JP2004283656A - 濾過フィルター及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】親水性及び耐熱性に優れ、滅菌処理等の加熱処理後でもその濾過特性や親水性が損なわれることのない濾過フィルターを提供する。
【解決手段】フィルター基材表面に、親水性高分子及び耐熱性高分子を含む被覆層を有する濾過フィルター。この濾過フィルターを、以下の工程(1)及び(2)を繰り返して行うことにより製造する。
工程(1):フィルター基材を親水性高分子及び耐熱性高分子を含む溶液に浸漬する工程。
工程(2):工程(1)にて処理されたフィルターを乾燥させる工程。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は濾過フィルター及びその製造方法に関し、詳しくは、親水性及び耐熱性に優れ、特に滅菌処理等の加熱処理後でもその濾過特性や親水性が損なわれることがなく、このため、血液濾過用等の医療用途、食品工業用途、空気などの気体等の濾過に適した濾過フィルター及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
濾過フィルター、とりわけ血液や体液などの流体を濾過する濾過フィルターとしては、従来、ウール類、不織布、織布類、多孔質フィルム・シート、中空糸等の様な濾過フィルターが用いられてきた。これら血液や体液などの流体を濾過する濾過フィルターは、赤血球、白血球、血小板等の血液・細胞が浮遊した粘調性の流体を濾過対象とするので、▲1▼血球や細胞が粘着して目詰まりを起こさないこと、▲2▼血球が壊れて細胞内物質が露出(特に赤血球細胞が壊れる場合を溶血という)しないこと、▲3▼異物に接触した細胞・血球が異常反応して変形しないこと、▲4▼異物に接触した細胞・血球が細胞放出因子(サイトカイン、ケモカイン)を放出しないこと、▲5▼血液や体液を濾過するに先立ち、濾過フィルターに予め生理食塩水を充填しておく操作(プライミング操作)は煩雑であり、また、生理食塩水による血液・体液の希釈の問題もあることから、この操作が不要であること等の理由から、濾過フィルターの表面は親水性である必要があった。
【0003】
このため、例えばフィルター基材として、コットン(木綿)ウール、セルロース誘導体、親水性高分子(例えばポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体)等よりなるものを用いた場合には、フィルター基材自体の表面が親水性であるため、そのまま使用に供することができるが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類や、ポリエステル類、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド類などからなるフィルター基材を用いる場合には、その表面が疎水性であるため、濾過フィルターとしての使用に際し、事前にフィルター基材表面の親水化処理を行うことが必要となる。
【0004】
従来、濾過フィルター基材の表面の親水化方法としては、例えば以下の▲1▼〜▲4▼で示す方法が知られている。
【0005】
▲1▼ フィルター基材を、エタノール等の低級アルコールやその水溶液などの、表面張力が弱く染み込みやすい液体と接触させて処理する方法(例えば特許文献1参照)
▲2▼ フィルター基材を、水溶性界面活性剤のようなフィルター界面の性状を変化させ且つ親水性である薬品で処理する方法(例えば特許文献2参照)
▲3▼ 有機高分子樹脂製のフィルター基材に、グラフト重合などにより親水基を導入し、フィルター基材表面を親水化する方法(例えば特許文献3参照)
▲4▼ フィルター基材表面を親水性高分子で被覆する方法(例えば特許文献4参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平7−53763号公報(段落番号[0003])
【特許文献2】
特許第3311091号公報(請求項3)
【特許文献3】
特公平8−2994号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開平6−296859号公報(請求項1,2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼〜▲4▼の方法のうち、▲1▼、▲2▼では、エタノール等の液体、或いは界面活性剤などの薬品が濾過後の流体(濾液)に混入してしまうという問題があった。特に、血液等を濾過・精製する際には、この様な不純物の混入は極力避ける必要があり、重大な問題であった。
【0008】
また、前記▲2▼においては、工業的規模でのグラフト重合設備等が必要になる上、グラフト重合処理工程に時間を要するだけでなく、フィルター基材に導入した親水性基が脱離し易いという課題が指摘されている。
【0009】
また、前記▲4▼において、フィルター基材に用いる親水性高分子、例えばポリビニルアルコール類、エチレンビニルアルコール類、及びポリヒドロキシエチルメタクリレート類等は、一般的に耐熱性が低く、高温での保存、処理、及び使用に制限があった。また、濾過フィルターとして生体物質の濾過材、特に血液濾過フィルター等の医療用器具として用いる場合、医療用器具として必要不可欠な滅菌処理において、簡便で周辺環境への負荷が低いオートクレーブ滅菌が行えないという欠点があり、滅菌処理がエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌や、γ線滅菌等に制限される。更にフィルター基材表面に親水性高分子を被覆した後、オートクレーブ滅菌等の加熱処理を施すと、親水性高分子の剥がれが生じ、フィルター基材表面全体を被覆した状態とすることができず、フィルター基材表面の一部が疎水性に戻り、濾過特性が低下したり、剥離した親水性高分子が濾液に混入するなどの問題もあった。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決し、親水性及び耐熱性に優れ、特に滅菌処理等の加熱処理後でもその濾過特性や親水性が損なわれることのない濾過フィルター及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の濾過フィルターは、フィルター基材表面に、親水性高分子及び耐熱性高分子を含む被覆層を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の濾過フィルターの製造方法は、このような本発明の濾過フィルターを製造する方法であって、以下の工程(1)及び(2)を繰り返して行うことを特徴とする。
工程(1):フィルター基材を親水性高分子及び耐熱性高分子を含む溶液に浸漬する工程。
工程(2):工程(1)にて処理されたフィルターを乾燥させる工程。
【0013】
即ち、本発明者らは、加熱による滅菌処理等を行っても、親水性を失うことがなく、また、その濾過特性や物性が損なわれることのない、耐熱性と親水性を兼ね備えた濾過フィルターを提供すべく鋭意検討した結果、フィルター基材に親水性高分子及び耐熱性高分子を含む溶液、好ましくは耐熱性高分子としてそれ自身も親水性を有するものを使用した溶液を適用し、これを乾燥させて、フィルター基材表面に親水性高分子と耐熱性高分子とを含む被覆層を形成することにより、滅菌処理等の加熱処理を行っても、親水性を失わず、また、その濾過特性や物性が損なわれることのない、耐熱性と親水性を兼ね備えた濾過フィルターを得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の濾過フィルター及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明の濾過フィルターは、フィルター基材表面に、親水性高分子及び耐熱性高分子を含む被覆層を有する濾過フィルターであって、具体的には、親水性高分子と耐熱性高分子とを含むコーティング溶液をフィルター基材にコーティングすることにより、フィルター基材に耐熱性を有する親水性被膜を形成した濾過フィルターである。
【0016】
本発明で使用される耐熱性高分子は、親水性高分子に添加して耐熱性を有する親水性被膜を形成することができる高分子であれば何でも良く、その性状、構造などに限定されるものではない。なお、本発明で用いる耐熱性高分子は、親水性高分子と混合することから、親水性高分子と相溶性のあるものが好ましい。
【0017】
本発明で用いる耐熱性高分子の一例としては、例えばポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、非芳香族系ポリアミド、ポリパラバン酸、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリシロキサン化合物等の有機系耐熱性ポリマーが挙げられる。また、チタニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、ジルコニア、酸化ケイ素、チタン酸バリウム等で構成される無機系耐熱性ポリマーも挙げられる。
【0018】
これらの耐熱性高分子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよいが、中でも有機系耐熱性高分子が好ましく、特に、以下の一般式(示性式)(I)で表される、シロキサン化合物を縮重合してなるシロキサン結合を有するポリシロキサン化合物が好ましい。
SiO(OR …(I)
(ここで、a、b及びcは、0.5≦a≦1.6、0.8≦b≦3.0、及び0.≦c≦2.0であり、2a+b+c=4を満たす数である。Rは炭素数1〜4の炭化水素基を示し、Rは水素原子、或いはRと同じか又は異なる有機基を示す。)
【0019】
上記一般式(I)において、酸素原子を介してケイ素に結合している有機基であるRは、炭素数1〜4の炭化水素基であれば任意のものでよく、例えば、直鎖状、分岐状或いは環状のアルキル基が挙げられる。より具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロペンチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。Rとしては特に、炭素数1〜4のアルキル基が好適であり、加水分解性と水溶性の面から、メチル基及び/又はエチル基が好ましく、最も好ましいのはメチル基である。なお、上記一般式(I)で表される化合物1分子中において、Rを複数有する場合には、1分子中に於けるRは、同一でも異なっていてもよい。
【0020】
上記一般式(I)で示される化合物においては、ケイ素原子に直接結合する有機基Rがあってもよく、特にその種類も限定されないが、水溶性樹脂と混合して使用する場合などは、相溶性の面からRの無い(即ち、c=0である)化合物を用いることが好ましい。この際、Rを有する(即ち、c>0である)化合物と併用してもよく、その場合の混合割合は任意である。
【0021】
上記の本発明で用いるポリシロキサン化合物として好ましい具体例としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン等シロキサン化合物の重縮合物が挙げられ、これらの部分加水分解縮合物であってもよい。
【0022】
ポリシロキサン化合物としては、例えば、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物であるポリメトキシシロキサンとして、三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」、「MKCシリケートMS56」或いはこれらの加水分解液が挙げられる。
【0023】
なお、本発明で用いるポリシロキサン化合物は、一般式(I)で示したように、有機基として(Rの様に)酸素を介してケイ素に結合するもののほかに、(Rの様に)ケイ素に直接結合した有機基を有するケイ素化合物を用いて重縮合物としても良い。
【0024】
このような化合物としては、例えば各種のシランカップリング剤等が挙げられる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリn−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリn−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリn−プロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物、及びこれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。
【0025】
また、同様のシランカップリング剤として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン化合物、及びこれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。
【0026】
更に、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン等のクロロシラン化合物、及びこれらの部分加水分解縮合物や、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、p−〔N−(2−アミノエチル)アミノメチル〕フェネチルトリメトキシシラン等も挙げられる。
【0027】
ポリシロキサン化合物の重量平均分子量は親水性高分子との相溶性を高めるために1000以下、より好ましくは256〜800であることが望ましい。更にこの様な分子量のポリシロキサン化合物は、親水性高分子に耐熱性を付与するだけでなく、加水分解によってシラノール基を生成し、これが親水性を示すため、本発明において最も好適に用いることができる。
【0028】
このような分子量を満たすものとして、また、前記の条件と照らし合わせて、特に本発明において好適なポリシロキサン化合物としては例えば、三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」(重量平均分子量=510)が挙げられる。更にこの様な分子量のポリシロキサン化合物は、親水性高分子に耐熱性を付与するだけでなく、加水分解によってシラノール基を生成し、これが親水性を示すため、本発明において最も好適に用いることができる。
【0029】
また、本発明で用いるポリシロキサン化合物においては、鉄、クロム等の金属や、塩素原子等の不純物は少ない方が、本発明の濾過フィルターの用途、例えば血液濾過フィルター等のように溶出成分等の制限が厳しい医療用途にも用いることができるので好ましい。このようなことから、本発明で用いるポリシロキサン化合物中の塩素等のハロゲン不純物含有量は、具体的には100ppm以下、更には10ppm以下、特に5ppm以下、鉄、クロム等の金属不純物含有量は、具体的には1ppm以下、更には0.1ppm以下、特に0.05ppm以下であることが好ましい。
【0030】
更に、先述したようなシロキサン化合物の重合によって製造されたポリシロキサン化合物は、モノマー成分の含有量も少ない方が好ましい。即ち、シロキサン化合物モノマーは毒性が高いものがあり、これが実質的に含有されていないことは、安全であるばかりでなく、ポリシロキサン化合物の品質安定性にも優れる。従って、本発明で用いるポリシロキサン化合物中のモノマーであるテトラアルコキシシラン等のシロキサン化合物含有量は、具体的には2.0重量%以下、中でも1.0重量%以下、特に0.2重量%以下であることが好ましい。
【0031】
前記のポリシロキサン化合物(例えば三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」)に、理論加水分解量以上の水及び/又はアルコールを加えて加水分解縮合反応を進め、ガラスなどの基板に無機質の薄膜を得ることが可能である。この薄膜は十分に加熱硬化した際、ガラス質の塗膜となり、その膜厚は通常サブミクロン程度(0.01〜0.5μm)である。この塗膜は、当然ガラス質であるので耐熱性に優れており、100℃の沸騰水にこの塗膜をガラス基板ごと1時間浸漬する『耐沸騰水試験』でも塗膜に変化はなく、試験前の膜厚を維持している。
【0032】
また、本発明で用いる耐熱性高分子は、これを加熱した際に、300℃以下の温度範囲においては吸発熱ピークを伴わないものであることが好ましい。これは、酸化や分解などが生じない、安定した被覆層を形成するためである。また、本発明で用いる耐熱性高分子は、このような示差熱分析を行っても、その重量減が室温から300℃まで加熱した際に、加熱前の15%以下、中でも10%以下、更には6%以下であることが好ましい。更には、室温から500℃まで加熱した際に、重量減が加熱前の10%以下であることが好ましい。
【0033】
更に本発明においては、この耐熱性高分子を成膜した際に、その膜表面における水の接触角が20度以下であることが好ましい。例えば、前記のポリシロキサン化合物(例えば三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」)を、理論加水分解量以上の水を加えて加水分解して形成した塗膜表面の水接触角を20度以下にする場合は、加水量を200%以上、好ましくは200〜20000%にすればよい。加水量100〜200%の塗膜の水接触角は20度を超えることがあるが、これも経時と共に親水化する。加水量が100%を下回った場合は塗膜を形成しにくく、膜が得られてもシロキサン縮合が十分に進まず、硬度不足、耐熱性不足といった弊害が出ることがある。また、20000%を超す量の水を加えると塗膜がはじきやすく、薄膜形成に不適である。なお、ここで、加水量とは、前述の一般式(I)において、シリケートのアルコキシ基(OR基)に対して0.5倍モルの理論加水分解率100%に相当する量(理論加水分解量)を100%としている。
【0034】
一方、本発明に使用する親水性高分子としては、下記(a)〜(f)が挙げられる。
【0035】
(a)ゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンもしくは他の高分子とのグラフトポリマーからなる群より選択される少なくとも1種又は2種以上の組み合わせ
(b)アルブミン、カゼイン等の蛋白質もしくはその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種又は2種以上の組み合わせ
(c)人工親水性蛋白質、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル等のエステル類もしくはその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種又は2種以上の組み合わせ
(d)キトサン、セルロース、アルギン酸ソーダ、デキストラン、澱粉誘導体等の糖もしくは糖誘導体からなる群より選択される少なくとも1種又は2種以上の組み合わせ
(e)ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、エチレンビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一もしくは共重合体である合成親水性高分子からなる群より選択される少なくとも1種又は2種以上の組み合わせ
(f)前記(a)〜(e)の2種以上の組み合わせ
【0036】
即ち、本発明において、親水性高分子としては、親水性を付与できるものであれば何でも使用できるが、後述の如く、浸漬法により、濾過フィルター基材に親水性高分子と耐熱性高分子を含むコーティング溶液をコーティングする場合、特にコーティング時の作業性(比較的安全な溶媒に可溶であること)、臨床使用時の安全性(抗血栓性、生体適合性に優れていること)、親水性被膜素材として好適であること(親水性の強さ、安定性、使用時に剥がれにくいこと、耐水性に優れること)等の諸性能を考慮すると、親水性高分子としてはエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。
【0037】
本発明においては、上述のような親水性高分子及び耐熱性高分子を適当な溶媒に溶解して調製したコーティング溶液にフィルター基材を浸漬し、その後乾燥する工程を繰り返して、フィルター基材表面に耐熱性の親水性被覆層を形成する。
【0038】
このようなコーティング処理において、親水性高分子と耐熱性高分子を溶解する溶媒としては、親水性高分子(エチレン−ビニルアルコール共重合体等)と耐熱性高分子の双方を溶解することができるものであれば公知の全ての有機溶媒、フロン等をいずれも使用することができるが、有機溶媒としては特にイソプロピルアルコール等のアルコールが好ましい。
【0039】
溶媒としてアルコール等の水との相溶性に優れた有機溶媒を使用する場合、水と混合して使用することが望ましい。本発明において、親水性高分子及び耐熱性高分子を溶解するアルコール等の、水との相溶性に優れた有機溶媒を水と混合して使用する場合、水と有機溶媒との合計に対する有機溶媒の割合は任意であるが、20〜100重量%とすることが望ましい。この割合で水と混合することにより、アルコール等の有機溶媒の蒸発防止と、溶液濃度を安定させてコーティング作業を容易ならしめ、形成される被覆層の厚みをコントロールしやすくなる。
【0040】
また、コーティング溶液中の親水性高分子(エチレン−ビニルアルコール共重合体等)の濃度は、溶液の付着ムラ、作業のし易さを考慮すると、アルコール等の有機溶媒、又は該有機溶媒と水との混合溶媒100重量部に対して0.01〜5重量部、中でも0.1〜1重量部であることが好ましい。
【0041】
また、コーティング溶液中の耐熱性高分子の濃度については、用いる耐熱性高分子の種類によっても異なるが、例えば、前述のポリシロキサン化合物を耐熱性高分子として使用する場合、親水性高分子と同様に溶液の塗布ムラ、作業のし易さの点、更には、親水性高分子の親水化を妨げない等の諸条件を考慮すると、アルコール等の有機溶媒、又は該有機溶媒と水との混合溶媒100重量部に対して、ポリシロキサン化合物を、SiO濃度換算で0.01〜25重量部、中でも0.1〜5重量部とすることが好ましい。
【0042】
被覆層の形成には、このような濃度で親水性高分子及び耐熱性高分子を含むコーティング溶液中に、フィルター基材を10〜100秒程度浸漬してコーティング溶液をフィルター基材に付着させた後引き上げた後、室温〜100℃で1〜10時間程度乾燥させる。そして、この浸漬と乾燥工程を好ましくは1〜20回程度繰り返して被覆層を形成する。この被覆層の形成において、浸漬、乾燥後に、乾燥時の温度よりも高い温度で熱処理を行い、浸漬、乾燥及び熱処理の一連の工程を繰り返しても良い。この熱処理条件としては特に制限はないが、40〜200℃で0.1〜10時間程度とするのが好ましい。
【0043】
次に、本発明の濾過フィルターのフィルター基材について説明する。
【0044】
本発明の濾過フィルターで用いられるフィルター基材の好ましい形態は、異なる平均繊維直径を有する不織布を用い、繊維径の大きい不織布から小さいものを順に濾過方向に、即ち、濾過させる流体が流れる順に配置した積層体である。例えば、濾過フィルターのハウジング内に血液が流れ込む流路の方向に(血液入口方向から血液出口方向に向けて)、最も平均繊維直径の太い不織布よりなるプレフィルター(A)、平均繊維直径が2番目に太い不織布よりなる第1の本フィルター(B)、平均繊維直径が最も細い不織布よりなる第2の本フィルター(C)として三層に積層したものが挙げられる。
【0045】
更に詳述すれば、前記複数のフィルターは少なくとも、平均繊維直径Dが5μm以上、10μm以下のプレフィルター(A)と、平均繊維直径Dが1μmを超えかつ5μm以下の第1の本フィルター(B)と、平均繊維直径Dが1.5μm以下の第2の本フィルター(C)で、この第2の本フィルター(C)の平均繊維直径Dの大きさが、前記第1の本フィルター(B)の平均繊維直径Dの50〜90%の大きさに形成されている、三種類のフィルターを積層したものが好ましい。
【0046】
各フィルター(A)、(B)、(C)は、例えば、血液導入口から導出口に向けて(A)、(B)、(C)の順に積層して、血液入口と血液出口を有するハウジング内に配置される。
【0047】
前記フィルター(A)は重ね枚数が15〜25枚、且つ厚さが2.1〜4.2mm、前記フィルター(B)は、重ね枚数が20〜35枚、且つ厚さが2〜5.1mm、前記フィルター(C)は、重ね枚数が5〜15枚、且つ厚さが0.5〜1.5mmのものを使用するのが良い。また、前記フィルター(C)の厚さは、前記フィルター(B)の厚さに対して、10〜75%の間に形成されることが好ましい。この厚みがフィルター(B)の厚みの10%未満では白血球の除去効率が低下し好ましくない。また75%を超えると、フィルターの目詰まりが生じて、血液の濾過速度が遅くなるので好ましくない。
【0048】
本発明において、前記プレフィルター(A)として、例えばスパンボンド法又はメルトブローンン法で製造したポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)等の不織布が使用される。また、前記第1の本フィルター(B)及び前記第2の本フィルター(C)として、例えばメルトブローン法で製造したポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の不織布が使用される。
【0049】
上記の不織布は、製法を限定するものではなく、前記プレフィルター(A)、前記第1の本フィルター(B)及び前記第2の本フィルター(C)に相当する平均繊維直径D〜Dを有すれば、いかなる製法による不織布でもかまわない。
【0050】
以上のように本発明の濾過フィルターは、それぞれ固有の平均繊維直径、重ね枚数、厚さを有する前記各フィルター(A)、(B)、(C)を組み合わせることにより、(i)血液の濾過時間を短くすること(例えば、血液を濾過する場合の濾過時間を15分以下、より好ましくは10分以下に設定すること。)かつ(ii)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させ、2(個/μL)以下、より好ましくは1(個/μL)以下にし、白血球を99.99%除去する等の性能を達成することもできる。
【0051】
なお、白血球の除去の程度は、単に除去率「%」で表示しても濾過性能を十分に表示し得ない。即ち、白血球数は個人差によって、成人で3000〜10000個/μLといわれている。残存白血球数が同じ2個/μLであったとしても除去前の白血球数が3000個/μLであるならば除去率は99.933%にとどまり、除去前の白血球数が10000個/μLであれば99.998%パーセントとなる。同様に残存白血球数が1個/μLであるならば、除去前の白血球数が3000個/μLのとき、除去率は99.967%であり、除去前の白血球数が10000個/μLのときは99.990%パーセントとなるため、白血球除去フィルターの性能を白血球除去率で的確に規定するのは困難である。
【0052】
従って、本発明の濾過フィルターは、白血球除去フィルターとしての用途において、血液を濾過する場合の濾過時間が15分以下、より好ましくは10分以下であること、かつ(ii)濾過後の血液中の残存白血球数が2(個/μL)以下、より好ましくは1(個/μL)以下であること、という要求性能を満たすことが好ましい。
【0053】
なお、白血球除去率は99.99%以上が好ましいが、前記のように白血球数は個人差がある。従って、濾過後の血液中の残存白血球数が2(個/μL)以下、より好ましくは1(個/μL)以下であれば、白血球除去率は99.93ないし99.96%以上であっても、白血球除去フィルターとして必要な性能を有しているとみなすことができる。
【0054】
以下に、白血球除去フィルターに適用される本発明の濾過フィルターを構成する前記フィルター(A)〜(C)の平均繊維直径の好適範囲の設定理由について説明する。
【0055】
前記プレフィルター(A)の平均繊維直径Dを、5μm以上、10μm以下に設定するのは、プレフィルターの役割として赤血球や白血球等の血球の直径よりも大きな凝集塊等を除き、以降の本フィルターで効率良く白血球を除去できることを目的としたものであり、平均繊維直径Dが5μm未満では、凝集塊と同時に血球が補足されて目詰まりが生じやすく、10μmを超えるとプレフィルター以降の本フィルターに凝集塊等が漏れ出て本フィルターの目詰まりが生じ、白血球除去率が低下するか、もしくは濾過時間が延長してしまうからである。
【0056】
前記の本フィルターを2種の平均繊維直径の異なるフィルター(B)、(C)を積層するのは、それぞれ単独では前記(i)、(ii)の条件を同時に達成することができないからである。即ち、第1の本フィルター(B)は、繊維径が充分に細くないため、前記(i)を達成しても前記(ii)は達成できない。第2の本フィルター(C)は、繊維径が充分に細いため、目詰まりが生じやすく前記(i)は達成出来ないが、前記(ii)を達成できる。そのため、互いの欠点を補う目的で前記の本フィルターを2種の平均繊維直径の異なるフィルター(B)、(C)を積層して構成する。
【0057】
前記第1の本フィルター(B)の平均繊維直径Dを1μmを超えかつ5μm以下に設定したのは、1μm以下では血液の目詰まりが生じやすく、5μmを超えると白血球除去率が低下するからである。また平均繊維直径Dが1μmを超えかつ5μm以下の前記第1の本フィルター(B)を単独で使用しても、前記(ii)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させ、2(個/μL)以下、より好ましくは1(個/μL)以下にし、白血球を99.99パーセント除去する等の性能を達成することはできない。
【0058】
前記第2の本フィルター(C)の平均繊維直径Dを1.5μm以下に設定したのは、1.5μmを超えると白血球除去率が低下するからである。また平均繊維直径Dを1.5μm以下の前記第2の本フィルター(C)を単独で使用しても、前記(i)の性能を達成することはできない。
【0059】
本発明において、前記第2の本フィルター(C)の平均繊稚直径Dの大きさを、前記第1の本フィルター(B)の平均繊維直径Dに対して50〜90%に設定するのは、この割合が50%未満では前記フィルター(C)の繊維径が小さくなるか又は前記フィルター(B)の繊維径が大きくなりすぎて前記(i)、(ii)の性能を達成することはできないからである。また、90%を超えると前記フィルター(B)、(C)が同一繊維径に接近するため前記(i)、(ii)の性能を両立することはできなくなる。
【0060】
フィルター(A)を構成する不織布(「不織布(a)」と称す。)、フィルター(B)を構成する不織布(「不織布(b)」と称す。)及びフィルター(C)を構成する不織布(「不織布(c)」と称す。)としては、例えば次のような物性並びに親水性高分子及び耐熱性高分子付着量のものが好適である。
【0061】
【表1】
Figure 2004283656
【0062】
本発明の特に好ましい例として前記フィルター(A)には、平均繊維直径Dが7μmの不織布が、前記フィルター(B)には平均繊維直径Dが1.5μmの不織布が、前記フィルター(C)には平均繊維直径Dが1μmの不織布が使用される。
【0063】
更に本発明では、前記フィルター(B)と前記フィルター(C)との間に、少なくとも一つ以上の前記フィルター(B)及び/又は前記フィルター(C)を配置してハウジング内に配置しも良い。前記フィルター(A)、(B)、(C)の配置例として、例えば血液導入口から導出口に向けて次の(1)〜(4)のように配置することができる。
【0064】
(1):(A)→[(B)、(C)、(B)]×n→(C) (n≧1)
この例では、フィルター(A)とフィルター(C)の間のフィルター[(B)、(C)、(B)]は二回以上繰り返して配置しても良い。各フィルター(A)、(B)、(C)の重ね枚数も、前記フィルター(A)は、全体の重ね枚数が10〜25枚、前記フィルター(B)は、全体の重ね枚数が20〜35枚、前記フィルター(C)は、全体の重ね枚数が5〜20枚の範囲に設定することができる。フィルター[(B)、(C)、(B)]中のフィルター(B)の重ね枚数は1〜20枚、フィルター(C)の重ね枚数は1〜10枚の範囲に設定することができる。
【0065】
(2):(A)→(B)→[(C)、(B)]×n→(C) (n≧1)
この例では、途中のフィルター[(C)、(B)]は二回以上繰り返して配置しても良い。フィルター[(C)、(B)]の繰り返し単位は、好ましくは2〜5が好ましい。各フィルター(A)、(B)、(C)の重ね枚数も、フィルター(A)は、全体の重ね枚数が10〜25枚、前記フィルター(B)は、全体の重ね枚数が20〜35枚、前記フィルター(C)は、全体の重ね枚数が5〜20枚の範囲に設定することができる。フィルター[(C)、(B)]中のフィルター(B)の重ね枚数は1〜20枚、フィルター(C)の重ね枚数は1〜10枚の範囲に設定することができる。
【0066】
(3):(A)→(B)→[(B)、(C)]×n→(C) (n≧1)
この例では、途中のフィルター[(B)、(C)]は二回以上繰り返して配置しても良い。フィルター[(B)、(C)]の繰り返し単車は、好ましくは3〜6が好ましい。各フィルター(A)、(B)、(C)の重ね枚数も、前記フィルター(A)は、全体の重ね枚数が10〜25枚、前記フィルター(B)は、全体の重ね枚数が20〜35枚、前記フィルター(C)は、全体の重ね枚数が5〜25枚の範囲に設定することができる。フィルター[(B)、(C)]中のフィルター(B)の重ね枚数は1〜20枚、フィルター(C)の重ね枚数は1〜10枚の範囲に設定することができる。
【0067】
(4):(A)→[(B)、(C)]×n (n≧2)
この例では、後流のフィルター[(B)、(C)]は二回以上繰り返して配置する。フィルター[(B)、(C)]の繰り返し単位は、3から1.5(即ち、[(B)、(C)、(B)])が好ましい。各フィルター(A)、(B)、(C)の重ね枚数も、前記フィルター(A)は、全体の重ね枚数が10〜25枚、前記フィルター(B)は、全体の重ね枚数が20〜35枚、前記フィルター(C)は、全体の重ね枚数が5〜15枚の範囲に設定することができる。フィルター[(B)、(C)]中のフィルター(B)の重ね枚数は1〜20枚、フィルター(C)の重ね枚数は1〜20枚の範囲に設定することができる。
【0068】
前述した(1)〜(4)の例では、フィルター(B)の後に配置されるフィルター(C)は、少なくとも一つ以上の構成単位(B)、(C)、(B)で、二枚以上配置するのが好ましい。更にこの際、前記フィルター(A)は重ね枚数が10〜25枚、且つ厚さが1.4〜3.5mm、前記フィルター(B)は、重ね枚数が20〜35枚、且つ厚さが2〜5.1mm、前記フィルター(C)は、重ね枚数が5〜25枚、且つ厚さが0.5〜2.5mmのものを使用するのが良い。
【0069】
本発明の濾過フィルターにて濾過する流体は、液体、気体等、任意のものに適用することが可能である。例えば濾過する流体が液体の際には、液体中の不溶物濃度やその大きさ、含有量等によって、濾過フィルターの開口部面積を適宜調整すればよい。本発明の濾過フィルターは、目視では確認困難な微少な不溶物を微量含む、溶液様液体から懸濁液まで、任意の液体の濾過に使用できる。具体的には例えば、超純水や飲料水・工業用水等の製造工程、血液成分等生体液体物質の濾過、医薬品・食品等の製造工程等の分野に使用することができる。
【0070】
【実施例】
以下に実験例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0071】
まず、本発明で用いる耐熱性高分子として好適な三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」(示性式=SiO0.8(OCH2.4)の示差熱分析、親水性評価及び耐熱性評価の実験例を挙げる。
【0072】
実験例1
〈示差熱分析〉
三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」3.8重量部、メタノール86.2重量部、0.1規定塩酸3.3重量部及び脱塩水6.7重量部を、順番に混合し室温で24時間熟成(密閉下で放置)した。これを直径5cmのアルミ箔の皿に5g採り、150℃の熱風乾燥機に1時間入れて硬化させた後、取り出して下記測定条件で示差熱分析を行った。なお、このときの加水量は1400%に相当する。
【0073】
[測定条件]
Figure 2004283656
【0074】
その結果、次のよう結果が得られた。
[重量減]
300℃まで:−5.1%
500℃まで:−8.1%
[吸発熱ピーク]
50〜180℃までの範囲で吸着水蒸発に伴うと考えられる吸熱があるが、それ以降500℃までの範囲では吸発熱ピークは確認されなかった。
【0075】
〈親水性評価〉
三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」3.8重量部、メタノール86.2重量部、0.1規定塩酸3.3重量部及び脱塩水6.7重量部を、順番に混合し室温で24時間熟成(密閉下で放置)した後、顕微鏡観察用のスライドガラスを基板として、引き上げ速度3mm/secでディッピング処理した。なお、この加水量は1400%に相当する。これを室温で乾燥した後、再び3mm/secでディッピング処理したものを150℃の熱風乾燥機に1時間入れて硬化させた。このようにして塗膜を形成したガラス基板を取り出して冷却し、塗膜表面の水の接触角を測定した。
【0076】
その結果、水接触角は5度であり、表面が親水性であることを確認した。
【0077】
〈耐熱性評価〉
上記親水性の評価と同様にして塗膜を形成したガラス基板を、イオン交換水を沸騰させた浴中に1時間浸漬した後、取り出して観察したところ、塗膜に異状は認められず、耐熱性に優れることを確認した。
【0078】
次に、このような三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」を耐熱性高分子として用い、濾過フィルターを作製してその評価を行った実施例及び比較例を挙げる。
【0079】
なお、以下において用いた各フィルター(A)〜(C)を構成する不織布の素材及び平均繊維直径、厚さ、目付、嵩密度、空隙率の各物性値は表1に記載の通りである。
【0080】
【表2】
Figure 2004283656
【0081】
実施例1
〈コーティング溶液の調製〉
親水性高分子としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、耐熱性高分子としてポリシロキサン化合物(三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」)を用い、下記配合で混合し、下記終濃度のコーティング溶液を調製した。
【0082】
(配合)
親水性高分子0.5重量%−50重量%イソプロピルアルコール溶液:20重量部
耐熱性高分子:1.9重量部
メタノール:58.1重量部
水:20重量部
【0083】
(終濃度)
エチレン−ビニルアルコール共重合体:水とアルコールの混合溶媒に対して1重量%
ポリメトキシシロキサン:水とアルコールの混合溶媒に対して1重量%
水:水とアルコールの混合溶媒中の30重量%
アルコール:水とアルコールの混合溶媒中の70重量%
【0084】
〈コーティング処理〉
得られたコーティング溶液に、直径29mmに裁断した下記構成のフィルター基材を30秒間含浸させた後引き上げ、常温で3時間以上乾燥させた。この含浸、乾燥の工程を2回繰り返し、フィルター基材の表面に耐熱性を有する親水性被膜を形成した。
【0085】
(フィルター基材:合計枚数)
プレフィルター(A):不織布(a)を22枚
第1の本フィルター(B):不織布(b)を30枚
第2の本フィルター(C):不織布(c)を10枚
【0086】
〈濾過性能の評価〉
上記コーティング処理を行った、不織布(a)22枚よりなるプレフィルター(A)、不織布(b)30枚よりなる第1の本フィルター(B)、不織布(c)10枚よりなる第2の本フィルター(C)を、硬質合成樹脂製で上下に血液入口と血液出口有する円盤状のハウジング内に血液入口から血液出口に向けてフィルター(A)、(B)、(C)の順で重ねて装填することにより、各々濾過ユニットNo.1〜3を作製した。この濾過ユニットNo.1〜3について、各々ハウジングの血液入口と血液出口にそれぞれチューブを接続し、血液入口側チューブの上端から血液出口側チューブの下端までの落差を60cmに設定した。
【0087】
抗凝固剤としてACD液(60ml)の入った血液バッグに全血(400ml)を採血し、この45mlを容量50mlのシリンジに採取した。シリンジを上記ハウジングの血液入口側チューブに接続し、血液をシリンジから自然落下させて濾過する濾過処理を行った。
【0088】
ただし、濾過ユニットNo.1,2については、121℃で20分間オートクレーブ滅菌処理する前後で上記濾過処理を行った。また、濾過ユニットNo.3についてはこのオートクレーブ滅菌処理後のみに濾過処理を行った。
【0089】
各々の濾過処理に要した時間を調べ、結果を表2に示した(この濾過時間が短い程、親水性に優れることを示す。)。また、濾過後の血液中の残存白血球数をフローサイトメータで測定し、この結果から白血球除去率を求め、結果を表2に示した。
【0090】
比較例1
実施例1において、コーティング溶液の調製に当たり、耐熱性高分子を用いなかったこと以外は同様にして濾過ユニットNo.4,5を作製し、同様にオートクレーブ滅菌処理前後の濾過時間、濾過血液中の残存白血球数、白血球除去率を調べ、結果を表2に示した。
【0091】
【表3】
Figure 2004283656
【0092】
実施例2
実施例1においてフィルター基材として、不織布(c)のみを70枚重ねたもののみを用いたこと以外は、同様にしてコーティング処理を行って、フィルター基材の表面に耐熱性を有する親水性被膜を形成した。
【0093】
このコーティング処理を行った不織布(c)70枚のフィルターを、硬質合成樹脂製で上下に流体入口と流体出口有する円盤状のハウジング内に重ねて装填することにより、各々濾過ユニットNo.6〜8を作製した。この濾過ユニットNo.6〜8について、各々ハウジングの流体入口と流体出口にそれぞれチューブを接続し、流体入口側チューブの上端から流体出口側チューブの下端までの落差を60cmに設定した。
【0094】
流体入口側チューブ上流に容量50mlのシリンジを接続し、蒸留水をシリンジから自然落下させて、70枚のフィルターで濾過する濾過処理を行った。
【0095】
ただし、濾過ユニットNo.6,7については、121℃で20分間オートクレーブ滅菌処理する前後で上記濾過処理を行った。また、濾過ユニットNo.8についてはこのオートクレーブ滅菌処理後のみに濾過処理を行った。
【0096】
各々の濾過処理に要した時間を調べ、結果を表3に示した。
【0097】
比較例2
実施例2において、コーティング溶液の調製に当たり、耐熱性高分子を用いなかったこと以外は同様にして濾過ユニットNo.9,10を作製し、同様にオートクレーブ滅菌処理前後の濾過時間を調べ、結果を表3に示した。
【0098】
【表4】
Figure 2004283656
【0099】
表2及び表3の結果により明らかなように、オートクレーブ滅菌処理前は、親水性高分子のみでコーティング処理したものと、親水性高分子と耐熱性高分子とを混合してコーティング処理したものとの間で、白血球除去率、濾過時間に大きな違いはなかった。しかし、オートクレーブ滅菌処理後の濾過では、親水性高分子のみをコーティングしたものは殆ど濾過できなかったのに対して、親水性高分子と耐熱性高分子とを混合してコーティングしたものでは濾過可能であった。これは耐熱性高分子を併用することにより親水性高分子の被膜の耐熱性が向上した結果であることが分かる。そして、オートクレーブ滅菌処理を施しても、濾過時間にその前後において殆ど差がなくそのフィルターの親水性には殆ど影響ないことが確認でき、更に白血球除去率も耐熱性高分子を添加しても全く影響がないことが分かった。
【0100】
以上の結果より、耐熱性高分子を併用することで、フィルターの耐熱性を向上させることができ、また、耐熱性高分子を用いてもフィルターの性能に影響は与えないことが分かる。
【0101】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の濾過フィルター及びその製造方法によれば、親水性及び耐熱性に優れ、特に滅菌処理等の加熱処理後でもその濾過特性や親水性が損なわれることがなく、このため、血液濾過用等の医療用途、食品工業用途、空気などの気体等の濾過に適した濾過フィルターが提供される。

Claims (8)

  1. フィルター基材表面に、親水性高分子及び耐熱性高分子を含む被覆層を有する濾過フィルター。
  2. 該フィルター基材が、繊維より構成される多孔質体、又は孔を形成した多孔質体であることを特徴とする請求項1に記載の濾過フィルター。
  3. 該耐熱性高分子が、示差熱分析曲線の300℃以下の範囲において、吸発熱ピークが無い耐熱性高分子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の濾過フィルター。
  4. 該耐熱性高分子が、室温から500℃まで加熱した際の重量減が加熱前の10%以下である耐熱性高分子であることを特徴とする請求項3に記載の濾過フィルター。
  5. 該耐熱性高分子が親水性を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の濾過フィルター。
  6. 該耐熱性高分子により形成される膜表面における水の接触角が20度以下であることを特徴とする請求項5に記載の濾過フィルター。
  7. 以下の工程(1)及び(2)を繰り返して行うことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の濾過フィルターの製造方法。
    工程(1):フィルター基材を親水性高分子及び耐熱性高分子を含む溶液に浸漬する工程。
    工程(2):工程(1)にて処理されたフィルターを乾燥させる工程。
  8. 工程(2)に次いで、更に工程(2)を超える温度でフィルターを加熱処理する工程(3)を含むことを特徴とする請求項7に記載の濾過フィルターの製造方法。
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