しかしながら、上記従来の技術には、以下に述べるような問題がある。
外部加熱ベルトの弛みによる定着ローラへの熱供給量の減少の問題である。つまり、外部加熱ベルトに張りを付与すると、支持ローラの材質、外径、厚みによっては、支持ローラに撓みが生じることがある。支持ローラが撓むと、支持ローラ間の間隔が軸方向中央部で狭くなってしまい、軸方向中央部において外部加熱ベルトの張力が弱くなり、外部加熱ベルトが弛んでしまう。このような状態では、定着ローラと外部加熱ベルトとの密着性が低下し、定着ローラへの熱供給量が減少してしまい、ウォームアップ時間が延びたり、定着性能が悪化したりする。
また、定着動作時の温度において、外部加熱ベルトや支持ローラが熱膨張した状態で適度な張力が外部加熱ベルトに架かるように支持ローラの軸間を定めているので、外部加熱ベルト周長が長い場合など、外部加熱ベルトの温度が高くない状態では、外部加熱ベルトの張力が弱く、回転不良が生じる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部加熱装置の外部加熱ベルトが、支持ローラの軸方向中央部において弛みを生じることがなく、外部加熱ベルトと定着ローラの密着性の優れた定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
本発明の定着装置においては、上記課題を解決するために、互いに圧接された定着部材及び加圧部材を備えると共に、前記定着部材の表面に接触する無端ベルトと、前記無端ベルトを懸架する相対位置が固定された複数のローラ形状の支持部材と、前記無端ベルトを加熱する第1加熱部材とを有し、前記定着部材を表面側より加熱する外部加熱装置とを備え、前記定着部材と前記加圧部材とで記録材を挟持しながら搬送して前記記録材上の未定着画像を前記記録材に定着させる定着装置において、前記外部加熱装置に、前記無端ベルトを外周側より前記定着部材側に向かって押圧する押圧部材を備えることを特徴としている。
これによれば、外部加熱装置に備えられた押圧部材にて、無端ベルトはその外周側より定着部材側に向かって押圧されるので、たとえ無端ベルトに支持部材の撓みによる弛みが生じていても張り(テンション)が付与され、無端ベルトと定着部材の密着性が向上する。
したがって、第1加熱部材より無端ベルトに供給された熱は、無端ベルトから定着部材へと効率よく伝わるようになる。その結果、ウォームアップ時間が長くなったり、定着性が悪化したりすることもなく、短いウォームアップ時間にて良好な定着性を呈するようになる。
前記押圧部材としては、無端ベルトを介して支持部材を押圧する構成としてもよい。このような構成とすることで、弛んだ無端ベルトに張りを付与するだけでなく、押圧部材の押圧力にて、支持部材の撓み自体が阻止或いは抑制されるので、支持部材の撓みを原因とする無端ベルトの弛みを発生し難くして、無端ベルトと定着部材とを密着させることができる。
また、押圧部材より支持部材に対し、その変形を防止或いは抑制するように加重をかけることはつまり、支持部材を介して定着部材にも加重をかけることとなり、定着部材の変形をも抑制することができる。
定着部材は、加圧部材との圧接にて、軸方向の中央部が持ち上がる方向に変形し易く、定着部材がこのように変形すると、定着ニップ幅が軸方向で減少し、トナーを加熱する能力が低下する。そのため、従来は、定着部材の芯材を厚くして、変形量を小さくしているが、芯材を熱くしたことにて熱容量が増加し、ウォームアップ時間が長くなる等の不具合がある。押圧部材によって、定着部材の変形をも低減できれば、定着部材の芯材の厚みを薄くすることが可能となり、ウォームアップ時間の短縮等を図ることができる。
また、本発明の定着装置においては、さらに、押圧部材における支持部材の軸方向の寸法を支持部材又は無端ベルトの同方向の寸法の1/2以下とし、かつ、押圧部材を支持部材の軸方向の中央部に配置する構成とすることもできる。
これによれば、押圧部材が、軸方向中央部にだけに配置されている。支持部材の撓みによる支持部材の間隔減少は、軸方向の中央部において顕著である。したがって、軸方向全体に押圧部材を配置せずとも、軸方向中央部にのみ設けることで、無端ベルトの弛みの解消や、支持部材の撓みを効果的に防止或いは抑制することができる。
軸方向全体に押圧部材を配置した構成に比して、押圧部材が無端ベルトより奪う熱量を抑えることができ、ウォームアップ時間や、待機モードからの復帰時間を短縮することができる。
また、本発明の定着装置においては、さらに、これら押圧部材が、ローラ形状である構成とすることもできる。
これによれば、押圧部材がローラ形状であるので、無端ベルトが押圧部材に対して摺動する構成に比して、無端ベルトと押圧部材との摩擦を抑えることができる。これにより、無端ベルトの回転負荷を減少させて無端ベルトを回転させる力を小さくできると共に、無端ベルトの寿命を延ばすことができ、また、摺動を円滑に行わせる潤滑手段等が不要となる。
また、本発明の定着装置においては、さらに、押圧部材はローラ形状であり、押圧部材を無端ベルトに従動する方向に回転駆動させる駆動手段を備える構成とすることもできる。
押圧部材をローラ形状としてことによる作用・効果は、既に述べたとおりである。ここでは、さらに、駆動手段にて押圧部材は無端ベルトに従動する方転に回転駆動されるので、定着部材の回転に従動して回転する無端ベルトの回転動作が助けられ、無端ベルトが回転し易くなる。
支持部材に懸架されている無端ベルトは、停止時に付く巻き癖によって回転不良を起こすことがある。無端ベルトが回転しないと、支持部材の熱にて無端ベルトの全周を加熱することができなくなるので、加熱効率が低下する。また、定着部材が無端ベルトに対して摺動するため、無端ベルト及び定着部材の劣化が早まる恐れもある。このように、無端ベルトの回転を助けることで、これらの問題を解決することができる。
この場合、さらに、押圧部材と駆動手段との間に、無端ベルトに従動する方向に自由に回転するクラッチ機構が備えられ、駆動手段は、押圧部材を、無端ベルトに従動して回転するときの回転速度未満で回転駆動させる構成とすることもできる。
押圧部材を、無端ベルトの回転を助けるために回転駆動する構成においては、定着部材に従動して回転する無端ベルトの速度よりも押圧部材の回転速度が速くなると、両者の間に速度差による摩擦にて、無端ベルトの劣化が早まる恐れがある。そのため、押圧部材の回転速度と従動回転される無端ベルトの回転速度とを、正確に合わせる必要があり、精度を要する。
これに対し、上記構成によれば、押圧部材には、無端ベルトに従動する方向に自由に回転するクラッチ機構が備えられているので、駆動手段による押圧部材の回転速度を、無端ベルトに従動して回転するときの回転速度よりも低く設定しておくことで、精度の要る速度調整を行わずとも、無端ベルトが回転不良を起こした場合にのみ押圧部材を回転駆動させることができる。
また、本発明の定着装置においては、さらに、押圧部材は、支持部材の軸方向に対して支持部材と同等の長さを有し、かつ、軸方向の中央部の外径が軸方向の端部の外径よりも大きい構成とすることもできる。
上述したように、押圧部材の加重にて、定着部材の変形を低減できる。これによれば、さらに、押圧部材の形状が、軸方向の中央部の外径が軸方向の端部の外径よりも大きいので、軸方向の中央部に対する加重が増大し、より一層、効果的に定着部材の変形を抑えることができる。
また、本発明の定着装置においては、さらに、押圧部材を加熱する第2加熱部材を備える構成とすることもできる。
これによれば、押圧部材が加熱されるので、無端ベルトから押圧部材へと熱が奪われることを防止できるだけでなく、無端ベルトへと押圧部材より熱を供給することも可能となる。しかも、押圧部材は、支持部材のように、無端ベルトを介して定着部材に対峙するものではないので、オーバーシュート現象による定着部材への影響は少なく、第2加熱部材に熱量の大きな熱源を備えることができる。
オーバーシュート現象とは、支持部材に熱源を備えた外部加熱装置において、定着動作完了後に無端ベルトの回転を停止すると、支持部材の温度が上昇して定着部材を部分的に加熱してしまう現象のことである。オーバーシュート現象は、支持部材の熱容量が小さく、熱源の熱量が大きい場合に顕著に起こる。
この場合、さらに、押圧部材は、支持部材の軸方向に対して支持部材と同等の長さを有し、第2加熱部材が第1加熱部材を兼ね、第2加熱部材による押圧部材の加熱にて、無端ベルトを加熱する構成としてもよい。
上述したように、第2加熱部材は、オーバーシュートの影響は少ないので、このように、第1加熱部材に代わりに、第2加熱部材にて無端ベルトを加熱する構成とすることで、
従来設けていた、外部加熱装置を定着部材より離接させる機構が不要となる。
また、一般的には、第1加熱部材は、支持部材内部に配置された熱源にて構成されるため、このような支持部材内部に熱源を入れない構成により、支持部材の熱容量を小さくすることができ、押圧部材を設けたことによる熱容量の追加分をキャンセルすることも可能となる。
また、従来、オーバーシュートのために、支持部材の熱容量を小さくすることができなかったが、これにより、支持部材の外径、及び肉厚を薄くして熱容量を下げることができる。さらに、外部加熱の熱容量の合計をさらに小さくし、ウォームアップ時間を短縮することも可能となる。また、無端ベルトは、定着部材と接する外周側から加熱されるので、無端ベルトの厚みが増しても素早い熱供給が可能となる。
また、この場合、さらに、第2加熱部材として、押圧部材の内部に設けられた加熱領域が異なる複数の熱源を備える構成とすることもできる。
従来、定着部材の内部に、軸方向の中央部を加熱領域としたメイン熱源と、軸方向の端部を加熱領域としたサブ熱源とを備え、サイズの小さな記録紙に対して定着する場合は、サブ熱源を切り、定着部材の端部における昇温を防ぐことが行われている。
そこで、外部加熱装置における無端ベルトの温度自体も、小サイズ紙に対する定着においては、端部側にて低くすることが望ましい。そのための構成として、無端ベルトを加熱する第1加熱部材を、メイン熱源とサブ熱源とする構成が考えられる。
しかしながら、支持部材内部にメイン熱源とサブ熱源の2本の熱源を備える構成とすると、支持部材の内径としては、2本の熱源を収容し得る大きさが必要となり、必然的に支持部材の外径が大きくなる。支持部材の外径が大きくなると、以前と同様な加熱ニップを得るためには、定着部材表面のスペースが小さくなってしまう。定着部材表面には、温度モニターや、クリーニング装置、剥離手段などが設置されるスペースが必要であるため、前記スペースを減らすことは好ましくない。
上述したように、オーバーシュート現象は、支持部材の熱容量が小さく、熱源の熱量が大きい場合に顕著に起こる。したがって、支持部材内部にメイン熱源とサブ熱源とを備えた構成とすると、支持部材内部の熱源の消費電力が大きく、熱源の熱容量が大きくなる結果、熱源の熱量が増してオーバーシュート現象が顕著になる。また、複数の支持部材それぞれに、メイン熱源とサブ熱源とを備えさせると、単位長さあたりの熱量が増大するので、これによっても、オーバーシュート現象が顕著になる。
これに対し、上記構成では、押圧部材の内部にメイン熱源、サブ熱源を入れる。したがって、支持部材の外径が大きくなることはなく、前記スペースの問題は解決できる。また、押圧部材は定着部材に接していないため、オーバーシュートの問題も解決できる。
また、この場合、さらに、押圧部材は複数備えられ、第2加熱部材として、各押圧部材の内部に1つずつ配された加熱領域の異なる複数の熱源を備える構成とすることもできる。
支持部材間の間隔が広い場合、1つの押圧部材にて複数の支持部材を加圧しようとすると、押圧部材が大きくなり、熱容量が増える。特に、押圧部材がローラ形状であれば、外径の大きなものとなり、熱容量が増えてしまう。
上記構成によれば、押圧部材を複数とするので、押圧部材をコンパクトにすることができ、熱容量も小さくできる。
そして、本発明は、上記した本発明の定着装置だけでなく、本発明の定着装置を備えた画像形成装置も、発明の範疇とする。
本発明の定着装置及び画像形成装置では、以上のように、外部加熱装置に、無端ベルトを外周側より定着部材側に向かって押圧する押圧部材を備えているので、無端ベルトの軸方向の中央部に生じる弛みを解消して、無端ベルトと定着部材との密着性を向上させることができる。
その結果、ウォームアップ時間が長くなったり、定着性が悪化したりすることもなく、短いウォームアップ時間にて良好な定着性を呈する定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
[実施の形態1]
本発明の一実施形態について、説明すると以下の通りである。
まず、本発明にかかる定着装置が搭載されるカラー画像形成装置の構成について、図2を用いて説明する。図2は、上記カラー画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
カラー画像形成装置は、図2に示すように、4色の可視像形成ユニット110Y・110M・110C・110Bを、記録紙搬送路に沿って配列した所謂タンデム式のプリンタである。具体的には、記録紙P(被加熱材)の供給トレイ120と定着装置40とを繋ぐ記録紙の搬送路に沿って、4組の可視像形成ユニット110Y・110M・110C・110Bが配設され、無端ベルト状の搬送ベルト133を備えた記録紙搬送手段130によって搬送される記録紙Pに各色トナーを多重転写した後、定着装置40によってこれを定着し、フルカラー画像を形成するものである。
上記記録紙搬送手段130は、一対の駆動ローラ131及び従動ローラ132によって架張され、所定の周速度(本実施例では134mm/s)に制御されて回動する上記搬送ベルト133を有し、この搬送ベルト133上に記録紙を静電吸着させて搬送する。
各可視像形成ユニット110は、感光体ドラム111の周囲に、帯電ローラ112、レーザ光照射手段113、現像器114、転写ローラ115、及びクリーナー116を備えている。各ユニット110の現像器114には、イエロー(Y)・マゼンタ(M)・シアン(C)・ブラック(B)の各トナーが収容されている。
そして、各可視像形成ユニット110は、以下の工程によりトナー画像を記録紙P上に形成する。すなわち、感光体ドラム111表面を帯電ローラ112で一様に帯電した後、レーザ光照射手段113により感光体ドラム111表面を画像情報に応じてレーザ露光し静電潜像を形成する。その後、現像器114にて感光体ドラム111上の静電潜像を現像してトナー画像とし、この顕像化されたトナー画像を、トナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された転写ローラ115により、搬送手段130にて搬送される記録紙Pに順次転写する。これにて、未定着のトナー画像が記録紙Pの表面に形成される。
未定着のトナー画像は、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)、非磁性二成分現像剤(非磁性トナー及びキャリア)、磁性現像剤(磁性トナー)等の現像剤(以下、トナーとも称する)によって形成される。
その後、記録紙Pは、駆動ローラ131の曲率により搬送ベルト133から剥離された後、定着装置40に搬送される。定着装置40は、互いに圧接された定着ローラと加圧ローラとを備え、両ローラが当接する定着ニップ部に記録紙を通過させることで、未定着のトナー画像を記録紙Pに定着させるものである。トナーは、転写ニップ部の通過時に、適度な温度と圧力とが与えられることで、溶融し、記録紙P上に固着する。
次に、本発明にかかる上記定着装置40について、図1、図3〜図5を用いて詳細に説明する。
まず、図1を用いて、定着装置40の構成を説明する。図1は、上記定着装置40の要部の構成を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る定着装置40は、互いに圧接して配置された定着ローラ21及び加圧ローラ22と、外部加熱ベルト24を定着ローラ21に接触させて定着ローラ21を外部より加熱する外部加熱装置41を備えている。
定着ローラ21及び加圧ローラ22は、所定の荷重(ここでは600N)にて互いに圧接されており、それらの間に定着ニップ部28(定着ローラ21及び加圧ローラ22が互いに当接する部分、ここでは8mm)を形成している。記録紙Pをこの定着ニップ部28に通過させることで、未定着のトナー画像20を定着させる。記録紙Pが定着ニップ部28を通過する時には、定着ローラ21は、記録紙Pにおけるトナー画像20の形成面に当接する一方、加圧ローラ22は、記録紙Pにおけるトナー画像20の形成面とは反対の面に当接するようになっている。
定着ローラ21の内部には、定着ローラ21を加熱する熱源であるヒータランプ26C,26Dが配置されている。このうち、ヒータランプ26Cは、定着ローラ21の中央部を加熱領域としており、中央部の発光が大きく、ヒータランプ26Dは、定着ローラ21の端部を加熱領域としており、端部の発光が大きい。制御回路(図示せず)からヒータランプ26C,26Dに通電されることにより、ヒータランプ26C,26Dが発光し、赤外線が放射される。これにより、定着ローラ21の内周面が赤外線を吸収して加熱され、定着ローラ21全体が加熱されることとなる。定着ローラ21は、定着に適した所定の温度(ここでは180℃)に加熱される。
定着ローラ21は、たとえば、その内側から順に、芯金37、弾性層38、離型層39が形成された3層構造とできる。芯金37には、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属あるいはそれらの合金等が用いられる。また、弾性層38にはシリコンゴム、離型層39にはPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂が適している。
加圧ローラ22も上記の定着ローラ21と同様、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム等の外周表面にシリコンゴム等の弾性層を有し、さらに、その上にPFA等の離型層が形成された構成とできる。また、加圧ローラ22の内部にも、加圧ローラ22を加熱する熱源であるヒータランプ26Eが配置されている。
外部加熱装置41は、定着ローラ21をその表面側より加熱するものであり、無端ベルトである外部加熱ベルト24と、外部加熱ベルト24を懸架すると共に、内部に熱源を備えて加熱する一対の支持ローラ23A,23Bと、外部加熱ベルト24をその外周側より定着ローラ21側に向かって押圧する押圧部材19Aとを備えている。なお、押圧部材19Aの機能や構成等、詳細については後述する。
外部加熱ベルト24は、所定の温度(ここでは200℃)に加熱された状態で定着ローラ21表面に当接して、定着ローラ21表面を加熱するものである。外部加熱ベルト24は、2本の支持ローラ23A,23Bによって懸架されている。
支持ローラ23A,23Bの内部には、支持ローラ23A,23Bを加熱する加熱源としてのヒータランプ26A,26B(第1加熱部材)が配置されている。制御回路(図示せず)からヒータランプ26A,26Bに通電されることにより、ヒータランプ26A,26Bが発光し、赤外線が放射される。これにより、支持ローラ23A,23Bの内周面が赤外線を吸収して加熱され、支持ローラ23A,23Bを介して間接的に外部加熱ベルト24が加熱されるよう構成されている。
外部加熱ベルト24は、定着ローラ21に対し定着ニップ部28の上流側に設けられ、所定の押圧力(ここでは40N)をもって定着ローラ21に圧接されている。外部加熱ベルト24と定着ローラ21との間には、加熱ニップ部29(ここでは20mm)が形成されている。
また、外部加熱ベルト24は、定着ローラ21の回転時に、定着ローラ21に従動して回転するよう構成されており、支持ローラ23A,23Bも、この外部加熱ベルト24の回転に従動して回転するよう構成されている。
外部加熱ベルト24は、たとえば、ポリイミド等の耐熱樹脂或いはステンレスやニッケル等の金属材料からなる中空円筒状の基材の表面に、離型層として、耐熱性及び離型性に優れた合成樹脂材料(例えばPFAやPTFE等のフッ素樹脂)が形成された2層構成とできる。また、外部加熱ベルト24の寄り力を低減するために、ベルト基材の内面に、フッ素樹脂等のコーティングを施してもよい。
支持ローラ23A,23Bは、たとえば、アルミニウムや鉄系材料等からなる中空円筒状の金属製芯材から構成できる。また、外部加熱ベルト24の寄り力を低減するために、金属製芯材の表面に、フッ素樹脂等のコーティングを施してもよい。
また、定着ローラ21、加圧ローラ22及び外部加熱ベルト24の各々の外周面には、温度検知手段としてのサーミスタ25A,25B,25Cが配設されており、各部の表面温度を検出するようになっている。各サーミスタ25A,25B,25Cにより検出された温度データに基づいて、温度制御手段としての制御回路(図示せず)が、各部の温度が所定の温度となるように、ヒータランプ26E,26F,26G,26Hへの通電を制御する。
さらに、定着ローラ21の周囲であって定着ニップ部28に対して下流側には、転写ローラ21表面をクリーニングするウエブクリーニング装置30が配置されている。このような定着装置40の構成において、定着ニップ部28には、所定の定着速度及び複写速度で、未定着トナー像20が形成された記録紙Pが搬送され、熱と圧力により定着が行われる。上記定着速度は、いわゆるプロセス速度のことであり、ここでは355mm/secに設定され、また、複写速度は、1分あたりのコピー枚数のことであり、ここでは70枚/分に設定されている。
なお、図1には示していないが、定着ローラ21には、定着ニップ部28に搬入された記録紙Pを、加圧ローラ22とで挟持して搬送し得るように、定着ローラ21を回転駆動する駆動モータ(駆動手段)が設けられている。加圧ローラ22は、定着ローラ21の回転に従動して回転する。定着ローラ21及び加圧ローラ22は、図1に示すように、逆方向に回転される。
次に、図3(a)及び図3(b)を用いて、上記外部加熱装置41における外部加熱ベルト24を定着ローラ21に圧接させる支持機構について説明する。図3(a)は、外部加熱装置41における上記支持機構近傍の構成を示す、定着ローラ21の軸方向より見た断面図であり、図3(b)は、上記支持機構近傍の構成を示す、支持ローラ23A,23B側より見た上面図である。
外部加熱ベルト24を懸架している支持ローラ23A,23Bはそれぞれ、サイドフレーム31に取り付けられた軸受35A,35Bによって、回転自在に支持されている。尚、軸受35A,35Bはサイドフレーム31に対して、所定の軸間距離で固定されているため、支持ローラ23A,23B間の平行度が確保されている。本実施例においては、支持ローラ23A,23Bの平行度公差としては100μm以下となっている。
また、サイドフレーム31は、アーム34に対し、支点32Aを中心に回転自在に軸支されており、アーム34は支点32Bを中心に回転可能なように構成されている。そして、アーム34における支点32Bとは反対側の端部には、コイルバネ33が取り付けられている。このように、コイルバネ33によってアーム34の端部に荷重が付与されることによって、アーム34に取り付けられたサイドフレーム31が定着ローラ21に向かって付勢され、その結果、サイドフレーム31に軸支された支持ローラ23A,23Bが、等しい荷重で定着ローラ21に圧接するように構成されている。
さらに、支持ローラ23A,23Bとの間には、軸受35A,35Bの内側に挿入された、外部加熱ベルトの蛇行を防止する寄り規制部材36A,36Bが配されている。この寄り規制部材36A,36Bは外部加熱ベルト24が蛇行してきた際に、外部加熱ベルト24端部と従動して回転することで外部加熱ベルト24の寄りを規制すると同時に、外部加熱ベルト24端部の摺動による外部加熱ベルト24の磨耗や割れを防止する目的で設けられている。
外部加熱ベルト24の周長(内面周長)について、外部加熱ベルト24が定着ローラ21に圧接されていない状態における外部加熱ベルト24の理想周長(全くたるみのない周長)をL1、外部加熱ベルト24が定着ローラ21に圧接された状態における外部加熱ベルト24の理想周長(全くたるみのない周長)をL2とすると、L1、L2は以下の式で表される。
L1=π*Dh+2*Lp
Dh:支持ローラ23A,23Bの外径
Lp:支持ローラ23A,23Bの軸間距離
L2=π*Dh+Lp+(Dh+Df)*θ1/2
θ1=2*arcsin(Lp/(Dh+Df))
Df:定着ローラ21の外径。
したがって、外部加熱ベルト24の周長を、式(1)を満たすLbと定めると、定着ローラ21に圧接された状態では外部加熱ベルト24にテンションが付与されて、定着ローラ21と外部加熱ベルト24とを密着させることができる。
L1≦Lb≦L2 ・・・(1)
次に、図4を用いて、外部加熱ベルト24の周長を上記のように設定してもなお発生する、外部加熱ベルト24の弛みについて説明する。
支持ローラ23A,23Bは、支持ローラ23A,23Bの径が細く、肉厚が薄い場合、図4(a)に示すように、外部加熱ベルト24の張力によって、軸方向の中央部において、互いが近づくように撓みを生じることがある。このような撓みが発生すると、中央部における支持ローラ23A,23Bの間隔D1は、軸方向の端部における同間隔D2に比べて狭くなる。
中央部において支持ローラ23A,23Bの間隔D1が狭くなると、同図(b)に示すように、端部では定着ローラ21に完全に接している外部加熱ベルト24が、中央部では弛みを生じ、定着ローラ21に完全には接しなくなる。その結果、加熱ニップ幅29が実質的に減少し、定着ローラ21へ熱が伝わり難くなる。
なお、図4(a)は、支持ローラ23A,23Bに生じる撓みを示す説明図であり、図4(b)は、支持ローラ23A,23Bの端部及び中央部における外部加熱ベルト24と定着ローラ21との接触状態を示す説明図である。
次に、このような支持ローラ23A,23Bの撓みに起因した、外部加熱ベルト24の弛みによる定着ローラ21への熱伝導効率の低下を防止するために、上記定着装置40にて採用されている機能について説明する。
図1に示すように、本実施の形態のカラー画像形成装置に搭載された定着装置40の外部加熱装置41には、外部加熱ベルト24をその外周側より定着ローラ21側に向かって押圧する押圧部材19Aが備えられている。この押圧部材19Aが、上記外部加熱ベルト24の弛みによる定着ローラ21への熱伝導効率の低下を防止する。
図1及び図5(a)に示すように、押圧部材19Aは、軸方向の中央部において、外部加熱ベルト24を外側から定着ローラ21に向かって押圧するものである。押圧部材19Aにて外部加熱ベルト24を押圧することで、中央部において、外部加熱ベルト24の張力が増す。その結果、図5(b)に示すように、支持ローラ23A,23Bが撓んでいる中央部でも端部と同様に、外部加熱ベルト24が定着ローラ21と接するようになる。
なお、図5(a)は、撓みを生じている支持ローラ23A,23Bに対する押圧部材19Aの配置位置を示す説明図であり、図5(b)は、押圧部材19Aが配された構成における、支持ローラ23A,23Bの端部及び中央部における外部加熱ベルト24と定着ローラ21との接触状態を示す説明図である。
ここで、中央部だけを押圧するのではなく、外部加熱ベルト24の幅方向全域を押圧する構成も考えられる。しかしながら、支持ローラ23A,23Bの撓みによる間隔減少は、中央部において顕著である。したがって、軸方向全域に押圧部材を配置せずとも、中央部にのみ設けることで、外部加熱ベルト24の弛みを効果的に解消することができる。
また、軸方向全域を押圧する構成では、端部において外部加熱ベルト24の張力がさらに増すことになり、支持ローラ23A,23Bの変形が増大する虞もある。そのため、このような、弛みを生じて外部加熱ベルト24に対し、押圧することで張りを与える押圧部材19Aの場合、その軸方向の長さは、支持ローラ23A,23Bの軸方向の長さ、或いは外部加熱ベルト24の幅(軸方向の長さ)の1/2以下が好ましく、1/10程度とすることが最も好ましい。
また、このような軸方向の中央部のみを押圧部材19Aにて押圧する構成は、軸方向全域を押圧部材にて押圧する構成に比して、押圧部材19Aが外部加熱ベルト24より奪う熱量を抑えることができる。その結果。ウォームアップ時間や、待機モードからの復帰時間を短縮することができる。
さらに、押圧部材19Aの形状であるが、外部加熱ベルト24を押圧している状態で、外部加熱ベルト24がスムーズに摺動する必要があり、例えば図1に示すように、軸方向と直交する方向のスライスした断面が、外部加熱ベルト24に向かって丸みを帯びた凸をなす、シリンドリカルレンズ状(蒲鉾状)や、ローラ形状、半ローラ形状がよい。
また、押圧部材19Aの材質であるが、SUS、鉄、アルミ等の金属部材、もしくは耐熱性樹脂を使うことができる。押圧部材19Aは外部加熱ベルト24の熱を奪うので、熱容量が小さい押圧部材が望まれる。例えば薄肉の中空形状や、表面にグラスウール等の断熱材を備える押圧部材である。
特に、押圧部材19Aがローラ形状でない場合は、外部加熱ベルト24に摺動するので、押圧部材の表面に摺動部材を備えることが好ましい。摺動部材は金属、セラミック、カーボン、樹脂、不織布、高分子フィルムなどを用いることができる。押圧部材19Aがローラ形状である場合は、摺動部材は不要で、押圧部材19Aを外部加熱ベルト24に従動させる。
以上のように、本実施の形態のカラー画像形成装置に搭載された定着装置40においては、外部加熱装置41に、外部加熱ベルト24を、ローラ中央部において、外部加熱ベルト24をその外周側から定着ローラ21に向かって押圧する押圧部材19Aが設けられている。これにより、たとえ、軸方向の中央部において支持ローラ23A,23Bの間隔D1が狭くなって、該中央部で外部加熱ベルト24に弛みが生じたとしても、押圧部材19Aの押圧にて中央部における外部加熱ベルト24の張力が増し、外部加熱ベルト24は定着ローラ21と接触し、外部加熱ベルト24から定着ローラ21へと、熱を支障なく、伝えることができる。
[実施の形態2]
本発明の実施の他の形態について、説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いた部材と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
実施の形態1で説明した定着装置40と本実施の形態で説明する定着装置との違いは、外部加熱装置の構成にあり、より詳細には、外部加熱ベルト24を押圧する押圧部材の構成にある。それ以外の構成は、実施の形態1で説明した定着装置40と同じであり、搭載されるカラー画像形成装置も同様である。
実施の形態1の外部加熱装置41に搭載された押圧部材19Aは、外部加熱ベルト24を外周側から定着ローラ21に向かって押圧して、弛んだ外部加熱ベルト24に張りを与えるものであった。
これに対し、実施の形態2の外部加熱装置42に搭載された押圧部材19Bは、図6(a)及び図6(b)に示すように、外部加熱ベルト24を介して支持ローラ23A,23Bを押圧するものである。
なお、図6(a)は、撓みを生じている支持ローラ23A,23Bに対する押圧部材19Bの配置位置を示す説明図であり、図6(b)は、押圧部材19Bが配された構成における、支持ローラ23A,23Bの端部及び中央部における外部加熱ベルト24と定着ローラ21との接触状態を示す説明図である。
このような構成とすることで、押圧部材19Bの押圧力にて、支持ローラ23A,23Bの撓み自体が阻止或いは抑制されるので、支持ローラ23A,23Bの撓みを原因とする外部加熱ベルト24の弛みを発生し難くして、外部加熱ベルト24と定着ローラ21とを密着させることができる。
また、押圧部材19Bより支持ローラ23A,23Bに対し、その変形を防止或いは抑制するように加重をかけることにて、支持ローラ23A,23Bの下方にある定着ローラ21にも支持ローラ23A,23Bを介して加重をかけることとなる。
その結果、定着ローラ21の変形をも抑制することができる。定着ローラ21は、加圧ローラ22(図1参照)との圧接にて、軸方向の中央部が持ち上がる方向に変形し易い。通常、定着ローラ21と加圧ローラ22とは、約600Nの荷重をかけているため、定着ローラ21の軸方向の中央部は支持ローラ23A,23Bの配されている側(図面上向き)に変形している。
定着ローラ21がこのように変形すると、定着ニップ幅28が軸方向全域で確保されず、トナーを加熱する能力が低下する。そのため、従来は、定着ローラ21の芯材を厚くして、変形量を小さくしているが、芯材を熱くしたことにて熱容量が増加し、ウォームアップ時間が長くなる等の不具合がある。
押圧部材19Bによって、定着ローラ21の変形をも低減でき、定着ローラ21の芯材の厚みを薄くすることが可能となり、ウォームアップ時間の短縮等を図ることができる。
なお、図6では、軸方向全域を押圧する押圧部材19Bを例示しているが、支持ローラ23A,23Bの撓みによる間隔減少は、中央部において顕著であるので、この場合も、中央部だけを押圧する構成としてもよい。中央部のみを押圧する構成においては、実施の形態1の押圧部材19Aと同様に、押圧部材19Bの軸方向の長さは、支持ローラ23A,23Bの軸方向の長さ、或いは外部加熱ベルト24の幅(軸方向の長さ)の1/2以下が好ましく、1/10程度とすることが最も好ましい。
また、押圧部材19Bの形状においても、外部加熱ベルト24を押圧している状態で、外部加熱ベルト24がスムーズに摺動する必要があり、押圧部材19Aと同様に、例えば図6(b)に示すように、軸方向と直交する方向のスライスした断面が、外部加熱ベルト24に向かって丸みを帯びた凸をなすシリンドリカルレンズ状(蒲鉾状)や、ローラ形状がよい。
また、支持ローラ23A,23Bの変形、或いは、これに加えて定着ローラ21の変形を、効果的に防止するために、押圧部材19Bは、軸方向端部よりもその中央部において支持ローラ23A,23Bに対して強く押し当たるように、軸方向に沿ってスライスした断面が、軸方向端部側よりもその中央部において厚みのある形状、ローラ形状であれば正クラウン型とすることがよい。
なお、押圧部材19Bの材質等は押圧部材19Aと同じであり、また、ローラ形状としない場合に、摺動部材を別途設けることが好まし点なども同じであるので、これ以上の説明は省略する。
続いて、図7(a)(b)を用いて、支持ローラ23A,23Bに加重を掛けることで撓みを防止する押圧部材であって、ローラ形状をなす押圧ローラ27を備えた、本実施の形態における変形例の外部加熱装置43について説明する。図7(a)は、外部加熱装置の近傍を示す説明図であり、同図(b)は、押圧ローラ27の断面図である。
図7(a)に示すように、押圧ローラ27は、支持ローラ23A,23Bを、外部加熱ベルト24を介して押圧するように配置され、定着ローラ21の方向(図面の下側)に加重をかけることによって、支持ローラ23A,23Bの変形を防止する。このとき、外部加熱ベルト24の周長Lbは、押圧ローラ27で押される分だけ長くしておく。
また、押圧ローラ27は、支持ローラ23A,23Bに加重を掛けることで、支持ローラ23A,23Bを介して定着ローラ21を図面の下向き(定着ローラ21の方向)に押さえており、これにて、上述したように、定着ローラ21の変形をも低減している。
そして、ここでは図7(b)に示すように、押圧ローラは、端部の径R2に比して中央部の径R1が大きい正クラウン形状であるので、軸方向の中央部に対する加重が増大し、より一層、効果的に、支持ローラ23A,23B及び定着ローラ21の変形を抑えることができる。
[実施の形態3]
本発明の実施の他の形態について、説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1、2で用いた部材と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
実施の形態1、2で説明した定着装置40と本実施の形態で説明する定着装置との違いは、外部加熱装置の構成にあり、より詳細には、外部加熱ベルト24を押圧する押圧部材の構成にある。それ以外の構成は、実施の形態1、2で説明した定着装置40と同じであり、搭載されるカラー画像形成装置も同様である。
実施の形態2の外部加熱装置43に搭載された押圧部材である押圧ローラ27に対し、図8に示すように、本実施の形態の外部加熱装置44は、押圧ローラ45を備えている。この押圧ローラ45は、外部加熱ベルト24をその外周側より定着ローラ21に向かって押圧して、弛んだ外部加熱ベルト24に張りを与えるものであり、また、支持ローラ23Aに外部加熱ベルト24を介して接触するように配されている。
そして、駆動源(駆動手段)Mより、不図示のギアを介して、定着ローラ21と同期して押圧ローラ45は回転駆動される構成となっている。このような構成とすることで、押圧ローラ45を外部加熱ベルト24の駆動補助として使うことがで、外部加熱ベルト24のテンションが足りない状態でも、外部加熱ベルト24を回転させることが可能となる。
通常、外部加熱ベルト24の張り(テンション)は外部加熱ベルト24が加熱されて熱膨張したときの長さでも得られるようになっている。しかし、外部加熱ベルト24の熱膨張率が大きい場合、もしくは外部加熱ベルト24の周長が長い場合、装置立ち上げ時の外部加熱ベルト24温度が低い状態では、外部加熱ベルト24が回転しない不具合が生じる。また、支持ローラ23A,23Bに懸架されている外部加熱ベルト24は、停止時に付く巻き癖によっても回転不良を起こしやすい。
外部加熱ベルト24が回転しないと、支持ローラ23A,23Bの熱にて外部加熱ベルト24の全周を加熱することができなくなるので、加熱効率が低下する。また、定着ローラ21が外部加熱ベルト24に対して摺動するため、外部加熱ベルト24及び定着ローラ21の劣化が早まる恐れもある。
このように、押圧ローラ45を回転駆動させて、外部加熱ベルト24の回転を助ける構成とすることで、外部加熱ベルト24の回転不良によるこれらの問題を解決することができる。
さらに、押圧ローラ45を回転駆動させる構成においては、押圧ローラ45と駆動源Mとの間に、外部加熱ベルト24に従動する方向に自由に回転するクラッチ機構を備えさせ、駆動源Mにて押圧ローラ45を、外部加熱ベルト24に従動して回転するときの回転速度未満で回転駆動させる構成としてもよい。
押圧ローラ45を、外部加熱ベルト24の回転を助けるために回転駆動する構成においては、定着ローラ21に従動して回転する外部加熱ベルト24の速度よりも押圧ローラ45の回転速度が速くなると、両者の間に速度差による摩擦にて、外部加熱ベルト24の劣化が早まる恐れがある。そのため、押圧ローラ45の回転速度と従動回転される外部加熱ベルト24の回転速度とを、正確に合わせる必要があり、精度を要する。
これに対し、上記構成のように、押圧ローラ45に、外部加熱ベルト24に従動する方向に自由に回転するクラッチ機構を備えさせることで、駆動源Mによる押圧ローラ45の回転速度を、外部加熱ベルト24に従動して押圧ローラ45が回転するときの回転速度よりも低く設定しておくことで、外部加熱ベルト24が回転不良を起こした場合にのみ押圧ローラ45は回転駆動し、精度の要る速度調整が必要ない。
[実施の形態4]
本発明の実施の他の形態について、説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1、2で用いた部材と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
実施の形態1、2で説明した定着装置40と本実施の形態で説明する定着装置との違いは、外部加熱装置の構成にある。
詳細には、図9に示すように、外部加熱装置46においては、支持ローラ23A,23B内部に配されていた、支持ローラ23A,23Bを加熱すると共にひいては外部加熱ベルト24を加熱するヒータランプ26A,26Bに代えて、外部加熱ベルト24を押圧する押圧ローラ27の内部に、押圧ローラ27を加熱すると共に、ひいては外部加熱ベルト24を加熱するヒータランプ26G,26H(第2加熱部材)が配置されている。
制御回路(図示せず)からヒータランプ26G,26Hに通電されることにより、ヒータランプ26G,26Hが発光し、赤外線が放射される。これにより、押圧ローラ27の内周面が赤外線を吸収して加熱され、押圧ローラ27を介して間接的に外部加熱ベルト24が加熱されるよう構成されている。
なお、それ以外の構成は、実施の形態1、2で説明した定着装置40と同じであり、搭載されるカラー画像形成装置も同様である。
押圧ローラ27を加熱することで、外部加熱ベルト24から押圧部材へと熱が奪われることを阻止できるだけでなく、押圧ローラ27より外部加熱ベルト24へ熱を供給することが可能となり、支持ローラ23A,23B内部に配置されるヒータランプ26A,26Bに代えて、外部加熱ベルト24の加熱を担うことができる。
そして、このような押圧ローラ27内部に配されたヒータランプ26G,26Hにて、外部加熱ベルト24を加熱する構成では、押圧ローラ27が、支持ローラ23A,23Bのように、外部加熱ベルト24を介して定着ローラ21に対峙するものではないので、オーバーシュート現象による定着ローラ21への影響が少なく、外部加熱装置46を定着ローラ21に対して離接させる機構も必要なくなる。
また、オーバーシュート現象による定着ローラ21への影響が少ないので、内部に備えるヒータランプ26G,26Hとしては、熱量の大きな熱源を備えることもできる。
さらに、この場合、図10に示すように、押圧ローラ27の内部に備えるヒータランプ26G,26Hとして、発光(加熱領域)が異なる、中央部を加熱領域とし、中央部の発光が大きいメインランプ18Aと、端部を加熱領域とし、端部の発光が大きいサブランプ18Bを用い、定着ローラ21の軸方向の温度を制御する構成としてもよい。
従来、定着ローラ21の内部に、軸方向の中央部を加熱領域としたメインランプと、軸方向の端部を加熱領域としたサブランプとを備え、サイズの小さな記録紙に対して定着する場合は、サブランプを切り、定着ローラの端部における昇温を防ぐことが行われている。実施の形態1で説明した定着装置40における定着ローラ21内部にも、中央部を加熱領域とし、中央部の発光が大きいヒータランプ26Cと、端部を加熱領域とし、端部の発光が大きいヒータランプ26Dを用い、定着ローラ21の軸方向の温度が制御されている。
そこで、上記の外部加熱装置46のように、加熱領域が異なるメインランプ18A,サブランプ18Bを押圧ローラ27内部に配置して、定着ローラ内部に加熱領域が異なるランプを配置した場合と同様に制御することで、小サイズ紙に対する定着においては、外部加熱ベルト24の端部側の温度を低くして、定着ローラの端部温度の上昇を防止できる。
なお、押圧ローラ27の内部に複数のランプを配置する構成であるので、支持ローラ23A,23B内部にメインランプ18A,サブランプ18Bとを備えさせた構成のように、支持ローラの径が大きくなることはなく、定着ローラ21の周囲のスペースを確保できなくなるといった、問題は起こらない。
支持ローラ23A,23B内部にメインランプ18A,サブランプ18Bを備えた構成とした場合、オーバーシュート現象は、支持ローラ23A,23Bの熱容量が小さく、熱源の熱量が大きい場合に顕著に起こるので、支持ローラ23A,23B内部のランプの消費電力が大きく、これらランプの熱容量が大きくなる結果、ランプの熱量が増してオーバーシュート現象が顕著になる。また、複数の支支持ローラ23A,23B内部それぞれに、メインランプとサブランプとを備えさせると、単位長さあたりの熱量が増大するので、これによっても、オーバーシュート現象が顕著になる。
また、このように、押圧ローラ27内部にメインランプ18A,サブランプ18Bを備えさせた構成の外部加熱装置46を用いて、外部加熱装置46にて定着ローラ21の端部おける温度上昇を抑制する構成では、図10に示すように、定着ローラ21内部の熱源を、軸方向に一様な発光を示すヒータランプ26Fとすることもできる。
そして、また、図11に示す外部加熱装置47のように、複数の押圧ローラ27A,27Bを配置し、それぞれの押圧ローラ27A,27Bの内部に、1つずつメインランプ18Aとサブランプ18Bとを配置する構成とすることもできる。
支持ローラ23A,23B間の間隔が広い場合、1つの押圧ローラ27にて複数の支持ローラ23A,23Bを加圧しようとすると、押圧ローラの外径の大きなものとなり、熱容量が増えてしまう。なお、押圧部材をローラ形状としなくとも、ローラ部材の大型化により、熱容量は増える。
このように、複数の押圧ローラ27A,27Bとすることで、各押圧ローラをコンパクトにすることができ、熱容量も小さくできる。
なお、本実施の形態4においては、押圧部材の内部に第2加熱部材を設ける構成として、押圧部材をローラ形状とした押圧ローラを例示して説明したが、ローラ形状に限られるものではない。また、このような、第2加熱部材を備えた押圧ローラを、駆動源と接続して、外部加熱ベルト24の従動回転を補助する構成と組み合わせることもできる。
即ち、以上、4つの実施の形態を例示し、変形例等を加えて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。