JP2008239450A - ベータ(β)−ゼオライトの合成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (a)アルカリ金属イオン源、アルミナ源、シリカ源、有機構造規制物質、粒子成長調整剤および水からなるベータ(β)−ゼオライト合成前駆体を調製する工程、(b)前駆体を乾燥してドライゲルとする工程、および、(c)ドライゲルを水蒸気存在下、100〜200℃で水熱処理して結晶化する工程、からなるベータゼオライトの合成方法。
【選択図】 図2
Description
即ち、本発明は、微粒のベータゼオライトを安定的に合成することのできる製造方法を提供することを発明の解決課題とする。
また、本発明は、高い触媒活性を有し活性劣化の低下の少ないベータゼオライトの製造方法を提供することを発明の解決課題とする。
(a)下記(I)〜(VI)からなるベータ(β)−ゼオライト合成前駆体を調製する工程
(I)アルカリ金属イオン源、(II)アルミナ源、(III)シリカ源、(IV)有機構造規制物質、(V)粒子成長調整剤および(VI)水
(b)前駆体を乾燥してドライゲルとする工程
(c)ドライゲルを水蒸気存在下、100〜200℃で水熱処理して結晶化する工程
前記工程(b)におけるドライゲルのH2O/SiO2モル比は、0.01〜3の範囲にあることが好ましい。
前記ドライゲルの平均粒子径が1〜100μmの範囲にあることが好ましい。
前記ベータ(β)−ゼオライトの平均粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることが好ましい。
(a)下記(I)〜(VI)からなるベータ(β)−ゼオライト合成前駆体を調製する工程
(I)アルカリ金属イオン源、(II)アルミナ源、(III)シリカ源、(IV)有機構造規制物質、(V)粒子成長調整剤および(VI)水
(b)前駆体を乾燥してドライゲルとする工程
(c)ドライゲルを水蒸気存在下、100〜200℃で水熱処理して結晶化する工程
アルカリ金属イオン源
アルカリ金属イオン源としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が用いられる。
アルミナ源
アルミナ源としては、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムイソプロポキシド、アルミナ等が用いられる。
シリカ源
シリカ源としては、コロイド状シリカ、シリカヒドロゾル、ケイ酸、ケイ酸塩、ケイ酸水酸化物、シリカゲル、オルト珪酸エチル、オルト珪酸メチル等が挙げられる。
有機構造規制物質(以下、有機テンプレートということがある)としては、従来公知の各種の窒素又は燐を含む有機化合物が用いられる。例えば、第1級〜第3級アミン化合物や第4級アンモニウム化合物が挙げられる。アミン化合物の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチレンジアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ベンジルアミン、ピリジン、ピペリジン等が挙げられる。アンモニウム化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ジベンジルジメチルアンモニウム等の水酸化物又は各種塩(塩化物、臭化物等)が挙げられる。
粒子成長調整剤としては、結晶性が高く平均粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあるベータ(β)−ゼオライが得られれば特に制限はないが、直鎖のアルキル基を有するカチオン性界面活性剤が好適に用いられる。
なかでも、炭素数14〜18の直鎖アルキル基を有するカチオン性界面活性剤は好適に用いることができる。
直鎖アルキル基の炭素数が19以上のものは得ることが困難であり、得られたとしても高価で経済性に問題がある。
ベータ(β)−ゼオライト合成前駆体の組成は、前記(II)アルミナ源のAl2O31モルに対して(III)シリカ源のSiO2が20〜300モルの範囲にあり、前記(III)シリカ源のSiO21モルに対して、(I)アルカリ金属イオン源が0.04〜0.10モル、(IV)有機構造規制物質が0.1〜1.0モル、(V)粒子成長調整剤が0.01〜0.1モル、(VI)水が5〜30モル、の各範囲にあることが好ましい。
SiO2/Al2O3モル比は20〜300、さらには60〜200の範囲にあることが好ましい。
SiO2/Al2O3モル比が20未満の場合はベータゼオライトが得られない場合があり、得られたとしても他の結晶型のゼオライトが混在することがある。
SiO2/Al2O3モル比が300を越えると、ベータゼオライトは得られるが触媒用途には不向きである。但し、触媒担体、疎水性分子の吸着剤、無機分離膜等として用いる場合はSiO2/Al2O3モル比が300を越えて合成することができる。
M(アルカリ金属)/SiO2モル比は0.04〜0.10、さらには0.06〜0.08の範囲にあることが好ましい。M/SiO2モル比が前記範囲を外れるとベータゼオライトが得られない場合がある。
R1/SiO2モル比が0.1未満の場合はベータゼオライトが得られない場合があり、得られたとしても結晶性が不充分となることがある。R1/SiO2モル比が1.0を越えてもさらに結晶性が向上することもなく、有機構造規制物質が高価であることから経済性に問題がある。
R2/SiO2モル比が0.01未満の場合は得られるベータゼオライトの粒子径が大き過ぎたり、再現性よく微粒のベータゼオライトを得ることが困難である。R2/SiO2モル比が0.1を越えると結晶化が阻害されるためかベータゼオライトの結晶性が低下したり、無定型となる場合がある。
H2O/SiO2モル比が5未満の場合は、各原料を調合するに際して水分が少なく固形分濃度が高いために調合が不均一となり、得られるベータゼオライトの粒子径分布が不均一であったり、結晶性が不充分となることがある。H2O/SiO2モル比が30を越えると、調合がさらに均一になることもなく、このため得られるベータゼオライトの粒子径分布がさらに均一になることもなく、工程(b)での乾燥に長時間を要するため経済的でない。
ついで、前駆体を乾燥してドライゲルとする。乾燥後のドライゲルのH2O/SiO2モル比は0.01〜3、さらには0.05〜2の範囲にあることが好ましい。
ドライゲルのH2O/SiO2モル比が0.01未満の場合は、乾燥時に有機構造規制物質も脱離することがあり、結晶化に長時間を要したり、クリストバライト等が生成することがある。ドライゲルのH2O/SiO2モル比が3を越えると、水分が多過ぎて、従来の水熱合成法に近くなるためか得られるベータゼオライトの粒子径が所望の粒子径範囲を超えて大きくなることがあり、また、結晶性の高いベータゼオライトが得られない場合がある。
乾燥はスラリー状のベータ(β)−ゼオライ合成前駆体を前記乾燥温度で撹拌しながら行う。
ついで、乾燥して得たドライゲル(固形物)を従来公知の方法で粉砕し、ドライゲル粉体の平均粒子径が概ね1〜100μm、好ましくは50〜100μmとなるように調整する。
ついで、ドライゲル粉体を水蒸気存在下、100〜200℃、好ましくは150〜180℃で水熱処理して結晶化する。
具体的に水熱処理を例示すると、ドライゲル粉体をテフロン(登録商標)製容器に採取し、この容器をオートクレーブに入れ、この時、ドライゲル粉体を充填したテフロン(登録商標)製容器に水が直接入ることのないようにオートクレーブの底部に少量の水(ドライゲル粉体1g当り約0.2g)を存在させる。ついで、前記温度範囲で加熱することにより結晶化を行う。この時、結晶化時間はドライゲルの組成によっても異なるが通常5〜200時間、さらには10〜100時間の範囲にあることが好ましい。
ベータゼオライトの平均粒子径が0.01μm未満の場合は結晶性が低く触媒活性、選択性が不充分となる傾向があり、ベータゼオライトの平均粒子径が0.5μmを越えると選択性が低下するとともに触媒寿命が短くなる傾向がある。
00℃ 、好ましくは500〜600℃にて焼成して、有機構造規制物質(有機テンプレート)を除去することが好ましい。さらに、反応の種類によっては周知のイオン交換法等によってアルカリを低減、除去して用いることができ、またアルカリ土類金属塩、希土類金属塩等でイオン交換し、アルカリ土類金属イオン、希土類金属塩イオン等を含むベータゼオライトとする。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳述するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
有機構造規制物質として水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)37mmolを含む濃度35重量%の水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液15.57gと、NaOH7.2mmolを含む濃度25.2重量%のNaOH水溶液1.12gとを混合し、この混合物に、SiO2100mmolを含むコロイダルシリカ(触媒化成工業(株)製:カタロイドSI−40、SiO2濃度40重量%)15.02gを加え、30分間攪拌した。
生成したゲルを、攪拌しながら、90℃の油浴上で6時間乾燥した。ゲルが高粘性になった時点で、テフロン(商標)製ロッドを用いて、さらに約30分間掻き混ぜてドライゲルを得た。この時のCTMABrおよび水の含有量はSiO2:0.041CTMABr:0.58H2Oである。
乾燥した後、ゼオライト粉体を550で7時間焼成して有機構造規制物質を除去した。この時のX線回折スペクトルを図1(中段図:SiO2/Al2O3モル比50)に示した。
ついで、硝酸アンモニウム水溶液を用いてアンモニウムイオン交換し、乾燥し、再び550℃で7時間焼成し、プロトン型(H型)のベータゼオライト(Z1)を得た。この時のX線回折スペクトルを図1(上段図:SiO2/Al2O3モル比50)に示した。
また、窒素吸着法(BET)による比表面積(SA)および外部比表面積(ExSA)とアンモニア昇温脱離法(TPD)によるNH3吸着量(固体酸量)の測定結果を表1に示した。
また、図4にベータゼオライト(Z1)の27+Al-MAS-NMRスペクトルを示した。図4においてアルミニウムは4配位に基づくものであり、結晶外に存在する6配位のアルミニウムは殆ど存在しなかった。以上の結果は本発明方法の有効性を示すものである。
ベータゼオライト(Z1)についてn−ヘキサンの異性化活性を測定した。
反応は、20/32メッシュに粒度調製したベータゼオライト(Z1)1gを内径9mmの石英管に充填し、350℃、W/F=8.17g・hr/mol(n−ヘキサン供給量0.15ml/min)で窒素ガス(20ml/min)を流しながら反応を行った。
転化率: 100−nC6残存率(wt%)
C6異性体: 生成物中(n-C6以外)中のC6成分の割合(wt%)
分解生成物: 生成物中(n-C6以外)中のC5以下成分の割合(wt%)
n−ヘキサンの異性化反応(1)と同様にして、反応開始後50時間経過した時点の試験結果を表1に示した。
実施例1において、表1に示す組成となるように硝酸アルミニウム溶液およびCTMABrの使用量を変更した以外は同様にして、プロトン型(H型)のベータゼオライト(Z2)を得た。実施例1同様にX線回折スペクトルを図1(SiO2/Al2O3モル比75)に示した。
得られたベータゼオライト(Z2)について、SiO2/Al2O3モル比、粒子径分布、平均粒子径、比表面積、外部比表面積およびNH3吸着量を測定し、結果を表1に示した。
また、実施例1と同様にしてn−ヘキサンの異性化反応(1)およびn−ヘキサンの異性化反応(2)を行い、試験結果を表1に示した。
実施例1において、表1に示す組成となるように硝酸アルミニウム溶液およびCTMABrの使用量を変更した以外は同様にして、プロトン型(H型)のベータゼオライト(Z3)を得た。実施例1同様にX線回折スペクトルを図1(SiO2/Al2O3モル比100)に示した。
得られたベータゼオライト(Z3)について、SiO2/Al2O3モル比、粒子径分布、平均粒子径、比表面積、外部比表面積およびNH3吸着量を測定し、結果を表1に示した。
また、実施例1と同様にしてn−ヘキサンの異性化反応(1)およびn−ヘキサンの異性化反応(2)を行い、試験結果を表1に示した。
実施例1において、粒子成長調整剤としてトリメチルステアリルアンモニウムブロマイド(STMABr)を4.1mmol用いた以外は同様にしてベータゼオライト(Z4)を得た。
得られたベータゼオライト(Z4)について、SiO2/Al2O3モル比、粒子径分布、平均粒子径、比表面積、外部比表面積およびNH3吸着量を測定し、結果を表1に示した。
また、実施例1と同様にしてn−ヘキサンの異性化反応(1)およびn−ヘキサンの異性化反応(2)を行い、試験結果を表1に示した。
実施例1において、粒子成長調整剤(CTMABr)を使用しなかった以外は同様にしてベータゼオライト(RZ1)を得た。
図5にベータゼオライト(RZ1)のSEM像を示した。
また、実施例1と同様にしてn−ヘキサンの異性化反応(1)およびn−ヘキサンの異性化反応(2)を行い、試験結果を表1に示した。
水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)75mmolを含む濃度35重量%の水溶液と、NaOHとして45mmolを含む濃度25.2重量%の水溶液とを混合し、この混合物に、150mmolのSiO2を含むコロイダルシリカ(触媒化成工業(株)製:カタロイドSI−40、SiO2濃度40重量%)7.51gを加え、30分間撹拌した。
次に、この混合物に、1.5mmolのAl2(SO4)3を加温蒸留水30.63mlに溶かした溶液を加え、2時間撹拌した。
このようにして得られたヒドロゲルをテフロン(商標)で内張りしたオートクレーブ(125ml)に入れた。このオートクレーブを150℃で7日間加熱した。
次いで、オートクレーブを冷水で冷却し、ゼオライトを水洗した後、室温で乾操した。
得られたベータゼオライト(RZ2)について、SiO2/Al2O3モル比、粒子径分布、平均粒子径、比表面積、外部比表面積およびNH3吸着量を測定し、結果を表1に示した。
また、実施例1と同様にしてn−ヘキサンの異性化反応(1)およびn−ヘキサンの異性化反応(2)を行い、試験結果を表1に示した。
Claims (6)
- 下記の工程(a)〜(c)からなることを特徴とするベータ(β)−ゼオライトの合成方法。
(a)下記(I)〜(VI)からなるベータ(β)−ゼオライト合成前駆体を調製する工程
(I)アルカリ金属イオン源、(II)アルミナ源、(III)シリカ源、(IV)有機構造規制物質、(V)粒子成長調整剤および(VI)水
(b)前駆体を乾燥してドライゲルとする工程
(c)ドライゲルを水蒸気存在下、100〜200℃で水熱処理して結晶化する工程 - 前記ベータ(β)−ゼオライト合成前駆体の組成が、前記(II)アルミナ源のAl2O31モルに対して(III)シリカ源のSiO2が20〜300モルの範囲にあり、前記(III)シリカ源のSiO21モルに対して、(I)アルカリ金属イオン源が0.04〜0.10モル、(IV)有機構造規制物質が0.1〜1.0モル、(V)粒子成長調整剤が0.01〜0.1モル、(VI)水が5〜30モル、の各範囲にある請求項1に記載のベータ(β)−ゼオライトの合成方法。
- 前記工程(b)におけるドライゲルのH2O/SiO2モル比が0.01〜3の範囲にある請求項1または2に記載のベータ(β)−ゼオライトの合成方法。
- 前記粒子成長調整剤が炭素数14〜18の直鎖アルキル基を1または2個有するカチオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤である請求項1〜3のいずれかに記載のベータ(β)−ゼオライトの合成方法。
- 前記ドライゲルの平均粒子径が1〜100μmの範囲にある請求項1〜4のいずれかに記載のベータ(β)−ゼオライトの合成方法。
- 前記ベータ(β)−ゼオライトの平均粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載のベータ(β)−ゼオライトの合成方法。
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