JP7454596B2 - 分離基材、細胞分離フィルターおよび血小板の製造方法 - Google Patents

分離基材、細胞分離フィルターおよび血小板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、分離基材、細胞分離フィルターおよび血小板の製造方法に関する。
血小板は血栓の形成に中心的な役割を果たし、生体内において止血機能を示す細胞であるため、出血の際や抗がん剤を使用した際に血小板が減少すると、重篤な場合には死に至ることがある。
そして、血小板の減少に対する唯一の確立された治療法は、血小板製剤を輸血することである。現行の血小板製剤は、ボランティアからの献血に依存しており、保存有効期間が4日という極めて短い日数であるのにも関わらず、少子化による献血可能年齢層の人口減少および血液製剤の需要の高い高齢者の人口増加に伴い、医療現場における需要と供給のバランスを保つことが困難になると予想されている。
そのため、献血に代替される血小板ソースの開発が着目されている。
近年、多能性幹細胞、造血前駆細胞、間葉系細胞などをソースとして、巨核球を培養することによって血小板を体外で大量に生産する技術が報告されている。
この技術では、巨核球の細胞質が千切れることによって血小板が生産されるため、血小板生産後の培養液には、多数の巨核球が含まれることになる。
そのため、免疫原性を抑制する観点から、巨核球と巨核球から生産された血小板を分離する技術開発が必要となる。
このような分離技術として、例えば、特許文献1には、「巨核球と血小板とを含む細胞懸濁液から血小板を分離するための不織布からなる分離基材であって、上記分離基材の平均孔径が、2.0μm以上15.0μm以下であり、上記分離基材の厚みが、10μm以上500μm以下である、分離基材。」が記載されている([請求項1])。
国際公開第2018/207564号
本発明者らは、特許文献1に記載された分離基材について検討したところ、巨核球の除去率(阻止率)が高く、かつ、血小板の回収率(透過率)が高いことが分かったが、濾過寿命については改善の余地があることを明らかとした。
そこで、本発明は、巨核球の除去率および血小板の回収率がいずれも高く、かつ、濾過寿命が長い分離基材ならびにそれを用いた細胞分離フィルターおよび血小板の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、分離基材において、細胞懸濁液の流入側から、特定のパラメータを満たす粗濾過膜を含む粗濾過層と、特定のパラメータを満たす精密濾過膜を含む精密濾過層とを、この順で配置した領域を設けることにより、巨核球の除去率および血小板の回収率がいずれも高く、かつ、濾過寿命が長くなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 巨核球と血小板とを含む細胞懸濁液から血小板を分離するための多孔質体からなる分離基材であって、
分離基材が、細胞懸濁液の流入側から粗濾過層と精密濾過層とをこの順で配置した領域を有し、
粗濾過層が、1枚以上の粗濾過膜を含み、
精密濾過層が、1枚以上の精密濾過膜を含み、
粗濾過膜のうち、少なくとも1枚が、ハーフドライ法により測定される平均孔径が5.0μm以上30.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%未満となる粗濾過膜Xであり、
精密濾過膜のうち、少なくとも1枚が、ハーフドライ法により測定される平均孔径が2.0μm以上20.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%以上となる精密濾過膜Yである、分離基材。
[2] 粗濾過膜Xが、下記式(1)を満たす膜である、[1]に記載の分離基材。
150≦平均孔径(μm)の数値×厚み(μm)の数値≦1500 (1)
[3] 精密濾過膜Yの空隙率が、40%以上90%以下である、[1]または[2]に記載の分離基材。
[4] 粗濾過膜Xの空隙率が、40%以上90%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の分離基材。
[5] 粗濾過層が、3枚以上の粗濾過膜を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の分離基材。
[6] 粗濾過層に含まれる全ての粗濾過膜、および、精密濾過層に含まれる全ての精密濾過膜が、臨界湿潤表面張力が72mN/m以上の膜である、[1]~[5]のいずれかに記載の分離基材。
[7] 多孔質体が、不織布である、[1]~[6]のいずれかに記載の分離基材。
[8] 不織布が、セルロース樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、[7]に記載の分離基材。
[9] セルロース樹脂が、セルロースアシレートまたはセルロースである、[8]に記載の分離基材。
[10] ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンである、[8]に記載の分離基材。
[11] ポリプロピレンが、親水化処理されたポリプロピレンである、[10]に記載の分離基材。
[12] 第1通液口および第2通液口が配置された容器と、第1通液口および第2通液口の間に充填された濾材を備えた分離フィルターであって、
濾材が、[1]~[11]のいずれかに記載の分離基材である、細胞分離フィルター。
[13] [1]~[11]のいずれかに記載の分離基材に、少なくとも巨核球を含む培養液を接触させる工程と、
接触工程の前および後の少なくとも一方において、巨核球を培養して血小板を産生させる培養工程と、
接触工程および培養工程の後に、産生した血小板を含む培養液を回収する回収工程とを有する、血小板の製造方法。
本発明によれば、本発明は、巨核球の除去率および血小板の回収率がいずれも高く、かつ、濾過寿命が長い分離基材ならびにそれを用いた細胞分離フィルターおよび血小板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
一般に、分離基材とは、小さな空隙を多数内部に有する構造体であり、例えば、繊維構造体、多孔膜、ビーズ充填カラムおよびこれらの積層体から構成されるものが挙げられる。
ここで、繊維構造体とは、繊維が絡み合って1つの構造をなしているものであり、例えば、織物(メッシュ)、編物、組紐、不織布、および、繊維をカラムに充填したものなどが挙げられ、中でも、広い孔径分布、複雑な流路、作製の容易性の点から特に不織布が好ましい。また、不織布の製法としては、例えば、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法、エレクトロスピニング法、ニードルパンチ法などが挙げられ、中でも、生産性と汎用性の点から、湿式法とメルトブロー法、エレクトロスピニング法が好ましい。
多孔膜とは、プラスチック体の全体に無数の連通孔を有するものであり、製法としては相分離法、発泡法、放射線やレーザー光などを照射するエッチング法、ポロジェン法、凍結乾燥法、プラスチック焼結法などが挙げられるが、複雑な流路、作製の容易性の点から特に相分離法を用いた多孔膜が好ましい。
ビーズ充填カラムとは、カラム内にビーズを充填させることでビーズ間に空隙を形成したものである。ビーズの粒径は均一であるものが望ましく、ビーズの粒径によってビーズ間の空隙を孔径として制御し易い。
本発明の分離基材を構成する多孔質体としては、例えば、不織布、繊維構造体、スポンジ体、多孔膜などが挙げられ、中でも、生産性および濾過性能の制御性の観点から、不織布であることが好ましい。
[分離基材]
本発明の分離基材は、巨核球と血小板とを含む細胞懸濁液から血小板を分離するための多孔質体からなる分離基材である。
また、本発明の分離基材は、細胞懸濁液の流入側から粗濾過層と精密濾過層とをこの順で配置した領域を有し、粗濾過層が1枚以上の粗濾過膜を含み、精密濾過層が1枚以上の精密濾過膜を含むものである。
また、本発明の分離基材は、粗濾過膜の少なくとも1枚が、ハーフドライ法により測定される平均孔径が5.0μm以上30.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%未満となる粗濾過膜Xであり、精密濾過膜の少なくとも1枚が、ハーフドライ法により測定される平均孔径が2.0μm以上20.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%以上となる精密濾過膜Yである。
ここで、「ハーフドライ法により測定される平均孔径」とは、パームポロメータ(西華産業製 CFE-1200AEX)を用いた細孔径分布測定試験において、GALWICK(Porous Materials,Inc社製)に完全に濡らしたサンプルに対して空気を送り込み、1kPa/minで昇圧しながら評価した値をいう。
具体的には、GALWICKに完全に濡らした膜状サンプルに対して、膜の片側に圧力上昇が1kPa/minとなるように空気を送り込み、その圧力を測りながら、膜の反対側へ透過してくる空気の流量を測定する。
この方法で、まず、GALWICKに濡れた膜状サンプルについて、圧力と透過空気流量とのデータ(以下、「ウェットカーブ」ともいう。)を得る。次いで、濡れていない、乾燥状態の膜状サンプルでも同様のデータ(以下、「ドライカーブ」ともいう。)を測定し、ドライカーブの流量の半分に相当する曲線(ハーフドライカーブ)とウェットカーブとの交点の圧力を求める。その後、GALWICKの表面張力(γ)、基材との接触角(θ)および空気圧(P)とを下記式(I)に導入し、平均孔径を算出することができる。
平均孔径=4γcosθ/P ・・・(I)
また、「細孔径分布のピーク値」とは、上述した平均孔径を算出する際の細孔径分布測定試験で得られるウェットカーブおよびドライカーブを用いて算出される細孔径分布を用いて、以下に示す方法で評価した値をいう。
細孔径分布は、x軸を孔径、y軸を孔径分布とするヒストグラムであるが、x軸を対数軸とし、データ区間の間隔が0.05、すなわちx軸の孔径が10倍化するまでの区間を対数値として等間隔に20の区分に分けて設定し、さらに全区間の度数の総和が100%となるようにヒストグラムを描き、このヒストグラムの最大度数の評価値をピーク値とする。
本発明の分離基材は、上述した通り、細胞懸濁液の流入側から、特定のパラメータを満たす粗濾過膜Xを含む粗濾過層と、特定のパラメータを満たす精密濾過膜Yを含む精密濾過層とを、この順で配置した領域を設けることにより、巨核球の除去率および血小板の回収率がいずれも高く、かつ、濾過寿命が長くなる。
このような効果を奏する理由は詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
まず、粗濾過膜Xは、ハーフドライ法により測定される平均孔径が5.0μm以上30.0μm以下であり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%未満であるため、後述する精密濾過膜Yと比較して、様々な孔径を有する細孔を多数有していると言える。
そして、粗濾過膜Xを含む粗濾過層が、精密濾過膜Yを含む精密濾過層よりも、細胞懸濁液の流入側に設けられていることにより、精密濾過層に到達する巨核球の数を軽減できるため、巨核球の除去率および血小板の回収率を高く維持しながら濾過寿命を長くすることができたと考えられる。特に、粗濾過膜Xを含む粗濾過層を設けることにより、積層膜における膜と膜との界面において、膜面平行方向への液流れが十分生じ、濾過対象物をそれぞれの膜の膜面に効果的に分散、結果として膜の有効空隙を最大限利用することができたため、濾過寿命を長くすることができたと考えられる。
〔粗濾過層〕
本発明の分離基材が有する粗濾過層は、1枚以上の粗濾過膜を含む濾過層である。
ここで、粗濾過膜とは、細孔径分布のピーク値が30%未満となる濾過膜をいい、本発明においては、粗濾過膜のうち、少なくとも1枚が、ハーフドライ法により測定される平均孔径が5.0μm以上30.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%未満となる粗濾過膜Xであり、粗濾過層に含まれるすべての粗濾過膜が、粗濾過膜Xであることが好ましい。
また、粗濾過層が、2枚以上の粗濾過膜を含む場合、同一の粗濾過膜を積層してもよく、異なる粗濾過膜を積層してもよい。なお、異なる粗濾過膜を積層する場合、隣接する粗濾過膜の積層順は、細胞懸濁液の流入側に配置される粗濾過膜の平均孔径が、流出側に配置される粗濾過膜の平均孔径以上となるように積層することが好ましい。
粗濾過膜の1枚の厚みは特に限定されないが、10~1000μmであることが好ましく、15~400μmであることがより好ましく、20~200μmであることが更に好ましい。
ここで、「粗濾過膜の厚み」とは、マイクロメータ(ミツトヨ製)を用いて粗濾過膜の膜厚を10か所で測定し、各測定値を平均した値をいう。
本発明においては、分離基材の濾過寿命がより長くなる理由から、粗濾過層が3枚以上の粗濾過膜を含むことが好ましく、3~20枚の粗濾過膜を含むことがより好ましい。
<粗濾過膜X>
粗濾過膜Xは、上述した通り、ハーフドライ法により測定される平均孔径が5.0μm以上30.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%未満となる粗濾過膜である。
また、粗濾過膜Xの平均孔径は、7.5μm以上26.0μm以下であることが好ましく、9.0μm以上23.0μm以下であることがより好ましい。
また、粗濾過膜Xの細孔径分布のピーク値は、5%以上30%未満であることが好ましく、10%以上30%未満であることがより好ましい。
粗濾過膜Xは、分離基材の濾過寿命がより長くなる理由から、下記式(1)を満たす膜であることが好ましく、下記式(2)を満たす膜であることがより好ましい。
150≦平均孔径(μm)の数値×厚み(μm)の数値≦1500 (1)
150≦平均孔径(μm)の数値×厚み(μm)の数値≦1200 (2)
粗濾過膜Xは、血小板の回収率がより高くなり、分離基材の濾過寿命がより長くなる理由から、空隙率が40%以上90%以下であることが好ましく、50%以上90%以下であることがより好ましい。
ここで、「空隙率」とは、下記式により算出される値をいう。
空隙率(%)=[1-{m/ρ/(S×d)}]×100
m:シート重量(g)
ρ:樹脂密度(g/cm
S:シート面積(cm
d:シート膜厚(cm)
〔精密濾過層〕
本発明の分離基材が有する精密濾過層は、1枚以上の精密濾過膜を含む濾過層である。
ここで、精密濾過膜とは、細孔径分布のピーク値が30%以上となる濾過膜をいい、本発明においては、精密濾過膜のうち、少なくとも1枚が、ハーフドライ法により測定される平均孔径が2.0μm以上20.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%以上となる精密濾過膜Yであり、精密濾過層に含まれるすべての精密濾過膜が、精密濾過膜Yであることが好ましい。
また、精密濾過層が、2枚以上の精密濾過膜を含む場合、同一の精密濾過膜を積層してもよく、異なる精密濾過膜を積層してもよい。なお、異なる精密濾過膜を積層する場合、隣接する精密濾過膜の積層順は、細胞懸濁液の流入側に配置される精密濾過膜の平均孔径が、流出側に配置される精密濾過膜の平均孔径以上となるように積層することが好ましい。
精密濾過膜の1枚の厚みは特に限定されないが、10~500μmであることが好ましく、10~250μmであることがより好ましく、10~200μmであることが更に好ましい。
ここで、「精密濾過膜の厚み」とは、マイクロメータ(ミツトヨ製)を用いて精密濾過膜の膜厚を10か所で測定し、各測定値を平均した値をいう。
本発明においては、分離基材の濾過寿命がより長くなる理由から、精密濾過層が2枚以上の精密濾過膜を含むことが好ましく、2~10枚の精密濾過膜を含むことがより好ましい。
<精密濾過膜Y>
精密濾過膜Yは、上述した通り、ハーフドライ法により測定される平均孔径が2.0μm以上20.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%以上となる精密濾過膜である。
また、精密濾過膜Yの平均孔径は、2.0μm以上17.5μm以下であることが好ましく、2.0μm以上15.0μm以下であることがより好ましい。
また、精密濾過膜Yの細孔径分布のピーク値は、30%以上99%以下であることが好ましく、45%以上99%以下であることがより好ましい。
精密濾過膜Yは、血小板の回収率がより高くなり、分離基材の濾過寿命がより長くなる理由から、空隙率が40%以上90%以下であることが好ましく、50%以上90%以下であることがより好ましい。
本発明においては、分離基材の濾過寿命がより長くなる理由から、上述した粗濾過層に含まれる全ての粗濾過膜、および、上述した精密濾過層に含まれる全ての精密濾過膜が、臨界湿潤表面張力(Critical Wetting Surface Tension:CWST)が72mN/m以上の膜であることが好ましく、72~110mN/mの膜であることがより好ましい。
ここで、「臨界湿潤表面張力」とは、以下の手順で算出される値をいう。
まず、異なる表面張力を有する溶液を用いて、水平にした濾過膜上に、溶液を静かに1滴載せ、10分間放置する。
濾過膜が湿潤した場合、湿潤した溶液よりも高い表面張力を有する溶液を用いて同様に滴下し、湿潤しなくなるまで繰り返し行う。
次いで、湿潤した溶液の中で最大の表面張力を有する溶液と、湿潤しない溶液の中で最小の表面張力を有する溶液について、両溶液の表面張力の平均値を臨界湿潤表面張力として算出する。
臨界湿潤表面張力を上述した範囲に調整する方法としては、種々の表面処理法を採用することができる。
表面処理法としては、例えば、親水性素材の表面コーティング、アルカリけん化などによる親水性官能基への変換もしくは付与などが挙げられる。
また、コーティング材料に関しては、公知のものを用いることができ、血小板吸着性のないものが特に好ましい。
本発明においては、上述した粗濾過層および精密濾過層に関して、粗濾過層の流出側の平均孔径が、精密濾過層の流入側の平均孔径以上となっていることが好ましい。
本発明の分離基材は、上述した粗濾過層および精密濾過層を細胞懸濁液の流入側からこの順で配置した領域を有するものであるが、この領域の総体積は、分離基材の総体積に対して50%以上であることが好ましく、65~100%であることがより好ましい。
本発明の分離基材の厚みは、100~3000μmであることが好ましく、150~1000μmであることがより好ましい。
ここで、「分離基材の厚み」とは、マイクロメータ(ミツトヨ製)を用いて分離基材の膜厚を10か所で測定し、各測定値を平均した値をいう。
本発明においては、十分な繊維強度と良好な分離性能を両立できる理由から、多孔質体(特に、不織布)を構成する繊維の平均繊維径は、800nm以上3500nm以下であることが好ましい。
また、分離基材の使用時(例えば、濾過中など)に繊維の剥がれを防止できる理由から、不織布を構成する繊維の平均繊維長は、1mm以上1m以下であることが好ましい。
なお、平均繊維径および平均繊維長は、不織布を作製する際の原料(例えば、酢酸セルロースなど)溶液の濃度などの製造条件を調節することで調整することができる。
ここで、平均繊維径とは、以下のように測定した値をいう。
繊維からなる不織布の表面を、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)像、または、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)像を観察する。
構成する繊維の大きさに応じて1000~5000倍から選択される倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。ただし、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、この直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で直線Xと垂直に交差する直線Yを引き、直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記のような電子顕微鏡観察画像に対して、直線Xに交錯する繊維、直線Yに交錯する繊維の各々について少なくとも20本(すなわち、合計が少なくとも40本)の幅(繊維の短径)を読み取る。こうして上記のような電子顕微鏡画像を少なくとも3組以上観察し、少なくとも40本×3組(すなわち、少なくとも120本)の繊維径を読み取る。
このように読み取った繊維径を平均して平均繊維径を求める。
また、平均繊維長とは、以下のように測定した値をいう。
すなわち、繊維の繊維長は、上述した平均繊維径を測定する際に使用した電子顕微鏡観察画像を解析することにより求めることができる。
具体的には、上記のような電子顕微鏡観察画像に対して、直線Xに交錯する繊維、直線Yに交錯する繊維の各々について少なくとも20本(すなわち、合計が少なくとも40本)の繊維長を読み取る。
こうして上記のような電子顕微鏡画像を少なくとも3組以上観察し、少なくとも40本×3組(すなわち、少なくとも120本)の繊維長を読み取る。
このように読み取った繊維長を平均して平均繊維長を求める。
本発明の分離基材は、樹脂材料を含むことが好ましい。
樹脂材料としては、具体的には、例えば、セルロースアシレート、セルロースなどのセルロース樹脂;ポリアクリロニトリル樹脂;ポリスルホン樹脂;フッ素樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、セルロース樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。
上記セルロース樹脂としては、セルロースアシレートまたはセルロースであることが好ましい。
また、セルロースアシレートは、一部が鹸化されたセルロースアシレートであってもよい。
また、セルロースアシレートが有するアシル基としては、具体的には、例えば、アセチル基、プロピオニル基およびブチリル基など挙げられる。なお、置換するアシル基は、1種類のみ(例えば、アセチル基のみ)であってもよく、2種以上であってもよい。
上記ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレンであることが好ましく、親水化処理されたポリプロピレンであることがより好ましい。
本発明においては、分離基材への血小板の吸着を抑制し、血小板の透過率をより向上させる観点から、分離基材の表面に親水化処理を施し、血小板低吸着材を化学的または物理的に修飾してもよい。
血小板低吸着材としては、側鎖に親水性基を有する重合体であることが好ましく、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、エチレングリコール、メタクリル酸メチル、ハイドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、N-ビニル-2-ピロリドン、スルホベタインモノマーの重合体等が挙げられる。
親水性基としては、具体的には、例えば、水酸基、エーテル基、ニトロ基、イミノ基、カルボニル基、リン酸基、メトキシジエチレングリコール基、メトキシトリエチレングリコール基、エトキシジエチレングリコール基、エトキシトリエチレングリコール基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、カルボキシル基、ホスホリル基、ホスホリルコリン基、スルホン基、または、これらの塩などが挙げられる。
また、血小板低吸着材よびその修飾方法としては、WO87/05812、特開平4-152952、特開平5-194243、WO2010/113632等に記載の材料および方法を利用できる。
〔細胞懸濁液〕
本発明の分離基材を用いて血小板の分離に供する細胞懸濁液は、巨核球と血小板とを含む細胞懸濁液である。
ここで、巨核球および血小板は特に限定されず、例えば、成体組織から採取した巨核球および血小板;多能性幹細胞、造血前駆細胞および間葉系細胞等の分化能を有する細胞から分化させた巨核球および血小板;通常の方法では巨核球への分化能を有さない細胞にダイレクトリプログラミング技術を用いることで作製された巨核球および血小板;これらを組み合わせた巨核球および血小板;などが挙げられる。
多能性幹細胞としては、例えば、胚性幹細胞〔ES(embryonic stem)細胞〕、核移植胚性幹細胞〔nt(nuclear transfer)ES細胞〕、および、人工多能性幹細胞〔iPS(induced pluripotent stem)細胞〕などが挙げられ、なかでも、人工多能性幹細胞(iPS細胞)が好ましい。
造血前駆細胞としては、例えば、骨髄由来、臍帯血由来、動員〔G-CSF(Granulocyte-colony stimulating factor)〕末梢血、ES細胞由来中肺葉系細胞および末梢血由来細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの造血前駆細胞としては、例えば、分化抗原群(cluster of differentiation:CD)34陽性のもの(例えば、CD34+細胞、CD133+細胞、SP細胞、CD34+CD38-細胞、c-kit+細胞あるいはCD3-、CD4-、CD8-およびCD34+細胞のもの)が挙げられる(国際公開WO2004/110139)。
間葉系細胞としては、例えば、間葉系幹細胞、脂肪前駆細胞、骨髄細胞、脂肪細胞および滑膜細胞などが挙げられ、なかでも、脂肪前駆細胞が好ましい。
通常の方法では巨核球への分化能を有さない細胞としては、例えば、繊維芽細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。
[細胞分離フィルター]
本発明の細胞分離フィルターは、第1通液口および第2通液口が配置された容器と、第1通液口および第2通液口の間に充填されたろ材を備えた細胞分離フィルターであって、ろ材に上述した本発明の分離基材を用いた細胞分離フィルターである。
細胞分離フィルターに用いられる容器の形態、大きさ、材質は特に限定されない。
容器の形態としては、例えば、球、コンテナ、カセット、バッグ、チューブ、カラム等、任意の形態であってよい。
容器の型(タイプ)としては、クロスフロータイプおよびカラムタイプのいずれのタイプでも使用することができる。
[血小板の製造方法]
本発明の血小板の製造方法は、上述した本発明の分離基材に、少なくとも巨核球を含む培養液を接触させる接触工程と、
接触工程の前および/または後において、巨核球を培養して血小板を産生させる培養工程と、
接触工程および培養工程の後に、産生した血小板を含む培養液を回収する回収工程とを有する、血小板の製造方法である。
ここで、接触工程における接触手段は、培養液の量および巨核球の濃度などに従って適宜選択することができるが、例えば、本発明の分離基材を充填した塔またはカラム等に細胞懸濁液を供給する方法などが挙げられる。
また、培養工程における血小板を産生させる手段は、例えば、流体によるシェアストレスを与える方法が挙げられ、具体的には、巨核球を含む培養液を撹拌する方法などが挙げられる。なお、培養工程において培養する巨核球は、接触工程の後に培養工程を有する場合は、本発明の分離基材で補足された巨核球であってもよい。また、接触工程の後に培養工程を有する場合は、後述する実施例のように、巨核球と血小板とを含む細胞懸濁液を分離基材に接触させた際に、初期段階で補足された巨核球は、その後に接触する細胞懸濁液(すなわち流体)によるシェアストレスによっても血小板が産生していると考えられる。
また、回収工程における回収手段としては、例えば、本発明の分離基材を充填した塔またはカラム等に、産生した血小板を含む培養液を通液させる方法などが挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔粗濾過膜の作製〕
ポリプロピレン(PP)を原料に用い、メルトブロー法を用いて不織布を作製し、必要に応じてカレンダー処理を行った後、親水化コーティング処理を行い、不織布からなる粗濾過膜R1~R13を作製した。
ここで、カレンダー処理については、温度、圧力、搬送速度を調整し、下記表1に記載する空隙率となるように行った。
また、親水化コーティングについては、特許第3250833号記載の条件を調整してメトキシポリエチレングリコールメタクリレートのマクロマーをグラフト重合し、下記表1に示すCWSTとなるように行った。
その他、平均孔径、厚み、細孔分布のピーク値、および、空隙率の異なる粗濾過膜については、目付、ポリマー吐出速度や温度などの不織布の製造条件を調整することで、下記表1に記載の粗濾過膜を得た。
なお、作製した粗濾過膜R1~R13について、上述した方法で、平均孔径、厚み、CWST、細孔径分布のピークおよび空隙率を測定し、また、平均孔径と厚みとの積(上記式(1)の値)を算出した。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 0007454596000001
〔精密濾過膜の作製〕
電界紡糸法を用いて、下記表2に示す条件で、不織布からなる精密濾過膜P1~P10を作製した。
具体的には、特許文献1(国際公開第2018/207564号)の実施例1と同様の方法で、酢酸セルロース(以下、「CA」とも略す。)および/または酢酸プロピオン酸セルロース(以下、「CAP」とも略す。)からなる不織布を作製した。なお、平均孔径、厚み、細孔分布のピーク値、および、空隙率の異なる精密濾過膜については、目付、加熱処理温度および加熱処理時間を調整することで、下記表2に記載の精密濾過膜を得た。
次いで、水酸化ナトリウムの水/エタノール溶液を用いて、アルカリ鹸化処理を施し、CWSTの調整を行った。
次いで、純水に浸漬し、取り出して風乾することで、精密濾過膜P1~P10を作製した。
なお、作製した精密濾過膜P1~P10について、上述した方法で、平均孔径、厚み、CWST、細孔径分布のピークおよび空隙率を測定した。これらの結果を下記表2に示す。
Figure 0007454596000002
〔細胞懸濁液の調製〕
培地:RPMI1640(Thermo Fisher Scientific社製)450mlにウシ血清(Thermo Fisher Scientific社製)50mlを添加したものを使用した。
巨核球:MEG-01(ATCC社製)を巨核球として使用した。これを培地と混合することで、巨核球液(6×10cells/ml)を調製した。
血小板懸濁液:ラット末梢血から単離したものを血小板として使用した。具体的には、クエン酸-デキロース溶液(ACD)(sigma-aldrich社)が入った15ml遠心分離用コニカルチューブ(Falcon社)にラットから採血した全血10mlを回収した。300×g、室温で7分間遠心し、遠心後のPlasma層およびBuffy coat層を回収した。回収液を同様に遠心分離し、Plasma層のみを回収した後に、1800×g、室温で5分間遠心し、上清を回収することで血小板を得た。これを培地と混合することで、血小板懸濁液(2×10cells/ml)を調製した。
巨核球液と血小板懸濁液とを等量混合することで、細胞懸濁液を調製した。
[実施例1~26および比較例1~10]
〔評価1〕
作製した各粗濾過膜および各精密濾過膜を25mmφ円形に切り出し、下記表3に記載する積層構成となるように積層して作製した分離基材を、市販のフィルターホルダーに組み込んだ。
次いで、フィルターホルダーの流入側および流出側に内径3mm、長さ30cmのポリ塩化ビニル製のチューブを接続した。
流入側のチューブの先にピストンを外したシリンジを接続し、シリンジ部をクランプで固定してシリンジ、チューブ、フィルターホルダーが鉛直方向に並ぶように吊るした。
また、チューブを接続したまま、チューブが折れないようにフィルターホルダーの流入側が下側、流出側が上側となるように上下反転し、シリンジ底部から20cm下の位置でクランプ固定した。
また、チューブのシリンジ底部に近い場所をクリップ留めして塞いだ後、細胞懸濁液をシリンジに導入した。
次いで、クリップを開放し、細胞懸濁液をフィルターへ導入し、分離基材に接触させた。
次いで、フィルターホルダーの流出側から濾液が流出したことを確認した後、フィルターホルダーをクランプから外し、シリンジ、チューブ、フィルターホルダーが鉛直方向に並ぶ配置に戻し、流出した濾液を回収した。
濾液は一定液量ずつ小分けにして回収し、それぞれの液に対して、血小板の回収率および巨核球の除去率を測定した。
濾過中、流量が濾過開始時の半分の値となるまでの通液量を濾過寿命として評価した。
また、血小板の回収率と巨核球の除去率については、この濾過寿命までの平均性能で評価した。
これらの結果を下記表3に示す。なお、下記表3中、「粗濾過膜など」に記載している膜は、細胞懸濁液の流入側に設置し、「精密濾過膜など」に記載している膜は、「粗濾過膜など」に記載している膜の流出側に設置した。また、「粗濾過膜など」および「精密濾過膜など」に記載している膜のうち、上下2段に分かれているものは、上段の膜を細胞懸濁液の流入側に設置し、下段の膜を上段の膜の流出側に設置した。
Figure 0007454596000003
上記表3に示す結果から、精密濾過膜のみ設置した分離基材は、巨核球の除去率および血小板の回収率がいずれも高いが、濾過寿命が短いことが分かった(比較例1および2)。
また、粗濾過膜のみ設置した分離基材は、巨核球の除去率が低くなることが分かった(比較例3および4)。
また、細胞懸濁液の流入側から精密濾過層と粗濾過層とをこの順で配置した分離基材は、濾過寿命が短いことが分かった(比較例5および6)。
また、精密濾過膜として、平均孔径が2.0μm未満の濾過膜を用いた場合は、血小板の回収率が低くなり、濾過寿命も短いことが分かった(比較例7)。
また、精密濾過膜として、平均孔径が20μm超の濾過膜を用いた場合は、巨核球の除去率が低くなり、濾過寿命も短いことが分かった(比較例8)。
また、粗濾過膜として、平均孔径が5.0μm未満の濾過膜を用いた場合は、血小板の回収率が低くなり、濾過寿命も短いことが分かった(比較例9)。
また、粗濾過膜として、平均孔径が30μm超の濾過膜を用いた場合は、濾過寿命が短いことが分かった(比較例10)。
これに対し、細胞懸濁液の流入側から、粗濾過膜Xを含む粗濾過層と精密濾過膜Yを含む精密濾過層とをこの順で配置した分離基材は、巨核球の除去率および血小板の回収率がいずれも高く、かつ、濾過寿命が長いことが分かった(実施例1~26)。
また、実施例2、11および15の対比から、粗濾過膜Xが、上記式(1)を満たす膜であると、分離基材の濾過寿命がより長くなることが分かった。
また、実施例10、22および23の対比から、粗濾過膜Xの空隙率が40%以上90%以下であると、血小板の回収率がより高くなり、分離基材の濾過寿命がより長くなることが分かった。
また、実施例2、16、17、20および21の対比から、精密濾過膜Yの空隙率が40%以上90%以下であると、血小板の回収率がより高くなり、分離基材の濾過寿命がより長くなることが分かった。
また、実施例1および24の対比から、粗濾過層が、3枚以上の粗濾過膜を含むと、分離基材の濾過寿命がより長くなることが分かった。
[実施例2、3および5~7]
〔評価2〕
非特許文献〔Life Support and Anesthesia、vol.8、no.11、2001-11,p.1010-p.1013〕を参考に、フィルタハウジングを作製し、実施例2、3および5~7の評価1で作製した積層体(分離基材)を円形に切り出してフィルタハウジング内に組み込んだ。
分離基材をフィルタハウジングに組み込む際、フィルタハウジング内部空間のうち分離基材外周部分に充填剤を封入し、分離基材をフィルタハウジング内に固定した。
次いで、評価1と同様の細胞懸濁液を輸液バッグに移液し、スケールアップフィルタの流入側に接続した。この際、チューブクランプを用いて、輸液バッグ内の細胞懸濁液がスケールアップフィルタに流入しないようにした。
次いで、輸液バッグの上部からスタンドに吊るし、チューブクランプを開放することで細胞懸濁液の濾過を行った。
濾液の回収および分離性、濾過寿命の評価については、市販のフィルターホルダーを用いた評価と同様に実施した。結果を下記表4に示す。
Figure 0007454596000004
上記表4に示す結果から、実施例2、3および5~7は、スケールアップした評価においても、巨核球の除去率および血小板の回収率がいずれも高く、かつ、濾過寿命が長いことが分かった。

Claims (10)

  1. 巨核球と血小板とを含む細胞懸濁液から血小板を分離するための多孔質体からなる分離基材であって、
    前記分離基材が、前記細胞懸濁液の流入側から粗濾過層と精密濾過層とをこの順で配置した領域を有し、
    前記粗濾過層が、枚以上の粗濾過膜を含み、
    前記精密濾過層が、1枚以上の精密濾過膜を含み、
    前記粗濾過膜のうち、少なくとも1枚が、ハーフドライ法により測定される平均孔径が5.0μm以上30.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%未満となる粗濾過膜Xであり、
    前記精密濾過膜のうち、少なくとも1枚が、ハーフドライ法により測定される平均孔径が2.0μm以上20.0μm以下となり、かつ、細孔径分布のピーク値が30%以上となる精密濾過膜Yであり、
    前記粗濾過膜Xが、下記式(1)を満たす膜であり、
    前記精密濾過膜Yおよび前記粗濾過膜Xの少なくとも一方の空隙率が40%以上90%以下である、分離基材。
    150≦平均孔径(μm)の数値×厚み(μm)の数値≦1500 (1)
  2. 前記粗濾過層が、3枚以上の粗濾過膜を含む、請求項1に記載の分離基材。
  3. 前記粗濾過層に含まれる全ての粗濾過膜、および、前記精密濾過層に含まれる全ての精密濾過膜が、臨界湿潤表面張力が72mN/m以上の膜である、請求項1または2に記載の分離基材。
  4. 前記多孔質体が、不織布である、請求項1~のいずれか1項に記載の分離基材。
  5. 前記不織布が、セルロース樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、請求項に記載の分離基材。
  6. 前記セルロース樹脂が、セルロースアシレートまたはセルロースである、請求項に記載の分離基材。
  7. 前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンである、請求項に記載の分離基材。
  8. 前記ポリプロピレンが、親水化処理されたポリプロピレンである、請求項に記載の分離基材。
  9. 第1通液口および第2通液口が配置された容器と、前記第1通液口および前記第2通液口の間に充填された濾材を備えた分離フィルターであって、
    前記濾材が、請求項1~のいずれか1項に記載の分離基材である、細胞分離フィルター。
  10. 巨核球から血小板を産生させる産生工程と、
    請求項1~のいずれか1項に記載の分離基材に、少なくとも前記巨核球と前記血小板とを含む培養液を接触させる接触工程と、
    前記接触工程の後に、前記分離基材によって分離された血小板を含む培養液を回収する回収工程とを有する、血小板の製造方法。
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