JP2008239872A - 水分散型アクリル系粘着剤組成物及び両面粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アクリル共重合体と粘着付与樹脂とを含有し、前記アクリル共重合体を構成するモノマー成分として2−エチルヘキシルアクリレート、窒素含有ビニル単量体、及び、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを含有し、前記窒素含有ビニル単量体の含有量が、前記アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の0.1〜5質量%である水分散型アクリル系粘着剤組成物により、好適な粘着性と優れた再剥離性を実現できる。
【選択図】 なし
Description
本発明に使用するアクリル共重合体は、モノマー成分として2−エチルヘキシルアクリレートと窒素含有ビニル単量体、及び、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を含有する。2−エチルヘキシルアクリレート及び窒素含有ビニル単量体、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体は、それぞれ、各種被着対象との界面剥離能を向上させることができ、当該アクリル共重合体を使用した粘着剤は、各種被着体、特にステンレス、スチレン−アクリロニトリル樹脂(ABS)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)及びポリカーボネート/ABSのポリマーアロイ樹脂(PC/ABS)の被着体に対して、糊残りの発生を抑制でき、好適な再剥離性を実現できる。
2−エチルヘキシルアクリレートの含有量は、アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の20〜90質量%、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%、更により好ましくは45〜55質量%含有することにより、被着対象との接着力を確保しつつ、良好な再剥離性を発現できる。
本発明に使用する窒素含有単量体は、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリロニトリル、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートから選ばれる1種又は2種以上を使用できる。
本発明においては、窒素含有単量体の含有量を0.1〜5.0質量%、好ましくは、0.5〜4.0質量%、より好ましくは0.5〜3.5質量%の範囲で調整することで本発明の効果を好適に発現できる。窒素含有単量体の含有量を上記下限以上とすることで、粘着テープの粘着剤層を形成した際に粘着剤層の凝集力が良好となる。これにより粘着テープを被着体から剥離する際に、粘着剤の糊残りや剥離不良を好適に抑制できる。また、上記上限以下とすることで、初期タック性や接着性を損なうことなく、良好な接着性を保持できる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、クロトン酸等がから選ばれる1種又は2種以上を使用できる。カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体の含有量は0.5〜5.0質量%が好適である。より好ましくは、0.5〜4.0質量%、更に好ましくは1.0〜3.0質量%である。当該範囲内とすることで、架橋剤との架橋反応が良好に進行して剥離時の粘着剤の断裂が生じにくくなり、また、ステンレス、ABS、HIPS、PC/ABS等の被着体に対する糊残りが生じにくくなる。
窒素含有単量体とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の比率は、特に限定されるものではないが、アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の窒素含有単量体のモル数をX、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体のモル数をYとした場合のモル比X/Yが1/1〜1/10であることが好ましく、1/1〜1/5がより好ましく、1/1〜1/3が更に好ましい。当該範囲内であれば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と架橋剤との反応が、窒素含有単量体に阻害されることなく進行し、凝集力が向上し、定荷重剥離性及び再剥離性がいっそう向上する。
また、粘着剤の各種特性を制御するために、上記以外のモノマー成分を適宜使用しても良い。他のモノマー成分としては、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが使用することが好ましい。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のモノマー成分を例示でき、これらの1種または2種以上が用いられる。なかでも、好適なモノマー成分は、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートであり、n−ブチルアクリレートが特に好適である。前記モノマー成分の含有量は、アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の40〜60質量%が好適である。当該範囲内とすることで、再剥離性を損なうことなく、強粘着力が発現できる。
本発明に使用するアクリル共重合体の重量平均分子量は50〜120万が好適であり、より好ましくは60〜100万である。当該範囲内とすることで、高い凝集力を保持したまま、中芯である不織布への含浸性が確保できるため、再剥離性が発現できる。前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算である。測定条件として、カラムはTSKgel GMHXL[東ソー製]を用い、カラム温度は40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/分とし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いた。
(粘着付与樹脂の種類)
本発明に使用する粘着付与樹脂としては、水分散型の粘着剤組成物に使用する観点から、エマルジョン型の粘着付与樹脂を好ましく使用できる。当該エマルジョン型の粘着付与樹脂としては、ロジン系、重合ロジン系、重合ロジンエステル系、ロジンフェノール系、安定化ロジンエステル系、不均化ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフェノール系、石油樹脂系等が例示できる。
これらを併用する場合には、前記重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(A)とロジンフェノール系粘着付与樹脂(B)との比が、(A)/(B)で表される質量比で1/1〜1/5であることが好ましく、1/1〜1/4がより好ましく、1/1〜1/3が更に好ましい。当該範囲内であれば、アクリル共重合体と粘着付与樹脂との相溶性が良好であり、定荷重剥離性及び再剥離性の向上が期待できる。
(粘着付与樹脂の軟化点)
粘着付与樹脂の軟化点において、軟化点が120〜180℃であることが好適であり、より好ましくは140〜180℃である。軟化点の高い粘着付与樹脂を配合することで、高い接着性能、特に定荷重剥離性が期待できる。
本発明の水分散型アクリル系粘着剤組成物は、上記アクリル共重合体と粘着付与樹脂とを含有する組成物である。
アクリル共重合体/粘着付与樹脂の配合比において、アクリル共重合体/粘着付与樹脂=100/10〜100/40が好適であり、より好ましくはアクリル共重合体/粘着付与樹脂=100/15〜100/35である。アクリル共重合体/粘着付与樹脂=100/10以上であると定荷重剥離性が向上し、アクリル共重合体/粘着付与樹脂=100/40以下では、再剥離性が良好である。
また、粘着剤の凝集力を向上させる目的で、架橋剤を使用できる。架橋剤としては、公知のイソシアネート、エポキシ化合物、アジリジン化合物、多価金属塩、金属キレート、ケト・ヒドラジド化合物、オキサゾリン化合物、シラン化合物、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン化合物が使用できる。その中でも、重合終了後に添加し、架橋反応を進行させるタイプの架橋剤が好ましくい。例えば、イソシアネート系架橋剤や、エポキシ化合物、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン化合物等が挙げられる。具体的には、エポキシ化合物では、デナコール EX−832[ナガセ化成工業(株)製]、デナコール EX−841[ナガセ化成工業(株)製]、テトラッドC[三菱瓦斯化学(株)製]、テトラッドX[三菱瓦斯化学(株)製]等が挙げられ、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン化合物では、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン[KBM−303;信越シリコーン(株)製]、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン[KBM−403;信越シリコーン(株)製]、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン[KBE−402;信越シリコーン(株)製]、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン[KBE−403;信越シリコーン(株)製]等が挙げられる。架橋度合いの指標として、粘着剤層をトルエンに24時間浸漬した後の不溶分を測定するゲル分率の値が用いられる。ゲル分率は、好ましくは20〜45質量%である。より好ましくは25〜45質量%、更に好ましくは30〜40質量%の範囲であれば、定荷重剥離性と再剥離性がともに良好である。
また、添加剤として、必要に応じて本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、ガラスやプラスチック製の繊維・バルーン・ビーズ・金属粉末等の充填剤、顔料・染料等の着色剤、pH調整剤、皮膜形成補助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の公知のものを粘着剤組成物に任意で添加することができる。
また、本発明における水分散型アクリル系粘着剤組成物は、エマルジョン型の粘着剤を得る乳化重合法により製造できる。乳化重合においては、重合安定性を確保するため、陰イオン性や非イオン性の乳化剤、その他の分散安定剤が適量用いられる。特に乳化剤は制限されず、公知の乳化剤を用いることができる。陰イオン性乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられ、非イオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
乳化重合に際し用いられる重合開始剤は限定されず、公知の重合開始剤を用いることができる。具体的に、2,2’,−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−アルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等のアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤、芳香族カルボニル化合物等のカルボニル系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せ等のレドックス系開始剤などが挙げられる。
また、本発明の水分散型アクリル系粘着剤組成物から形成される被膜のガラス転移温度(以下、Tgという)は−25℃以下であることが好ましい。中でも−25℃〜−60℃の範囲にあることで、再剥離性を損なうことなく、好適に強粘着力が発現できる。ここでのTgとは、示差走査型熱量計を用いた吸熱曲線から求めた値である。
また、本発明の水分散型アクリル系粘着剤組成物の固形分濃度は、特に制限されるものではないが、製造時のコストや輸送コストという観点、及び、乾燥して使用する際の乾燥性に優れるという観点から、固形分濃度が40〜70重量%であることが好ましい。
また、本発明の水分散型アクリル系粘着剤組成物の平均粒子径は特に制限されるものではないが、50〜1000nmの範囲が好ましい。ここでの粒子の平均粒子径とは、エマルジョン粒子の体積基準での50%メジアン径をいい、数値は動的光散乱法により測定して得られる値に基づくものである。
本発明の両面粘着テープは、不織布基材の両面に上記粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する。
本発明の両面粘着テープにおける粘着剤層は、上記エマルジョン型粘着剤から溶媒を除去して得られる層である。粘着剤層の好ましい厚さは30〜300μm、より好ましくは50〜200μmである。また、粘着剤層のゲル分率は、25〜45%とすることで定荷重剥離性と再剥離性がともに良好となり好ましい。
本発明の両面粘着テープの中芯として使用する不織布基材としては、パルプ、レーヨン、マニラ麻、アクリロニトリル、ナイロン、ポリエステルなどの素材からなるものを使用でき、好適な引張強度を実現するために、必要に応じてビスコース含浸処理などの処理をしても良い。なかでも23℃での流れ方向と幅方向の引張強度がいずれも1.0〜3.5kgf/20mmである不織布基材を使用することが好ましい。不織布の引張強度が、10kgf/20mm以上であると、両面粘着テープを再生または再利用が可能な部品より剥離する際に、両面粘着テープが切れにくいため、好適な作業性が得られる。引張強度が3.5kgf/20mm以下であると、定荷重剥離性を好適な範囲に調整しやすくなる。不織布の厚みは、好ましくは30〜200μmであり、より好ましくは50〜150μmである。坪量は、好ましくは10〜100g/m2である。より好ましくは15〜50g/m2である。
不織布基材に粘着剤層を形成するには、粘着剤溶液をロールコーターやダイコーター等で直接不織布基材に塗布する方法や、セパレーター上にいったん粘着剤層を形成後、不織布基材に転写する方法を用いる。
本発明の両面粘着テープは、被着体の反発力に耐える耐剥がれ性、せん断方向にかかる荷重に耐える保持性、厳しい環境条件下での接着信頼性、少ない面積での部品間の固定等、安定して部材間を固定できる強固な粘着力にも優れる。それに加えて、作業工程における接着不備や、リサイクル時の部材間の分離に際しては、優れた再剥離性を有する。なお、従来の溶液重合型のアクリル系樹脂を主成分とした粘着剤とは異なり、水分散型アクリル系粘着剤組成物を用いることで、揮発性有機化合物の低減効果も期待できるため、自動車、建材、OA、家電業界などの工業用途における各種製品内部の部品間の固定を行う粘着テープとして好適に使用できる。
実施例及び比較例で得られた両面粘着テープの各特性の評価方法は以下のとおりである。
ガラス板上に、乾燥後の厚さが65μmになるように水分散型アクリル系粘着剤組成物を塗工し、100℃で10分間乾燥し、40℃2日エージングしたものを50mm各に切り取り、これを試料とした。次に、予め上記試料のトルエン浸漬前の重量(G1)を測定しておき、トルエン溶液中に常温で24時間浸漬した後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の重量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率を求めた。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
水分散型アクリル系粘着剤組成物を乾燥後の厚さが0.3mmとなるようにガラス板に塗工し、25℃で24時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に100℃で5分間乾燥したものを試料とし、直径5mm、深さ2mmのアルミニウム製円筒型セルに試料約10mgを秤量し、TAインスツルメント社製のDSC−2920モジュレイテッド型示差走査型熱量計を用い、窒素雰囲気下で−150℃から昇温速度20℃/分で100℃まで昇温した時の吸熱曲線を測定して求めた。
日機装(株)製マイクロトラックUPA型粒度分布測定装置にて測定した平均粒子径(体積基準での50%メジアン径)の値を求めた。
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、乾燥後の厚さが65μmになるように水分散型アクリル系粘着剤組成物を塗工し、粘着テープを作製した。この粘着テープを23℃、50%RHの雰囲気下でステンレス板、あるいはABS樹脂板、あるいは、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)板、PC/ABS樹脂板へ2kgロールにて、貼り合わせ面積が幅10mm、長さ50mmとなるように貼り合わせ、1時間放置後、23℃、50%RHの雰囲気下で剥離方向90°に300gの荷重をかけた。1時間後の剥がれ距離または落下時間を測定した。(単位:mmまたは分)
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、乾燥後の厚さが65μmになるように水分散型アクリル系粘着剤組成物を塗工し、粘着テープを作製した。この粘着テープを23℃、50%RHの雰囲気下でステンレス板、あるいはABS樹脂板、あるいは、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)板、PC/ABS樹脂板へ2kgロールにて、貼り合わせ面積が幅20mm、長さ50mmとなるように貼り合わせ、60℃、90%RHで12日間の条件で劣化後、23℃、50%RHの雰囲気下で1時間放置し、23℃、50%RHの雰囲気下で、手で180°方向に粘着テープをゆっくりと引き剥がした時の再剥離性(粘着剤の被着体への残留)を評価した。
尚、再剥離性評価は以下の基準で行った。
○:被着体への糊残り無し。
×:被着体への糊残り有り。
<乳化液の調製>
容器に脱イオン水75.00gと界面活性剤アクアロンKH−1025[第一工業製薬(株)製;有効成分25%]20.00gと界面活性剤ラテムルPD−104[花王(株)製;有効成分20%]37.50gを入れ、均一に溶解した。そこに、2−エチルヘキシルアクリレート227.50g、n−ブチルアクリレート227.50g、メチルメタクリレート25.00g、N−ビニルピロリドン7.50g、アクリル酸[有効成分80%]15.63g、ラウリルメルカプタン0.20gを加えて乳化し、乳化液635.83gを得た。
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に、脱イオン水277.50gを入れ、窒素を吹き込みながら60℃まで昇温した。攪拌下、乳化液の一部[3.18g]、過硫酸アンモニウム水溶液5.00g[有効成分3%]、亜硫酸水素ナトリウム水溶液5g[有効成分3%]を添加し、60℃を保ちながら1時間で重合させた。引き続き、残りの乳化液632.65gと、過硫酸アンモニウム水溶液40g[有効成分1.25%]を別々の漏斗を使用して、反応容器を60℃に保ちながら6時間かけて滴下重合した。滴下終了後、反応容器を60℃に保ちながら2時間攪拌した後、内容物を冷却し、pHが8.0になるようにアンモニア水(有効成分10%)で調整した。これを200メッシュ金網で濾過し、水分散型アクリル系ポリマーを得た。ここで、得られた水分散型アクリルポリマーは固形分濃度51.9%、平均粒子径は340nm、重量平均分子量は808,000であった。
前記の水分散型アクリル系ポリマー963.39g[dry;500g]に、レベリング剤としてサーフィノールPSA−336[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製;有効成分100%]2.5g、消泡剤としてサーフィノールDF−110D[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製;有効成分100%]2.5g、架橋剤としてエポキシ化合物テトラッドC[三菱瓦斯化学(株)製]0.15g、粘着付与樹脂としてエマルジョン型重合ロジンエステル系粘着付与樹脂スーパーエステルE−865NT[荒川化学工業(株)製;軟化点160℃]固形分で50g、エマルジョン型ロジンフェノール系粘着付与樹脂タマノルE−200NT[荒川化学工業(株)製;軟化点150℃]固形分で50gを添加し、100メッシュ金網で濾過し、本発明の水分散型アクリル系粘着剤組成物を得た。
前記の水分散型アクリル系粘着剤組成物を剥離処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが65μmになるように塗工して、100℃で5分間乾燥して得た粘着シートを、パルプ/レーヨン/マニラ麻=1/1/1にビスコースを含浸してなる坪量15g/m2、流れ方向の引張強度が2.5kgf/20mm、幅方向の引張強度が2.2kgf/20mmの不織布の両面に転写し、90℃の熱ロールで4kgf/cmの圧力でラミネートし、両面粘着テープを得た。尚、該両面粘着テープは40℃2日エージング後に試験に使用した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が33.9%であった。
実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。エマルジョン型ロジンフェノール系粘着付与樹脂タマノルE−200NT固形分で50gを、100gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が32.7%であった。
実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。エマルジョン型重合ロジンエステル系粘着付与樹脂スーパーエステルE−865NT固形分で50gを25gに変更し、エマルジョン型ロジンフェノール系粘着付与樹脂タマノルE−200NT固形分で50gを75gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が35.7%であった。
2−エチルヘキシルアクリレート227.50gを318.50gに変更し、n−ブチルアクリレート227.50gを136.50gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、乳化液を調製した。実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。得られた水分散型アクリル系ポリマーは固形分濃度52.0%、平均粒子径は330nm、重量平均分子量は755,000であった。それに続いて、実施例2と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が31.9%であった。
2−エチルヘキシルアクリレート227.50gを136.50gに変更し、n−ブチルアクリレート227.50gを318.50gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、乳化液を調製した。実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。得られた水分散型アクリル系ポリマーは固形分濃度51.7%、平均粒子径は304nm、重量平均分子量は728,000であった。それに続いて、実施例2と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が31.9%であった。
2−エチルヘキシルアクリレート227.50gを226.25gに変更し、n−ブチルアクリレート227.50gを226.25gに変更し、N−ビニルピロリドン7.50gを10.00gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、乳化液を調製した。続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。得られた水分散型アクリル系ポリマーは固形分濃度51.6%、平均粒子径は302nm、重量平均分子量は795,000であった。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が34.3%であった。
2−エチルヘキシルアクリレート227.50gを233.75gに変更し、n−ブチルアクリレート227.50gを233.75gに変更し、アクリル酸[有効成分80%]15.63gを0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、乳化液を調製した。続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。得られた水分散型アクリル系ポリマーは固形分濃度52.3%、平均粒子径は330nm、重量平均分子量は800,000であった。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が0.1%であった。
2−エチルヘキシルアクリレート227.50gを231.25gに変更し、n−ブチルアクリレート227.50gを231.25gに変更し、N−ビニルピロリドン7.50gを0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、乳化液を調製した。続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。得られた水分散型アクリル系ポリマーは固形分濃度52.4%、平均粒子径は338nm、重量平均分子量は820,000であった。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が40.7%であった。
2−エチルヘキシルアクリレート227.50gを211.25gに変更し、n−ブチルアクリレート227.50gを211.25gに変更し、N−ビニルピロリドン7.50gを40.00gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、乳化液を調製した。続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。得られた水分散型アクリル系ポリマーは固形分濃度50.2%、平均粒子径は301nm、重量平均分子量は698,000であった。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が21.5%であった。
2−エチルヘキシルアクリレート227.50gを206.25gに変更し、n−ブチルアクリレート227.50gを206.25gに変更し、N−ビニルピロリドン7.50gを50.00gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、乳化液を調製した。続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。得られた水分散型アクリル系ポリマーは固形分濃度47.8%、平均粒子径は209nm、重量平均分子量は662,000であった。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が4.5%であった。
2−エチルヘキシルアクリレート227.50gを181.25gに変更し、n−ブチルアクリレート227.50gを181.25gに変更し、N−ビニルピロリドン7.50gを100.00gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、乳化液を調製した。続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。得られた水分散型アクリル系ポリマーは固形分濃度48.4%、平均粒子径は189nm、重量平均分子量は620,000であった。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が2.4%であった。
2−エチルヘキシルアクリレート227.50gを0gに変更し、n−ブチルアクリレート227.50gを455.00gに変更した以外は、実施例1と同様の操作によって、乳化液を調製した。続いて、実施例1と同様の操作によって、水分散型アクリル系ポリマーを製造した。得られた水分散型アクリル系ポリマーは固形分濃度52.3%、平均粒子径は190nm、重量平均分子量は710,000であった。それに続いて、実施例2と同様の操作によって、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。それに続いて、実施例1と同様の操作によって、両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープは、40℃2日エージング後のゲル分率が29.6%であった。
Claims (12)
- アクリル共重合体と粘着付与樹脂とを含有し、前記アクリル共重合体を構成するモノマー成分として2−エチルヘキシルアクリレート、窒素含有ビニル単量体、及び、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを含有し、前記窒素含有ビニル単量体の含有量が、前記アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の0.1〜5質量%であることを特徴とする水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 前記2−エチルヘキシルアクリレートの含有量が、前記アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の20〜90質量%である請求項1に記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 前記窒素含有ビニル単量体が、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリロニトリル、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量が、前記アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の0.5〜5質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、及び、クロトン酸から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物
- 前記アクリル共重合体の重量平均分子量が50〜140万である請求項1〜5のいずれかに記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 前記アクリル共重合体が、モノマー成分としてn−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、エチルアクリレート、及び、イソノニルアクリレートを含有し、その含有量が前記アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の40〜60質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 前記アクリル共重合体が、モノマー成分としてメチルメタアクリレート又はシクロヘキシルメタアクリレートの少なくとも一種を含有し、その含有量が前記アクリル共重合体を構成するモノマー成分中の1〜10質量%である請求項1〜7のいずれかに記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 前記粘着付与剤として、軟化点が120〜180℃のエマルジョン型粘着付与剤を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 前記粘着付与剤として、エマルジョン型重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(A)と、エマルジョン型ロジンフェノール系粘着付与樹脂(B)とを含有し、前記エマルジョン型重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(A)とエマルジョン型ロジンフェノール系粘着付与樹脂(B)との比が、(A)/(B)で表される質量比で1/1〜1/3である請求項1〜9のいずれかに記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物。
- 不織布基材の両面に請求項1〜10のいずれかに記載の水分散型アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する両面粘着テープ。
- 前記粘着剤層のゲル分率が25〜45%である請求項11に記載の両面粘着テープ。
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