置10−1〜10−mのバッファメモリにおける最大信号蓄積量は、伝送路の負荷率が高くなり、バーストトラヒックが増えた場合でも、従来の方式のように増加することなく低い値で安定しており、負荷率が低い場合でも、TDMAより優れており、CSMA/CDと比べてもほとんど差がない結果が得られ、従装置10−1〜10−mに必要なバッファメモリ量を削減できる。
このような構成によると、バースト的なトラヒックの収容に関して非常に優れているポイント・マルチポイント通信システムのアクセス方式を提供することが可能になる。
図30は、この発明の第6の実施の形態によるポイント・マルチポイント通信システムで採用されるパケットの多重方式であるTDMおよびTDMAのフレーム周期を説明する図である。
なお、この第6の実施の形態において、システム構成は図1に示した構成と同様であり、従装置10−1〜10−mおよび主装置20の構成は、図2および図3に示した構成と同様である。
図30において、パケットの多重方式であるTDMおよびTDMAのフレーム周期は、1msとし、1フレーム内には、情報領域、制御領域、遅延制御領域が設けられる。
従装置10−1〜10−mの総数を32、伝送容量を155.52M(bit/sec)、固定長のパケットサイズを60(byte)、遅延制御領域を111(μs)とすると、図30に示した例では、情報領域と制御領域がそれぞれ256および32パケット分のタイムスロットからなり、図中の#nはタイムスロットの番号を示している。
情報領域は、主装置20と従装置10−1〜10−m間で情報パケットの送受信に用いられる。制御領域は、主装置20と従装置10−1〜10−m間で制御パケットの送受信に用いられ、32の従装置10−1〜10−m全てがフレーム周期毎に制御パケットを送受信できる分のタイムスロットが確保されている。
遅延制御領域は、主装置20と各従装置10−1〜10−m間の伝送距離にばらつきがある場合に、パケットの送信時間を調整するために用いられ、伝送距離が10(km)であることを想定したサイズが確保されている。ここで、伝送距離が短くパケットの伝送遅延にばらつきがない場合は、遅延制御領域を特に設けなくてもよい。
なお、TDMおよびTDMAのフレーム周期、フレーム内の領域構成、および各領域の位置とサイズは、システムで任意に設定してよい。例えば、遅延制御領域をフレーム毎に設けず特定の時間周期でフレームに挿入するようにして情報領域のサイズをより広く確保するマルチフレーム構成などが考えられる。さらに、フレームフォーマットは、上りおよび下り方向で異なる構成にしてもよい。
図31は、この第6の実施の形態によるポイント・マルチポイント通信システムにおけるアクセス方式の制御手順を示すシーケンス図である。
図31において、まず、主装置20へ情報信号を送信する従装置10−1〜10−mは、送信する情報信号を一時的にバッファメモリ15に蓄積し、この蓄積された情報信号の蓄積量を送信部13を介して主装置20へ申告する(図31(1-1))。ここで、iは個々の従装置を表わし、従装置の総数をm(mは整数)とした場合、i=1,2、…mである。
従装置10−1〜10−mからの申告を受けた主装置20は、申告された蓄積量Riに基づいて、各従装置10−1〜10−mに対して送信を許可する情報量Niを特定の最大値k(bit)以下で算出する(図31(1-2))。ここで、特定の最大値kは、図5に示す帯域割当てのように、従装置の総数mを、従装置が稼動している割合をα(0<α≦1.0)、情報伝送容量をr(bit/sec)とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd(sec)としたときに、 式(1)の関係を満たすように決定される。なお、従装置10−1〜10−mが稼動している割合αは、式(2)より求められ、全ての従装置10−1〜10−mが稼動している割合は、α=1.0である。
主装置は情報量Niを算出した後に、フレーム周期毎に従装置へ通知する情報量niを情報量Niから算出し、この情報量niを従装置10−1〜10−mに対して通知する(図31(1-3))。
ここで、情報量Niと別に情報量niを求める理由は、算出された情報量Niが1フレームで送信可能な情報伝送容量を越えていた場合に、従装置10−1〜10−mに対して連続するフレームで情報量Niを完全に通知するためである。 主装置20から情報量niの通知を受けた従装置10−1〜10−mは、この情報量ni以下で一時的に蓄積されている情報信号を主装置20へ送信する(図31(1-4))。
以後は、図31に示した(2-1)〜(2-4)のように、上記の手順を順次繰り返す。 なお、情報量niは実装の便宜上必要なパラメータであり、主装置20から従装置10−1〜10−mへ情報量Niを通知し、従装置10−1〜10−m側で情報量Ni以下の情報信号を1フレーム以内で送信可能かを判断し、必要に応じて情報信号の送信を制御するなどしてもよい。
この第6の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムにおけるこのアクセス方式では、図12に示した帯域割当てのように、主装置20で算出された情報量以下で、情報量の通知を受けた従装置10−1〜10−mが上り方向の伝送路を独占的に使用して、情報信号を連続的に送信することができる。
なお、ここでは説明の都合上、従装置10−1〜10−mの総数を32とし、光伝送路30の伝送容量を主装置20から従装置10−1〜10−mへの下り方向、従装置10−1〜10−mから主装置20への上り方向ともに155.52M(bit/sec)とする。
ここで、例えば、下り方向の伝送容量を622.08M(bit/sec)として、上りおよび下り方向で伝送容量が非対称な構成にしてもよい。また、従装置10−1〜10−mの総数および伝送容量はシステムで任意に設定してよい。
また、主装置20と従装置10−1〜10−m間では、上述の光伝送路30を介して、下り方向がTDM(Time Division Multiplex)、上り方向がTDMA(Time Division Multiple Access)の多重方式によって、60(byte)の固定長パケットが送受信されるとする。
このパケット内には、図32に示すように、ヘッダ領域と、パケット識別領域と、従装置識別領域と、機能拡張のために予約された予約領域と、通信領域とが少なくとも含まれる。
ヘッダ領域には、光伝送路30上でパケットの衝突を回避するためのガードとバースト信号の受信をするためのプリアンブルとパケットのヘッダとそれ以外の部分を区別するためのデリミタが書き込まれる。
また、パケット識別領域には、主装置20および従装置10−1〜10−mでパケットの種類を識別するために、パケット種別番号が書き込まれる。
このパケット種別番号は、図33に示すように、パケット種別毎の個別な値がシステムで予め定められている。
また、従装置識別領域には、図34に示すように、従装置10−1〜10−m毎に個別に割り振られた従装置番号が書き込まれる。従装置番号は主装置20で管理され、システムに加わる全ての従装置10−1〜10−mには、初期の段階で主装置20から従装置番号が通知されている。
この従装置番号により、主装置20ではどの従装置10−1〜10−mからのパケットであるかが識別され、各従装置10−1〜10−mでは受信したパケットが自分宛てであるかが識別される。
予約領域は、主装置20と従装置10−1〜10−m間で、盗聴対策のための秘話鍵や、パケットのタイムスタンプ(送信時刻や送信回数など)を送受信することなどに用いられる。
通信領域は、主装置20と従装置10−1〜10−m間で、情報信号を送受信したり、蓄積量の申告や情報量の通知をしたり、構成管理、障害管理、課金管理、トラヒック管理およびセキュリティー管理などのOAM(Operation Administration & Maintenance)などに用いられる。
なお、パケットのサイズおよびフォーマットは、システムで扱うサービスの特性などに応じて任意に設定してよく、パケット種別番号と従装置番号もシステムの構成に応じて任意に設定してよい。
さらに、秘話鍵およびタイムスタンプの送受信や、種々のOAMなどは、その実施内容などに応じて、パケットの予約領域や通信領域を適宜用いるようにしてよい。
パケットの多重方式であるTDMおよびTDMAのフレーム周期は、図30に示したように1msとし、1フレーム内には、情報領域、制御領域、遅延制御領域が設けられる。
従装置10−1〜10−mの総数を32、伝送容量を155.52M(bit/sec)、固定長のパケットサイズを60(byte)、遅延制御領域を111(μs)とすると、図30に示した例では、情報領域と制御領域がそれぞれ256および32パケット分のタイムスロットからなり、図中の#nはタイムスロットの番号を示している。
情報領域は、主装置20と従装置10−1〜10−m間で情報パケットの送受信に用いられる。制御領域は、主装置20と従装置10−1〜10−m間で制御パケットの送受信に用いられ、32の従装置10−1〜10−m全てがフレーム周期毎に制御パケットを送受信できる分のタイムスロットが確保されている。
遅延制御領域は、主装置20と各従装置10−1〜10−m間の伝送距離にばらつきがある場合に、パケットの送信時間を調整するために用いられ、伝送距離が10(km)であることを想定したサイズが確保されている。ここで、伝送距離が短くパケットの伝送遅延にばらつきがない場合は、遅延制御領域を特に設けなくてもよい。
なお、TDMおよびTDMAのフレーム周期、フレーム内の領域構成、および各領域の位置とサイズは、システムで任意に設定してよい。例えば、遅延制御領域をフレーム毎に設けず特定の時間周期でフレームに挿入するようにして情報領域のサイズをより広く確保するマルチフレーム構成などが考えられる。さらに、フレームフォーマットは、上りおよび下り方向で異なる構成にしてもよい。
さて、図2に示した従装置10(10−1〜10−m)の入力ポートおよび図3に示した主装置20の入力ポートには、端末あるいは他のネットワークから、音声、映像およびデータなどのような情報信号が入力される。
この情報信号は入力部11および21をそれぞれ介してバッファメモリ15および25に送られ、バッファメモリ15および25内で一時的に蓄積される。
このバッファメモリ15および25における情報信号の蓄積方法としては、FIFO(First In First Out)などが考えられる。
なお、この情報信号は、例えばATMセルやイーサネット(登録商標)パケットのように、バッファメモリ15および25に蓄積される段階でセル化あるいはパケット化されていてもよい。
また、この第6の実施の形態においては、図35に示すように、情報パケットの通信領域のサイズを53(byte)としたので、入力される情報信号がATMセルであると整合性がよい。また、情報信号がイーサネット(登録商標)パケットの場合は、ATMのAAL Type5にマッピングすることで整合性がよくなる。
図2に示した従装置10では、バッファメモリ15に一時的に蓄積されている情報信号の蓄積量が、カウンタ16で随時カウントされる。この蓄積量は、情報信号の送信に必要なパケット数を単位として、整数でカウントされるとする。
例えば、図35に示した情報パケットでは、図32に示したパケットフォーマットの通信領域(53byte)で情報信号が伝送される。従って、蓄積量は、53(byte)分の情報信号が1パケットに換算されてカウントされる。
このカウント方法としては、バッファメモリ15への情報信号の入力およびバッファメモリ15からの情報信号の出力に応じて随時カウントする方法、バッファメモリ15にFIFOで蓄積されている情報信号の先頭アドレスと末尾アドレスの差から求める方法などが考えられる。
蓄積されている情報信号が53(byte)未満の場合には、送信に1パケット必要としてカウントしてもよいし、53(byte)になるまでカウントしなくてもよい。なお、蓄積量は、ビットあるいはバイトを単位とした整数値でカウントするようにしてもよい。
上記のように、情報信号の蓄積量を送信に必要なパケット数でカウントすることは、主装置20へ申告する値が小さくなるので効率がよい。
蓄積量カウンタ16でカウントされた情報信号の蓄積量は、制御部17にて読み取られる。制御部17では、この蓄積量を主装置へ申告するために制御パケットが作成される。
制御パケットは、図36に示すように、図32に示したパケットフォーマットの通信領域が蓄積量を申告するための蓄積量申告領域となっている。
蓄積量カウンタ16から読み取られた蓄積量は、この蓄積量申告領域に書き込まれる。パケット識別領域には、蓄積量を申告するパケットであることを示すパケット種別番号01hが書き込まれる。従装置識別領域には、主装置20から該従装置10−1〜10−mに予め割り振られた従装置番号が書き込まれる。なお、蓄積量は、前回の申告時からの差分を申告するようにしてもよい。
上記のように、制御部17にて制御パケットの各領域に必要な情報が書き込まれた後、この制御パケットは送信部13へ送られる。なお、ヘッダ領域は、必要な情報を制御部17で書き込む代わりに、送信部13で書き込むようにしてもよい。
さらに、蓄積量申告領域は、必要に応じて蓄積量を申告する以外の目的で使用してもよく、図32に示した通信領域で蓄積量を申告する代わりに、予約領域を用いるようにしてもよい。
制御部17から送信部13に送られた制御パケットは、フレーム内に設けられた制御領域のタイムスロットによって主装置20へ送信される。
なお、送信をするタイミングとタイムスロットの番号は、制御部17から指示される。
例えば、図30に示したフレームの制御領域には、32の従装置10−1〜10−m全てがフレーム周期毎に制御パケットを送受信できる分のタイムスロットが設けらる。このフレームフォーマットで制御パケットを送信する場合は、主装置20から予め通知されたタイムスロットの位置を使用して送信するように制御される。
このタイムスロットは、従装置10−1〜10−mの制御パケットが光伝送路30上で衝突しないように、従装置10−1〜10−m毎に個別な位置が割り当てられているとする。
なお、蓄積量を申告する周期は、従装置10−1〜10−mの総数やサービスクラスの種類などに応じてシステムで任意に設定してよく、この設定に基づいて図30に示した例のようなフレームフォーマットの一部が決定される。
図3に示した主装置20において、受信ポートを介して受信された各従装置10−1〜10−mからのパケットは、受信部24においてヘッダが取り除かれた後に、パケットに書き込まれたパケット種別番号に基づいて識別される。
識別されたパケットが情報パケットの場合は、出力部22に送られ、蓄積量を申告する制御パケットの場合は、記憶部26に送られる。
記憶部26内には、図37に示すように、従装置10−1〜10−mから申告された蓄積量が記憶される蓄積量テーブル(図37(a))、従装置10−1〜10−mへ送信を許可する情報量が記憶される情報量テーブル(図37(b))、フレーム周期毎に従装置10−1〜10−mへ通知する情報量が記憶される通知テーブル(図37(c))が設けられている。
各テーブルの蓄積量Ri、情報量Niおよびの初期値は0であり、従装置番号iには各従装置10−1〜10−mに対して個別に割り当てられた値が書き込まれている。
受信部24から蓄積量を申告する制御パケットを受けた記憶部26では、制御パケットの従装置識別領域と蓄積量申告領域から、それぞれに書き込まれた従装置番号と蓄積量を読み取る。この読み取られた蓄積量に基づいて蓄積量テーブル内で従装置番号が一致する蓄積量が更新される。
例えば、図38に示すように、各従装置10−1〜10−mのバッファメモリ15に蓄積された情報信号の蓄積量がカウントされていた場合、主装置20が制御パケットを受信した後の蓄積量テーブルは、図37から図38のように更新される。なお、図37および図38に示した蓄積量の単位はパケットである。
制御部27では、記憶部26の蓄積量テーブルに基づいて、各従装置10−1〜10−mに送信を許可する情報量が算出される。この情報量は、式(1)で決定された特定の最大値k以下となるように算出される。式(1)の情報伝送容量rは、フレームの情報領域で、情報信号を伝送可能な容量である。例えば、図35に示した情報パケットおよび図30に示したフレームフォーマットでは、r=108.544M(bit/sec)である。
また、情報伝送の遅延許容時間tdは、システムで扱うサービスクラスなどを基準にして設定される。例えば、遅延を許容しない音声系のサービスクラスでは、0.001〜0.1(sec)程度の値が妥当であると考えられる。逆に、ある程度の遅延を許容するデータ系のサービスクラスでは、情報信号の送信を完了する迄に人間が気にならない時間などを考慮すると、0.1〜1(sec)程度の値が妥当と考えられる。
例えば、m=32、α=1.0、r=108.544M(bit/sec)とし、td=0.0125(sec)にした場合、各従装置に送信を許可する情報量の最大値kは42400(bit)となり、図34に示した情報パケット数に換算すると100パケットとなる。
なお、式(2)における稼動中の従装置数は、主装置20の制御部27にてカウントされるとする。例えば、この方法としては、従装置10−1〜10−mからの制御パケットの到達を監視し、フレーム周期毎に制御パケットを送信してくる従装置を稼働中としてカウントすることが考えられる。その他にも、主装置20から従装置へポーリングをし、ポーリングの応答をする従装置を稼働中としてカウントする方法なども考えられる。
図39は、全ての従装置10−1〜10−mが稼動している場合における主装置20による従装置10−1〜10−mへ送信を許可する情報量の算出処理、図40は、従装置10−1〜10−mへ通知する情報量の初期化処理、図41は、従装置へ通知する情報量の算出処理をそれぞれフローチャートで示したものである。
なお、主装置20による情報量の算出では、記憶部26の蓄積量テーブルに基づいて算出せずに蓄積量を申告する制御パケットを制御部27が受信部24から直接受け取り蓄積量の申告を受ける度に逐次的に求めるようにしてもよい。
図39乃至図41において、iおよびjは従装置番号、mは従装置10−1〜10−mの総数、pは1フレームで情報信号を送信可能なパケット(タイムスロット)数、qはフレーム周期毎に従装置10−1〜10−mへ通知する算出中の情報量、Riは蓄積量テーブルに記憶されている従装置番号iの従装置の蓄積量、Niは情報量テーブルに記憶されている従装置番号iの従装置へ送信を許可する情報量、niは通知テーブルに記憶されているフレーム周期毎に従装置番号iの従装置に対して通知する情報量であり、flag1は全ての従装置10−1〜10−mの蓄積量Riが0であるかを示し、flag2はフレーム周期毎に従装置10−1〜10−mへ通知する情報量niの算出が完了しているかを示すフラグである。
なお、図39乃至図41においては、m=32(全ての従装置10−1〜10−mが稼働中)であり、1≦i、j≦mであり、jの初期値は1、Niおよびflag2の初期値は0である。また、情報量Niは、図31の(1-2)および(2-2)に示したように、フレーム周期毎に図39に示したフローチャートによって求められる。
なお、図39において、Ni≠0の場合は、1フレームの情報領域のタイムスロットが足りず、主装置20が従装置iに対して情報量Niを完全に通知していないことになる。
従って、図39のフローチャートを実行中に、Ni≠0の場合は、情報量Niを更新しない。情報量Niの算出後に、いずれかの従装置の蓄積量Riが0でない場合は、flag1に1がセットされる。
フレーム周期毎に従装置10−1〜10−mへ通知する情報量niは、図40に示したフローチャートによって初期化された後に、図41に示したフローチャートによって求められる。但し、flag2≠0の場合は、従装置へ通知する情報量niが繰り返し算出されている処理、すなわち、図41に示したフローチャートの処理を2回以上実行している場合なので、niを初期化しない。
図41において、1フレームの情報領域で情報パケットを送信可能なパケット数pの初期値は、情報領域のタイムスロット数に相当し、ここでは、図30に示したフレームフォーマットに基づいて256とする。
Nj>pの場合は、情報量Njが1フレームの情報領域に収まらない場合なので、従装置番号jの従装置に対して連続するフレームで情報量njを通知することになる。
m台の従装置へ通知する情報量の算出が一巡した時(i=j)に、p>0かつflag1が0でない場合は、情報領域のタイムスロットに余裕があって、いずれかの従装置の蓄積量Riが0でない場合である。この場合は、情報領域のタイムスロットを無駄なく使用するために、flag2に1をセットし、図39のフローチャートから情報量Niおよびniの算出を繰り返す。
pが0あるいはm台の従装置10−1〜10−mへ通知する情報量の算出が一巡した時に、flag1が0の場合は、情報領域の全てのタイムスロットを割り当てたか、全ての蓄積量Riに対して情報量Niを割り当てた場合なので算出を完了する。
以上の手順で求められたフレーム周期毎に従装置へ通知する情報量niは、制御部28にて読み取られる。なお、情報量niは、情報量niの算出が完了した時点で、従装置番号iと情報量niを一緒にして制御部27へ送るようにしてもよい。
制御部27では、フレーム周期毎に従装置10−1〜10−mへ通知する情報量niを記憶部26の通知テーブルから読みとり、この情報量niを各従装置10−1〜10−mへ申告するための制御パケットが作成される。
制御パケットは、図42に示すように、図32に示したパケットフォーマットの通信領域が情報量を申告するための情報量通知領域となっている。この情報量通知領域には、図43に示すように、情報パケットの送信を開始するタイムスロットの番号#iと、情報量niが書き込まれる。
従装置10−1〜10−mが情報パケットの送信を開始するタイムスロットの位置#iは、図44に示すフローチャートによって求められる。
パケット識別領域には、情報量を通知するパケットであることを示すパケット種別番号02hが書き込まれる。従装置識別領域には、情報量niを通知する従装置の従装置識別番号が書き込まれる。
上記のように、制御部28にて制御パケットの各領域に必要な情報が書き込まれた後、この制御パケットは送信部23へ送られる。
なお、ヘッダ領域は、必要な情報を制御部で書き込む代わりに、送信部23で書き込むようにしてもよい。さらに、情報量通知領域は、必要に応じて情報量を通知する以外の目的で使用してもよいし、図32に示した通信領域で情報量を通知する代わりに、予約領域を用いるようにしてもよい。
制御部27から送信部23に送られた制御パケットは、フレーム内に設けられた制御領域のタイムスロットによって従装置10−1〜10−mへ送信される。なお、送信をするタイミングとタイムスロットの番号は、制御部28にて制御される。
図2に示した従装置10では、主装置20からのパケットが、受信ポートを介して受信部14で受信される。受信部14では、ヘッダが取り除かれた後に、受信したパケットに書き込まれた従装置番号に基づいて、該従装置10宛てのパケットであるかが識別される。該従装置10宛てのパケットの場合は、パケットに書き込まれたパケット種別番号に基づいてパケットの種類が識別される。
識別されたパケットが情報パケットの場合は出力部12に送られ、情報量を通知する制御パケットの場合は制御部17に送られる。
制御部17では、受信部14から図18に示したような情報量を通知する制御パケットを受けると、制御パケットの情報量通知領域から情報パケットの送信を開始するタイムスロットの番号と送信を許可された情報量niとを読み取る。制御部17ではni≠0の場合に、バッファメモリ15に対して、この情報量ni以下で、蓄積されている情報信号を送信部へ向けて出力するように指示する。例えば、niが100ならば、5300(byte)以下の情報信号を送信部13へ向けて出力するように指示する。
送信部13では、バッファメモリ15から送られてきた情報信号を主装置20へ送信するために、図35に示すような情報パケットが作成される。情報パケットは、図32に示したパケットフォーマットの通信領域が情報信号を送信するための情報信号領域となっている。
バッファメモリ15から送られてきた情報信号は、この情報信号領域に書き込まれる。パケット識別領域には、情報信号を送信するパケットであることを示すパケット種別番号11hが書き込まれる。従装置識別領域には、該従装置10に予め割り振られた従装置番号が書き込まれる。送信部13にて情報パケットの各領域に必要な情報が書き込まれた後、この情報パケットは、フレーム内に設けられた情報領域のタイムスロットによって主装置20へ送信される。なお、送信をするタイミングとタイムスロットの番号は、制御部17から指示されるとする。
上記処理により図38に示したような蓄積された情報信号が、主装置20へ送信される様子をシーケンス図で示すと図45のようになる。
次に、従装置10−1〜10−m毎に特定の最大値kiを定める場合の処理を説明する。
さて、従装置10−1〜10−mへ情報信号の送信を許可する情報量の特定の最大値kは、従装置10−1〜10−mに対する課金、契約、緊急度および優先度などの違いにより、従装置10−1〜10−m毎に個別な値を定めることができる。
この場合、従装置10−1〜10−m毎の特定の最大値ki(bit)(i=1、…、m)は、図29に示す帯域割当のように、従装置10−1〜10−mの総数をm(mは整数)、従装置10−1〜10−mが稼動している割合をα(0<α≦1.0)、ポイント・マルチポイント通信の情報伝送容量をr(bit/sec)とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd(sec)としたときに、式(5)の関係を満たすように、従装置個々に決定される。ここで、Σはiについて1からmまでの加算を示す。なお、従装置が稼動している割合αは、式(2)によって同様に求められる。
情報量Niは、図39に示したフローチャートにおいて、kの代わりにkiとすることによって求め留ことができ、フレーム周期毎に従装置10−1〜10−mへ通知する情報量niは、図41に示したフローチャートによって同様に求めることができる。
次に、個々の従装置10−1〜10−mおよびサービスクラス単位に特定の最大値kiを定める処理について説明する。
図2に示した従装置10のバッファメモリ15では、入力された情報信号が、音声、映像、データなどのような区別、アナログ音声信号、ATMセル、イーサネット(登録商標)パケットなどのような区別、遅延を許容するベストエフォート型サービスと遅延を許容しないギャランティード型サービスのような区別などにより、異なるサービスクラス単位で別々に蓄積されるように構成することができる。
この場合、バッファメモリ15の構成は、図46に示すように複数の物理的なメモリで分けるようにしてもよいし、図47に示すように複数の論理的なキューで分けるようにしてもよい。
なお、サービスクラス毎に情報信号を蓄積する場合は、バッファメモリ15の前段において、入力された情報信号が各サービスクラスに振り分けられる。
異なるサービスクラス単位でバッファメモリ15に蓄積された情報信号は、図46および図47に示すように、サービスクラス毎の蓄積量カウンタによって、それぞれの蓄積量がカウントされる。
主装置20に対して、サービスクラス毎の蓄積量を申告する際には、図48に示すように、各サービスクラスの蓄積量が制御パケットの蓄積量申告領域に書き込まれる。なお、図46乃至図48において、scはサービスクラスの総数を表わす。
図3に示した主装置20の記憶部26には、従装置10−1〜10−mへ通知する情報量を異なるサービスクラス単位で算出するために、図49に示すように、サービスクラス毎の蓄積量テーブル(図49(a))、情報量テーブル(図49(b))およびフレーム周期毎に情報量を通知する通知テーブル(図49(c))が設けられている。
なお、図49において、sはサービスクラスを表わし、サービスクラスの総数がscの場合に、s=1、2、…scであるとすると、Risは各従装置のサービスクラス毎の蓄積量、Nisは各従装置に送信を許可するサービスクラス毎の情報量、nisはフレーム周期毎に従装置へ通知するサービスクラス毎の情報量である。
図48に示すようなサービスクラス毎の蓄積量を申告する制御バケットを受けた主装置20では、制御パケットの従装置識別領域と蓄積量申告領域から、それぞれに書き込まれた従装置番号とサービスクラス毎の蓄積量を読み取る。この読み取られた蓄積量荷基づいて蓄積量テーブル内の従装置番号が一致するサービスクラス毎の蓄積量Risが更新される。
従装置10−1〜10−mに対してサービスクラス単位に情報信号の送信を許可する情報量Nis(i=1,2、…m,s=1、2、…sc)の特定の最大値は、個々の従装置10−1〜10−mおよびサービスクラス単位に定めることができる。
この場合、特定の最大値kis(i=1,2、…m,s=1、2、…sc)は、従装置10−1〜10−mの総数をm(mは整数)、遅延時間できまる複数のサービスクラスの総数をsc(scは整数)、従装置のサービスクラスが稼動している割合をαs(0<αs≦1.0)、ポイント・マルチポイント通信のサービスクラス毎の情報伝送容量をrs(bit/sec)とし、システムで定められるサービスクラス毎の情報伝送の遅延許容時間をtds(sec)としたときに、
Σkis≦rs×tds(s=1,2、…sc) …(6)
の関係を満たすように、個々の従装置およびサービスクラス単位に決定される。ここで、Σはiについて1からαs×mまでの加算を示す。
例えば、m=6、sc=2、α1=1.0、α2=1.0、r1=100k(bit/sec)、r2=360k(bit/sec)とし、td1=0.003(sec)、td2=0.002(sec)とすれば、図50に示すように、従装置番号iの従装置に送信を許可する情報量の最大値は、ki1=50(bit)、ki2=120(bit)となる。なお、図50においてCは制御領域を表わし、DMは遅延制御領域を表わす。なお、従装置のサービスクラスが稼動している割合αsは、
αs=(サービスクラスsが稼働中の従装置数)/m …(7)
より求められる。式(6)において、サービスクラスsが稼動中の従装置数は、主装置にてカウントされるとする。
例えば、この方法としては、従装置10−1〜10−mがシステムに登録される段階で、サービスクラスsが扱われる従装置の数を稼働中としてカウントする方法が考えられる。その他にも、従装置10−1〜10−mからの制御パケットの到達を監視し、申告されたサービスクラスsの蓄積量が一定期間0でない従装置を稼働中としてカウントしたり、主装置20から従装置10−1〜10−mへのポーリングにより、サービスクラスsが稼動中であるかを確認することでカウントする方法などが考えられる。
個々の従装置10−1〜10−mに対してサービスクラス単位に送信を許可する情報量Nisは、図39に示したフローチャートにおいて、kの代わりにkisとし、異なるサービスクラス単位にsc回実行することによって求めることができる。
フレーム周期毎に従装置10−1〜10−mへ通知する情報量nisは、図41に示したフローチャートを異なるサービスクラス単位にsc回実行することによって求められる。なお、pの初期値には、1フレームの情報領域で、サービスクラス毎に情報パケットを送信可能な数が設定されるとする。
制御部27で求められたサービスクラス毎の情報量nisは、送信部23で読み取られ、図51に示すような制御パケットに書き込まれた後に、従装置へ通知される。
異なるサービスクラス単位の情報量nisを通知する制御パケットを受け取った従装置10では、制御パケットに書き込まれた情報量nisを読みとる。
制御部17ではnis≠0の場合に、図46または図47に示したような、サービスクラスsのバッファメモリ、あるいはバッファメモリ内のサービスクラスsのキューに対して、この情報量nis以下でバッファメモリ15に蓄積されている情報信号を送信部13へ向けて出力するように指示する。
例えば、ni1が100ならばサービスクラス1のバッファメモリあるいはキューに対して5300(byte)以下の情報信号を送信部13へ向けて出力するように指示し、ni2が50ならばサービスクラス2のバッファメモリあるいはキューに対して2650(byte)以下の情報信号を出力するように指示する。
送信部13では、バッファメモリ15から送られてきたサービスクラス毎の情報信号を主装置20へ送信するために、図35に示すような情報パケットが作成され、フレーム内に設けられた情報領域のタイムスロットによって主装置20へ送信される。なお、送信をするタイミングとタイムスロットの番号は、制御部17から指示される。
次に、従装置10−1〜10−mへ通知する情報量をマルチキャストする場合の処理について説明する。
図30に示したフレームフォーマットの例では、制御領域として、32の従装置10−1〜10−m全てがフレーム周期毎に制御パケットを送受信できる分のタイムスロットが確保されている。
例えば、この場合のフレームフォーマットは、図52に示すように、制御領域を1パケット分しか設けず、情報領域を286パケット分に広げるようにしてもよい。このフレームフォーマットを用いて従装置10−1〜10−mが主装置20へ蓄積量を申告する場合は、各従装置10−1〜10−mに対して個別に定められた定期的な周期か、主装置20からのポーリングの応答として制御パケットを送信するように制御される。
主装置20が従装置10−1〜10−mに対して、図52に示したようなフレームフォーマットを用いて情報量niを通知する場合は、制御領域が1パケット分しかないので、情報量niを通知する制御パケットを特定の従装置へ個別に送信する代わりに、全従装置宛ての制御パケットとしてマルチキャスト送信してもよい。
この場合の制御パケットは、図53に示すようになり、情報量通知領域には全ての従装置の情報量niが書き込まれる。従装置識別領域には、全局宛ての制御パケットであることを示すような値(例えば00hなど)が書き込まれる。なお、図中において、Cは制御領域を示し、DMは遅延制御領域を示す。
制御部27にて制御パケットの各領域に必要な情報が書き込まれた後、この制御パケットは送信部23へ送られ、従装置10−1〜10−mに向けて送信される。
図2に示した従装置10の制御部17では、受信部14から図53に示したような制御パケットを受け取った場合は、制御パケットの情報量通知領域から全ての従装置10−1〜10−mに対する情報量niを読み取る。該従装置10−1〜10−mに対する情報量がni≠0の場合は、情報パケットの送信を開始するタイムスロットの番号を図44に示すフローチャートより求める。その後、バッファメモリ15に対して、通知された情報量ni以下で、蓄積されている情報信号を送信部13へ向けて出力するように指示する。
次に、従装置10−1〜10−mへ通知する情報量をマルチキャストする他の処理について説明する。
主装置20から従装置10−1〜10−mへの情報量の通知では、図54あるいは図55に示すように、特定のタイムスロットへ送信を許可する従装置を指定するようにしてもよい。主装置20では、制御パケットの情報量通知領域に、送信を許可する情報量の通知対象となる従装置10−1〜10−mの従装置番号を書き込む。通知する情報量が複数のタイムスロット数に相当する場合は、同一の従装置番号が連続的に書き込まれる。
従装置10−1〜10−mは、図54あるいは図55に示したようなフレームフォーマットで、情報量を通知する制御パケットを受け取った場合は、情報量通知領域から特定のタイムスロットへ送信を許可する従装置番号を読み取る。読み取られた従装置番号が、該従装置10−1〜10−mに割り当てられた番号と一致する場合は、バッファメモリ15に対して、1パケット分の情報信号(ここでは53(byte))を送信部13へ向けて出力するように指示する。
従装置10−1〜10−mでは、読み取られた従装置番号に対して、上記の処理を逐次的に繰り返す。
なお、上記実施の形態においては、パケットの多重方式をTDMおよびTDMAとしたが、この第6の実施の形態のアクセス方式は、例えばFDM(Frequency Division Multiplex)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)などにしても容易に実施することができる。
このようにこの第6の実施の形態によれば、従装置10−1〜10−mは主装置20から通知された情報量に従って情報信号を送信するので、数Mbyte規模の情報信号をバースト的に送信する場合でも、伝送路上で信号の衝突が全く起こらず、CSMA/CDのようにスループットが低下しない。
また、情報信号の送信を許可する情報量は、従装置10−1〜10−mからの申告に基づいて、情報伝送容量を100%有効利用できるように動的かつ効率的に算出されるので、バーストトラヒックや従装置10−1〜10−mの数が増加したような混雑時でも高いスループットが得られる。
また、情報量の最大値k(bit)は、従装置10−1〜10−mの総数をm(mは整数)、従装置10−1〜10−mが稼動している割合をα(0<α≦1.0)、情報伝送容量をr(bit/sec)とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd(sec)としたときに、
k≦(r×td)/(α×m)
の関係を満たすように決定する。
従って、従装置10−1〜10−mは最大でk(bit)の情報信号を送信する間、上り方向の伝送路を独占的に使用できるので、大規模な情報信号を連続的に送信することが可能である。
また、上式に基づいて情報量を決定した場合は、全ての従装置10−1〜10−mがk(bit)の情報信号を送信した場合でも、その送信に必要な時間はtd(sec)なので、全ての従装置10−1〜10−mに対して情報伝送の遅延許容時間tdを保証することができる。
さらに、全ての従装置10−1〜10−mは、この遅延許容時間td以内で、情報信号を必ず送信できるのでアクセスの公平性も保証することができるポイント・マルチポイント通信システムのアクセス方式を提供できる。
次に、この発明のポイント・マルチポイント通信システムの第7の実施の形態について説明する。
この発明のポイント・マルチポイント通信システムの第7の実施の形態において、システム構成は図1に示した構成と同様である。
すなわち、この発明の第7の実施の形態において、全体のシステム構成は、図1に示すように、m台の従装置10−1、10−2、…10−mと1台の主装置20との間を光伝送路30を介して接続して構築されるもので、主装置20に接続される光伝送路30は光カプラ40でm本の分岐路30−1,30−2、…30−mに分岐されて、それぞれ従装置10−1、10−2、…10−mに接続される。
なお、図1に示すポイント・マルチポイント通信システムにおいては、m台の従装置10−1、10−2、…10−mと1台の主装置20との間をm本の分岐路30−1,30−2、…30−m、光カプラ40、光伝送路30を介して接続して光アクセス網を構築したが、この第7の実施の形態においても、主装置20の制御により伝送路の帯域を従装置10−1〜10−mへ割り当てるような、主装置20と複数の従装置10−1〜10−mから構成される通信システムに対して広範に適用できるものであり、伝送路の一部が有線か無線かに依存するものではなく、例えば、従装置10−1〜10−mの代わりに、複数の無線端末を無線伝送路を介して主装置20に接続した構成をもつ無線アクセス網にも適用できるものである。
ここで、無線伝送路を用いる場合は、無線端末および主装置にて信号を単純に合成または分配することにより、この第7の実施の形態のアクセス方式を容易に適用することが可能になる。
この第7の実施の形態において、従装置10−1〜10−mは信号をサービス別に一時蓄積し、蓄積量を主装置20の指示により申告する。主装置20はある値以下の送信許可量を算出し、この許可量に基づいて信号送信を従装置10−1〜10−mへ指示する。その際、主装置20は高優先のサービスから送信指示し、残り帯域で、その他のサービスへ送信指示する。主装置20から指示を受けた従装置10−1〜10−mは、その指示に従って蓄積された信号をサービス別に主装置20へ送信する。
すなわち、この第7の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムにおけるアクセス方式においても、主装置20の指示に従って、サービスクラス別に送信に要する情報量を申告し、主装置20がサービスクラス別に送信を許可することを動作の基本原理とする。
情報信号を送信しようとする従装置10−1〜10−mは、主装置20の指示に従ってその情報信号の送信に必要な情報量をサービスクラス別に主装置20へ申告する。各従装置10−1〜10−mからの申告を受けた主装置20は、その申告されたサービスクラス毎の情報量に基づいて、各従装置10−1〜10−mにサービスクラス毎に送信を指示する。その際に、主装置20は優先度の高いサービスクラスから順に送信を指示する。
主装置20からあるサービスクラスに対する送信を指示された従装置10−1〜10−mは、対応するサービスクラスの情報を主装置20へ送信する。
このような構成によると、従装置10−1〜10−mは主装置20からの指示に従って情報を送信するので、数Mバイト規模の情報信号をバースト的に送信する場合でも、伝送路上で信号の衝突が全く起こらず、CSMA/CDのようにスループットが低下しない。
ここで、情報信号の送信を許可する情報量は、従装置10−1〜10−mからの申告に基づいて、情報伝送容量を100%有効利用できるように動的かつ効率的に算出されるので、バーストトラフィックや従装置10−1〜10−mの数が増加したような混雑時でも高いスループットが得られる。
サービスクラス別に情報量を申告して、優先度の高いサービスクラスから順に情報の送信を指示しているので、優先度の低いサービスクラスが数Mバイト以上のバースト送信を行っても、優先度の高いサービスクラスに対しては独立して情報の送信を指示するので、優先度の高いサービスクラスに対しては厳しい遅延要求を満足させることができる。
さらにこの第7の実施の形態では、各従装置10−1〜10−mから申告を受けた情報量に対し、ある一定時間内に送信を指示する情報量に制限を与える。特定の従装置10−1〜10−mが数Mバイト以上の大きな情報量を申告しても、ある制限値いないでしか情報の送信を指示されないので、特定の従装置10−1〜10−mの情報送信によって、他の従装置10−1〜10−mの送信に与える影響を小さくすることが可能である。
一定時間内に与える情報送信の最大値k(bit)は、従装置10−1〜10−mの総数をm(mは整数)、情報伝送量をr(bit/sec)とし、システムで定められる情報伝送の許容時間をtd(sec)としたときに、
k≦(r×td)/m
の関係を満たすように決定する。また、稼働していない従装置10−1〜10−mがある場合には、従装置が稼働している割合を、α(0≦α≦1.0)として k≦(r×td)/(α×m)
の関係を満たすように一定時間内に与える情報送信の最大値kを決定する。
従って、従装置10−1〜10−mは最大でk(bit)の情報信号を送信する間、上り方向の伝送路を独占的に使用できるので、大規模な情報信号を連続的に送信することが可能である。また、上式に基づいて情報量を決定した場合は、全ての従装置10−1〜10−mがk(bit)の情報を送信した場合でも、その送信に必要な時間はtd(sec)なので、全ての従装置10−1〜10−mに対して情報伝送の遅延許容時間tdを保証することができる。
さらに、全ての従装置10−1〜10−mは、この遅延許容時間td以内で、情報信号を必ず送信できるのでアクセスの公平性も保証することができる。
以下、この発明のポイント・マルチポイント通信システムの第7の実施の形態について詳細に説明する。
なお、この第7の実施の形態において、図2に示す従装置10のバッファメモリ15は、入力ポートからの情報信号をサービスクラス別に一時的に蓄積し、カウンタ16は、バッファメモリ15に蓄積された情報信号のサービスクラス別の蓄積量をサービスクラス別にカウントする。また、制御部17は、カウンタ16でカウントされた情報信号のサービスクラス別の蓄積量を主装置20へ通知する等の制御を行い、主装置20からの指示に従い、バッファメモリ15に蓄積された情報信号をサービスクラス別に送信部13へ出力させる。
また、図3に示す主装置20の記憶部26は、各従装置10−1〜10−mから通知されたサービスクラス別の蓄積量を記憶し、制御部27は、記憶部26に記憶された各従装置10−1〜10−mのサービスクラス別の蓄積量に基づいて、各従装置10−1〜10−mに送信を許可するサービスクラス別の情報量を算出するとともに、この算出されたサービスクラス別の情報量に従って各従装置10−1〜10−mへ送信を指示し、またサービス別の情報の申告を指示する。 図1に示した伝送路における上りおよび下りの伝送フレームは、図4に示したように、光伝送路の伝送容量を主装置20から従装置10−1〜10−mへの下り方向、従装置10−1〜10−mから主装置20への上り方向ともに155.52Mビット/秒とし、伝送フレームおよびセルフォーマットは、ITU−T SG15におけるG.983ドラフト勧告に従う。
下りの1フレームは56スロットからなり、上りの1フレームは53スロットからなり、これらの伝送フレームに基づいて、主装置20から従装置10−1〜10−mへの下りがTDM(Time Division Multiplex)、従装置10−1〜10−mから主装置20への上りがTDMA(Time Division Multiple Access)の多重方式により、下り53バイト、上り56バイトのセルがそれぞれ送受信される。なお、上りのセルには3バイトのオーバヘッドが含まれており、下り伝送フレームには、28セルに1セルの割合で1フレームに2つのPLOAMセルが含まれる。
最初のPLOAMセルPLOAM1には従装置10−1〜10−mからの上りセルを要求するグラントが27個、二番目のPLOAMセルPLOAM2にはグラントが26個あり、合計53個のグラントが含まれている。
主装置20は図5に示したPLOAMセルのグラントに、従装置10−1〜10−mのID番号等の識別子を書き込むことで、上り伝送フレーム内のどのスロットに、どの従装置10−1〜10−mがセルを送信できるかを指示することができる。
従装置10−1〜10−mは、PLOAMセルに該従装置10−1〜10−mの識別子が書き込まれていた場合、グラントに対応する上り伝送フレームのスロットにセルを送信することができ、この方法により光伝送路上でセルが衝突することを回避できる。
なお、この第7の実施の形態においても、上りの送信の指示方法について制限を加えるものではなく、上り送信の方法としては以下のような方法を使用しても差し支えない。
例えば、下りスロットと上りスロットが1対1に対応したフレーム構成において、各下りスロットに対応する上りスロットに該下りスロットを使用する従装置10−1〜10−mのID番号とサービスクラスを指定する識別子を付加することにより上りの送信をサービスクラス別に指示する方法がある。
また、下りスロットで特定の従装置10−1〜10−mの特定サービスクラスに対して連続して送信できるスロット数を通知することにより上りの送信を指示することも可能である。
図56は、第7の実施の形態において、周期的に固定長のデータ送信を必要とするサービスクラスとして音声信号を収容し、不定期に可変長の情報を送信するサービスクラスとしてデータ信号を収容する従装置10−1〜10−mの構成を示す図である。
図56において、この従装置10は、音声信号入力ポートおよびデータ信号入力ポートに接続される入力部11a,11b、出力ポートに接続される出力部12、送信ポートに接続される送信部13、受信ポートに接続される受信部14、各入力ポートからの情報信号を音声信号とデータ信号と別々に一時的に蓄積するバッファメモリ15、バッファメモリ15に蓄積されたデータ信号の蓄積量をカウントするカウンタ16、音声信号の情報量とカウンタ16でカウントされたデータ信号の蓄積量を主装置20へ通知する等の制御を行い、かつ、主装置20からの指示に従ってバッファメモリ15に蓄積された音声信号とデータ信号をサービスクラス別に送信部13へ出力させる制御部17を具備して構成される。
上記構成において、まず、主装置20へデータ信号を送信する従装置10−1〜10−mは、送信するデータ信号を一時的にバッファメモリ15に蓄積し、この蓄積されたデータ信号の蓄積量を主装置20の指示により送信部13を介して主装置20へ申告する。ここでiは個々の従装置10−1〜10−mを表し、従装置10−1〜10−mの総数をm(mは整数)とした場合、i=1、2、…mである。
従装置10−1〜10−mのID番号とサービスクラス識別子は主装置20で管理され、システムに加わる全ての従装置10−1〜10−mには、初期の段階でID番号とサービスクラス識別子が通知されている。このID番号および識別子により、主装置20ではどの従装置10−1〜10−mからのどのサービスクラスの情報信号であるかが識別され、各従装置10−1〜10−mでは受信した情報信号が自分宛てであるかが識別される。
なお、バッファメモリ15に蓄積される信号は、例えば、ATMセルやイーサネット(登録商標)パケットのように、バッファメモリに蓄積される段階でセル化あるいはパケット化されていてもよい。
また、この第7の実施の形態においては、図4に示した伝送フレームのように、下り伝送フレームの1スロットおよびオーバヘッドを除いた上り伝送フレームの1スロットを、それぞれ53バイトとしたので、入力される信号がATMセルであると整合性がよい。
例えば、入力される信号がイーサネット(登録商標)パケットの場合は、音声信号に対してはATMのAAL Type1やデータ信号に対してはAAL Type5にマッピングすることで整合性がよくなる。
図2および図6に示した従装置10のカウンタ16では、バッファメモリ15に一時的に蓄積された信号の送信に必要な情報量が、信号の送信に必要なセル数あるいはスロット数を単位として整数で計数される。
例えば、図4に示した上り伝送フレームでは、オーバヘッドを除いた53バイトで信号が伝送されるので、情報量は53バイトを1単位として計数される。
この計数方法としては、バッファメモリ15への信号の入力およびバッファメモリからの信号の出力に応じて随時計数する方法、バッファメモリ15にFIFOで蓄積されている信号の先頭アドレスと末尾アドレスの差から計数する方法等が考えられ、バッファメモリ15に蓄積されている信号の絶対値を情報量としてもよいし、前回の申告からの差分値を情報量としてもよい。
情報量は、ビットあるいはバイトを単位とした整数値で計数してもよいが、信号の送信に必要なセル数あるいはスロット数で計数すれば、主装置20へ申告する値が小さくなるので効率がよい。
なお、蓄積されている信号が53バイト未満の場合には、送信に1セルあるいは1スロット必要として計数してもよいし、53バイトになるまで計数しなくてもよい。
また、主装置20がPLOAMセルを用いて、従装置10−1〜10−mに対して信号の送信に必要な情報量を申告するように指示する方法は、第1の実施の形態に関して図6乃至図10を参照して説明した方法と同様である。
すなわち、図6は、主装置20がPLOAMセルに情報量の申告を指示する方法を示したフローチャートであり、図7および図8において、NはPLOAMセルにおけるグラントの総数を表し、PLOAMセル1の場合にN=27、PLOAMセル2の場合にN=26であり、Pは情報量の申告を指示するグラントの間隔、#nはグラントの番号を表し、それぞれP≧1の整数値、#n=Pで初期化されているとする。
ところで、PLOAMセルのグラントで情報量の申告を指示する場合、信号の送信の指示と情報量の申告の指示とを区別することが必要となる。
例えば、この方法としては図7および図8に示すように、情報量の申告を指示する場合は、従装置10−1〜10−mのID番号と特定の値との論理和をグラントに書き込み、特定のビットにフラグを立てることが考えられる。
特定の値は、従装置10−1〜10−mのID番号として使われていない値として、0x80等にすればよい。
従装置10−1〜10−mは、グラントに書き込まれた値と特定の値の否定との論理積が該従装置のID番号と一致した場合に、グラントに書き込まれた値と特定の値との論理積から、特定のビットにフラグが立っているかを識別し、情報量を申告するか、信号を送信するかを判断すればよい。
別の方法としては、図9および図10に示すように、グラントには従装置10−1〜10−mのID番号を書き込み、PLOAMセルの付加的な領域に情報量の申告を指示したグラントの番号#nを書き込むことが考えられる。
従装置10−1〜10−mは、グラントに書き込まれた従装置10−1〜10−mのID番号が該従装置のID番号と一致した場合に、上述の付加的な領域の値を読み込み、この値と送信を指示されたグラントの番号とを比較して、情報量を申告するか信号を送信するかを判断すればよい。
次に、従装置10−1〜10−mが主装置20に対して、信号の送信に必要な情報量を申告する方法について説明する。
従装置10−1〜10−mは、図7乃至図10のフローチャートによって、該従装置10−1〜10−mに対して情報量の申告が指示されたと判断した場合、情報量の申告を示すセル識別子、音声信号の情報量、カウンタ16で計数されたデータ信号の蓄積量、および該従装置のID番号を少なくとも書き込んだセルを作成する。
ここで、周期的に固定長のデータ送信を必要とするサービスクラスとしては、音声信号に限らず、通常の電話やISDNなどの回線交換型サービス一般を収容することができる。電話の場合は64kbit/sを音声信号の情報量とし、ISDN基本速度サービスの場合は144kbit/sを音声信号の情報量としてセルを作成する。
この作成したセルは、申告を指示されたグラントに対応する上り伝送フレームのスロットにより、送信部13を介して主装置20へ送信する。なお、データ信号の蓄積量は、カウンタ16で計数された絶対値、および前回の申告からの差分値の両方か、どちらか1つを申告する。
各従装置10−1〜10−mからの音声信号の情報量とデータ信号の蓄積量の通知を受けた主装置20は、この通知を図3に示した受信部24で受信して、この受信した音声信号の情報量とデータ信号の蓄積量を記憶部26で記憶する。
図57は周期的に固定長のデータ送信を必要とするサービスクラスに音声信号を収容し、不定期に可変長の情報を送信するサービスクラスにデータ信号を収容する場合におけるこの第7の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムの上り伝送フレームを示した図である。
図57において、この伝送フレームは、固定長のフレームを備え、さらに1フレームは固定長のスロットに分割されている。図57でのデータ信号に対する送信指示については次に説明する。
図3に示した主装置20において、受信ポートを介して受信された各従装置10−1〜10−mからの情報信号は、受信部24においてヘッダが取り除かれた後に、セルに書き込まれたセル識別子に基づいて識別される。識別されたセルが情報量を申告するセルの場合は記憶部26に送られ、信号を送信するセルの場合は出力部22に送られる。
図58は、この第7の実施の形態における図3に示した主装置20における、記憶部26の構成について示したものである。
第7の実施の形態において、記憶部26には、従装置10−1〜10−mから申告された音声信号に対する情報量が記憶される情報量テーブル1(図58(a))とデータ信号に対する蓄積量が記憶される情報量テーブル2(図58(b))、従装置10−1〜10−mの音声信号に対する送信を許可する許可量が記憶される許可量テーブル1(図58(c))と従装置10−1〜10−mのデータ信号に対する送信を許可する許可量が記憶される許可量テーブル2(図58(d))が、それぞれ設けられている。
各テーブルの情報量Rvi、Rdi、許可量Gvi、Gdiの初期値は0であり、従装置10−1〜10−mのID番号iには、各従装置10−1〜10−mに対して個別に割り当てられた値が書き込まれている。
受信部24から情報量を申告するセルを受けた記憶部26では、セルに書き込まれた従装置10−1〜10−mのID番号と申告された蓄積量をサービスクラス別に読み取り、これらの読み取られた値に基づいて、情報量テーブル内で従装置10−1〜10−mのID番号が一致する音声信号に対する情報量Rviとデータ信号に対する蓄積量Rdiを更新する。
主装置20の制御部27では、記憶部26の情報量テーブルに基づいて、各従装置10−1〜10−mのデータ信号に対して信号の送信を許可する許可量Gdiを特定の最大値kビット以下で算出する。
ここで、特定の最大値kは、従装置10−1〜10−mの総数をm、従装置10−1〜10−mが稼動している割合をα(0<α≦1.0)、データ信号に対する伝送容量の最小値をrdminビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd秒としたときに、
k ≦(rdmin×td)÷(α×m) … (8)
の関係を満たすように決定される。なお、従装置が稼動している割合αは、式(2)より求められ、全ての従装置10−1〜10−mが稼動している場合はα=1.0である。
音声信号が電話やISDNの場合は契約時に使用する帯域が固定される。したがって、各従装置10−1〜10−mに収容する音声信号の契約帯域(ビット/秒)をrvciとすると、音声信号の契約帯域の総和rvc(ビット/秒)は
rvc = Σrvci … (9)
となる。データ信号に対する伝送容量の最小値rdminは
rdmin = r−rvc … (10)
と定義することができる。
また、音声信号の使用する帯域が伝送路全体の伝送容量に比べて十分に小さく(例えば、1/10以下)、データ信号に対する遅延許容時間tdが数ms以上あり、データ信号に対する遅延時間の許容値が厳密に定義されていない場合においては、rdminとすることで伝送路全体の伝送容量rを使用しても差し支えない。
また、データ信号に対する遅延許容時間tdは、システムで扱うサービス等を基準にして設定される。この値は、通常のインターネットアクセスなどの遅延を許容するデータ系のサービスでは、信号の送信を完了する迄に人間が気にならない時間等を考慮すると、0.1〜1秒程度の値が妥当と考えられる。
式(2)における稼動中の従装置数は、主装置20にてカウントされる。例えば、この方法としては、主装置20から従装置10−1〜10−mに対する送信指示に対して応答をする従装置10−1〜10−mを稼働中としてカウントする方法等も考えられる。
図59は、送信指示に係わる処理の全体関係を示すフローチャートである。また、図60は音声信号に対する送信指示を出す周期を計測する処理を示すフローチャート、図61は許可量Gdiを算出する処理を示すフローチャート、図62は送信指示すなわちグラントを生成する処理を示すフローチャート、図63は音声信号送信指示を生成する処理を示すフローチャート、図64はデータ信号送信指示を生成する処理を示すフローチャートである。
図59に示したように送信指示に係わる処理は、図6にフローチャートで示した上りPLOAM指示生成(ステップ631)の他、送信指示生成(ステップ634)、周期計測タイマ(ステップ632)、送信許可量算出(ステップ633)の4つの処理が同時に動作するマルチタスクの形態をとる。
図60は、周期計測タイマの動作を示す。図60において、音声信号の送信に必要な特定周期をカウンタで計測し、特定周期までカウントアップするとflag1=TRUEにセットし、カウンタをリセットする。
図61は、許可量Gdiを算出する処理を示す。図61の処理においては、蓄積量Rdiからkの値を超えない範囲でGdiを算出する。
図62は、送信指示生成の処理を示す。図62において、flag1=TRUEのとき音声信号送信指示処理を行い、flag1=FALSEのときにデータ信号送信指示処理を行う。ここで、NsはPLOAMセル一つで指示できるスロット数を示しており、前述のITU−T SG15におけるG.983ドラフト勧告ではPLOAM1ではNs=27とPLOAM2ではNs=26となる。グラントの番号#n(#n=1..Ns)がNsと等しくなるとPLOAMセルを生成する。
図63は、音声送信指示処理を示す。図63において、全ての従装置の音声送信指示が終わってからflag1=FALSEにする。この処理により、全ての従装置の音声送信指示が終わるまでデータ信号の送信指示を行わない処理が可能となる。
図64は、データ信号送信指示処理を示す。図64において、与えられた許可量GdiがGdi=0となるまでの間、音声信号送信やPLOAMの伝送を除いて連続的に送信の指示を与える。また、送信指示がないときはアイドルが挿入される。
次に、従装置10−1〜10−mが主装置20からの指示に従って、信号を送信する方法について説明する。
図2および図56に示した従装置10では、受信ポートを介して受信部14でセルが受信される。受信部14では、セルに書き込まれた宛て先に基づいて、受信したセルが該従装置10−1〜10−m宛てであるかが識別される。セルが該従装置10−1〜10−m宛ての場合は、セルに書き込まれたセル識別子に基づいてセルの種類が識別される。識別されたセルが信号セルの場合は出力部12に送られ、PLOAMセルの場合は制御部17に送られる。
制御部17では、受信部14からPLOAMセルを受け取ると、図6乃至図8のフローチャートによって、信号の送信が指示されたのか、情報量の申告が指示されたのかを判断する。
信号の送信を指示されたと判断した場合は、さらにどのサービスクラスに対する送信指示であるか確認する。確認後バッファメモリ15に一時的に蓄積されていた該サービスクラスの信号を取り出し、信号を送信するセルを作成し、送信部13を介してこの作成したセルを送信する。
次に、図57を参照してこの第7の実施の形態をより具体的に説明する。
図57において、1フレームが12スロットから構成されている。従装置1〜3の音声信号ポートが稼働中であり、また、従装置1〜4のデータ信号ポートが稼働中である。データ信号に対して送信を許可する許可量Gdiに対する特定の最大値kは7スロットである。
図57では左から右に時刻が進んでいる。図57の左端の時刻で、従装置1〜3の音声信号の情報量がそれぞれ1スロット相当であり、従装置1〜4のデータ信号の蓄積量Rdiがそれぞれ、Rd1=100、Rd2=2、Rd3=4、Rd4=150スロットとする。
まず、データ信号に対する送信許可量を算出する。ここで、k=7スロットなので、Gd1=7、Gd2=2、Gd3=4、Gd4=7となる。また、Gdiを算出した時点で、各データ信号の蓄積量RdiはRd1=93、Rd2=0、Rd3=0、Rd4=143となる。ここでは説明のため、算出や割り当ての処理に必要な時間は無視している。
いま、図57の左端の時刻で、従装置1のデータ信号に対してスロットの割り当てが始まり、図57の左端では従装置1のデータ信号のスロットが割り当てられる。
次のスロットでは図60に示したタイマ処理により音声信号を伝送する周期がはじまったことを示すflag1が立てられる。図62に示した送信指示生成の処理においてflag1を検出して音声信号に対する送信指示を行う。この結果、主装置20の記憶部26に記憶されている従装置1〜3に対する情報量Gv1〜Gv3に従って、各従装置1〜3の音声信号に対して1スロットずつ送信指示が出される。
次に、音声信号に対する送信指示が終了すると、再び、従装置1のデータ信号に対する送信を開始する。このときは、Gd1が最大値k=7で制限されており、音声送信の前にすでに1スロット送信済みであるため、連続6スロットの送信の指示がなされる。
以下同様に、音声信号に対してはタイマがflag1を立てる毎にスロットが送信に割り当てられ、データ信号に対してはGdi(Gdi≦k)ずつ、音声信号に対するスロットを除いて連続して送信に割り当てられる。
以上により、この第7の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムにおけるこのアクセス方式では、図57に示した帯域割当てのように、音声信号に対しては周期的に送信を行い、データ信号に関しては、音声信号送信を行った後の残りの領域に対して、主装置20で算出された許可量Gdi以下で、信号の送信を指示された従装置が上りの伝送路を独占的に使用して、信号を連続的に送信することができる。
次に、図65乃至図67を参照してこの発明の第8の実施の形態を詳細に説明する。
図65は、特定の周期Tで可変長のデータ送信を必要とするサービスクラスとして可変レートの符号圧縮方式で生成された映像信号を収容し、不定期にデータを送信するサービスクラスとしてデータ信号を収容するポイント・マルチポイント通信システムの第8の実施の形態の従装置10を示した図である。
可変レートの符号圧縮では、元となる映像信号が変化の激しい映像であるとき単位時間当たりの符号が多くなり、逆に変化の穏やかな映像であるとき単位時間当たりの符号が低く抑えられる符号形式である。以下、特に説明のない限り、第8の実施の形態では、可変レートの符号圧縮方式で生成された映像信号を単に映像信号と記す。
図65において、この従装置10は、映像信号入力ポートおよびデータ信号入力ポートに接続される入力部11b,11c、出力ポートに接続される出力部12、送信ポートに接続される送信部13、受信ポートに接続される受信部14、各入力ポートからの情報信号を映像信号とデータ信号と別々に一時的に蓄積するバッファメモリ15、バッファメモリ15に蓄積された映像信号とデータ信号の蓄積量をそれぞれカウントするカウンタ16、カウンタ16でカウントされた映像信号の蓄積量とデータ信号の蓄積量を主装置20へ通知する等の制御を行い、かつ、主装置20からの指示に従ってバッファメモリ15に蓄積された映像信号とデータ信号をサービスクラス別に送信部13へ出力させる制御部17を具備して構成される。
この第8の実施の形態において、まず、主装置20へ映像信号またはデータ信号を送信する従装置10は、送信する映像信号とデータ信号を一時的にバッファメモリ15に蓄積し、この蓄積された映像信号とデータ信号の蓄積量を主装置20の指示により送信部13を介して主装置13へ申告する。ここでiは個々の従装置10−1〜10−mを表し、従装置10−1〜10−mの総数をm(mは整数)とした場合、i=1、2、…mである。
この第8の実施の形態においては、映像信号の伝送速度が時事刻々と変化するため、映像信号の蓄積量もデータ信号の蓄積量と同様に主装置20からの指示に基づいて主装置20へ申告する。申告の方法は第7の実施の形態と全く同様に図6乃至図10に示したフローチャートによって実現される。
図66は、この第8の実施の形態におけるポイント・マルチポイント通信システムの上り伝送フレームを示した図である。
ここで、この第8の実施の形態が第7の実施の形態と異なる点は周期的に割り当てられた映像信号用スロットが可変長になっていることである。
すなわち、第8の実施の形態において、あるフレームにおいては、従装置2の映像信号が2スロットを使用し、次のフレームでは従装置3の映像信号が2スロットを使用している点が第7の実施の形態と異なる。
主装置20は、第7の実施の形態と同様に、図3に示したように構成される。また、主装置20の記憶部26も、第7の実施の形態と同様に、図58に示したように構成される。
記憶部26には、従装置10−1〜10−mから申告された映像信号に対する蓄積量が記憶される情報量テーブル1(図58(a))とデータ信号に対する蓄積量が記憶される情報量テーブル2(図58(b))、従装置の映像信号に対する送信を許可する許可量が記憶される許可量テーブル1(図58(c))と従装置のデータ信号に対する送信を許可する許可量が記憶される許可量テーブル2(図58(d))が、それぞれ設けられている。
各テーブルの情報量Rvi、Rdi、許可量Gvi、Gdiの初期値は0であり、従装置10−1〜10−mのID番号iには、各従装置10−1〜10−mに対して個別に割り当てられた値が書き込まれている。
受信部24から情報量を申告するセルを受けた記憶部26では、セルに書き込まれた従装置10−1〜10−mのID番号と申告された蓄積量をサービスクラス別に読み取り、これらの読み取られた値に基づいて、情報量テーブル内で従装置10−1〜10−mのID番号が一致する映像信号に対する蓄積量Rviとデータ信号に対する蓄積量Rdiを更新する。
主装置20の制御部では、記憶部26の情報量テーブルに基づいて、各従装置10−1〜10−mのデータ信号に対して信号の送信を許可する許可量Gdiを特定の最大値kビット以下で算出する。
ここで、特定の最大値kは、従装置10−1〜10−mの総数をm、従装置10−1〜10−mが稼動している割合をα(0<α≦1.0)、データ信号に対する伝送容量の最小値をrdminビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd秒としたときに、式(8)の関係を満たすように決定される。周期Tで可変長のデータ送信を必要とするサービスクラスに対する遅延許容時間tdは周期Tと等しいと設定できる。つまり、
td = T … (11)
となる。
なお、従装置10−1〜10−mが稼動している割合αは、式(2)より求められ、全ての従装置が稼動している場合はα=1.0である。
映像信号の伝送サービスがデータ信号とことなり遅延やデータの損失に対する仕様が厳しいサービスである場合、契約時に使用する帯域の最大値が固定されることが多い。このような契約時に最大帯域が固定されるサービスに対しては、各従装置10−1〜10−mに収容する映像信号の最大帯域(ビット/秒)をrvciとすると、映像信号の最大帯域の総和rvc(ビット/秒)は、式(9)のようになる。
データ信号に対する伝送容量の最小値rdminは、式(10)と定義することができる。
また、各従装置10−1〜10−mからの映像信号は一般的には相関がなく、統計多重効果により映像信号の伝送容量の総和は上記のrvcより一般的には小さいrvceという値となることが期待される。このため、統計多重効果を加味して、
rdmin=r−rvce … (12)
と定義することもできる。
また、映像信号の使用する帯域が伝送路全体の伝送容量に比べて十分に小さく(たとえば1/10以下)、データ信号に対する遅延許容時間tdが数ms以上あり、データ信号に対する遅延時間の許容値が厳密に定義されていない場合には、rdminとして伝送路全体の伝送容量rを使用しても差し支えない。
式(2)における稼動中の従装置数は、主装置20にてカウントされる。例えば、この方法としては、主装置20から従装置10−1〜10−mに対する送信指示に対して応答をする従装置10−1〜10−mを稼働中としてカウントする方法等も考えられる。
この第8の実施の形態における送信指示は、第7の実施の形態と全く同一であり、図59乃至図64に示した処理により同様に実現できる。
次に、この発明の第9の実施の形態について説明する。
インターネットを用いての映像などでは映像信号の伝送にもある程度の遅延やデータ損失が許される場合も多い。その場合においても、映像信号に関しては画像の切り替わりが周期的に存在するので、周期的にデータを伝送できることが必要である。この第9の実施の形態ではある程度の遅延やデータ損失が許されるが特定周期Tでデータ送信を行う映像信号の伝送とデータ信号の伝送を行うポイント・マルチポイント通信システムについて説明する。
第9の実施の形態では、映像信号に対しても図61と同等の許可量算出を行うことを特徴とする。すなわち、主装置20の制御部27では、記憶部26の情報量テーブルに基づいて、各従装置10−1〜10−mの映像信号に対しても信号の送信を許可する許可量Gviを特定の最大値kvビット以下で算出する。
ここで、特定の最大値kvは、従装置の総数をm、従装置の映像信号入力ポートが稼動している割合をαv(0<αv≦1.0)、映像信号に対する伝送容量の最大値をrvmaxビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtv秒としたときに、
kv ≦(rvmax×tv)÷(αv×m) … (13)
の関係を満たすように決定される。映像信号に対する遅延許容時間tvは周期Tと等しいと設定できる。つまり、
tv = T … (14)
となる。
なお、従装置10−1〜10−mの映像信号ポートが稼動している割合、αvは、
αv=(稼働中の従装置数)÷m … (15)
より求められ、全ての従装置の映像信号ポートが稼動している場合はαv=1.0である。また、rvmaxは映像信号伝送を行う加入者の数などに応じてシステムで決定される。
このようにして、映像信号に対する特定の最大値kvが決められた後、主装置20の制御部27では、記憶部26の情報量テーブルに基づいて、各従装置10−1〜10−mのデータ信号に対して信号の送信を許可する許可量Gdiを特定の最大値kビット以下で算出する。
ここで、特定の最大値kは、従装置10−1〜10−mの総数をm、従装置10−1〜10−mが稼動している割合をα(0<α≦1.0)、データ信号に対する伝送容量の最小値をrdminビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd秒としたときに、式(8)の関係を満たすように決定される。なお、従装置10−1〜10−mが稼動している割合αは、式(2)より求められ、全ての従装置10−1〜10−mが稼動している場合はα=1.0である。
なお、
rdmin=r−rvmax … (16)
である。
また、データ信号に対する遅延許容時間tdは、システムで扱うサービス等を基準にして設定される。通常のインターネットアクセスなどの遅延を許容するデータ系のサービスでは、信号の送信を完了する迄に人間が気にならない時間等を考慮すると、0.1〜1秒程度の値が妥当と考えられる。
映像信号に対する遅延許容時間は通常のTV信号のフレーム送信間隔を考慮すると30ms程度が妥当である。
図67は、この第9の実施の形態における送信指示に係わる処理の全体関係を示すフローチャートである。この第9の実施の形態が第7の実施の形態と異なる点は、映像信号に対しても送信許可量の算出処理がある点である。
図67において、図60に示した周期タイマや図61に示したデータ送信に対する許可量を算出する処理、図62に示した送信指示処理、図64に示したデータ信号送信指示については第7の実施の形態と全く同一である。
さらに、映像信号に対する許可量算出処理(ステップ644)は、図61に示したデータ送信に対する許可量を算出する処理において、データ蓄積量RdiをRviに、許可量GdiをGviに、特定の最大値kをkvに置き換えた処理となる。
なお、第7乃至第9の実施の形態において、周期的に固定長のデータ送信を必要とするサービスクラスとして音声信号を、周期的に可変長のデータ送信を必要とするサービスクラスとして映像信号を例として説明を行ったが、音声信号に対しても可変レートの音声符号化を行って周期的に可変長のデータ送信を必要とするサービスクラスとして収容することもできる。
また、映像信号に対しても固定レートの画像符号化を行って周期的に固定長のデータ送信を必要とするサービスクラスとして収容することもできる。
また、周期的に固定長のデータ送信を必要とするサービスクラスを、周期的に可変長のデータ送信を必要とする第8や第9の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムに収容してもよい。
次に、図68乃至図73を参照してこの発明の第10の実施の形態について説明する。
この発明の第10の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムにおいては、特定周期Tでデータ送信を必要とするサービスクラスs0と不定期にデータ送信を行う2つのサービスクラスs1とs2を備えている。
2つのサービスクラスとしては、データの送信に対する遅延許容時間がt1のサービスクラスs1と、データの送信に対する遅延許容時間がt1より長いt2であるサービスクラスs2を収容する。
遅延許容時間t1のサービスクラスに収容する信号としては、音声や映像などのマルチメディア信号をインターネット上でUDPと呼ばれるプロトコルを用いてリアルタイム伝送するための情報信号がある。
また遅延許容時間t2のサービスクラスに収容する信号としては、通常のウエブアクセスやファイルの転送を行う情報信号があり、通常TCPと呼ばれるプロトコル群を使用して伝送される。
図68において、この第10の実施の形態の従装置10は、サービスクラスs0入力ポート、サービスクラスs1入力ポート、サービスクラスs2入力ポートに接続される入力部11−1,11−2,11−3、出力ポートに接続される出力部12、送信ポートに接続される送信部13、受信ポートに接続される受信部14、各入力ポートからの情報信号をサービスクラス別に一時的に蓄積するバッファメモリ15、バッファメモリ15に蓄積された各サービスクラスの情報信号の蓄積量をそれぞれカウントするカウンタ16、カウンタ16でカウントされたサービスクラス別の情報信号の蓄積量を主装置20へ通知する等の制御を行い、かつ、主装置20からの指示に従ってバッファメモリ15に蓄積された各サービスクラスの情報信号をサービスクラス別に送信部13へ出力させる制御部17を具備して構成される。
図68の構成において、必ずしも入力ポートはサービスクラス別に必要ではない。特にサービスクラスs1が上述のUDPであり、サービスクラスs2が上述のTCPである場合には、両サービスクラスに関しては入力パケットにつけられたプロトコル番号を使用してサービスクラスを識別するように構成することもできる。
図68の構成において、各従装置10−1〜10−mはカウンタ16でカウントしたサービスクラス別の蓄積量を主装置20の指示に従ってそれぞれ送信部13を介して主装置20へ通知する。
各従装置10−1〜10−mからサービスクラス別の蓄積量の通知を受けた主装置20は、この通知を図3に示した受信部24で受信して、この受信したサービスクラス別の蓄積量を記憶部26で記憶する。
図69は、この第10の実施の形態における記憶部26の構成について示したものである。
図69において、記憶部26には、従装置10−1〜10−mから申告されたデータ信号に対する蓄積量がサービスクラス毎に記憶される情報量テーブル1〜3(図69(a)〜(c))と、従装置10−1〜10−mのデータ信号に対する送信をサービスクラス毎に許可する許可量が記憶される許可量テーブル1〜3(図69(d)〜(f))とが、それぞれ設けられている。
各テーブルの情報量R0i、R1i、R2i、許可量G0i、G1i、G2iの初期値は0であり、従装置10−1〜10−mのID番号iには、各従装置10−1〜10−mに対して個別に割り当てられた値が書き込まれている。
受信部24から蓄積量を申告するセルを受けた記憶部26では、セルに書き込まれた従装置10−1〜10−mのID番号と申告された蓄積量をサービスクラス別に読み取り、これらの読み取られた値に基づいて、情報量テーブル内で従装置10−1〜10−mのID番号が一致する各サービスクラスのデータ信号に対する蓄積量R0i〜R2iを更新する。
主装置20の制御部27では、記憶部26の情報量テーブルに基づいて、各従装置10−1〜10−mの各サービスクラスのデータ信号に対してサービスクラス毎に信号の送信を許可する許可量G0iからG2iを、それぞれ、特定の最大値k0〜k2ビット以下で算出する。
まず、周期的にデータ送信を必要とするサービスクラスs0に対して許可量G0iを算出する。
ここで、特定の最大値k0は、従装置10−1〜10−mの総数をm、従装置10−1〜10−mの映像信号入力ポートが稼動している割合をα0(0<α0≦1.0)、サービスクラスs0のデータ信号に対する伝送容量の最大値をr0maxビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をt0秒としたときに、
k0 ≦(r0max×t0)÷(α0×m) … (17)
の関係を満たすように決定される。サービスクラスs0に対する遅延許容時間t0は周期Tと等しいと設定できる。つまり、
t0 = T … (18)
となる。
なお、従装置10−1〜10−mのサービスクラスs0のデータ信号ポートが稼動している割合α0は、
α0=(サービスクラスs0が稼働中の従装置数)÷m … (19)
より求められ、全従装置のサービスクラスs0のデータ信号ポートが稼動している場合はα0=1.0である。
r0maxはサービスクラスs0のデータ信号伝送を行う加入者の数などに応じてシステムで決定される。
このようにして、サービスクラスs0のデータ信号に対する特定の最大値k0が決められた後、主装置20の制御部27では、記憶部26の情報量テーブルに基づいて、各従装置10−1〜10−mの他のサービスクラスのデータ信号に対して信号の送信を許可する許可量G1iとG2iを特定の最大値k1とk2ビット以下で算出する。
ここで、特定の最大値kl(l=1、2)は、従装置10−1〜10−mの総数をm、従装置10−1〜10−mの各サービスクラスが稼動している割合をαl(0<αl≦1.0)、各サービスクラスのデータ信号に対する伝送容量の最小値をrlminビット/秒とし、システムで定められる各サービスクラスのデータ伝送の遅延許容時間をtl秒としたときに、
kl ≦(rlmin×tl)÷(αl×m) … (20)
の関係を満たすように決定される。
なお、従装置が稼動している割合αlは、
αl=(各サービスクラスが稼働中の従装置数)÷m … (21)
より求められ、全ての従装置の該サービスクラスが稼動している場合はαl=1.0である。
なお、
r1min+r2min=r−r0max … (22)
である。
特定周期Tでデータ送信を行うサービスクラスs0に例えば通常の電話やISDNが収容されるとすると、s0に対する遅延許容時間は1ms程度となる。サービスクラスs1に対する遅延許容時間は、映像が伝送されると考えると、通常のTV信号のフレーム送信間隔を考慮して30ms程度が妥当である。
したがって、サービスクラスs1に関しては実際は周期T=t1程度でデータの送信を行う。また、サービスクラス2では通常のインターネットアクセスなどの遅延を許容するデータ系のサービスを収容し、遅延許容時間tlは、信号の送信を完了する迄に人間が気にならない時間等を考慮すると、0.1〜1秒程度の値が妥当と考えられる。
上述のように、この第10の実施の形態において、サービスクラスs1は主としてリアルタイムのデータを伝送するため、サービスクラスs2に対してデータ送信に対する遅延許容値tlが小さくなっている。従って、サービスクラスs1に対して先に伝送容量を確保し、残った伝送容量でサービスクラスs2に伝送容量を割り当てる。このとき、s1およびs2に対する最大伝送可能情報量k1とk2は
k1<k2 … (23)
とする。
これは、遅延許容値の小さいサービスに対しては連続して送信できる情報量を少なくして、比較的短い時間に送信すべきサービスクラスs1の情報信号を蓄積している全ての端末に送信の指示を与えるためである。
図70は、この第10の実施の形態における送信指示に係わる処理の全体関係を示すフローチャートである。
この第10の実施の形態が第7の実施の形態と異なる点は、全てのサービスクラスのデータ信号に対して送信許可量の算出処理(ステップ654〜656)がある点と、サービスクラス1に対しても周期計測タイマ処理がある点である。
図71は、図70に示したサービスクラス1に対する周期計測タイマ処理を示したフローチャートである。なお、サービスクラスs0に対する周期計測タイマ処理は図60に示したフローチャートの処理と同一である。
また、図71に示したデータ送信に対する許可量を算出する処理は、図61に示したデータ送信に対する許可量を算出する処理において、それぞれサービスクラス毎に、l=1、2として、GdiをGli、RdiをRli、kをklとすればよい。
図72は、図70に示した送信指示全体の処理をフローチャートで示したものである。図72において、サービスクラスs0に対する送信指示が最も高い優先度を持っており、サービスクラスs0に対する送信指示が終了した場合にサービスクラスs1、s2に対して送信指示を行う。サービスクラスs1、s2の間では、サービスクラスs1の方が高い優先度を有しており、一定周期毎にs2に先だってs1のサービスクラスは送信指示が与えられる。
図73は、図72に示したサービスクラスs0に対する送信指示処理を示した図である。サービスクラスs0に対する送信指示は図16に示した音声信号に対する送信指示において、GviをG0iに置き換え、音声信号に対する識別子の代わりにサービスクラスs0の識別子をつければよい。
図74は、図72に示したサービスクラスs1のデータ信号に対する送信指示処理を示したフローチャートである。サービスクラスs1のデータ信号に対する送信指示は、図63に示した音声信号に対する送信指示において、GviをG1iに、flag1をflag2に置き換え、音声信号に対する識別子の代わりにサービスクラスs1の識別子をつければよい。
サービスクラスs2に対する送信指示は、図64に示したデータ信号に対する送信指示において、GviをG2iに置き換えればよい。
図75は、この第10の実施の形態におけるポイント・マルチポイント通信システムでのフレーム構成を示す図である。図75においては、従装置1がサービスクラスs0とs1を使用し、従装置2と従装置3がサービスクラスs0とs2を使用している場合を示している。
この第10の実施の形態においては、サービスクラスs0に対しては、周期Tで必ず帯域を割り当てる。また、サービスクラスs1に対しては、サービスクラスs0に対する送信割り当て後に割り当てられる。
このため、従装置1のサービスクラスs1に対して送信指示を出した後、正確に周期T1後ではなく、サービスクラスs0の送信の後でサービスクラスs1の送信指示がなされる。サービスクラスs2に対しては、サービスクラスs0、s1に対する送信指示終了後残りの帯域に対して、G2i(G2i≦k)だけ連続して送信の指示が与えられる。
この第10の実施の形態において、周期的にデータ送信を必要とするサービスクラスs0に対して最初に許可量を算出し、残った帯域に対して他のサービスクラスの許可量を割り当てた。本方式としては、サービスクラスs0としては、必ずしも周期的にデータ送信を必要とするサービスクラスである必要はない。
すなわち、優先度の高いサービスクラスや遅延に対する許容時間の短いサービスクラスを第四実施例におけるサービスクラスs0とし、そのサービスクラスに対する遅延許容時間を周期Tとして、優先的な送信の指示を実現することができる。
なお、第7乃至第10の実施の形態においては、説明を容易にするために、連続して送信できる情報量の最大値kの値は、全ての従装置10−1〜10−mで同一としている。実際には、各従装置10−1〜10−mの課金や、優先度に応じて異なるkの値を取ることも可能である。
このように、この発明の第7乃至第10の実施の形態においては、従装置10−1〜10−mは主装置20から通知された情報量に従って情報信号を送信するので、数Mバイト規模の情報信号をバースト的に送信する場合でも、伝送路上で信号の衝突が全く起こらず、CSMA/CDのようにスループットが低下しない。
ここで、情報信号の送信を許可する情報量は、従装置10−1〜10−mからの申告に基づいて、情報伝送容量を100%有効利用できるように動的かつ効率的に算出されるので、バーストトラフィックや従装置の数が増加したような混雑時でも高いスループットが得られる。
また、サービスクラス別に情報量を申告して、優先度の高いサービスクラスから順に情報の送信を指示しているので、優先度の低いサービスクラスが数Mバイト以上のバースト送信を行っても、優先度の高いサービスクラスに対しては独立して情報の送信を指示するので、優先度の高いサービスクラスに対しては厳しい遅延要求を満足させることができる。
さらに、各従装置10−1〜10−mから申告を受けた情報量に対し、ある一定時間内に送信を指示する情報量に制限を与える。特定の従装置10−1〜10−mが数Mバイト以上の大きな情報量を申告しても、ある制限値いないでしか情報の送信を指示されないので、特定の従装置10−1〜10−mの情報送信によって、他の従装置10−1〜10−mの送信に与える影響を小さくすることが可能である。
また、一定時間内に与える情報送信の最大値k(bit)は、従装置10−1〜10−mの総数をm(mは整数)、情報伝送量をr(bit/sec)とし、システムで定められる情報伝送の許容時間をtd(sec)としたときに、
k≦(r×td)/m
の関係を満たすように決定する。また、稼働していない従装置10−1〜10−mがある場合には、従装置が稼働している割合を、α(0≦α≦1.0)として k≦(r×td)/(α×m)
の関係を満たすように一定時間内に与える情報送信の最大値kを決定する。
従って、従装置10−1〜10−mは最大でk(bit)の情報信号を送信する間、上り方向の伝送路を独占的に使用できるので、大規模な情報信号を連続的に送信することが可能である。上式に基づいて情報量を決定した場合は、全ての従装置10−1〜10−mがk(bit)の情報を送信した場合でも、その送信に必要な時間はtd(sec)なので、全ての従装置10−1〜10−mに対して情報伝送の遅延許容時間tdを保証することができる。
さらに、全ての従装置10−1〜10−mは、この遅延許容時間td以内で、情報信号を必ず送信できるのでアクセスの公平性も保証することができる。
次に、この発明の第11の実施の形態について説明する。
この第11の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムは、情報伝送の遅延許容時間が異なる複数のサービスクラスの通信を行う場合に、各サービスクラスの通信品質の要求を満たしながら、高い伝送効率で通信を実施できるようにしたものである。
図76は、この第11の実施の形態におけるポイント・マルチポイント通信システムの従装置の詳細構成を示すブロック図である。
なお、この第11の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムの全体構成は、図1に示した構成と同様に構成することができる。
図76において、従装置10は、複数の入力ポートに接続される入力部11、出力ポートに接続される出力部12、送信ポートに接続される送信部13、受信ポートに接続される受信部14、複数のサービスクラスの信号を一時的に蓄積するバッファメモリ15、バッファメモリ15に蓄積されたサービスクラス全体の信号の送信に必要な情報量を計数するカウンタ16、主装置20からの指示に従ってカウンタ16で計数された情報量を申告したり、バッファメモリ15に一時的に蓄積されている信号の送信をする等の制御を行う制御部17を具備して構成される。
なお、図76のバッファメモリでは、サービスクラスが異なる信号を複数の論理的なキューを用いて各々蓄積するようにしたが、複数の物理的なバッファメモリを用いて蓄積するようにしてもよい。
サービスクラスは、従装置10−1〜10−mから主装置20へ送信する信号の遅延許容時間に基づいて定めればよく、この実施の形態においては、遅延許容時間が相対的に短い信号を高い優先度のサービスクラスとし、遅延許容時間が相対的に長い信号を低い優先度のサービスクラスとする。
なお、サービスクラスは、主装置20へ送信する信号の重要度や、信号のトラフィック特性などにもとづいて定めるようにしてもよい。
例えば、離散コサイン変換などによって符号化された画像の信号を送信する場合は、画像の主要部分である低周波成分からなる信号を高い優先度のサービスクラスとし、詳細部分である高周波成分からなる信号を低い優先度のサービスクラスとするようにしてもよい。
この第11の実施の形態においては、光伝送路における上りおよび下りの伝送フレームとして図4に示した伝送フレームを採用する。すなわち、下りの1フレームは56スロット、上りの1フレームは53スロットからなり、これらの伝送フレームに基づいて、主装置から従装置への下りがTDM(Time Division Multiplex)、従装置から主装置への上りがTDMA(Time Division Multiple Access)の多重方式により、下り53バイト、上り56バイトのセルがそれぞれ送受信される。
なお、上りセルには3バイトのオーバヘッドが含まれており、下り伝送フレームには、28セルに1セルの割合で1フレームに2つのPLOAMセルが含まれるとする。最初のPLOAMセル1には従装置からの上りセルを要求するグラントが27個、二番目のPLOAMセル2にはグラントが26個あり、合計53個のグラントが含まれている。
また、PLOAMセルのグラントと上り伝送フレームのスロットとの対応としては図25に示すフレームを採用する。ここで、下り伝送フレームの最初のPLOAMセル1には従装置からの上りセルを要求するグラントが27個、二番目のPLOAMセル2にはグラントが26個あり、合計53個のグラントが含まれている。
主装置20は、このPLOAMセルPLOAM1もしくはPLOAMセルPLOAM2のグラントに、特定の従装置の上りセルを要求する識別子を書き込むことで、上り伝送フレーム内のどのスロットに、どの従装置がセルを送信できるかを指示する。
従装置10−1〜10−mは、PLOAMセルPLOAM1もしくはPLOAMセルPLOAM2に、該従装置10−1〜10−mの上りセルを要求する識別子が書き込まれていた場合、当該グラントに対応する上り伝送フレームのスロットにセルを送信することができ、この方法により光伝送路上でセルが衝突することを回避して、信号を主装置へ送信できる。
なお、図4に示した上り伝送フレームでは、1台の従装置10−1〜10−mからのセルを1スロットで伝送するが、このスロットを複数に分割したミニスロットを構成することにより、複数の従装置10−1〜10−mからのセルを1スロットで伝送することができる。このミニスロットは、従装置10−1〜10−mのバッファメモリに蓄積された信号を送信するために必要な情報量を主装置20へ申告するために用いる。
主装置20は、PLOAMセルPLOAM1もしくはPLOAMセルPLOAM2のグラントに、特定の従装置10−1〜10−mの情報量を要求する識別子を書き込むことで、上り伝送フレーム内のどのミニスロットに、どの従装置10−1〜10−mがミニセルを送信できるかを指示する。
従装置10−1〜10−mは、PLOAMセルPLOAM1もしくはPLOAMセルPLOAM2に、該従装置10−1〜10−mの情報量を要求する識別子が書き込まれていた場合、当該グラントに対応する上り伝送フレームのミニスロットにミニセルを送信することができ、この方法により光伝送路30上でミニセルが衝突することを回避して、バッファメモリに蓄積されたサービスクラス全体の信号の送信に必要な情報量を主装置20へ申告できる。
次に、この第11の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムにおけるアクセス方式を説明する。
まず、従装置10−1〜10−mを識別するID番号は、主装置20で管理され、システムに加わる全ての従装置10−1〜10−mには、初期の段階でID番号が通知されている。このID番号により、主装置20ではどの従装置10−1〜10−mからのセルであるかが識別され、各従装置10−1〜10−mでは受信したセルが自分宛てであるかが識別される。
さて、図76に示した従装置10の複数の入力ポートには、端末あるいは他のネットワークから音声、映像およびデータ等のような信号が入力され、これらの信号は入力部11を介してバッファメモリ15に送られ、バッファメモリ15内に設けられたサービスクラスごとの論理的なキューで一時的に蓄積される。
個々の入力ポートは、電話、映像、イーサネット(登録商標)、ATMのように、入力される信号を一意に定めるようにしてもよい。なお、バッファメモリ15に蓄積される信号は、例えば、ATMセルやイーサネット(登録商標)パケットのように、バッファメモリ15に蓄積される段階でセル化あるいはパケット化されていてもよい。また、この第11の実施の形態においては、図4に示した伝送フレームのように、下り伝送フレームの1スロット、およびオーバヘッドを除いた上り伝送フレームの1スロットを、それぞれ53バイトとしたので、入力される信号が53バイト単位であると整合性がよい。
例えば、可変長のイーサネット(登録商標)パケットが入力される場合は、入力部11において53バイト単位の固定長のセルに分割し、バッファメモリ15のキューに蓄積すればよい。この場合は、主装置20側でパケットを再生するための情報を53バイトの一部に含めるようにしてもよい。
図76示した従装置10のカウンタ16では、バッファメモリ15に一時的に蓄積されたサービスクラス全体の信号の送信に必要な情報量が、信号の送信に必要なセル数あるいはスロット数を単位として整数で計数される。例えば、図4に示した上り伝送フレームでは、オーバヘッドを除いた53バイトで信号が伝送されるので、情報量は53バイトを1単位として計数される。
この計数方法としては、バッファメモリ15への信号の入力およびバッファメモリ15からの信号の出力に応じて随時計数する方法、バッファメモリ15にFIFOで蓄積されている信号の先頭アドレスと末尾アドレスの差から計数する方法等が考えられ、バッファメモリ15に蓄積されている信号の絶対値を情報量としてもよいし、前回の申告からの差分値を情報量としてもよい。
情報量は、ビットあるいはバイトを単位とした整数値で計数してもよいが、信号の送信に必要なセル数あるいはスロット数で計数すれば、主装置20へ申告する値が小さくなるので効率がよい。なお、蓄積されている信号が53バイト未満の場合には、送信に1セルあるいは1スロット必要として計数してもよいし、53バイトになるまで計数しなくてもよい。
次に、主装置20がPLOAMセルを用いて、従装置10−1〜10−mに対して信号の送信に必要な情報量を申告するように指示し、従装置10−1〜10−mから申告された情報量に基づいて信号の送信を指示する方法を説明する。
まず、主装置20は、従装置10−1〜10−mに情報量を申告するように指示する周期に基づいて、PLOAMセルのグラントに、特定の従装置10−1〜10−mへ情報量の申告を要求する識別子を書き込む。
次に、従装置10−1〜10−mから申告された情報量に従って、各従装置10−1〜10−mに対して信号の送信を許可する許可量を特定の最大値kビット以下で算出し、この許可量に基づいて特定の従装置10−1〜10−mへ上りセルの送信を要求する識別子を書き込む。
ここで、特定の最大値kは、従装置10−1〜10−mの総数をm、従装置が稼動している割合をα(0<α≦1.0)、情報伝送容量をrビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd秒としたときに、式(1)の関係を満たすように決定される。なお、従装置10−1〜10−mが稼動している割合αは、式(2)より求められ、全ての従装置10−1〜10−mが稼動している場合はα=1.0である。
式(1)の情報伝送容量rは、上り伝送フレームで実際に信号を伝送可能な容量であり、情報伝送の遅延許容時間tdは、システムで扱うサービス等を基準にして設定される。許可量の算出とPLOAMセルのグラントへ識別子を書き込む方法の詳細は、第1の実施の形態で説明した通りである。
次に、従装置10−1〜10−mが主装置20に対して、サービスクラス全体の信号の送信に必要な情報量を申告する方法と、バッファメモリ15に蓄積された信号を送信する方法について説明する。
図76に示した従装置10では、受信ポートを介して受信部14でセルが受信される。受信部14では、セルに書き込まれた宛て先に基づいて、受信したセルが該従装置10宛てであるかが識別される。セルが該従装置10宛ての場合は、セルに書き込まれたセル識別子に基づいてセルの種類が識別される。識別されたセルがPLOAMセルの場合は制御部17に送られ、それ以外の場合は出力部12へ送られる。
制御部17では、受信部14からPLOAMセルを受け取ると、PLOAMセルのグラントに書き込まれた識別子に基づいて、信号の送信が指示されたのか、情報量の申告が指示されたのかを判断する。主装置20から該従装置10−1〜10−mの情報量を要求されたと判断した場合は、カウンタ16で計数された情報量と該従装置10−1〜10−mのID番号を少なくとも書き込んだミニセルを作成し、申告を指示されたグラントに対応する上り伝送フレームのミニスロットによって、送信部13を介してこのミニセルを送信する。
なお、情報量は、カウンタ16で計数された絶対値、および前回の申告からの差分値の両方か、どちらか1つを申告する。主装置20から該従装置10−1〜10−mの上りセルを要求されたと判断した場合は、サービスクラスの優先度が最も高いバッファメモリのキューから信号を順番に取り出し、この信号を送信するセルを作成し、申告を指示されたグラントに対応する上り伝送フレームのスロットによって、送信部13を介してこの作成したセルを送信する。
例えば、図77に示すように、従装置10−1〜10−mのバッファメモリ15におけるサービスクラス1乃至3のキューに各々信号が蓄積されていた場合に、主装置20から8セル分の上りセルを要求された場合は、サービスクラス1のキューから2セル分の信号、サービスクラス2のキューから4セル分の信号、サービスクラス3のキューから2セル分の信号が取り出され、主装置20へ順次送信される。なお、バッファメモリ15のキューから信号を取り出す場合には、各サービスクラスに重みづけを行い、適当な比率で各サービスクラスのキューに蓄積された信号が送信されるようにしてもよい。
このような構成によると、特定の従装置10−1〜10−mが上りの伝送路を独占的に使用して、サービスクラスの優先度が高い信号から順番に、主装置20から指示された許可量以下で連続して信号を送信することができる。
次に、この発明の第12の実施の形態について説明する。
この第12の実施の形態においては、例えば、図1に示した構成において、主装置20が従装置10−1〜10−mに対して情報量の申告を指示する間隔を動的に更新したり、PLOAMセルPLOAM1もしくはPLOAMセルPLOAM2の未使用のグラントを用いて情報量の申告や信号の送信を指示するように構成されており、これにより通信の効率を高めることができる。
例えば、図76に示した従装置10−1〜10−mから主装置20へのトラヒック量が少なく伝送路の負荷が低い場合は、従装置10の制御部17が情報量の申告を指示する間隔を短く制御する。これにより、従装置10−1〜10−mの情報量の変化を主装置20がより高速に認識することができる。また、主装置20は従装置10−1〜10−mの情報量の変化に対して、より柔軟に信号の送信を指示できることになり、従装置10−1〜10−mが信号を送信するまでの待ち時間を短縮することができる。
逆に、従装置10−1〜10−mから主装置20へのトラヒック量が多く伝送路の負荷が高い場合は、情報量の申告を指示する間隔を長く制御する。これにより、伝送路上で信号の送信に利用可能な伝送帯域が広がるのため、スループットをより向上させることができる。
さらに、主装置20は、全ての従装置10−1〜10−mから申告された情報量に対して信号の送信を指示した後で、PLOAMセルに未使用のグラントがある場合は、そのグラントを用いて従装置10−1〜10−mに対して情報量を申告するように指示する。これにより、各従装置10−1〜10−mの情報量を先読みすることにより、通信の効率を高めることができる。
また、PLOAMセルの未使用のグラントを用いて各従装置10−1〜10−mへ信号の送信を順番に指示する。これにより、信号の送信を主装置40から常に指示することできるため、従装置10−1〜10−mが信号を送信するまでに必要な待ち時間を削減することができる。
このようにこの発明の第11乃至第12の実施の形態においては、従装置10−1〜10−mはサービスクラス全体の信号の送信に必要な情報量を主装置20へ申告し、主装置20は各従装置10−1〜10−mから申告された情報量に基づいて信号の送信を指示するので、伝送路上で信号の衝突が全く起こらず、トラヒック量が増加したような場合でもスループットが低下するようなことがない。 例えば、従装置10−1〜10−mが映像伝送をしながら比較的大きなサイズのファイルを送信するような場合でも、映像の品質を劣化させることなく、ファイルを効率よく転送することができる。また、従装置10−1〜10−mに対して情報量を申告するように指示する間隔を動的に更新したり、未使用のグラントを用いて情報量や信号の送信を指示することにより、通信の効率をさらに向上させることができる。
信号の送信を許可する許可量は、従装置10−1〜10−mからの申告に基づいて、情報伝送容量を100%有効利用できるように動的かつ効率的に算出されるので、バーストトラヒックや従装置の数が増加したような混雑時でも高いスループットが得られる。許可量の最大値kビットは、従装置の総数をm(mは整数)、従装置が稼動している割合をα(0<α≦1.0)、情報伝送容量をrビット/秒とし、システムで定められる情報伝送の遅延許容時間をtd秒としたときに、
k≦(r×td)/(α×m)
の関係を満たすように決定する。従って、従装置10−1〜10−mは最大でkビットの信号を送信する間、上り方向の伝送路を独占的に使用して、サービスクラスの優先度が高い信号から順番に、主装置20から指示された許可量以下で連続して信号を送信することができる。また、上式に基づいて許可量を決定した場合は、全ての従装置10−1〜10−mがkビットの信号を送信した場合でも、その送信に必要な時間はtd秒なので、全ての従装置10−1〜10−mに対して情報伝送の遅延許容時間tdを保証することができる。全ての従装置10−1〜10−mは、この遅延許容時間td秒以内で、信号を必ず送信できるのでアクセスの公平性と情報伝送の遅延許容時間を保証することができる。
図78は、この発明の第13の実施の形態で採用される伝送フレームを示す図であり、図79は、従装置の構成、図80は主装置の構成を示す図である。
図78において、この第13の実施の形態で採用される伝送フレームは、主装置20から従装置10−1〜10−mへの下り信号と、従装置10−1〜10−mから主装置20への上り信号を時間を分割して伝送する時分割双方向伝送方式(TDD)とする。
すなわち、伝送フレームを制御チャネルとデータチャネルに分離し、伝送フレーム前半部が制御チャネルである。
さらに制御チャネルの前半部は、下り方向(主装置20から従装置10−1〜10−mへの方向、以下下り方向と称する)の制御チャネルに、後半部を、上り方向(従装置10−1〜10−mから主装置20への方向、以下上り方向と称する)の制御チャネルとする。
データチャネルには、タイムスロット番号を#1から#nまで付与するものとする。このタイムスロットは、上り方向と下り方向に関して適応的に、主装置20が決める。
ひとつのタイムスロットを構成する情報バイト量は、システムに依存し決定されるものである。たとえば、ATM(非同期転送モード)を転送する場合は、53バイトの情報が入るタイムスロットが望ましい。また、それ以外のバイト数であっても、固定長であれば、何ら問題はない。
しかし、下り信号のタイムスロットの次に上り信号のタイムスロットが入る場合や、異なる従装置10−1〜10−mからの上りタイムスロットが続く場合を考えると、ある程度のガードタイムが必要であり、1タイムスロット中の情報バイト量を減少させると、そのオーバヘッドの為に、効率が悪くなる。
図78に示す下り制御チャネルには、データチャネルの構成情報が入る。データチャネルのタイムスロットに#1から#nまで番号を付け、このデータチャネルのタイムスロット番号の数だけ下り制御チャネルのタイムスロットを設ける。 この下り制御チャネルの第j番目のスロット(CONT #j;j=1..n)には、まず、データチャネルのタイムスロット#jが上りであるか、下りであるかの識別子を入れる。さらに、下りデータの場合は、該当する従装置10−1〜10−mを示す宛先アドレスを、上りデータの場合は、送信許可宛先アドレスを入れる。
図78の上り制御チャネルは、従装置10−1〜10−mのデータバッファメモリに蓄積されているデータ量などを入れる。この上り制御チャネルのタイムスロットの数は、従装置10−1〜10−mの数に限定されるものではない。従装置10−1〜10−mの数が、このタイムスロットの数より多い場合は、複数の伝送フレームにより、構成しても良い。
ここでは、ひとつの実施例として伝送フレームを示したが、伝送フレームはここで示した実施例に限定するものではない。たとえば、上りと下りを異なる伝送路や周波数帯で伝送することが可能である。この場合、下り伝送フレームは、下り制御チャネルと下りデータチャネルで構成されるとともに、上り伝送フレームは、上り制御チャネルと上りデータチャネルとで構成される。この場合は、下り信号は、連続フレームすなわちTDMとなり、上り信号は、バースト信号のTDMAとなる。
ここでの骨子は、上り制御チャネルのタイムスロットが予め固定されており、主装置20は、従装置10−1〜10−mからの制御情報、すなわち、情報の蓄積量がどの従装置10−1〜10−mから上がってくるのかが分かる仕組みになっていることである。
図79において、この従装置10と接続されている端末装置からのデータ信号は、入力インタフェース部701を介してバッファメモリ702に蓄積される。 バッファメモリ702に貯えられた情報データは、TDMA伝送フレーム生成部703から出力されるメモリリード信号に従って読み出される。
読み出された情報データは、TDMA伝送フレーム生成部703により、主装置20から指示されたデータチャネルのタイムスロット番号に従って、その指示されたタイムスロットに情報データを挿入する。
送信部204では、TDMA伝送フレーム生成部703からの信号を伝送路に送信するための信号変換を行う。
また、バッファメモリ702に蓄積された情報量は、情報量計測部705により計測が行われる。ここでは、バッファメモリ702への書き込みアドレスと読み出しアドレスの差を求め、蓄積されている情報データ量の絶対値を計測することが行われる。さらに、1フレーム周期前の絶対値との差分を求めても良い。また、絶対値と差分値の両方を求めても良い。ここで計測した蓄積情報量は、TDMAA伝送フレーム生成部703において、伝送フレームの上り制御チャネル内の所定のタイムスロットに挿入される。
一方、主装置20からの下り信号は、まず、受信部706により受信され、その後、TDMA伝送フレーム分離部707により、制御チャネルとデータチャネルが分離される。
TDMA伝送フレーム分離部707では、まず下り制御チャネルの中にあるデータが上りか下りかを示す識別子から下りデータを示す識別子が付いている制御チャネルだけ抜き出し、制御信号としてアドレスフィルタ部708に出力する。 アドレスフィルタ部708では、その制御信号をもとに、自分のアドレスに該当する従装置アドレスのみのタイムスロットをデータチャネルから抜き出す。 アドレスフィルタ部708で抜き出したデータ信号は、出力インタフェース部709を介して、端末装置に出力する。
また、TDMA伝送フレーム分離部707では、下り制御チャネルの中で、上りデータを示す識別子の中で、自分のアドレスがあれば、該当するタイムスロット番号を送信許可信号としてTDMA伝送フレーム生成部703に送信する。 TDMA伝送フレーム生成部703においては、このタイムスロット番号が来たときに、バッファメモリ702にメモリリード信号を出力して、バッファメモリ702から情報データを読み出し、伝送フレーム化して、送信部704に出力する。
図80において、主装置20は、バックボーンネットワーク装置と接続されるが、そのバックボーンネットワーク装置から出力されるデータ信号は、入力インタフェース部801により伝送終端された後宛先アドレス確認部802によりデータ信号の宛先アドレスと物理的な従装置アドレスとの対応がとられる。例えば、IP(Internet Protocol)フレームで構成されるデータの場合は、IPフレームの宛先アドレスと従装置アドレスを対応させるマップを持ち、このマップに従って、従装置アドレスを導出する。
宛先アドレス確認部802は、マップに従って、従装置アドレスを持つ制御信号を出力するとともに、データ信号をTDMA伝送フレーム生成部803へ出力する。TDMA伝送フレーム生成部803においては、タイムスロット割当て演算部804からの信号に従って、伝送フレームの下り制御チャネルへの書き込みとともに、該当するデータチャネルのタイムスロットに下りデータ信号を入れ込み、送信部805へ出力する。従装置10への送信信号は、送信部805を介して出力される。
一方、従装置10からの上り信号は、受信部806を介して、TDMA伝送フレーム分離部807に入力される。TDMA伝送フレーム分離部807では、まず、上り制御チャネルより、各従装置10のバッファメモリの蓄積情報量を検出する。ここで、主装置20へ情報信号を送信する従装置#1〜#mが、蓄積された情報信号の蓄積量Riを主装置20へ申告するとする。ここで、iは個々の従装置10を表わし、従装置の総数をm (m は整数)とした場合、i=1,2,・・・,mである。
従装置10からの申告を受けた主装置20は、申告された蓄積量Riに基づいて,各従装置10に対して送信を許可する情報量Niを特定の最大値K (bit)以下で算出する。ここで、特定の最大値Kは、前述した式(1)の関係を満たすように決定される。
主装置10は情報量Niを算出した後に、1フレーム周期に割り振ることのできる情報量niを、情報量Niから算出する。この情報量niにより、上りデータのタイムスロットを連続的に割り振り、割当てたタイムスロット番号に該当する下り制御チャネルの従装置アドレスを書き込む。ここで、Niと別にniを求める理由は、算出された情報量Niが1フレームで送信可能な情報伝送容量を越えていた場合に,従装置iに対して、制御チャネルをまたいで次のデータチャネルの先頭部で情報量Niを従装置10から出力させるためである。ここで、従装置10から上ってきた情報量から、従装置10への送信許可、すなわち、上りデータのタイムスロット割当てを行う演算は、タイムスロット割当て演算部804によって行われる。
ところで、伝送フレームのデータチャネルの上りと下りのタイムスロットの割当てに関しても、このタイムスロット割当て演算部804にて実行される。ここで、実行されるアルゴリズムとしては、例えば、バックボーンネットワークからの下りデータを優先し、宛先アドレス確認部802において、下り情報が無い場合に、上りタイムスロットに割当てる方法が考えられる。
また、あらかじめ下りのタイムスロット領域と上りのタイムスロット領域を、固定的あるいは半固定的に割当てる方法などが考えられる。もちろん、上りタイムスロットを優先的に割り振る方法も考えられる。上りデータチャネルのタイムスロットは、主装置20がタイムスロットを割当てた部分に情報データが入っている。従って、該当する従装置アドレスは、タイムスロット割当て部804からの信号によりユーザ情報再構築部808において、認識でき、従装置単位の情報データに再構築する。たとえば、IPフレームに関しては、複数のタイムスロットに分割されて伝送されるため、一つのIPフレームにここで再構築される。この情報データは、出力インタフェース809を介して、バックボーンネットワーク装置に入力される。
この第13の実施の形態において、特に強調されることは、従装置10からの上り信号が連続したタイムスロットで主装置20に伝送され、その上りデータの転送遅延時間Ttとすると、Ri≦kの関係から、
α×m
Tt=Σ(Ri/r) ≦(k×α×m)/r =td
i=1
となる。これは、データの上り転送遅延時間が、特定の時間tdで制限されることになる。 すなわち、従装置10に接続される端末装置からの上りトラフィック負荷が100%の場合においても、遅延時間がtd以内で転送が行われることになる。これは、QOSを満たすばかりでなく、従装置間の公平性を満たすことになる。
また、連続的にタイムスロットを確保することにより、平均転送遅延時間tdaは、
tda≦td/2 (α×mが十分大きい場合)
となる。これは、連続的に同一従装置にタイムスロットを割当てることにより、平均の転送遅延時間が短くなることを示している。
ところで、この第13の実施の形態では、データチャネルは上り情報信号と下り情報信号のタイムスロットの位置が主装置の制御により設定するとした。
しかし、上り情報信号タイムスロットと下り情報信号タイムスロットとの間には、ガードタイムが必要である。主装置40から複数の従装置10までの距離にばらつきがある場合は、その距離のばらつきの大きさに該当する往復の遅延時間だけのガードタイムが最低必要になる。
よって、上り情報信号と下り情報信号のタイムスロットを予め分離し、その間にガードタイムを設定しても良い。その場合、主装置20と従装置10の間の伝播遅延時間の絶対値に関しては、遅延時間補償がなされるものとする。
この実現方法としては、システムの初期設定において、主装置20から従装置10への往復伝播時間計測を行った上で、適切な遅延を主装置20から各従装置10に指示することなどが考えられる。
さらに、上りと下りの多重を時間的に行うTDD方式ではなく異なる伝送路、すなわち、有線の場合は、異なる線路や光波長多重など、無線の場合は異なる周波数帯を用いることができる。この場合は、下り制御チャネルに続き下りデータチャネルを入れ、連続的に従装置に向けて信号を流す。また、上り方向に関しては、上り制御チャネルに続き、上りのバーストデータチャネルを従装置は送信することになる。
次に、この発明の第14の実施の形態について説明する。
この第14の実施の形態は、第13の実施の形態でサービスするベストエフォート形サービスに加えて、回線交換系のギャランティ形サービスを加えるものである。
図81は、この第14の実施の形態で採用される伝送伝送フレームを示す図である。
図81において、下り制御チャネルと上り制御チャネル、およびデータチャネルに大別される部分は、第13の実施の形態と同一である。しかし、下り制御チャネルにはギャランティ形サービスで用いる下り制御チャネルが追加され、上り制御チャネルにもギャランティ形サービスの制御チャネルが追加される。
このギャランティ形サービスで用いる下り制御チャネルは、データチャネルを確保するための回線制御に用いられる。すなわち、このチャネルを用いて、従装置10からの回線要求信号とそれに対する主装置20からのACK/NACK信号や、回線切断要求やそれに対するACKACK信号などのやり取りを行う。
ギャランティ形サービスの実際のデータチャネルは、下り制御チャネルのタイムスロット制御部分で行われる。n個のタイムスロットで区切られたデータチャネルを、上り下りの情報を含めて指示する。この部分は、第13の実施の形態と同一である。
図82は、この第14の実施の形態で採用される従装置10の構成を示したものである。ここで、ベストエフォート形サービスに関する部分は第13の実施の形態と同じである。
ギャランティ形サービスに関しては、まず、端末装置からのギャランティサービス入力データを入力インタフェース部711にて終端する。入力インタフェース部711では、端末装置からの回線設定要求に従って、回線制御部712に回線設定要求を知らせる。回線制御部712では、回線設定要求を検出して、ギャランティ形サービスの出力インタフェース711を介して、端末装置に要求中である旨の信号を戻す。さらに、入力インタフェース部711では、回線設定要求を回線制御部712に出力し、回線制御部712は、回線設定要求をTDMA伝送フレーム生成部703に対して行う。
TDMA伝送フレーム生成部703では、伝送フレームの上り制御チャネルギャランティ形サービスの該当する自局ID番号タイムスロットに回線設定要求を書き込み、主装置に伝送する。
一方、TDMA伝送フレーム分離部707では、下り制御チャネルのギャランティ形サービスの自局ID番号タイムスロットにて主装置20からのACK/NACK信号をドロップするとともにそれを回線制御部712に出力する。
ACKが戻った場合には、チャネル設定要求信号を回線制御部712が出力する。NACKが戻った場合は、ビジー信号を回線制御部712が出力インタフェース分719に向けて出力する。
ACKが戻り、チャネル設定要求信号を主装置20に出力した後、主装置20から回線設定確認通知とともに、下り制御チャネルの中のタイムスロット制御部分に、ギャランティ形サービスの上り信号フラグと該当するタイムスロット番号に自局IDが書かれてくる。
従装置10では、そのフラグとIDに従って、ギャランティ形サービスの入力インタフェース711からの情報データが伝送される。ギャランティ形サービスの下り信号に関しては、この下り制御チャネルのタイムスロット制御により、サービス種別、上り下りの違いを識別する。この識別は、アドレスフィルタ/サービス分離部708によって行われる。ギャランティ形サービスの場合は、ギャランティ形サービスの出力インタフェース部719に振り分けられる。
回線切断手順に関しては、上記回線設定と同様、制御チャネルを用いて行われる。さらに、主装置20からの回線設定手順が存在する。これは、バックボーンネットワークからのシグナリングによる回線設定手順である。主装置20からは下り制御チャネルのギャランティ形サービス領域中の自局IDタイムスロットに回線設定信号が流れてくる。この信号を受信した回線制御部712では、出力インタフェース719を介して、接続要求を端末装置に出力する。この信号を受けた端末装置は、通常は応答信号を返すがこの応答信号は、入力インタフェース711を介して、回線制御部712に戻ってくる。
回線制御部712では、これをACK信号として上り制御チャネルのギャランティ形サービス領域の該当する自局IDのタイムスロットにACK信号を出力する。端末装置からの応答が無い場合は、回線制御部712にてNACK信号を出力する。
次に、主装置20から、下り制御チャネルのタイムスロット制御領域によりギャランティ形サービスであることを示すフラグおよび信号データの上り下りを示すフラグが示される。
データチャネルのタイムスロット番号は、空いているタイムスロット番号の小さい順に下り信号が主装置20にて割当てられる。上り信号は、その次のタイムスロット番号に割当てられる。従装置10は、上りに割当てられたタイムスロット番号に従って、上り情報データを主装置に出力する。回線切断の手順は、制御チャネルを用いて行われる。
図83は、この第14の実施の形態で採用される主装置の構成を示す。ここでも、ベストエフォート形サービスについては、第13の実施の形態において既に説明したので、ギャランティ形サービスについて説明する。
ギャランティ形サービスで、接続されるバックボーンネットワーク側装置は、主には交換機である。
交換機からのデータは、ギャランティ形サービスの入力インタフェース部811に入力される。接続先情報であるシグナリング情報は、入力インタフェース部811で分離され、回線制御部812に入力される。
回線制御部812では、下り制御チャネルのギャランティ形サービス領域の該当する従装置IDのタイムスロットを用いて、従装置10に向けて回線設定信号を、TDMA伝送フレーム生成部803を介して出力する。
この信号に対応して、該当従装置10から、上り制御チャネルのギャランティ形サービス領域の該当従装置IDにタイムスロットによりACK/NACKが返ってくる。NACKが戻ってきた場合は、回線制御部812から、出力インタフェース819を介してビジー信号を交換機に戻す。
一方、ACKが戻ってきた場合は、回線設定完了信号とともに、下り制御チャネルのタイムスロット制御領域の使われていないタイムスロット番号の小さい順に、ギャランティ形サービス種別を識別するフラグと従装置IDと下り信号フラグを書き込んで、TDMA伝送フレーム生成部803に出力する。また、同時に、上記で示したデータチャネルのタイムスロット番号の領域に情報データを書き込み、従装置10に向けて出力する。
かつ、同時に、回線制御部812では、下り情報データチャネルの次のタイムスロットに上りのデータチャネルを割当てる。割当てられた従装置10は、制御チャネルのタイムスロット制御領域の上り送信許可信号に従って、情報データを送出する。
この情報データは、タイムスロット割当て演算部804からの信号に従って、ユーザ情報再構築部808により、分離され、出力インタフェース部819を介して交換機へ出力される。この場合、予め設定された交換機インタフェースの多重フォーマットに従った多重がなされる。
以上のシーケンスは、一つの従装置10に対する、バックボーン側からの回線設定手順である。この手順は、同時に複数の従装置に対して設定する。この設定は、制御チャネルに関して、異なるタイムスロットが割当てられているため、問題はない。
回線制御部812では、回線設定の時間が早い順に、データチャネルのタイムスロット番号の若い番号が割当てられる。回線の開放に従って、回線制御部812では、若いタイムスロット番号を検索して割当てる。また、特定の時間、回線の開放によりタイムスロットに空きができると、タイムスロット割当て演算部804により、ベストエフォート形サービスの領域に組み入れる。しかし、ギャランティ形サービスの回線設定が優先するため、回線制御部812では、ベストエフォート形サービスに使用されているタイムスロット番号については、空き回線と同一の扱いを行う。
次に、従装置10からの回線設定に関しては、上り制御チャネルのギャランティ形サービス領域内に回線設定要求が挿入されてくる。主装置20では、この要求をTDMA伝送フレーム分離部807を介して回線制御部812に入力する。 回線制御部812では、データチャネルのタイムスロットすべてがギャランティ形サービスで使われていないかを確認して、ACKあるいはNACKを、下り制御チャネルのギャランティ形領域を用いて、従装置10に戻す。
ACKを戻した場合、従装置10からチャネル設定要求信号が上がってくる。 この時、主装置20は、回線制御部812と出力インタフェース819を介して、バックボーン側交換機に接続要求を行う。交換機側から、入力インタフェース811を介して接続完了の通知がなされた場合、回線制御部812では、下り制御チャネルのギャランティ形サービス領域を用いて回線設定確認通知信号を従装置10に返す。
それと同時に、下り制御チャネルのタイムスロット制御領域の、空きタイムスロット番号に、該当する従装置のID番号、上り下りの識別フラグ、ギャランティ型サービスであることを示すフラグを書き込む。この時、タイムスロット番号は、空きタイムスロット番号の中で小さい順から使用する。また、同時に、その次のタイムスロット番号を、上り情報データのためのタイムスロット番号に指定する。また、同時に、TDMA伝送フレーム生成部803に、下り情報データを書き込んで、従装置10に向けて出力する。
ここで、情報データのタイムスロットを割当てる際に、ベストエフォート形サービスは空きタイムスロットと同一に扱う。回線切断の手順についても、上り下りの制御チャネルを用いて実施される。
ところで、この第14の実施の形態では、データチャネルのタイムスロットは上りと下りが混在している場合に付いて記した。主装置20から複数の従装置10までの距離にばらつきがある場合は、その距離のばらつきの大きさに該当する往復の遅延時間だけのガードタイムが最低必要になる。よって、上り情報信号と下り情報信号のタイムスロットを予め分離し、その間にガードタイムを設定しても良い。その場合、主装置20と従装置10間の伝播遅延時間の絶対値に関しては、遅延時間補償がなされる。
この実現方法としては、システムの初期設定において、主装置20から従装置10への往復伝播時間計測を行った上で、適切な遅延を主装置20から各従装置10に指示することなどが考えられる。
さらに、上りと下りの多重を時間的に行うTDD方式ではなく、異なる伝送路すなわち有線の場合は、異なる線路や光波長多重など無線の場合は異なる周波数帯を用いることができる。この場合は、下り制御チャネルに続き下りデータチャネルを入れ、連続的に従装置に向けて信号を流す。また、上り方向に関しては、上り制御チャネルに続き、上りのバーストデータチャネルを従装置は送信することになる。
このように、第13の実施の形態によれば、主装置20は従装置10から申告された情報量に従って従装置10に情報信号の送信を許可するので、システムで決まる情報伝送容量を有効利用でき従装置10間の上り信号の公平性も確保できる。さらに、従装置から主装置への上りデータ平均転送時間に関して最悪転送遅延時間を保証することができる。
また、第14の実施の形態によれば、回線交換などのギャランティ形サービスをデマンドアサイン型TDMAで実現しつつ、ベストエフォート形サービスの通信も実現でき、さらに、ベストエフォート形サービスは、第13の実施の形態の効果を併せ持つことが可能となる。
次に、この発明の第15の実施の形態について説明する、
この発明の第15の実施の形態によるポイント・マルチポイント通信システムは、可変長のパケットを柔軟にかつ効率よく伝送することができるようにしたものである。
すなわち、第15の実施の形態によるポイント・マルチポイント通信システムにおいては、主装置20では、入力された端末宛のパケットを分割し、ヘッダを付加することにより固定長のセルを生成する。各ヘッダには、入力されたパケットに含まれる端末のアドレスを元に検索したポイント・マルチポイント通信システム内で使用する従装置10−1〜10−mのアドレスが含まれる。従装置10−1〜10−mは、上記のヘッダに含まれたアドレスが自装置のアドレスと一致するときにのみデータを取り出す動作を行うため、下り方向において各従装置10−1〜10−mに対する伝送容量の変更は主装置のみで簡単に行うことが可能となる。
また、各ヘッダに使用する従装置10−1〜10−mのアドレスはポイント・マルチポイント通信システム内でのみ有効となるアドレスであるため、ビット長が短く、伝送容量を有効利用することが可能となる。
さらに、ポイント・マルチポイント通信システムで使用するアドレスの体系を階層化し、従装置10−1〜10−mはサブネットを使用し、ポイント・マルチポイント通信システム全体で一つのネットワークとするようにアドレスを設定する。
これにより、端末のアドレスのうち、サブネットを識別するためのアドレス部分を、従装置10−1〜10−mのアドレスとしてそのまま使用することができるため、より簡便な構成で主装置を構成することが可能となる。
なお、この第15の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムは、図1に示したシステム構成と同一の構成を採用することができる。
図84は、この第15の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システムで採用される従装置10(10−1〜10−m)の構成を示したものである。
図84において、この従装置10は、入力ポートに接続される入力部11、出力ポートに接続される出力部12、送信ポートに接続される送信部13、受信ポートに接続される受信部14、受信部14からの情報信号を一時蓄積するバッファメモリ15−2、バッファメモリ15−2に蓄積された情報信号をパケットに再構築する受信制御部18−2、入力部11で入力した入力ポートからの情報信号を一時的に蓄積するバッファメモリ15−1、主装置20からの上り送信スロットの割り当てに応じて送信バッファメモリに蓄積されたパケットを分割する等の制御を行なう送信制御部18−1を具備して構成される。
図85は、この第15の実施の形態で採用される主装置20の詳細構成をブロック図で示したものである。
図85において、この主装置20は、入力ポートに接続される入力部21、出力ポートに接続される出力部22、送信ポートに接続される送信部23、受信ポートに接続される受信部24、受信部24からの情報信号を一時的に蓄積するバッファメモリ25−2、バッファメモリ25−2に蓄積された情報信号をパケットに再構築する受信制御部28−2、入力部21で入力した入力ポートからの情報信号を一時的に蓄積するバッファメモリ25−1、入力部21で入力した入力ポートからのパケットの宛先アドレスから宛先とする従装置10のアドレスを検索するアドレス検出部29、バッファメモリ25−1に蓄積されたパケットを分割しアドレス検出部29で検出された従装置10のアドレスを付加する等の制御を行なう送信制御部28−1を具備して構成される。
この第15の実施の形態の伝送路における上りおよび下りの伝送フレームは、図4に示したように構成される。ここでは説明の都合上、伝送速度、セル長、フレームフォーマットはITU−T SG15におけるG.983ドラフト勧告に従っている。ただし、G.983ドラフト勧告では、伝送するセルはATMセルそのものであるが、この第15の実施の形態においては、入力されるパケットを後述する方法で分割したセルである。また、光伝送路の伝送容量を主装置20から従装置10−1〜10−mへの下り方向、従装置10−1〜10−mから主装置20への上り方向ともに155.52Mビット/秒とする。
下りの1フレームは56スロットからなり、上りの1フレームは53スロットからなり、これらの伝送フレームに基づいて、主装置20から従装置10−1〜10−mへの下りがTDM(Time Division Multiplex)、従装置10−1〜10−mから主装置20への上りがTDMA(Time Division Multiple Access)の多重方式により、下り53バイト、上り56バイトのセルがそれぞれ送受信される。
なお、上りのセルには3バイトのバースト伝送用のオーバヘッドが含まれており、下り伝送フレームには、28セルに1セルの割合で1フレームに2つのPLOAMセルが含まれるとする。最初のPLOAMセルPLOAM1には従装置10−1〜10−mからの上りセル送信を許可するグラントが27個、二番目のPLOAMセルPLOAM2にはグラントが26個あり、合計53個のグラントが含まれている。PLOAMセルのグラントと上り伝送フレームのスロットとの対応は図5に示した通りである。
主装置20は図5に示したPLOAMセルのグラントに、従装置10−1〜10−mのID番号等の識別子を書き込むことで、上り伝送フレーム内のどのスロットに、どの従装置10−1〜10−mがセルを送信できるかを指示することができる。
従装置10−1〜10−mは、PLOAMセルに該従装置10−1〜10−mの識別子が書き込まれていた場合、グラントに対応する上り伝送フレームのスロットにセルを送信することができ、この方法により光伝送路上でセルが衝突することを回避できる。
なお、この第15の実施の形態においては、上りの送信の指示方法について制限を加えるものではなく、上り送信の方法としては以下のような方法を使用しても差し支えない。
例えば、下りスロットと上りスロットが1対1に対応したフレーム構成において、各下りスロットに対応する上りスロットに該下りスロットを使用する従装置10−1〜10−mのID番号とサービスクラスを指定する識別子を付加することにより上りの送信をサービスクラス別に指示する方法がある。
また、下りスロットで特定の従装置10−1〜10−mの特定サービスクラスに対して連続して送信できるスロット数を通知することにより上りの送信を指示することも可能である。
入力されたパケットがIPパケットであった場合のパケットの分割、組立を図86に示す。図86において、まず、入力されたパケットにPADとLengthを付加して分割データ単位CS−PDUを生成する。パケットを固定長のセルに分割する際に余りが生じるためPADをつけて、分割データ単位がセルのデータ長の整数倍になるようにする。
また、LengthはPADにより拡張されたデータ領域のうち、実際に使用されているデータ長を示すことにより受信側でデータを分離するために付加する。
次に、分割データ単位を固定長のセルに分割し、ヘッダを付加する。ここではヘッダとセルに収容するデータ双方ともに固定長の場合を示している。場合によっては、ヘッダを可変長とし、各セルに収容するデータの長さをヘッダの長さに応じて加減して、セル全体として固定長を保つこともできる。
ヘッダの構成を図87に示す。ここでは、主装置20に接続される従装置10−1〜10−mの数を64台とした場合のヘッダを示している。従装置10−1〜10−mの台数が多い場合にはヘッダ長は一般により長くなる。
ヘッダは上りヘッダのみに必要なバースト伝送用のパッシブオプティカルネットワークオーバヘッドPON−OHと、上り下りヘッダに必要でペイロードのヘッダであるPDU−OHに分けることができる。これは、下りセルの場合には、主装置から連続してセルを送信することができるので、後述するガードタイム、プリアンブル、デリミタが不要となるからである。
パッシブオプティカルネットワークオーバヘッドPON−OHはセルとセルの衝突を防止するガードタイム、クロック信号を抽出するためのプリアンブル、プリアンブルと後続するセルの分離とバイト同期をとるためのデリミタから構成される。また、ペイロードのヘッダであるPDU−OHは従装置10−1〜10−mのアドレス、セル内容の情報識別子、セルの連続状態の識別子を含む1バイトから構成される。
従装置10−1〜10−mのアドレスは最低でも従装置10−1〜10−mの台数に等しい数が必要で、ここでは6ビットを割り当てている。セル内容の識別子は、セルに含まれているデータが有意なデータであるか、あるいは無効なデータであるかを示す。無効なデータは、主装置20から従装置10−1〜10−mが送信を指示されたときに、バッファメモリ15−1に送信すべきデータがないときに送信する。セルの連続状態の識別子は、分割したセルが元のパケットの最終データである場合や、受信したパケットを分割せずに単一のセルに収容できたことを示す識別子である。
パケットの再生は、上述のパケット分割、組立の手順の逆順で行う。すなわち、自装置あてのセルは、バッファメモリ15−2または25−2に一旦蓄積される。主装置20の場合、バッファメモリ25−2には、セルを送出した従装置10−1〜10−m毎に蓄積される。連続状態の識別子により、受信したセルが元のパケットの最終データや単一のセルであることが検出できた場合は、もとのパケットをすべて受信したことになるため、パケットを再構成する。その際に、最終セルの末端に付加されたLengthによりもとのパケットの情報長がわかり、後部に付加したPADを削除して、パケットとして出力部12または22より出力する。
ここでは、図87に示したように、上り下りともヘッダの構成を同一にしている。しかし、上り方向においては、従装置10−1〜10−mのアドレスは必ずしも必要なわけではない。たとえば、冗長構成などにより主装置20が複数台存在する場合には、主装置20を識別するため、上りヘッダのこの領域に主装置20のアドレスを記入する。
ヘッダに付加する従装置10−1〜10−mのアドレスは、ポイント・マルチポイント通信システム内でのみ有効であるため、短いビット長で良い。宛先アドレスと従装置10−1〜10−mのアドレスの対応は、あらかじめ従装置10−1〜10−mに接続された端末のアドレスを従装置10−1〜10−m毎にテーブルとして保有しておき、パケット入力毎にテーブルを検索して、従装置10−1〜10−mのアドレスをヘッダに割り当てることが可能である。
アドレスの割り当て方を工夫することにより、従装置10−1〜10−mのアドレスを発見する簡便な方法が実現できる。ここでその一例を示す。ここでは、パケットとしてIPパケットを用いて説明するが、この第15の実施の形態は、他のプロトコルのパケットの使用を妨げるものではない。
32ビットのIPアドレスは、通常、ネットワークアドレスとホストアドレスに分けることができ、それぞれの領域の長さによりクラスA、クラスB、クラスCが主として使用されている。最近では、従来のクラス分けに依存せず、ネットワークアドレスの長さを指定する方法が利用されている。
この第15の実施の形態でのIPアドレス割り当ての一例を図88に示す。この第15の実施の形態のポイント・マルチポイント通信システム全体のネットワークアドレスを、たとえば、<152.1.0.0/18>と設定する。ここで 、"."で区切られた数字は、通常2進数で示される32ビットのアドレスを8ビットずつに区切り、それぞれを10進数で示した数字である。
また、"/18" はIPアドレスのうちMSBの18ビットをネットワークアドレスとして取り扱うことを示している。同様に各従装置10−1〜10−mに接続されるネットワークアドレスを<152.1.10/24>から<152.1.32.0/24>とする。
ここで、/24はIPアドレスの上位24ビットをネットワークアドレスとして取り扱うことを示している。ここでは、従装置10−1〜10−mの数32台、各従装置10−1〜10−mに接続されるサブネットワークの数を1つとしている。各従装置10−1〜10−mに複数のサブネットワークが必要な場合には、各従装置10−1〜10−mに割り当てられたIPアドレスをさらに小さな区分でサブネット化すれば良い。
このようにIPアドレスを割り振ると、各従装置10−1〜10−mに接続されるネットワーク50−1〜50−mは、一つの主装置20に接続される複数のサブネットワークの取り扱いになる。
さらに、ネットワークアドレスの18ビット目から23ビット目までの6ビットがサブネットワーク50−1〜50−mを区別するアドレスとなっている。従装置10−1〜10−m毎にサブネットワーク50−1〜50−mを割り当てているので、このサブネットワーク50−1〜50−mを区別するアドレスを従装置10−1〜10−mのアドレスとして使用することができる。
従って以上のようにアドレス階層的に割り振ることにより、主装置20のアドレス検出部では、従装置10−1〜10−mへ伝送するIPパケットのネットワークアドレスの下位ビットを、そのまま従装置10−1〜10−mのアドレスして使用できる。このため、IPアドレスから従装置アドレスを検索する検索テーブルを不要にし、簡便な構成で主装置20を構成することが可能となる。