JP2008235173A - ニッケル水素二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高次水酸化ニッケルを含む正極と、高い耐アルカリ性を有する希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金とを含む負極とを組み合わせながら、水素吸蔵合金の酸化が防止された高性能のニッケル水素二次電池の提供。
【解決手段】ニッケル水素二次電池の正極(24)は、ニッケルの平均価数が2価を超えている高次水酸化ニッケルを含有する正極活物質粒子(36)を含み、負極(26)は、一般式:R1−wMgNiAlyTにて表される組成を有する水素吸蔵合金を含有する水素吸蔵合金粒子(40)と、アルカリ電解液と反応して水素を発生させる水素発生金属を含有する水素発生金属粒子(42)とを含む。式中、R及びTは、La,Ce等よりなる群又はV,Nb等よりなる群から選ばれる元素をそれぞれ表し、添字w,x,y,zは、0<w≦0.15,3.2≦x+y+z≦4.2,0≦y≦0.30,0≦z≦0.1で示される範囲にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、ニッケル水素二次電池に関する。
ニッケル水素二次電池は、種々の電子・電気機器の電源として用いられており、その高性能化が強く求められている。そのために、正極の活物質の原材料として使用される水酸化ニッケルを予め酸化処理し、高次化することが提案されている。換言すれば、正極活物質の原材料として、水酸化ニッケルとオキシ水酸化ニッケルの混合状態にあるニッケル酸化物を用いることが提案されている。
一般に、ニッケル水素二次電池の正極活物質は、充放電反応に伴い、ニッケルの平均価数が2価である水酸化ニッケル(Ni(OH))とニッケルの平均価数が3価であるオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)との間を可逆的に変化するといわれている。しかし実際には、放電時、水酸化ニッケルの導電性が低いため、ニッケルの平均価数は完全に2価までは戻らず、2.2価程度で反応が終了する。このため、負極の水素吸蔵合金には、0.2価程度分に相当する水素が常に残り続ける。この残存水素は、放電リザーブと称され、この存在により、実質的に利用される負極容量は少なくなっている。
これに対し、正極活物質の原材料として、酸化処理により高次化された水酸化ニッケルを用いた場合、最初の充電反応を開始する際に、ニッケルの平均価数が2価を既に超えている。これにより、放電リザーブが削減され、放電リザーブとしての水素を吸蔵するための水素吸蔵合金が削減可能になる。そしてこの結果、負極の体積を削減して正極の体積を増大し、高容量化が達成される。
また、ニッケル水素二次電池の高性能化のために、負極活物質としての水素を吸蔵・放出する水素吸蔵合金として、所定の組成を有する希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金を用いることが提案されている(特許文献1)。
特許文献1が開示する希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金は、アルカリ電解液に対し高い耐食性(耐アルカリ性)を有する。それ故、この合金を適用したニッケル水素二次電池は、アルカリ電解液の消耗が抑制され、長寿命である。
特開2005-290473号公報
しかしながら、高次化された水酸化ニッケルを用いてニッケル水素二次電池を作製すると、次のような問題が生じる。
通常、ニッケル水素二次電池の組立て終了から、最初の充電(初充電)開始までには、ある程度の時間がかかる。この間に正極中の高次水酸化ニッケルが自己放電反応(自己分解反応)を起こし、水酸化ニッケルに戻ろうとする。これは、高次水酸化ニッケル中に含まれるオキシ水酸化ニッケル成分と電解液との反応によるもので、このときに以下の式に示したように酸素が発生する。
NiOOH+1/2HO→Ni(OH)+1/4O
このとき既に水素吸蔵合金が水素を吸蔵していれば、発生した酸素は、吸蔵されている水素と再結合反応して水に戻る。しかし、初充電の前では、水素吸蔵合金は水素を吸蔵していないため、発生した酸素は、水素吸蔵合金と結合して水素吸蔵合金を酸化させる。
このような酸化反応が進行しすぎると、水素吸蔵合金の表面には、電気化学反応を阻害する厚い酸化皮膜が生成され、水素吸蔵合金は最終的には電気化学反応できなくなる。すなわち、ニッケル水素二次電池は、その機能を発揮できなくなる。
このような現象は、高容量化に伴いセパレータを薄型化したニッケル水素二次電池で特に顕著である。これは、正負極の極間距離が近付くことで、正極での自己放電反応及び負極での酸化反応が起こり易くなるためと推測される。
仮に、負極に、耐アルカリ性が低く酸化し易い水素吸蔵合金を用いていれば、上記酸化反応は深刻な問題にはならない。耐アルカリ性が低い水素吸蔵合金は、アルカリ電解液を注入した時点で、アルカリ電解液との反応により酸化される一方、酸化反応により発生した水素を吸蔵する。これにより水素吸蔵合金は、浅い充電が行われたのと略同じ状態になり、この吸蔵した水素を放出することで、自己放電反応により発生した酸素による酸化を免れることができる。
ただし、耐アルカリ性が低い水素吸蔵合金を用いてニッケル水素二次電池を作製することは、充放電サイクル寿命が低下するため、現実的な解決策ではない。
これとは逆に、自己放電反応に伴う水素吸蔵合金の酸化という問題は、水素吸蔵合金の耐アルカリ性が高いほど深刻になる。一般式:R1−wMgNiAlyTで示される組成を有する希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金は、従来使用されてきたAB型の水素吸蔵合金よりも高容量であり、ニッケル水素二次電池の特性を向上させるには有利なはずである。
しかしながら、この希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金は、高い耐アルカリ性を有するため、高次水酸化ニッケルと組み合わせた場合、自己放電反応に伴い酸化してしまう。このため、この希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金と高次水酸化ニッケルとの組み合わせによる電池の高性能化は困難であった。
なお、上記一般式中、Rは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sr,Sc,Y,Zr,Hf,Ca及びTiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Tは、V,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Ga,Zn,Sn,In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字w,x,y,zはそれぞれ、0<w≦0.15,3.2≦x+y+z≦4.2,0≦y≦0.30,0≦z≦0.1で示される範囲にある。
本発明は上述の事情に基づいてなされたものであって、その目的とするところは、高次水酸化ニッケルを含む正極と、アルカリ電解液に対し高い耐食性を有する希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金とを含む負極とを組み合わせながら、水素吸蔵合金の酸化が防止された高性能のニッケル水素二次電池を提供することにある。
上記した目的を達成すべく、本発明によれば、容器内に正極、負極、これら正極と負極との間に配置されたセパレータ及びアルカリ電解液を具備したニッケル水素二次電池において、前記正極は、ニッケルの平均価数が2価を超えている高次水酸化ニッケルを含有する正極活物質粒子を含み、前記負極は、一般式:R1−wMgNiAlyT
(ただし、式中、Rは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sr,Sc,Y,Zr,Hf,Ca及びTiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Tは、V,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Ga,Zn,Sn,In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字w,x,y,zはそれぞれ、0<w≦0.15,3.2≦x+y+z≦4.2,0≦y≦0.30,0≦z≦0.1で示される範囲にある。)にて表される組成を有する水素吸蔵合金を含有する水素吸蔵合金粒子と、前記アルカリ電解液と反応して水素を発生させる水素発生金属を含有する水素発生金属粒子とを含むことを特徴とするニッケル水素二次電池が提供される(請求項1)。
好ましくは、前記添字wは、0.11以下である(請求項2)。
好ましくは、前記添加粒子は、前記水素発生金属として、Al及びZnのうち一方又は両方を含む(請求項3)。
好ましくは、前記負極は、100質量部の前記水素吸蔵合金に対し、0.01質量部以上5質量部以下の前記水素発生金属を含む(請求項4)。
好ましくは、ニッケル水素二次電池は、組立て終了から2時間以上経過後に初めて充電される(請求項5)。
好ましくは、前記正極中の高次水酸化ニッケルにおけるニッケルの平均価数は、2.05価以上2.40価以下の範囲に入っている(請求項6)。
本発明の請求項1のニッケル水素二次電池によれば、負極中の水素発生金属が、アルカリ電解液と反応して水素を発生させ、発生した水素が水素吸蔵合金に吸蔵される。つまり組立てられたニッケル水素二次電池に初充電を行う前に、容器内で負極がアルカリ電解液と接触することで、水素吸蔵合金は水素を吸蔵する。このため初充電前に、正極中の高次水酸化ニッケルが自己放電して酸素が発生しても、発生した酸素は水素吸蔵合金中の水素と反応して水に戻るのみで、水素吸蔵合金の酸化が抑制される。
この結果として、このニッケル水素二次電池によれば、水素吸蔵合金が放電リザーブとしての水素を吸蔵する必要が無いため、水素吸蔵合金量を削減して正極の体積を増大し、高容量化を達成することができる。
また、このニッケル水素二次電池では、自己放電に伴う水素吸蔵合金の酸化が抑制されることで、充電時に、正極と負極との間での電気化学反応が円滑に進む。このため充電時、正極で、副反応としての酸素発生反応が進行するのが抑制され、電池内圧の異常な上昇が抑制される。この結果として、このニッケル水素二次電池は、アルカリ電解液の漏出が抑制され、優れたサイクル寿命特性を有する。
請求項2のニッケル水素二次電池では、Mgの含有量を表す添字wが0.11以下であることにより、水素吸蔵合金がより高い耐アルカリ性を有する。この結果として、このニッケル水素二次電池は、より優れたサイクル寿命特性を有する。
請求項3のニッケル水素二次電池では、Al及びZnの原子量が小さいため、重金属からなる同じ質量の水素発生金属を用いる場合に比べ、より多くの水素を発生させて水素吸蔵合金に吸蔵させられる。これにより、このニッケル水素二次電池は、アルカリ電解液の漏出が確実に抑制され、より優れたサイクル寿命特性を有する。
あるいは、このニッケル水素二次電池によれば、重金属からなる同じモル数の水素発生金属を用いる場合に比べ、軽量化が図られる。
更に、Al及びZnは安価であるため、ニッケル水素二次電池が安価になる。
請求項4のニッケル水素二次電池では、負極が、100質量部の水素吸蔵合金に対し、0.01質量部以上の水素発生金属を含むことにより、水素吸蔵合金の酸化が確実に抑制される。
一方、負極が、100質量部の水素吸蔵合金に対し、5質量部以下の水素発生金属を含むことで、負極における水素吸蔵合金の含有量が十分に確保される。また、5質量部以下の水素発生金属を含む場合、アルカリ電解液と水素発生金属との反応により発生して水素吸蔵合金に吸蔵された水素が、高次水酸化ニッケルの自己放電により発生した酸素との反応により略消費され、水素吸蔵合金に吸蔵されたまま放電リザーブになるのが防止される。
これらの結果、このニッケル水素二次電池は、特に優れたサイクル寿命特性を有する。
請求項5のニッケル水素二次電池では、組立て終了から2時間以上経過後に初めて充電されるため、初充電開始までに、負極中にアルカリ電解液が十分に浸透し、負極中の水素発生金属の大半がアルカリ電解液と反応する。この結果として、初充電の開始時には、水素吸蔵合金は、自己放電で発生した酸素の殆ど全てを水に戻すだけの水素を十分吸蔵しており、水素吸蔵合金の酸化がより確実に抑制される。
請求項6のニッケル水素二次電池によれば、正極中の高次水酸化ニッケルにおけるニッケルの平均価数が2.05価以上であるため、放電リザーブとして負極に吸蔵される水素が削減される。このため、このニッケル水素二次電池では、負極の水素吸蔵合金を削減して正極の体積を増大することで、高容量化が図られる。
一方、正極中の高次水酸化ニッケルにおけるニッケルの平均価数が2.40価以下であるため、正極で自己放電により酸素が発生したとしても、発生した酸素が、アルカリ電解液と水素発生金属との反応により発生して水素吸蔵合金に吸蔵された水素と反応して水に確実に戻る。
上述したように、本発明は、高次水酸化ニッケルを含む正極と、高い耐アルカリ性を有する希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金を含む負極とを組み合わせながら、水素吸蔵合金の酸化が防止された高性能のニッケル水素二次電池を提供するものであり、その工業的価値は極めて高い。
以下、本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池を詳細に説明する。
この電池は例えばAAサイズの円筒型電池であり、図1に示したように、一端が開口した有底円筒形状をなす外装缶10を容器として備えている。外装缶10は導電性を有し、外装缶10の底壁は負極端子として機能する。外装缶10の開口内には、リング状の絶縁パッキン12を介して導電性を有する円板形状の蓋板14が配置され、これら蓋板14及び絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁に固定されている。
蓋板14は中央にガス抜き孔16を有し、蓋板14の外面上にはガス抜き孔16を塞いでゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うフランジ付き円筒形状の正極端子20が固定され、正極端子20は弁体18を蓋板14に押圧している。従って、通常時、外装缶10は絶縁パッキン12及び弁体18を介して蓋板14により気密に閉塞されている。一方、外装缶10内でガスが発生し、その内圧が高まった場合には弁体18が圧縮され、ガス抜き孔16を通して外装缶10からガスが放出される。つまり、蓋板14、弁体18及び正極端子20は、安全弁を形成している。
外装缶10には、電極群22が収容されている。電極群22は、それぞれ帯状の正極24、負極26及びセパレータ28により構成され、渦巻状に巻回された正極24と負極26の間にセパレータ28が挟まれている。即ち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互い重ね合わされている。電極群22の最外周は負極26の一部(最外周部)により形成され、負極26の最外周部が外装缶10の内周壁と接触することで、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。なお、正極24、負極26及びセパレータ28については後述する。
そして、外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に、正極リード30が配置され、正極リード30の両端は正極24及び蓋板14にそれぞれ接続されている。従って、正極端子20と正極24との間は、正極リード30及び蓋板14を介して電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の絶縁部材32が配置され、正極リード30は絶縁部材32に設けられたスリットを通して延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の絶縁部材34が配置されている。
更に、外装缶10内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注液され、セパレータ28に含まれたアルカリ電解液を介して正極24と負極26との間で充放電反応が進行する。なお、アルカリ電解液の種類としては、特に限定されないけれども、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、又はこれらのうち2つ以上を混合した水溶液等を用いることができ、またアルカリ電解液の濃度についても特には限定されず、例えば8Nのものを用いることができる。
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したものを用いることができる。
正極24は、多孔質構造を有する導電性の正極基板と、正極基板に保持された正極合剤とからなる。正極基板としては、例えば、ニッケルめっきが施された網状、スポンジ状、繊維状又はフェルト状の金属多孔体を用いることができる。
正極合剤は、図1中の一方の円内に概略的に示したけれども、正極活物質を主成分とする正極活物質粒子36と、正極活物質粒子36を正極基板に結着するための結着剤38と、必要に応じて種々の添加剤とを含む。
より詳しくは、正極活物質粒子36は、高次水酸化ニッケルからなる。高次水酸化ニッケルとは、ニッケルの平均価数が2価よりも大のニッケル化合物であり、高次水酸化ニッケルでは、2価のニッケルと3価のニッケルが共存している。換言すれば、高次水酸化ニッケルは、水酸化ニッケルの一部が酸化されてオキシ水酸化ニッケルになったものである。
なお、当然のことながら、正極活物質粒子36の高次水酸化ニッケルは、電池が充電されることで、高次水酸化ニッケルからオキシ水酸化ニッケルに殆ど変化し、電池が放電させられることで、オキシ水酸化ニッケルから高次水酸化ニッケルに戻る。
また、正極活物質粒子36は、高次水酸化ニッケルからなるコア部と、コア部の表面の少なくとも一部を覆うコバルト化合物の被覆部とによって構成されていてもよい。あるいは、正極合剤が、添加剤としての導電剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、コバルト酸化物、コバルト水酸化物、金属コバルト、高次コバルト化合物などを用いることができる。
更には、正極活物質粒子36の高次水酸化ニッケルは、少量のZnやCoを含む固溶体であってもよい。
結着剤38としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、PTFEディスパージョン、HPCディスパージョンなどを用いることができる。
上記した正極24は、例えば、正極活物質粒子36、結着剤38、及び水を混練してスラリーを調製し、このスラリーが充填された正極基板を乾燥、成形して製造することができる。
正極活物質粒子36は、例えば、水酸化ニッケル粒子を酸化することにより作製することができる。
より詳しくは、まず、例えば硫酸ニッケル水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加してpH13〜14で両者を反応させて水酸化ニッケル粒子を析出させる。なお、このときに、例えば所定濃度の硫酸亜鉛水溶液や硫酸コバルト水溶液を添加することにより、析出した水酸化ニッケルに所定量の亜鉛やコバルトを固溶させてもよい。
次に、析出により得られた水酸化ニッケル粒子を、例えば、濃度32%で液温60℃の水酸化ナトリウム水溶液中で撹拌しながら、ここに、酸化剤として、例えば次亜塩素酸ナトリウムを所定量滴下して酸化し、高次水酸化ニッケルの粒子にする。このとき、酸化剤の滴下量を調節することにより、酸化させるニッケル量を変化させ、高次水酸化ニッケル全体におけるニッケル価数の平均値を2よりも大きな所望の値にすることができる。
更に、高次水酸化ニッケルの粒子の表面に、コバルト化合物の被覆層を形成する場合には、得られた高次水酸化ニッケル粒子を投入したアルカリ水溶液に、この水溶液の反応中のpHを9〜10に維持しながら所定濃度の硫酸コバルト水溶液を添加する。これにより、高次水酸化ニッケル粒子36をコア部として、そのコア部の周囲に所定量の水酸化コバルトが被覆部として析出する。なお、コバルト化合物被覆層を持つ高次水酸化ニッケルを作製する場合、水酸化ニッケルの表面にコバルト化合物被覆層を形成した後に高次化処理を行っても良い。
負極26は、帯状をなす導電性の負極基板(芯体)を有し、この負極基板に負極合剤が保持されている。負極基板は、複数の貫通孔が分布されたシート状の金属材からなり、例えば、パンチングメタルや、金属粉末を成型してから焼結した金属粉末焼結体基板を用いることができる。従って、負極合剤は、負極基板の貫通孔内に充填されるとともに、負極基板の両面上に層状にして保持される。
負極合剤は、図1中の他方の円内に概略的に示したけれども、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金により構成される粒子(水素吸蔵合金粒子)40と、アルカリ電解液と反応して水素を発生可能な金属により構成される粒子(水素発生金属粒子)42と、必要に応じて導電助剤(図示せず)と、これら水素吸蔵合金粒子40、水素発生金属粒子42及び導電助剤を負極基板に結着する結着剤44とからなる。
結着剤44としては親水性若しくは疎水性のポリマー等を用いることができ、導電助剤としては、カーボンブラックや黒鉛を用いることができる。
水素吸蔵合金粒子40における水素吸蔵合金は、希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金(希土類−Mg−Ni系合金)であって、主たる結晶構造がCaCu型ではなく、AB型構造とAB型構造とを合わせた超格子構造であり、その組成が
一般式:R1−wMgNiAlyT
で示される。
ただし、式中、Rは、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sr,Sc,Y,Zr,Hf,Ca及びTiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Tは、V,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Ga,Zn,Sn,In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字w,x,y,zはそれぞれ、0<w≦0.15,3.2≦x+y+z≦4.2,0≦y≦0.30,0≦z≦0.1で示される範囲にある。
水素発生金属粒子42における水素発生金属としては、アルカリ電解液と反応して水素を発生させる金属を用いることができる。具体的には、水素発生金属として、Sn,Al及びZnからなる群から選択される少なくとも一種、好ましくはAl又はZnを用いることができる。
例えばSnの場合、以下の式に示す反応により、アルカリ電解液として水素を発生する。
Sn+HO→SnO 2−+H
なお、水素発生金属は、単一の金属のみならず、合金であってもよい。
負極26において、水素吸蔵合金の含有量に対する水素発生金属の含有量は、特に限定されないが、負極26は、100質量部の水素吸蔵合金に対し、0.01質量部以上5質量部以下の範囲の水素発生金属を含むのが好ましく、0.5質量部以上2質量部以下の範囲の水素発生金属を含むのがより好ましい。
上記した負極26は、例えば、水素吸蔵合金粒子40、水素発生金属粒子42、結着剤44、及び水を混練してスラリーを調製し、このスラリーが塗着された負極基板を乾燥、成形して製造することができる。
そして、水素吸蔵合金粒子40は、例えば以下のようにして得ることできる。
まず、上述の組成となるよう金属原料を秤量して混合し、この混合物を例えば高周波溶解炉で溶解してインゴットにする。得られたインゴットに、900〜1200℃の温度の不活性ガス雰囲気下にて5〜24時間加熱する熱処理を施し、インゴットの金属組織をAB型構造とAB型構造とを合わせた超格子構造にする。この後、インゴットを粉砕し、篩分けにより所望粒径に分級して、水素吸蔵合金粒子40を得ることができる。
上述したニッケル水素二次電池は、例えば、以下のようにして製造することができる。 まず、正極24及び負極26をセパレータ28を介して渦巻状に巻回し、この電極群を外装缶に収容する。この後、所定の取付工程を行うとともに、外装缶内にアルカリ電解液を注入する。それから、封口板等により外装缶の開口を密閉し、図1に示した構成のニッケル水素二次電池が組立てられる。
組立てられたニッケル水素二次電池には、活性化処理(コンディショニング)として初めての充電(初充電処理)が行われる。ここで、初充電処理は、ニッケル水素二次電池の組立て直後に実施してもよいが、組立て終了から2時間以上経過後に行うのが好ましい。
上述したニッケル水素二次電池にあっては、水素吸蔵合金粒子40が希土類−Mg−Ni系合金を主成分とするため高容量化に適するとともにアルカリ電解液に対して良好な耐食性を有する。
具体的には、Mgの含有量を表す添字wが0<w≦0.15で示される範囲に設定されることにより、水素吸蔵合金は、アルカリ電解液に対し優れた耐食性(耐アルカリ性)を有するとともに、多量の水素を吸蔵可能である。好ましくは、添字wは0.11以下に設定される。
そして、Alの含有量を表す添字yが0≦y≦0.30で示される範囲に設定されることにより、水素吸蔵合金は、良好な耐アルカリ性を有する。好ましくは、添字yは、0.10≦y≦0.20で示される範囲にある。
また、Tの含有量を表す添字zが0≦z≦0.1で示される範囲に設定されることで、水素吸蔵合金が良好な耐アルカリ性を有する。好ましくは、添字zは、0.02≦z≦0.05で示される範囲にある。
更に、Aサイトに対するBサイトの比率を表す添字xとyとzとの和が3.2≦x+y+z≦4.0で示される範囲に設定されることで、水素吸蔵合金は、良好な水素吸蔵能力及び水素放出能力を有する。好ましくは、x+y+zは、3.3≦x+y+z≦3.5で示される範囲にある。
その上で、上述したニッケル水素二次電池では、負極26中の水素発生金属が、アルカリ電解液と反応して水素を発生させ、発生した水素が水素吸蔵合金に吸蔵される。つまり組立てられたニッケル水素二次電池に初充電を行う前に、容器内で負極26がアルカリ電解液と接触することで、水素吸蔵合金は水素を吸蔵する。このため初充電前に、正極24中の高次水酸化ニッケルが自己放電して酸素が発生しても、発生した酸素は水素吸蔵合金中の水素と反応して水に戻るのみで、水素吸蔵合金の酸化が抑制される。
この結果として、このニッケル水素二次電池によれば、水素吸蔵合金が放電リザーブとしての水素を吸蔵する必要が無いため、水素吸蔵合金量を削減して正極24の体積を増大し、高容量化を達成することができる。
そして、このニッケル水素二次電池では、自己放電に伴う水素吸蔵合金の酸化が抑制されることで、充電時に、正極24と負極26との間での電気化学反応が円滑に進む。このため充電時、正極24で、副反応としての酸素発生反応が進行するのが抑制され、電池内圧の異常な上昇が抑制される。この結果として、このニッケル水素二次電池は、アルカリ電解液の漏出が抑制され、優れたサイクル寿命特性を有する。
また、上述したニッケル水素二次電池では、Mgの含有量を表す添字wが0.11以下であることにより、水素吸蔵合金がより高い耐アルカリ性を有する。この結果として、このニッケル水素二次電池は、より優れたサイクル寿命特性を有する。
更に、上述したニッケル水素二次電池では、水素発生金属としてAl又はZnを使用した場合、Al及びZnの原子量が小さいため、重金属からなる同じ質量の水素発生金属を用いる場合に比べ、より多くの水素を発生させて水素吸蔵合金粒子40に吸蔵させられる。これにより、このニッケル水素二次電池は、アルカリ電解液の漏出が確実に抑制され、より優れたサイクル寿命特性を有する。
あるいは、このニッケル水素二次電池では、水素発生金属としてAl又はZnを使用した場合、Al及びZnの原子量が小さいため、重金属からなる同じモル数の水素発生金属を用いる場合に比べ、軽量化が図られる。
更に、Al及びZnは安価であるため、ニッケル水素二次電池が安価になる。
また更に、上述したニッケル水素二次電池では、負極26が、100質量部の水素吸蔵合金に対し、0.01質量部以上の水素発生金属を含むことにより、水素吸蔵合金の酸化が確実に抑制される。
一方、負極26が、100質量部の水素吸蔵合金に対し、5質量部以下の水素発生金属を含むことで、負極26における水素吸蔵合金の含有量が十分に確保される。また、5質量部以下の水素発生金属を含む場合、アルカリ電解液と水素発生金属との反応により発生して水素吸蔵合金に吸蔵された水素が、高次水酸化ニッケルの自己放電により発生した酸素との反応により略消費され、水素吸蔵合金に吸蔵されたまま放電リザーブになるのが防止される。
これらの結果、このニッケル水素二次電池は、特に優れたサイクル寿命特性を有する。
また、上述したニッケル水素二次電池では、組立て終了から2時間以上経過後に初めて充電されることで、初充電開始までに、負極26中にアルカリ電解液が十分に浸透し、負極26中の水素発生金属の大半がアルカリ電解液と反応する。この結果として、初充電の開始時には、水素吸蔵合金は、自己放電で発生した酸素の殆ど全てを水に戻すだけの水素を十分吸蔵しており、水素吸蔵合金の酸化がより確実に抑制される。
更に、上述したニッケル水素二次電池によれば、正極24中の高次水酸化ニッケルにおけるニッケルの平均価数が2.05価以上であるため、放電リザーブとして負極26に吸蔵される水素が削減される。このため、このニッケル水素二次電池では、負極26の水素吸蔵合金を削減して正極24の体積を増大することで、高容量化が図られる。
一方、正極24中の高次水酸化ニッケルにおけるニッケルの平均価数が2.40価以下であるため、正極24で自己放電により酸素が発生したとしても、発生した酸素が、アルカリ電解液と水素発生金属との反応により発生して水素吸蔵合金に吸蔵された水素と反応して水に確実に戻る。
1.電池の組立て
実施例1
(1)負極の作製
内訳が50%のLa、10%のPr及び25%のNdとなるように希土類成分の原材料を用意し、そして、希土類成分の原材料、Mg、Ni及びAlを原子数比で0.85:0.15:3.20:0.10の割合で含有する水素吸蔵合金の塊を誘導溶解炉を用いて調製した。この合金をアルゴン雰囲気中で1000℃、10時間の熱処理を行い、組成がLa0.50Pr0.10Nd0.25Mg0.15Ni3.20Al0.10で表わされる超格子構造の希土類−Mg−Ni系合金のインゴットを得た。
この希土類−Mg−Ni系合金のインゴットを不活性ガス雰囲気中で機械的に粉砕し、篩分けにより400〜200メッシュの範囲の粒径を有する合金粒子を選別した。この合金粒子に対してレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を使用して粒度分布を測定したところ、重量積分50%に相当する平均粒径は30μmであり、最大粒径は45μmであった。
この合金粒子100質量部に対してポリアクリル酸ナトリウム0.4質量部、カルボキシメチルセルロース0.1質量部、および、ポリテトラフルオロエチレン分散液(分散媒:水、固形分60質量%)2.5質量部及び金属Sn(錫)1質量部を加えた後、混練して負極合剤のスラリーを得た。
このスラリーを、Niめっきを施した厚さ60μmのFe製パンチングメタルの両面の全面に均等に、かつ厚さが一定になるように塗着した。スラリーの乾燥を経て、このパンチングメタルをプレスして裁断し、AAサイズのニッケル水素二次電池用の負極を作製した。
(2)正極の作製
金属Niに対して、Znが3質量%、Coが1質量%の比率となるように、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛および硫酸コバルトの混合水溶液を調製し、この混合水溶液に攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加した。この際、反応中のpHを13〜14に保持して水酸化ニッケル粒子を析出させ、この水酸化ニッケル粒子を10倍量の純水にて3回洗浄したのち、脱水、乾燥した。
次に、析出により得られた水酸化ニッケル粒子を、濃度32%で液温60℃の水酸化ナトリウム水溶液中で撹拌しながら、ここに、所定量の次亜塩素酸ナトリウムを滴下して酸化し、高次水酸化ニッケルの粒子にする。このとき、滴下量を調節して、20%のニッケルを3価にし、高次水酸化ニッケルにおけるニッケル価数の平均値を2.2価とした。
なお、ニッケルの平均価数は、化学分析法を用いて確認した。
この後、高次水酸化ニッケル粒子を10倍量の純水にて3回洗浄してから、脱水、乾燥した。
かくして得られた高次水酸化ニッケル粒子に、40質量%のHPCディスパージョン液を混合して、正極合剤のスラリーを調製した。このスラリーを多孔質構造の発泡ニッケルからなる正極基板に充填して乾燥させてから、この基板を圧延、裁断してAAサイズのニッケル水素二次電池用の正極を作製した。
(3)ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電
上記のようにして得られた負極及び正極を、ポリプロピレンまたはナイロン製の不織布よりなるセパレータ28を介して渦巻状に巻回して電極群を形成し、この電極群を外装缶に収容したのち、この外装缶内に、リチウム、ナトリウムを含有した濃度30質量%の水酸化カリウム水溶液を注入して、図1に示した構成の電池を有し、体積エネルギー密度が300Wh/lであるAAサイズのニッケル水素二次電池を100個組立てた。
かくして組立てられたニッケル水素二次電池に対し、その組立て終了から2時間経過後に、コンディショニングのために充電(初充電)を実施した。なお、初充電では、1.0Cの電流で1時間充電を行った。
実施例2
水素吸蔵合金の組成をLa0.50Pr0.10Nd0.29Mg0.11Ni3.20Al0.10にしたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
実施例3
負極作製の際、水素発生金属として、金属Snに代えて、1質量部の金属Alをスラリーに添加したこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
実施例4
負極作製の際、水素発生金属として、金属Snに代えて、1質量部の金属Alをスラリーに添加したこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
実施例5
負極作製の際、5質量部の金属Snをスラリーに添加したこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
実施例6
正極作製の際、酸化剤の滴下量を調節することにより、ニッケルの平均価数を2.4価にしたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
実施例7
組立て終了から24時間経過後に初充電を実施したこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
実施例8
組立て終了から1時間経過後に初充電を実施したこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
実施例9
負極作製の際、6質量部の金属Snをスラリーに添加したこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
実施例10
正極作製の際、酸化剤の滴下量を調節することにより、ニッケルの平均価数を2.5価にしたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
比較例1
負極作製の際、金属Snをスラリーに添加しなかったこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
比較例2
水素吸蔵合金の組成をLa0.50Pr0.10Nd0.20Mg0.20Ni3.20Al0.10にしたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
比較例3
水素吸蔵合金の組成をLa0.50Ce0.30Pr0.05Nd0.15Ni3.90Co0.45Mn0.25Al0.40にしたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池の組立て及び初充電を実施した。
2.電池評価
(1)漏液数の確認
実施例1〜10及び比較例1〜3の各電池について、100個中、初充電後にアルカリ電解液が漏れている本数を数えた。これらの結果を表1に示す。
(2)サイクル寿命
初充電後、漏液数を確認した実施例1〜10及び比較例1〜3の各電池に1.0Cの電流で終止電圧0.8Vまで放電させた。この後、1.0Cの電流で1時間充電してから1.0Cの電流で終止電圧0.8Vまで放電する電池容量測定を繰り返し、電池が放電できなくなるまでのサイクル数(サイクル寿命)を数えた。これらの結果を、比較例1の結果を100とした相対値にて表1に示す。
Figure 2008235173
(3)評価結果
表1からは以下のことが明らかである。
(i)負極が水素発生金属を含まない比較例1では、初充電後に多数の漏液が発生した。これは以下の理由によると考えられる。
初充電までの間に、正極では自己分解反応が進行して酸素が発生する。負極が水素発生金属を含まない場合、この正極で発生した酸素により、負極の水素吸蔵合金が水素を吸蔵放出できなくなるまで酸化される。
このような状態下でニッケル水素二次電池に初充電を実施した場合、負極が水素を吸蔵できないため、正極では、副反応としての酸素発生反応のみが進行する。このとき発生した酸素は、負極の水素吸蔵合金中の水素と反応するか水素吸蔵合金を酸化することにより消費されるが、水素吸蔵合金中には水素が吸蔵されておらず、また水素吸蔵合金は既に酸化されている。このため、酸素は電池内で行き場を失い、電池の内圧が上昇し、ついには安全弁が作動する。このとき、酸素とともに、アルカリ電解液も電池の外に放出され、漏液が発生する。
(ii)負極が1質量部の金属Snを含む実施例1では、比較例1に比べ、初充電後の漏液発生が大幅に抑制された。これは、以下の理由によると考えられる。
初充電までの間、負極中の金属Snは、アルカリ電解液と反応してSnO 2−になり、このとき水素が発生する。このとき発生した水素は水素吸蔵合金に吸蔵されるが、正極で発生した酸素と反応して水になる。これにより、水素吸蔵合金の酸化が抑制され、初充電時、正極での酸素発生反応の進行も抑制される。これらの結果、電池内圧の上昇が抑制され、アルカリ電解液の漏液も抑制される。
(iii)実施例1に比べ、Mgの含有量が少ない実施例2は、水素吸蔵合金の耐アルカリ性が向上しているため、サイクル寿命において優れている。一方、この実施例2でも、実施例1と同様、負極が金属Snを含むことにより初充電後の漏液発生が大幅に抑制された。
(iv)負極が1質量部の金属Al又はZnを含有する実施例3及び4では、実施例1に比べて漏液数が減少した。
これは、同じ1質量部を添加するならば、Snに比べて原子量が小さいAl又はZnを添加したときの方が、より多くの原子を添加したことになり、より多くの水素を発生させることができたためと考えられる。
(v)負極が5質量部の金属Snを含有する実施例5では、実施例1に比べて漏液数が減少した。これは、より多くの金属Snを含むことで水素の発生量が増加し、自己分解反応により発生した酸素による水素吸蔵合金の酸化が、より確実に抑制されたものと考えられる。
一方、負極が6質量部の金属Snを含有する実施例9では、漏液は抑制されたが、サイクル寿命が低下した。これは、金属Snの添加量が増えすぎると、負極中の水素吸蔵合金の量が相対的に減少すること、及び、金属Snと反応して発生し、水素吸蔵合金に吸蔵される水素量が多くなり、このとき吸蔵された水素の一部が放電リザーブとして常に水素吸蔵合金中に残存することによると考えられる。
これらの結果から、水素発生金属の添加量は、5.0質量部以下であるのが好ましいことがわかる。
(vi)電池組立て後、24時間経過後に初充電を実施した実施例7では、実施例1に比べて漏液が抑制されている。一方、電池組立て後、1時間経過後に初充電を実施した実施例8では、実施例1に比べて、漏液が若干多く発生している。これらは以下の理由によるものと考えられる。
負極中にアルカリ電解液が浸透し、添加した金属Snが全て反応するまでには、ある程度の時間が必要である。逆にいえば、十分な時間が経過すれば、添加された殆ど全ての金属Snがアルカリ電解液と反応し、正極で発生した全ての酸素を水に戻すのに十分な量の水素が発生する。
この結果として、組立て後から初充電を開始するまでの放置時間を長くするほど、水素吸蔵合金の酸化が抑制され、ひいては酸化に起因する漏液がより確実に抑制される。
これは以下の理由によると考えられる。電池内の水素吸蔵合金及び金属Snは電解液を注入した瞬間に全量が反応するわけではない。水素吸蔵合金及び金属Snが反応を起こすためには電解液が存在する必要があるが、負極板はプレスされて電解液が浸透する隙間が少なくなっており、電極の内部方向に存在する水素吸蔵合金及び金属Snに電解液が到達するためには毛細管現象でゆっくりと電解液が浸透するための時間が必要である。このため、初充電を開始するまでの放置時間を長くするほど漏液が抑制されたと考えられる。
(vii)比較例2では、比較例1に比べ、漏液が抑制される一方、サイクル特性が低下した。これは以下の理由によると考えられる。
比較例2では、Mgの含有量を多くしたことにより水素吸蔵合金の耐アルカリ性が低下し、水素吸蔵合金が、アルカリ電解液との反応により酸化されると同時に、酸化反応により発生した水素を吸蔵する。この吸蔵した水素が、正極で発生した酸素と反応することで、水素吸蔵合金の酸化が抑制され、漏液が抑制される。
この一方、比較例2では、Mgの含有量を多くしたことにより水素吸蔵合金の耐アルカリ性が低下したことで、サイクル寿命が低下した。
(vii)比較例3では、比較例1に比べ、漏液が抑制される一方、サイクル特性が大きく低下した。これは以下の理由によると考えられる。
比較例3では、水素吸蔵合金として、Co及びMnを含むAB型の水素吸蔵合金を使用している。この水素吸蔵合金中のCo及びMnは、アルカリ電解液との接触によりアルカリ電解液に溶け、このとき発生した水素が水素吸蔵合金に吸蔵される。この吸蔵した水素が、正極で発生した酸素と反応することで、水素吸蔵合金の酸化が抑制され、漏液が抑制される。
この一方、比較例3では、Co及びMnを含むAB型の水素吸蔵合金は、希土類−Mg−Ni系合金に比べて低容量であるため、サイクル寿命が低下した。
(viii)ニッケルの平均価数が2.4価である実施例6では、実施例1に比べて、漏液数が若干増加したが、サイクル寿命が向上した。これは以下の理由によると考えられる。
実施例6では、ニッケルの平均価数を大きくしたことで、正極の自己放電反応により発生する酸素量が多くなったものと推定されるが、発生した酸素は、水素発生金属によって発生した水素と反応して水になり、水素吸蔵合金の酸化が抑制される。
一方、実施例6では、ニッケルの平均価数を大きくしたことで、放電リザーブとして水素吸蔵合金に吸蔵される水素の量が減少し、サイクル寿命が向上する。
(ix)ニッケルの平均価数が2.5価である実施例10では、実施例1に比べて、漏液数が増加し、サイクル寿命が低下した。これは、実施例10では、ニッケルの平均価数を大きくしたことで、正極の自己放電反応により発生する酸素量が更に多くなったものと推定され、発生した酸素の一部が、水素吸蔵合金を酸化したためと考えられる。これより、ニッケルに平均価数は、2.4価以下であるのが好ましいことがわかる。
本発明は上記した一実施形態及び実施例に限定されることはなく、種々変形が可能であり、例えばニッケル水素二次電池は、角形電池であってもよく、機械的な構造は格別限定されることはない。
本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池を示す部分切欠斜視図であり、一方の円内に正極の一部を、他方の円内に負極の一部を拡大して概略的にそれぞれ示した。
符号の説明
10 外装缶(容器)
24 正極
26 負極
36 正極活物質粒子
40 水素吸蔵合金粒子
42 水素発生金属

Claims (6)

  1. 容器内に正極、負極、これら正極と負極との間に配置されたセパレータ及びアルカリ電解液を具備したニッケル水素二次電池において、
    前記正極は、ニッケルの平均価数が2価を超えている高次水酸化ニッケルを含有する正極活物質粒子を含み、
    前記負極は、
    一般式:R1−wMgNiAlyT
    (ただし、式中、Rは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sr,Sc,Y,Zr,Hf,Ca及びTiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Tは、V,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Ga,Zn,Sn,In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字w,x,y,zはそれぞれ、0<w≦0.15,3.2≦x+y+z≦4.2,0≦y≦0.30,0≦z≦0.1で示される範囲にある。)
    にて表される組成を有する水素吸蔵合金を含有する水素吸蔵合金粒子と、
    前記アルカリ電解液と反応して水素を発生させる水素発生金属を含有する水素発生金属粒子とを含む
    ことを特徴とするニッケル水素二次電池。
  2. 前記添字wは、0.11以下であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル水素二次電池。
  3. 前記添加粒子は、前記水素発生金属として、Al及びZnのうち一方又は両方を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル水素二次電池。
  4. 前記負極は、100質量部の前記水素吸蔵合金に対し、0.01質量部以上5質量部以下の前記水素発生金属を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のニッケル水素二次電池。
  5. 組立て終了から2時間以上経過後に初めて充電されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のニッケル水素二次電池。
  6. 前記正極中の高次水酸化ニッケルにおけるニッケルの平均価数は、2.05価以上2.40価以下の範囲に入っていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のニッケル水素二次電池。
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