JP2008232785A - 血液濾過器 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶血不良の発生を確実に防止することが可能で、使用可能な繊維質フィルタの特性範囲を広くすることも可能な血液濾過器を提供する。
【解決手段】血液濾過材料と該血液濾過材料を収容し血液入口及び濾過液出口を有するホルダーとを備えた血液濾過器であって、血液濾過材料が、厚み方向に積層された複数枚の繊維質フィルタ30a〜30fにより構成され、繊維質フィルタとして互いに通気性が異なる少なくとも2種類のフィルタである第1の繊維質フィルタと第2の繊維質フィルタとを含み、血液入口17側に近い位置に通気性の高い第1の繊維質フィルタを配置し、濾過液出口29側に近い位置に第1の繊維質フィルタよりも通気性の低い第2の繊維質フィルタを配置した。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば人や動物の全血から特定成分を分離する際に使用される血液濾過器に関し、特に全血から血漿や血清等を分離する技術に関する。
血液中の構成成分例えば代謝産物、蛋白質、脂質、電解質、酵素、抗原、抗体などの種類や濃度の測定は通常全血を遠心分離して得られる血漿または血清を検体として行われている。ところが、遠心分離は手間と時間がかかる。遠心分離を行うためには専用の装置が必要であり、少なくとも10分以上が分離処理に費やされる。そこで、遠心分離にかわって、濾過により全血から血漿を分離する方法が検討されている。
この濾過に関する技術としては、ガラス繊維濾紙をカラムに充填し、カラムの一方から全血を注入し、加圧や減圧を行って他方から血漿を得るいくつかの方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
また、自動分析の測定に適した血漿分離装置として、濾過材料をガラス繊維濾紙と微多孔性膜とを組み合わせて構成することも提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5)。
特公昭44−14673号公報 特開平2−208565号公報 特開平4−208856号公報 特公平5−52463号公報 特開2000−180444号公報
このような生化学自動分析用血漿分離装置においては、血液を濾過するための濾過部は、薄板状のガラス繊維濾紙を厚み方向に複数枚重ねることにより構成されるのが一般的である。そのため、ガラス繊維濾紙1枚当たりの特性の変動がわずかであっても、その変動は増幅され、結果として生化学自動分析用血漿分離装置で溶血不良を発生する恐れがあった。特に、血液中の血球量を示すヘマトクリットの数値が高い検体においては、生化学自動分析用血漿分離装置で溶血不良を起こす確率の高いことが知られている。溶血不良の原因としては、例えば以下のような場合がある。
ガラス繊維濾紙の血球透過性が高い場合、血球はガラス繊維濾紙で詰まることはないが、微多孔性膜に血球が多く上がり溶血する。一方、ガラス繊維濾紙の血球透過性が低い場合、血球がガラス繊維濾紙に詰まり、溶血する。そのため、製品の原料となりうるガラス繊維濾紙の血球透過性の許容範囲は極めて狭いものとなっていた。
従来の生化学自動分析用血漿分離装置において、ガラス繊維濾紙に関する血球透過性の指標として、大抵の場合、ガラス繊維濾紙の密度が用いられてきた。しかしながら、密度が同じガラス繊維濾紙であっても血球透過性は異なる場合もあるのが実情であった。そのため、予め規定された範囲内の密度を有するガラス繊維濾紙を採用していても、実際の血球透過性が許容範囲を外れ、その結果、溶血が生じることを確実に防止することはできなかった。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、溶血不良の発生を確実に防止することが可能で、使用可能な繊維質フィルタの特性範囲を広くすることも可能な血液濾過器を提供することを目的とする。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1)血液濾過材料と、該血液濾過材料を収容し血液入口及び濾過液出口を有するホルダーとを備えた血液濾過器であって、
前記血液濾過材料が、厚み方向に積層された複数枚の繊維質フィルタにより構成され、前記繊維質フィルタが、互いに通気性が異なる少なくとも2種類のフィルタである第1の繊維質フィルタと第2の繊維質フィルタとを含み、前記血液入口側に近い位置に通気性の高い第1の繊維質フィルタが配置され、濾過液出口側に近い位置に前記第1の繊維質フィルタよりも通気性の低い第2の繊維質フィルタが配置されたことを特徴とする血液濾過器。
この血液濾過器によれば、血液入口に近い位置では第1の繊維質フィルタの通気性が高いために血球が詰まりにくい。また、濾過液出口に近い位置では第2の繊維質フィルタの通気性が低いために血球を捕捉することができる。また、第1の繊維質フィルタの通気性と第2の繊維質フィルタの通気性とが異なるため、繊維質フィルタ1枚当たりの特性が従来の許容範囲を超えて変動したとしても、血液濾過器内で溶血不良を発生することがなくなる。
(2) (1)記載の血液濾過器であって、前記第1の繊維質フィルタは、空気に対する通気性が7.2〜9.3ml/(秒・cm2)の範囲内の特性を有し、前記第2の繊維質フィルタは、空気に対する通気性が5.5〜6.2ml/(秒・cm)の範囲内の特性を有することを特徴とする血液濾過器。
この血液濾過器によれば、このような範囲内の通気性の繊維質フィルタを採用することにより、血球が詰まりにくく、しかも血球を効果的に捕捉できる。
(3) (1)又は(2)記載の血液濾過器であって、前記繊維質フィルタが、ガラス繊維濾紙を含むことを特徴とする血液濾過器。
この血液濾過器によれば、適用可能なガラス繊維濾紙の許容範囲が格段に広げられ、効率よく血液の濾過を行うことができる。
(4) (1)〜(3)のいずれか1項記載の血液濾過器であって、
前記血液濾過材料が、積層された3枚以上の繊維質フィルタにより構成されている場合に、前記第1の繊維質フィルタ及び第2の繊維質フィルタの少なくとも一方が、互いに通気性の同等な複数枚の繊維質フィルタを互いに隣接する状態で積層されていることを特徴とする血液濾過器。
この血液濾過器によれば、繊維質フィルタの種類(通気性)については2種類で基本的には十分であるが、血液濾過材料として3枚以上の繊維質フィルタを積層して用いる場合、通気性が同じ繊維質フィルタ同士が互いに隣接する位置に配置(積層)される。これによって、濾過性能を良好にすることができる。
(5) (1)〜(4)のいずれか1項記載の血液濾過器であって、前記血液濾過材料は、血中の血漿または血清を分離することを特徴とする血液濾過器。
この血液濾過器によれば、血中の血漿、血清を、溶血不良を起こすことなく効率よく分離することができる。
本発明の血液濾過器によれば、血液入口に近い位置では第1の繊維質フィルタの通気性が高いため、血球が詰まりにくい。また、濾過液出口に近い位置では第2の繊維質フィルタの通気性が低いため血球を捕捉することもできる。また、第1の繊維質フィルタの通気性と第2の繊維質フィルタの通気性とが異なるため、繊維質フィルタ1枚当たりの特性が従来の許容範囲を超えて変動したとしても血液濾過器内で溶血することがなくなる。
本発明に係る血液濾過器の好適な実施の形態について、図1〜図3を参照しながら以下に詳細に説明する。
図1は実施の形態における血液濾過器の構造を表す断面図である。図2は図1の血液濾過器を表す平面図である。図3は図1の血液濾過器に設けられた蓋体を表す底面図である。勿論、図1〜図3に示す構成は一例であって、様々な変形が可能であることは言うまでもない。
この血液濾過器は、生化学自動分析用血漿分離装置として構成されており、図1に示すように、血液濾過材料を構成する複数枚のガラス繊維濾紙(繊維質フィルタ)30と、これを保持するホルダー1とを有する。このホルダー1は、ホルダー本体10と、その上部に密着固定された蓋体20とからなる。
ホルダー本体10は、ハイインパクトポリスチレン樹脂で形成されたもので、ガラス繊維濾紙30を収容するガラス繊維濾紙収納室11が形成されるとともに、このガラス繊維濾紙収納室11の上部において、血液濾過材料を構成する微多孔性膜(ポリスルホン多孔膜)40を収容する微多孔性膜収納室12が形成されている。この微多孔性膜収納室12は、下端においてガラス繊維濾紙収納室11より大きい径の段部19が形成されており、この段部19に微多孔性膜40が載置された状態で収容される。また、この段部19の外周縁から、上方に斜めに立ち上がった傾斜部13が形成されており、傾斜部13の上縁から外方にフランジ14が形成されている。
一方、ホルダー本体10の底部には、周縁よりやや内側にガラス繊維濾紙載置部15が設けられ、そこから浅いロート状円板部16が連接され、このロート状円板部16の中心から下方にノズル状血液入口17が延設されている。このノズル状血液入口17には、血液濾過の際、吸引ノズル(図示せず)が装着される。ガラス繊維濾紙載置部15は、極細繊維で構成されるガラス繊維濾紙30の下面をホルダー本体10のロート状円板部16から隔離させて空間18を形成するスペーサーとしても機能している。
蓋体20には、外側から内側に向かって順番に、同心円状に、円筒状をした外壁21と、内壁22と、濾過液(血漿)を貯溜するための濾過液受槽(カップ)45とが形成されている。また、内壁22と濾過液受槽45の間には溢流液受槽50が形成されている。外壁21は、上方ほど外側へ広がるテーパー状に形成されており、この外壁21の傾斜角は傾斜部13の傾斜角と同一であり、また、外径が傾斜部13の内径と同一となっている。すなわち、外壁21が傾斜部13に密着状態で嵌合するようになっている。また、外壁21の周縁部には外方に突出するフランジ24が形成され、このフランジ24がホルダー本体10のフランジ14と超音波で接着されている。このフランジ24の底面(フランジ14と接着する面)には、図3に示すように、接着以前の段階において、接着の際、超音波エネルギーを集めて液密性を充分に確保した状態で接着できるように、接合方向に突出するリブ25が形成されている(なお、接着後は溶融消滅している)。
また、蓋体20の底面には、図3に示すように、12個の突起26が略均等な間隔で形成されており、この突起26により、微多孔性膜40が密着することを防止している。
蓋体20の内壁22と濾過液受槽45との間には、煙突状の血漿通路27が蓋体20を貫通して上方に突設されており、この血漿通路27の上方には、血漿の噴出を阻止する庇28が水平方向に形成されている。この庇28は、大小2つの半円を組み合わせた形状をしており、内側の半円は血漿通路27の外壁と一致している。また、血漿通路27の上端内側部分には、濾過液受槽45方向へ斜めになった濾過液出口29が形成され、濾過液が濾過液受槽45内に容易に流れ込むようになっている。この濾過液出口29は側面形状が略細長楕円を半割にした形状になっている。濾過液出口29から濾過液受槽45の上縁まで両側に濾過液の飛散を防止する衝立23が設けられている。
なお、上記構成の血液濾過器の一寸法例としては、次の通りである。
ガラス繊維濾紙収納室11の直径:20.1mm
同 深さ:5.9mm
微多孔性膜収納室12の下端における直径:23.0mm
同 上端における直径:22.5mm
同 深さ:2.10mm
外壁21の外周面下端の直径:20.98mm
同 下面からフランジ24までの高さ:2mm
内壁22の内径:15.0mm
濾過液受槽45の内径:7.5mm
ガラス繊維濾紙30の直径:20.0mm、同厚さ:0.91mmのもの6枚、
微多孔性膜40の直径:20.9mm
同 厚さ:150μmである。
また、濾過液出口29は、縦1.3mm、横1.2mm、庇の厚さ1mm、衝立23,23間の間隔(対向面の距離)は2mmである。
なお、上述の血液濾過器を構成するホルダー1の材料としては、ガラス又はプラスチックが好ましい。プラスチックとしては、例えばポリスチレン、ポリメタアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等が好ましい。
図1においては6枚のガラス繊維濾紙30a,30b,30c,30d,30e,30fを厚み方向に積層した状態を示しているが、血漿を分離するための実際の血液濾過材料としては、複数枚のガラス繊維濾紙30を通常は2〜10枚、好ましくは4〜8枚重ねて用いることを想定している。
積層されたガラス繊維濾紙30の全体の厚みについては、ガラス繊維濾紙1枚当たり厚みと枚数によって変わるが、通常は2〜8mm、好ましくは3〜6mmが想定される。実際に使用するガラス繊維濾紙30の1枚当たりの想定される厚み(53kPa圧力下)については、通常0.2〜3mmであり、好ましくは0.5〜2mmである。
また、本発明を実施する場合には、互いに通気性が異なる少なくとも2種類のガラス繊維濾紙30を同時に使用するとともに、血液濾過器(血漿分離装置)の血液入り口側(ノズル状血液入口17)に近い位置には、出口側(濾過液出口29)に近い位置に配置されるガラス繊維濾紙30に比べて通気性の大きいものを配置する。
例えば、図1に示す血液濾過器においては、血液入り口側に最も近い位置に配置されたガラス繊維濾紙30aの通気性は、濾過液出口29側に最も近い位置に配置されたガラス繊維濾紙30eよりも通気性が高いことが必要とされる。つまり、血液入り口に近い側には通気性の高いガラス繊維濾紙30を配置し、出口に近い側に向かって、通気性の低いガラス繊維濾紙30を配置する。
互いに通気性が異なる2種類のガラス繊維濾紙30を使用する場合に、血液入り口に近い側に配置されるガラス繊維濾紙30の1枚当たりの好ましい特性として想定している通気性は次の通りである。
通気時間(単位面積当たりに気体(空気)の所定体積が通過するのに要する所要時間):5.0〜6.5秒(1平方インチ、300ml)、すなわち、単位面積、単位時間当たりの気体(空気)の流量(ml/(秒・cm2))で表すと、7.2〜9.3ml/(秒・cm)になる。
さらに好ましい通気性の範囲は次の通りである。
通気時間:5.0〜6.2秒(1平方インチ、300ml) 7.5〜9.3ml/(秒・cm
最も好ましい通気性の範囲は次の通りである。
通気時間:5.0〜6.0秒(1平方インチ、300ml) 7.8〜9.3ml/(秒・cm
このような通気性については、例えばフラジール法などを用いて規定することができ、一般的には単位面積、単位時間当たりの気体(空気)の流量(ml/(秒・cm2))、あるいは単位面積当たりに気体(空気)の所定体積が通過するのに要する所要時間として表すことができる。
一方、濾過液出口29に近い側に配置されるガラス繊維濾紙30の1枚当たりの好ましい特性として想定している通気性は次の通りである。
通気時間:7.5〜8.5秒(1平方インチ、300ml) 5.5〜6.2ml/(sec・cm
さらに好ましい通気性の範囲は次の通りである。
通気時間:7.7〜8.5秒(1平方インチ、300ml) 5.5〜6.0ml/(sec・cm
最も好ましい通気性の範囲は次の通りである。
通気時間:7.7〜8.0秒(1平方インチ、300ml) 5.8〜6.0ml/(sec・cm
つまり、本発明の血液濾過器は、血漿分離装置の血液入り口側と濾過液出口29側とでガラス繊維濾紙30の通気性に差を持たせていることに特徴を有しており、さらには、血液濾過材料の材質として、高い空隙率のガラス繊維を用いることができるため、血液濾過材料として有機ポリマー繊維を使った場合と比較して、血球が濾過材料において詰まりにくいので、ヘマトクリットが高い(50%以上)の血液における濾過特性を向上できる。
また、濾過液出口29側には、ガラス繊維濾紙30で捕らえることが出来なかった血球を捕捉する微多孔性膜(ポリスルホン多孔膜)40を設けてある。この微多孔性膜40は溶血を防止するために表面が親水化されていてもよい。微多孔性膜の平均孔径は、通常は0.5〜5μmであり、好ましくは0.3〜3μmとされる。微多孔性膜40の材料としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、フッ素含有ポリマー等が好ましいが、特に限定されるものではない。また、微多孔性膜40の空隙率は、通常は40%〜95%が適当であり、好ましくは50%〜95%、さらに好ましくは70%〜95%が適当である。微多孔性膜40の厚さは、通常0.05〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.3mmである。ここで使用する微多孔性膜40の枚数は、通常1枚で十分であるが、必要に応じて2枚以上に増やしても良い。
ここで、本発明の血液濾過器の効果を検証するため、下記に示す比較例と実施例の条件で濾過性能を比較した。
[比較例]
本発明と対比するために、図1〜図3に示された血液濾過器と同様の構成を有し、ガラス繊維濾紙収納室11に収納される血液濾過材料、すなわちガラス繊維濾紙だけを変更した血液濾過器を比較例として作成し、実験を行った。
この比較例では、血液濾過器のガラス繊維濾紙収納室11に次のようなガラス繊維濾紙を収納した。
通気性(通気時間):7.7秒(1平方インチ、300ml)=6.0ml/(秒・cm
また、実際に使用したガラス繊維濾紙は、ワットマン社製GF/Dであり、同じ特性のガラス繊維濾紙を7枚積層した状態でガラス繊維濾紙収納室11に配置した。ガラス繊維濾紙の1枚当たりの厚みは618μmであった(53kPa圧力下)。
また、微多孔性膜40としてはポリスルホン多孔膜(富士フイルム株式会社製)を使用した。
この比較例の血漿分離装置(血液濾過器)と生化学分析装置の富士ドライケム3500(富士フイルム株式会社製)を組み合わせて使用し、全血3ml(健常者より採血した後、ヘマトクリット55%に調整)から血漿0.3mlを分離した。このときの最大減圧は130mmHg、分離処理は1分間で終了した。
分離した血漿の電解質濃度を測定したところ、カリウム濃度が4.3mEq/Lだった。同じ全血について、遠心分離法により分離した血漿のカリウム濃度は4.0mEq/Lであったので、両者の結果に違いがあることから、この比較例の血漿分離装置では溶血が発生したことは明らかである。
[実施例1]
本発明の具体的な構成例として「実施例1」の血漿分離装置(血液濾過器)を作成し、実験を行った。
この「実施例1」では、図1〜図3に示された血液濾過器と同様に構成するとともに、血液濾過器のガラス繊維濾紙収納室11に次のようなガラス繊維濾紙を収納した。
図1に示すものと同様に、6枚のガラス繊維濾紙30a,30b,30c,30d,30e,30fを厚み方向に積層した状態でガラス繊維濾紙収納室11内に配置した。実際に用いたガラス繊維濾紙30は2種類であり、ノズル状血液入口17に近い方の2枚のガラス繊維濾紙30a,30bについては通気性が高いものを使用し、濾過液出口29に近い方の4枚のガラス繊維濾紙30c,30d,30e,30fについては相対的に通気性の低いものを使用した。
具体的には、ガラス繊維濾紙30a、30bについては、それぞれ
通気性(通気時間):5.5秒(1平方インチ、300ml) 8.5ml/(秒・cm
の特性をもつガラス繊維濾紙(ワットマン社製GF/D)を使用し、2枚を重ねて使用した。このガラス繊維濾紙の1枚当たりの厚みは698μmであった(53kPa圧力下)。
また、ガラス繊維濾紙30c,30d,30e,30fについては、それぞれ
通気性(通気時間):7.7秒(1平方インチ、300ml) 6.0ml/(秒・cm
の特性をもつ別のガラス繊維濾紙(ワットマン社製GF/D)を使用し、4枚を重ねて使用した。このガラス繊維濾紙の1枚当たりの厚みは618μmであった(53kPa圧力下)。
つまり、「実施例1」では、ガラス繊維濾紙収納室11に通気性が異なる2種類のガラス繊維濾紙を合計6枚重ねて入れたことになる。また、微多孔性膜40としてはポリスルホン多孔膜(富士フイルム株式会社製)を使用した。
この血漿分離装置と生化学分析装置の富士ドライケム3500(富士フイルム株式会社製)を組み合わせて使用し、全血3ml(健常者より採血した後、ヘマトクリット55%に調整)から血漿0.3mlを分離した。このときの最大減圧は130mmHg、分離処理は1分間で終了した。
分離した血漿の電解質濃度を測定したところ、カリウム濃度が4.0mEq/Lだった。同じ全血について、遠心分離法により分離した血漿のカリウム濃度は4.0mEq/Lであった。つまり、両者の結果が同じことから、「実施例1」の血漿分離装置では遠心分離法を用いる場合と同様に溶血が発生していないことが明らかである。
なお、ガラス繊維濾紙としてワットマン社製GF/Dを用いたが、このガラス繊維濾紙は、その規格範囲が次のように定められている。
通気性(通気時間)5.0秒(1平方インチ、300ml)=9.3ml/(秒・cm
〜11.0秒(1平方インチ、300ml)=4.2ml/(秒・cm
この規格のガラス繊維濾紙を用いて測定を行ったところ、通気性の過大に起因する溶血の発生は認められなかった。そのため、好適に利用できるガラス繊維濾紙の通気性の上限値は9.3mlとする。
[実施例2]
図1に示すものと同様に、6枚のガラス繊維濾紙30a,30b,30c,30d,30e,30fを厚み方向に積層した状態でガラス繊維濾紙収納室11内に配置した。実際に用いたガラス繊維濾紙30は2種類であり、ノズル状血液入口17に近い方の3枚のガラス繊維濾紙30a,30b,30cについては通気性が高いものを使用し、濾過液出口29に近い方の3枚のガラス繊維濾紙30d,30e,30fについては相対的に通気性の低いものを使用した。
具体的には、ガラス繊維濾紙30a,30b,30cについては、それぞれ
通気性(通気時間):5.5秒(1平方インチ、300ml) 8.5ml/(秒・cm
の特性をもつガラス繊維濾紙(ワットマン社製GF/D)を使用し、3枚を重ねて使用した。このガラス繊維濾紙の1枚当たりの厚みは698μmであった(53kPa圧力下)。
また、ガラス繊維濾紙30d,30e,30fについては、それぞれ
通気性(通気時間):7.7秒(1平方インチ、300ml) 6.0ml/(秒・cm
の特性をもつ別のガラス繊維濾紙(ワットマン社製GF/D)を使用し、3枚を重ねて使用した。このガラス繊維濾紙の1枚当たりの厚みは618μmであった(53kPa圧力下)。
つまり、「実施例2」では、ガラス繊維濾紙収納室11に通気性が異なる2種類のガラス繊維濾紙を合計6枚重ねて入れたことになる。また、微多孔性膜40としてはポリスルホン多孔膜(富士フイルム株式会社製)を使用した。
この血漿分離装置と生化学分析装置の富士ドライケム3500(富士フイルム株式会社製)を組み合わせて使用し、全血3ml(健常者より採血した後、ヘマトクリット55%に調整)から血漿0.3mlを分離した。このときの最大減圧は130mmHg、分離処理は1分間で終了した。
分離した血漿の電解質濃度を測定したところ、カリウム濃度が4.0mEq/Lだった。同じ全血について、遠心分離法により分離した血漿のカリウム濃度は4.0mEq/Lであった。つまり、両者の結果が同じことから、「実施例2」の血漿分離装置では遠心分離法を用いる場合と同様に溶血が発生していないことが明らかである。
[実施例3]
図1に示すものと同様に、2種類6枚のガラス繊維濾紙30a,30b,30c,30d,30e,30fを厚み方向に積層した状態でガラス繊維濾紙収納室11内に配置した。前述の実施例と同様にノズル状血液入口17に近い方の3枚のガラス繊維濾紙30a,30b,30cについては通気性が高いものを使用し、濾過液出口29に近い方の3枚のガラス繊維濾紙30d,30e,30fについては相対的に通気性の低いものを使用した。
具体的には、ガラス繊維濾紙30a,30b,30cについては、それぞれ
通気性(通気時間):6.2秒(1平方インチ、300ml) 7.4ml/(秒・cm)の特性をもつガラス繊維濾紙(ワットマン社製GF/D)を使用し、3枚を重ねて使用した。このガラス繊維濾紙の1枚当たりの厚みは687μmであった(53kPa圧力下)。
また、ガラス繊維濾紙30d,30e,30fについては、それぞれ
通気性(通気時間):7.7秒(1平方インチ、300ml) 6.0ml/(秒・cm)の特性をもつ別のガラス繊維濾紙(ワットマン社製GF/D)を使用し、3枚を重ねて使用した。このガラス繊維濾紙の1枚当たりの厚みは618μmであった(53kPa圧力下)。
つまり、「実施例3」では、ガラス繊維濾紙収納室11に通気性が異なる2種類のガラス繊維濾紙を合計6枚重ねて入れたことになる。また、微多孔性膜40としてはポリスルホン多孔膜(富士フイルム株式会社製)を使用した。
この血漿分離装置と生化学分析装置の富士ドライケム3500(富士フイルム株式会社製)を組み合わせて使用し、全血3ml(健常者より採血した後、ヘマトクリット55%に調整)から血漿0.3mlを分離した。このときの最大減圧は130mmHg、分離処理は1分間で終了した。
分離した血漿の電解質濃度を測定したところ、カリウム濃度が3.9mEq/Lだった。同じ全血について、遠心分離法により分離した血漿のカリウム濃度は3.9mEq/Lであった。つまり、両者の結果が同じことから、「実施例3」の血漿分離装置では遠心分離法を用いる場合と同様に溶血が発生していないことが明らかである。
なお、上記各実施例においては、互いに通気性が異なる2種類のガラス繊維濾紙30を同時に使用する場合を示したが、3種類以上のガラス繊維濾紙30を同時に使用しても良い。通気性が高いガラス繊維濾紙と通気性が中程度のガラス繊維濾紙と通気性が低いガラス繊維濾紙との3種類を使用する場合には、例えば図1に示す6枚のガラス繊維濾紙30a,30b,30c,30d,30e,30fのうち、ノズル状血液入口17に近い側のガラス繊維濾紙30a,30bとして通気性が高いガラス繊維濾紙を使用し、中央の2枚のガラス繊維濾紙30c,30dとして通気性が中程度のガラス繊維濾紙を使用し、濾過液出口29に近い側の2枚のガラス繊維濾紙30e,30fとして通気性が低いガラス繊維濾紙を配置することができる。
つまり、ノズル状血液入口17側に配置するガラス繊維濾紙30の通気性を高くし、濾過液出口29に近づくに従って通気性が低くなるように複数種類のガラス繊維濾紙30を配置する。
なお、上記説明では血中の血漿を分離することを例示しているが、本発明に係る血液濾過器は、血中の血清を分離することにも同様に適用可能である。
本発明の血液濾過器は、例えば人や動物の全血から血漿(あるいは血清)を分離するために用いられる生化学自動分析用血漿分離装置として利用することができ、ガラス繊維濾紙の特性が従来の許容範囲を超えて変動した場合であっても血液濾過器内で溶血が生じることを防止できる。
実施の形態における血液濾過器の構造を表す断面図である。 図1の血液濾過器を表す平面図である。 図1の血液濾過器に設けられた蓋体を表す底面図である。
符号の説明
1 ホルダー
10 ホルダー本体
11 ガラス繊維濾紙収納室
12 微多孔性膜収納室
13 傾斜部
14 フランジ
15 ガラス繊維濾紙載置部
16 ロート状円板部
17 ノズル状血液入口
18 空間
19 段部
20 蓋体
21 外壁
22 内壁
23 衝立
24 フランジ
25 リブ
26 突起
27 血漿通路
28 庇
29 濾過液出口
30 ガラス繊維濾紙(繊維質フィルタ)
40 微多孔性膜(ポリスルホン多孔膜)
45 濾過液受槽(カップ)
50 溢流液受槽

Claims (5)

  1. 血液濾過材料と、該血液濾過材料を収容し血液入口及び濾過液出口を有するホルダーとを備えた血液濾過器であって、
    前記血液濾過材料が、厚み方向に積層された複数枚の繊維質フィルタにより構成され、
    前記繊維質フィルタが、互いに通気性が異なる少なくとも2種類のフィルタである第1の繊維質フィルタと第2の繊維質フィルタとを含み、
    前記血液入口側に近い位置に通気性の高い第1の繊維質フィルタが配置され、濾過液出口側に近い位置に前記第1の繊維質フィルタよりも通気性の低い第2の繊維質フィルタが配置されたことを特徴とする血液濾過器。
  2. 請求項1記載の血液濾過器であって、
    前記第1の繊維質フィルタは、空気に対する通気性が7.2〜9.3ml/(秒・cm2)の範囲内の特性を有し、
    前記第2の繊維質フィルタは、空気に対する通気性が5.5〜6.2ml/(秒・cm)の範囲内の特性を有することを特徴とする血液濾過器。
  3. 請求項1又は請求項2記載の血液濾過器であって、
    前記繊維質フィルタが、ガラス繊維濾紙を含むことを特徴とする血液濾過器。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の血液濾過器であって、
    前記血液濾過材料が、積層された3枚以上の繊維質フィルタにより構成されている場合に、
    前記第1の繊維質フィルタ及び第2の繊維質フィルタの少なくとも一方が、互いに通気性の同等な複数枚の繊維質フィルタを互いに隣接する状態で積層されていることを特徴とする血液濾過器。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の血液濾過器であって、
    前記血液濾過材料は、血中の血漿または血清を分離することを特徴とする血液濾過器。
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