JP2001012515A - カップリング及びデファレンシャル装置 - Google Patents

カップリング及びデファレンシャル装置

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JP2001012515A
JP2001012515A JP18412299A JP18412299A JP2001012515A JP 2001012515 A JP2001012515 A JP 2001012515A JP 18412299 A JP18412299 A JP 18412299A JP 18412299 A JP18412299 A JP 18412299A JP 2001012515 A JP2001012515 A JP 2001012515A
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JP
Japan
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torque transmitting
magnetic
armature
cam
case
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Application number
JP18412299A
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English (en)
Inventor
Shinji Yamazaki
伸司 山崎
Takao Tashiro
隆男 田代
Yasuhiko Ishikawa
泰彦 石川
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型の電磁石で充分なトルク容量を得る。 【解決手段】 トルク伝達部材9、11の間に配置され
たメインクラッチ13及びコントロールクラッチ15
と、トルク伝達部材9の外部に所定のギャップ27を介
して配置され、アーマチャ23を移動操作してクラッチ
15を連結させる電磁石25と、クラッチ15が連結さ
れるとトルク伝達部材9、11間のトルクを受けて作動
し、クラッチ13を連結させるカム19と、これらを収
容するケーシング3、7とを備え、少なくともギャップ
27に磁性流体を充填した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電磁石によって
操作されるカップリング及びデファレンシャル装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】「ガイア新型車解説書 0−22頁 ト
ヨタ自動車株式会社 編集 同サービス部 発行 19
98年 5月 29日」に図8のようなカップリング4
01が記載されている。
【0003】このカップリング401は、四輪駆動車の
後輪側動力伝達系に配置されており、後輪側の連結と切
り離し、及び、後輪側に伝達される駆動力の制御を行
う。
【0004】カップリング401は、回転ケース40
3、インナーシャフト405、多板式のメインクラッチ
407及びコントロールクラッチ409、アーマチャ4
11、電磁石413、カムリング415、ボールカム4
17、プレッシャプレート419、コントローラなどか
ら構成されている。
【0005】回転ケース403はプロペラシャフトを介
してトランスファ側に連結されている。又、インナーシ
ャフト405にはドライブピニオンシャフト421が連
結されており、ドライブピニオンシャフト421に形成
されたドライブピニオンギヤ423はリヤデフ(後輪の
デファレンシャル装置)側のリングギヤと噛み合ってい
る。
【0006】メインクラッチ407は回転ケース403
とインナーシャフト405との間に配置されており、コ
ントロールクラッチ409は回転ケース403とカムリ
ング415との間に配置されている。
【0007】又、プレッシャプレート419はインナー
シャフト405に移動自在に連結されており、ボールカ
ム417はカムリング415とプレッシャプレート41
9との間に配置されている。
【0008】カップリング401はデフキャリヤ425
の内部に収容されており、電磁石413は回転ケース4
03の外部に配置され、デフキャリヤ425に固定され
ている。又、電磁石413と回転ケース403との間に
はエアギャップ427が設けられている。
【0009】コントローラは、電磁石413の励磁、励
磁電流の制御、励磁停止などを行う。
【0010】電磁石413が励磁されると、エアギャッ
プ427を含む磁気回路に磁力ループ429が形成され
てアーマチャ411が吸引され、コントロールクラッチ
409が押圧されて締結する。コントロールクラッチ4
09が締結されると、回転ケース403とインナーシャ
フト405間のトルクがボールカム417に掛かり、生
じたカムスラスト力によりプレッシャプレート419を
介してメインクラッチ407が押圧される。
【0011】こうしてカップリング401が連結される
と、エンジンの駆動力が後輪に送られて車両は四輪駆動
状態になり、悪路の走破性や、車体の安定性が向上す
る。
【0012】又、電磁石413の励磁電流を制御する
と、コントロールクラッチ409の滑りによってボール
カム417のカムスラスト力が変化し、メインクラッチ
407の連結力が変化して後輪の駆動力が調整される。
このようにして、前後輪間の駆動力配分比を制御する
と、例えば、旋回走行中の車両の操縦性や安定性などが
向上する。
【0013】又、電磁石413の励磁を停止すると、コ
ントロールクラッチ409が開放され、ボールカム41
7のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ407が
開放されてカップリング401の連結が解除され、車両
は二輪駆動状態になる。
【0014】回転ケース403は密封状態にされてお
り、内部には、例えば、オートマチックトランスミッシ
ョン用の粘性の高いオイルが封入されており、メインク
ラッチ407、コントロールクラッチ409、ボールカ
ム417、各ベアリングなどを潤滑し、冷却する。
【0015】又、特開平10−213164号公報に図
9のようなカップリング501(駆動力伝達装置)が記
載されている。
【0016】このカップリング501は、四輪駆動車の
後輪側動力伝達系に配置されており、後輪側の連結と切
り離し、及び、後輪側に伝達される駆動力の制御を行
う。
【0017】カップリング501は、回転ケース50
3、インナーシャフト505、多板式のクラッチ50
7、プレッシャプレート509、アーマチャ511、中
間のカム部材513、第1のカム515、第2のカム5
17、ばね519、電磁石521、コントローラなどか
ら構成されている。
【0018】回転ケース503とインナーシャフト50
5は相対回転自在に配置されており、インナーシャフト
505は回転ケース503の内側に配置されている。
【0019】回転ケース503はトランスファ側のプロ
ペラシャフト523に連結されている。又、インナーシ
ャフト505にはリヤデフ側のプロペラシャフト525
がスプライン連結されており、インナーシャフト505
とリヤデフとを連結させている。
【0020】プレッシャプレート509とアーマチャ5
11は、回転ケース503の内周にそれぞれスプライン
連結されている。
【0021】又、中間カム部材513はこれらのプレッ
シャプレート509とアーマチャ511の間に、相対回
転可能に配置されている。
【0022】第1のカム515は、アーマチャ511と
中間カム部材513の間に設けられており、図10のよ
うに、中間カム部材513の外周に設けられたカム溝5
27と、カム溝527に係合するローラ529とで構成
されている。
【0023】カム溝527は周方向等間隔に設けられて
おり、軸方向に対して傾斜している。又、ローラ529
はアーマチャ511に回転自在に支持されている。
【0024】第2のカム517はボールカムであり、プ
レッシャプレート509と中間カム部材513との間に
設けられている。
【0025】ばね519は、アーマチャ511と中間カ
ム部材513の間に配置されており、中間カム部材51
3を第2のカム517側に押圧してガタを吸収し、レス
ポンスを向上させている。
【0026】回転ケース503には磁気回路部材のロー
タ531が連結されており、電磁石521は、このロー
タ531に設けられた凹部533に取り付けられてい
る。
【0027】ロータ531には、アーマチャ511と接
触する接触面535が設けられており、アーマチャ51
1とこの接触面535との間にエアギャップ537が形
成されている。
【0028】コントローラは、電磁石521の励磁、励
磁電流の制御、励磁停止などを行う。
【0029】電磁石521が励磁されると、エアギャッ
プ537を含む磁気回路に磁力ループ539が形成さ
れ、図10のように、アーマチャ511が、ローラ52
9と共に、矢印541の方向に吸引される。
【0030】ローラ529が矢印541の方向に移動し
中間カム部材513のカム溝527を押圧すると、第1
のカム515が作動し、中間カム部材513を矢印54
3の方向に回転させる。
【0031】中間カム部材513が矢印543の方向に
回転すると、第2のカム517が作動し、そのカムスラ
スト力によりプレッシャプレート509を介してクラッ
チ507を押圧し、締結させる。
【0032】このように、電磁石521がアーマチャ5
11を吸引すると、このパイロット機能により、第1カ
ム515が作動して第2カム517を作動させ、カップ
リング501が連結されて、車両は四輪駆動状態にな
る。
【0033】又、電磁石521の励磁電流を制御する
と、第1カム515のカム力が変化して第2カム517
の押圧力が変わり、クラッチ507の滑りによって後輪
に伝達される駆動力が調整され、旋回走行中の車両の操
縦性や安定性などが向上する。
【0034】電磁石521の励磁を停止すると、ばね5
19の付勢力によってアーマチャ511(ローラ52
9)が元の位置に戻り、第1カム515のカム力が消失
し、次に、第2カム517のカムスラスト力が消失し、
クラッチ507が開放されてカップリング501の連結
が解除され、車両は二輪駆動状態になる。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】カップリング401
は、上記のように、電磁石413を回転ケース403の
外部に配置したから、メインクラッチ407とコントロ
ールクラッチ409や他の摩擦個所などで発生する摩耗
粉が電磁石413と回転ケース403のエアギャップ4
27に回り込むことがない。
【0036】従って、エアギャップ427の目詰まりに
よる電磁石413と回転ケース403間の摩擦や、回転
ケース403に掛かる回転抵抗などが防止されると共
に、磁気回路の磁気特性が安定するから、カップリング
401の断続特性と伝達トルクの制御特性が安定する。
【0037】ところが、空気(エアギャップ427)
は、磁気遮断作用(磁気抵抗)が極めて大きい非磁性体
であるから、エアギャップ427が設けられた磁気回路
は磁気がそれだけ透過しにくい。
【0038】従って、充分なトルク容量を得るために
は、電磁石413を大型にする必要があり、カップリン
グ401がそれだけ大型になると共に、消費電力が大き
くなる。
【0039】又、エアギャップ427の磁気遮断作用の
影響は、伝達トルク(後輪側に伝達する駆動力)を制御
するとき、電磁石413の励磁電流を小さくする程大き
くなるから、後輪側に伝達する駆動力を正確に制御する
ことは難しい。
【0040】しかし、磁気抵抗を小さくするためにエア
ギャップ427を狭くすると、電磁石413と回転ケー
ス403とが干渉し易くなるから、エアギャップ427
を充分に狭くすることは困難である。
【0041】又、狭いエアギャップ427は加工が難し
く、加工コストが高い。
【0042】又、メインクラッチ407やコントロール
クラッチ409などで熱が発生するから、回転ケース4
03は充分に冷却する必要がある。
【0043】又、図9のカップリング501は、上記の
ように、クラッチ507の押圧を専ら電磁石521の吸
引力に頼っているから、2セットのカム515、517
を用いても、伝達トルクをカム417で増幅するカップ
リング401のように大きなトルク容量は得られない。
【0044】従って、カップリング501にとっては、
エアギャップ537の磁気抵抗の大きさと、トルク容量
の制限、磁気抵抗による伝達トルク制御の難しさ、電磁
石521の大型化に伴う問題などは、カップリング40
1より影響が大きい。
【0045】そこで、この発明は、小型の電磁石で、充
分なトルク容量が得られ、ギャップでの干渉が防止され
るカップリングと、充分な差動制限力が得られ、ギャッ
プでの干渉が防止されるデファレンシャル装置の提供を
目的とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】請求項1のカップリング
は、一側のケース状トルク伝達部材と、このケース状ト
ルク伝達部材に貫入した他側の軸状トルク伝達部材と、
これら両トルク伝達部材の間に配置されたクラッチと、
ケース状トルク伝達部材の外部に所定のギャップを介し
て配置された電磁石と、電磁石の磁力によって移動操作
されクラッチを押圧して連結させるアーマチャと、これ
らを収容するケーシングとを備え、少なくとも前記ギャ
ップに磁性流体を充填したことを特徴とする。
【0047】電磁石とケース状トルク伝達部材のギャッ
プは電磁石の磁気回路の一部を形成しており、電磁石を
励磁するとこの磁気回路に磁力ループが形成され、アー
マチャが吸引される。
【0048】吸引されたアーマチャはクラッチを押圧し
てカップリングを連結し、ケース状トルク伝達部材と軸
状トルク伝達部材の間でトルクが伝達される。このと
き、電磁石の励磁電流を制御すると、アーマチャによる
クラッチの押圧力が変化して、伝達トルクが調整され
る。
【0049】又、電磁石の励磁を停止すると、クラッチ
が開放され、カップリングの連結が解除される。
【0050】請求項1のカップリングは、少なくとも電
磁石とケース状トルク伝達部材とのギャップに磁性流体
を充填したから、ギャップに空気が満たされた従来例と
異なって、ギャップ(磁気回路)の磁気抵抗が大幅に低
減されている。
【0051】従って、小型の電磁石を用いても、アーマ
チャが強く吸引されるから、カップリングは充分なトル
ク容量が得られる。
【0052】又、伝達トルクを制御するに当たって電磁
石の励磁電流を弱くしても、従来例と異なり、ギャップ
の磁気抵抗の影響が小さくなったから、伝達トルクを正
確に制御することが可能になる。
【0053】又、電磁石を大型にする必要がなくなるか
ら、カップリングの大型化と電磁石による消費電力の増
加とが防止される。
【0054】更に、ギャップの磁気抵抗が大幅に低減さ
れるから、ケース状トルク伝達部材と電磁石の間隔を特
に狭くする必要がなくなる。
【0055】従って、ケース状トルク伝達部材の振動や
振れ、あるいは、関連部材の温度膨張などが生じてもケ
ース状トルク伝達部材と電磁石とが干渉しないように、
ギャップを充分に広くすることが可能になる。
【0056】又、このようにギャップを充分に広くでき
るから、ギャップを形成するケース状トルク伝達部材と
電磁石の加工が容易になり、加工コストが大きく低減す
ると共に、電磁石、ケース状トルク伝達部材、周辺部材
などの組付けが容易になり、支持構造が簡易になるか
ら、組付けコストも大きく低減する。
【0057】又、磁性流体が循環し熱を外部に放散する
ことによって、カップリングが冷却され、特に、磁性流
体をケース状トルク伝達部材の周囲に広く充填した場合
は、大きな冷却効果が得られる。
【0058】又、磁性流体をギャップの周辺にだけ充填
すれば、下記のように、磁性流体と接触しない部材を磁
性材料にすることが可能になり、それだけ低コストに構
成できる。
【0059】請求項2のカップリングは、一側のケース
状トルク伝達部材と、このケース状トルク伝達部材に貫
入した他側の軸状トルク伝達部材と、これら両トルク伝
達部材の間に配置されたメインクラッチ及びコントロー
ルクラッチと、ケース状トルク伝達部材の外部に所定の
ギャップを介して配置された電磁石と、電磁石の磁力に
よって移動操作されクラッチを押圧して連結させるアー
マチャと、コントロールクラッチが連結されると両トル
ク伝達部材間の伝達トルクを受けて作動しメインクラッ
チを押圧するカムと、これらを収容するケーシングとを
備え、少なくとも前記ギャップに磁性流体を充填したこ
とを特徴とする。
【0060】電磁石を励磁すると、ギャップを一部とす
る磁気回路を介してアーマチャが吸引され、コントロー
ルクラッチを押圧して連結させる。コントロールクラッ
チが連結されると、両トルク伝達部材の間のトルクがカ
ムに掛かり、生じたカムスラスト力によってメインクラ
ッチが連結され、カップリングが連結される。
【0061】電磁石の励磁電流を制御すると、コントロ
ールクラッチの滑りによってカムスラスト力が変化し、
メインクラッチの押圧力が変わってカップリングの伝達
トルクが調整される。
【0062】又、電磁石の励磁を停止すると、コントロ
ールクラッチが開放されてカムのスラスト力が消失し、
メインクラッチが開放され、カップリングの連結が解除
される。
【0063】又、請求項2のカップリングは、請求項1
のカップリングと同様に、少なくとも電磁石とケース状
トルク伝達部材とのギャップに磁性流体を充填したこと
によって磁気回路の磁気抵抗が大幅に低減されており、
小型の電磁石を用いても、充分なトルク容量が得られ
る。
【0064】従って、電磁石を大型にする必要がなくな
り、カップリングの大型化と消費電力の増加とが防止さ
れる。
【0065】又、電磁石の励磁電流を弱くしたときのギ
ャップによる磁気抵抗の影響が小さくなり、伝達トルク
を正確に制御することが可能になる。
【0066】又、磁性流体によってカップリングが冷却
される。
【0067】請求項3のデファレンシャル装置は、エン
ジンの駆動力によって回転するケース状のトルク伝達部
材と、このケース状トルク伝達部材の回転を一対の出力
側トルク伝達部材を介して車輪側に配分する差動機構
と、トルク伝達部材の間に配置されたメインクラッチ及
びコントロールクラッチと、ケース状トルク伝達部材の
外部に所定のギャップを介して配置された電磁石と、電
磁石の磁力によって移動操作されクラッチを押圧して連
結させるアーマチャと、コントロールクラッチが連結さ
れると差動トルクを受けて作動しメインクラッチを押圧
するカムと、これらを収容するケーシングとを備え、少
なくとも前記ギャップに磁性流体を充填したことを特徴
とする。
【0068】電磁石を励磁すると、ギャップを一部とす
る磁気回路を介してアーマチャが吸引され、コントロー
ルクラッチを押圧して連結させる。コントロールクラッ
チが連結されると、トルク伝達部材(例えば、デフケー
ス)と他のトルク伝達部材(例えば、出力側サイドギ
ヤ)の間の差動トルクがカムに掛かり、そのカムスラス
ト力によってメインクラッチが連結され、生じた差動制
限力によって差動機構の差動が制限される。
【0069】電磁石の励磁電流を制御すると、コントロ
ールクラッチの滑りによってカムスラスト力が変化し、
メインクラッチの滑りが変化して、差動制限力を調整す
ることができる。
【0070】又、電磁石の励磁を停止すると、コントロ
ールクラッチが開放されてカムのスラスト力が消失し、
メインクラッチが開放されて、差動が許容される。
【0071】又、請求項3のデファレンシャル装置で
は、請求項1、2のカップリングと同様に、少なくとも
ケース状トルク伝達部材と電磁石のギャップに磁性流体
を充填したことにより、磁気回路の磁気抵抗が大幅に低
減される。
【0072】従って、小型の電磁石を用いても、充分な
差動制限力が得られると共に、電磁石を大型にする必要
がなくなり、デファレンシャル装置の大型化と消費電力
の増加とが防止される。
【0073】又、電磁石の励磁電流を弱くしたときのギ
ャップによる磁気抵抗の影響が小さくなり、差動制限力
を正確に制御することが可能になる。
【0074】又、磁性流体によってデファレンシャル装
置が冷却される。
【0075】請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3
のいずれか一項に記載のカップリング、又は、デファレ
ンシャル装置であって、ケーシングとケース状トルク伝
達部材との間に形成された空間を、これらの間に配置さ
れた一対のシールによって、ギャップを内包する空間1
と、ケース状トルク伝達部材の他の部分を内包する空間
2に区画し、磁性流体を空間1に充填したことを特徴と
し、請求項1乃至請求項3のいずれかと同等の効果を得
る。
【0076】これに加えて、ケーシングとケース状トル
ク伝達部材との間に配置した一対のシールによってギャ
ップを内包する空間1を区画し、磁性流体をこの空間1
にだけ充填した。
【0077】このように、磁性流体をギャップの周辺
(空間1)にだけ充填したから、空間2と接触する周辺
部材が磁性を帯びても、その磁力が空間1のギャップか
ら磁性流体を吸引してしまうようなことがなくなる。
【0078】従って、磁性流体と接触しないこれらの部
材を磁性材料にすることが可能になり、各装置をそれだ
け低コストに構成することができる。
【0079】請求項5の発明は、請求項4記載のカップ
リング、又は、デファレンシャル装置であって、空間2
に、冷却流体を充填したことを特徴とし、請求項4の構
成と同等の効果を得る。
【0080】これに加えて、空間2に充填された冷却流
体が循環して熱をケーシングの外部に放散することによ
って各装置が冷却される。
【0081】特に、ギャップを内包する空間1より容積
の大きい空間2に冷却流体を充填したことにより、大き
な冷却効果が得られる。
【0082】請求項6の発明は、請求項4又は請求項5
記載のカップリング、又は、デファレンシャル装置であ
って、空間2が空間1を間に挟んで分割形成されている
と共に、各空間2に冷却流体が充填されており、ケース
状トルク伝達部材と軸状トルク伝達部材とを貫通して両
方の空間2の間で冷却流体を流通させる流路が形成され
ていることを特徴とし、請求項4又は請求項5の構成と
同等の効果を得る。
【0083】これに加えて、ケース状トルク伝達部材と
軸状トルク伝達部材とを貫通して両方の空間2の間でオ
イル(冷却流体)を連通させる流路を形成したことによ
り、各空間2のオイル循環量が増加し、冷却効果が大き
く向上する。
【0084】例えば、四輪駆動車でデファレンシャル装
置を断続する装置に、このカップリングを用い、一方の
空間2をこのデファレンシャル装置を収容するデフキャ
リヤに連通させれば、このデフキャリヤに封入された多
量のオイルが流路を介して他方の空間2に流出入するか
ら、冷却効果が大きく向上する。
【0085】又、ケース状トルク伝達部材と軸状トルク
伝達部材とを貫通する冷却流体流路は比較的低コストで
形成することが可能であるから、構造が複雑でコストの
高い機構を用いずに、低コストの冷却流体流路によっ
て、上記のような大きい冷却効果が得られる。
【0086】請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6
のいずれか一項に記載のカップリング、又は、デファレ
ンシャル装置であって、ケーシングとケース状トルク伝
達部材が、非磁性材料で作られていることを特徴とし、
請求項1乃至請求項6のいずれかと同等の効果を得る。
【0087】これに加えて、ケーシングとケース状トル
ク伝達部材を非磁性材料にしたことにより、これらが磁
性を帯びてギャップから磁性流体を吸引してしまうこと
がなくなる。
【0088】従って、磁性流体をギャップの周囲に限定
するためのシールが不要になり、各装置をそれだけ低コ
ストに構成することができる。
【0089】請求項8の発明は、請求項1乃至請求項6
のいずれか一項に記載のカップリング、又は、デファレ
ンシャル装置であって、ケーシングの内周とケース状ト
ルク伝達部材の外周に、非磁性のコーティングが施され
ていることを特徴とし、請求項1乃至請求項6のいずれ
かと同等の効果を得る。
【0090】これに加えて、ケーシングの内周とケース
状トルク伝達部材の外周に非磁性のコーティングを施し
たことにより、これらが磁性を帯びても、ギャップから
磁性流体を吸引してしまうことはない。
【0091】従って、磁性流体をギャップの周囲に限定
するためのシールが不要になり、各装置をそれだけ低コ
ストに構成することができる。
【0092】又、非磁性のコーティングを施すことによ
って、ケーシングやケース状トルク伝達部材に磁性材料
を用いることが可能になるから、これらの部材に非磁性
材料を用いる構成に較べて、各装置のコストを大幅に低
減することが可能である。
【0093】なお、非磁性のコーティングには、例え
ば、CrN、TiNなどのコーティング、Crや亜鉛な
どのメッキ、フェノール、エポキシ、フッ素、シリコン
などの樹脂塗装、合成ゴムなどのシートのようなものが
ある。
【0094】いずれにしても、磁気を透過させない性
質、あるいは、透過させにくい性質を持ち、部材の表面
形状に応じて施すことができるものならば、全てのコー
ティングを用いることができる。
【0095】請求項9のカップリングは、一側のケース
状トルク伝達部材と、このケース状トルク伝達部材に貫
入した他側の軸状トルク伝達部材と、これら両トルク伝
達部材の間に配置されたクラッチと、このクラッチを押
圧し連結させる第2のカムと、アーマチャ及びこれと対
向する磁性部材との間に形成されたギャップを含む磁気
回路と、この磁気回路を介してアーマチャを移動させる
電磁石と、アーマチャの移動力を受けて作動し、そのカ
ム力によって第2のカムを作動させる第1のカムとを備
え、前記ギャップに磁性流体、又は、磁性粉体を充填し
たことを特徴とする。
【0096】アーマチャ及びこれと対向する磁性部材と
のギャップは電磁石の磁気回路の一部を形成しており、
電磁石を励磁するとこの磁気回路に磁力ループが形成さ
れ、アーマチャが吸引される。
【0097】アーマチャが吸引されると、第1のカムが
作動し、そのカム力によって第2のカムが作動し、クラ
ッチを押圧してカップリングを連結し、ケース状トルク
伝達部材と軸状トルク伝達部材との間でトルクが伝達さ
れる。
【0098】このとき、電磁石の励磁電流を制御する
と、各カムのカム力が変化してクラッチに滑りが生じ、
伝達トルクが調整される。
【0099】又、電磁石の励磁を停止すると、各カムの
カム力が消失してクラッチが開放され、カップリングの
連結が解除される。
【0100】又、請求項9のカップリングは、例えば、
ギャップに連通する空間をシールで区画し、この空間
に、磁性流体、又は、磁性粉体を充填したことにより、
ギャップ(磁気回路)の磁気抵抗を大幅に低減させてい
る。
【0101】従って、小型の電磁石を用いても、アーマ
チャが充分に強く吸引され、各カムで大きなカム力が得
られるから、カップリングは大きなトルク容量が得ら
れ、例えば、クラッチを強固に連結させてカップリング
をロックすることが可能になる。
【0102】又、伝達トルクを制御するに当たって電磁
石の励磁電流を弱くしても、ギャップの磁気抵抗による
影響が小さくなり、伝達トルクを正確に制御することが
可能になる。
【0103】又、電磁石を大型にする必要がないから、
カップリングの大型化と電磁石による消費電力の増加と
が防止される。
【0104】又、ギャップの磁気抵抗が大幅に低減され
るから、ギャップは特に狭くする必要がなくなって充分
に広くできるから、ギャップの周辺部材の加工が容易に
なり、加工コストが低減すると共に、カップリングの組
付けも容易になり、組付けコストが低減する。
【0105】又、磁性流体が循環して熱を外部に放散す
るから、アーマチャと相手側部材との接触面などが冷却
され、温度上昇が防止され、耐久性が向上する。
【0106】更に、この冷却効果によって電磁石が冷却
され、電磁石の励磁電流とアーマチャの吸引力が安定す
るから、伝達トルクの制御特性が向上する。
【0107】又、磁性流体を、潤滑オイルに磁粉を分散
させた磁性オイルにすれば、ギャップ周辺の冷却効果に
加えて潤滑効果も得られる。
【0108】又、この磁性オイルを、ギャップに近接し
て配置されている第1カムと第2カムの周囲に充填すれ
ば、これらが潤滑されて動作が安定し、伝達トルクの制
御特性が更に向上すると共に、各カムが冷却されて、耐
久性が向上する。
【0109】請求項10のデファレンシャル装置は、エ
ンジンの駆動力によって回転するケース状のトルク伝達
部材と、このケース状トルク伝達部材の回転を一対の出
力側トルク伝達部材を介して車輪側に配分する差動機構
と、トルク伝達部材の間に配置されたクラッチと、この
クラッチを押圧し連結させる第2のカムと、アーマチャ
及びこれと対向する磁性部材との間に形成されたギャッ
プを含む磁気回路と、この磁気回路を介してアーマチャ
を移動させる電磁石と、アーマチャの移動力を受けて作
動し、そのカム力によって第2のカムを作動させる第1
のカムとを備え、前記ギャップに磁性流体、又は、磁性
粉体を充填したことを特徴とする。
【0110】電磁石がアーマチャを吸引すると、第1の
カムが作動し、第2のカムが作動してクラッチを連結さ
せ、生じた差動制限力によって差動機構の差動が制限さ
れる。
【0111】電磁石の励磁電流を制御すると、各カムの
カム力が変化し、クラッチの滑りによって差動制限力が
調整される。
【0112】又、電磁石の励磁を停止すると、各カムの
カム力が消失してクラッチが開放され、差動が許容され
る。
【0113】又、請求項10のデファレンシャル装置で
は、請求項9のカップリングと同様に、ギャップに磁性
流体を充填したことにより、磁気回路の磁気抵抗が大幅
に低減されるから、小型の電磁石でも充分な差動制限力
が得られ、例えば、クラッチを強固に連結させて差動を
ロックすることが可能になる。
【0114】又、電磁石を大型にする必要がなくなり、
デファレンシャル装置の大型化と消費電力の増加とが防
止される。
【0115】又、電磁石の励磁電流を弱くしたときのギ
ャップによる磁気抵抗の影響が小さくなり、差動制限力
を正確に制御することが可能になる。
【0116】又、磁性流体によってデファレンシャル装
置が冷却される。
【0117】請求項11のカップリングは、一側のケー
ス状トルク伝達部材と、このケース状トルク伝達部材に
貫入した他側の軸状トルク伝達部材と、これら両トルク
伝達部材の間に配置されたクラッチと、このクラッチを
押圧し連結させる第2のカムと、アーマチャ及びこれと
対向する磁性部材との間に形成されたギャップを含む磁
気回路と、この磁気回路を介してアーマチャを移動させ
る電磁石と、アーマチャの移動力を受けて作動し、その
カム力によって第2のカムを作動させる第1のカムとを
備え、前記磁気回路中に磁性を有する弾性体を配置した
ことを特徴とする。
【0118】請求項11のカップリングは、磁性を有す
る弾性体をギャップに配置し、磁気回路の磁気抵抗を大
幅に低減させたことにより、磁気抵抗の低減効果に関し
て、請求項9のカップリングと同等の効果を得る。
【0119】請求項12のデファレンシャル装置は、エ
ンジンの駆動力によって回転するケース状のトルク伝達
部材と、このケース状トルク伝達部材の回転を一対の出
力側トルク伝達部材を介して車輪側に配分する差動機構
と、トルク伝達部材の間に配置されたクラッチと、この
クラッチを押圧し連結させる第2のカムと、アーマチャ
及びこれと対向する磁性部材との間に形成されたギャッ
プを含む磁気回路と、この磁気回路を介してアーマチャ
を移動させる電磁石と、アーマチャの移動力を受けて作
動し、そのカム力によって第2のカムを作動させる第1
のカムとを備え、前記磁気回路中に磁性を有する弾性体
を配置したことを特徴とする。
【0120】請求項12のデファレンシャル装置は、磁
性を有する弾性体をギャップに配置し、磁気回路の磁気
抵抗を大幅に低減させたことにより、磁気抵抗の低減効
果に関して、請求項10のデファレンシャル装置と同等
の効果を得る。
【0121】請求項13の発明は、請求項11又は請求
項12記載のカップリング、又は、デファレンシャル装
置であって、磁性を有する弾性体を、アーマチャの移動
方向に配置された相手側部材とアーマチャとの間に配置
し、電磁石の励磁が停止されると、この弾性体によって
アーマチャが元の位置に戻ることを特徴とし、請求項1
1又は請求項12のいずれかと同等の効果を得る。
【0122】アーマチャとその移動方向に配置された相
手側部材との隙間は上記のギャップであり、このギャッ
プに配置された磁性を有する弾性体は、電磁石がアーマ
チャを吸引すると押されて撓み、電磁石の励磁を停止す
ると、その付勢力によってアーマチャを元の位置に押し
戻す。
【0123】こうして、クラッチの連結を解除する際の
レスポンスが向上し、クラッチの切れが改善されるか
ら、カップリングでは連結トルクの、又、デファレンシ
ャル装置では差動制限トルクの、それぞれ引きずりトル
クが防止される。
【0124】従って、引きずりトルクによる、クラッチ
やカムなどの摩耗が防止され、耐久性が大きく向上す
る。
【0125】又、カップリングの引きずりトルクが防止
されることにより、車両の操縦性や安定性が向上する。
【0126】又、電磁石の励磁が停止されたときは、磁
性を有する弾性体によって各カムを構成する部材が中立
位置に位置決めされ、無用なクラッチトルクの発生が防
止されるから、カップリングとデファレンシャル装置の
動作が安定する。
【0127】又、カムの構成部材が中立位置に位置決め
されることによって、クラッチの操作レスポンスが向上
するから、カップリングとデファレンシャル装置の操作
性も安定し、向上する。
【0128】又、磁性を有する弾性体を、相対回転しな
いアーマチャと相手側部材との間に配置する構成は、弾
性体を相対回転する部材間に配置する構成と較べて、弾
性体の位置決め機能が安定するから、カップリングとデ
ファレンシャル装置の操作性が更に安定し、向上する。
【0129】又、上記のように、磁性を有する弾性体が
アーマチャのリターンスプリング機能を行うから、専用
のリターンスプリングが不要になり、部品点数が低減さ
れて、低コストになる。
【0130】又、磁性を有する弾性体を、アーマチャと
相手側部材との間に配置する構成は、弾性体を他の個所
に配置する構成と較べて、構造が簡単であり、関連部材
のレイアウトが容易である。
【0131】請求項14の発明は、請求項13記載のカ
ップリング、又は、デファレンシャル装置であって、磁
性を有する弾性体が、磁性を有するゴム製又はプラスチ
ック製のベローズ、あるいは、磁性流体又は磁性粉体を
封入した磁性を有する可撓性の容器、あるいは、磁性を
有する可撓性材料、あるいは、磁性金属の皿状ばねであ
ることを特徴とする。
【0132】磁性を有するゴム製又はプラスチック製の
ベローズ、磁性流体又は磁性粉体を封入した磁性を有す
る可撓性の容器、磁性を有する可撓性材料、磁性金属の
皿状ばねはなど、薄型に形成し易い上に、薄型でも充分
な付勢力が得られる。
【0133】従って、これらをギャップに配置すれば、
電磁石が励磁されると回路の磁気抵抗を低減させ、励磁
が解除されたときはアーマチャを元の位置に戻す。
【0134】こうして、請求項14の発明は、請求項1
3の構成と同等の効果を得る。
【0135】
【発明の実施の形態】図1によってカップリング1(本
発明の第1実施形態)の説明をする。
【0136】このカップリング1は請求項2、7の特徴
を備えている。又、図1の右方はカップリング1を用い
た四輪駆動車の前方に相当する。なお、符号を与えてい
ない部材等は図示されていない。
【0137】カップリング1はこの四輪駆動車の後輪側
動力伝達系に配置されており、後輪側の連結と切り離
し、及び、後輪側に伝達される駆動力の制御を行う。
【0138】エンジンの駆動力は、トランスミッション
からフロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に配
分するデファレンシャル装置)に伝達され、フロントデ
フから左右の前輪に伝達されると共に、トランスファと
後輪側のプロペラシャフトとを介してカップリング1に
伝達される。
【0139】カップリング1が連結されると、エンジン
の駆動力はカップリング1からリヤデフ(エンジンの駆
動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)に
伝達され、リヤデフから左右の後輪に伝達され、車両は
四輪駆動状態になる。
【0140】又、カップリング1の連結が解除される
と、リヤデフ以下の後輪側が切り離されて車両は二輪駆
動状態になる。
【0141】カップリング1は、リヤデフを収容するデ
フキャリヤ本体3(ケーシング)と、ボルト5によって
その前部に固定されたフロントカバー7(ケーシング)
とに収容されている。デフキャリヤ本体3にはオイルが
封入されている。
【0142】これらのデフキャリヤ本体3とフロントカ
バー7は非磁性材料で作られている。
【0143】カップリング1は、回転ケース9(一側の
ケース状トルク伝達部材)、中空のインナーシャフト1
1(他側の軸状トルク伝達部材)、多板式のメインクラ
ッチ13及びコントロールクラッチ15、カムリング1
7、ボールカム19(カム)、プレッシャプレート2
1、アーマチャ23、リング状の電磁石25、ギャップ
27、シール29、31、充填室33、コントローラな
どから構成されている。
【0144】回転ケース9は、前側のケース35と後側
のロータ37とから構成されている。
【0145】前側ケース35は非磁性材料で作られてお
り、後側ロータ37は磁性材料で作られている。
【0146】前側ケース35と後側ロータ37は、互い
の間に設けられた噛み合い部39によって回転方向に連
結されており、互いの間に設けられた突き当たり部41
と、前側ケース35に取り付けられたスナップリング4
3とによって軸方向に位置決めされている。
【0147】又、前側ケース35と後側ロータ37との
間にはOリング45が配置されており、オイル漏れと、
水分や塵のような異物の侵入とを防止している。
【0148】前側ケース35には動力伝達軸47が一体
に形成されており、この動力伝達軸47はフロントカバ
ー7の前方に設けられた開口から外部に突き出してい
る。動力伝達軸47のセレーション部49にはコンパニ
オンフランジ51が連結され、ナット53で固定されて
いる。コンパニオンフランジ51は継ぎ手を介して、後
輪側のプロペラシャフトに連結されている。
【0149】又、電磁石25のコア55はデフキャリヤ
本体3に支持されている。
【0150】回転ケース9の前側ケース35(動力伝達
軸47)は両側シールのベアリング57を介してフロン
トカバー7に支承されており、後側ロータ37に形成さ
れたハブ59は両側シールのベアリング61とコア55
とを介してデフキャリヤ本体3に支承されている。
【0151】シール29はコンパニオンフランジ51と
フロントカバー7との間に配置されており、シール31
は後側ロータ37(ハブ59)とデフキャリヤ本体3と
の間に配置されている。又、コンパニオンフランジ51
には防護カバー63が固定されており、外部から飛来す
る異物からシール29を保護している。
【0152】充填室33は、シール29、31と各ベア
リング57、61とによってデフキャリヤ本体3及びフ
ロントカバー7と回転ケース9との間に形成されてい
る。
【0153】充填室33には、磁粉をオイルに分散させ
た磁性流体が充填されている。
【0154】又、電磁石25のリード線65はデフキャ
リヤ本体3に取り付けられたグロメット67から外部に
引き出されており、コネクター69によって車載バッテ
リ側のコネクターに接続されている。
【0155】インナーシャフト11は回転ケース9に貫
入しており、その前端部はボールベアリング71を介し
て前側ケース35に支承され、後端部はニードルベアリ
ング73を介して後側ロータ37に支承されている。
【0156】又、インナーシャフト11にはドライブピ
ニオンシャフト75が、互いの間に設けられたセレーシ
ョン部76によって連結されている。このドライブピニ
オンシャフト75はアンギュラコンタクトベアリング7
7、79を介してデフキャリヤ本体3に支承されてお
り、各ベアリング77、79はロックナット81によっ
て隙間調整されている。
【0157】又、ドライブピニオンシャフト75に形成
されたドライブピニオンギヤ83はリヤデフ側のリング
ギヤと噛み合っており、インナーシャフト11をリヤデ
フ側に連結している。
【0158】ドライブピニオンギヤ83とリングギヤと
の噛み合い部や各ベアリング77、79は、デフキャリ
ヤ本体3に封入されたオイルによって潤滑される。
【0159】又、インナーシャフト11と前側ケース3
5及び後側ロータ37との間には断面がX字状のシール
であるXリング85、87が配置されている。回転ケー
ス9は、Oリング45と、これらのXリング85、87
とによって密封状態にされている。
【0160】メインクラッチ13は、回転ケース9とイ
ンナーシャフト11との間に配置されている。
【0161】又、メインクラッチ13と前側ケース35
との間にはプレート89が配置されている。このプレー
ト89はメインクラッチ13の押圧力を受けると共に、
厚さの異なるものと交換することによって、各アウター
プレートとインナープレートの隙間を調整する。
【0162】コントロールクラッチ15は、回転ケース
9の内周とカムリング17の外周との間に配置されてお
り、後述のように、アーマチャ23によって回転ケース
9の後側ロータ37に押圧され、締結される。
【0163】ボールカム19は、カムリング17とプレ
ッシャプレート21との間に配置されており、プレッシ
ャプレート21はインナーシャフト11に軸方向移動自
在に連結されている。
【0164】又、カムリング17と後側ロータ37との
間には、ボールカム19のカム反力を受けるスラストベ
アリング91が配置されている。
【0165】アーマチャ23は、コントロールクラッチ
15とプレッシャプレート21との間に軸方向移動自在
に配置されている。
【0166】回転ケース9の前側ケース35にはオイル
供給用の流路93が設けられており、回転ケース9の内
部にはこの流路93からオイルが注入され、注入後この
オイル供給用流路93は密封ボール95を圧入してシー
ルされている。
【0167】注入されたオイルは、メインクラッチ13
及びコントロールクラッチ15の各プレートの摺動面、
カムリング17とインナーシャフト11との摺動面、ボ
ールカム19、ボールベアリング71、スラストベアリ
ング91などを潤滑し冷却する。
【0168】カップリング1の遠心力はこのオイルの移
動と拡散を促進し、潤滑と冷却の効果を向上させる。
【0169】又、メインクラッチ13のインナープレー
トには開口97が設けられており、プレッシャプレート
21には貫通孔99が設けられている。
【0170】これらの開口97と貫通孔99によってオ
イルの移動が促進され、潤滑と冷却の効果を更に向上さ
せている。
【0171】電磁石25のコア55は後側ロータ37に
設けられている凹部101に貫入しており、ギャップ2
7はコア55とこの凹部101との間に形成されてい
る。
【0172】ギャップ27は上記の充填室33の内部に
あり、充填室33に充填された磁性流体がギャップ27
を満たしているから、エアギャップに較べて磁気抵抗が
大幅に低減されている。
【0173】又、アーマチャ23を強く吸引するため
に、ギャップ27は、後側ロータ37とコア55が干渉
しない範囲で、可能な限り狭く調整されている。
【0174】コントローラは、車速、操舵角、横Gなど
から旋回走行を検知し、あるいは、路面状態などに応じ
て、電磁石25の励磁、励磁電流の制御、励磁停止など
を行う。
【0175】電磁石25が励磁されると、磁気回路に磁
力のループ103が形成されてアーマチャ23が吸引さ
れ、回転ケース9の後側ロータ37との間でコントロー
ルクラッチ15を押圧して締結させる。コントロールク
ラッチ15が締結されると、回転ケース9とインナーシ
ャフト11間のトルクがボールカム19に掛かり、生じ
たカムスラスト力によりプレッシャプレート21を介し
てメインクラッチ13が押圧され、締結する。
【0176】こうしてカップリング1が連結されると、
エンジンの駆動力が後輪に送られて車両は四輪駆動状態
になり、悪路などの走破性や、車体の安定性が向上す
る。
【0177】又、電磁石25の励磁電流を制御すると、
コントロールクラッチ15の滑りに応じてボールカム1
9のカムスラスト力が変化し、メインクラッチ13の連
結力(カップリング1の伝達トルク)が変化して後輪の
駆動力が調整される。
【0178】このようにして、前後輪間の駆動力配分比
を制御すると、例えば、旋回走行中の車両の操縦性や安
定性などが向上する。
【0179】又、電磁石25の励磁を停止すると、コン
トロールクラッチ15が開放されてボールカム19のカ
ムスラスト力が消失し、メインクラッチ13が開放され
てカップリング1の連結が解除され、車両は二輪駆動状
態になる。
【0180】又、回転ケース9の後側ロータ37にはス
テンレス鋼のような非磁性材料のリング105が配置さ
れており、後側ロータ37はリング105の外側と内側
で磁気的に絶縁されている。更に、コントロールクラッ
チ15の各プレートにはそれぞれ多数の開口107が周
方向に形成されている。
【0181】これらのリング105と開口107とによ
って、磁力ループ103の短絡が防止され、電磁石25
の磁力がアーマチャ23に効果的に集中している。
【0182】こうして、カップリング1が構成されてい
る。
【0183】上記のように、カップリング1は、ギャッ
プ27に磁性流体を充填したから、このギャップがエア
ギャップ227である従来例と異なって、ギャップ27
を含む磁気回路の磁気抵抗が大幅に低減されている。
【0184】従って、電磁石25を小型にしても、アー
マチャ23が強く吸引されてカップリング1は充分なト
ルク容量が得られ、後輪側に大きな駆動力を伝達するこ
とができる。
【0185】又、後輪側の駆動力を制御するに当たって
電磁石25の励磁電流を弱くしても、ギャップ27の磁
気抵抗による影響が小さくなるから、後輪の駆動力を正
確に制御することが可能になり、車両の操縦性や安定性
などを大きく向上させることができる。
【0186】又、電磁石25を大型にする必要がなくな
るから、カップリング1の大型化が防止されて車載性が
向上すると共に、電磁石25による消費電力の増加が防
止され、バッテリの負担が軽減され、エンジンの燃費が
向上する。
【0187】又、磁性流体を充填したことにより、ギャ
ップ27は多少広くしても磁気抵抗が大きくならないか
ら、磁気抵抗を小さくするためにギャップ27を特に狭
くする必要がない。
【0188】従って、回転ケース9(後側ロータ37)
の振動や振れ、あるいは、電磁石25(コア55)や回
転ケース9の温度膨張などが生じた場合でも、コア55
と後側ロータ37とが干渉しないように、ギャップ27
を充分に広くすることが可能になる。
【0189】このように、ギャップ27を広くできるか
ら、ギャップ27を形成するコア55と後側ロータ37
(凹部101)の加工が容易になり、加工コストが大き
く低減すると共に、電磁石25、回転ケース9などの組
付けが容易になり、支持構造が簡易になるから、組付け
コストも大きく低減する。
【0190】又、磁性流体が循環して熱がデフキャリヤ
本体3とフロントカバー7から外部に放散されることに
より、カップリング1が冷却される。特に、カップリン
グ1では、磁性流体を回転ケース9の周囲全体に広く充
填したから、大きな冷却効果が得られる。
【0191】又、デフキャリヤ本体3とフロントカバー
7及び回転ケース9の前側ケース35を非磁性材料にし
たことにより、これらが磁性を帯びてギャップ27から
磁性流体を吸引してしまうことがなくなる。
【0192】従って、磁性流体をギャップ27の周囲に
限定するためのシールが不要になり、カップリング1は
それだけ低コストに構成することができる。
【0193】次に、図2によってカップリング109
(第2実施形態)の説明をする。
【0194】このカップリング109は請求項2、4、
5、6、7の特徴を備えている。又、図2の右方はカッ
プリング109を用いた四輪駆動車の前方に相当し、符
号を与えていない部材等は図示されていない。
【0195】カップリング109は、第1実施形態のカ
ップリング1と同様に、四輪駆動車の後輪側動力伝達系
に配置されており、後輪の連結と切り離し、及び、後輪
側に伝達される駆動力の制御を行う。
【0196】以下、カップリング1と同機能部材には同
一の符号を与えて参照しながら、相違点を説明する。
【0197】カップリング109は、リヤデフを収容す
るデフキャリヤ本体3とフロントカバー7とに収容され
ている。
【0198】カップリング109は、回転ケース9、中
空のインナーシャフト11、メインクラッチ13、コン
トロールクラッチ15、カムリング17、ボールカム1
9、プレッシャプレート21、アーマチャ23、電磁石
25、ギャップ27、シール111、113、充填室1
15(空間1)、オイル室117、119(空間2)、
オイル流路(冷却流体の流路)、コントローラなどから
構成されている。
【0199】充填室115は、シール111、113に
よってデフキャリヤ本体3と回転ケース9との間に形成
されている。
【0200】充填室115には磁粉をオイルに分散させ
た磁性流体が充填されており、この充填室115の内部
にあるギャップ27は磁性流体によって磁気抵抗が大幅
に低減されている。
【0201】オイル室117、119は、デフキャリヤ
本体3及びフロントカバー7と回転ケース9との間に形
成されており、充填室115を間に挟んで前後に配置さ
れている。
【0202】各オイル室117、119にはオイル(冷
却流体)が封入されている。
【0203】オイル室117では、オイルが循環して熱
をフロントカバー7の外部に放散することによってカッ
プリング109を冷却する。
【0204】インナーシャフト11には容量増大空間1
21が設けられており、回転ケース9の前側ケース35
には、この容量増大空間121と連通する貫通孔123
が設けられている。
【0205】これらの貫通孔123、容量増大空間12
1、インナーシャフト11とドライブピニオンシャフト
75のセレーション部76、アンギュラコンタクトベア
リング77、79を通してオイル流路が形成されてお
り、オイル室117、119を連通している。
【0206】デフキャリヤ本体3(オイル室119)に
封入された多量のオイルは、このオイル流路を介してオ
イル室117に流出入する。
【0207】こうして、カップリング109が構成され
ている。
【0208】カップリング109は、ギャップ27に磁
性流体を充填したことにより、第1実施形態のカップリ
ング1と同等の効果を得る。
【0209】これに加えて、カップリング109では、
シール111、113によってギャップ27を内包する
充填室115を区画し、磁性流体をこの充填室115に
だけ充填した。
【0210】このように、磁性流体をギャップ27の周
辺にだけ充填したから、例えば、オイル室117と接触
する前側ケース35が磁性を帯びても、その磁力がギャ
ップ27から磁性流体を吸引してしまうことがなくなる
から、前側ケース35を磁性材料にすることが可能にな
り、カップリング109をそれだけ低コストに構成する
ことができる。
【0211】又、オイル室117のオイルによってカッ
プリング109が冷却され、オイル室117は充填室1
15より容積が大きくオイル量が多いから、冷却効果が
高い。
【0212】又、デフキャリヤ本体3(オイル室11
9)に封入された多量のオイルがオイル流路を介してオ
イル室117に流出入するから、冷却効果は更に向上す
る。
【0213】又、充填室115の磁性流体によっても、
カップリング109の冷却効果が期待できる。
【0214】又、カップリング109を貫通する上記の
オイル流路は、低コストで形成することが可能であるか
ら、構造が複雑でコストの高い機構を用いずに、低コス
トのオイル流路によって、上記のような大きな冷却効果
が得られる。
【0215】次に、図3によってカップリング201
(第3実施形態)の説明をする。
【0216】このカップリング201は請求項9の特徴
を備えている。又、図3の左方はカップリング201を
用いた四輪駆動車の前方に相当し、符号を与えていない
部材等は図示されていない。
【0217】カップリング201は、四輪駆動車の後輪
側動力伝達系のプロペラシャフトを分断して配置されて
おり、後輪側の連結と切り離し、及び、後輪側に伝達さ
れる駆動力の制御を行う。
【0218】カップリング201は、デフキャリヤ本体
3とフロントカバー7に収容されている。
【0219】カップリング201は、回転ケース203
(一側のケース状トルク伝達部材)、インナーシャフト
205(他側の軸状トルク伝達部材)、多板クラッチ2
07、プレッシャプレート209、アーマチャ211、
中間のカム部材213、第1のカム215、第2のカム
217、ばね219、電磁石221、コントローラなど
から構成されている。
【0220】回転ケース203は、前側のケース223
と中央の円筒状ケース225と後側のロータ227(ア
ーマチャ211と対向する磁性部材:アーマチャ211
の移動方向に配置された相手側部材)とで構成されてい
る。
【0221】ケース223とケース225はトルク伝達
部材であり、非磁性材料で作られている。又、ロータ2
27は磁気回路の一部を構成し、磁性材料で作られてい
る。
【0222】ケース223とケース225は溶接で一体
にされている。
【0223】ケース225とロータ227は、ねじ部2
29で互いに螺着され、互いの突き当たり部231によ
って軸方向に位置決めされている。又、ケース225と
ロータ227の間にはシールリング233が配置されて
おり、オイル漏れと、水分や塵のような異物の侵入とを
防止している。
【0224】回転ケース203は、ベアリングを介して
デフキャリヤ本体3とフロントカバー7に支承されてい
る。
【0225】回転ケース203にはスタッドボルト23
5とナット237によってトランスファ側のプロペラシ
ャフト239が連結されている。
【0226】インナーシャフト205は後方から回転ケ
ース203の内側に貫入している。
【0227】インナーシャフト205にはリヤデフ側の
プロペラシャフト241がスプライン連結されており、
インナーシャフト205をリヤデフ側に連結している。
【0228】又、回転ケース203の前端部は、ケース
223の部分で両側シールのボールベアリング243に
よってプロペラシャフト241に支承されており、後端
部は、ロータ227の部分でニードルベアリング245
によってインナーシャフト205に支承されている。
【0229】又、インナーシャフト205はプロペラシ
ャフト241に螺着されたナット247により、ボール
ベアリング243のインナーレース249を介してプロ
ペラシャフト241に締め付けられ、固定されている。
【0230】又、回転ケース203のケース223及び
ロータ227とインナーシャフト205との間にはXリ
ング251、253が配置されている。
【0231】プレッシャプレート209は、ケース22
3の内周に設けられたスプライン255に連結されてい
る。このスプライン255には多板クラッチ207のア
ウタープレートが係合している。
【0232】又、プレッシャプレート209の外周とケ
ース225との間にはシールリング257が配置されて
おり、プレッシャプレート209の内周とインナーシャ
フト205との間にはシールリング259が配置されて
いる。
【0233】回転ケース203とインナーシャフト20
5との間には、これらのシールリング257、259
と、Xリング251とによって密封された空間261が
形成されており、この空間261にはオイルが封入され
ている。
【0234】クラッチ207は空間261に収容されて
おり、封入されたオイルによって各プレートの摺動面が
潤滑される。
【0235】又、アーマチャ211は、ケース225の
内周に設けられたスプライン263に連結されている。
【0236】中間カム部材213は、プレッシャプレー
ト209とアーマチャ211との間に、相対回転可能に
配置されている。
【0237】第1のカム215は、アーマチャ211と
中間カム部材213との間に設けられており、図9と図
10の従来例と同様に、中間カム部材213の外周に設
けられたカム溝265と、カム溝265に係合するロー
ラ267とで構成されている。
【0238】カム溝265は複数個が周方向等間隔に設
けられており、図10のカム溝527と同様に、軸方向
に対して傾斜している。又、ローラ267はアーマチャ
211に回転自在に支持されている。
【0239】第2のカム217はボールカムであり、プ
レッシャプレート209と中間カム部材213との間に
設けられている。又、中間カム部材213と回転ケース
203のロータ227との間には、カム217のスラス
ト反力を受けるスラストベアリング268が配置されて
いる。
【0240】ばね219は、アーマチャ211と中間カ
ム部材213の間に配置されており、中間カム部材21
3を第2カム217側に押圧してガタを吸収し、第2カ
ム217のカムスラスト力の立ち上がりと立ち下がりの
レスポンスを向上させている。
【0241】電磁石221のコア269は、回転ケース
203のロータ227に設けられた凹部271に取り付
けられており、ロータ227とコア269との間にはボ
ールベアリング272が配置されている。
【0242】ロータ231には、アーマチャ211と接
触する接触面273が設けられており、アーマチャ21
1とこの接触面273との間にはギャップ275が形成
されている。
【0243】プレッシャプレート209の外周と内周の
各シールリング257、259と、ロータ227の外周
のシールリング233と内周のXリング253とによっ
て、このギャップ275と、第1と第2の各カム21
5、217とを収容する空間276が形成されている。
【0244】この空間276には磁粉を潤滑オイルに分
散させた磁性オイル(磁性流体)が封入されている。
【0245】この磁性オイルはギャップ275に充填さ
れ、その磁気抵抗を大きく低減させていると共に、各カ
ム215、217を冷却し、摺動部を潤滑して動作を安
定させている。
【0246】なお、空間276には、磁性の粉体を充填
してもよい。
【0247】コントローラは、電磁石221の励磁、励
磁電流の制御、励磁停止などを行う。
【0248】電磁石221が励磁されると、ギャップ2
75を含む磁気回路に磁力ループ277が形成され、ア
ーマチャ211を図3の右方に吸引し、アーマチャ21
1と一体のローラ267を同方向に移動させる。
【0249】右方に移動すると、ローラ267は中間カ
ム部材213のカム溝265を押圧して第1のカム21
5を作動させ、中間カム部材213を回転させる。
【0250】中間カム部材213が回転すると、第2の
カム217が作動し、そのカムスラスト力がプレッシャ
プレート209を介してクラッチ207を押圧し、締結
させる。
【0251】このように、電磁石221がアーマチャ2
11を吸引すると第1カム215が作動し、更に、第2
カム217が作動してカップリング201が連結され
る。
【0252】カップリング201が連結されると、後輪
側にエンジンの駆動力が伝達され、車両は四輪駆動状態
になる。
【0253】電磁石221の励磁電流を制御すると、第
1カム215のカム力が変化して第2カム217の押圧
力が変わり、後輪側に伝達される駆動力がクラッチ20
7の滑りによって調整され、旋回走行中の車両の操縦性
や安定性などが向上する。
【0254】電磁石221の励磁を停止すると、ばね2
19の付勢力によってアーマチャ211(ローラ26
7)が元の位置に戻り、第1カム215のカム力が消失
し、更に、第2カム217のカムスラスト力が消失して
クラッチ207が開放され、カップリング201の連結
が解除されて車両は二輪駆動状態になる。
【0255】又、ばね219は、電磁石221の励磁が
停止されている状態で、カム215、217のカム力が
発生しないように中間カム部材213を回転方向の中立
位置に位置決めしている。
【0256】こうして、カップリング201が構成され
ている。
【0257】上記のように、カップリング201は、ギ
ャップ275に、磁性オイルを充填したことにより、ギ
ャップ275を含む磁気回路の磁気抵抗が大幅に低減さ
れている。
【0258】従って、電磁石221を小型にしても、ア
ーマチャ211が充分に強く吸引され、カップリング2
01は充分なトルク容量が得られ、例えば、クラッチ2
07を強固に連結させてカップリング201をロックす
ることができる。
【0259】又、伝達トルクを制御するに当たって電磁
石221の励磁電流を弱くしても、ギャップ275の磁
気抵抗による影響が小さくなるから、伝達トルクを正確
に制御することが可能になる。
【0260】又、電磁石221を大型にする必要がない
から、カップリング201の大型化が防止されて車載性
が向上すると共に、電磁石221による消費電力の増加
が防止されてエンジンの燃費が向上する。
【0261】又、磁性オイルを充填したことにより、ギ
ャップ275は、特に狭くする必要はなく、必要なだけ
広くすることができる。
【0262】従って、ギャップ275の周辺部材の加工
が容易になり、加工コストが低減すると共に、カップリ
ング201の組付けが容易になり、組付けコストも低減
する。
【0263】又、磁性オイルが空間276の内部を循環
することによって熱が外部に放散されるから、アーマチ
ャ211とロータ227の接触面273などが冷却さ
れ、温度上昇が防止され、耐久性が向上する。
【0264】又、この冷却効果により、ロータ227を
介して電磁石221が冷却されるから、電磁石221の
励磁電流とアーマチャ211の吸引力が安定し、伝達ト
ルクの制御特性が更に向上する。
【0265】又、磁性オイルによって第1カム215と
第2カム217が潤滑され、冷却されるから、これらの
動作が安定し、伝達トルクの制御特性が更に向上すると
共に、耐久性が大きく向上する。
【0266】次に、図4と図5によってカップリング3
01(第4実施形態)の説明をする。
【0267】このカップリング301は請求項11、1
3、14の特徴を備えている。又、図4の左方はカップ
リング301を用いた四輪駆動車の前方に相当し、符号
を与えていない部材等は図示されていない。
【0268】カップリング301は、第3実施形態のカ
ップリング201と同様に、四輪駆動車の後輪側動力伝
達系のプロペラシャフトを分断して配置されており、後
輪側の連結と切り離し、及び、後輪側に伝達される駆動
力の制御を行う。
【0269】以下、カップリング201と同機能部材に
は同一の符号を与えて参照しながら、相違点を説明す
る。
【0270】カップリング301は、デフキャリヤ本体
3とフロントカバー7に収容されている。
【0271】図4のように、カップリング301は、回
転ケース303(一側のケース状トルク伝達部材)、イ
ンナーシャフト205、多板クラッチ207、プレッシ
ャプレート305、アーマチャ211、中間カム部材2
13、第1カム215、第2カム217、大径と小径の
ベローズ307、309(磁性を有する弾性体)、電磁
石221、コントローラなどから構成されている。
【0272】回転ケース303は、前側のケース311
と後側のロータ227とで構成されており、トランスフ
ァ側のプロペラシャフト239に連結されている。
【0273】ケース303はトルク伝達部材であり、非
磁性材料で作られている。
【0274】アーマチャ211とプレッシャプレート3
05は、ケース311の内周に設けられたスプライン3
13に連結されている。このスプライン313には多板
クラッチ207のアウタープレートが係合している。
【0275】ベローズ307、309は、ロータ227
の接触面273とアーマチャ211の間のギャップ27
5にそれぞれ配置されている。
【0276】各ベローズ307、309はアーマチャ2
11を介し中間カム部材213を第2カム217の方向
に押圧してガタを吸収し、カムスラスト力の立ち上がり
と立ち下がりのレスポンスを向上させている。
【0277】図5は大径のベローズ307を示してお
り、各ベローズ307、309は、ゴムに磁性の粉体を
練り込んだ磁性材料を成型したものであり、弾性に加え
て磁性を備えている。
【0278】各ベローズ307、309はこの磁性によ
ってギャップ275及び磁気回路の磁気抵抗を大きく低
減させている。
【0279】上記実施形態のカップリング201と同様
に、電磁石221がアーマチャ211を吸引すると、第
1カム215と第2カム217が作動してカップリング
301が連結され、車両は四輪駆動状態になる。
【0280】電磁石221の励磁電流を制御すると、後
輪側に伝達される駆動力がクラッチ207の滑りによっ
て調整され、旋回走行中の車両の操縦性や安定性などが
向上する。
【0281】電磁石221の励磁を停止すると、各ベロ
ーズ307、309の付勢力によってアーマチャ211
(ローラ267)が後退し、第1カム215と第2カム
217のカム力が消失してクラッチ207が開放され、
カップリング301の連結が解除されて車両は二輪駆動
状態になる。
【0282】又、各ベローズ307、309は、電磁石
221の励磁を停止したとき、カム215、217のカ
ム力が発生しないように、アーマチャ211を軸方向の
中立位置に位置決めし、中間カム部材213を回転方向
の中立位置に位置決めしている。
【0283】こうして、カップリング301が構成され
ている。
【0284】上記のように、カップリング301は、磁
性を有するベローズ307、309をギャップ275に
配置して磁気回路の磁気抵抗を大きく低減させたことに
より、磁気抵抗の低減効果に関し、上記実施形態のカッ
プリング201と同等の効果を得ている。
【0285】又、ベローズ307、309の付勢力によ
って、クラッチ207の連結を解除する際のレスポンス
が向上し、クラッチ207の切れが向上するから、カッ
プリング301は引きずりトルクが防止されと共に、引
きずりトルクによるクラッチ207やカム215、21
7の摩耗が防止され、耐久性が大きく向上する。
【0286】又、カップリング301で引きずりトルク
が発生しないから、車両は操縦性や安定性が向上する。
【0287】又、電磁石221の励磁を停止したとき、
各ベローズ307、309がアーマチャ211と中間カ
ム部材213をそれぞれの中立位置に位置決めしている
から、カップリング301の操作性と操作レスポンスが
向上する。
【0288】又、各ベローズ307、309が相対回転
しないアーマチャ211とロータ221との間に配置さ
れているから、相対回転部材間に配置された構成と較べ
て、アーマチャ211と中間カム部材213の位置決め
機能が大幅に安定し、カップリング301の操作性と操
作レスポンスが更に向上する。
【0289】なお、ベローズは、磁性を持つものなら
ば、ゴムに限らず、プラスチック製のベローズでもよ
い。
【0290】又、磁性を有する弾性体は、ベローズに限
らない。
【0291】図6と図7は、磁性を有する弾性体のベロ
ーズ以外の例を示している。
【0292】図6の弾性体351は、磁性を有する可撓
性の容器353に磁性の粉体355を封入したものであ
り、ベローズ307、309と同等の効果を得る。
【0293】又、封入するものは、磁性流体でもよい。
【0294】図7の弾性体361は、例えば、磁性を有
するスポンジ(可撓性材料)を薄型に成型したものであ
り、ベローズ307、309と同等の効果を得る。
【0295】なお、請求項1の発明は、電磁石に吸引さ
れたアーマチャがクラッチを押圧して連結されるカップ
リングであり、ケース状トルク伝達部材と電磁石のギャ
ップに磁性流体を充填したことにより、ギャップ(磁気
回路)の磁気抵抗が大幅に低減され、請求項2のカップ
リング(各実施形態)と同様の効果を得る。
【0296】又、請求項3の発明は、電磁石によってコ
ントロールクラッチを連結させると、差動トルクを受け
てカムが作動し、メインクラッチが連結されて差動機構
の差動回転が制限されるデファレンシャル装置であり、
ケース状トルク伝達部材と電磁石のギャップに磁性流体
を充填したことにより、ギャップ(磁気回路)の磁気抵
抗が大幅に低減され、請求項1、2のカップリングと同
様の効果を得る。
【0297】又、請求項8の発明は、ケーシングの内周
とケース状トルク伝達部材の外周に非磁性のコーティン
グを施したことにより、これらが磁性を帯びてもギャッ
プの磁性流体に影響を与えることがないから、磁性流体
をギャップの周囲に限定するためのシールが不要にな
り、各装置をそれだけ低コストに構成することができ
る。
【0298】又、非磁性のコーティングによって磁気が
遮断されるから、ケーシングやケース状トルク伝達部材
に磁性材料を用いることが可能になり、コストを更に低
減できる。
【0299】又、請求項10の発明は、電磁石がアーマ
チャを吸引すると第1と第2のカムが作動してクラッチ
が連結され、その差動制限力によって差動機構の差動が
制限されるデファレンシャル装置であり、磁性流体をギ
ャップに充填したことによって、請求項9のカップリン
グと同様の効果を得る。
【0300】又、請求項12の発明は、電磁石がアーマ
チャを吸引すると第1と第2のカムが作動してクラッチ
が連結され、その差動制限力によって差動機構の差動が
制限されるデファレンシャル装置であり、磁性を有する
弾性体をギャップに配置したことによって、請求項11
のカップリングと同様の効果を得る。
【0301】又、請求項14の発明のように、磁性を有
する弾性体は、上記実施形態の他に、磁性金属の皿状ば
ねでもよい。
【0302】皿状のばねは、請求項14記載の他の弾性
体と同様に、薄型に形成し易い上に、薄型でも充分な付
勢力が得られる。
【0303】又、本発明の各装置において、クラッチは
多板クラッチに限らず、他の形式の摩擦クラッチでもよ
い。
【0304】
【発明の効果】請求項1のカップリングは、電磁石とケ
ース状トルク伝達部材のギャップに磁性流体を充填して
磁気抵抗を大幅に低減させたことにより、小型の電磁石
でも充分なトルク容量が得られる。
【0305】又、ギャップの磁気抵抗の影響が小さくな
ったから、電磁石の励磁電流を調整して伝達トルクを正
確に制御することができる。
【0306】又、電磁石を大型にする必要がなくなり、
カップリングの大型化と電磁石による消費電力の増加と
が防止される。
【0307】又、磁気抵抗が低減されたことにより、ギ
ャップを特に狭くする必要がなくなるから、ギャップを
形成する電磁石とケース状トルク伝達部材の加工が容易
になり、加工コストが大きく低減すると共に、電磁石、
ケース状トルク伝達部材、周辺部材などの組付けが容易
になり、支持構造が簡易になるから、組付けコストも大
きく低減する。
【0308】又、磁性流体の熱放散作用によってカップ
リングの冷却効果が得られる。
【0309】請求項2のカップリングは、請求項1のカ
ップリングと同等の効果を得る。
【0310】請求項3のデファレンシャル装置は、請求
項1、2のカップリングと同様の効果を得る。
【0311】請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3
のいずれかと同等の効果を得ると共に、磁性流体をギャ
ップの周辺にだけ充填したから、磁性流体と接触しない
周辺部材を磁性材料にすることが可能になり、各装置を
それだけ低コストに構成できる。
【0312】請求項5の発明は、請求項4の構成と同等
の効果を得ると共に、容積の大きい空間2に充填された
冷却流体によって各装置が充分に冷却される。
【0313】請求項6の発明は、請求項4又は請求項5
の構成と同等の効果を得ると共に、空間1を挟んで設け
られた空間2を冷却流体の流路で連通させたことによ
り、各空間2の冷却流体循環量が増加し、冷却効果が大
きく向上する。
【0314】又、ケース状トルク伝達部材と軸状トルク
伝達部材とを貫通する低コストの冷却流体流路によっ
て、構造が複雑でコストの高い機構を用いずに、大きい
冷却効果が得られる。
【0315】請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6
のいずれかと同等の効果を得ると共に、ケーシングとケ
ース状トルク伝達部材を非磁性材料にしたことにより、
磁性流体をギャップの周囲に限定するシールが不要にな
り、各装置がそれだけ低コストに構成される。
【0316】請求項8の発明は、請求項1乃至請求項6
の構成と同等の効果を得ると共に、ケーシングの内周と
ケース状トルク伝達部材の外周に非磁性のコーティング
を施したことにより、磁性流体をギャップの周囲に限定
するシールが不要になり、各装置がそれだけ低コストに
構成される。
【0317】又、ケーシングやケース状トルク伝達部材
に磁性材料を用いることが可能になり、部材に非磁性材
料を用いる構成に較べて、各装置のコストが大幅に低減
される。
【0318】請求項9のカップリングは、ギャップに磁
性流体、又は、磁性粉体を充填して磁気回路の磁気抵抗
を大幅に低減させたから、ギャップの磁気抵抗による影
響が小さくなり、電磁石の励磁電流調整によって伝達ト
ルクを正確に制御することができる。
【0319】又、電磁石を大型にする必要がないから、
カップリングの大型化と電磁石による消費電力の増加と
が防止される。
【0320】又、磁気抵抗が大幅に低減されたことによ
り、ギャップを必要なだけ広くできるから、ギャップ周
辺の加工が容易で、加工コストが低減し、カップリング
の組付けも容易で、組付けコストが低減する。
【0321】又、磁性流体の循環によって、ギャップ周
辺が冷却され、温度上昇が防止されて耐久性が向上す
る。
【0322】又、この冷却効果によって電磁石も冷却さ
れ、伝達トルクの制御特性が向上する。
【0323】又、磁性流体に磁性オイルを用いれば、冷
却効果に加えて潤滑効果も得られる。
【0324】又、この磁性オイルを、ギャップに近接配
置されている第1カムと第2カムの周囲に充填すれば、
これらが潤滑されて動作が安定し、伝達トルクの制御特
性が更に向上すると共に、各カムが潤滑され冷却され
て、耐久性が大きく向上する。
【0325】又、充分なトルク容量が得られるから、多
板クラッチを用いた場合、クラッチ板の枚数を減らすこ
とが可能になり、カップリングは、それだけ軽量でコン
パクトになり、車載性が向上する。
【0326】請求項10のデファレンシャル装置は、磁
性流体、又は、磁性粉体をギャップに充填したことによ
り、請求項9のカップリングと同様の効果を得る。
【0327】請求項11のカップリングは、磁性を有す
る弾性体をギャップに配置したことにより、磁気抵抗の
低減効果に関して、請求項9のカップリングと同等の効
果を得る。
【0328】請求項12のデファレンシャル装置は、磁
性を有する弾性体をギャップに配置したことにより、磁
気抵抗の低減効果に関して、請求項10のデファレンシ
ャル装置と同等の効果を得る。
【0329】請求項13の発明は、請求項11又は請求
項12のいずれかと同等の効果を得ると共に、磁性を有
する弾性体によって連結解除時のレスポンスが向上し、
引きずりトルクが防止されてクラッチやカムなどの摩耗
が防止され、耐久性が大きく向上する。
【0330】又、引きずりトルクの防止によって、車両
の操縦性や安定性が向上する。
【0331】又、弾性体によるカム部材の位置決め機能
によって、カップリングとデファレンシャル装置の動作
が安定し、操作性が向上する。
【0332】又、この弾性体を、相対回転しないアーマ
チャと相手側部材との間に配置したことにより、その位
置決め機能が安定し、カップリングとデファレンシャル
装置の操作性が更に向上する。
【0333】又、磁性を有する弾性体を用いたことによ
り、専用のリターンスプリングが不要になり、部品点数
が低減され、低コストになる。
【0334】又、磁性を有する弾性体を、アーマチャと
相手側部材との間に配置した構成は、構造が簡単で、関
連部材のレイアウトが容易である。
【0335】請求項14の発明は、薄型に形成し易く、
薄型で充分な付勢力が得られる磁性弾性体を用いたこと
により、請求項13の構成と同等の効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のカップリングを示す断面図であ
る。
【図2】第2実施形態のカップリングを示す断面図であ
る。
【図3】第3実施形態のカップリングを示す断面図であ
る。
【図4】第4実施形態のカップリングを示す断面図であ
る。
【図5】第4実施形態に用いられた磁性を有する弾性体
を示す図面である。
【図6】磁性を有する弾性体の他の例を示す断面図であ
る。
【図7】磁性を有する弾性体の他の例を示す断面図であ
る。
【図8】第1の従来例を示す断面図である。
【図9】第2の従来例を示す断面図である。
【図10】第2の従来例に用いられたカムを示す図面で
ある。
【符号の説明】
1、109 カップリング 3 デフキャリヤ本体(ケーシング) 7 フロントカバー(ケーシング) 9 回転ケース(一側のケース状トルク伝達部材) 11 インナーシャフト(他側の軸状トルク伝達部材) 13 メインクラッチ 15 コントロールクラッチ 19 ボールカム(カム) 23 アーマチャ 25 電磁石 27 ギャップ 115 充填室(空間1) 117、119 オイル室(空間2) 121 容量増大空間(冷却流体の流路) 123 貫通孔(冷却流体の流路) 201、301 カップリング 203、303 回転ケース(一側のケース状トルク伝
達部材) 205 インナーシャフト(他側の軸状トルク伝達部
材) 215 第1のカム 217 第2のカム 221 電磁石 227 回転ケースのロータ(アーマチャと対向する磁
性部材:アーマチャの移動方向に配置された相手側部
材) 275 ギャップ 307、309 ベローズ(磁性を有する弾性体) 351 磁性を有する弾性体 353 磁性を有する可撓性の容器 355 磁性を有する粉体 361 磁性を有する弾性体

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一側のケース状トルク伝達部材と、この
    ケース状トルク伝達部材に貫入した他側の軸状トルク伝
    達部材と、これら両トルク伝達部材の間に配置されたク
    ラッチと、ケース状トルク伝達部材の外部に所定のギャ
    ップを介して配置された電磁石と、電磁石の磁力によっ
    て移動操作されクラッチを押圧して連結させるアーマチ
    ャと、これらを収容するケーシングとを備え、少なくと
    も前記ギャップに磁性流体を充填したことを特徴とする
    カップリング。
  2. 【請求項2】 一側のケース状トルク伝達部材と、この
    ケース状トルク伝達部材に貫入した他側の軸状トルク伝
    達部材と、これら両トルク伝達部材の間に配置されたメ
    インクラッチ及びコントロールクラッチと、ケース状ト
    ルク伝達部材の外部に所定のギャップを介して配置され
    た電磁石と、電磁石の磁力によって移動操作されクラッ
    チを押圧して連結させるアーマチャと、コントロールク
    ラッチが連結されると両トルク伝達部材間の伝達トルク
    を受けて作動しメインクラッチを押圧するカムと、これ
    らを収容するケーシングとを備え、少なくとも前記ギャ
    ップに磁性流体を充填したことを特徴とするカップリン
    グ。
  3. 【請求項3】 エンジンの駆動力によって回転するケー
    ス状のトルク伝達部材と、このケース状トルク伝達部材
    の回転を一対の出力側トルク伝達部材を介して車輪側に
    配分する差動機構と、トルク伝達部材の間に配置された
    メインクラッチ及びコントロールクラッチと、ケース状
    トルク伝達部材の外部に所定のギャップを介して配置さ
    れた電磁石と、電磁石の磁力によって移動操作されクラ
    ッチを押圧して連結させるアーマチャと、コントロール
    クラッチが連結されると差動トルクを受けて作動しメイ
    ンクラッチを押圧するカムと、これらを収容するケーシ
    ングとを備え、少なくとも前記ギャップに磁性流体を充
    填したことを特徴とするデファレンシャル装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に
    記載の発明であって、ケーシングとケース状トルク伝達
    部材との間に形成された空間を、一対のシールによっ
    て、ギャップを内包する空間1と、ケース状トルク伝達
    部材の他の部分を内包する空間2に区画し、磁性流体を
    空間1に充填したことを特徴とするカップリング、又
    は、デファレンシャル装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の発明であって、空間2
    に、冷却流体を充填したことを特徴とするカップリン
    グ、又は、デファレンシャル装置。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5記載の発明であっ
    て、空間2が空間1を間に挟んで分割形成されていると
    共に、各空間2に冷却流体が充填されており、ケース状
    トルク伝達部材と軸状トルク伝達部材とを貫通して両方
    の空間2の間で冷却流体を流通させる流路が形成されて
    いることを特徴とするカップリング、又は、デファレン
    シャル装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に
    記載の発明であって、ケーシングとケース状トルク伝達
    部材が、非磁性材料で作られていることを特徴とするカ
    ップリング、又は、デファレンシャル装置。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に
    記載の発明であって、ケーシングの内周とケース状トル
    ク伝達部材の外周に、非磁性のコーティングが施されて
    いることを特徴とするカップリング、又は、デファレン
    シャル装置。
  9. 【請求項9】 一側のケース状トルク伝達部材と、この
    ケース状トルク伝達部材に貫入した他側の軸状トルク伝
    達部材と、これら両トルク伝達部材の間に配置されたク
    ラッチと、このクラッチを押圧し連結させる第2のカム
    と、アーマチャ及びこれと対向する磁性部材との間に形
    成されたギャップを含む磁気回路と、この磁気回路を介
    してアーマチャを移動させる電磁石と、アーマチャの移
    動力を受けて作動し、そのカム力によって第2のカムを
    作動させる第1のカムとを備え、前記ギャップに磁性流
    体、又は、磁性粉体を充填したことを特徴とするカップ
    リング。
  10. 【請求項10】 エンジンの駆動力によって回転するケ
    ース状のトルク伝達部材と、このケース状トルク伝達部
    材の回転を一対の出力側トルク伝達部材を介して車輪側
    に配分する差動機構と、トルク伝達部材の間に配置され
    たクラッチと、このクラッチを押圧し連結させる第2の
    カムと、アーマチャ及びこれと対向する磁性部材との間
    に形成されたギャップを含む磁気回路と、この磁気回路
    を介してアーマチャを移動させる電磁石と、アーマチャ
    の移動力を受けて作動し、そのカム力によって第2のカ
    ムを作動させる第1のカムとを備え、前記ギャップに磁
    性流体、又は、磁性粉体を充填したことを特徴とするデ
    ファレンシャル装置。
  11. 【請求項11】 一側のケース状トルク伝達部材と、こ
    のケース状トルク伝達部材に貫入した他側の軸状トルク
    伝達部材と、これら両トルク伝達部材の間に配置された
    クラッチと、このクラッチを押圧し連結させる第2のカ
    ムと、アーマチャ及びこれと対向する磁性部材との間に
    形成されたギャップを含む磁気回路と、この磁気回路を
    介してアーマチャを移動させる電磁石と、アーマチャの
    移動力を受けて作動し、そのカム力によって第2のカム
    を作動させる第1のカムとを備え、前記磁気回路中に磁
    性を有する弾性体を配置したことを特徴とするカップリ
    ング。
  12. 【請求項12】 エンジンの駆動力によって回転するケ
    ース状のトルク伝達部材と、このケース状トルク伝達部
    材の回転を一対の出力側トルク伝達部材を介して車輪側
    に配分する差動機構と、トルク伝達部材の間に配置され
    たクラッチと、このクラッチを押圧し連結させる第2の
    カムと、アーマチャ及びこれと対向する磁性部材との間
    に形成されたギャップを含む磁気回路と、この磁気回路
    を介してアーマチャを移動させる電磁石と、アーマチャ
    の移動力を受けて作動し、そのカム力によって第2のカ
    ムを作動させる第1のカムとを備え、前記磁気回路中に
    磁性を有する弾性体を配置したことを特徴とするデファ
    レンシャル装置。
  13. 【請求項13】 請求項11又は請求項12記載の発明
    であって、磁性を有する弾性体を、アーマチャの移動方
    向に配置された相手側部材とアーマチャとの間に配置
    し、電磁石の励磁が停止されると、この弾性体によって
    アーマチャが元の位置に戻ることを特徴とするカップリ
    ング、又は、デファレンシャル装置。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の発明であって、磁性
    を有する弾性体が、磁性を有するゴム製又はプラスチッ
    ク製のベローズ、あるいは、磁性流体又は磁性粉体を封
    入した磁性を有する可撓性の容器、あるいは、磁性を有
    する可撓性材料、あるいは、磁性金属の皿状ばねである
    ことを特徴とするカップリング、又は、デファレンシャ
    ル装置。
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