JP2008236745A - 信号処理装置、信号処理方法、プログラム及び媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の機能を変更したり、機器を追加することが、内部配線の変更や信号ケーブルでの接続を必要とすることなく、簡単に行えるようにする。
【解決手段】入力信号を処理する第1の信号処理手段151,152・・・や、増設された第2の信号処理手段160の内部のデータ伝送を、無線通信で行うようにする。
【選択図】図1
【解決手段】入力信号を処理する第1の信号処理手段151,152・・・や、増設された第2の信号処理手段160の内部のデータ伝送を、無線通信で行うようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、信号処理装置、信号処理方法、プログラムおよび媒体に関し、特に、複数の装置が接続されたときに、装置の機能を変更することで、複数の装置が、入力信号に対する処理を協調して分担することができるようにすることにより、1つの装置単独の場合よりも高品質の処理結果を得ることができるようにする信号処理装置、信号処理方法、プログラムおよび媒体に関する。
例えば、ディジタルVTR(Video Tape Recorder) や、DVD(Digital Video Disc又はDigital Versaile Disc)プレーヤ等は、再生された画像や音声を視聴するために、テレビジョン受像機等に接続されて使用される。即ち、ディジタルVTR等で再生された画像と音声は、テレビジョン受像機に供給され、画像は、画面に表示され、音声は、スピーカから出力される。
テレビジョン受像機において、ディジタルVTRで再生された画像と音声が出力される場合には、テレビジョン受像機が有する信号処理回路の中には、特に処理を行わないものがある。
即ち、例えば、ディジタルVTRからコンポーネント信号が出力される場合には、テレビジョン受像機におけるコンポジット信号をコンポーネント信号に変換する信号処理回路は、特に処理を行う必要がなく、いわば遊んだ状態になる。
一方、上述のように、テレビジョン受像機とディジタルVTRとが接続される場合に、テレビジョン受像機が有する信号処理回路と、ディジタルVTRが有する信号処理回路とが、画像や音声等の信号に対する処理を分担し、互いに協調しあって、処理を行うようにすることができれば、ユーザに対して、より高品質の画像や音声の提供を行うことができると考えられる。
ところで、テレビジョン受像機などの機器の内部の回路は、基本的に全ての回路が、回路基板などを介して電気的に接続させてある。従って、内部の回路の変更を変更することは容易にはできない問題があった。
また、テレビジョン受像機とディジタルVTRとを接続する場合のように、これらの機器を複数台接続する際には、何らかの信号ケーブルを用意して、その信号ケーブルで映像信号や音声信号などを伝送するようにしてあるが、信号ケーブルでの接続作業は手間がかかる問題があった。
なお、ここまでの説明では、テレビジョン受像機などの映像機器を例にして説明したが、その他の各種電子機器の場合にも同様の問題を持つものである。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、装置の機能を変更したり、機器を追加することが、内部配線の変更や信号ケーブルでの接続を必要とすることなく、簡単に行えるようにすることを目的とする。
本発明の信号処理装置は、所定の機能を有して入力信号を処理する信号処理装置において、複数の信号処理手段と、複数の信号処理手段の間でのデータ伝送を無線通信で行う通信手段とを備えるものである。
この信号処理装置によると、装置内の複数の信号処理手段を使用した信号処理が、その信号処理手段の間での無線通信によるデータ伝送で実行されるようになる。
また本発明の信号処理方法は、複数の信号処理ブロックの間でのデータ伝送を無線通信で行うデータ伝送ステップと、データ伝送ステップでデータ伝送を行いながら、複数のブロックで入力信号を処理する信号処理ステップとを有するものである。
この信号処理方法によると、内部の複数の信号処理ブロックを使用した入力信号の信号処理が、その複数のブロック間での無線通信によるデータ伝送で実行されるようになる。
また本発明のプログラムは、複数の信号処理ブロックの間でのデータ伝送を無線通信で行うデータ伝送ステップと、データ伝送ステップでデータ伝送を行いながら、複数のブロックで入力信号を処理する信号処理ステップとを有するものである。
このプログラムによると、内部の複数の信号処理ブロックを使用した入力信号の信号処理が、その複数のブロック間での無線通信によるデータ伝送で実行されるようになる。
また本発明の媒体は、入力信号を処理する信号処理を実行させるプログラムを格納した媒体において、複数の信号処理ブロックの間でのデータ伝送を無線通信で行うデータ伝送ステップと、データ伝送ステップでデータ伝送を行いながら、複数のブロックで入力信号を処理する信号処理ステップとを有するものである。
この媒体に格納されたプログラムを実行させることで、内部の複数の信号処理ブロックを使用した入力信号の信号処理が、その複数のブロック間での無線通信によるデータ伝送で実行されるようになる。
本発明の信号処理装置、信号処理方法、プログラム及び媒体によれば、装置の内部でのデータ伝送が無線通信で行われるので、装置の内部を物理的な信号線で接続する必要がなく、それだけ内部配線などを簡単にすることができる。さらに、無線通信が行われるブロックについては、配線がないために簡単に装置の回路基板などから外す構造とすることが容易に行え、例えば一部の信号処理手段の交換が容易に行えるようになる。
以下、本発明の一実施の形態について説明する。図1は、本発明を適用したベイ構造型テレビジョン受像機の一実施の形態の構成例を示す斜視図である。
装置の筐体ともなっているTV(Television)ラック1には、その正面上部の中央に、映像表示手段として、CRT(Cathode Ray Tube)2が配置されており、その左右に、L(Left)チャンネル用及びR(Right)チャンネル用のスピーカ3L,3Rが配置されている。
さらに、TVラック1の正面下部には、6つのベイ(bay) 4A,4B,4C,4D,4E,4Fが設けられている。ここで、以下、適宜、ベイ4A〜4Fを、特に区別する必要がない限り、ベイ4と記述する。このベイ4が設けられたTVラック1の下部は、CRT2やスピーカ3L,3Rが配置されたTVラック1上部と分離できる構成としても良い。
ベイ4には、単独で作動する電子機器としての、例えば、ディジタルVTRやDVDプレーヤ等を収納することができるように、凹形状に形成されており、その内部の奥の正面には、後述するベイ内パネル部5が設けられている。
また、TVラック1の上面の、右手前側には、やはり、凹形状に形成されたベイ4Gが設けられている。但し、ベイ4A〜4Fは、ディジタルVTR等の比較的大型の電子機器を収納することができるように、大きな凹形状となっているのに対して、ベイ4Gは、例えば、携帯電話機その他のPDA(Personal DigitalAssistant)等の比較的小型の電子機器を収納することができるように、小さな凹形状となっている。
これらのベイ4A〜4Gに、機器が収納されたことの検出は、例えば機器の収納で切替わる機械的なスイッチを、ベイの内部に配置して、そのスイッチの状態で検出するようにする。或いは、後述するように、ベイに収納された機器には、テレビジョン受像機本体側から電源を供給するようにしてあり、その電源の供給状態から、機器の収納を検出しても良い。即ち、ベイに用意された電源端子を使用した電力の消費がある場合に、そのベイに機器などが収納されていると判断することができる。或いは、後述する受像機内のコントローラが、収納された機器との間で無線ネットワークを確立させる処理を行って、その無線ネットワークの確立処理で判別した機器が、ベイ4に収納されたものであると判別するようにしても良い。
図2は、ベイ4に電子機器が収納された状態の、図1のベイ構造型テレビジョン受像機を示した図である。図2に示した例では、ベイ4Aと4Dに、電子機器11と12が、それぞれ直接収納されており、ベイ4Bに、ベイアダプタボックス14に収納された状態の電子機器13が収納されている。
即ち、電子機器11と12は、ベイ構造型テレビジョン受像機に対応した電子機器(例えば、ベイ構造型テレビジョン受像機と同一の製造メーカによる電子機器)であり、ベイアダプタボックス14を使用しなくても、直接、ベイ4に収納することができるようになっている。
一方、電子機器13は、ベイ構造型テレビジョン受像機に非対応の電子機器(例えば、ベイ構造型テレビジョン受像機と異なる製造メーカによる電子機器)であり、ベイアダプタボックス14を使用することにより、ベイ4に収納することができるようになっている。
なお、ベイ4(ベイ4Gについても同様)の開口部分には、例えば、VTRのテープ挿入口に設けられるのと同様の蓋を設けるようにすることができ、この場合、電子機器が収納されていないベイ4の内部に、埃等が入るのを防止することができる。
図3は、ベイ4の内部正面に設けられているベイ内パネル部5の構成例を示す平面図である。
ベイ内パネル部5には、ベイ4に装着された電子機器などと通信を行うためのアンテナ21と、ベイ4に装着された機器に電源電圧を供給する電源端子22とが配置してある。アンテナ21は、TVラック1内の無線通信回路に接続させてある。電源端子22から供給する電源は、商用交流電源又はその交流電源を変圧整流した直流低圧電源とする。アンテナ21については、ベイ4に装着された機器と無線通信が可能であれば、パネル部5以外の場所に配置しても良く、また、各ベイ4毎に個別にアンテナ21を設ける構成でなくても良い。
なお、パネル部5には、電源端子22以外の端子を配置しても良い。例えば、映像信号の入力端子や出力端子、オーディオ信号の入力端子や出力端子、IEEE(Instituteof Electrical and Electronics Engineers)1394規格の端子、USB(Universal Serial Bus)規格の端子などを配置しても良い。
また、TVラック1の上部のベイ4G内のパネル部についても、必要によりアンテナと電源端子を配置する。
図4は、ベイ構造型テレビジョン受像機に対応した電子機器11(12)の構成例を示す、その背面方向から見た斜視図である。
電子機器11の背面パネルには、アンテナ31と電源端子32が設けてある。アンテナ31は機器11内の無線通信回路に接続させてある。
ベイ構造型テレビジョン受像機のベイ4は、電子機器11を収納することができる大きさに構成されており、さらに、そのベイ内パネル部5の電源端子22は、電子機器11,12などをベイ4に収納したときに、その電子機器11,12の電源端子32と電気的に接続されるような位置に配置してある。
従って、電子機器11,12は、ベイ構造型テレビジョン受像機に対応したものであり、ベイ内パネル部5の電源端子22は、電子機器11,12がベイ4に収納されたときに、その電子機器11,12の電源端子32とそれぞれ電気的に接続されるような位置に配置されているから、電子機器11,12は、ベイ4に収納するだけで、ベイ構造型テレビジョン受像機側から電源が供給されるようになる。また、パネル部5など配置されたアンテナ21と、電子機器側のアンテナ31とが比較的近い位置で近接するようになり、両アンテナ21,31間で無線通信が行われる。この無線通信により、映像信号,オーディオ信号などのストリームデータや、各種制御信号などの伝送が行われる。無線通信が行われる状態の詳細については後述する。
一方、電子機器13は、ベイ構造型テレビジョン受像機に非対応のものであるから、ベイ4に直接収納しても、電子機器13の電源端子と、ベイ内パネル部5の電源端子とは、その配置位置が異なり、電気的に接続されるとは限らず、むしろ、多くは接続されない。また、無線通信を行う機能が内蔵されてない可能性が高い。
そこで、ベイ構造型テレビジョン受像機に非対応の電子機器13については、ベイアダプタボックス14を用いることで、ベイ構造型テレビジョン受像機と接続することができるようになっている。
図5は、ベイアダプタボックス14の構成例を示す斜視図である。ベイアダプタボックス14には、その正面側から、電子機器13を収納することができるように、凹形状のスロット14Aが設けられている。電子機器13は、ベイアダプタボックス14に収納し、このベイアダプタボックス14ごと、ベイ構造型テレビジョン受像機のベイ4に収納することで、ベイ構造型テレビジョン受像機と電気的に接続されるようになっている。
即ち、ベイアダプタボックス14の背面部分には、背面パネル部15が設けられており、背面パネル部15は、スロット14A側を正面とするアダプタ内接続パネル15Aと、ベイアダプタボックス14の背面側を正面とするアダプタ背面パネル15Bとで構成されている。即ち、ベイアダプタボックス14のスロット14A側を正面とすれば、アダプタ内接続パネル15Aは、正面側に、アダプタ背面パネル15Bは、その背面側に、それぞれ設けられている。
図6は、アダプタ内接続パネル15Aとアダプタ背面パネル15Bの構成例を示す平面図である。
ベイアダプタボックス14のアダプタ内接続パネル15Aには、電子機器13のように、ベイ構造型テレビジョン受像機に非対応の電子機器(以下、適宜、非対応電子機器という)が、ベイアダプタボックス14に収納されたときに、その非対応電子機器の背面パネルに設けられた信号端子や電源端子と接続する位置に、対応する接続端子が設けられている。即ち、図6の例では、電子機器13の背面に、映像入力端子41,映像出力端子42,オーディオ入力端子43,オーディオ出力端子44と電源端子47とが配置してあり、電子機器13をベイアダプタボックス14に収納させたとき、これらの端子と図示しないアダプタ内接続パネル15A側の端子とが接続される構成としてある。
ベイアダプタボックス14のアダプタ背面パネル15Bには、アンテナ48と電源端子49とが配置してある。そして、ベイアダプタボックス14内には、非対応電子機器13の信号端子から出力させる信号を、アンテナ48から無線送信させる処理、及びアンテナ48で無線信号を受信して、非対応電子機器13の信号端子に入力させる処理を行う無線通信回路が内蔵させてある。
このように構成されたベイアダプタボックス14に非対応電子機器13を収納させた状態で、ベイアダプタボックス14をベイ4に収納させることで、ベイ4のベイ内パネル部5の電源端子と、ベイアダプタボックス14の電源端子49とが接続し、ベイ構造型テレビジョン受像機から電源がベイアダプタボックス14を介して非対応電子機器13に供給されるようになる。ベイアダプタボックス14内の無線通信回路についても、この電源により作動する。
そして、映像信号やオーディオ信号のストリームデータや制御信号については、ベイ構造型テレビジョン受像機とベイアダプタボックス14との間では無線通信による伝送が行われ、ベイアダプタボックス14と非対応電子機器13との間は、接続された端子を介して直接的に伝送される。
図7は、ベイアダプタボックス14の、図6の例とは別の構成例を示した図である。この図7の例では、電子機器13の背面には、アンテナ48と電源端子49とが配置してある。また、映像信号やオーディオ信号の入力端子,出力端子なども配置してある。この例では、電子機器13のサイズは、ベイ4のサイズとは一致してなく、ベイアダプタボックス14内のスロット14Bに電子機器13を収納させた上で、ベイアダプタボックス14をベイ4に収納させることで、ベイ4への電子機器13の取付けが可能になるようにしたものである。本例のベイアダプタボックス14内のスロット14Bは、正面側から背面側まで貫通させた形状としてあり、電子機器13の背面のパネル部が露出するようにしてある。
この図7に示す構成とした場合には、電源端子49の位置だけが、ベイ4側の電源端子の位置と一致すれば、正しく接続させることができる。映像信号,音声信号などの伝送については、無線通信で行われる。
図8は、ベイアダプタボックス14のさらに別の構成例を示した図である。この例では、ベイアダプタボックス14の背面パネル部15は、アダプタ内接続パネル15Aとアダプタ背面パネル15Bとを分離できるように構成したものである。そして、その分離できるアダプタ背面パネル15Bとして、無線通信を行うアンテナ48及び無線通信回路が内蔵されたアダプタ背面パネル15Bと、各種端子(映像入力端子41,映像出力端子42,オーディオ入力端子43,オーディオ出力端子44,IEEE1394規格の端子45など)が配置されたアダプタ背面パネル15B′との2種類を用意して、装着させるベイ4の方式によって、使用する背面パネルを選択する構成としたものである。いずれの背面パネル15B及び15B′にも、電源端子49は用意されている。
図8の例では、分離可能なアダプタ背面パネル15B,15B′に、複数の雄ピンで構成される雄ピン群16Bを設けてあり、ベイアダプタボックス14には、複数の雌ピンで構成される雌ピン群16Aを設けてある。ベイアダプタ背面パネル15B又は15B′を、ベイアダプタボックス14に装着すると、アダプタ背面パネル15B又は15B′の雄ピン群16Bを構成する各雄ピンが、ベイアダプタボックス14の雌ピン群16Aを構成する、対応する雌ピンに嵌め込まれ、これにより、ベイアダプタ背面パネル15B又は15B′と、ベイアダプタボックス14側のアダプタ内接続パネル15Aとが、電気的に接続される。
このように構成したことで、図1に示したように、ベイ4に装着された電子機器との間で、無線通信で映像信号,音声信号などの伝送が行われるテレビジョン受像機の場合には、無線通信を行うアダプタ背面パネル15Bをベイアダプタボックス14のアダプタ内接続パネル15Aに接続して、ベイに装着させる。また、ここでは図示しないが、ベイに装着された電子機器との間で、ベイ内の端子を介して、映像信号,音声信号などの伝送が行われるテレビジョン受像機の場合には、端子41〜45が配置されたアダプタ背面パネル15B′をベイアダプタボックス14のアダプタ内接続パネル15Aに接続して、端子を有するベイに装着させる。
次に、ベイアダプタボックス14を使用して、ベイ4を備えたテレビジョン受像機に、回路基板を増設する場合の構成例について説明する。まずベイアダプタボックス14として、図9に示すように、背面側に回路基板を配置できる空間を設けて、その空間の左右に位置する壁部に、1枚又は複数枚の回路基板を嵌め込むことができる嵌め込み用スリット82L,82Rを用意する。ベイアダプタボックス14の後端部には、電源端子49が設けてある。図示しないベイアダプタボックス14の正面側には、図6に示した如きスロット14Aを設けて、電子機器13などが装着できるようする。或いは、スロット14Aを設けない構成として、回路基板だけが装着できるアダプタとして構成しても良い。スロット14Aを設けた構成の場合には、そのスロット14Aに装着された電子機器から入出力される信号を無線伝送する無線通信回路に接続されたアンテナ88がベイアダプタボックス14に設けてある。
図9の例では、4枚の回路基板81を嵌め込み用スリット82L,82Rに嵌め込んだ例を示してある。各回路基板81には、入力した信号に対して所定の信号処理を実行する信号処理手段であるチップ部品(集積回路)83が複数配置してあり、基板81上に形成された導電パターンなどで接続させてある。その複数のチップ部品83の内の1つのチップ部品83aについては、データ伝送のための無線通信処理を実行する送受信処理回路としてあり、そのチップ部品83aにアンテナ84が取付けてある。
ベイアダプタボックス14から各回路基板81には、電源端子49に得られる電源を供給するようにしてある。即ち、例えば図10に示すように、嵌め込み用スリット82Rには、電源端子49と電気的に接続された導電部89を有し、回路基板81をスリット82Rに嵌めたとき、回路基板81側の電源用の導電パターンが、この導電部89と接触して、回路基板81に電源が供給される構成としてある。
図9の例では、1枚の回路基板81に、1つの送受信処理回路を用意して、基板の外部と無線通信でデータ伝送を行う構成としたが、1枚の回路基板81内に複数の無線通信回路を設けて、回路基板81内の複数のチップ部品間のデータ伝送が、無線通信で行われるようにしても良い。
即ち、例えば図11に示すように、1枚の回路基板81に配置するそれぞれのチップ部品83を、所定の信号処理を行う機能の他に、無線通信回路としての機能を備えた回路ブロックとし、それぞれのチップ部品83に、アンテナ84を配置する構成として、回路基板81の外部とのデータ伝送が無線で行われるだけでなく、回路基板81内での一部又は全てのデータ伝送についても、無線で行われるように構成しても良い。
なお、ここではベイアダプタボックス14を使用して増設される回路基板の場合の構成について説明したが、例えばテレビジョン受像機が内部に備える回路基板についても同様に、無線通信回路を備えて、その基板に係わるデータ伝送が、無線通信で行われるようにしても良い。さらに、ベイ4に装着される電子機器11,12が内部に備える回路基板についても同様に、無線通信回路を備えて、その基板に係わるデータ伝送が、無線通信で行われるようにしても良い。
また、無線通信回路を備えた機器や基板には、その機器などの絶対的な機器IDが付与させてあり、後述する無線ネットワークを確立させる際には、その絶対的な機器IDを使用して、機器や基板の認識が行えるようにしてある。さらに、機器IDの他に、その機器や基板がどのような信号処理を実行するのかを示す機能IDを記憶するようにしてあり、その機能IDをネットワーク内の他の機器に送ることで、ベイ4に装着された機器や基板が実行できる機能を、受像機内のコントローラなどが判断できるようにしてある。
次に、このようにベイを使用して機器や回路基板が増設できるベイ構造型テレビジョン受像機の、信号処理上から見た構成について説明する。図12に示した例のテレビジョン受像機の場合には、内部の回路基板間(或いは回路基板内)のデータ伝送についても、無線通信で行われるようにした場合の一例である。この図12の例は、無線通信によるデータ伝送を最も高度に利用した場合の例であり、信号線によるデータ伝送は、最低限の使用にとどめた構成としてあるが、一部のブロック間の無線によるデータ伝送を、信号線によるデータ伝送に置き換えるようにしても良い。なお、無線通信処理を行う回路とアンテナは、各回路ブロックに内蔵されているものとして、図12には図示していない。
また、図12の構成では、機器又は回路基板を増設させた場合の例としてあり、図中では、どの信号処理ブロックがベイに増設される機器や回路基板によるブロックであるかを特定してないが、映像の受像に最低限必要な回路ブロック以外の付加的な機能を実現するブロックについては、どのブロックを、増設される機器や回路基板としても良い。
図12に示したテレビジョン受像機100の構成について以下説明すると、本例のテレビジョン受像機100は、地上波チューナ151と衛星放送用チューナ152を備え、地上波チューナ151には、地上波用アンテナ191が接続してあり、衛星放送用チューナ152には、衛星放送用アンテナ192が接続してある。それぞれのチューナ151,152での受信チャンネルは、コントローラ171から無線伝送される制御データにより設定される。
チューナ151又は152が受信して得たテレビジョン放送信号の内の映像信号は、映像処理部153に無線伝送し、オーディオ信号は、オーディオ処理部154に無線伝送し、放送信号に付随する各種データが存在する場合には、データ処理部155に無線伝送する。
映像処理部153では、映像信号を表示用に処理する映像処理が実行される。例えば、映像信号が所定の方式で圧縮符号化されたデータであるとき、その符号化からの復号化処理を行う。また、表示画像(映像)を高画質化するための映像処理なども実行される。このとき、必要により、別の映像処理部160に映像信号を無線伝送して、その映像処理部160で処理された映像信号を、映像処理部153に戻させることが行われる。映像処理部160で処理を行うことで、より高画質の映像信号とすることができたり、或いは別のフォーマットの映像信号に対応できるようになる等の効果がある。このような複数の映像処理部を使用する場合の例については後述する。
映像処理部153又は映像処理部160で処理された映像信号は、映像合成処理部157又は表示ドライバ158に無線伝送する。映像合成が必要な場合には映像合成処理部157に伝送し、映像合成が必要ない場合には、直接表示ドライバ158に伝送する。
映像合成処理部157は、複数の映像を合成させて1画面に表示させる処理が実行され、処理された映像信号を、表示ドライバ158に無線伝送する。表示ドライバ158では、伝送された映像信号に基づいて、CRT2の電子銃に供給する信号を生成させると共に、図示しない偏向系を駆動させる信号を生成させ、CRT2の画面に映像を表示させる。
オーディオ処理部154では、オーディオ信号を出力用に処理するオーディオ処理が実行される。例えば、マルチチャンネルのオーディオ信号であるとき、各チャンネルのオーディオ信号をデコードする処理などが行われる。オーディオ処理部154で処理された各チャンネルのオーディオ信号は、アンプ部161に無線伝送し、アンプ部161内でスピーカを駆動させるための増幅などが行われ、各チャンネル用のスピーカに増幅されたオーディオ信号を供給する。ここでは、アンプ部161は、いわゆる5.1チャンネルと称される左右のフロントチャンネルとセンタチャンネル、左右のリアチャンネルの5チャンネルと、低域専用チャンネルで構成されるオーディオ信号を処理できる能力があるものとする。
アンプ部161が出力するフロントの左(L)及び右(R)チャンネル用のオーディオ信号は、それぞれのテレビジョン受像機100に内蔵された各チャンネル用のスピーカ3L及び3Rに供給して、出力させる。センタチャンネル用のオーディオ信号と、リアの左(L)及び右(R)チャンネル用のオーディオ信号と、低域チャンネルのオーディオ信号とは、それぞれテレビジョン受像機100のスピーカ端子に接続したスピーカ181,182,183,184に供給して、出力させる。
データ処理部154では、受信した放送信号に映像,オーディオ以外のデータが含まれるとき、そのデータを受信して、復調などの処理を行い、コントローラ171から伝送される指令に基づいて、所定のデータを抽出する。データ処理部154で復調して抽出されたデータは、必要によりデータ画面生成処理部162に無線伝送して、コントローラ171の制御に基づいて、所定のデータ画面を表示させる映像信号を生成させる。例えば、放送信号に含まれるデータとして、電子番組情報が含まれるとき、その受信した番組情報に基づいた番組表を表示させるデータ画面用の映像信号を生成させる。生成された映像信号は、映像合成部157に無線伝送して、映像処理部153からの映像信号による映像に合成させて、所定の態様でデータ画面を表示させる処理を行う。
また、本例のテレビジョン受像機100は、ハードディスクドライブ(HDD)156を備えて、チューナ151又は152が受信した放送信号を、ハードディスクドライブ156に装着されたハードディスクに記録し、また、その記録された信号を読み出して、映像処理部153,オーディオ処理部154,データ処理部155などに伝送することができるようにしてある。このハードディスクドライブ156と、各処理部との間のデータ伝送についても、無線伝送により行う。
本例のテレビジョン受像機100が備えるコントローラ171には、操作キー172からの操作指令が供給され、また赤外線受光部173が受信(受光)した赤外線信号(リモートコントロール信号)による指令が供給されて、受像機100内の各部の動作制御を行う。コントローラ171から各処理部への指令の伝送についても、無線通信で行う。また、各処理部での処理状態のデータを、無線伝送でコントローラ171が受信する。赤外線受光部173は、このテレビジョン受像機100用のリモートコントロール装置193から赤外線信号として送信されるリモートコントロール信号を受信するものである。
コントローラ171は、例えば無線通信を行う上で必要な無線通ネットワーク用のコントローラとして機能するようにしても良い。即ち、本例のように1台の機器の内に複数の無線通信部が存在する場合には、少なくともいずれか1つの無線通信部をマスタとして、他の無線通信部を、そのマスタからの制御で無線通信を行うスレーブとして、無線通信ネットワークを構成させて、マスタが通信管理を行う必要があるが、そのマスタを、コントローラ171が兼ねるようにしても良い。或いは、その他の無線通信部が、マスタとなっても良い。この無線通信ネットワークの詳細に関しては、後述する。
また、コントローラ171は、ベイ4への機器や回路基板の収納状態を判別して、その判別した機器や回路基板の機能に基づいて、受像機内での信号処理状態などを適切に設定するようにしてある。ベイ4への機器や回路基板の収納状態の判別については、既に説明したように、ベイ4に設けた収納状態検出用のスイッチの状態から判別したり、或いは収納された機器や基板への電源の供給状態から判別したり、或いは無線ネットワークを確立させる処理を行って、その無線ネットワークの確立処理で判別した機器や基板が、ベイ4に収納されたものであると判別するようにしても良い。
なお、テレビジョン受像機100内には、電源回路174を備えて、この電源回路174で商用交流電源を変圧整流した直流低圧信号などを、受像機内の各処理部に供給するようにしてある。この場合、ベイに増設された機器や回路基板に対しても、電源回路174から電源端子を介して電源が供給される。
このようにテレビジョン受像機100の内部の各部でのデータ伝送を、無線伝送化した構成とすることで、それだけ受像機100の内部の配線を省略することができる。また、本例のテレビジョン受像機は、図1,図2に示した如きベイ構造型テレビジョン受像機としてあり、各処理部の内の一部の処理部については、そのベイに増設された電子機器や回路基板を使用することがあるが、その場合であっても、ベイに増設された電子機器や回路基板と、受像機100内の処理部との間を、信号線で直接接続する必要がなく、容易に機器や回路基板の増設が可能になる。
図12に示した構成では、テレビジョン受像機100から外部のスピーカへのオーディオ信号の伝送については、信号線を使用するようにしたが、外部のスピーカへの伝送についても、無線伝送で行うようにしても良い。
即ち、例えば図13に示すように、外部のスピーカ装置910,920,930,940として、無線信号を受信する無線通信部を内蔵したアンプ部911,921,931,941と、それぞれのアンプ部で増幅された信号を出力させるスピーカ912,922,932,942が配置されたものを用意する。そして、オーディオ処理部154から、受像機内のアンプ部161にフロントの左右のチャンネルのオーディオ信号を無線伝送し、さらに、オーディオ処理部154から、それ以外のチャンネルのオーディオ信号を、外部のスピーカ装置910〜940内のアンプ部911〜941に無線伝送する。このようにすることで、テレビジョン受像機100と外部のスピーカ装置とを信号線で接続する必要がなくなる。
この場合、受像機内のオーディオ処理部154から、受像機内のアンプ部161に無線伝送する伝送方式と、外部のスピーカ装置910〜940に無線伝送する伝送方式を同じ方式にすれば、オーディオ処理部154が備える1つの無線通信処理回路を使用して、各チャンネルの信号の無線伝送が可能になる。また、無線伝送方式が同じであれば、受像機内のコントローラ171からの制御信号を、外部のスピーカ装置910〜940に伝送することもでき、例えばスピーカ装置910〜940の出力音量や電源オン・オフのコントロールを、受像機内のコントローラ側から行うことも可能になる。図13に示したテレビジョン受像機100のその他の部分は、図12に示したテレビジョン受像機100と同様に構成する。
また、図12の例では、リモートコントロール装置193からのリモートコントロール信号を、赤外線信号で受像機100に無線伝送するようにしたが、このリモートコントロール装置193からのリモートコントロール信号についても、受像機100内で無線伝送される方式と同じ方式の無線伝送を行うようにしても良い。
図14は、この場合のテレビジョン受像機100の構成例を示した図である。リモートコントロール装置193は、無線通信回路を内蔵したコントローラ194を備え、操作キー195からの操作指令が供給されて、その操作指令に基づいたリモートコントロール信号を、テレビジョン受像機100内のコントローラ171などに無線伝送する。また、コントローラ194の制御で、文字,数字,図形などを表示する表示パネル196が、リモートコントロール装置193に用意されている。
この図14に示すように構成した場合に、リモートコントロール装置193内のコントローラ194からの無線信号については、受像機内のコントローラ171に伝送して、コントローラ171を経由して受像機内の各種制御を行う構成とするのが一般的であるが、場合によってはリモートコントロール装置193内のコントローラ194から、直接的に、受像機100内の各信号処理部に無線化された制御指令を伝送するようにしても良い。例えば、リモートコントロール装置193内の操作キー195で、チャンネル切替えキーが操作されたとき、コントロール194は、チャンネル切替え指令を、チューナ151又は152に直接無線伝送して、チューナの動作をリモートコントロール装置193が制御するようにしても良い。
また、リモートコントロール装置193内のコントローラ194が、受像機100内での無線通信ネットワークを確立させるのに必要なマスタとなって、コントローラ194の制御で、受像機100内の各部が無線通信を行うようにしても良い。例えば、テレビジョン受像機100内のコントローラ171として、増設された機器や回路基板との間の無線通信の管理が実行できない場合に、リモートコントロール装置193内のコントローラ194が、その増設された機器又は回路基板と、受像機内部の処理部との無線通信の管理を実行するようにしても良い。図14に示したテレビジョン受像機100のその他の部分は、図12に示したテレビジョン受像機100と同様に構成する。
次に、本例のテレビジョン受像機100内の無線通信機能を備えた各信号処理部の構成例について説明する。この無線通信機能を備えた信号処理部としては、受像機100に最初から備わる信号処理部の場合と、ベイなどに増設された機器又は回路基板で構成される信号処理部の場合とがあるが、以下に説明する構成はいずれの場合にも適用可能である。
図15は、テレビジョン受像機100が備える(又は増設された)信号処理部の構成例を示した図である。本例の場合には、処理部内での信号処理を制御するコントローラ201と、そのコントローラ201の制御で実際の信号処理を行う信号処理回路202と、インターフェース部203と、送受信処理回路204とで構成されている。インターフェース部203は、コントローラ201及び信号処理回路202と、送受信処理回路204との間のデータ伝送のインターフェース処理を行う回路であり、送受信処理回路204で無線信号に送信処理及び受信処理を行う。この信号処理部が、有線の信号線を介して入力又は出力が行われる場合の入力処理及び出力処理についても、インターフェース部203が実行する。
コントローラ201は、機能IDとIDテーブルを記憶している。機能IDは、信号処理回路202がどのような機能を有するかを識別するためのユニークなID(Identification)であり、IDテーブルには、機能IDに対して、後述するような処理情報が対応付けられている。
信号処理回路202としては、例えば、図12に示した映像処理部153に適用した場合には、コンポジット信号の画像信号を、コンポーネント信号の画像信号に変換する機能と、コンポーネント信号の、標準解像度の画像信号(以下、適宜、SD(Standard Definition) 画像信号という)を、高解像度の画像信号(以下、適宜、HD(High Definition) 画像信号という)に変換する機能などが想定される。但し、信号処理回路202は、コントローラ201の制御にしたがい、その機能を変化させることが可能である。
また、テレビジョン受像機100のベイ4に増設された機器としての信号処理部の場合には、図16に示した構成のものも存在する。この図16に示した信号処理部は、例えば図12に示したテレビジョン受像機内の映像処理部160として機能させた例である。
その構成について説明すると、図16に示すように、処理部内での信号処理を制御するコントローラ211と、そのコントローラ211の制御で実際の信号処理を行う信号処理回路212と、その信号処理回路212に信号を供給する特有ブロック213と、インターフェース部214と、送受信処理回路215とで構成されている。インターフェース部214は、コントローラ211及び信号処理回路212と、送受信処理回路215との間のデータ伝送のインターフェース処理を行う回路であり、送受信処理回路215で無線信号に送信処理及び受信処理を行う。この信号処理部が、有線の信号線を介して入力又は出力が行われる場合の入力処理及び出力処理についても、インターフェース部214が実行する。
コントローラ211は、機能IDとIDテーブルを記憶している。機能IDは、信号処理回路212及び特有ブロック213がどのような機能を有するかを識別するためのユニークなID(Identification)であり、IDテーブルには、機能IDに対して、後述するような処理情報が対応付けられている。
特有ブロック213は、この信号処理部を構成する機器に特有のブロックで、例えば、DVDプレーヤとして構成された電子機器である場合には、特有ブロック213は、図示せぬDVDにレーザ光を照射し、その反射光を受光して光電変換する光ピックアップ等で構成される。また、ディジタルVTRである場合には、特有ブロック213は、ビデオテープを駆動する駆動機構や、ビデオテープに対して、信号の記録/再生を行う磁気ヘッド等で構成される。
このように特有ブロック213としてDVDプレーヤ又はディジタルVTRとして構成される場合には、信号処理回路212は、MPEG符号化された信号を、MPEG復号する機能を有する。さらに、信号処理回路212は、例えば、空間解像度向上処理を行う機能も有しているものとする。
図15,図16に示した信号処理部の場合には、信号処理部の外部と無線通信を行う構成としたが、信号処理部の内部でのデータ伝送についても無線通信を行うように構成しても良い。これは、例えば図11に示したように、1つの信号処理部を構成する1枚の回路基板81内で、それぞれが通信処理ブロックを内蔵した複数のチップ部品83を設けて、そのチップ部品間でのデータ伝送についても、無線で行う場合に相当するが、受像機が最初から備わる信号処理部の内部や、増設された電子機器内で同様のことを行っても良い。
例えば、図15に示した信号処理部の内部のデータ伝送を無線化すると、例えば図17に示した構成となる。即ち、処理部内での信号処理を制御するコントローラ221と、そのコントローラ221の制御で実際の信号処理を行う信号処理回路222と、これらのコントローラ221及び信号処理回路222と外部とのデータ伝送処理を制御する外部通信インターフェース部223とで構成されて、それぞれの回路221,222,223は、無線通信回路及びアンテナが内蔵されている。
また、例えば図16に示した信号処理部の内部のデータ伝送を無線化すると、例えば図18に示した構成となる。即ち、即ち、処理部内での信号処理を制御するコントローラ231と、そのコントローラ231の制御で実際の信号処理を行う信号処理回路232及び特有ブロック233と、これらのコントローラ221,信号処理回路232,特有ブロック233と外部とのデータ伝送処理を制御する外部通信インターフェース部234とで構成されて、それぞれの回路231,232,233,234は、無線通信回路及びアンテナが内蔵されている。
次に、テレビジョン受像機100が備える(又は増設された)信号処理部の間、又は信号処理部の内部で、無線通信によりデータ伝送が行われる例について説明する。ここでは、ブルートゥース(Bluetooth:商標)と称される無線通信方式を適用した例について述べる。なお、以下の説明では、無線通信を行う1つのユニットを、単に機器又は端末と述べるが、本例の場合には、上述したような無線通信部(回路)を備えた増設される機器や基板、或いは機器内部の無線通信部を備えた回路のそれぞれが、この無線通信を行う機器又は端末に相当するものである。
図19は、この方式で無線通信を行う上で必要なプロトコルスタックを示した図である。システム全体のプロトコルは、プロトコルの主要部分となるコアプロトコルと、アプリケーションなサービスをつかさどるアプリケーションソフトと、コアプロトコルとアプリケーションとの間で通信プロトコルを整合させるための適合プロトコル群の3つに分けられる。
プロトコルは、5つのプロトコルから構成される。下位層から順に物理層、ベースバンド層、実データ処理層、論理リンク管理層で構成される。
適合プロトコル群は、既存の各種アプリケーションソフトが利用できるように、コアプロトコルをアプリケーションソフトに適合させることが行われる。この適合プロトコル群には、例えばTCP/IPプロトコル、シリアルポートをエミュレーションするRFCOMMプロトコル、ユーザが操作する機器(HID:Human Interface Device)のドライバなどがある。
物理層としては、所定の周波数帯(例えば2.4GHz)を用いた周波数ホッピング型のスペクトル拡散方式が採用されている。送信電力としては、最大でも100mW程度に制限されて、約100m程度までの短距離での無線伝送を想定している。また、この物理層にはリンク層からの制御により、最小−30dBmまで送信電力を低減させることができるようにしてある。
ベースバンド層は、物理層に対して、実際の送受信データパケットをインターフェースするプロトコルとして定義されている。この層では、上位層から受け渡されるデータを送受信するための通信リンクを提供する。このとき、周波数ホッピングの管理や時間軸スロットの管理なども行われる。さらに、パケットの再送や誤り訂正と検出の処理も、このベースバンド層が管理する。
リンク管理層は、通信リンク上で、送受信パケットをインターフェースするプロトコルの1つであり、ベースバンド層に対して通信リンクの設定や、そのリンクに関する様々な通信パラメータの設定を指定する。それらは、制御パケットとしてリンク管理層に定義され、必要に応じて対向端末のリンク管理層と通信を行う。また、この層は上位のアプリケーションから必要に応じて直接制御を受ける。
音声層では、リンク管理層がデータを送信できる通信リンクを設定した後に、音声データの受け渡しが行われる。ここでの音声データとは、主として電話で通話を行うための音声データであり、無線電話などで通信を行うときに、データ伝送の遅延を最小限に抑えるために、比較的下位の層に専用の処理層を設けてある。
論理リンク管理層は、リンク管理層及びベースバンド層にインターフェースするプロトコルで、論理チャンネルを管理する。なお、音声層が扱う音声データ以外の伝送データについては、上位のアプリケーションから倫理リンク層に提供されるが、そこでやりとりされる実際のデータは、ベースバンド層で送受信されるデータパケットのサイズやタイミングを意識しないで受け渡しされる。そのため、論理リンク管理層は、上位アプリケーションのデータを論理チャンネルとして管理し、データ分割やデータの再構成の処理を行う。
図20は、2台の機器間で無線通信が行われるときに、各層での処理を示したものであり、物理層では物理的な無線通信回線のリンクが設定され、ベースバンド層ではその設定されたリンクで、パケットの送受信が行われる。リンク管理層では、通信リンク管理チャンネルで制御パケットの送受信が行われる。論理リンク管理層では、論理チャンネルでユーザデータのパケットの送受信が行われる。このユーザデータが、実際に伝送したいストリームデータやコマンドなどに相当する。
次に、この方式で無線通信を行う際の物理的な通信周波数の設定処理について説明する。図21は、この方式で使用される周波数の例を示した図である。例えば2.4GHz帯を使用する場合には、図21に示すように2402MHzから2480MHzまで1MHz間隔で79の通信周波数を用意する。送信されるパケットのそれぞれは、この79ある通信周波数の内の1の通信スペクトルを占有する。そして、この使用される通信スペクトルが、625μ秒毎にランダムに変化(ホッピング)する。
図22は、この通信周波数がホッピングする例を示したものであり、ある特定のタイミングt0から625μ秒毎にランダムに送信周波数が変化している。この625μ秒毎に通信周波数が変化することで、1秒間で約1600回ランダムにホッピングすることになり、結果的に図21に示した帯域内で拡散されて伝送されることになり、スペクトル拡散が行われていることになる。
なお、この通信方式の場合には、パケットの1単位は625μ秒間であるが、この1単位のパケットを複数連続して使用して送信することもできる。例えば2台の機器間で双方向に伝送を行うとき、両方向の通信が同じパケット数を使用する必要はなく、一方の方向の通信だけが複数パケット使用する場合もある。
図23に示すように伝送されるパケットが全て625μ秒のパケットである場合には、図21に示したように625μ秒毎に周波数ホッピングが行われる。これに対して、例えば図24に示すように、3パケット連続して使用される場合や、5パケット連続して使用される場合には、そのスロットが連続している間は送信周波数が固定される。
2台の機器間での通信状態を図25に示すと、無線伝送を行う一方の機器をマスタとし、他方の機器をスレーブとしたとき、マスタからスレーブに、1スロット(625μ秒)の期間にスロット構成のデータを伝送し(図25A)、次の1スロットの期間に、スレーブからマスタに、スロット構成のデータを伝送する(図25B)。以下その交互伝送を、伝送が続く限り繰り返す。但し、無線伝送する周波数は、上述したように1スロット毎に周波数f(k),f(k+1),f(k+2)…と変化させる。
図26は、複数の機器で構成されるネットワーク構成例を示した図である。この通信方式では、1対1の無線伝送だけでなく、多数の機器でネットワークを組むことができるようにしてある。即ち、2台の機器間で無線伝送を行う場合には、図26Aに示すように、一方の機器がマスタとなり、他方の機器がスレーブとなり、マスタMA11の制御で、マスタMA11とスレーブSL11との間で双方向の無線伝送が実行される。これに対して、図26Bに示すように、例えば1台のマスタMA21により制御される3台のスレーブSL21,SL22,SL23を用意して、この4台の機器間で無線伝送を行うようにネットワークを構成させても良い。また、図26Cに示すように、3台のマスタMA31,MA32,MA33と、各マスタに個別に制御されるスレーブSL31,SL32,SL33,SL34,SL35,SL36を用意して、3つのネットワークを構成させた上で、その3つのネットワークを接続させて、ネットワーク構成を拡大させることもできる。いずれの場合でも、レスーブ間で直接通信を行うことはできず、必ずマスタを経由した通信が行われる。
なお、1つのマスタと、そのマスタと直接通信を行うスレーブで構成される1つの無線ネットワークを、ピコネットと称する。複数のマスタを有するネットワーク群(即ち複数のピコネットで構成されるネットワーク群)を、キャスターネットと称する。
次に、本例の方式で機器間で通信を行うときのリンクの種類について説明する。本例の方式では、SCO(Synchronous Connection-Oriented )リンクと、ACL(Asynchronous Connection-Less)リンクの2種類の通信リンクがあり、アプリケーションの用途によって使い分けができるようになっている。
SCOリンクは、マスタと特定スレーブの間で1対1で通信を行う接続タイプであり、いわゆる回線交換型のリンクである。このリンクは、主に音声などのリアルタイム性が要求されるアプリケーションに使用される。このSCOリンクは、ピコネット内の通信リンクにおいて一定間隔で予め通信スロットを確保しておき、途中に他のデータの伝送があっても、SCOリンクのデータ通信が優先される。即ち、例えば図27A,Bに示すように、マスタとスレーブとの間で、SCO通信スロットが一定間隔で相互に伝送される。
このSCOリンクは、1つのマスタに対して、同時に最大で3つのSCOリンクをサポートすることができる。この場合、1つのスレーブで3つのSCOリンクをサポートする場合と、異なる3つのスレーブに対してそれぞれ1つのSCOリンクをサポートする場合とがある。なお、SCOリンクは再送信機能を有してなく、SCOリンクで伝送されるパケットには、誤り訂正符号は付加されてない。
ACLリンクは、いわゆるパケット交換型の接続タイプであり、マスタと複数のスレーブの間で、1対多の通信が可能である。ピコネット内のどのスレーブとも通信できる代わりに、データ量やスレーブの数によって個々のスレーブの実効通信速度が変化する場合がある。SCOリンクとACLリンクは、混在させて使用することもできる。
ACLリンクでは、1つのマスタが同時に通信できるスレーブの数は、最大で7つまでになる。但し、1つのピコネット内で設定できるACLリンクは各スレーブに対して1つのみで、1つのスレーブが一度に複数のACLリンクを設定することはできない。1つのスレーブで複数のアプリケーションを動作させるためには、上位のアプリケーションをプロトコル多重化させることが必要である。特に指定がない限り、マスタとスレーブとの通信には、シングルスロットのACLパケットが用いられる。スレーブがマルチスロットのACLパケットを送信するためには、予めマスタからの許可が必要になる。マスタは、スレーブからのマルチスロットのACLパケットの送信要求を拒否できるが、スレーブはマスタからの送信要求を必ず受け入れなければならない。
マスタは、スレーブに対してマルチスロットの上限値のみを通知し、マルチスロットのACLパケットを送信するかどうかはスレーブの判断に任される。一方、マスタから送信されるACLパケットがシングルスロットかマルチスロットであるかは、全てマスタの判断に依存するため、スレーブは全てのマルチスロットパケットの受信を常に準備しておく必要がある。
ACLパケットでは、シングルスロット,マルチスロットの定義とは別に、大別して次の3つのパケット通信方法が提供される。1つ目は非同期通信方式(Asynchronous transfer )であり、2つ目はアイソクロナス通信方式(Isochronous transfer)であり、3つ目は同報通信方式(Broadcast transfer)である。
非同期通信方式は、通常のパケットの送受信を行うための通信方式である。データの伝送速度は、ピコネット内に存在するスレーブのトラヒック量や通信回線品質の劣化によるパケット再送などによって変化する。
図28は、同一ピコネット内の3つのスレーブ(スレーブ1,2,3)が非同期通信方式で通信をする場合の例である。図28Aに示すように、マスタから各スレーブ1,2,3に対して順にACLパケットが送信され、そのACLパケットを受信したスレーブから、図28B,C,Dに示すように、マスタに受信確認のパケットが返送されている。
なお、映像データやオーディオデータなどのストリームデータをACLパケットの非同期通信方式で伝送する場合もある。このようにストリームデータを非同期通信方式で伝送させる場合には、各ACLパケットにはタイムスタンプを付加させて、受信側でストリームデータの連続性を確保できるようにする。
アイソクロナス通信方式は、予め決められた時間スロットの期間内に、必ずマスタからスレーブ宛にパケットが送信される方式である。この方式では、伝送されるデータの最低限の遅延を確保することができる。アイソクロナス通信方式の場合には、スロット間隔は、最大ポーリング時間を、アイソクロナス通信方式での通信を開始させる前に、マスタとスレーブとの間で合意する必要がある。
マスタはスレーブに対して強制的に最大ポーリング間隔を指定することができ、またスレーブからのアイソクロナス通信方式の設定要求を拒否することができる。しかし、スレーブからはマスタに対して、最大ポーリング間隔の指定はできなく、アイソクロナス通信の設定要求もできない。
図29は、アイソクロナス通信方式でマスタとスレーブとの間で通信を行う場合の例である。図29Aに示すように、最大ポーリング間隔以内で、マスタからACLパケットをスレーブに送信し、そのACLパケットを受信したスレーブが、受信した直後に、図29Bに示すように、受信確認のパケットをマスタに返送するようにしてある。
同報通信方式は、パケットヘッダ中のスレーブ識別子をゼロとすることで設定される。これにより、マスタから全てのスレーブに対して同報通信パケットを送信することができる。同一のパケットを受信したスレーブでは、それに対する受信確認のパケットを送信しない。スレーブが受信確認を行わない代わりに、マスタは同報通信パケットを複数回続けて送信する。この複数回送信する回数は、同報通信を行う前にマスタは全てのスレーブに対して通知する必要がある。
図30は、同報通信方式でピコネット内の全てのスレーブに通信を行う場合の例である。図30Aはマスタからの送信パケットを示し、図30B,C,Dは3台のスレーブ1,2,3での受信状況を示したものである。この図30において、スレーブでのパケットの受信時に、×印を付与した箇所が、そのときのスレーブでのパケットを受信できなかったときの例を示してあり、NBC回繰り返し送信されることで、確実に全てのスレーブに同報できるようにしてある。
図31は、SCOリンクとACLリンクとを併用して使用する通信例を示した図である。図31Aはマスタからの送信パケットを示し、図31B,C,Dは3台のスレーブ1,2,3からの送信パケットを示したものである。この例では、SCOリンクでのSCOパケットが、マスタとスレーブ1との間で一定周期で送信されている状況で、マスタから3台のスレーブ1,2,3に随時ACLパケットが送信されている。同報通信用のパケットについても、所定回繰り返し送信されている。この同報通信用のパケットが繰り返し送信されている間に、SCOパケットが送信されるタイミングになると、SCOパケットが送信される。
ここで、アイソクロナス通信方式と同報通信方式で必要な設定パラメータをまとめると、次の表1に示すようになる。
次に、マスタ及びスレーブが内部にクロックについて説明する。この通信方式では、各機器が内部に持つクロックを使用して、周波数ホッピングパターンなどが設定されるようにしてある。このマスタ及びスレーブが持つクロックは、図32に示すように、例えば0〜27までの28ビットのカウンタのカウント値で設定される。このカウンタの1刻みは312.5μ秒であり、この312.5μ秒が呼び出しと問い合わせの処理の最小時間単位となっている。このように312.5μ秒毎に値が1つずつカウントアップする28ビットのカウンタは、1周期が約23時間となり、周波数ホッピングパターンのランダム性を高めている。
0ビット目のクロック値で設定される312.5μ秒の周期は、マスタが呼び出しと問い合わせを行う際の送信パケットの時間周期である。1ビット目のクロック値で設定される625μ秒の周期は、通信周波数が変化するスロットの時間周期である。2ビット目のクロック値で設定される1.25m秒の周期は、マスタ又はスレーブの送受信時間周期である。また12ビット目のクロック値で設定される1.28秒の周期は、問い合わせと呼び出しにおいて、受信周波数を変化させる時間周期のクロックタイミングとなっている。
各スレーブは、マスタのクロックを参照して、マスタのクロックと一致するように、一定のオフセット値を自らのクロックに加算し、その加算されたクロックを通信に使用する。
マスタとスレーブで周波数ホッピングパターンを算出する際には、このクロックの他に、各端末に付与された48ビットのアドレスについてもパラメータとして使用される。48ビットのアドレスは、IEEE802仕様に準拠してアドレス方式で定義され、それぞれのブルートゥースの端末毎に個別に割当てられた絶対的なアドレスである。図33は、この48ビットのアドレス構成例を示した図であり、下位24ビットがLAP(Lower Address Part)、次の8ビットがUAP(Upper Address Part)、残りの16ビットがNAP(Non-significant Address Part の3つの要素から構成される。
ピコネット内同期における周波数ホッピングパターンの生成には、マスタのアドレスの内、LAP全体の24ビットと、UAPの下位4ビットの合計28ビットが使用される。これにより、それぞれのピコネットに対して、マスタのアドレスに基づいた周波数ホッピングパターンが与えられることになる。通信状態に移行する際には、スレーブにはマスタのアドレスが通知されるので、各スレーブでもマスタと同じ周波数ホッピングパターンを独自に算出できる。
図34は、通信周波数を算出する構成例を示した図である。マスタのアドレスの下位28ビットと、28ビットのクロックの下位27ビットを、通信周波数選択部8に供給して、チャンネル周波数ホッピングパターンである通信周波数が一義的に決まる構成としてある。但し、呼び出し周波数ホッピングパターンと問い合わせ周波数ホッピングパターンは、チャンネル周波数ホッピングパターンとは異なるパターンである。
次に、マスタとスレーブとの間で伝送されるデータ構成について説明する。図35は、パケットフォーマットを示した図である。パケットは、大きく分けて、アクセスコード,パケットヘッダ,ペイロードの3つの部分から構成される。ペイロードは、そのときに伝送するデータ量に応じて可変長に設定される。
図36は、アクセスコードの構成を示した図である。アクセスコードは、68ビット又は72ビットのデータで構成されて、送信パケットの宛先を示すものであり、送受信される全てのパケットに付加されるコードである。パケットの種類によっては、このアクセスコードだけの場合もある。
プリアンブルは、シンクワードのLSBに応じて、1と0のパターンを繰り返す固定4ビット長で構成される。トレーラは、シンクワードのMSBに応じて1と0を繰り返す4ビットで構成される。いずれも、アクセスコード全体の信号直流成分を除去するように機能する。48ビットのシンクワードは、48ビットのアドレスの内の24ビットのLAPを元にして生成される64ビットのデータである。このシンクワードがピコネット識別のために使用される。但し、マスタのアドレスやクロックが得られない場合での通信などで、問い合わせと呼び出しで使用されるパケットで、異なるシンクワードが使用される場合もある。
ここで、アクセスコード種別をまとめると、次の表2に示すようになる。
図37は、パケットヘッダの構成を示した図である。パケットヘッダは、ベースバンド層における通信リンクを制御するために必要なパラメータを含む部分である。
3ビットのAM ADDRは、ピコネット内で通信中のスレーブを特定するための識別フィールドで、マスタが各スレーブに割当てる値である。4ビットのTYPEは、パケット全体がどのようなパケットであるかを指定するパケットタイプ種別フィールドである。1ビットのFLOWは、ACLリンクで通信するパケットのフロー制御の管理に使用するフィールドである。
1ビットのARQNは、受信したパケットに誤りがあるかどうかをパケット送信側に通知するために用いる1ビットのフィールドである。ブルートゥース規格では、受信確認専用の応答パケットが用意されてなく、このARQNのフィールドを使用してパケットの送信元に対してパケットの受信確認を送る。このフィールドの値が1か0かによって、受信したパケットに誤りがなかったか、又は誤りがあったことを相手に通知する。受信パケットの誤りの有無は、受信パケットのパケットヘッダに付加されたヘッダ誤り検出符号とペイロードに付加された誤り検出符号で判断される。
1ビットのSENQは再送パケットが受信側で重複しないように管理するために用いるフィールドである。同一のパケットを再送するとき、1パケット送る毎に、値を1と0とで交互に反転させる。
8ビットのHECは、パケットヘッダの誤り訂正符号が配置されるフィールドである。この誤り訂正符号は、g(D)=D8+D7+D5+D2+D+1の生成多項式を用いて生成される。その生成に際して、誤り訂正符号生成用の8ビットのシフトレジスタに設定される初期値は、既に説明したブルートゥース用のアドレスの内のUAPの8ビットを設定する。ここで用いられるアドレスは、アクセスコードを生成する際のアドレスと同一になる。この誤り訂正符号を生成させる際の初期値をまとめると、次の表3に示すようになる。
通信中のピコネットを識別するためには、マスタのアドレスのLAPの24ビットに基づいて生成したチャンネルアクセスコード(CAC)を使用する。ピコネット内での通信の同期を図るには、周波数ホッピングパターンと時間スロットの同期が必要となるが、このとき、万一近くに同一のLAPを有する他のマスタが存在し、かつ周波数と時間スロットの同期がたまたま一致した場合であっても、パケットヘッダの誤り訂正符号であるHECを用いてそれを排除することができる。
ペイロードには、実際に端末間で送受信されるユーザデータまたは制御データが収められる。ユーザデータには、SCOリンクで送受信されるデータと、パケット交換型のACLリンクで送受信されるデータとがある。
図38は、ACLリンクのペイロードの構成を示した図である。ペイロードヘッダ、ペイロードボディ、誤り検出符号の3つの部分から構成され、ペイロード全体の長さは可変長である。一方、SCOリンクのペイロードは、予め通信スロットを周期的に確保しているので、データパケットの再送はなく、ペイロードボディのみの構成であり、ペイロードヘッダと誤り検出符号は付加されてない。
ペイロードヘッダは、ベースバンド層より上位層のデータを制御するために必要なパラメータを含んでいる部分であり、ACLリンクにだけ含まれるデータである。図39に、シングルスロットパケットのペイロードヘッダの構成を示し、図40に、マルチスロットパケットのペイロードヘッダの構成を示す。
ペイロードヘッダに含まれる2ビットのL_CHのデータは、ベースバンド層より上位層のデータが、どのようなデータであるかを指定する論理チャンネルを識別するフィールドである。SCOリンクとACLリンクは、ベースバンド層でのリンクであり、その制御はパケットヘッダに設定される情報によって行われる。L_CHは、ベースバンド層より上位層で定義される論理チャンネルを識別するもので、3つのユーザ論理チャンネルに対して、L_CHが次の表4に示すように定義される。
1ビットのFLOWは、ユーザ論理チャンネル上を送受信されるデータのフロー制御をするために用いる1ビットのデータである。FLOWは、ユーザ論理チャンネル毎に管理され、FLOW=0を設定してデータを返すことで、相手に一時的にデータの送信を中断させる。また、受信バッファが空になると、FLOW=1を設定してデータを返すことで、相手のデータの送信を再開させる。このFLOWフィールドの設定はリンク管理層が行うが、リアルタイム的なデータのフロー制御を保証するものではない。リアルタイムのデータのフロー制御は、すべてベースバンド層がパケットヘッダ中のFLOWフィールドを用いて管理する。制御パケット中のデータは、リンク管理層で全て処理されるため、論理リンク管理層へは渡されない。従って、制御パケットはこのFLOWによるフロー制御の影響は受けず、その値は必ず1に設定される。
5ビット又は9ビットのLENGTHは、ペイロードボディのデータ長をバイト単位で示すフィールドである。シングルスロットパケットの場合には5ビットであり、マルチスロットパケットの場合には9ビットのフィールドになる。
UNDEFINEDは、マルチスロットパケットのペイロードヘッダにのみ存在し、現状では未定義のフィールドであり、全て0に設定される。
ペイロードボディには、ペイロードヘッダのLENGTHで指定された長さのデータが入る。SCOリンク通信では、データパケットのペイロードがペイロードボディのみで構成されるので、LENGTHによるデータ長の指定はない。但し、DVパケットを用いる場合は、そのデータ部分のデータ長を示す。
CRCは、誤り検出符号を示す16ビットのフィールドであり、ペイロードヘッダ及びペイロードに誤りがあるかどうかを検出するための符号である。この誤り検出符号は、g(D)=D16+D12+D5+1の生成多項式を用いて生成される。その生成に際して、16ビットのシフトレジスタに設定される初期値は、既に説明したアドレスの内のUAPの8ビットに8ビットのゼロを加えた16ビットの値を設定する。ここで用いられるアドレスは、HECと同様に、アクセスコードを生成する際のアドレスと同一になる。
次に、パケット種別について説明する。パケットヘッダの説明で述べたように、TYPEフィールドはパケットタイプを指定する。この指定されるパケットタイプについて説明すると、SCOリンクとACLリンクで共通に使用される共通パケットと、SCOリンク又はACLリンクに固有のパケットがある。
まず共通パケットについて説明する。共通パケットには、NULLパケット、POLLパケット、FHSパケット、DM1パケット、IQパケット、IDパケットがある。
NULLパケットは、アクセスコードとパケットヘッダから構成されるパケットで、ペイロードを有しない。パケットの長さは固定で126ビットとなる。このパケットは、通信リンクの状態を送受信するためのパケットで、パケットの受信確認(ARQN)やフロー制御(FLOW)を管理する。このNULLパケットを受信したことに対するパケットの確認応答は必要ない。
POLLパケットは、NULLパケットと同様に、アクセスコードとパケットヘッダから構成されるパケットで、126ビットの固定長であり、通信リンクの状態を管理する。但し、このPOLLパケットの場合には、NULLパケットと違って、POLLパケットを受信したことに対して、送信するデータがなくても、パケットの確認を応答送信する必要がある。
FHSパケットは、ピコネット内同期を図るために重要な制御パケットであり、スマタとスレーブの間で同期を確立するための必須のパラメータであるクロックとアドレスを交換するときに送信される。図41はFHSパケットのペイロードの構成例を示した図である。FHSパケットのペイロードは、11のフィールドから構成され、この11のフィールドの144ビットに対する16ビットの誤り検出符号が付加されて、160ビットで構成される。FHSパケットを構成する11のフィールドについて以下説明する。
34ビットのパリティビットは、FHSパケットで設定されるアクセスコード中のシンクワードに対するパリティを含むフィールドである。24ビットのLAPは、FHSパケットを送信する端末のアドレスの下位24ビットである。LAPに続いた2ビットは未定義のフィールドであり、0に設定される。2ビットのSRは、呼び出しにおいて、マスタがスレーブに対してIDパケット列を送信する際の繰り返し回数、およびスレーブがマスタからのIDパケット列をスキャンする際のスキャン周期を指定する2ビットのフィールドである。
2ビットのSPは、問い合わせにおいて、スレーブがマスタからのIQパケットを受信して、FHSパケットをマスタに送信した後に、スレーブが必須呼び出しスキャンを行う時間を指定するフィールドである。8ビットのUAPは、FHSパケットを送信する端末のアドレスの上位8ビットである。16ビットのNAPは、FHSパケットを送信する端末のアドレスの内の、LAPとUAP以外の16ビットである。
24ビットのデバイスのクラスは、端末の種類を示すフィールドである。3ビットのAM ADDRは、マスタがスレーブを識別するための3ビットのフィールドである。呼び出しの処理の内、マスタがスレーブに対して送信するFHSパケットにおいて、ピコネット内で用いるスレーブ識別子を指定する。スレーブがマスタからのIQパケットの応答として送信するFHSパケットでは、AM ADDRは、意味がないので0に設定する必要がある。
26ビットのCLK27-2は、端末が有するクロックの内の上位26ビットを示すフィールドである。このクロックは、1.25μ秒のクロック精度を有し、FHSパケットを送信する際には、必ずそのときのクロックの値を設定する必要がある。3ビットのページスキャンモードは、FHSパケットを送信した端末がサポートするデフォルトの呼び出しスキャンのモードを指定するフィールドである。
次に、DM1パケットについて説明する。DM1パケットがSCOリンクで送受信される場合には、必ず制御パケットとして機能する。一方、ACLリンクで送受信される場合には、制御パケットとして機能する他に、データパケットを送受信するためにも使用される。
SCOリンクまたはACLリンクで共通パケットとして送信される場合には、リンク管理層の制御パケットとして定義される。ところが、ACLリンクでDM1パケットを送受信する場合には、パケットタイプを指定するフィールド(TYPE)を見ただけでは、ユーザパケットか制御パケットかどうかは判らない。そのため、ペイロードヘッダの論理チャンネル種別フィールドをL_CH=11に設定することで、DM1パケットはリンク管理層に対する制御パケットであることが指定される。データパケットの場合は、元のユーザデータのフラグメント化によってL_CH=01又はL_CH=10を設定します。
IQパケットは、問い合わせにおいてマスタがブロードキャストするパケットで、問い合わせアクセスコードのみから構成される。IDパケットは、呼び出しにおいてマスタが特定のスレーブを指定して送信するパケットで、呼び出しアクセスコードのみから構成される。IQパケットとIDパケットについては、パケットヘッダのタイプフィールドでは定義されないパケットである。
次に、SCOリンク上で送受信されるデータパケットであるSCOパケットについて説明する。SCOパケットは、HVIパケット、HV2パケット、HV3パケット、DVパケットの4種類から構成される。
HV1パケットのペイロードは、ペイロードボディのみから構成され、そこには10バイドのユーザデータが収められる。SCOパケットは基本的に再送されないので、この10バイトには誤り検出符号は含まれない。そして、データは1/3レートの誤り訂正符号化され、最終的に240ビットのペイロード長を有することになる。
HV2パケットのペイロードも、ペイロードボディのみから構成され、そこには20バイトのデータが及び収めされる。この20バイトには誤り検出符号は含まれない。そして、データは2/3レートの誤り訂正符号とされ、最終的に240ビットのペイロード長を有することになる。
HV3パケットのペイロードも、ペイロードボディのみから構成され、そこには30バイトのデータが及び収めされる。この30バイトには誤り検出符号は含まれない。そして、この30バイトには誤り検出符号化はされない。
DVパケットは、固定長10バイトの音声部分と、最大9バイトまで可変長のデータ部分から構成される。音声部分の10バイトには、誤り訂正符号は含まれないが、データ部分には1バイトのペイロードヘッダを膨れた最大10バイトの部分に対する2バイトの誤り検出符号が付加される。
ACLリンク上で送受信されるACLパケットには、DM1パケット、DH1パケット、DM3パケット、DH3パケット、DM5パケット、DH5パケット、AUX1パケットがある。DM1パケットのペイロードは、1バイトのペイロードヘッダと、最大17バイトまでの可変長のペイロードボディと、誤り検出符号から構成される。DH1パケットの構成は、DM1の場合と同じである。但し、ペイロードは誤り訂正符号化されない。従って、最大27バイトまでの可変長データを送受信することが可能になる。
DM3パケットのペイロードは、2バイトのペイロードヘッダと、最大121バイトまでの可変長ペイロードボディと、誤り訂正符号かから構成される。これらDM3パケットのペイロードは、2/3レートの誤り訂正符号とされる。DH3パケットの構成は、DM3パケットの構成と同じである。但し、ペイロードは誤り訂正符号化されない。従って、最大で183バイトまでの可変長データを送受信することが可能になる。DM5パケットのペイロードは、2バイトのペイロードヘッダ、最大224バイトまでの可変長ペイロードボディ、2バイトの誤り訂正符号で構成される。
DH5パケットの構成は、DM5パケットと同じである。但し、ペイロードは誤り訂正符号化されない。従って、最大339バイトまでの可変長データを送受信することが可能になる。AUXパケットは、2バイトの誤り検出符号を含まない場合のDH1パケットと同じである。つまり、AUX1パケットの再送はない。ペイロードボディは2バイト増加して、最大で29バイトまでの可変長データを送受信することができる。
次に、本例の方式での通信の遷移状態について説明する。この方式での遷移状態は、通信に係わる3段階のフェーズと、端末の消費電力に係わる低消費電力モードから構成される。通信に係わる3段階のフェーズとしては、待ち受けフェーズ、同期確立フェーズ、通信フェーズに分かれており、また低消費電力モードでは、パークモード、ホールドモード、スニフモードの3種類がある。図42は状態遷移例を示した図であり、矢印で示した状態への遷移がある。
待ち受けフェーズ(S91)は、1つの処理状態から構成され、いかなるパケットの送受信も行われてないフェーズである。端末の電源を入れた直後や、通信リンクを切断した場合には、端末は待ち受けフェーズにある。この待ち受けフェーズにおいては、マスタとスレーブに関する役割の違いはない。
同期確立フェーズには、問い合わせ(S92)と呼び出し(S93)の2種類から構成される。問い合わせとは、ピコネット内同期を確立するために行う第1段階の処理状態である。初めて通信を行おうとする端末は、待ち受けの後、必ず問い合わせに遷移する。呼び出しとは、ピコネット内同期を確立するために行う第2段階の処理状態で、基本的には問い合わせから状態遷移するが、問い合わせ状態でピコネット内同期確立の第1段階の処理が既に完了している場合には、待ち受けから直接呼び出しに遷移することもある。
問い合わせでは、マスタとスレーブでその役割が明確に異なる。この処理状態にあるマスタは、周囲にスレーブが存在しているかどうかに係わらず、連続してIQパケットをブロードキャストする。その周囲に問い合わせの処理状態にあるスレーブが存在する場合、IQパケットを受信するたびにマスタに対してスレーブはその属性を伝えるためにFHSパケットを送信する。このFHSパケットによって、マスタはスレーブのアドレスとクロックを知ることができる。
図43は、この問い合わせ状態にあるマスタとスレーブが行う処理を示した図である。まず、図43Aに示すように、中央のマスタがIQパケットを送信すると、図43Bに示すように、その周囲のスレーブが、FHSパケットをマスタに送信する。このように、問い合わせにあるマスタは、不特定多数のスレーブからFHSパケットを受信することになる。
ここで、複数のスレーブが同時に特定のIQパケットに対してFHSパケットを送信することが問題となる。同時に複数のFHSパケットが送信されるとき、パケットの衝突が発生して、マスタが送信されFHSパケットを判断できなくなってしまう。ブルートゥースでは、このような衝突を回避するためにFHSパケットの送信の際に、ランダム時間バックオフするようにしてある。つまり、スレーブは初めて受信したIQパケットに対しては、マスタにFHSパケットの送信を行わず、その後にランダム時間バックオフする間はIQパケットの受信を中断させる。その後、スレーブはIQパケットの受信を再開し、次にIQパケットを受信した直後にFHSパケットをマスタに送信する。スレーブは、FHSパケットを受信すると、再びIQパケットの受信をランダム時間バックオフしている間は、中断させる。以降は、この動作を繰り返す。
図44は、この問い合わせにおけるマスタ,スレーブでの処理の概要を示した図であり、図44Aはマスタでの送受信状態、図44Bはスレーブでの送受信状態を示してある。マスタはFHSパケットを誤りなく受信できたことをスレーブに通知しないため、問い合わせの状態にあるスレーブは、FHSパケットを送信したきりの状態になってしまう。しかし、同一のIQパケットを繰り返しある一定時間ブロードキャストするので、マスタは問い合わせ処理状態の各スレーブ毎に複数のFHSパケットを受信することになる。結局、ある一定時間問い合わせを継続することで、FHSパケットの送受信の確実性を高めている。
呼び出しの場合にも、マスタとスレーブとで、役割が異なっている。この処理状態では、問い合わせで送受信したFHSパケットの情報を元に、マスタは通信するスレーブを選択して、そのスレーブ宛にIDパケットを送信する。マスタは、IDパケットの受信を確認すると、そのスレーブに対してFHSパケットを送信する。これによって、スレーブはマスタのアドレスとクロックを知ることができる。
ここで送受信されるIDパケットとFHSパケットのアクセスコードには呼び出しアクセスコードを用いる。
図45は、呼び出しにあるマスタとスレーブが行う処理動作の概要を示している。図45Aに示すように、中心にあるマスタがIDパケットをスレーブに送信することで、スレーブが受信確認を通知する。また、図45Bに示すように、マスタがFHSパケットをスレーブに送信することで、スレーブが受信確認を通知する。
問い合わせにおける不特定多数のスレーブに対する処理と異なり、呼び出しでは特定のスレーブとマスタの間で処理が交わされる。1対1でパケットの送受信を行えることから、マスタとスレーブはその送受信を確認しながら処理が行える。
マスタからのIDパケットを受信したスレーブは、マスタに同一のIDパケットを送信して受信確認を通知する。次に、マスタはスレーブにFHSパケットを送信して、自分のアドレスとクロックをスレーブに通知する。スレーブは、このFHSパケットを誤りなく受信すると、IDパケットをマスタに送信して、その受信確認とする。この時点で、問い合わせでの処理と合わせて、ピコネット内同期に必要なアドレスとクロックの情報が、マスタ,スレーブの間で相互に交換されたことになる。
図46は、呼び出しにおけるマスタ,スレーブ間での一例の処理を示した図であり、図46Aはマスタでの送受信状態、図46Bはスレーブでの送受信状態を示してある。図42の状態遷移図に示した通信接続フェーズは、接続(S94)と、データ転送(S95)を有する。この通信接続フェーズでは、同期確立フェーズを経てマスタとスレーブがピコネット内で同期をしており、実際の通信を行うことが可能なフェーズである。接続の状態では、データパケットの送受信は行われない。このときに送受信されるのは、通信リンクを設定するための制御パケット、セキュリティ関連の制御パケット、低消費電力モードに関連する制御パケットなどに限定される。
一方、データ転送の状態では、データパケットの送受信が許容される。同期確立フェーズを経て、初めて接続に遷移した場合には、基本的にマスタとスレーブの間で接続認証と暗号化の処理を完了しなければ、データ転送へ移行することはできない。接続におけるマスタとスレーブの役割は、そこで管理される制御パケットの内容によって異なる。
データ転送におけるデータパケットの送受信に、マスタとスレーブおよび時間スロットの規則に従って行われる。また、データ転送による端末が通信を切断した場合、および端末内のコントローラに対してハード的なリセットがかかった場合には、端末はデータ転送から待ち受けに状態遷移する。
低消費電力モードとは、接続から遷移する端末の低消費電力状態を提供するモードを言う。この低消費電力モードには、パークモード(S96)、ホールドモード(S97)、スニフモード(S98)の3種類がある。パークモードは、スレーブ特有のモードであり、接続で確立したピコネット内同期を維持した低消費電力モードである。ホールドモードは、スマタ,スレーブのいずれも移行できる低消費電力モードであり、接続で確立したピコネット内同期を維持し、かつスレーブの場合にはマスタから与えられたスレーブ識別子を保持しているモードである。スニフモードは、スレーブ特有の低消費電力モードであり、ホールドモードの場合と同様に、スレーブは接続で確立したピコネット内同期をそのまま維持し、マスタから与えられたスレーブ識別子を保持しているモードである。
なお、この通信方式においては、ピコネット内でマスタと特定のスレーブとの間で、マスタ・スレーブ転換を行うことができるようにしてある。
また、通信接続フェーズの接続状態で実行されるセキュリティに関する処理としては、大別して認証と暗号化の2の処理がある。認証処理では、自分と特定の相手との間で接続を許可判断することである。暗号化処理は、自分が通信中のデータを第三者に盗聴されないように保護することを言う。
ブルートゥースのセキュリティは、リンクキーと言う概念で管理されている。リンクキーは、ある特定の2端末間それぞれにおいて、1対1のセキュリティを管理するパラメータのことである。このリンクキーは第三者には開示されてはならない。
このリンクキーとしては、初めて接続を試みる端末間で使用される初期化キーが使用され、過去に接続を行って、データベースにリンクキーがパラメータとして設定されている場合には、その設定されたリンクキーが使用される。初期化キーは、上位のアプリケーションからのPINコードと内部的に発生したデータを使用して生成される。
ここまで説明した近距離無線伝送方式を使用して、本例のテレビジョン受像機内での無線通信によるデータ伝送が行われる。なお、ここではブルートゥース方式と称される汎用の無線通信方式を例にして説明したが、その他の実用化又は提案されている各種無線通信方式を適用しても良いことは勿論である。また、上述した通信方式で現在実用化されているバージョンの転送レートで、映像データを伝送するためには、ある程度圧縮された映像データとする等の何らかの対処が必要であるが、伝送周波数帯域の高域化や、複数チャンネルの同時使用などで、実質的な転送レートを増大させることは技術的には可能であり、例えば高解像度の映像データをほぼリアルタイムで近距離無線伝送することは、技術的に可能である。
ここまで説明した無線通信方式は、汎用の無線通信方式であるが、このような汎用の無線通信方式を使用する代わりに、テレビジョン受像機などの機器内で無線通信を行うために開発された専用の近距離無線通信方式を採用しても良い。本例の如きテレビジョン受像機のような1つの筐体内(又は筐体とその近傍)でのごく短い距離での無線通信の場合には、周辺への妨害波の影響がない程度の非常に弱い送信電力を設定することができ、ここまで説明した無線通信方式と類似した(或いは全く別の)無線通信方式を使用して、複数の処理ブロック間で映像信号,オーディオ信号,制御データなどの無線通信を行える構成とすることは可能である。
例えば、IEEE802.11方式と称される規格の無線通信方式を適用して、複数の処理ブロック間で映像信号,オーディオ信号,制御データなどの無線通信を行うように構成しても良い。また、有線のバスラインを介したデータ伝送方式であるIEEE1394方式をワイヤレス化した、いわゆるワイヤレスIEEE1394方式を適用しても良い。このワイヤレスIEEE1394方式を適用した場合には、一部のデータ伝送については、有線のバスラインを使用したIEEE1394方式のデータ伝送を適用して、無線伝送と有線伝送を組み合わせるようにしても良い。また、これらの汎用の無線通信方式で規格化された処理の内の一部だけを適用するようにしても良い。例えば、限られた機器内での無線伝送であるので、セキュリティに関連した処理などの一部の処理を省略するようにしても良い。また、周波数ホッピングなどの、主として移動体通信を考慮して採用された処理を省略するようにして、伝送周波数を固定するようにしても良い。
次に、このような無線通信方式を適用して、テレビジョン受像機内又はその受像機と周囲の機器との間で無線通信を行って、信号処理を行う例について説明する。
図47は、本例のテレビジョン受像機内での無線通信に関する設定の処理例を示したフローチャートである。本例の場合には、テレビジョン受像機内のコントローラ171が備える無線通信部が、無線通信を行う上でのマスタとなって、受像機内の他の無線通信部との無線ネットワークを構成させて、データ伝送に必要な無線通信を行うようにしてある。このとき、既に図26のCで説明したように、1台の受像機内で複数の無線ネットワークを構成させる必要がある場合には、受像機内のさらに別の処理部が備える無線通信部をマスタとしても良い。図47のフローチャートは、コントローラ171の制御による無線通信設定処理例を示した図である。
まず、コントローラ171は、ステップS11において、ベイ4に収納された機器や回路基板の認識処理を行う。この認識処理としては、例えば各ベイ4に取付けられた機器検出用のスイッチが設けてある場合には、そのスイッチの状態から検出する。また、ベイ4に装着された機器や回路基板への電源の供給状態から、取付けられた機器を検出しても良い。なお、以下の説明で収納された機器とのべた場合、その機器には、図9,図11に示した如き回路基板も含むものとする。
そして、これらの状態検出から、ベイ4に機器が装着されているか否か判断し(ステップS12)、装着されてない場合には、ステップS13に移って、この受像機に予め設定された通常の信号処理をコントローラ171が実行させる。
そして、ステップS12でいずれかの機器がベイ4に装着されていると判断したときには、その装着された機器を含む受像機近傍での無線ネットワークを、コントローラ171の制御で確立させる(ステップS14)。無線通信ネットワークが確立したときには、その確立したネットワークを使用した無線通信で、装着された機器の情報を取得する(ステップS15)。この機器情報の取得で、収納された機器又は回路基板が有する機能をコントローラ171が判断し、この受像機に装着される適正な機能を有する機器が装着されたか否か判断する(ステップS16)。ここで、受像機に装着されることが適正でない機器である場合には、その機器は使用しないで、ステップS13に移って、この受像機に予め設定された通常の信号処理をコントローラ171が実行させる。
ステップS16でのコントローラ171の判断で、適正な機能を有する機器が装着されていると判断した場合には、その装着された機器(又は回路基板)と受像機が元々から備える信号処理部とで、映像信号などの処理分担を決めて、その決めた処理分担に基づいて、データの伝送経路を設定し、その設定した伝送経路でデータ伝送が行えるようにする(ステップS17)。ここで、本例の場合には、伝送経路が無線通信による無線伝送路を使用するようにしてあり、該当する区間でのデータ伝送が行えるように、ステップS14で確立させた無線ネットワークを使用した無線伝送路を設定する。
このように無線伝送路を設定することで、テレビジョン受像機としての機能が変更され(ステップS18)、その変更された機能による映像信号やオーディオ信号などのテレビジョン受像機として必要な信号処理が実行されるようになる(ステップS19)。
この図47のフローチャートの場合には、ベイに装着された機器や回路基板の認識を、認識用のスイッチの状態や、電源供給状態などから判断するようにしたが、無線通信でベイに装着された機器や回路基板を認識するようにしても良い。図48のフローチャートは、この無線通信で、受像機のベイに装着された機器や回路基板を認識する場合の例である。
この例では、ステップS21において、受像機の電源を投入されたことを、コントローラ171が検出した場合に処理を行うようにしてある。電源投入は、例えば、操作キー172の中の電源キーの操作や、リモートコントロール装置193からの電源投入指令の伝送により実行される。
コントローラ171が電源投入を検出すると、まずコントローラ171がマスタとなって、受像機の近傍での無線通信ネットワークを確立させる(ステップS22)。この無線通信ネットワークの確立で、無線ネットワーク内の機器構成が、前回電源投入させた際の構成と変化しているか否か判断する(ステップS23)。この判断で、無線ネットワークの機器構成に変化がないと判断したとき、コントローラ171に既に記憶された受像機の機能(即ち前回電源投入時に設定させた機能)を設定させて(ステップS24)、その機能で受像機の信号処理を実行させる(ステップS25)。
そして、ステップS23で、無線ネットワークの機器構成に変化があると判断した場合には、無線ネットワーク内の各機器の情報(又は変化した機器の情報)を取得する処理を行う(ステップS26)。この機器情報の取得で、収納された機器又は回路基板が有する機能をコントローラ171が判断し、この受像機に装着される適正な機能を有する機器が装着されたか否か判断する(ステップS27)。ここで、受像機に装着されることが適正でない機器である場合には、その機器は使用しないで、ステップS24に移って、コントローラ171に既に記憶された受像機の機能を設定させて(ステップS24)、その機能で受像機の信号処理を実行させる(ステップS25)。
ステップS27でのコントローラ171の判断で、適正な機能を有する機器が装着されていると判断した場合には、その新たに装着された機器(又は回路基板)と受像機が元々から備える信号処理部とで、映像信号などの処理分担を決めて、その決めた処理分担に基づいて、データの伝送経路を設定し、その設定した伝送経路でデータ伝送が行えるようにする(ステップS28)。ここで、本例の場合には、伝送経路が無線通信による無線伝送路を使用するようにしてあり、該当する区間でのデータ伝送が行えるように、ステップS22で確立させた無線ネットワークを使用した無線伝送路を設定する。
このように無線伝送路を設定することで、テレビジョン受像機としての機能が変更され(ステップS29)、その変更された機能による映像信号やオーディオ信号などのテレビジョン受像機として必要な信号処理が実行されるようになる(ステップS30)。
このように、無線ネットワークを確立させて、そのネットワーク内の機器構成などを無線通信で確認して、処理分担や伝送路を設定させることで、コントローラ171は、無線による制御だけで全ての処理が可能になり、簡単かつ確実に、ベイ4に収納された機器や基板を使用した処理が実行できるようになる。
次に、ベイ4に収納された機器や回路基板を認識して、その認識した機器又は基板で信号処理を順に実行する場合の例を、図49のフローチャートを参照して説明する。
この図49の例は、装着された複数の回路基板を認識して、それぞれの回路基板で信号処理を順次実行させる場合の例である。まず、コントローラ171は、装着された基板の機器IDを認識し(ステップS31)、さらにその基板に対して機能IDの伝送を要求して取得し(ステップS32)、装着された基板に対するコントロール情報を取得する(ステップS33)。そして、取得した情報に基づいて、回路基板が装着されたベイへの信号の無線通信による出力許可を行い(ステップS34)、その出力させた信号の処理が完了するまで待機する(ステップS35)。
その後、信号処理が終了したことを示す確認信号Ackが送信されたとき(ステップS36)、ベイに装着された別の基板への信号の出力許可を行い(ステップS37)、その出力させた信号の処理が完了するまで待機する(ステップS38)。さらに、その基板からの信号処理が終了したことを示す確認信号Ackが送信されたとき(ステップS39)、さらに別の基板で信号処理が必要か否かコントローラ171が判断し(ステップS40)、別の基板で信号処理が必要な場合に、ステップS37に戻って、その基板への出力許可を行う。そして、ステップS40で別の基板で信号処理が必要ないと判断したとき、この増設された基板を使用した処理を終了する。
この図49のフローチャートに示すような認識した基板への信号の出力と、その送った信号の処理を、実際にテレビジョン受像機内での受像時に実行することで、ベイに増設された機器や回路基板を使用して、信号処理が実行される。なお、この図49に示した処理については、例えば、図47又は図48のフローチャートに示したような処理でベイへの機器や基板の取付けを認識した場合に、テスト用の映像信号やオーディオ信号を送って、そのテスト用の信号を増設された基板などで処理させて、処理状態をコントローラ171などが確認するために行うようにしても良く、受像機として実際に受信した信号を処理する際には、確認信号などのやり取りは省略するようにしても良い。
実際の信号処理を、このように実行させる場合には、ステップS33でのコントロール情報として、例えば、無線ネットワーク内でどのような順序でデータを伝送させるかの情報が指示されるようになる。即ち、例えば図50に示すように、装着が判断された機器ID(又は機能ID)毎に、その装着された機器(基板)を含めて、どのような順序でデータを伝送させて処理させるかについて記憶されたテーブルが、コントローラ171に内蔵されたメモリの記憶データなどで用意される。そして、そのテーブルの記憶データに基づいたコントロール情報で、入力信号の処理順序が設定される。図50では、コントロール情報として、各無線通信部をノードとして示してあり、データ伝送がどのノードを経由して順に処理が行われるのかを示してある。
次に、ベイに増設された機器を使用して、実際に映像信号の処理を行う例について、図51のフローチャートを参照して説明する。この例では、ベイに増設された機器又は回路基板を使用して、受像機の映像信号処理機能を、変化させて、受像機内の映像信号処理部を単独で使用して映像信号処理を行った場合よりも、高品質の処理結果が得られるようにしたものである。増設された機器側の信号処理部は、例えば図12に示した受像機内の映像処理部160に相当し、受像機が元々持つ信号処理部は、例えば図12に示した受像機内の映像処理部153に相当する。なお、以下の説明では、標準解像度の画像(映像)信号を、SD(Standard Definition)画像信号と述べ、高解像度の画像(映像)信号を、HD(High Definition)画像信号と述べる。
以下、図51のフローチャートを参照して説明すると、ステップS51において、ベイに増設された機器内の特定の信号処理部で、入力した映像信号に対して、MPEG復号処理と歪み除去処理を一括で施し、その結果得られるコンポーネント信号のSD画像信号(歪みが除去されたもの)を、受像機内の信号処理部に無線伝送する。ここでの歪み除去処理では、例えばMPEG符号化に起因して生じるブロック歪み等の歪みが除去される。
復号された映像信号が無線伝送された信号処理部では、ステップS52において、そのSD画像信号を対象として空間解像度向上処理を行う。この空間解像度向上処理が行われることにより得られるコンポーネント信号のHD画像信号を、表示ドライバ158に供給して、CRT2に映像を表示させる。
次に、1つの信号処理部内での処理例として、映像信号(画像信号)に対する空間解像度向上処理について説明する。この空間解像度向上処理は、例えば、本件出願人が先に提案しているクラス分類適応処理によって実現することが可能である。
クラス分類適応処理は、クラス分類処理と適応処理とからなり、クラス分類処理によって、信号(データ)が、その性質に基づいてクラス分けされ、各クラスごとに適応処理が施される。
ここで、適応処理について、SD画像をHD画像に変換する空間解像度向上処理を行う場合を例に説明する。
この場合、適応処理では、SD画像を構成する画素(以下、適宜、SD画素という)と、所定のタップ係数との線形結合により、そのSD画像の空間解像度を向上させたHD画像の画素の予測値を求めることで、そのSD画像の解像度を向上させた画像が得られる。
具体的には、例えば、いま、あるHD画像を教師データとするとともに、そのHD画像の解像度を劣化させたSD画像を生徒データとして、HD画像を構成する画素(以下、適宜、HD画素という)の画素値yの予測値E[y]を、幾つかのSD画素(SD画像を構成する画素)の画素値x1 ,x2 ,・・の集合と、所定のタップ係数w1 ,w2 ,・・の線形結合により規定される線形1次結合モデルにより求めることを考える。この場合、予測値E[y]は、次式で表すことができる。
〔数1〕 E[y]=w1 x1 +w2 x2 +・・・
〔数1〕式を一般化するために、タップ係数wj の集合でなる行列W、生徒データxijの集合でなる行列X、および予測値E[yj ]の集合でなる行列Y’を以下の定義する。
〔数2〕式に示すように定義すると、次のような観測方程式が成立する。
〔数3〕XW=Y’
ここで、行列Xの成分xijは、i件目の生徒データの集合(i件目の教師データyi の予測に用いる生徒データの集合)の中のj番目の生徒データを意味し、行列Wの成分wj は、生徒データの集合の中のj番目の生徒データとの積が演算されるタップ係数を表す。また、yi は、i件目の教師データを表し、従って、E[yi ]は、i件目の教師データの予測値を表す。なお、〔数2〕式の左辺におけるyは、行列Yの成分yi のサフィックスiを省略したものであり、また、〔数2〕式の右辺におけるx1 ,x2 ,・・も、行列Xの成分xijのサフィックスiを省略したものである。
そして、この観測方程式に最小自乗法を適用して、HD画素の画素値yに近い予測値E[y]を求めることを考える。この場合、教師データとなるHD画素の真の画素値yの集合でなる行列Y、およびHD画素の画素値yに対する予測値E[y]の残差eの集合でなる行列Eを、定義すると、以下のようになる。
この〔数4〕式から、次のような残差方程式が成立する。
〔数5〕XW=Y+E
この場合、HD画素の画素値yに近い予測値E[y]を求めるためのタップ係数wj は、次の〔数6〕式で示される自乗誤差を最小にすることで求めることができる。
従って、上述の自乗誤差をタップ係数wj で微分したものが0になる場合、即ち、次式を満たすタップ係数wj が、HD画素の画素値yに近い予測値E[y]を求めるため最適値ということになる。
そこで、まず、〔数5〕式を、タップ係数wj で微分することにより、次式が成立する。
〔数7〕式および〔数8〕式より、次の〔数9〕式が得られる。
さらに、〔数5〕式の残差方程式における生徒データxij、タップ係数wj 、教師データyi 、および残差ei の関係を考慮すると、〔数9〕式から、次のような正規方程式を得ることができる。
なお、〔数10〕式に示した正規方程式は、行列(共分散行列)Aおよびベクトルvを、以下の〔数11〕式で定義する。
さらに、ベクトルWを、〔数2〕式で示したように定義すると、以下のように表すことができる。
〔数12〕AW=v
〔数10〕式における各正規方程式は、生徒データxijおよび教師データyiのセットを、ある程度の数だけ用意することで、求めるべきタップ係数wj の数Jと同じ数だけたてることができ、従って、〔数12〕式を、ベクトルWについて解くことで(但し、〔数12〕式を解くには、〔数12〕式における行列Aが正則である必要がある)、最適なタップ係数wj を求めることができる。なお、〔数12〕式を解くにあたっては、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを用いることが可能である。
以上のように、生徒データと教師データを用いて、生徒データとタップ係数から、教師データを予測するのに最適なタップ係数wj を求める学習をしておき、さらに、そのタップ係数wj を用い、〔数1〕式により、教師データyに近い予測値E[y]を求めるのが適応処理である。
なお、適応処理は、SD画像には含まれていないが、HD画像に含まれる成分が再現される点で、例えば、単なる補間処理とは異なる。即ち、適応処理では、〔数1〕式だけを見る限りは、いわゆる補間フィルタを用いての補間処理と同一に見えるが、その補間フィルタのタップ係数に相当するタップ係数wが、教師データと生徒データを用いての学習により求められるため、HD画像に含まれる成分を再現することができる。このことから、適応処理は、いわば画像の創造(解像度創造)作用がある処理ということができる。
また、ここでは、適応処理について、空間解像度を向上させる場合を例にして説明したが、適応処理によれば、教師データおよび生徒データを変えて学習を行うことにより得られる種々のタップ係数を用いることで、例えば、S/N(Signal to Noise Ratio) の向上や、ぼけの改善、その他の各種の処理を行うことが可能である。
即ち、例えば、S/Nの向上やぼけの改善を、適応処理によって行うには、S/Nの高い画像データを教師データとするとともに、その教師データのS/Nを低下させた画像(あるいは、ぼかした画像)を生徒データとして、タップ係数を求めればよい。
また、例えば、コンポジット/コンポーネント変換処理と空間解像度向上処理を、適応処理によって一括で施すには、コンポーネント信号のHD画像を教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させ、さらにコンポジット信号に変換した画像を生徒データとして、タップ係数を求めればよい。
また、例えば、コンポーネント信号の画像に対し、空間解像度向上処理を、適応処理によって施すには、コンポーネント信号のHD画像を教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させたSD画像を生徒データとして、タップ係数を求めればよい。
また、例えば、MPEG符号化された画像に対し、MPEG復号処理および空間解像度向上処理を、適応処理によって一括で施すには、コンポーネント信号のHD画像をMPEG符号化して復号したものを教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させ、さらにMPEG符号化した符号化データを生徒データとして、タップ係数を求めれば良い。
また、例えば、MPEG符号化された画像に対し、MPEG復号処理および空間解像度向上処理を、適応処理によって一括で施すには、コンポーネント信号の画像を教師データとするとともに、その教師データをMPEG符号化した符号化データを生徒データとして、タップ係数を求めれば良い。
次に、上述のようなクラス分類適応処理を行うクラス分類適応処理回路によって実現される、映像処理部の構成例を、図52を参照して説明する。この映像処理部は、例えば、図12に示した受像機内の、映像処理部160又は153の一部又は全部を使用して構成されるものであり、各ブロック間のデータ伝送を、無線通信で行うように構成した例である。但し、図52に示した構成は、各ブロック間での無線通信を最も高度に行うようにした例であり、特に無線通信でデータ伝送を行うと述べない場合でも、各ブロック間では図示のように無線通信でデータ伝送を行う構成としてある。ここで、各ブロック間のデータ伝送の内の一部で、ブロック間を直接的に接続された信号線を使用して伝送するように構成したり、或いは内部バスを使用して伝送するようにしても良い。或いは、後述するように、処理回路内の1つのブロックへの入力と出力だけを無線通信で行い、その他のブロック間のデータ伝送については、信号線などを使用して行うようにしても良い。
この回路において処理すべき入力データ(入力信号)は、無線通信によるデータ伝送でバッファ301に供給され、バッファ301は、そこに供給される入力データを一時記憶する。
予測タップ抽出回路302は、後述する積和演算回路306において求めようとする出力データを、順次、注目データとし、さらに、その注目データを予測するのに用いる入力データを、バッファ301から無線伝送させて、予測タップとする。
即ち、例えば、入力データがSD画像データであり、出力データが、そのSD画像の空間解像度を向上させたHD画像データである場合には、予測タップ抽出回路302は、例えば、注目データとしてのHD画素に対応する位置に対して、空間的または時間的に近い位置にあるSD画像のSD画素の幾つかを、予測タップとして抽出する。
また、例えば、入力データが、画像をMPEG符号化した符号化データであり、出力データが、その符号化データをMPEG復号した画像データである場合には、予測タップ抽出回路302は、例えば、注目データとしての画素を含むDCTブロック(MPEG符号化の際のDCT(Discrete Cosine Transform) 処理の単位となるブロック)を構成するDCT係数や、そのDCTブロックから空間的または時間的に近い位置にあるDCT係数等を、さらには、注目データとしての画素が、他のフレーム(またはフィールド)の画像を予測画像としてMPEG符号化されたものであるとき(例えば、PピクチャやBピクチャであるとき)には、その予測画像を構成する画素のDCT係数等を、予測タップとして抽出する。なお、その他、既に出力データとして出力された、予測画像となる画像の画素を、予測タップとすることも可能である。
予測タップ抽出回路302は、注目データについて、予測タップを得ると、その注目データについての予測タップを、積和演算回路306に供給する。
ここで、予測タップ抽出回路302には、機能制御部307から制御信号が無線通信で伝送されるようになっており、予測タップ抽出回路302は、機能制御部307からの制御信号にしたがって、予測タップを構成させる入力データ(さらには、出力データ)、即ち、予測タップの構造を決定する。
クラスタップ抽出回路303は、注目データを、幾つかのクラスのうちのいずれかに分類するためのクラス分類に用いる入力データを、バッファ301から抽出し、クラスタップとする。
ここで、クラスタップ抽出回路303にも、機能制御部307から制御信号が供給されるようになっており、クラスタップ抽出回路303も、予測タップ抽出回路302と同様に、機能制御部307から無線伝送される制御信号にしたがって、クラスタップを構成させる入力データ、即ち、クラスタップの構造を決定する。
なお、ここでは、説明を簡単にするために、例えば、予測タップ抽出回路302で得られる予測タップと、クラスタップ抽出回路303で得られるクラスタップとは、同一のタップ構造を有するものとする。但し、勿論、予測タップとクラスタップとは、独立のタップ構造を有するものとすることが可能である。
クラスタップ抽出回路303において得られる、注目データについてのクラスタップは、クラス分類回路304に供給される。クラス分類回路304は、クラスタップ抽出回路303からのクラスタップに基づき、注目データをクラス分類し、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを無線送信する。
ここで、クラス分類を行う方法としては、例えば、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)等を採用することができる。
ADRCを用いる方法では、クラスタップを構成する入力データが、ADRC処理され、その結果得られるADRCコードに従って、注目データのクラスが決定される。
なお、KビットADRCにおいては、例えば、クラスタップを構成する入力データの最大値MAXと最小値MINが検出され、DR=MAX-MINを、集合の局所的なダイナミックレンジとし、このダイナミックレンジDRに基づいて、クラスタップを構成する入力データがKビットに再量子化される。即ち、クラスタップを構成する入力データの中から、最小値MINが減算され、その減算値がDR/2Kで除算(量子化)される。そして、以上のようにして得られる、クラスタップを構成するKビットの各入力データを、所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。従って、クラスタップが、例えば、1ビットADRC処理された場合には、そのクラスタップを構成する各入力データは、最小値MINが減算された後に、最大値MAXと最小値MINとの平均値で除算され、これにより、各入力データが1ビットとされる(2値化される)。そして、その1ビットの入力データを所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。
なお、クラス分類回路304には、例えば、クラスタップを構成する入力データのレベル分布のパターンを、そのままクラスコードとして出力させることも可能であるが、この場合、クラスタップが、N個の入力データで構成され、各入力データに、Kビットが割り当てられているとすると、クラス分類回路304が出力するクラスコードの場合の数は、(2N)通りとなり、入力データのビット数Kに指数的に比例した膨大な数となる。
従って、クラス分類回路304においては、クラスタップの情報量を、上述のADRC処理や、あるいはベクトル量子化等によって圧縮してから、クラス分類を行うのが好ましい。
クラス分類回路304が出力するクラスコードは、係数記憶部305に、アドレスとして与えられる。
係数記憶部305は、学習処理が行われることにより得られるタップ係数を記憶しており、クラス分類回路304が出力するクラスコードに対応するアドレスに記憶されているタップ係数を、積和演算回路306に無線送信する。
なお、係数記憶部305には、後述するように、複数セットの教師データと生徒データを用いた学習を行うことにより得られる複数セットのタップ係数が記憶されている。係数記憶部305において、複数セットのタップ係数のうち、どのセットのタップ係数を用いるかは、機能制御部307から無線送信される制御信号にしたがって決定される。即ち、係数記憶部305には、機能制御部307から無線送信される制御信号を受信するようになっており、係数記憶部305は、その制御信号にしたがって、用いるタップ係数のセットを決定し、そのタップ係数のセットの中から、クラス分類回路304より無線伝送されるクラスコードに対応するものを、積和演算回路306に無線送信する。
積和演算回路306は、予測タップ抽出回路302から無線伝送される予測タップと、係数記憶部305から無線伝送されるタップ係数とを取得し、その予測タップとタップ係数とを用いて、〔数2〕式に示した線形予測演算(積和演算)を行い、その演算結果を、出力データとして、後段の映像処理部に無線送信する。
機能制御部307には、受像機のコントローラ171(図13)から制御信号が無線伝送されるようになっており、機能制御部307は、その制御信号にしたがって、予測タップ抽出回路302、クラスタップ抽出回路303、および係数記憶部305を、無線による制御信号の伝送で制御する。
図53は、図52の係数記憶部305に記憶させるタップ係数の学習処理を行う学習装置の構成例を示している。この図53の学習装置では、係数メモリ320への係数データの供給を、無線伝送で行い、また、制御回路321から各回路への制御信号の供給についても、無線伝送で行う例としてあるが、その他の信号の伝送を無線で行う構成としても良い。
教師データ生成回路311には、学習に用いられる学習用データが供給される。ここで、学習用データとしては、HD画像データ等の、品質の高いデータを用いることができる。
教師データ生成回路311は、学習用データから、学習の教師となる教師データを生成する。
即ち、例えば、学習用データがHD画像データである場合において、学習により求めようとするタップ係数が、SD画像をHD画像に変換するためのものであるときや、MPEG符号化データをHD画像に変換するためのものであるとき等には、教師データ生成回路311は、学習用データとしてのHD画像データを、そのまま教師データとして出力する。
また、例えば、学習用データがHD画像データである場合において、学習により求めようとするタップ係数が、S/Nの低いSD画像をS/Nの高いSD画像に変換するためのものであるときや、MPEG符号化データをSD画像に変換するためのものであるとき等には、教師データ生成回路311は、学習用データとしてのHD画像データから、その画素数を間引く等して、SD画像データを生成し、これを、教師データとして出力する。
教師データ生成回路311が出力する教師データは、教師データメモリ312に供給される。教師データメモリ312は、教師データ生成回路311からの教師データを記憶する。
生徒データ生成回路313は、教師データメモリ312に記憶された教師データから、学習の生徒となる生徒データを生成する。
即ち、例えば、学習により求めようとするタップ係数が、SD画像をHD画像に変換するためのものである場合には、教師データメモリ312には、上述のように、教師データとしてのHD画像が記憶されるが、この場合、生徒データ生成回路313は、教師データの画素数を間引く等して、SD画像データを生成し、これを、生徒データとして出力する。
また、例えば、学習により求めようとするタップ係数が、MPEG符号化データをHD画像に変換するためのものである場合には、教師データメモリ312には、上述のように、教師データとしてのHD画像が記憶されるが、この場合、生徒データ生成回路313は、教師データをMPEG符号化することにより符号化データを生成し、これを、生徒データとして出力する。
さらに、例えば、学習により求めようとするタップ係数が、S/Nの低いSD画像をS/Nの高いSD画像に変換するためのものである場合には、教師データメモリ312には、上述のように、教師データとしてのSD画像が記憶されるが、この場合、生徒データ生成回路313は、教師データにノイズを付加することにより、S/Nの低いSD画像データを生成し、これを、生徒データとして出力する。
また、例えば、学習により求めようとするタップ係数が、MPEG符号化データをSD画像に変換するためのものである場合には、教師データメモリ312には、上述のように、教師データとしてのSD画像が記憶されるが、この場合、生徒データ生成回路313は、教師データをMPEG符号化することにより符号化データを生成し、これを、生徒データとして出力する。
生徒データ生成回路313が出力する生徒データは、生徒データメモリ314に供給される。生徒データメモリ314は、生徒データ生成回路313から供給される生徒データを記憶する。
予測タップ抽出回路315は、教師データメモリ312に記憶された教師データを、順次、注目データとし、さらに、図22の予測タップ抽出回路302と同様に、その注目データを予測するのに用いる生徒データを、生徒データメモリ314から抽出し、予測タップとする。予測タップ抽出回路315で得られた予測タップは、正規方程式加算回路318に供給される。
クラスタップ抽出回路316は、図52のクラスタップ抽出回路303と同様に、注目データのクラス分類に用いる生徒データを、生徒データメモリ314から抽出し、クラスタップとして、クラス分類回路317に供給する。クラス分類回路317は、図52のクラス分類回路304と同様に、クラスタップ抽出回路316からのクラスタップを用いてクラス分類を行い、注目データのクラスを表すクラスコードを、正規方程式加算回路318に供給する。
正規方程式加算回路318は、教師データメモリ312から、注目データとなっている教師データを読み出し、予測タップ抽出回路315からの予測タップを構成する生徒データ、および注目データとしての教師データを対象とした足し込みを行う。
即ち、正規方程式加算回路318は、クラス分類回路317から供給されるクラスコードに対応するクラスごとに、予測タップ(生徒データ)を用い、〔数12〕式の行列Aにおける各コンポーネントとなっている、生徒データどうしの乗算(xinxim)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
さらに、正規方程式加算回路318は、やはり、クラス分類回路317から供給されるクラスコードに対応するクラスごとに、予測タップ(生徒データ)および注目画素(教師データ)を用い、〔数12〕式のベクトルvにおける各コンポーネントとなっている、生徒データと教師データの乗算(xinyi)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
正規方程式加算回路318は、以上の足し込みを、教師データメモリ312に記憶された教師データすべてを注目データとして行い、これにより、各クラスについて、〔数12〕式に示した正規方程式をたてる。
タップ係数決定回路319は、正規方程式加算回路318においてクラスごとに生成された正規方程式を解くことにより、クラスごとに、タップ係数を求め、係数テーブル記憶部320に無線伝送し、係数テーブル記憶部320の各クラスに対応するアドレスに記憶させる。
なお、学習用データとして用意するデータによっては、正規方程式加算回路318において、タップ係数を求めるのに必要な数の正規方程式が得られないクラスが生じる場合があり得るが、タップ係数決定回路319は、そのようなクラスについては、例えば、デフォルトのタップ係数を送信する。
係数テーブル記憶部320は、タップ係数決定回路319から無線伝送されるクラスごとのタップ係数を記憶する。
制御回路321は、教師データ生成回路311、生徒データ生成回路312、予測タップ抽出回路315、およびクラスタップ抽出回路316に対して、例えば無線で制御信号を送信して、それぞれの回路での処理を制御する。
即ち、図53の学習装置においては、どのような処理を行うタップ係数を学習するかを表す情報として、そのタップ係数を用いて行われる処理の内容を表す処理情報が、図示せぬ操作部が操作されることにより、制御回路321に設定されるようになっている。制御回路321は、操作部が操作されることにより設定される処理情報にしたがい、教師データ生成回路311、生徒データ生成回路312、予測タップ抽出回路315、およびクラスタップ抽出回路316を制御する。
これにより、教師データ生成回路311では、制御回路321の制御にしたがい、学習用データから教師データが生成される。生徒データ生成回路313でも、制御回路321の制御にしたがい、教師データから生徒データが生成される。さらに、予測タップ抽出回路315でも、制御回路321の制御にしたがい、予測タップのタップ構造が設定され、そのようなタップ構造の予測タップが生成される。クラスタップ抽出回路316でも、制御回路321の制御にしたがい、クラスタップのタップ構造が設定され、そのようなタップ構造のクラスタップが生成される。
次に、図54のフローチャートを参照して、図53の学習装置の処理(学習処理)について説明する。
まず最初に、ステップS61において、制御回路321は、設定された処理情報に基づいて、教師データ生成回路311、生徒データ生成回路312、予測タップ抽出回路315、およびクラスタップ抽出回路316を制御する。これにより、教師データ生成回路311では、学習用データから教師データの生成方法が設定され、生徒データ生成回路313では、教師データから生徒データの生成方法が設定される。さらに、予測タップ抽出回路315では予測タップのタップ構造が設定され、クラスタップ抽出回路316では、クラスタップのタップ構造が設定される。
そして、ステップS62に進み、教師データ生成回路311は、ステップS61で設定した生成方法にしたがい、そこに供給される学習用データから教師データを生成し、教師データメモリ312に供給して記憶させる。
その後、生徒データ生成回路313は、ステップS63において、ステップS21で設定した生成方法にしたがい、教師データメモリ312に記憶された教師データから生徒データを生成し、生徒データメモリ314に供給して記憶させる。
そして、ステップS64に進み、予測タップ抽出回路315が、教師データメモリ312に記憶された教師データのうち、まだ、注目データとされていないものを注目データとする。さらに、予測タップ抽出回路315は、生徒データメモリ314から生徒データを読み出すことにより、注目データについて、ステップS61で設定したタップ構造となる予測タップを生成し、正規方程式加算回路318に供給する。
また、ステップS64では、クラスタップ抽出回路316が、生徒データメモリ314から生徒データを読み出すことにより、注目データについて、ステップS61で設定したタップ構造となるクラスタップを生成し、クラス分類回路317に供給して、ステップS65に進む。
ステップS65では、クラス分類回路317が、クラスタップ抽出回路316からのクラスタップを用いてクラス分類を行い、注目データについてのクラスコードを求める。このクラスコードは、クラス分類回路317から正規方程式加算回路318に供給される。
正規方程式加算回路318は、ステップS66において、教師データメモリ312から、注目データとなっている教師データを読み出し、予測タップ抽出回路315から供給される予測タップを構成する生徒データ、および注目データとしての教師データを対象として、〔数12〕式の行列Aとベクトルvの、上述したような足し込みを行う。なお、この足し込みは、クラス分類回路317からのクラスコードに対応するクラスごとに行われる。
そして、ステップS67に進み、予測タップ抽出回路315は、教師データメモリ312に記憶された教師データのすべてを、注目データとして、足し込みを行ったかどうかを判定する。ステップS67において、教師データのすべてを、注目データとして、まだ足し込みを行っていないと判定された場合、ステップS64に戻り、予測タップ抽出回路315は、教師データのうち、まだ、注目データとしていないものを、新たに注目データとして、以下、同様の処理を繰り返す。
また、ステップS67において、教師データすべてを、注目データとして、足し込みを行ったと判定された場合、ステップS68に進み、タップ係数決定回路319は、正規方程式加算回路318においてステップS66の足し込みが行われることにより、各クラスごとに生成された正規方程式を解き、これにより、各クラスごとのタップ係数を求め、係数メモリ320の、各クラスに対応するアドレスに無線伝送して記憶させ、処理を終了する。
以上のようにして、係数メモリ320には、制御回路321に設定された処理情報が表す処理を行うための、各クラスごとのタップ係数が記憶される。
そして、以上のような学習装置による学習処理は、制御回路321に設定する処理情報を変えて行われ、各処理情報ごとのタップ係数のセットが求められる。
図52における係数記憶部305には、このようにして、複数の処理情報それぞれに対して求められた複数のタップ係数のセットが記憶されている。
即ち、図55は、図52の係数記憶部305の構成例を示している。
前段の回路であるクラス分類回路305の送信部305aから無線送信されるクラスコードは、機能制御部307からの制御信号により、係数記憶部305内のN個(Nは任意の整数)の係数メモリ3051〜305Nのうちのいずれか1つを選択して記憶される。そして、その選択された係数メモリ3051〜305Nのうちのいずれか1つからの出力を、タップ係数として、後段の回路である積和演算回路306の受信部306aに無線伝送する。
係数メモリ51〜305Nのそれぞれは、図53の学習装置で求められたタップ係数のセットを、処理情報ごとに記憶している。
以上のように構成される係数記憶部305では、機能制御部307から供給される制御信号にしたがって、N個の係数メモリ51〜305Nの中の1つの係数メモリを使用して、クラスコードを記憶させる。そして、その係数メモリのクラスコードに対応するアドレスに記憶されたタップ係数を読み出して、積和演算回路306(図52)に伝送する。
なお、処理情報ごとのタップ係数のセットを記憶する係数メモリ51〜305Nは、物理的に別々のメモリである必要はない。即ち、係数メモリ51〜305Nは、1つのメモリを切り替えして使用することにより実現すること等が可能である。
ここで、本実施の形態では、ベイ4への機器又は基板の増設などで、映像処理部における機能を、コンポジット/コンポーネント変換処理と空間解像度向上処理を一括で施す機能から、空間解像度向上処理のみを施す機能に変化することができ、このために、信号処理回路内の係数記憶部305には、少なくとも、次のような2セットのタップ係数が記憶されている。
即ち、例えば、受像機が元々から備える映像処理部(例えば図12の映像処理部153が有する係数記憶部305における、ある1つの係数メモリ305iには、コンポーネント信号のHD画像を教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させたSD画像をコンポーネント信号からコンポジット信号に変換したものを生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数のセットが記憶されている。さらに、係数記憶部305における、他の1つの係数メモリ305jには、コンポーネント信号のHD画像を教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させたSD画像を生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数のセットが記憶されている。
また、本実施の形態では、ベイ4への機器又は基板の増設などで、映像処理部における機能を、MPEG復号処理および空間解像度向上処理を一括で施す機能から、MPEG復号処理および歪み除去処理を一括で施す機能に変化することができ、係数記憶部305には、少なくとも、次のような2セットのタップ係数が記憶されている。
即ち、例えば、受像機のベイ4に増設された機器又は基板が有する映像処理部(例えば図12の映像処理部160が有する係数記憶部135における、ある1つの係数メモリ305iには、コンポーネント信号のHD画像をMPEG符号化し、その符号化データをMPEG復号して得られるHD画像を教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させたSD画像をMPEG符号化した符号化データを生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数のセットが記憶されている。さらに、係数記憶部305における、他の1つの係数メモリ305jには、コンポーネント信号のSD画像を教師データとするとともに、その教師データをMPEG符号化した符号化データを生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数のセットが記憶されている。
なお、映像処理部が備える係数記憶部305には、その他のタップ係数を記憶させておくことが可能である。即ち、係数記憶部305には、例えば、画像の拡大/縮小(リサイズ)を行うタップ係数や、時間方向の解像度を向上させるタップ係数、階調方向の解像度を向上させるタップ係数、ぼけの改善を行うタップ係数、歪みやノイズ除去を行うタップ係数等を記憶させ、それらの係数が必要な処理部に供給させることが可能である。
このように、多種類のタップ係数のセットを、係数記憶部305に記憶させておき、そのうちのいずれを使用するかを、予測タップやクラスタップのタップ構造とともに切り替えることで、受像機内の映像処理部の機能を、容易に変化させることができる。
この場合、本例のように、係数記憶部305へのデータの入力と、係数記憶部305からのデータの出力について、無線伝送で行う構成したことで、いずれか1つの映像処理部に用意された係数記憶部305を、複数の映像処理部で共用することも可能である。即ち、例えばベイ4に増設された機器や回路基板に、機能を向上させる係数を記憶させた係数記憶部を用意して、受像機が元々から備える映像処理部が、その処理部が備える係数記憶部から係数を得る代わりに、その増設された側の係数記憶部との無線通信で、係数を得るように処理を変更させることで、簡単に機能変更が行えるようになる。
このような係数記憶部の変更処理は、単に無線通信を行う相手を変更するだけで良く、例えばコントローラによる無線伝送路の設定時に対処すれば良く、物理的なスイッチなどによる切替えを全く必要とすることなく、機能変更が可能になる。
次に、図56のフローチャートを参照して、図52に示した信号処理回路の処理について説明する。
機能制御部307は、ステップS71において、コントローラ171から、この信号処理回路の機能を変更させる制御信号を受信し、その制御信号にしたがって、予測タップ抽出回路302、クラスタップ抽出回路303、および係数記憶部305を制御する。
即ち、コントローラ171から機能制御部307に供給される制御信号は、コントローラ171が記憶している機能IDに対応付けられた処理情報を含んでおり、機能制御部307は、その処理情報にしたがい、図53の制御回路321と同様に、予測タップ抽出回路302、クラスタップ抽出回路303、および係数記憶部305を制御する。
これにより、予測タップ抽出回路302は、図53の学習装置の予測タップ抽出回路315における場合と同一構造のタップ構造を有する予測タップを生成するように設定され、クラスタップ抽出回路303も、図53の学習装置のクラスタップ抽出回路316における場合と同一構造のタップ構造を有するクラスタップを生成するように設定される。
さらに、係数記憶部305は、機能制御部307からの制御信号に含まれる処理情報に対応するタップ係数のセットを記憶している係数メモリ305n(図55)を使用するように設定される。
その後、バッファ301に、入力データが供給されて記憶されると、ステップ72に進み、予測タップ抽出回路302が、積和演算回路306において求めようとしている出力データのうち、まだ、注目データとされていないものを注目データとし、さらに、バッファ301から入力データを読み出すことにより、注目データについて、ステップS71で設定したタップ構造となる予測タップを生成し、積和演算回路306に供給する。
さらに、ステップS72では、クラスタップ抽出回路303が、バッファ301から入力データを読み出すことにより、注目データについて、ステップS71で設定したタップ構造となるクラスタップを生成し、クラス分類回路304に供給して、ステップS73に進む。
ステップS73では、クラス分類回路304が、クラスタップ抽出回路303からのクラスタップを用いてクラス分類を行い、注目データについてのクラスコードを求める。このクラスコードは、係数記憶部305に供給される。
係数記憶部305では、ステップS71で設定した係数メモリ305nを選択しており、クラス分類回路304からクラスコードが供給されると、ステップS74において、その係数メモリ305nの、クラス分類回路304からのクラスコードに対応するアドレスからタップ係数を読み出し、積和演算回路306に供給する。
積和演算回路306は、係数記憶部305から供給されるタップ係数を取得し、ステップS75において、そのタップ係数と、ステップS72で予測タップ抽出回路302から供給される予測タップとを用いて、〔数2〕式に示した積和演算を行い、注目データの予測値を求め、出力データとして出力する。
ここで、このようにして積和演算回路306が出力する出力データは、処理情報に対応したタップ構造の予測タップおよびクラスタップと、タップ係数のセットを用いて得られたものであり、従って、入力データに対し、処理情報が表す処理を施したものとなる。
その後、ステップS76に進み、予測タップ抽出回路302は、まだ、注目データとすべき出力データが存在するかどうかを判定する。ステップS76において、注目データとすべき出力データが存在すると判定された場合、ステップS72に戻り、まだ注目データとしていない出力データを、新たに注目データとして、以下、同様の処理を繰り返す。
一方、ステップS76において、注目データとすべき出力データが存在しないと判定された場合、処理を終了する。
以上のように、受像機内の映像処理部は、処理情報にしたがって、予測タップ抽出回路302で生成される予測タップのタップ構造、クラスタップ抽出回路303で構成されるクラスタップのタップ構造、および積和演算回路306の積和演算に用いるタップ係数のセットの種類を設定することにより、その機能を変化させる。また、受像機のベイなどに増設された信号処理部についても、受像機内の信号処理部と同様にして、その機能を変化させる。そして、各処理部は、このように機能を変化させることにより、入力信号に対する処理を協調して分担する。従って、この場合、増設により複数存在するようになった映像処理部のうちのいずれか一方のみで処理を行う場合よりも、高品質の出力データを得ることが可能となる。
即ち、例えば映像処理部153単独では、コンポーネント信号のHD画像を教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させたSD画像をコンポーネント信号からコンポジット信号に変換したものを生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数(以下、適宜、コンポジット/コンポーネント変換かつSD/HD変換用タップ係数という)を用いて、チューナ151又は152(図12)が出力するベースバンドのSD画像信号であって、コンポジット信号となっているものが処理されることにより、そのコンポジット信号のSD画像信号が、コンポーネント信号のHD画像信号に変換される。
また、ベイ4に装着された電子機器が備える信号処理部160単独では、コンポーネント信号のHD画像をMPEG符号化し、その符号化データをMPEG復号して得られるHD画像を教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させたSD画像をMPEG符号化した符号化データを生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数(以下、適宜、MPEG復号かつSD/HD変換用タップ係数という)を用いて、特有ブロック213(図16)が出力する、コンポーネント信号のSD画像信号をMPEG符号化した符号化データが処理されることにより、その符号化データが、コンポーネント信号のHD画像信号に変換される。
一方、機器や回路基板が増設されて、その機器や回路基板が備える信号処理部と無線通信でデータ伝送ができるには、受像機内の信号処理部と増設された側の信号処理部とは、それぞれの機能を変化させ、入力信号に対する処理を協調分担する。
即ち、まず、例えば図16に示した特有ブロック213を備えた信号処理部160を有する電子機器11が増設された場合には、その増設された電子機器内の信号処理部において、コンポーネント信号のSD画像を教師データとするとともに、その教師データをMPEG符号化した符号化データを生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数(以下、適宜、MPEG復号用タップ係数という)を用いて、特有ブロックが出力する、コンポーネント信号のSD画像信号をMPEG符号化した符号化データが処理されることにより、その符号化データが、コンポーネント信号のSD画像信号に変換される。
そして、受像機内の信号処理部153において、コンポーネント信号のHD画像を教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させたSD画像を生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数(以下、適宜、SD/HD変換用タップ係数という)を用いて、電子機器11の信号処理部160で得られたコンポーネント信号のSD画像信号が処理されることにより、そのSD画像信号が、コンポーネント信号のHD画像信号に変換される。
従って、信号処理部153または160のうちのいずれか一方だけが、単独で処理を行う場合であっても、両信号処理部が協調分担して処理を行う場合であっても、最終的に得られるのは、コンポーネント信号のHD画像信号である。
しかしながら、単独の場合に用いられるコンポジット/コンポーネント変換かつSD/HD変換用タップ係数による場合は、一度の処理で、コンポジットのSD画像を、コンポーネント信号のHD画像に変換することはできるが、その変換精度は、コンポジットのSD画像を、コンポーネント信号のSD画像に変換するのと、そのコンポーネント信号のSD画像を、コンポーネント信号のHD画像に変換するのを、別々に行う場合に比較して劣化する。
即ち、コンポジットのSD画像を、コンポーネント信号のSD画像に変換することは、コンポーネント信号のSD画像を教師データとするとともに、その教師データをコンポジット信号に変換したSD画像を生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数(以下、適宜、コンポジット/コンポーネント変換用タップ係数という)を用いて行うことができる。
また、コンポーネント信号のSD画像を、コンポーネント信号のHD画像に変換することは、上述のSD/HD変換用タップ係数(コンポーネント信号のHD画像を教師データとするとともに、その教師データの空間解像度を低下させたSD画像を生徒データとして学習処理を行うことにより得られるタップ係数)を用いて行うことができる。
コンポジット/コンポーネント変換用タップ係数は、コンポジット信号のSD画像を、コンポーネント信号のSD画像に変換する処理に特化したものであるから、コンポジット信号をコンポーネント信号に変換することだけに注目すれば、コンポジットのSD画像を、コンポーネント信号のHD画像に、一度に変換することができるコンポジット/コンポーネント変換かつSD/HD変換用タップ係数よりも、精度良く、コンポジット信号のSD画像を、コンポーネント信号のSD画像に変換することができる。
また、SD/HD変換用タップ係数は、SD画像をHD画像に変換する処理に特化したものであるから、そのような空間解像度を向上させることにだけ注目すれば、やはり、コンポジット/コンポーネント変換かつSD/HD変換用タップ係数よりも、精度良く、SD画像の空間解像度を向上させたHD画像を得ることができる。
同様に、MPEG復号かつSD/HD変換用タップ係数は、コンポーネント信号のSD画像信号をMPEG符号化した符号化データを、一度の処理で、MPEG復号し、HD画像に変換することができるが、このMPEG復号かつSD/HD変換用タップ係数を用いる場合には、MPEG復号用タップ係数を用いる場合よりも、復号精度は劣化し、また、SD/HD変換用タップ係数を用いる場合よりも、変換精度は劣化する。
以上から、複数の信号処理部が協調分担して処理を行う場合には、MPEG復号用タップ係数を用いて、符号化データがSD画像に変換され、さらに、そのSD画像が、SD/HD変換用タップ係数を用いて、HD画像に変換されるので、受像機内部の信号処理部単独でコンポジット/コンポーネント変換かつSD/HD変換用タップ係数が用いられる場合や、増設された電子機器の信号処理部単独でMPEG復号かつSD/HD変換用タップ係数が用いられる場合に比較して、品質の高いHD画像を得ることができる。
なお、MPEG復号用タップ係数によれば、符号化データをMPEG復号するだけでなく、MPEG符号化に起因して生じるブロック歪み等の歪み除去も行われる。
即ち、MPEG復号タップ係数は、上述のように、コンポーネント信号のSD画像を教師データとするとともに、その教師データをMPEG符号化した符号化データを生徒データとして学習処理を行うことにより得られるものであるから、符号化データを、原画像との自乗誤差が最小になる画像に変換するものとなる。従って、MPEG復号タップ係数によれば、符号化データが、歪みのない原画像に近い画像に変換されるから、MPEG復号の他、MPEG符号化に起因するブロック歪み等の歪み除去も行われることになる。
なお、コンポーネント信号のSD画像をMPEG符号化してMPEG復号したものを教師データとするとともに、その教師データをMPEG符号化した符号化データを生徒データとして学習処理を行うことによりタップ係数を得た場合には、そのタップ係数は、符号化データを、通常のMPEG復号した場合に得られる復号画像、即ち、MPEG符号化に起因するブロック歪み等を有する復号画像に近い画像に変換するものとなる。従って、この場合、上述のような歪み除去は行われないことになる。
以上のように、受像機のベイに設置可能な電子機器を、ベイ構造型テレビジョン受像機(図1、図2)のベイ4に収納させて、その収納させた電子機器と、受像機内の回路との間で、無線通信でデータ伝送を行うことにより、協調分担して処理を行い、品質の良い画像等を得ることができる。同様の処理を行うものを、図9或いは図11に示した如き回路基板81として組み、その回路基板81をベイアダプタボックス14などを使用して取付けることでも、同様の処理が可能になる。また、このような回路基板81を用意した場合には、図1に示した如きベイ4を設ける代わりに、受像機の裏側などに、増設用の回路基板が嵌め込まれる機構を予め用意しておき、その機構が設けられた位置に、該当する回路基板を装着させることでも、同様の処理が可能である。
また本例の場合には、無線通信で増設された機器や基板とデータ伝送を行うので、機器収納用のベイや、回路基板の増設用の機構は、必ずしも受像機などの機器本体と一体である必要はなく、例えばテレビジョン受像機を載せるラックに、ベイや回路基板の増設機構を設けても良い。
また本例の場合には、1つの機器や回路基板内の集積回路などで構成された各回路(ブロック)間のデータ伝送についても、無線伝送で行うようにしたので、その機器や基板内の特定の回路部品だけを交換したり増設するようなことも、基板の配線などを変更することなく容易に行える。即ち、例えば図52,図55に示したような係数記憶部305は、データの入力及び出力を無線伝送で行う構成としてあるので、この係数記憶部305を構成する回路部品の、回路基板への取付け状態としては、電源の供給路などの最低限の接続を行う構成で良く、多数の端子ピンなどで接続する必要がなく、係数記憶部305を構成する回路部品だけを取り替えたり、或いは増設することが、非常に簡単に行える。
なお、上述の場合には、それぞれの映像処理部を、図52に示した、クラス分類適応処理を行うクラス分類適応処理回路で構成することにより、各種の機能を実現するようにしたが、その他の構成として、それぞれの映像処理部を、各種の機能の一つ一つに対応する処理を行うモジュール(ブロック)として構成することが可能である。
図57は、ここまで説明した受像機内の映像処理部153および電子機器11内の映像処理部160を、他の構成とした場合の一例を示している。
即ち、図57(A)は、映像処理部153の別の構成を示してある。ここでは、映像処理部153内の信号処理回路202(図15)として、クラス分類適応処理回路ではなく、変換部205、空間解像度向上処理部206、ノイズ除去処理部207、およびインターフェース部203で構成される。そして、図15に示した構成の場合と同様に、この信号処理回路202およびコントローラ201のデータ伝送を無線通信で行う送受信処理回路204を備える。
また、図57(B)は、映像処理部160の別の構成を示してある。ここでは、やはりクラス分類適応処理回路では構成してなく、コントローラ211の制御で処理が実行される信号処理回路212(図16)として、MPEGデコーダ216、歪み除去処理部217、およびインターフェース部214で構成されている。そして、図16に示した場合と同様に、特有ブロック213と、送受信処理回路215を備える。
図57(A)の映像処理部153が単独で処理を行う場合には、例えばチューナ151または152(図12)が無線伝送する、ベースバンドのコンポジット信号のSD画像信号が、送受信処理回路204で受信されて、インターフェース部203を介して、信号処理回路202に供給される。
信号処理回路202では、チューナ151または152からの信号が、図57(A)において点線で示すようにやりとりされることにより処理される。
即ち、信号処理回路202では、入力したコンポジット信号のSD画像信号が、変換部205に供給される。変換部205では、供給されるコンポジット信号のSD画像信号を、コンポーネント信号のSD画像信号に変換して、インターフェース部203に戻す。インターフェース部203では、その変換されたコンポーネント信号のSD画像信号を、空間解像度向上処理部206に供給する。
空間解像度向上処理部206では、供給されるコンポーネント信号のSD画像信号の空間解像度を向上させる処理を行い、その結果得られる、コンポーネント信号のHD画像信号を、インターフェース部203に戻す。インターフェース部203では、そのコンポーネント信号のHD画像信号を、ノイズ除去処理部207に供給する。
ノイズ除去処理部207では、供給されるHD画像信号に対して、ノイズ除去処理を施し、その結果得られるHD画像信号を、インターフェース部203に戻す。そして、インターフェース部203では、ノイズ除去処理部207からのHD画像信号を、送受信処理回路204に供給し、送受信処理回路204から無線送信させる。
この送受信回路204から無線送信される信号は、例えば表示ドライバ158(図12)に供給して、CRT2に対応するHD画像を表示させる。
従って、受像機に内蔵された映像処理部153が単独で処理を行う場合、コンポジット信号をコンポーネント信号に変換する機能、空間解像度を向上させる機能(SD画像をHD画像に変換する機能)、およびノイズを除去する機能を有する。
一方、図57(B)に示す、受像機のベイに増設された電子機器が備える映像処理部160が単独で処理を行う場合には、特有ブロック213が出力する、SD画像をMPEG符号化して得られる符号化データが、信号処理回路212に供給される。
信号処理回路212では、符号化データが、図57(B)において点線で示すようにやりとりされることにより処理される。
即ち、信号処理回路202では、インターフェース部214において、特有ブロック213からの符号化データが受信される。そしてインターフェース部214からMPEGデコーダ216に、符号化データを供給する。
MPEGデコーダ216は、供給される符号化データをMPEG復号し、その結果得られる復号画像信号(SD画像信号)を、インターフェース部214に戻す。そしてインターフェース部214は、供給される復号画像信号を、歪み除去処理部217に供給する。
歪み除去処理部217は、供給される復号画像信号からブロック歪み等を除去する歪み除去処理を行い、その結果得られる復号画像信号を、インターフェース部217に戻す。インターフェース部217は、歪み除去処理部176からの復号画像信号を、送受信処理回路215に供給し、送受信処理回路204から無線送信させる。
従って、ベイに増設された電子機器が単独で処理を行う場合、電子機器側の信号処理回路212は、画像をMPEG符号化した符号化データをMPEG復号する機能、およびブロック歪み等を除去する機能を有する。
次に、図57に示すように構成された場合において、ベイに増設された電子機器と、受像機内の映像処理部とが協調分担を行う例について説明する。即ち、受像機側のコントローラ171が、ベイへの機器の収納を検出して、その機器の機能IDを確認することで、信号処理機能を変化させることができる。
即ち、信号処理回路202は、例えば、上述した、コンポジット信号をコンポーネント信号に変換する機能、空間解像度を向上させる機能、およびノイズを除去する機能の3つの機能を有するものから、空間解像度を向上させる機能だけを有するものに変化する。
また、信号処理回路212は、上述した、符号化データをMPEG復号する機能、およびブロック歪み等を除去する機能の2つの機能を有するもののままとされる。
そして、信号処理回路202と、信号処理回路212では、符号化データが、図58において点線で示すようにやりとりされることにより処理される。
即ち、信号処理回路212では、図57(A)における場合と同様の処理が行われ、これにより、送受信処理回路215から、歪み除去が行われた復号画像信号が無線送信される。
この無線送信された復号画像信号は、受像機内の映像処理部153が備える送受信回路204で受信される。なお、無線ネットワーク構成によっては、他の無線通信部で中継されて、無線伝送される場合もある。
送受信回路204で受信された画像信号は、インターフェース部203を介して、空間解像度向上処理部206に供給されて、復号画像信号の空間解像度を向上させる処理を行い、その結果得られるHD画像信号を、インターフェース部203を介して送受信処理回路204に送り、無線送信させる。
この送受信回路204から無線送信される信号は、例えば表示ドライバ158(図12)に供給して、CRT2に対応するHD画像を表示させる。
従って、映像処理部160を備えた機器が単独で処理を行う場合には、符号化データをMPEG復号し、その結果得られる復号画像信号から、歪み除去を行ったものが得られるが、この機器と受像機内の回路とで協調分担して処理が行われる場合には、歪み除去を行った復号画像信号の空間解像度を向上させたHD画像を得ることができる。
なお、図57および図58の例に示したように、信号処理回路202や212を、各機能に対応するモジュール(ブロック)を用いて構成する場合には、信号処理回路202や212に持たせる機能の数と同一の数のモジュールが必要となり、機能の数を増加させると、モジュールの数も増加するから、回路規模も大きくなる。
これに対して、信号処理回路202や212を、図52に示したように、クラス分類適応処理回路で構成する場合には、機能の数の増加によって増加するのは、基本的に、係数記憶部305の記憶容量だけであり、従って、回路規模の大型化を低減することができる。また、図17,図18に示したように、信号処理回路の内部でも無線通信でデータ伝送を行うように構成した場合には、係数記憶部305などの交換も容易に行え、機能変更に対応して係数記憶部を別のものに交換して、機能を向上させることも容易に行えるようになる。
なお、ここまで説明した映像処理部などによる、上述した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、マイクロコンピュータ等のコンピュータにインストールされる。
そこで、図59は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの構成例を示している。
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク405やROM403に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory) ,MO(Magneto optical) ディスク,DVD(Digital Versatile Disc) 、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体411に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体411は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体411からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network) 、インターネットなどの伝送媒体を介して、コンピュータに有線又は無線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部408で受信し、内蔵するハードディスク405にインストールすることができる。
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)402を内蔵している。CPU402には、バス401を介して、入出力インタフェース410が接続されており、CPU402は、入出力インタフェース410を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部407が操作等されることにより指令が入力されると、それにしたがって、ROM(Read Only Memory)403に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU402は、ハードディスク405に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部408で受信されてハードディスク405にインストールされたプログラム、またはドライブ409に装着されたリムーバブル記録媒体411から読み出されてハードディスク405にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)404にロードして実行する。これにより、CPU402は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU402は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース410を介して、LCD(Liquid CryStalDisplay)やスピーカ等で構成される出力部406から出力、あるいは、通信部408から送信、さらには、ハードディスク405に記録等させる。
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1つのコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
また、コンピュータによる処理は、受像機での一部の処理だけを実行するようにしても良い。即ち、本例の場合には、受像機と増設された機器との間で無線通信を行うように構成してあるので、増設された機器をコンピュータに置き換えて、受像機内の処理部とコンピュータとの間で無線通信を行って、受像機内での映像処理の一部を、コンピュータ内で実行させるようにしても良い。
なお、ベイ構造型テレビジョン受像機(図1、図2)のベイ4に収納する電子機器は、上述したDVDプレーヤやディジタルVTR等に限定されるものではなく、例えば、プリンタやHD(Hard Disk) レコーダその他の、どのようなものであってもかまわない。
また、ここまでの説明では、受像機本体を構成するTVラック1(図1)に、チューナ151,152や映像処理部153等を、あらかじめ組み込むことにより、ベイ構造型テレビジョン受像機(図1、図2)を構成するようにして、一部の映像処理部160などが組み込まれた機器だけをベイ4に装着させる例について説明したが、チューナ151,152や映像処理部153等の各処理部を、TVラック1のベイ4に収納される機器として構成させても良い。
また、本実施の形態では、2つの映像処理部153,160が、処理の協調分担を行う場合について説明したが、処理の協調分担は、3つ以上の処理部(電子機器)で行うことも可能である。また、処理の内容も、ここで挙げたもの以外に時間解像度創造、階調創造等々でもよい。
また、上述した実施の形態では、図19〜図46を参照して説明したいわゆる電波による無線信号を伝送させるようにしたが、例えばベイに装着された機器と、受像機内との間で、赤外線信号によりデータ伝送を行うようにしても良い。この場合、例えば画像信号やオーディオ信号などのストリームデータについては、上述した方式により電波で伝送し、コントローラからの制御信号などについては、赤外線信号で伝送させるようにしても良い。
また、一部の信号については、有線の信号線を使用して直接伝送させるようにしても良い。例えば、受像機内からベイに装着された機器側への伝送については、端子を介して接続された有線の伝送路で伝送させ、ベイに装着された機器で処理された信号の受像機への伝送については、無線で伝送させるようにしても良い。
また、本実施の形態では、係数記憶部305に、複数種類のタップ係数のセットをあらかじめ記憶させておき、使用するタップ係数のセットを切り替えることで、信号処理回路202の機能を変化させるようにしたが、このように、信号処理回路202の機能を変化させるためのタップ係数は、係数記憶部305にあらかじめ記憶させておくのではなく、外部からダウンロードすることが可能である。
即ち、例えば、図1で説明したように、ベイ構造型テレビジョン受像機のベイ4Gには、携帯電話機を収納することができるが、このように、ベイ4Gに携帯電話機が収納されている場合には、その携帯電話機の通信機能により、インターネットその他のネットワーク上のサーバにアクセスし、必要なタップ係数をダウンロードするようにすることができる。また、例えば、コンピュータなどの他の機器から、タップ係数をダウンロードするようにすることができる。
この場合、携帯電話機やコンピュータなどの機器にも、受像機内部で実行される無線通信と同じ方式の近距離無線通信処理部を内蔵させておくことで、携帯電話機などと係数記憶部305(又は係数記憶部305の周辺の回路)との間で直接的に無線通信を行って、係数記憶部305にタップ係数などを直接送ることができ、受像機内の他の回路を経由することなく、タップ係数の更新が可能になる。
なお、同様にして、予測タップやクラスタップのタップ構造に関する情報も、外部からダウンロードするようにすることが可能である。
ここで、上述のように、タップ係数を外部からダウンロードする場合には、そのダウンロードしたタップ係数(以下、適宜、ダウンロードタップ係数という)を、係数記憶部305に記憶させる必要があり、従って、係数記憶部305には、ダウンロードタップ係数を記憶させる記憶領域が必要となる。
従って、係数記憶部305は、必要最小限のタップ係数のための記憶領域の他に、ダウンロードタップ係数を記憶させるための記憶領域を設けて構成するようにすることができる。
また、図55の例では、係数記憶部305における、1つの係数メモリ305n には、基本的に、1セットのタップ係数が記憶されるが、タップ係数のビット数が多かったり、クラス数が多いこと等に起因して、1つの係数メモリ305nに、1セットのタップ係数を記憶しきれない場合には、係数メモリ3051 乃至305N のうちの複数に、1セットのタップ係数を記憶させるようにすることが可能である。
また、本実施の形態では、映像信号(画像信号)を処理する場合について説明したが、本発明は、音声信号などのその他の信号を処理する場合にも適用可能である。
1…TVラック、2…CRT、3L,3R…スピーカ、4A〜4G…ベイ、5…ベイ内パネル部、11〜13…電子機器、14…ベイアダプタボックス、14A…スロット、15…背面パネル部、15A…アダプタ内接続パネル、15B,15B′…アダプタ背面パネル、16A…雌ピン群、16B…雄ピン群、21…アンテナ、22…電源端子、31…アンテナ、32…電源端子、41…映像出力端子、42…映像入力端子、43…オーディオ入力端子、44…オーディオ出力端子、45…IEEE1394端子、47…電源端子、48…アンテナ、81…回路基板、82L,82R…嵌め込み用スリット、83,83a…チップ部品、84…アンテナ、88…アンテナ、89…導電部、100…テレビジョン受像機、151…地上波チューナ、152…衛星放送用チューナ、153…映像処理部、154…オーディオ処理部、155…データ処理部、156…ハードディスクドライブ(HDD)、157…映像合成処理部、158…表示ドライバ、160…映像処理部、161…アンプ部、162…データ画面生成処理部、169…映像処理部、171…コントローラ、172…操作キー、173…赤外線受光部、174…電源回路、181〜184…スピーカ、191…地上波用アンテナ、192…衛星放送波用アンテナ、193…リモートコントロール装置、194…コントローラ、195…操作キー、196…表示パネル、201…コントローラ、202…信号処理回路、203…インターフェース部、204…送受信処理回路、205…変換部、206…空間解像度向上処理部、207…ノイズ除去処理部、211…コントローラ、212…信号処理回路、213…特有ブロック、214…インターフェース部、215…送受信処理回路、216…MPEGデコーダ、217…歪み除去処理部、221…コントローラ、222…信号処理回路、223…外部通信インターフェース部、231…コントローラ、232…信号処理回路、233…特有ブロック、234…外部通信インターフェース部、301…バッファ、302…予測タップ抽出回路、303…クラスタップ抽出回路、304…クラス分類回路、304a…クラス分類回路内の送信部、305,3051〜305N …係数記憶部、306…積和演算回路、306a…積和演算回路内の受信部、307…機能制御部、311…教師データ生成回路、312…教師データメモリ、313…生徒データ生成回路、314…生徒データメモリ、315…予測タップ抽出回路、316…クラスタップ抽出回路、317…クラス分類回路、318…正規方程式加算回路、319…タップ係数決定回路、320…係数メモリ、321…制御回路、401…バス、402…中央制御ユニット(CPU)、403…ROM、404…RAM,405…ハードディスクドライブ,406…出力部、407…入力部、408…通信部、409…ドライブ、410…入出力インタフェース部、411…リムーバブル記録媒体
Claims (14)
- 所定の機能を有して入力信号を処理する信号処理装置において、
複数の信号処理手段と、
前記複数の信号処理手段の間でのデータ伝送を無線通信で行う通信手段とを備える
信号処理装置。 - 請求項1記載の信号処理装置において、
前記複数の信号処理手段は、
他の装置との間での信号の入力及び/又は出力を行う第1の信号処理手段と、
所定の処理機能を有する第2の信号処理手段とを備えて、
前記第1の信号処理手段と前記第2の信号処理手段との間のデータ伝送を、前記通信手段が無線通信で行う
信号処理装置。 - 請求項2記載の信号処理装置において、
さらに所定の処理機能を有する第3の信号処理手段を備えて、
前記第2の信号処理手段と前記第3の信号処理手段との間のデータ伝送についても、前記通信手段が無線通信で行う
信号処理装置。 - 請求項1記載の信号処理装置において、
前記複数の信号処理手段の内の少なくとも1つの信号処理手段は、着脱自在なチップ部品で構成される
信号処理装置。 - 請求項4記載の信号処理装置において、
前記着脱自在なチップ部品で構成される信号処理手段は、所定の演算処理を行うのに必要な係数を記憶する記憶手段を有する信号処理手段である
信号処理装置。 - 請求項1記載の信号処理装置において、
前記信号処理手段での信号処理を制御する制御手段を備え、
前記通信手段による無線通信は、前記制御手段をマスタとし、前記信号処理手段をスレーブとした無線ネットワークを構成させて行う無線通信である
信号処理装置。 - 請求項1記載の信号処理装置において、
前記通信手段による無線通信は、当該信号処理装置とは別の装置が備える制御手段をマスタとし、前記信号処理手段をスレーブとした無線ネットワークを構成させて行う無線通信である信号処理装置。 - 請求項7記載の信号処理装置において、
前記別の装置は、当該信号処理装置で処理された信号が入力される装置である
信号処理装置。 - 所定の機能を有して入力信号を処理する信号処理方法において、
複数の信号処理ブロックの間でのデータ伝送を無線通信で行うデータ伝送ステップと、前記データ伝送ステップでデータ伝送を行いながら、複数のブロックで前記入力信号を処理する信号処理ステップとを有する
信号処理方法。 - 請求項9記載の信号処理方法において、
前記無線通信によるデータ伝送は、他の装置との間での信号の入力及び/又は出力を行う信号処理ブロックと、所定の処理機能を有する信号処理ブロックとの間のデータ伝送である
信号処理方法。 - 請求項9記載の信号処理方法において、
前記複数の信号処理ブロックの内の少なくとも1つは、所定の演算処理を行うのに必要な係数を記憶するブロックである
信号処理方法。 - 請求項9記載の信号処理方法において、
前記データ伝送ステップでの無線通信は、他の装置側をマスタとして、前記複数の信号処理ブロックをスレーブして確立された無線ネットワークで実行される
信号処理方法。 - 入力信号を処理する信号処理を実行させるプログラムにおいて、
複数の信号処理ブロックの間でのデータ伝送を無線通信で行うデータ伝送ステップと、
前記データ伝送ステップでデータ伝送を行いながら、複数のブロックで前記入力信号を処理する信号処理ステップとを有する
プログラム。 - 入力信号を処理する信号処理を実行させるプログラムを格納した媒体において、
複数の信号処理ブロックの間でのデータ伝送を無線通信で行うデータ伝送ステップと、
前記データ伝送ステップでデータ伝送を行いながら、複数のブロックで前記入力信号を処理する信号処理ステップとを有するプログラムを格納した
媒体。
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- 2008-03-10 JP JP2008060027A patent/JP2008236745A/ja active Pending
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