JP2021084874A - 多血小板血漿製造デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、遠心分離機を用いず、簡便に多血小板血漿を製造することができるデバイスを提供することを目的とする。【解決手段】 本発明は、血液を貯留する貯留容器と、前記血液から白血球および赤血球の少なくとも一部を除去するろ過器と、前記ろ過器から排出されたろ液から血漿の一部を除去して血小板を濃縮する濃縮器と、前記濃縮された血小板溶液を回収する回収容器と、を含む、多血小板血漿製造装置である。【選択図】なし
Description
本発明は、血液から効率よく多血小板血漿を製造するためのデバイスに関する。
多血小板血漿(Platelet Rich Plasma:以下「PRP」と略称)は、血液中に含まれる血小板を高濃度に含有する血漿である。PRPは、細胞や組織の再生を促す種々の成分、例えば、EGF(表皮増殖因子:Epidermal Growth Factor)、PDGF(血小板増殖因子:Platelet−Derived Growth Factor)、VEGF(血管内皮細胞増殖因子:Vascular Endothelial Growth Factor)、IGF(インスリン様成長因子:Insulin−like Growth Factor)、FGF(線維芽細胞増殖因子:Fibroblast Growth Factor)、HGF(肝細胞増殖因子:Hepatocyte Growth Factor)、TGF(トランスフォーミング増殖因子:Transforming Growth Factor)などの増殖因子を多く含んでいることから、骨、血管、皮膚などの再生促進作用を有することが知られており、変形性膝関節症など多くの疾患の治療や美容整形に用いられている。
PRPの作製は、通常、例えばPRPを適用する患者から採血した血液を遠心分離することで行われている(特許文献1)。近年、例えば牛などの畜産動物や競走馬に対してもPRPを使用した治療を行うことがある。こうした場合には、畜産などの現場で採血を行うため、遠心分離機がすぐに利用できる状況では無いことがほとんどである。このため、現場で採血した血液から、遠心分離機を用いずにPRPを簡便に作製し、すぐに患畜に使用出来る手段が求められている。
本発明は、遠心分離機を用いず簡便に多血小板血漿を製造することが出来るデバイスを提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1) 血液を貯留する貯留容器と、
前記血液から白血球および赤血球の少なくとも一部を除去するろ過器と、
前記ろ過器から排出されたろ液から血漿の一部を除去して血小板を濃縮する濃縮器と、
前記濃縮された血小板溶液を回収する回収容器と、
を含む、多血小板血漿製造装置。
(2) 前記ろ過器は、繊維集合体または中空糸膜からなるろ過部材を含む、(1)に記載の多血小板血漿製造装置。
(3) 前記濃縮器は、中空糸膜からなる濃縮部材を含む、(1)または(2)に記載の多血小板血漿製造装置。
(4) 前記繊維集合体および中空糸膜の表面に血小板吸着防止剤が被覆および固着されている、(1)〜(3)のいずれかに記載の多血小板血漿製造装置。
(5) 前記血小板吸着防止剤がヒドロキシアルキルセルロースである、(4)に記載の多血小板血漿製造装置。
(1) 血液を貯留する貯留容器と、
前記血液から白血球および赤血球の少なくとも一部を除去するろ過器と、
前記ろ過器から排出されたろ液から血漿の一部を除去して血小板を濃縮する濃縮器と、
前記濃縮された血小板溶液を回収する回収容器と、
を含む、多血小板血漿製造装置。
(2) 前記ろ過器は、繊維集合体または中空糸膜からなるろ過部材を含む、(1)に記載の多血小板血漿製造装置。
(3) 前記濃縮器は、中空糸膜からなる濃縮部材を含む、(1)または(2)に記載の多血小板血漿製造装置。
(4) 前記繊維集合体および中空糸膜の表面に血小板吸着防止剤が被覆および固着されている、(1)〜(3)のいずれかに記載の多血小板血漿製造装置。
(5) 前記血小板吸着防止剤がヒドロキシアルキルセルロースである、(4)に記載の多血小板血漿製造装置。
本発明により、血液から多血小板血漿を、簡便に製造出来るデバイスを提供することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、血液から多血小板血漿を製造するための装置に関する。具体的には、本発明の多血小板血漿製造装置は、血液より血小板以外の血球成分(主に白血球および赤血球)を吸着および/または濾別により除去した後、血小板を含む血漿を濃縮する装置であって、前記血液をろ過するろ過部材を備えたろ過器と、該ろ過器によってろ過されたろ液が供給され、該ろ液より血漿の一部を除去して血小板濃縮液を得る濃縮器と、を備えている。
(ろ過器)
本発明において、ろ過部材を備えたろ過器は、血液から赤血球と白血球を取り除くことが出来るものであればよく、不織布などの繊維集合体や多孔質体を用いることができる。繊維集合体や多孔質体の素材については特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)などのポリエステル系ポリマー、セルロースエステル、再生セルロースなどのセルロース系ポリマーが好適に用いられる。セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。その他、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系ポリマー、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミドなどが利用できる。また、これらの誘導体が主成分であっても良いし、さらにこれらの素材に親水化処理などの化学的に修飾を加えたものであっても良い。
本発明において、ろ過部材を備えたろ過器は、血液から赤血球と白血球を取り除くことが出来るものであればよく、不織布などの繊維集合体や多孔質体を用いることができる。繊維集合体や多孔質体の素材については特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)などのポリエステル系ポリマー、セルロースエステル、再生セルロースなどのセルロース系ポリマーが好適に用いられる。セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。その他、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系ポリマー、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミドなどが利用できる。また、これらの誘導体が主成分であっても良いし、さらにこれらの素材に親水化処理などの化学的に修飾を加えたものであっても良い。
本発明において、ろ過部材として繊維集合体を用いる場合、繊維集合体は、繊維径(平均繊維径、バラツキ)、かさ密度(単位体積あたりの重量)、平均動水半径などで規定される。前記繊維径は、1.0〜6.0μmが好ましく、1.5〜5.0μmがより好ましく、1.5〜4.0μmがさらに好ましい。前記繊維径は、繊維集合体を2000倍の電子顕微鏡で撮影した写真中よりランダムに選択した20本の繊維の径をノギスまたはスケールルーペで計測して求めた値の平均値である。繊維径が大きいと、繊維間隙の通過抵抗が小さくなるので、ろ液に赤血球が混入しやすくなる。逆に、繊維径が小さいと、血液の通過抵抗が大きくなり処理に時間がかかることがある。また、繊維集合体の圧力損失が大きくなるため赤血球の溶血が起こりやすくなる。
本発明において、ろ過器に充填された繊維集合体のかさ密度は、0.1〜1.0g/cm3が好ましい。かさ密度は、繊維集合体内部の繊維の充填量を示す値であり、この値が大きくなると、繊維が密に詰まった状態となり、逆に小さな値になると疎な状態となる。繊維が密すぎると、血液が通過する際の抵抗や変形が大きくなり処理に長時間を必要としたり、目詰まりを起こすなどの可能性がある。また、繊維が疎になりすぎると、吸着させたい成分(白血球)との接触頻度が低下し、十分な吸着力を得られない可能性がある。より好ましくは0.2〜0.8g/cm3、さらに好ましくは0.3〜0.6g/cm3である。
本発明において、ろ過器に充填された繊維集合体の平均動水半径は0.5〜1.5μmが好ましい。動水半径が大きいと、ろ過速度は向上するが、ろ液に赤血球が混入しやすくなる。また、動水半径が小さいと、血小板の回収率が低下するだけでなく、ろ過に長時間を要することがある。ここで平均動水半径は、以下のように定義される。
平均動水半径=管路の断面積/管の周の長さ
=管中の流体の容積/液体に接する管の内表面積
=極細繊維集合体の間隙体積/極細繊維の表面積
すなわち、動水半径(μm)は下記式により求めることができる。
DH=R×(ρ−rm)/4rm
ここで、DHは装着された極細繊維集合体の平均動水半径(μm)、Rは極細繊維の平均繊維直径(μm)、ρは極細繊維の密度(g/cm3)、rmは装着された極細繊維の集合体の平均嵩密度(g/cm3)である。
式に示されるように、装着された極細繊維の集合体の動水半径DHは、同じ素材の極細繊維を用いた場合(つまり、ρが一定の場合)、Rおよびrmにより決定される。
平均動水半径=管路の断面積/管の周の長さ
=管中の流体の容積/液体に接する管の内表面積
=極細繊維集合体の間隙体積/極細繊維の表面積
すなわち、動水半径(μm)は下記式により求めることができる。
DH=R×(ρ−rm)/4rm
ここで、DHは装着された極細繊維集合体の平均動水半径(μm)、Rは極細繊維の平均繊維直径(μm)、ρは極細繊維の密度(g/cm3)、rmは装着された極細繊維の集合体の平均嵩密度(g/cm3)である。
式に示されるように、装着された極細繊維の集合体の動水半径DHは、同じ素材の極細繊維を用いた場合(つまり、ρが一定の場合)、Rおよびrmにより決定される。
なお、繊維の形態としては、例えば、綿状、不織布状、編布、織布等が挙げられ、これらを適宜成形加工することにより用いることが可能であるが、不織布を単独または複数枚積層して用いるのが取扱性の面から好ましい。
本発明において、ろ過部材として多孔質体を用いる場合、多孔質体の形態としては多孔質膜が挙げられ、多孔質膜としては中空糸形態でもよいし、平膜形態でもよい。多孔質膜を用いる場合、膜の平均細孔径は1.5μm〜2.5μmが好ましく、1.5μm〜2μmがより好ましい。また、必要な強度を付与するために、膜の厚みは10μm〜500μmとするのが好ましい。さらに、中空糸形態であって、血液を中空部に流す場合は、血液成分へのダメージ低減を考慮して、内径を150μm〜2000μmとするのが好ましい。
本発明において、ろ過部材は、血小板吸着防止処理を施されたものを用いるのが好ましい。前記処理を施すことによって、ろ過部材への白血球の吸着は維持したまま血小板の吸着を抑制することができるので、血小板の回収率を高めることが可能となる。前記処理に用いる薬剤としては、ポリビニルピロリドンやビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシアルキルセルロース等が挙げられる。ポリビニルピロリドンは、K値が15〜95程度のものを用いるのが好ましい。K値がこの範囲であれば、血液中への溶出を抑えることができるため好ましい。また、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体は、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合比が30/70〜70/30のものが好ましい。また、ヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられ、中でもヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
本発明において、ろ過部材は、前記した血小板吸着防止剤を原料ポリマーと均一に混合溶解したものを用いて繊維や多孔質体を成形したものであってもよいし、繊維や多孔質体を成形した後に後処理にて血小板吸着防止剤を繊維や多孔質体の表面に被覆したものであってもよい。
本発明において、ろ過部材における血小板吸着防止剤の含有率は、0.01〜0.5質量%が好ましい。含有率が少ないと、血小板吸着防止機能が不十分となることがある。含有率が多いと、白血球の除去機能(血小板と白血球の分離性)が低下することがある。したがって、含有率は0.05〜0.35質量%がより好ましい。また、ろ過部材として繊維集合体を用いる場合、繊維表面積あたりの血小板吸着防止剤の被覆割合は、0.3〜2.0mg/m2が好ましい。この量で、繊維表面が一様に必要十分な被覆が達成される。ここで示す面積とは、円形断面の繊維の場合は、繊維の平均径と繊維の全長(かさ密度、素材密度などから算出)から算出される繊維全表面積である。
ろ過部材に後処理によって血小板吸着防止剤であるヒドロキシアルキルセルロース(以下、HACと称することがある)を被覆する具体的態様について説明する。HAC等の水溶性高分子は、その水溶性が、温度により変化する特性を有することが知られているが、HACは、下限臨界共溶温度(LCST)を持ち、温度の上昇により水への溶解性が臨界的に低下し、低濃度であるほど、この臨界的な特性が顕著になることが知られている。(Macromolecules 22,2286-2292,1989)
HACの被覆は、ろ過部材に対して、溶液状態で塗布、または溶液に含浸することにより行うことができる。この際に、ろ過部材は、完全に溶液で濡れる必要がある。この濡れを確実にするためには、あらかじめ完全に水に濡らしたろ過部材を、HACの溶液と接触させる方法、HACをアルコールなどの有機溶媒水溶液とする方法などがある。乾燥状態のろ過部材に対して、前処理無しに、HAC溶液で処理できる点では、後者の方法が有利である。本発明においては、アルコール濃度1%以上の水溶液を用いることでろ過部材を濡らすことが可能である。好ましくは3%以上である。また、アルコール濃度が高すぎると、その後の工程への残留の影響や、ろ過部材へのダメージ、オリゴマーの析出などが生じることがあるので30%以下が好ましい。
HAC溶液を塗布または浸漬する際の温度は、下限臨界共溶温度(LCST)未満の温度とする必要がある。温度が高いと、HACが塗布液または浸漬液に均一に溶解していないため、被覆が均一にならないことがある。また、溶液の分散安定性にも欠ける。下限温度は、被覆、ろ過部材への浸透のために、最適な粘度と流動性を持つ状態であることが必要である。通常は、室温程度の温度が最適である。安定性のためには、温度制御を実施することが好ましい。HAC溶液とろ過部材との接触時間は、ろ過部材への含浸が完結できる時間であれば良く、ろ過部材の密度、細孔径などに依存するが、過剰な時間接触させる必要はない。ろ過部材内部に気泡などが存在すると、その部分に浸透しないので振動や圧縮などにより気泡は完全に除去する必要がある。また、処理に要する時間は、5秒〜1分程度が最適である。また、接触後のろ過部材は、空隙部または細孔内に存在する過剰な溶液を除去するために、マングルローラーでの絞りやエアで飛ばす、遠心脱液などの抱液量の制御を行うことも有効である。
前記表面に血小板吸着防止剤の被覆処理が施されたろ過部材は、HACの不溶化処理を行うことも好ましい。具体的には、前記被覆処理が施されたろ過部材を、40〜140℃、好ましくは90〜121℃の温度範囲の沸騰水または蒸気雰囲気またはオートクレーブ処理器内などで、水または蒸気の存在下で処理することで簡便にHACを不溶化することができる。
なお、本発明において、ろ過部材だけでなく、濃縮部材に対しても前記血小板吸着防止処理を施してもよい。
本発明において、多血小板血漿への赤血球の混入を低減するために、赤血球表面抗原に対する抗体やレクチン(糸状菌Conidiobolus lampraugesの生産するキトオリゴ糖結合レクチン、CLA)などをろ過部材の表面に被覆、固定化したものを用いるのが好ましい。
本発明において、ろ過部材は、血液等の被処理液を内部に導入するためのポートおよび処理液(ろ液)を排出するためのポートを有する、例えば円筒状の容器に充填してろ過器を製造する。図1は、ろ過部材として繊維集合体を充填したろ過器の一例を示す。ケース1は、繊維集合体2に連通する2ヵ所のポート3aおよび3bを有している。前記ケース1の形状は特に限定されないが、円筒状または直方体状が好ましい。図2は、ろ過部材として中空糸膜を用いる場合のろ過器の一例を示す。図2において、複数の中空糸膜2は接着樹脂4によって中空糸膜端部が開口した状態でケース端部に固定されている。図2のろ過器において、被処理液(血液)は、中空糸膜の内腔または外腔のいずれに導入しても構わないが、例えば内腔に血液を導入する場合は、ポート3aから流入させた血液を中空糸膜を介して白血球等を除去した後、ポート3bより排出されるろ液を回収する。逆に、外腔に血液を導入する場合は、血液をポート3bより導入し、ポート3aまたは5より排出されるろ液を回収する。
(血小板濃縮器)
本発明において、濃縮器は、前述のろ過器から排出された血小板を含む血漿成分を、血漿成分比率は変えずに、血小板濃度を高めるものである。濃縮器に用いる濃縮部材としては、平膜形状または中空糸膜形状であり、0.01μm〜2.0μm程度の平均細孔径を有するものが好ましい。平均細孔径が小さいと、血小板以外の血漿成分も濃縮されてしまう。また、平均細孔径が大きいと、血小板の漏れ量が多くなり濃縮度を高めることができないことがある。したがって、平均細孔径は0.02〜1.5μmがより好ましく、0.05〜1.0μmがさらに好ましい。このような細孔径を有する濃縮部材を用いることにより、血小板濃縮液(多血小板血漿)を容易に得ることができる。
本発明において、濃縮器は、前述のろ過器から排出された血小板を含む血漿成分を、血漿成分比率は変えずに、血小板濃度を高めるものである。濃縮器に用いる濃縮部材としては、平膜形状または中空糸膜形状であり、0.01μm〜2.0μm程度の平均細孔径を有するものが好ましい。平均細孔径が小さいと、血小板以外の血漿成分も濃縮されてしまう。また、平均細孔径が大きいと、血小板の漏れ量が多くなり濃縮度を高めることができないことがある。したがって、平均細孔径は0.02〜1.5μmがより好ましく、0.05〜1.0μmがさらに好ましい。このような細孔径を有する濃縮部材を用いることにより、血小板濃縮液(多血小板血漿)を容易に得ることができる。
濃縮部材の素材については特に限定されず、ろ過部材と同様のものを用いることができる。また、ろ過部材と同様の血小板吸着防止処理が施されたものでもよい。さらに、ろ過部材と同様の赤血球吸着処理が施されたものでもよい。赤血球吸着処理が施された濃縮部材を用いることにより、ろ過処理で除去しきれなかった赤血球の除去率を高めることができるため好ましい。
また、中空糸膜の場合、その内径は、好ましくは20μm〜1000μm、より好ましくは50μm〜500μm、さらに好ましくは100μm〜500μmである。膜厚は、10μm〜300μm程度が好ましく、10μm〜200μmがより好ましく、15μm〜150μmがさらに好ましい。内径や膜厚が大きすぎると、デバイスが不必要に大きくなってしまう。また、内径が小さすぎると、中空糸膜内腔に通液する際に圧力損失や線速度が大きくなり、血小板にダメージを与えることがある。
前記中空糸膜を用いてろ過器の製造と同様にして濃縮器を製造する。
前記中空糸膜を用いてろ過器の製造と同様にして濃縮器を製造する。
(多血小板血漿製造システム)
前記ろ過器と濃縮器を用いることにより、遠心分離機等を用いなくとも、血液から多血小板血漿を容易に得ることができる。次に、本発明の多血小板血漿製造装置について、図3、4を参照して説明する。なお、図3において、ろ過部材は繊維集合体、濃縮部材は中空糸膜を用いた態様を示している。
図3において、貯留容器21は回路22によってろ過器24のポート3aまたは3bに接続されており、貯留溶液21内の血液は回路22の途中に設けられたポンプ23によって、ろ過器24に送液される。ろ過器24に送液された血液中の白血球および赤血球の少なくとも一部はろ過部材に吸着またはろ過部材により濾別され、除去される。ろ液(血小板および血漿)は、ポート3aまたは3bより排出され、回路25により濃縮器26に送液される。濃縮器26では血漿の一部がろ過されることにより、血漿成分の濃度は変えずに血小板が濃縮された血漿として回路27を経由して回収容器28に回収される。
図4は、ろ過部材として中空糸膜を用いている点と、ろ過器から排出されたろ液を濃縮器26に送液する回路25の途中にポンプ23を備えている点で図3の態様と異なる。
前記ろ過器と濃縮器を用いることにより、遠心分離機等を用いなくとも、血液から多血小板血漿を容易に得ることができる。次に、本発明の多血小板血漿製造装置について、図3、4を参照して説明する。なお、図3において、ろ過部材は繊維集合体、濃縮部材は中空糸膜を用いた態様を示している。
図3において、貯留容器21は回路22によってろ過器24のポート3aまたは3bに接続されており、貯留溶液21内の血液は回路22の途中に設けられたポンプ23によって、ろ過器24に送液される。ろ過器24に送液された血液中の白血球および赤血球の少なくとも一部はろ過部材に吸着またはろ過部材により濾別され、除去される。ろ液(血小板および血漿)は、ポート3aまたは3bより排出され、回路25により濃縮器26に送液される。濃縮器26では血漿の一部がろ過されることにより、血漿成分の濃度は変えずに血小板が濃縮された血漿として回路27を経由して回収容器28に回収される。
図4は、ろ過部材として中空糸膜を用いている点と、ろ過器から排出されたろ液を濃縮器26に送液する回路25の途中にポンプ23を備えている点で図3の態様と異なる。
(繊維集合体の製造)
本発明において、繊維集合体を製造する方法は、スパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法などを用いることができる。特に、メルトブロー法による製造法は、本発明の繊維径が数μmの長繊維(基本的には途切れの無い繊維)からなる繊維を製造するのに適しており好ましい。また、繊維間の絡みにおいて交点の接着が無い、繊維の端部が殆ど無いなどの点も、血液を通液する際に過剰な抵抗や細胞へのダメージが少なく好ましい。ポリエステルを用いた繊維集合体は、素材の融解、溶融粘度や延伸挙動などの点から、本発明領域の繊維径、繊維形状を得られやすく、繊維集合体とした場合の繊維同士の交わり、適度な捲縮性などを得ることができるため好ましい。中でも、ポリエステルが好ましい。また、表面に被覆する血小板吸着防止剤の安定な固定の点からも、ポリエステルが好ましい繊維集合体の材料となる。
本発明において、繊維集合体を製造する方法は、スパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法などを用いることができる。特に、メルトブロー法による製造法は、本発明の繊維径が数μmの長繊維(基本的には途切れの無い繊維)からなる繊維を製造するのに適しており好ましい。また、繊維間の絡みにおいて交点の接着が無い、繊維の端部が殆ど無いなどの点も、血液を通液する際に過剰な抵抗や細胞へのダメージが少なく好ましい。ポリエステルを用いた繊維集合体は、素材の融解、溶融粘度や延伸挙動などの点から、本発明領域の繊維径、繊維形状を得られやすく、繊維集合体とした場合の繊維同士の交わり、適度な捲縮性などを得ることができるため好ましい。中でも、ポリエステルが好ましい。また、表面に被覆する血小板吸着防止剤の安定な固定の点からも、ポリエステルが好ましい繊維集合体の材料となる。
(中空糸膜の製造)
本発明において、中空糸膜は従来公知の方法によって製造することができる。例えば、溶媒溶解性のポリマー、溶媒、必要により非溶媒を混練溶解した製膜溶液を中空糸成型用のノズル(3分割ノズル、2重管ノズル等)より吐出し、空中走行部を通過させた後、凝固浴に浸漬して中空糸形状を固定化させる。その後、過剰の溶媒、非溶媒等を洗浄除去することにより中空糸膜を製造することができる。得られた中空糸膜は、必要により細孔保持剤を付着させるなどした後、乾燥させてもよい。
本発明において、中空糸膜は従来公知の方法によって製造することができる。例えば、溶媒溶解性のポリマー、溶媒、必要により非溶媒を混練溶解した製膜溶液を中空糸成型用のノズル(3分割ノズル、2重管ノズル等)より吐出し、空中走行部を通過させた後、凝固浴に浸漬して中空糸形状を固定化させる。その後、過剰の溶媒、非溶媒等を洗浄除去することにより中空糸膜を製造することができる。得られた中空糸膜は、必要により細孔保持剤を付着させるなどした後、乾燥させてもよい。
(対象となる試料)
本発明において、係る対象となる試料としては、特に限定されるものではないが、ヒト血液の他、ウシ、ウマ、イヌ、ネコなどの動物の血液を対象とすることが出来る。
本発明において、係る対象となる試料としては、特に限定されるものではないが、ヒト血液の他、ウシ、ウマ、イヌ、ネコなどの動物の血液を対象とすることが出来る。
以下、本発明の有効性について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に代表的な実施方法を記載する。
(繊維集合体の繊維径測定)
繊維集合体を構成する繊維の平均径は、繊維集合体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率2000倍にて撮影し、撮影された写真(画像)と縮尺情報より算出した。任意の繊維20本についてノギスまたはスケールルーペで計測し、その平均値を繊維集合体の平均繊維径(μm)とした。
繊維集合体を構成する繊維の平均径は、繊維集合体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率2000倍にて撮影し、撮影された写真(画像)と縮尺情報より算出した。任意の繊維20本についてノギスまたはスケールルーペで計測し、その平均値を繊維集合体の平均繊維径(μm)とした。
(かさ密度の測定)
繊維集合体(不織布シート)を20×100(cm)に切断し、その重量A(g)を測定した。ついで、繊維集合体(不織布シート)の幅方向、長さ方向で広い範囲で20箇所を選定し、厚み計を用いて厚みB(cm)を測定した。これらの値を用いて、下記式によりかさ密度を算出した。
A/B/(20×100)(g/cm3)
繊維集合体(不織布シート)を20×100(cm)に切断し、その重量A(g)を測定した。ついで、繊維集合体(不織布シート)の幅方向、長さ方向で広い範囲で20箇所を選定し、厚み計を用いて厚みB(cm)を測定した。これらの値を用いて、下記式によりかさ密度を算出した。
A/B/(20×100)(g/cm3)
(ヒドロキシアルキルセルロース含有率測定)
ろ過部材または濃縮部材に被覆したヒドロキシアルキルセルロース含有率は、アンスロン試薬による糖の定量により実施した。アンスロン試薬は、アンスロン100mg、硫酸48mL、純水12.5mLを混合して作製した。サンプル20mgを精秤し、氷冷下で純水0.5mlを加え、次いでアンスロン試薬を3ml添加混和した。沸騰水浴中で、10分間加熱し、反応させた。ヒドロキシアルキルセルロースを所定量溶解した標準液を作製し、同様に0.5mLを添加しアンスロンとの反応を行った。冷却後の液をフィルターろ過し、620nmの吸光度を測定し、標準液の検量線より、ヒドロキシアルキルセルロースの濃度を求め、サンプルのヒドロキシアルキルセルロース含有率(%)に換算した。
ろ過部材または濃縮部材に被覆したヒドロキシアルキルセルロース含有率は、アンスロン試薬による糖の定量により実施した。アンスロン試薬は、アンスロン100mg、硫酸48mL、純水12.5mLを混合して作製した。サンプル20mgを精秤し、氷冷下で純水0.5mlを加え、次いでアンスロン試薬を3ml添加混和した。沸騰水浴中で、10分間加熱し、反応させた。ヒドロキシアルキルセルロースを所定量溶解した標準液を作製し、同様に0.5mLを添加しアンスロンとの反応を行った。冷却後の液をフィルターろ過し、620nmの吸光度を測定し、標準液の検量線より、ヒドロキシアルキルセルロースの濃度を求め、サンプルのヒドロキシアルキルセルロース含有率(%)に換算した。
(膜の平均細孔径)
作製した膜の平均細孔径の測定は、Porous Materials社製パームポロメーター(PPM,CFP−1200AEX)装置を用いて行った。試験タイプはCapillary Flow PorometryのWet Up/Dry Upとし、試液としてGalWick(表面張力15.7dyne/cm)を使用した。測定に用いる中空糸膜を、前記PPMで測定が可能となるように、専用の小エレメントへ加工した。装置付属の中空糸膜測定用サンプルホルダー(サンプル挿入口 開口部直径8.5mm)に合うように、外径8.5mm、厚み1mm、長さ4cmの中空状のアクリルスリーブを準備した。スリーブ内に中空糸膜を通した後、該スリーブ内部を硬化性樹脂で埋めて硬化させた。該スリーブのホルダー挿入側については、該スリーブ端面から飛び出た分の中空糸膜を該スリーブ端面で硬化樹脂と共に裁断して中空糸膜の断面を出し、挿入側と逆側(膜サンプル測定側)については、該スリーブ端面(正確には硬化樹脂と中空糸膜との界面)から3cmをわずかに超える長さを残し、余分な中空糸膜を切り落とした。中空糸膜の有効長が3cmとなるように、中空糸膜の先端に硬化性樹脂を塗布して封止し、測定用の小エレメントを完成させた。下記の測定パラメーター(自動試験パラメーター値)をPPM付属の測定用ソフトに入力後、よく乾燥している小エレメントを前述のサンプルホルダーに挿入・固定し、さらに該ホルダーをPPMにセットした。測定は、まずDry下で実施し、その後、膜サンプルをGalWickに10分間浸漬させてから、Wet下での測定を実施した。
<細孔直径分布測定試験の自動試験パラメーター値>
(0)最小圧力0(KPA)、最大圧力300(KPA)、200000maxflow(cc/m)
(1)バブルポイント試験/インテグリティ試験;15.0bublflow(cc/m)、100F/PT(old bubltime)、0.00minbppres(KPA)、1.0zerotime(sec)
(2)モータバルブ制御;3v2incr(cts*3)
(3)レギュレータ制御;1preginc、2pulse delay
(4)Lohmの校正;1330.68346maxpres(KPA)、0.070pulsewidth(sec)
(5)データ確定ルーチン;30mineqtime(sec)、50presslew(cts*3)、50flowslew(cts*3)、50eqiter(0.1sec)、5aveiter(0.1sec)、0.69maxpdif(KPA)、30.0maxfdif(cc/m)
なお、ctsは機械定数で「カウント数」を表し、cts*3はctsを3倍することを意味する。
作製した膜の平均細孔径の測定は、Porous Materials社製パームポロメーター(PPM,CFP−1200AEX)装置を用いて行った。試験タイプはCapillary Flow PorometryのWet Up/Dry Upとし、試液としてGalWick(表面張力15.7dyne/cm)を使用した。測定に用いる中空糸膜を、前記PPMで測定が可能となるように、専用の小エレメントへ加工した。装置付属の中空糸膜測定用サンプルホルダー(サンプル挿入口 開口部直径8.5mm)に合うように、外径8.5mm、厚み1mm、長さ4cmの中空状のアクリルスリーブを準備した。スリーブ内に中空糸膜を通した後、該スリーブ内部を硬化性樹脂で埋めて硬化させた。該スリーブのホルダー挿入側については、該スリーブ端面から飛び出た分の中空糸膜を該スリーブ端面で硬化樹脂と共に裁断して中空糸膜の断面を出し、挿入側と逆側(膜サンプル測定側)については、該スリーブ端面(正確には硬化樹脂と中空糸膜との界面)から3cmをわずかに超える長さを残し、余分な中空糸膜を切り落とした。中空糸膜の有効長が3cmとなるように、中空糸膜の先端に硬化性樹脂を塗布して封止し、測定用の小エレメントを完成させた。下記の測定パラメーター(自動試験パラメーター値)をPPM付属の測定用ソフトに入力後、よく乾燥している小エレメントを前述のサンプルホルダーに挿入・固定し、さらに該ホルダーをPPMにセットした。測定は、まずDry下で実施し、その後、膜サンプルをGalWickに10分間浸漬させてから、Wet下での測定を実施した。
<細孔直径分布測定試験の自動試験パラメーター値>
(0)最小圧力0(KPA)、最大圧力300(KPA)、200000maxflow(cc/m)
(1)バブルポイント試験/インテグリティ試験;15.0bublflow(cc/m)、100F/PT(old bubltime)、0.00minbppres(KPA)、1.0zerotime(sec)
(2)モータバルブ制御;3v2incr(cts*3)
(3)レギュレータ制御;1preginc、2pulse delay
(4)Lohmの校正;1330.68346maxpres(KPA)、0.070pulsewidth(sec)
(5)データ確定ルーチン;30mineqtime(sec)、50presslew(cts*3)、50flowslew(cts*3)、50eqiter(0.1sec)、5aveiter(0.1sec)、0.69maxpdif(KPA)、30.0maxfdif(cc/m)
なお、ctsは機械定数で「カウント数」を表し、cts*3はctsを3倍することを意味する。
(血小板数の測定)
血液中および多血小板血漿中に含まれる血小板数の測定は、シスメックス社製の多項目自動血液計数装置(K−1000)を用いて実施した。
血液中および多血小板血漿中に含まれる血小板数の測定は、シスメックス社製の多項目自動血液計数装置(K−1000)を用いて実施した。
(血小板回収率の測定)
多血小板血漿を作製する前の血液および多血小板血漿中の血小板数を測定し、以下の式により、血小板回収率を算出した。
血小板回収率(%)=多血小板血漿中の総血小板数(×104/μL)/多血小板血漿作製前血液中の総血小板数(×104/μL)
多血小板血漿を作製する前の血液および多血小板血漿中の血小板数を測定し、以下の式により、血小板回収率を算出した。
血小板回収率(%)=多血小板血漿中の総血小板数(×104/μL)/多血小板血漿作製前血液中の総血小板数(×104/μL)
(血小板濃縮率)
得られた多血小板血漿の血小板濃度(×104/μL)を多血小板血漿作製前血液中の血小板濃度(×104/μL)で除することにより、血小板濃縮率を算出した。
得られた多血小板血漿の血小板濃度(×104/μL)を多血小板血漿作製前血液中の血小板濃度(×104/μL)で除することにより、血小板濃縮率を算出した。
[実施例1]
(ろ過器の作製)
PETからなる、平均繊維径1.8μm、かさ密度0.13g/cm3の繊維集合体を、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)/イソプロパノール/水=0.05/5/94.95の混合液に浸漬し(48℃)、HPC被覆した繊維集合体を作製した。得られた繊維集合体は、洗浄のために、室温の純水をシャワー状に吹き付けた。洗浄時間は、30秒以上の処理を行った。洗浄後に絞り工程を経た後、室温での通風乾燥および低湿度下でのドライボックス放置により完全に乾燥させた。得られた繊維集合体のHPC含有率は0.14%、被覆量は0.84mg/m2であった。この繊維集合体をプラスチックケースに充填し、かさ密度0.37g/cm3、平均動水半径1.23μmを有するろ過器を作製した。
(ろ過器の作製)
PETからなる、平均繊維径1.8μm、かさ密度0.13g/cm3の繊維集合体を、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)/イソプロパノール/水=0.05/5/94.95の混合液に浸漬し(48℃)、HPC被覆した繊維集合体を作製した。得られた繊維集合体は、洗浄のために、室温の純水をシャワー状に吹き付けた。洗浄時間は、30秒以上の処理を行った。洗浄後に絞り工程を経た後、室温での通風乾燥および低湿度下でのドライボックス放置により完全に乾燥させた。得られた繊維集合体のHPC含有率は0.14%、被覆量は0.84mg/m2であった。この繊維集合体をプラスチックケースに充填し、かさ密度0.37g/cm3、平均動水半径1.23μmを有するろ過器を作製した。
(濃縮器の作製)
ポリエーテルスルホン(BASF社製Ultrason(登録商標)6020P)26wt%、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(BASF社製Luvitec(登録商標)VA64)1wt%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)32.85wt%、トリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)40.15wt%を60℃で混合、溶解し均一な溶液を得た。得られた製膜溶液を二重管ノズルの環状部から、中心部から芯液としてNMP/TEG/水=42.75/52.25/5の混合液を吐出し、エアギャップを経て、NMP/TEG/水=27/33/40の混合液からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は55℃、外部凝固液の温度は25℃に設定した。凝固浴から引き出した後に水洗槽を走行させて洗浄を実施し、巻取り機で巻き取った。巻き取った中空糸膜は、洗浄処理を行った後、140℃×20minの条件で高圧熱水処理を行った。その後、庫内温度35℃でマイクロ波乾燥を行った。得られた中空糸膜の内径は250μm、外径は320μm、膜厚は35μmであった。また、平均細孔径は16nmであった。得られた中空糸膜をプラスチックケースに収納し、濃縮器を作製した。
ポリエーテルスルホン(BASF社製Ultrason(登録商標)6020P)26wt%、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(BASF社製Luvitec(登録商標)VA64)1wt%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)32.85wt%、トリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)40.15wt%を60℃で混合、溶解し均一な溶液を得た。得られた製膜溶液を二重管ノズルの環状部から、中心部から芯液としてNMP/TEG/水=42.75/52.25/5の混合液を吐出し、エアギャップを経て、NMP/TEG/水=27/33/40の混合液からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は55℃、外部凝固液の温度は25℃に設定した。凝固浴から引き出した後に水洗槽を走行させて洗浄を実施し、巻取り機で巻き取った。巻き取った中空糸膜は、洗浄処理を行った後、140℃×20minの条件で高圧熱水処理を行った。その後、庫内温度35℃でマイクロ波乾燥を行った。得られた中空糸膜の内径は250μm、外径は320μm、膜厚は35μmであった。また、平均細孔径は16nmであった。得られた中空糸膜をプラスチックケースに収納し、濃縮器を作製した。
(多血小板血漿製造装置)
前記作製したろ過器および濃縮器を用いて図2に示すような多血小板血漿製造システムを構成した。
前記作製したろ過器および濃縮器を用いて図2に示すような多血小板血漿製造システムを構成した。
[実施例2]
実施例1と同様にして作製した繊維集合体をプラスチックケースに充填し、かさ密度0.5g/cm3、平均動水半径0.79μmを有するろ過器を作製した。
得られたろ過器および実施例1と同様にして作製した濃縮器を用いて多血小板血漿製造装置を構成した。
実施例1と同様にして作製した繊維集合体をプラスチックケースに充填し、かさ密度0.5g/cm3、平均動水半径0.79μmを有するろ過器を作製した。
得られたろ過器および実施例1と同様にして作製した濃縮器を用いて多血小板血漿製造装置を構成した。
[実施例3]
PETからなる、平均繊維径3.0μm、かさ密度0.13g/cm3の繊維集合体を用いて、実施例1と同様にしてHPC被覆した繊維集合体を作製した。得られた繊維集合体のHPC含有率は0.14%、被覆量は0.84mg/m2であった。この繊維集合体をプラスチックケースに充填し、かさ密度0.67g/cm3、平均動水半径0.79μmを有するろ過器を作製した。
前記得られたろ過器および実施例1と同様にして作製した濃縮器を用いて多血小板血漿製造装置を構成した。
PETからなる、平均繊維径3.0μm、かさ密度0.13g/cm3の繊維集合体を用いて、実施例1と同様にしてHPC被覆した繊維集合体を作製した。得られた繊維集合体のHPC含有率は0.14%、被覆量は0.84mg/m2であった。この繊維集合体をプラスチックケースに充填し、かさ密度0.67g/cm3、平均動水半径0.79μmを有するろ過器を作製した。
前記得られたろ過器および実施例1と同様にして作製した濃縮器を用いて多血小板血漿製造装置を構成した。
[実施例4]
実施例1と同様にして濃縮器を作製した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)/イソプロパノール/水=0.05/5/94.95の混合液を中空糸膜の中空部に循環し(48℃)、中空糸膜の内表面にHPCを被覆した。中空糸膜中空部を軽く水洗した後、通風乾燥した。
前記得られた濃縮器および実施例1と同様にして作製したろ過器を用いて多血小板血漿製造装置を構成した。
実施例1と同様にして濃縮器を作製した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)/イソプロパノール/水=0.05/5/94.95の混合液を中空糸膜の中空部に循環し(48℃)、中空糸膜の内表面にHPCを被覆した。中空糸膜中空部を軽く水洗した後、通風乾燥した。
前記得られた濃縮器および実施例1と同様にして作製したろ過器を用いて多血小板血漿製造装置を構成した。
(多血小板血漿の作製)
実施例1〜4の多血小板血漿製造装置において、各貯留容器に健常成人から採取した8mLの全血に凝固を防止するために3.8%クエン酸ナトリウム溶液1mLを添加したものを準備した。貯留容器中の血液をろ過器に送液して白血球および赤血球の少なくとも一部を除去した後、ろ過器の他端からろ液を排出した。得られたろ液を濃縮器に送液して血小板以外の血漿成分の一部を除去した後、回収容器に濃厚血小板液(多血小板血漿)を回収した。
血液および多血小板血漿について、液量、血小板濃度、総血小板数を計測し、それらの計測値より血小板の回収率および濃縮率を算出した。
結果を表1に示す。
実施例1〜4の多血小板血漿製造装置において、各貯留容器に健常成人から採取した8mLの全血に凝固を防止するために3.8%クエン酸ナトリウム溶液1mLを添加したものを準備した。貯留容器中の血液をろ過器に送液して白血球および赤血球の少なくとも一部を除去した後、ろ過器の他端からろ液を排出した。得られたろ液を濃縮器に送液して血小板以外の血漿成分の一部を除去した後、回収容器に濃厚血小板液(多血小板血漿)を回収した。
血液および多血小板血漿について、液量、血小板濃度、総血小板数を計測し、それらの計測値より血小板の回収率および濃縮率を算出した。
結果を表1に示す。
(比較例1)
比較例1として、通常の遠心分離操作を用いる方法で多血小板血漿を作製した。実施例1〜4と同様にクエン酸ナトリウムを添加した血液9mLについて、1回目の遠心分離(900×g、7分間)を行った。この遠心分離における上清を採取し、2回目の遠心分離(1400×g、10分間)を行った。2回目の遠心分離において、最下層の血小板を含む血漿1mLを残して上清を除去することにより、多血小板血漿を作製した。
実施例1〜4と同様の評価を行い、結果を表1にまとめた。
比較例1として、通常の遠心分離操作を用いる方法で多血小板血漿を作製した。実施例1〜4と同様にクエン酸ナトリウムを添加した血液9mLについて、1回目の遠心分離(900×g、7分間)を行った。この遠心分離における上清を採取し、2回目の遠心分離(1400×g、10分間)を行った。2回目の遠心分離において、最下層の血小板を含む血漿1mLを残して上清を除去することにより、多血小板血漿を作製した。
実施例1〜4と同様の評価を行い、結果を表1にまとめた。
本発明により、血液から多血小板血漿を、遠心分離機を必要とせず、簡便に調製できるため、遠心分離機等の大型装置のない場所でも多血小板血漿の用事調整が可能となる。
1 ケース
2 ろ過部材(繊維集合体または中空糸膜)または濃縮部材(中空糸膜)
3a、3b、5 ポート
4 接着樹脂
21 貯留容器
22、25、27 回路
23 ポンプ
28 回収容器
2 ろ過部材(繊維集合体または中空糸膜)または濃縮部材(中空糸膜)
3a、3b、5 ポート
4 接着樹脂
21 貯留容器
22、25、27 回路
23 ポンプ
28 回収容器
Claims (5)
- 血液を貯留する貯留容器と、
前記血液から白血球および赤血球の少なくとも一部を除去するろ過器と、
前記ろ過器から排出されたろ液から血漿の一部を除去して血小板を濃縮する濃縮器と、
前記濃縮された血小板溶液を回収する回収容器と、
を含む、多血小板血漿製造装置。 - 前記ろ過器は、繊維集合体または中空糸膜からなるろ過部材を含む、請求項1に記載の多血小板血漿製造装置。
- 前記濃縮器は、中空糸膜からなる濃縮部材を含む、請求項1または2に記載の多血小板血漿製造装置。
- 前記繊維集合体および中空糸膜の表面に血小板吸着防止剤が被覆および固着されている、請求項1〜3のいずれかに記載の多血小板血漿製造装置。
- 前記血小板吸着防止剤がヒドロキシアルキルセルロースである、請求項4に記載の多血小板血漿製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019214472A JP2021084874A (ja) | 2019-11-27 | 2019-11-27 | 多血小板血漿製造デバイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019214472A JP2021084874A (ja) | 2019-11-27 | 2019-11-27 | 多血小板血漿製造デバイス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021084874A true JP2021084874A (ja) | 2021-06-03 |
Family
ID=76086864
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019214472A Pending JP2021084874A (ja) | 2019-11-27 | 2019-11-27 | 多血小板血漿製造デバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021084874A (ja) |
-
2019
- 2019-11-27 JP JP2019214472A patent/JP2021084874A/ja active Pending
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