JP7041150B2 - 血液処理用フィルターおよび血液処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、血液処理用フィルターおよび血液処理方法に関する。
血液成分の欠乏や機能異常の補充、種々の疾患の治療等を目的として、輸血が行われている。輸血用血液製剤には、赤血球製剤、血漿製剤、血小板製剤、全血製剤があり、近年は患者が特に必要とする成分だけを輸血する成分輸血が一般に行われている。
輸血用血液製剤中の白血球は、様々な悪影響を及ぼすことが知られており、血液製剤から白血球を除去することがなされている。
血液(全血)から白血球を除去する方法としては、遠心分離沈殿法、生理食塩水洗浄法、フィルターろ過法等がある。このうち、フィルターろ過法は、使い捨ての単回用フィルターを用いるので感染のおそれがなく、またろ過は重力により行われるため別途の機器装置の必要がなく、更に分離時間が短い上に、白血球除去能に優れているという利点を有するために広く用いられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
白血球を除去するための血液処理用フィルターは、不織布や多孔質体からなるフィルター材を含んで構成され、血液バッグシステムに組み込まれて使用される。具体的には、例えば、ポリエステル不織布に加溶媒分解処理を施した不織布からなる白血球除去フィルター(特許文献3参照。)や、平均繊維直径が0.30~1.60μmであり、かつ、繊維直径の変動係数が0.40~1.20である繊維からなる白血球除去フィルター材(特許文献4参照。)等が提案されている。また、通血性能を高める技術として、不織布を親水性ポリマーで処理したフィルター材や、不織布をプラズマ処理したフィルター材等も提案されている。
日本国特開平9-140787号公報 日本国特開平11-267463号公報 日本国特開2011-194083号公報 国際公開第2012/057029号
血液処理用フィルターは予め滅菌して使用されるが、例えばオートクレーブ滅菌をする場合、熱や水蒸気による影響を受けやすく、親水性が低下し、ろ過速度が低下する場合がある。また、プラズマ処理された不織布においても大気中では著しく親水性が低下してしまう。
そこで、本発明は、オートクレーブ滅菌による熱や水蒸気等の影響が少なく、安定であり、且つ、ろ過速度等の通液性能が優れた血液処理用フィルターおよび血液処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の血液処理用フィルターは、多孔質基材に、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体からなるポリビニルアルコール系樹脂が付着されてなり、前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が30~70モル%であり、JIS L 1907:2010に規定された繊維製品の吸水性試験方法における滴下法にて測定される吸水時間が、5~30秒であることを特徴とする。
また、本発明の血液処理用フィルターは、多孔質基材に、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体からなるポリビニルアルコール系樹脂が付着されてなり、前期ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が30~70モル%であり、前期ポリビニルアルコール系樹脂の付着量が、55.3~356mg/m 2 であることを特徴とする。
本発明によれば、オートクレーブ滅菌による高温の水蒸気を受けてもポリビニルアルコール系樹脂の溶出を抑え、親水性を維持することができ、ろ過速度等の通液性能が優れた血液処理用フィルターを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態をさらに詳しく説明する。
本発明の血液処理用フィルターは、多孔質基材に、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体からなるポリビニルアルコール(PVA)系樹脂が付着されて構成されている。
(多孔質基材)
多孔質基材としては、不織布、織布、編布等の繊維状多孔性基材や、スポンジ状構造物等の三次元網目状連続多孔質体を膜状に成形した多孔質膜等を用いることができる。中でも製造コストの観点から、不織布、織布及び多孔質膜が好ましく、不織布がより好ましい。
多孔質基材の素材としては、例えば、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、セルロース等が挙げられる。
多孔質基材の膜厚は、50~250μmであることが好ましく、100~200μmがより好ましく、140~160μmが更に好ましい。膜厚が50μm未満であると血液処理用フィルターの強度が低下して血液製剤を流したときに破損する虞があるため50μm以上とすることが好ましい。また、膜厚が250μmを超えると通液速度の低下を招く虞があるため250μm以下とすることが好ましい。
多孔質基材の目付(単位面積あたりの質量)は、10~100g/m2であることが好ましく、20~60g/m2がより好ましく、30~50g/m2が更に好ましい。目付が10g/m2以上であると、白血球が血液処理用フィルターを通り抜けてしまう虞が少なくなり、また、100g/m2以下であると、血液処理用フィルターが目詰まりする虞が少なくなるため、ろ過速度を低下させることなく白血球の十分な捕獲性能を有すると考えられる。
なお、多孔質基材の平均孔径(μm)や通気抵抗(Pa・s/m/g)は、例えば、血液処理用フィルターが目詰まりすることなく(通液性能を阻害することなく、ろ過処理ができ)、白血球を効率良く捕獲することができるように適宜設定されることが好ましい。
ここで、通気抵抗とは、その多孔質基材に一定流量の空気を通した時に生じる差圧として測定される値である。より詳しくは、直径2.8cmの通気穴の上にフィルター材を載せ、単位面積あたり4ml/s・cm2の空気を10秒以上通気させたときに生じる圧力損失(Pa・s/m)を測定し、この値をフィルター材の目付(g/m2)で除し、さらに10倍した値である。この値が大きいものは、空気が通過しにくく、繊維が密な状態で絡まっていること、あるいは開孔率が低い構造であることを意味し、血液製剤が流れにくい性質であることを示す。一方、この値が小さいものは、単位面積あたりの繊維数が少なく疎な状態(スカスカの構造)であること、あるいは開孔率が高い構造であることを意味し、血液製剤が流れ易い性質であることを示す。
多孔質基材が繊維状多孔性基材の場合、その平均繊維径は1~10μmであることが好ましく、1~4μmがより好ましい。平均繊維径が1μm以上であると、基材の機械的強度を保ち、ろ過時の圧力低下を抑制することができる。一方、10μmを超えると吸着面積が小さくなり過ぎて白血球の捕獲性が低下する虞があるため10μm以下とすることが好ましい。
また、多孔質基材は、使用時において実質的に問題となるような形状変形を起こさないような強度を有していることが望ましく、例えば、多孔質基材の引張強度(N/m)等が適宜設定されることが好ましい。
(ポリビニルアルコール系樹脂)
多孔質基材を被覆するポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂)は、酢酸ビニルとビニルアルコールとの共重合体をケン化することにより製造することができる。ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造中に水酸基(親水性基)と酢酸基(疎水性基)とを有し、水濡れ性(親水性発現時間)を制御することができるため、親水化剤として多孔質基材の表面を覆うことで水接触角を低下させて、血液製剤の通液性能を向上させることができる。
PVA系樹脂のケン化度は、30~70%であることが必要であり、35~65モル%がより好ましい。ケン化度が30%より低くなると親水性基が少なくなるため、親水化剤としての効果が低下する虞がある。ケン化度が前記範囲であると、疎水性の強い酢酸ビニルと親水性の強いビニルアルコールとのバランスが取れるので、血液処理用フィルターがオートクレーブ滅菌による高温の水蒸気を受けてもPVA系樹脂がフィルターから溶出してしまうことを抑制でき、且つ親水性も維持できる。
PVA系樹脂のケン化度は、JIS K6726-1994に記載の方法に従って測定できる。
PVA系樹脂の重合度は、100~500であることが好ましく、200~400がより好ましい。重合度が100以上であると、吸水性が良好となるため好ましい。また、重合度が大きくなると血液処理用フィルター内でPVA系樹脂が目詰まりを起こしやすくなって吸水性が低下するため、重合度は500以下であることが好ましい。
PVA系樹脂の重合度は、JIS K6726-1994に記載の方法に従って測定できる。
本発明に使用できるPVA系樹脂としては、一般に入手可能なPVA系樹脂の市販品として、例えば、日本酢ビ・ポバール株式会社製の「ポバールJMR-10L」(商品名、ケン化度35モル%、重合度200~300)、「ポバールJMR-10M」(商品名、ケン化度65モル%、重合度200~300)、「ポバールJMR-20M」(商品名、ケン化度65モル%、重合度300~400)等が挙げられる。
(多孔質基材へのPVA系樹脂の付着)
上記したように、本発明では、前記多孔質基材に吸水性向上を目的として前記PVA系樹脂による付着(被覆)が施される。
付着の方法としては、従来公知の方法を使用することができ、例えば、浸漬法、噴霧法、刷毛塗り法等が挙げられる。
具体的に、PVA系樹脂を所望の濃度に調製したコーティング液中に、多孔質基材を浸漬させた後、機械的な圧縮、重力による自然落下、遠心分離、ガスによる吹き飛ばし等の方法で余剰のコーティング液を多孔質基材から除去し、それを乾燥することにより製造される。このようにして得られた血液処理用フィルターは、多孔質基材がPVA系樹脂層で被覆され、多孔質基材とPVA系樹脂層は接着した構造を有する。
すなわち、多孔質基材の外面(例えば、繊維状多孔性基材の場合には、繊維の表面を含む)や多孔質基材の内部にPVA系樹脂が付着された状態となっている。
なお、コーティング液を調製する際の溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、プロパノール及びこれらの混合溶媒を使用することができる。
PVA系樹脂をコーティングした後の乾燥温度としては、50~80℃であることが好ましく、50~70℃がより好ましい。乾燥温度が前記範囲であると、白血球の除去性能を低下させることがなく、また、生産性も良好に保つことができる。
また、乾燥時間が短すぎると乾燥が不十分となり、血液処理用フィルターを積層して用いる場合は互いに接着してしまう虞があり、また乾燥時間が長すぎると生産性が低下するため、乾燥時間は30~60分程度で行うことが好ましい。
本実施形態において、PVA系樹脂の付着量(被覆量)は、55.3~356mg/m2であることが好ましく、55.3~220mg/m2がより好ましい。PVA系樹脂の付着量が55.3mg/m2以上であると、多孔質基材に吸水性を付与させるのに十分なPVA系樹脂の付着量となる。また、PVA系樹脂の付着量が356mg/m2以下であると、多孔質基材が目詰まりを起こすことなく吸水性を維持できるようになる。すなわち、吸水性能と多孔質基材の目詰まり抑制との両立を図る上で、PVA系樹脂の付着量を前記範囲とすることが好ましい。さらに、PVA系樹脂の付着量が多くなるほどフィルター処理後の血液製剤中にPVA系樹脂が溶出し易くなる。このことから、PVA系樹脂の付着量については、吸水性能と多孔質基材の目詰まり抑制との両立にくわえて、血液製剤の品質の維持も考慮することがより好ましい。
なお、多孔質基材への付着量は、例えば、浸漬法を用いる場合には、コーティング液の濃度や、多孔質基材のコーティング液への浸漬時間等の条件を調整することで行われる。
また、PVA系樹脂の付着量(被覆量)は、血液処理用フィルターのオートクレーブ滅菌後に、JIS K 0067に規定された化学製品の減量及び残分試験方法で測定され、測定結果を最小二乗法で近似した値である。
多孔質基材を被覆するPVA系樹脂の厚みとしては特に限定されず、前記被覆量の範囲内で適宜設定できるが、例えば、得られた血液処理用フィルターの総膜厚が6000~15000μmとなるようにすることが好ましく、10500~13500μmがより好ましく、11250~12750μmが更に好ましい。血液処理用フィルターの膜厚が6000μm以上であると、血液製剤を通した際にも破損することなく処理することができる。また、膜厚が15000μm以下であると、吸水性を低下させることなく効率的に処理することができる。
本発明の血液処理用フィルターは、JIS L 1907:2010に規定された繊維製品の吸水性試験方法における滴下法にて測定される吸水時間が、5~30秒であることが好ましく、5~20秒であることがより好ましい。前記滴下法にて測定した際の吸水時間が5秒以上であると、血液製剤を通した際においても血液製剤と多孔質基材との接触時間を十分に確保することができ、その結果、効率良く白血球を捕獲することができると考えられる。また、30秒以下であると、親水化剤であるPVA系樹脂が血液製剤中に溶出する虞が少なくなって、得られる製剤の品質を維持することができると考えられる。
本発明の血液処理用フィルターは、通常公知の血液の入口と出口を有する適当なフィルター容器に充填して、フィルター装置として使用することが可能である。
本発明の血液処理用フィルターは、その厚みによって異なるが、1枚で用いてもよいし、複数枚重ねて用いてもよい。重ねる枚数としては、血液製剤の処理条件によって異なり臨界的ではないが、通常数枚から数十枚が用いられる。また、血液処理用フィルターの多孔質基材が織布または不織布の場合、他の繊維から成る多孔質基材を用いたフィルター又は孔径の異なる多孔質基材を用いたフィルターを重ねて用いることも可能である。また、血液処理用フィルターを複数枚重ねて用いる場合、フィルターのうちの少なくとも1枚が本願発明の血液処理用フィルターであればよく、全てのフィルターが本発明の血液処理用フィルターであることがより好ましい。
本発明の血液処理用フィルターを備えたフィルター装置に血液製剤を通すことで、血液製剤中の白血球を効率的に捕獲し、除去することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
(1)親水化剤(PVA系樹脂)の付着量の測定
アニール処理した不織布(コーティング用不織布、90mm×90mm)の重量を測定し、コーティング液を塗布、乾燥後に、オートクレーブ滅菌処理して得られた血液処理用フィルターの重量を測定し、コーティング前後の重量から基材1m2あたりの付着量を算出した。
(2)吸水時間の測定
JIS L 1907:2010に規定された繊維製品の吸水性試験方法における、7.1.1滴下法を参照し、吸水時間を測定した。なお、試験は5回行い、その平均値を求めた。
<試験例1>
(試験用サンプルの作製方法)
多孔質基材としてポリエチレンテレフタレート製不織布(膜厚150μm、目付40g/m2、平均繊維径は2μm)を用い、150℃に設定した乾燥機にて、30秒間アニール処理した。アニール処理した不織布を幅260mm×長さ300mmの大きさにカットし、コーティング用不織布を得た。
ポリビニルアルコール系樹脂JMR-10M(商品名、日本酢ビ・ポバール株式会社製、ケン化度65%、重合度200~300)を、メタノール/水混合溶媒(メタノール:水=6:4(体積比))に溶解させ、コーティング液を作製した。
バットにコーティング液を張り、コーティング用不織布を浸漬させ、余分なコーティング液を除去した後、風乾により乾燥させ、その後60℃に設定した乾燥機にて約10分間乾燥した。乾燥後、常温に戻し、幅90mm×長さ90mmの大きさにカットし、滅菌袋に梱包し、高圧蒸気滅菌機HV-50(平山製作所製)にて115℃で30分間滅菌した。滅菌後、乾燥機にて60℃で60分間乾燥したものを試験用サンプル(実施例1~7)とした。
(ポリビニルアルコール系樹脂の付着量)
コーティング液へのコーティング用不織布の浸漬条件(コーティング液の濃度や浸漬時間等)を調整することで、各試験用サンプルにおけるポリビニルアルコール系樹脂の付着量(被覆量)を調整した。
ポリビニルアルコール系樹脂の付着量は、実施例1が55.3mg/m2、実施例2が108.3mg/m2、実施例3が135.0mg/m2、実施例4が216.3mg/m2、実施例5が356.0mg/m2、実施例6が854.1mg/m2、実施例7が1671.3mg/m2である。
実施例1~7のフィルターを用いて、上記(2)吸水時間の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007041150000001
表1に示すように、実施例1~7はいずれも、平均吸水時間が5~30秒の範囲内であり、オートクレーブ滅菌による熱や水蒸気等の影響が少なく安定しており、且つ、通液性能が優れていることがわかった。
ただし、親水化剤としてのPVA系樹脂の付着量が多くなると、多孔質基材(不織布)の目詰まりを惹き起こす虞がある。そのため、吸水性能と多孔質基材の目詰まり抑制との両立を図る上では、PVA系樹脂の付着量は55.3~356mg/m2(実施例1~5)が好ましく、55.3~220mg/m2(実施例1~4)がより好ましいと考えられる。
<試験例2>
試験例1で使用したポリビニルアルコール系樹脂とケン化度又は重合度が異なるポリビニルアルコール系樹脂を使用して吸水試験を行った。
(ポリビニルアルコール系樹脂および付着量)
ポリビニルアルコール系樹脂として、実施例8~12にはJMR-20M(商品名、日本酢ビ・ポバール株式会社製、ケン化度65%、重合度300~400)を、実施例13~15にはJMR-10L(商品名、日本酢ビ・ポバール株式会社製、ケン化度35%、重合度200~300)を用いた。
ポリビニルアルコール系樹脂の付着量は、実施例8が108.3mg/m2、実施例9が135.0mg/m2、実施例10が216.3mg/m2、実施例11が356.0mg/m2、実施例12が854.1mg/m2、実施例13が108.3mg/m2、実施例14が135.0mg/m2、実施例15が216.3mg/m2となるようにコーティング液へのコーティング用不織布の浸漬条件(コーティング液の濃度や浸漬時間等)を調整して各試験用サンプルとした。
実施例8~15のフィルターを用いて、上記(2)吸水時間の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007041150000002
表2に示すように、実施例8~12では、試験例1の場合に比べて重合度が大きいPVA系樹脂(重合度300~400)を用いたことにより、吸水性能(親水化剤としての効果)が若干低下した。また、実施例13~15では、試験例1の場合に比べてケン化度が小さいPVA系樹脂(ケン化度35モル%)を用いたことにより、吸水性能(親水化剤としての効果)が若干低下した。しかしながら、実施例8~15のいずれにおいても、平均吸水時間が5~30秒の範囲内であり、オートクレーブ滅菌による熱や水蒸気等の影響が少なく安定しており、且つ、通液性能が優れていることがわかった。
ただし、上記試験例1と同様に、親水化剤としてのPVA系樹脂の付着量が多くなると、多孔質基材(不織布)の目詰まりを惹き起こす虞がある。そのため、吸水性能と多孔質基材の目詰まり抑制との両立を図る上では、PVA系樹脂の付着量は55.3~356mg/m2(実施例8~11、13~15)が好ましく、55.3~220mg/m2(実施例8~10、13~15)がより好ましいと考えられる。
したがって、上記血液処理用フィルターに血液製剤を通して当該血液製剤中の白血球の除去に用いても、通液性能を従来技術と同等以上とし、フィルター処理後の血液製剤の品質が維持され得ると考えられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
例えば、PVA系樹脂として、「ポバールJMR-10L」、「ポバールJMR-10M」、「ポバールJMR-20M」を用いたが、一例であってこれに限られるものではなく、ケン化度が30~70モル%のものであれば適宜任意に変更可能である。
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本出願は、2017年6月28日出願の日本特許出願(特願2017-126464)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の血液処理用フィルター及び血液処理方法によれば、オートクレーブ滅菌による熱や水蒸気等の影響が抑えられ、優れた通液性能を得られる。この効果を有する本発明は、例えば、血液処理用フィルターを有する血液バッグシステムに利用され得る。

Claims (5)

  1. 多孔質基材に、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体からなるポリビニルアルコール系樹脂が付着されてなり、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が30~70モル%であり、
    JIS L 1907:2010に規定された繊維製品の吸水性試験方法における滴下法にて測定される吸水時間が、5~30秒であることを特徴とする血液処理用フィルター。
  2. 前記ポリビニルアルコール系樹脂の付着量が、55.3~356mg/m 2 であることを特徴とする請求項1に記載の血液処理用フィルター。
  3. 多孔質基材に、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体からなるポリビニルアルコール系樹脂が付着されてなり、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が30~70モル%であり、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂の付着量が、55.3~356mg/m2であることを特徴とする血液処理用フィルター。
  4. 血液製剤中の白血球を除去することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の血液処理用フィルター。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の血液処理用フィルターを用いた血液処理方法であって、
    前記血液処理用フィルターに血液製剤を通して当該血液製剤中の白血球を除去することを特徴とする血液処理方法。
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