JP2008232250A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Tomiaki Ochiai
富明 落合
Koji Iizuka
浩司 飯塚
Masayuki Sayama
正幸 佐山
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GKN Driveline Torque Technology KK
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Abstract

【課題】低コスト、かつ重量増加を抑制でき、カップリングを保護することができる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】差動機構と、車軸5と同軸上に配置され差動機構に対して第1の静止系の壁部9を軸方向に挟んで配置されるカップリング11とを備えた動力伝達装置1であって、カップリング11は、内側回転部材13と、外側回転部材15,17と、伝達部材19と、アクチュエータ21とを有し、カップリング11を軸方向に挟んで壁部9の反対側に配置され第2の静止系に固定されてカップリング11の一部又はドライブシャフト5を支持する支持部材23を備え、アクチュエータ21は、伝達部材19と支持部材23との軸方向間に配置され、壁部9とアクチュエータ21との間に、壁部9とアクチュエータ21とを連結しカップリング11の外側回転部材15,17を覆うカバー25を備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に用いられる動力伝達装置に関する。
特許文献1に動力伝達装置が記載されている。この動力伝達装置では、フロントデフの一対のサイドギヤの一方に連結されたドライブシャフト上に多板クラッチが配置されている。この多板クラッチは、フロントデフのデフケースとサイドギヤに連結されており、多板クラッチを締結することによってフロントデフの差動を制限している。
ところで、この動力伝達装置では、多板クラッチの外側に位置するクラッチハウジングが外気に露出している。このため、クラッチハウジングが粉塵や水滴などの阻害物質と接触していた。
そこで、特許文献2の動力伝達装置であるトランスアクスル・ユニットでは、カップリングであるトルク結合デバイスが結合ハウジングの中に配設されている。この結合ハウジングは、ねじ式締具などの手段によってPTUハウジングに固定されている。
特開2004−314796号公報 特開2006−335347号公報
ところが、上記の動力伝達装置では、結合ハウジングがカップリング全体を覆う筐体で形成され、この結合ハウジングがPTUハウジングに固定されており、結合ハウジングのPTUハウジングへの固定を確実なものとするために結合ハウジングの強度を高めなければならなかった。このため、結合ハウジングに掛かるコスト及び重量が増加していた。
そこで、この発明は、低コスト、かつ重量増加を抑制でき、カップリングを保護することができる動力伝達装置の提供を目的としている。
請求項1の発明は、一対の車軸を有する差動機構と、前記一対の車軸のいずれか一方の車軸と同軸上に配置され前記差動機構に対して第1の静止系の壁部を軸方向に挟んで配置されるカップリングとを備えた動力伝達装置であって、前記カップリングは、内側回転部材と、外側回転部材と、前記内側回転部材と前記外側回転部材との間に配置される伝達部材と、該伝達部材の作動を制御して伝達トルクを制御するアクチュエータとを有し、前記カップリングを軸方向に挟んで前記壁部の反対側に配置され第2の静止系に固定されて前記カップリングの一部又は前記一方の車軸を支持する支持部材を備え、前記アクチュエータは、前記伝達部材と前記支持部材との軸方向間に配置され、前記壁部と前記アクチュエータ又は前記支持部材との間には、前記壁部と前記アクチュエータ又は前記支持部材とを連結し前記カップリングの前記外側回転部材を覆うカバーを備えていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の動力伝達装置であって、前記壁部と前記アクチュエータ又は前記支持部材には環状の外周面が形成され、前記カバーの両端側には環状の内周面が形成され、前記カバーは、前記外周面と前記内周面とを嵌合して連結されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2記載の動力伝達装置であって、前記外周面と前記内周面とが嵌合する連結部分には、シール部材が介在されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、前記アクチュエータは、前記外側回転部材との間に前記伝達部材を作動させる作動部を有し、該作動部は、前記カバー内に収容配置されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、前記アクチュエータの一部は、前記カバーの外部に露出していることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、前記第2の静止系と前記支持部材との間、又は前記第2の静止系と前記アクチュエータとの間には、弾性部材が介在されていることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6記載の動力伝達装置であって、前記アクチュエータは前記支持部材に回転方向に支持され、前記弾性部材は前記アクチュエータと前記支持部材との間に設けられ、前記第2の静止系から入力する前記アクチュエータへの半径方向の振動を抑制していることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7記載の動力伝達装置であって、前記アクチュエータと前記弾性部材との間には、軸方向の相対移動を許容する連結部材が介在されていることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、前記アクチュエータは、前記外側回転部材に対してベアリングを介して半径方向に支持され、前記支持部材は、前記ベアリングを介して間接的に前記一方の車軸の軸心との相対位置関係が保持されていることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、前記支持部材は、ベアリングを介して前記一方の車軸を支持し、前記アクチュエータは、前記支持部材との間に弾性部材が介在されていることを特徴とする。
請求項1の動力伝達装置は、壁部とアクチュエータ又は支持部材との間には壁部とアクチュエータ又は支持部材とを連結しカップリングの外側回転部材を覆うカバーを備えているので、外側回転部材が粉塵や水滴などの阻害物質と接触することがなく、カップリングを保護することができる。
また、カバーが壁部とアクチュエータ又は支持部材とを連結する構成であるので、カバーを筐体で形成する必要がなく、カバーの構成を簡易化することができ、低コスト化して、かつ重量を低減することができる。
請求項2の動力伝達装置は、壁部とアクチュエータ又は支持部材の環状の外周面にカバーの両端側の環状の内周面を嵌合して連結されているので、カバーが軸方向に嵌合連結され、組付け性を向上することができる。また、別部材である第1の静止系の壁部と第2の静止系の位置ずれに対してもカバーの連結状態を確保することができる。
請求項3の動力伝達装置は、外周面と前記内周面とが嵌合する連結部分にはシール部材が介在されているので、外部からの粉塵の侵入を確実に防止することができる。また、第1の静止系と第2の静止系の静止状態が異なり、微少振動が入力する場合も、シール部材を介在して緩衝させることで、連結部分の擦れが抑制され、連結部分の取付状態を長期にわたって保持することができる。
請求項4の動力伝達装置は、作動部がカバー内に収容配置されているので、作動部が外気側に開放されず粉塵などの悪影響を受けることがなく、カップリングの伝達トルク制御特性を安定させることができる。
請求項5の動力伝達装置は、アクチュエータの一部がカバーの外部に露出しているので、作動部をカバーに収容する一方、一部をカバー外に露出させることで、アクチュエータの放熱・冷却性を向上させることができる。
請求項6の動力伝達装置は、第2の静止系と支持部材との間、又は第2の静止系とアクチュエータとの間には弾性部材が介在されているので、第1の静止系と第2の静止系との間で固有振動が異なる場合であっても、両静止系間に介在するカップリングへの振動の伝播を抑制して、アクチュエータの制御性及び駆動トルク伝達特性を安定させることができる。
請求項7の動力伝達装置は、アクチュエータが支持部材に回転方向に支持され、弾性部材がアクチュエータと支持部材との間に設けられ、第2の静止系から入力するアクチュエータへの半径方向の振動を抑制しているので、カップリングへの振動の伝播を抑制して、アクチュエータの制御性及び駆動トルク伝達特性を安定させることができる。
請求項8の動力伝達装置は、アクチュエータと弾性部材との間には軸方向の相対移動を許容する連結部材が介在されているので、カップリングの組付けによって生じる取付誤差が生じても、第2の静止系への支持部材の組付け時に連結部材と弾性部材との間でこの誤差を吸収することができ、組付け時の内部ストレスが生じることがない。
請求項9の動力伝達装置は、アクチュエータが外側回転部材に対してベアリングを介して半径方向に支持され、支持部材がベアリングを介して間接的に一方の車軸の軸心との相対位置関係が保持されているので、支持部材と車軸との間に専用のベアリングを設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。
請求項10の動力伝達装置は、支持部材がベアリングを介して一方の車軸を支持し、アクチュエータと支持部材との間に弾性部材が介在されているので、車軸上に配置されるカップリングが車軸を基準に配置され、同軸度を向上することができる。
まず、図1を用いて第1,第2実施例の動力伝達装置が適用される車両の動力系について説明する。なお、第1実施例の動力伝達装置1を用いるが、第2実施例の動力伝達装置301が適用される車両の動力系についても同様である。
図1に示すように、車両の動力系は、エンジンや電動モータなどの駆動源201(第2の静止系)及び変速機構としてのトランスミッション203(第1の静止系)と、フロントデフ7(差動機構)と、前車軸205,207と、前輪209,211と、動力伝達装置1と、後輪側プロペラシャフト213と、前輪側から後輪側へ伝達される駆動力を制御可能に断続するカップリング215と、リヤデフ217と、後車軸219,221と、後輪223,225などから構成されている。
駆動源201の駆動力はトランスミッション203からデフケース27を介してフロントデフ7に伝達され、一対のサイドギヤ29,31に連結されたドライブシャフト3,5(一対の車軸)を介して前車軸205,207から前輪209,211に配分されると共に、デフケース27と連結した中空軸53に伝達された駆動力が分岐されて変換機構51から後輪側プロペラシャフト213を介してカップリング215に伝達され、カップリング215が接続されるとリヤデフ217に伝達され、後車軸219,221から後輪223,225に配分されて4輪駆動状態になる。また、カップリング215の接続が解除されると、車両は前輪駆動の2輪駆動状態になる。
そして、フロントデフ7の差動制限は、動力伝達装置1のカップリング11によって行われている。以下、動力伝達装置1について説明する。
(第1実施例)
図1〜図3を用いて第1実施例について説明する。
本実施例の動力伝達装置1は、一対のドライブシャフト3,5(一対の車軸)を有するフロントデフ7(差動機構)と、ドライブシャフト5(一方の車軸)と同軸上に配置されフロントデフ7に対して第1の静止系の壁部9を軸方向に挟んで配置されるカップリング11とを備えている。そして、カップリング11は、クラッチハブ13(内側回転部材)と、クラッチハウジング15及びロータクラッチ17(外側回転部材)と、クラッチハブ13とクラッチハウジング15及びロータクラッチ17との間に配置される多板クラッチ19(伝達部材)と、多板クラッチ19の作動を制御して伝達トルクを制御するアクチュエータ21とを有し、カップリング11を軸方向に挟んで壁部9の反対側に配置され第2の静止系に固定されてカップリング11の一部又はドライブシャフト5を支持する支持部材23を備え、アクチュエータ21は、多板クラッチ19と支持部材23との軸方向間に配置され、壁部9とアクチュエータ21との間には、壁部9とアクチュエータ21とを連結しカップリング11のクラッチハウジング15及びロータクラッチ17を覆うカバー25を備えている。
図1に示すように、フロントデフ7は、デフケース27と、一対のサイドギヤ29,31と、ピニオンシャフト33と、ピニオンギヤ35と、一対のドライブシャフト3,5から構成されている。
デフケース27は、一対のベアリング37,39を介してトランスミッションケース227に回転自在に支持されている。デフケース27は、ギヤ組229を有しており、駆動源201からの駆動力がトランスミッション203で変速されギヤ組229を介してデフケース27に入力され、一対のサイドギヤ29,31に駆動力を分配している。また、デフケース27の端部には、変換機構51の中空軸53が連結部41(図2)によってスプライン連結されている。
一対のサイドギヤ29,31は、デフケース27に回転自在に支持され、ピニオンギヤ35と噛み合っている。また、サイドギヤ31は、中空軸53を貫通するドライブシャフト5の一端にスプライン部43(図2)によって連結されている。
ピニオンシャフト33は、両端部をデフケース27に係合してデフケース27と一体に回転駆動される。ピニオンギヤ35は、一対のサイドギヤ29,31に駆動力を伝達すると共に、噛み合っている一対のサイドギヤ29,31に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト33に自転可能に支持されている。
一対のドライブシャフト3,5は、それぞれ一対のサイドギヤ29,31に連結されている。一対のドライブシャフト3,5のうち一方のドライブシャフト5は、一端が変換機構51のケース55及び中空軸53の軸心を貫通してサイドギヤ31に連結しており、他端が前車軸207側に等速ジョイント部材231とスプライン部45を介して連結されている。このドライブシャフト5は、長尺であるため、その外周をベアリング47を介して中空軸53の内周に支持されている。ドライブシャフト5のベアリング47が配置された部分には、ベアリング47と当接し、ベアリング47を介してカップリング11のクラッチハブ13の軸方向の位置決めを行う環状の凸部49が設けられている。
このフロントデフ7の駆動力は、デフケース27に連結された中空軸53を介して変換機構51に伝達される。
図2に示すように、変換機構51は、中空軸53と、ケース55(第1の静止系)と、方向変換ギヤ組57から構成されている。
中空軸53は、一対のベアリング59,61を介して両端側をケース55の軸方向両端の壁部63,9に支持されている。また、中空軸53とドライブシャフト5との間には、Oリング64が配置されている。このOリング64は、フロントデフ7側のオイルとケース55外部側のオイルとが混合することを防止している。また、中空軸53には、リングギヤ65がボルト67で固定されている。このリングギヤ65には、後輪側プロペラシャフト213(図1)に連結されたドライブピニオンギヤ69が噛み合う。これらのリングギヤ65とドライブピニオンギヤ69によって方向変換ギヤ組57が構成されている。
ドライブピニオンギヤ69は、後輪側プロペラシャフト213に連結されるシャフト71と一体に設けられている。シャフト71は、軸方向に離間して配置されたベアリング73,75を介してケース55に支持されている。このシャフト71の端部には、連結部材77が連結されており、連結部材77は、後輪側プロペラシャフト213にジョイントフランジを介して連結される。この方向変換ギヤ組57によって、中空軸53に入力された駆動源201(図1)の駆動力を後輪側プロペラシャフト213を介してカップリング215(図1)側に分岐して伝達している。
これらの中空軸53と方向変換ギヤ組57は、第1の静止系であるトランスミッションケース227(図1)に取り付けられたケース55に収容されている。
ケース55は、複数のハウジング79,81,83,85から構成され、各ハウジングの接合部には、シール部材であるOリング87,89,91が配置されていると共に、ケース55とトランスミッションケース227との接合部にもOリング93が配置されている。また、ケース55と中空軸53との間、ケース55と連結部材77との間には、それぞれシール93,95が配置され、ケース55の内部と外部とを区画している。このケース55内にはドライブシャフト5が貫通され、ドライブシャフト5の外周でケース55の壁部9側にはフロントデフ7の差動回転を制限するカップリング11が配置されている。
図3に示すように、カップリング11は、クラッチハブ13と、クラッチハウジング15及びロータクラッチ17と、多板クラッチ19と、カム機構97(作動部)と、パイロットクラッチ99(作動部)とアーマチャ135(作動部)から構成され、アクチュエータ21によって制御される。
クラッチハブ13は、内周側に形成されたスプライン部でドライブシャフト5にスプライン連結され、フロントデフ7のサイドギヤ31と一体回転される。クラッチハブ13の一端部は、ベアリング47を介してドライブシャフト5の凸部49で軸方向の位置決めがなされている。また、他端部は、ドライブシャフト5に固定された止め輪としてのスナップリング101によって軸方向の位置決めがなされると共に、クラッチハブ13の他端側からの抜け止めがなされている。なお、スナップリング101に限らず、ナットやCリングなど他の部材を用いても良い。クラッチハブ13の内周径は、ドライブシャフト5の他端側の外径よりも僅かに大きく設定されている。これにより、ドライブシャフト5の組付後でも、ドライブシャフト5からクラッチハブ13を取り外すことができる。このクラッチハブ13の外周には、クラッチハウジング15とロータクラッチ17が支持されている。
クラッチハウジング15は、クラッチハブ13の一端側外周に支持部103を介して支持されている。なお、支持部103は、摺動ブッシュを介しても良い。このクラッチハウジング15は、軸方向一端の外周側に形成されたスプライン部105で中空軸53の端部に位置する円筒部の内周に連結部107によってスプライン連結され、フロントデフ7のデフケース27(図1)と一体回転される。また、連結部107は、ベアリング47の内周側に位置すると共に、連結部107におけるスプライン部105の軸方向一端側には、ベアリング47が対向して近接配置され、省スペース化が図られている。クラッチハウジング15とケース55との間には、リップ部109を有するシール111が配置されている。リップ部109は、クラッチハウジング15に形成された凹部の外周側の面に当接している。なお、リップ部109を凹部の内周側の面に当接させても良い。また、クラッチハウジング15とクラッチハブ13との間には、Xリング113が配置され、クラッチハウジング15とクラッチハブ13とで囲まれた容室内に多板クラッチ19に適合する潤滑オイルが所定量封入されている。このクラッチハウジング15の外周側には、ねじ部115が形成され、ねじ部115にロータクラッチ17が螺合されている。クラッチハブ13とクラッチハウジング15及びロータクラッチ17との間には、一対のベアリング116,117が配置され、クラッチハブ13とクラッチハウジング15及びロータクラッチ17との間で支持関係がなされている。
ロータクラッチ17は、クラッチハブ13の他端側外周に支持部117を介して(摺動ブッシュを介して)支持され、シールベアリング119を介してアクチュエータ21の電磁石137を支持している。ロータクラッチ17は、クラッチハウジング15のねじ部115にネジ止めされると共に、ねじ部115の端部にねじ部材121が螺合されるダブルナット機能によってクラッチハウジング15に固定されている。ねじ部材121がクラッチハウジング15の端部のアクチュエータ21側ではなく、多板クラッチ19の外周側に配置されているので、アクチュエータ21への張り出しが抑えられ、軸方向のコンパクト化がなされている。また、ロータクラッチ17とクラッチハウジング15の間、ロータクラッチ17とクラッチハブ13との間には、それぞれOリング123とXリング125が配置されている。クラッチハウジング15の端部外周にOリング123が配置されているので、Oリング123の配置凹部によってクラッチハウジング15の端部肉厚127を減少させて磁力線の漏洩が抑制されている。
これらのクラッチハブ13とクラッチハウジング15及びロータクラッチ17との間には、多板クラッチ19とカム機構97とパイロットクラッチ99が配置されている。
多板クラッチ19は、クラッチハブ13の外周とスチール製のクラッチハウジング15の内周に連結された複数のクラッチ板から構成されている。多板クラッチ19が締結されると、クラッチハブ13とクラッチハウジング15とが接続、すなわち、フロントデフ7のデフケース27とサイドギヤ31とが接続され、フロントデフ7での差動回転が制限される。この多板クラッチ19は、カム機構97でカムスラスト力が発生することにより締結される。なお、支持部103,117に配置される摺動ブッシュは、アルミ材や銅材などの非磁性材で形成されている。
カム機構97は、プレッシャプレート129とカムリング131とカムボール133から構成されている。プレッシャプレート129は、クラッチハブ13の外周に軸方向移動自在に連結されている。カムリング131は、クラッチハブ13の外周に軸方向移動自在に支持され、背面側にはカムリング131のスラスト力を受けるニードルベアリングが配置されている。また、カムリング131の外周側には、パイロットクラッチ99のクラッチ板が連結されている。カムボール133は、プレッシャプレート129とカムリング131との間に配置され、プレッシャプレート129とカムリング131との間に差回転が生じるとプレッシャプレート129とカムリング131を軸方向に移動させる。このプレッシャプレート129の移動により、多板クラッチ19が締結される。このカム機構97のカムスラスト力は、パイロットクラッチ99によって発生される。
パイロットクラッチ99は、カムリング131の外周とクラッチハウジング15の内周に連結された複数のクラッチ板とクラッチハウジング15の内周に連結されたアーマチャ135から構成されている。このパイロットクラッチ99は、アクチュエータ21の電磁石137への通電により、コア141、ロータクラッチ17、パイロットクラッチ99、アーマチャ135を介した磁力線が循環されて磁束ループが形成され、アーマチャ135がパイロットクラッチ99の締結方向に移動することによって締結され、プレッシャプレート129とカムリング131との間に差回転を生じさせる。パイロットクラッチ99からクラッチハウジング15に微少に漏洩する磁力線は、Oリング123が配置されている凹部の内周側の薄肉厚の部分127によって絞られ、磁力線の漏洩を抑制されている。
アクチュエータ21は、電磁石137とコントローラ(不図示)などから構成されている。電磁石137は、電磁コイル139とコア141とで構成され、ドライブシャフト5の他端側に配置されている。コア141には、コントローラ側に接続されるコネクタ143が接続されており、コントローラの制御によって通電される。この電磁石137への通電により、パイロットクラッチ99が締結される。なお、図1に示されるように、コネクタ143を含むリード線は、熱源となる駆動源201を回避するようにカップリング11の回動軸線に対して駆動源201と反対側から取出し配置され、高熱による溶解などの不具合が生じないようにされている。また、コア141とクラッチハウジング15との径方向の間には、エアギャップ145,147(作動部)が設けられている。このエアギャップ145,147によって、電磁石137への通電により磁束線による磁束ループが形成され、多板クラッチ19を作動させることができる。また、コア141には、連結部材149が固定されており、カップリング11よりもドライブシャフト5の他端側に配置された支持部材23に回転方向の支持がなされている。
支持部材23は、車体、車体フレーム、駆動源としてのエンジンや電動モータなどの静止系(第2の静止系)に固定されている。この支持部材23と電磁石137に固定された連結部材149との間には、弾性部材151が配置されている。弾性部材151は、ゴムなどの弾性体から環状に形成され、支持部材23に形成された凹部153に配置されている。この弾性部材151は、第2の静止系の回転方向及び半径方向の振動を吸収し、第2の静止系から電磁石137への振動の伝播を抑制している。また、連結部材149は、アクチュエータ21の回り止めを行うと共に、軸方向の振動を吸収し、アクチュエータ21と弾性部材151の軸方向の相対移動を許容している。このような支持部材23は、シールベアリング119を介して間接的にロータクラッチ17に保持されており、ドライブシャフト5の軸心との相対位置関係が保持されている。
このような動力伝達装置1において、ケース55の壁部9と電磁石137のコア141との間には、クラッチハウジング15及びロータクラッチ17を覆うカバー25が設けられている。
カバー25は、薄肉の筒状に形成され、両端側に環状の内周面155,157が形成されている。内周面155,157は、それぞれ壁部9とコア141に形成された環状の外周面159,161に嵌合され、内周面155,157と外周面159,161とを嵌合することによりカバー25によって壁部9とコア141とが連結される。また、内周面155,157と外周面159,161とが嵌合する部分には、シール部材163,165が設けられている。このシール部材163,165は、カバー25とクラッチハウジング15及びロータクラッチ17との間に形成されるエア空間に粉塵などが侵入することを防止している。このエア空間を防塵することにより、カム機構97、パイロットクラッチ99及びエアギャップ145,147などの作動部を保護することができる。特に、エアギャップ145,147に粉塵などが侵入して磁束ループの形成が阻害されることを防止することができる。また、コア141の一部は、カバー25から外部に露出している。これにより、アクチュエータ21の放熱・冷却性を向上させている。
このような動力伝達装置1では、壁部9とアクチュエータ21との間には壁部9とアクチュエータ21とを連結しカップリング11のクラッチハウジング15及びロータクラッチ17を覆うカバー25を備えているので、クラッチハウジング15及びロータクラッチ17が粉塵や水滴などの阻害物質と接触することがなく、カップリング11を保護することができる。
また、カバー25が壁部9とアクチュエータ21とを連結する構成であるので、カバー25を筐体で形成する必要がなく、カバー25の構成を簡易化することができ、低コスト化することができる。そして、カップリングの機能を長期に亘って維持することができると共に、カップリングシステムの重量増加を極力抑制することができる。
さらに、壁部9とアクチュエータ21の環状の外周面159,161にカバー25の両端側の環状の内周面155,157を嵌合して連結されているので、カバー25が軸方向に嵌合連結され、組付け性を向上することができる。また、別部材である第1の静止系の壁部9と第2の静止系の位置ずれに対してもカバー25の連結状態を確保することができる。
また、外周面159,161と内周面155,157とが嵌合する連結部分にはシール部材163,165が介在されているので、外部からの粉塵の侵入を確実に防止することができる。また、第1の静止系と第2の静止系の静止状態が異なり、微少振動が入力する場合も、シール部材163,165を介在して緩衝させることで、連結部分の擦れが抑制され、連結部分の取付状態を長期にわたって保持することができる。
さらに、作動部がカバー内に収容配置されているので、作動部が外気側に開放されず粉塵などの悪影響を受けることがなく、カップリング11の伝達トルク制御特性を安定させることができる。
また、アクチュエータ21の一部がカバー25の外部に露出しているので、作動部をカバー25に収容する一方、一部をカバー25外に露出させることで、アクチュエータ21の放熱・冷却性を向上させることができる。
さらに、アクチュエータ21が支持部材23に回転方向に支持され、弾性部材151がアクチュエータ21と支持部材23との間に設けられ、第2の静止系から入力するアクチュエータ21への半径方向の振動を抑制しているので、第1の静止系と第2の静止系との間で固有振動が異なる場合であっても、両静止系間に介在するカップリング11への振動の伝播を抑制して、アクチュエータ21の制御性及び駆動トルク伝達特性を安定させることができる。
なお、コア141には外周に突出する突起142(本実施例では環状突起に形成されている)が設けられており、カバー25が支持部材23側へ軸方向に所定移動量以上動くことを防止する突き当てとなっており、同様に壁部9には突起10(本実施例では環状の壁面で形成されている)が設けられており、カバー25が壁部9側へ軸方向に所定量以上動くことを規制している。勿論、これらの突起については、環状に形成されなければいけないわけでもなく、カバーの軸方向移動が規制されればスポット的に設けられたり、別部材の突起部材を固着させても良い。
また、アクチュエータ21と弾性部材151との間には軸方向の相対移動を許容する連結部材149が介在されているので、カップリング11の組付けによって生じる取付誤差が生じても、第2の静止系への支持部材23の組付け時に連結部材149と弾性部材151との間でこの誤差を吸収することができ、組付け時の内部ストレスが生じることがない。
さらに、アクチュエータ21がロータクラッチ17に対してシールベアリング119を介して半径方向に支持され、支持部材23がシールベアリング119を介して間接的にドライブシャフト5の軸心との相対位置関係が保持されているので、支持部材23とドライブシャフト5との間に専用のベアリングを設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。
なお、ボルト167はケース55内に潤滑オイルを導入する孔を封止するフィラープラグであり、本実施例では壁部9に半径方向に向けて支持ベアリング61の半径方向外側に取り付けられており、デッドスペースを有効に活用されている。
(第2実施例)
図4を用いて第2実施例について説明する。
本実施例の動力伝達装置301は、壁部9(第1の静止系)と支持部材303との間に、壁部9と支持部材303とを連結しカップリング11のクラッチハウジング15及びロータクラッチ17を覆うカバー305を備えている。なお、第1実施例と同一の構成には、同一の記号を記して説明を省略するが、第1実施例と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
図4に示すように、支持部材303は、車体、車体フレーム、駆動源としてのエンジンや電動モータなどの静止側部材307(第2の静止系)にボルト309で固定された取付ブラケット311にボルト313で固定されている。静止側部材307と取付ブラケット311との間には、弾性部材315が配置されている。弾性部材315は、ゴムなどの弾性体から形成され、静止側部材307の回転方向及び半径方向の振動を吸収し、静止側部材307から支持部材303への振動、すなわち静止側部材307からアクチュエータ21への振動の伝播を抑制している。このように支持部材303とアクチュエータ21との間の弾性部材151に加えて、静止側部材307と支持部材303との間に弾性部材315を設けることによって、さらに静止側部材307からアクチュエータ21への振動の伝播を抑制することができる。
このような動力伝達装置301において、ケース55の壁部9と支持部材303との間には、クラッチハウジング15及びロータクラッチ17を覆うカバー305が設けられている。
カバー305は、薄肉の筒状に形成され、両端側に環状の内周面317,319が形成されている。内周面317,319は、それぞれ壁部9と支持部材303に形成された環状の外周面159,321に嵌合され、内周面317,319と外周面159,321とを嵌合することによりカバー305によって壁部9と支持部材303とが連結される。また、内周面317,319と外周面159,321とが嵌合する部分には、シール部材323,325が設けられている。このシール部材323,325は、カバー305とクラッチハウジング15及びロータクラッチ17との間に形成されるエア空間に粉塵などが侵入することを防止している。また、支持部材303とドライブシャフト5に連結された連結部材327との間には、シール329が配置されている。さらに、ドライブシャフト5と連結部材327との間にも、シール331が配置されている。これらのカバー305とシール部材323,325とシール329,331によりエア空間に粉塵などが侵入することをさらに防止することができる。第1実施例と同様にカバー305は、軸方向両方向への所定移動量以上の動きが規制されるように壁部9側の突起10と支持部材303に設けられた突起304(本実施例では環状の壁面で形成される)との間に配置されている。
このような動力伝達装置301では、壁部9と支持部材303との間には壁部9と支持部材303とを連結しカップリング11のクラッチハウジング15及びロータクラッチ17を覆うカバー305を備えているので、クラッチハウジング15及びロータクラッチ17が粉塵や水滴などの阻害物質と接触することがなく、カップリング11を保護することができる。
また、カバー305が壁部9と支持部材303とを連結する構成であるので、カバー305を筐体で形成する必要がなく、カバー305の構成を簡易化することができ、低コスト化することができる。そして、カップリングの機能を長期に亘って維持することができると共に、カップリングシステムの重量増加を極力抑制することができる。
さらに、外周面159,321と内周面317,319とが嵌合する連結部分にはシール部材323,325が介在されているので、外部からの粉塵の侵入を確実に防止することができる。また、第1の静止系と第2の静止系の静止状態が異なり、微少振動が入力する場合も、シール部材323,325を介在して緩衝させることで、連結部分の擦れが抑制され、連結部分の取付状態を長期にわたって保持することができる。
また、弾性部材151がアクチュエータ21と支持部材303との間に設けられると共に、静止側部材307と支持部材303との間にも弾性部材315が設けられているので、さらに第2の静止系から入力するアクチュエータ21への半径方向の振動を抑制することができ、第1の静止系と第2の静止系との間で固有振動が異なる場合であっても、両静止系間に介在するカップリング11への振動の伝播を抑制して、アクチュエータ21の制御性及び駆動トルク伝達特性を確実に安定させることができる。なお、本実施例のような支持構造を採れば、弾性部材315の振動吸収機能のみに振動伝播を抑制させることで、コア141と支持部材303との間に設けられた弾性部材151を省くこともできる。
(第3実施例)
図5を用いて第3実施例の動力伝達装置401が適用される車両の動力系について説明する。
図5に示すように、車両の動力系は、エンジンや電動モータなどの駆動源501(第2の静止系)及び変速機構としてのトランスミッション503(第1の静止系)と、センターデフ505(差動機構)と、前車軸507,509と、前輪511,513と、動力伝達装置401と、後輪側プロペラシャフト515と、リヤデフ517と、後車軸519,521と、後輪523,525などから構成されている。
駆動源501の駆動力はトランスミッション503からデフケース527を介してセンターデフ505に伝達され、センターデフ505に連結されたインナケース529とアウタケース531とを介してフロントデフ415(差動機構)に伝達される。インナケース529に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ417,419に連結されたドライブシャフト421,423(一対の車軸)を介して前車軸507,509から前輪511,513に配分される。アウタケース531に伝達された駆動力は、方向変換ギヤ組533から後輪側プロペラシャフト515を介してリヤデフ517に伝達され、後車軸519,521から後輪523,525に配分される。
この車両の動力系では、センターデフ505に連結されたインナケース529とアウタケース531との差動制限を動力伝達装置401のカップリング407で行っている。以下、動力伝達装置401について説明する。
本実施例の動力伝達装置401は、壁部403(第1の静止系)とアクチュエータ405との間には、壁部403とアクチュエータ405とを連結しカップリング407のクラッチ409及び作動部411を覆うカバー413を備えている。
図5に示すように、アクチュエータ405と駆動源501(第2の静止系)に取付ボルト425によって固定された支持部材427との間には、弾性部材429が配置されている。また、壁部403とアクチュエータ405との間には、カバー413が設けられている。カバー413は、壁部403とアクチュエータ405とを連結しカップリング407のクラッチ409と作動部411を覆っている。また、カバー413と壁部403及びアクチュエータ405とが嵌合する部分にはシール部材431,433が設けられ、壁部403とアウタケース531との間にはシール435が設けられている。このシール部材431,433とシール435は、カバー413とクラッチ409及び作動部411との間に形成されるエア空間に粉塵などが侵入することを防止している。カバー413により、クラッチ409や作動部411を保護し、カップリング407の伝達トルク制御特性を安定させることができる。
このような動力伝達装置401では、センターデフ505の差動を制限するカップリング407においても、壁部403とアクチュエータ405との間には壁部403とアクチュエータ405とを連結しカップリング407のクラッチ409及び作動部411を覆うカバー413を備えているので、クラッチ409及び作動部411が粉塵や水滴などの阻害物質と接触することがなく、カップリング407を保護することができる。
また、カバー413が壁部403とアクチュエータ405とを連結する構成であるので、カバー413を筐体で形成する必要がなく、カバー413の構成を簡易化することができ、低コスト化することができる。そして、カップリングの機能を長期に亘って維持することができると共に、カップリングシステムの重量増加を極力抑制することができる。
(第4実施例)
図6を用いて第4実施例の動力伝達装置601が適用される車両の動力系について説明する。
図6に示すように、車両の動力系は、駆動源としてのエンジン701(第2の静止系)及び電動モータ703(第2の静止系)と、変速機構としてのトランスミッション705(第1の静止系)と、フロントデフ615(差動機構)と、前車軸707,709と、前輪711,713と、動力伝達装置601と、後輪側プロペラシャフト715と、リヤデフ717と、後車軸719,721と、後輪723,725などから構成されている。なお、エンジン701と電動モータ703は、クラッチ727によって断続されており、駆動トルクを車両走行状態にあわせて選択的に伝達している。
エンジン701及び電動モータ703の駆動力はトランスミッション705からデフケース617を介してフロントデフ615に伝達され、一対のサイドギヤ619,621に連結されたドライブシャフト623,625を介して前車軸707,709から前輪711,713に配分されると共に、デフケース617と連結した第1中空軸627に伝達される。
第1中空軸627に伝達された駆動力は、動力伝達装置601のカップリング607が接続されると第2中空軸629に伝達され、変速ギヤ組631で変速されて方向変換ギヤ633から後輪側プロペラシャフト715を介してリヤデフ717に伝達され、後車軸719,721から後輪723,725に配分されて4輪駆動状態になる。また、カップリング607の接続が解除されると、車両は前輪駆動の2輪駆動状態になる。以下、動力伝達装置601について説明する。
本実施例の動力伝達装置601は、壁部603(第1の静止系)とアクチュエータ605との間には、壁部603とアクチュエータ605とを連結しカップリング607のクラッチ609及び作動部611を覆うカバー613を備えている。
図6に示すように、アクチュエータ605とエンジン701(第2の静止系)に取付ボルト635によって固定された支持部材637との間には、弾性部材639が配置されている。また、壁部603とアクチュエータ605との間には、カバー613が設けられている。カバー613は、壁部603とアクチュエータ605とを連結しカップリング607のクラッチ609と作動部611を覆っている。また、カバー613と壁部603及びアクチュエータ605とが嵌合する部分にはシール部材641,643が設けられ、壁部603と第2中空軸629との間にはシール645が設けられている。このシール部材641,643とシール645は、カバー613とクラッチ609及び作動部611との間に形成されるエア空間に粉塵などが侵入することを防止している。カバー613により、クラッチ609や作動部611を保護し、カップリング607の伝達トルク制御特性を安定させることができる。また、ドライブシャフト625は、ベアリング647を介して支持部材637に支持されている。
このような動力伝達装置601では、前輪側と後輪側とを断続するカップリング607においても、壁部603とアクチュエータ605との間には壁部603とアクチュエータ605とを連結しカップリング607のクラッチ609及び作動部611を覆うカバー613を備えているので、クラッチ609及び作動部611が粉塵や水滴などの阻害物質と接触することがなく、カップリング607を保護することができる。
また、カバー613が壁部603とアクチュエータ605とを連結する構成であるので、カバー613を筐体で形成する必要がなく、カバー613の構成を簡易化することができ、低コスト化することができる。そして、カップリングの機能を長期に亘って維持することができると共に、カップリングシステムの重量増加を極力抑制することができる。
さらに、支持部材637がベアリング647を介してドライブシャフト625を支持し、アクチュエータ605と支持部材637との間に弾性部材639が介在されているので、ドライブシャフト625上に配置されるカップリング607がドライブシャフト625を基準に配置され、同軸度を向上することができる。
(第5実施例)
図7を用いて第5実施例の動力伝達装置801が適用される車両の動力系について説明する。
図7に示すように、車両の動力系は、エンジンや電動モータなどの駆動源901(第2の静止系)及び変速機構としてのトランスミッション903(第1の静止系)と、前車軸905,907と、前輪909,911と、動力伝達装置801などから構成されている。
駆動源901の駆動力はトランスミッション903からデフケース817を介してフロントデフ815に伝達され、一対のサイドギヤ819,821に連結されたドライブシャフト823,825(一対の車軸)を介して前車軸905,907から前輪909,911に配分される。
そして、フロントデフ815の差動制限は、動力伝達装置801のカップリング807によって行われている。以下、動力伝達装置801について説明する。
本実施例の動力伝達装置801は、壁部803(第1の静止系)とアクチュエータ805との間には、壁部803とアクチュエータ805とを連結しカップリング807のクラッチ809及び作動部811を覆うカバー813を備えている。
図7に示すように、アクチュエータ805のコア827は、一部が延設されている。このコア827は、支持部材を兼ねており、静止系として駆動源901(第2の静止系)の一部に弾性部材829を介して固定されている。また、トランスミッションケース911の壁部803とコア827との間には、カバー813が設けられている。カバー813は、壁部803とアクチュエータ805とを連結しカップリング807のクラッチ809と作動部811を覆っている。また、カバー813と壁部803及びコア827とが嵌合する部分にはシール部材831,833が設けられ、壁部803とデフケース817に連結された中空軸835との間にはシール837が設けられている。このシール部材831,833とシール837は、カバー813とクラッチ809及び作動部811との間に形成されるエア空間に粉塵などが侵入することを防止している。カバー813により、クラッチ809や作動部811を保護し、カップリング807の伝達トルク制御特性を安定させることができる。
このような動力伝達装置801では、壁部803とコア827との間には壁部803とコア827とを連結しカップリング807のクラッチ809及び作動部811を覆うカバー813を備えているので、クラッチ809及び作動部811が粉塵や水滴などの阻害物質と接触することがなく、カップリング807を保護することができる。
また、カバー813が壁部803とコア827とを連結する構成であるので、カバー813を筐体で形成する必要がなく、カバー813の構成を簡易化することができ、低コスト化することができる。そして、カップリングの機能を長期に亘って維持することができると共に、カップリングシステムの重量増加を極力抑制することができる。
さらに、弾性部材829がコア827と駆動源901の一部との間に設けられ、第2の静止系から入力するアクチュエータ805への半径方向の振動を抑制しているので、第1の静止系と第2の静止系との間で固有振動が異なる場合であっても、両静止系間に介在するカップリング807への振動の伝播を抑制して、アクチュエータ805の制御性及び駆動トルク伝達特性を安定させることができる。
なお、カバーを壁部とアクチュエータとの間か、壁部と支持部材との間に設けるかは、周辺部材との配置状況に応じて適宜選択すれば良い。また、支持部材を静止系に固定する場合においても、適宜選択すれば良い。
また、各実施例では、支持部材がアクチュエータを支持する機能を示すものであるが、支持部材はカップリングの一部である内側回転部材、外側回転部材あるいは一方の車軸を支持する構成であっても良く、この場合、アクチュエータは、支持部材に直接固着支持されても、上記実施例のように支持されても、あるいは内側回転部材又は外側回転部材に支持されても良い。
また、アクチュエータは、上記実施例の構成に限られることなく、油圧シリンダピストンを用いたもの、電動モータとカム機構を用いたものなど種々のアクチュエータを配置スペースや供給される起動エネルギーなどの所定条件に合わせて適宜選択することができる。
第1実施例の動力伝達装置が搭載された車両の動力系の概略図である。 第1実施例の動力伝達装置の断面図である。 第1実施例の動力伝達装置の要部拡大断面図である。 第2実施例の動力伝達装置の要部拡大断面図である。 第3実施例の動力伝達装置が搭載された車両の動力系の概略図である。 第4実施例の動力伝達装置が搭載された車両の動力系の概略図である。 第5実施例の動力伝達装置が搭載された車両の動力系の概略図である。
符号の説明
1,301,401,601,801…動力伝達装置
3,5,421,423,623,625,823,825…ドライブシャフト(一対の車軸)
7,415,615,815…フロントデフ(差動機構)
9,403,603,803…壁部(第1の静止系)
11,407,607,807…カップリング
13…クラッチハブ(内側回転部材)
15…クラッチハウジング(外側回転部材)
17…ロータクラッチ(外側回転部材)
19…多板クラッチ(伝達部材)
21,405,605,805…アクチュエータ
23,303,427,637…支持部材
25,305,413,613,813…カバー
97…カム機構(作動部)
99…パイロットクラッチ(作動部)
119…シールベアリング
137…電磁石
141,827…コア
145,147…エアギャップ(作動部)
149…連結部材
151,315,429,639,829…弾性部材
155,157,317,319…カバーの内周面
159…壁部の外周面
161…アクチュエータの外周面
163,165,323,325,431,433,641,643,831,833…シール部材
201,501,701,703,901…駆動源(第2の静止系)
203,503,705,903…トランスミッション(第1の静止系)
307…静止側部材(第2の静止系)
409,609,809…クラッチ(伝達部材)
411,611,811…作動部
505…センターデフ(差動機構)
647…ベアリング

Claims (10)

  1. 一対の車軸を有する差動機構と、前記一対の車軸のいずれか一方の車軸と同軸上に配置され前記差動機構に対して第1の静止系の壁部を軸方向に挟んで配置されるカップリングとを備えた動力伝達装置であって、
    前記カップリングは、内側回転部材と、外側回転部材と、前記内側回転部材と前記外側回転部材との間に配置される伝達部材と、該伝達部材の作動を制御して伝達トルクを制御するアクチュエータとを有し、前記カップリングを軸方向に挟んで前記壁部の反対側に配置され第2の静止系に固定されて前記カップリングの一部又は前記一方の車軸を支持する支持部材を備え、前記アクチュエータは、前記伝達部材と前記支持部材との軸方向間に配置され、前記壁部と前記アクチュエータ又は前記支持部材との間には、前記壁部と前記アクチュエータ又は前記支持部材とを連結し前記カップリングの前記外側回転部材を覆うカバーを備えていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の動力伝達装置であって、
    前記壁部と前記アクチュエータ又は前記支持部材には環状の外周面が形成され、前記カバーの両端側には環状の内周面が形成され、前記カバーは、前記外周面と前記内周面とを嵌合して連結されていることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項2記載の動力伝達装置であって、
    前記外周面と前記内周面とが嵌合する連結部分には、シール部材が介在されていることを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記アクチュエータは、前記外側回転部材との間に前記伝達部材を作動させる作動部を有し、該作動部は、前記カバー内に収容配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記アクチュエータの一部は、前記カバーの外部に露出していることを特徴とする動力伝達装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記第2の静止系と前記支持部材との間、又は前記第2の静止系と前記アクチュエータとの間には、弾性部材が介在されていることを特徴とする動力伝達装置。
  7. 請求項6記載の動力伝達装置であって、
    前記アクチュエータは前記支持部材に回転方向に支持され、前記弾性部材は前記アクチュエータと前記支持部材との間に設けられ、前記第2の静止系から入力する前記アクチュエータへの半径方向の振動を抑制していることを特徴とする動力伝達装置。
  8. 請求項7記載の動力伝達装置であって、
    前記アクチュエータと前記弾性部材との間には、軸方向の相対移動を許容する連結部材が介在されていることを特徴とする動力伝達装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記アクチュエータは、前記外側回転部材に対してベアリングを介して半径方向に支持され、前記支持部材は、前記ベアリングを介して間接的に前記一方の車軸の軸心との相対位置関係が保持されていることを特徴とする動力伝達装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記支持部材は、ベアリングを介して前記一方の車軸を支持し、前記アクチュエータは、前記支持部材との間に弾性部材が介在されていることを特徴とする動力伝達装置。
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