JP3624122B2 - 密閉式多板クラッチ装置とこれを用いたカップリング及びデファレンシャル装置 - Google Patents
密閉式多板クラッチ装置とこれを用いたカップリング及びデファレンシャル装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、密閉式の多板クラッチ装置と、これを用いたカップリング及びデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の密閉式の多板クラッチ装置と、これを用いたカップリング及びデファレンシャル装置としては、例えば、「ガイア新型車解説書 0−22頁、トヨタ自動車株式会社 編集、同サ−ビス部 発行、1998年 5月 29日」に図9のようなカップリング201が記載されている。
【0003】
このカップリング201は、4輪駆動車の後輪側動力伝達系に配置されており、回転ケ−ス203、ハブ205、多板式のメインクラッチ207及びパイロットクラッチ209、ア−マチャ211、電磁石213、カムリング215、ボ−ルカム217、押圧部材219、コントロ−ラなどから構成されている。
【0004】
カップリング201は、デフキャリヤ221に収容されており、電磁石213のコア223はデフキャリヤ221の内周に支持されている。
【0005】
回転ケ−ス203は分割構造であり、前部をベアリング225によって、また、後部を電磁石213のコア223とベアリング227によって、それぞれデフキャリヤ221に支承されている。
【0006】
回転ケ−ス203はプロペラシャフトを介してトランスファからトランスミッション側に連結されている。また、ハブ205にはベアリング229,231によってデフキャリヤ221に支承されているドライブピニオンシャフト233がスプライン連結されており、これと一体に形成されたドライブピニオンギヤ235はリヤデフ(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)側のリングギヤと噛み合っている。
【0007】
メインクラッチ207は回転ケ−ス203とハブ205との間に配置されており、パイロットクラッチ209は回転ケ−ス203とカムリング215との間に配置されている。
【0008】
また、ボ−ルカム217はカムリング215と押圧部材219との間に配置されており、押圧部材219はハブ205にスプライン連結されている。
【0009】
コントロ−ラは、電磁石213の励磁、励磁電流の制御、励磁停止などを行う。
【0010】
電磁石213が励磁されると、磁気回路に磁気ル−プ237が形成されてア−マチャ211が吸引され、パイロットクラッチ209が押圧されて締結される。パイロットクラッチ209が締結されると、回転ケ−ス203とハブ205の間のトルクがボ−ルカム217に掛かり、生じたカムスラスト力により押圧部材219を介してメインクラッチ207が押圧され締結される。
【0011】
こうしてカップリング201が連結されると、エンジンの駆動力が後輪に送られて車両は4輪駆動状態になり、悪路の走破性や、車体の安定性が向上する。
【0012】
前記電磁石213の励磁電流を制御すると、パイロットクラッチ209の滑りによってボ−ルカム217のカムスラスト力が変化し、メインクラッチ207の連結力が変化して後輪の駆動力が調整される。
【0013】
一方、電磁石213の励磁を停止すると、パイロットクラッチ209が開放されてボ−ルカム217のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ207が開放されてカップリング201の連結が解除され、車両は2輪駆動状態になる。
【0014】
回転ケ−ス203にはオイルが充填されており、メインクラッチ207、パイロットクラッチ209、ボ−ルカム217などを潤滑している。また、デフキャリヤ221にはベアリング225,227,229,231などを潤滑するオイルが封入されている。
【0015】
回転ケ−ス203のオイルはデフキャリヤ221のオイルとは種類が異なっている。従って、回転ケ−ス203は、互いのオイルが混ざり合わないように密閉されていると共に、オイル漏れを防止するためにシ−ルが用いられている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の構造によれば、回転ケ−ス203のような密閉ケ−シングでは、オイルの充填率が高過ぎると、温度の上昇に伴って大きな内圧が発生し、シ−ルが破損し、オイル漏れが発生する恐れがある。
【0017】
また、オイルの充填率が高過ぎると、封入される空気量がそれだけ少なくなるから、内部で回転する各部材に掛かるオイルの回転抵抗が急激に大きくなり、カップリング201のトルク伝達効率とエンジンの燃費が大きく低下する。
【0018】
一方、オイルの充填率が低過ぎると、メインクラッチ207、パイロットクラッチ209、ボ−ルカム217などが潤滑不足になり、摩耗による耐久性の低下、焼き付き、オイルの温度上昇と劣化などが生じる。
【0019】
しかも、オイルの量が少ないと、摩擦によって生じた金属粉などのコンタミネ−ション(汚染物質)の相対的な割合が大きくなり、オイルが劣化し易くなるから、耐久性低下、焼き付きなどがさらに促進される。
【0020】
その上、潤滑不足の状態では、メインクラッチ207とパイロットクラッチ209のクラッチプレ−トに、ペ−パ−プレ−トやカ−ボンプレ−トなどを使用できなくなり、潤滑不足に対する耐性の高いスティ−ルプレ−トを用いなければならない。こうして、クラッチプレ−トの種類や材質に対する制約が大きくなり、それだけコスト高になる。
【0021】
そこで、本発明は、充分な潤滑機能を得ながら、内圧の過大な上昇を防止する密閉式多板クラッチ装置と、これを用いたカップリング及びデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1の密閉式多板クラッチ装置は、トルク伝達部材間の連結を断続する多板クラッチと、この多板クラッチを収容し、内部にオイルが充填された密閉型ケ−シングと、多板クラッチを断続操作する操作手段とを備え、オイル充填率の下限が、密閉型ケ−シングの内部を潤滑するために必要な最低充填率(%)であり、同上限が、85%であることを特徴としている。
【0023】
このように、請求項1の密閉式多板クラッチ装置では、オイルの充填率範囲の上限値を85%にしてある。
【0024】
この上限値85%は、下記のような実験によって本出願人が得た図2のデ−タと、このデ−タに基づいて得た図7のグラフによって決定した。
【0025】
このグラフが示すように、密閉ケ−シングの内圧は温度が上昇する程大きくなり、さらに、オイルの充填率が85%を超えると、200℃の条件では内圧が急激に立ち上がっている。また、150℃では、充填率が85%を超えないと内圧が急上昇することはなく、100℃では、内圧が急上昇するまでに充填率に大きな余裕があることが分かる。
【0026】
一般的には、オイルは温度が上昇すると劣化が進み、潤滑性能が低下するので、100℃以下の環境条件で用いられている。
【0027】
そこで、このように、オイルが実際には100℃以下で用いられることを考慮すると、オイル充填率の上限を85%に設定すれば、密閉式の多板クラッチ装置でも、温度や内圧の上昇に対してシ−ルや密封型分割ケ−シングの連結部が充分に保護される。
【0028】
従って、稼働中に温度が上昇しオイルが膨張しても、従来例と異なって、内圧が低く抑えられ、シ−ル及び連結部の破損や、オイル漏れなどが発生することはなく、正常な機能が保つことができる。
【0029】
また、多板クラッチなどの部材を内部に組み付けるために、上記のように、密閉ケ−シングは幾つかのケ−シング部材を組み合わせた分割構造にする必要があり、内圧が緩和されたことによってこの連結部に掛かる負担が大幅に軽減されるから、連結部の構造を簡素にすることが可能になり、それだけ軽量で低コストに構成できる。
【0030】
しかも、オイルの充填率を85%に抑えたことによって、内部の回転部材に掛かるオイルの回転抵抗もそれだけ低く抑えられるから、密閉式多板クラッチ装置のトルク伝達効率が高く保たれ、車載装置の場合は、エンジンの燃費が向上する。
【0031】
一方、オイル充填率の下限値は、密閉ケ−シングの内部を充分に潤滑するために必要な最低充填率(%)に設定されている。
【0032】
この最低充填率(例えば、70%)は、当業者による従来の経験から明らかであり、オイルを最低充填率まで充填すれば、多板クラッチが充分に潤滑されるから、耐久性低下、焼き付き、オイルの温度上昇と劣化などが防止される。
【0033】
このときのオイル量は、金属粉のようなコンタミネ−ションの相対的な割合を小さくするためには充分なオイル量であり、オイルの劣化がそれだけ緩和され、耐久性がさらに向上する。
【0034】
しかも、潤滑不足が生じないから、従来例と異なって、多板クラッチのクラッチプレ−トの種類と材質などに対する制約がなくなり、ペ−パ−プレ−ト、カ−ボンプレ−ト、スティ−ルプレ−トなどからクラッチプレ−トを自由に選択することが可能になり、それだけ低コストに構成できる。
【0035】
請求項2の発明は、請求項1に記載の密閉式多板クラッチ装置であって、操作手段が、電磁石を用いて構成されていることを特徴とし、請求項1と同等の効果を得る。
【0036】
これに加えて、操作手段に熱を発生する電磁石を用いたことにより、密閉型ケ−シング内部のオイル温度がそれだけ上昇するが、本発明の密閉式多板クラッチ装置では、上記のように、内圧に大きな余裕が与えられているから、温度が上昇してもシ−ルと密閉ケ−シングの連結部が充分に保護され、オイル漏れが防止されて正常な機構が保つことができる。
【0037】
請求項3のカップリングは、ケ−ス状トルク伝達部材と、このケ−ス状トルク伝達部材の内側で相対回転自在に配置された軸状トルク伝達部材と、これら両トルク伝達部材の間に配置されたメインクラッチと、操作手段によって断続操作されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチが連結されると両トルク伝達部材の間の伝達トルクを受けて作動しメインクラッチを連結させるカムと、請求項1または請求項2に記載の密閉式多板クラッチ装置とを備え、その密閉型ケ−シングが、ケ−ス状トルク伝達部材であり、多板クラッチが、パイロットクラッチ及びパイロットクラッチであることを特徴としている。
【0038】
パイロットクラッチが連結されると、両トルク伝達部材に掛かる伝達トルクを受けてカムが作動し、生じたスラスト力によってメインクラッチ(カップリング)が連結される。
【0039】
例えば、このカップリングを4輪駆動車のトランスファからリヤデフまでの後輪側動力伝達系に配置した場合、カップリングが連結されると、エンジンの駆動力が後輪に送られて車両は4輪駆動状態になり、悪路の走破性や、車体の安定性が向上する。
【0040】
また、操作手段によってパイロットクラッチの滑りを制御すると、カムのスラスト力が変化し、メインクラッチの連結力(カップリングの伝達トルク:後輪に伝達される駆動力)を調整することが可能であり、このようにして、前後輪間の駆動力配分比を制御すると、旋回走行中の車両の操縦性や安定性などが向上する。
【0041】
前記パイロットクラッチを開放すると、カムのスラスト力が消失してメインクラッチが開放され、カップリングの連結が解除されて車両は2輪駆動状態になる。
【0042】
これに加えて、請求項3のカップリングは、上記のように、請求項1または請求項2の密閉式多板クラッチ装置を用いたことにより、温度が上昇してもシ−ルと密閉ケ−シングの連結部などが保護され、オイル漏れが防止されて正常な機構が保つことができる。
【0043】
前記操作手段に電磁石を用いた構成は、パイロットクラッチの滑りを制御する際に、カップリングの伝達トルクを精密に制御することが可能であり、上記のように、前後輪間の駆動力配分比を精密に制御し、旋回走行中の車両の操縦性や安定性などを大幅に向上させることができる。
【0044】
しかも、電磁石を用いれば、例えば、圧力式のアクチュエ−タを用いた構成と較べて、コンパクトに構成できるから、車両の動力伝達系に用いた場合やデファレンシャル装置の場合は、車載性が向上する。
【0045】
このように、電磁石には利点が多いから、カップリングは、操作手段に電磁石を用いて構成されることが一般的であるが、請求項2で説明したように、電磁石の熱を受けてもシ−ルなどを保護しオイル漏れを防止する本発明の効果は、このようなカップリングにおいて特に大きい。
【0046】
請求項4のデファレンシャル装置は、エンジンの駆動力によって回転するケ−ス状トルク伝達部材と、このケ−ス状トルク伝達部材の回転を一対の軸状トルク伝達部材を介して車輪側に配分する差動機構と、ケ−ス状トルク伝達部材と一方の軸状トルク伝達部材との間で差動機構の差動を制限するメインクラッチと、操作手段によって断続操作されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチが連結されると両トルク伝達部材の間の伝達トルクを受けて作動しメインクラッチを連結させるカムと、請求項1または請求項2に記載の密閉式多板クラッチ装置とを備え、その密閉型ケ−シングが、ケ−ス状トルク伝達部材であり、多板クラッチが、パイロットクラッチ及びパイロットクラッチであることを特徴としている。
【0047】
前記パイロットクラッチを連結させると、ケ−ス状トルク伝達部材と軸状トルク伝達部材間の差動トルクを受けてカムが作動し、メインクラッチが連結され、その摩擦抵抗によって差動機構の差動が制限される。
【0048】
操作手段によってパイロットクラッチの滑りを制御すると、メインクラッチの摩擦抵抗が変化して、差動制限力が調整される。
【0049】
一方、このメインクラッチを開放すると、差動が許容される。
【0050】
これに加えて、請求項4のデファレンシャル装置では、請求項3と同様に、請求項1または請求項2の密閉式多板クラッチ装置を用いたことにより、温度が上昇してもシ−ルと密閉ケ−シングの連結部などが保護され、オイル漏れが防止されて正常な機構が保つことができる。
【0051】
また、このようなデファレンシャル装置も、請求項3と同様に、操作手段に電磁石を用いて構成されることが一般的であり、電磁石の熱を受けてもシ−ルなどを保護しオイル漏れを防止する本発明の効果は、このデファレンシャル装置においても極めて大きい。
【0052】
【発明の実施の形態】
図1〜図8によってカップリング1(本発明の第1実施形態)の説明をする。
【0053】
このカップリング1は請求項1,2,3の特徴を備えており、図1はカップリング1を示している。図2〜6
はカップリング1のオイル充填率と温度などを変えたときの内圧変化を示すデ−タであり、図7はこのデ−タに基づいて得たグラフである。図8はカップリング1を用いた4輪駆動車の動力系を示している。左右の方向はこの車両の左右の方向であり、図1の左方はこの車両の前方に相当する。なお、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0054】
図8のように、この動力系は、横置きのエンジン101とトランスミッション103、トランスファ105、フロントデフ107、前車軸109,111、左右の前輪113,115、後輪側のプロペラシャフト117、カップリング1、リヤデフ119、後車軸121,123、左右の後輪125,127などから構成されている。
【0055】
このように、カップリング1は後輪側の動力伝達系に配置されており、下記のように、後輪125,127の連結と切り離し及び伝達トルクの制御を行う。
【0056】
エンジン101の駆動力は、トランスミッション103の出力ギヤ129からリングギヤ131を介してフロントデフ107のデフケ−ス133に伝達され、フロントデフ107から前車軸109,111を介して左右の前輪113,115に配分され、さらに、デフケ−ス133とトランスファ105とプロペラシャフト117とを介してカップリング1に伝達される。
【0057】
カップリング1が連結されると、エンジン101の駆動力は、リヤデフ119から後車軸121,123を介して左右の後輪125,127に配分され、車両は4輪駆動状態になる。
【0058】
一方、前記カップリング1の連結が解除されると、リヤデフ119以下の後輪側が切り離されて車両は2輪駆動状態になる。
【0059】
図8のように、リヤデフ119はデフキャリヤ135に収容されている。このデフキャリヤ135はケ−シング本体137とフロントケ−シング139とをボルト141で連結して構成されている。
【0060】
図1と図8のように、カップリング1はこのフロントケ−シング139側に収容されている。
【0061】
カップリング1は、回転ケ−ス3(密閉型ケ−シング:ケ−ス状トルク伝達部材)、インナ−シャフト5(軸状トルク伝達部材)、多板式のメインクラッチ7及びパイロットクラッチ9、カムリング11、ボ−ルカム13、プレッシャプレ−ト15、ア−マチャ17、リング状の電磁石19(操作手段)、コントロ−ラなどから構成されている。
【0062】
図1のように、回転ケ−ス3は中空状のケ−ス21とロ−タ23とから構成されており、ケ−ス21はロ−タ23のねじ部25に螺着され、互いの間に設けられた突き当たり部27によって位置決めされている。さらに、ケ−ス21とロ−タ23はねじ部25に螺着されたナット29によるダブルナット機能によって固定されている。
【0063】
これらケ−ス21とロ−タ23との間にはOリング31が配置されている。
【0064】
ケ−ス21のボルト孔33には、連結軸143のフランジ145(いずれも図8)がボルトで固定されている。この連結軸143には、フロントカバ−139の外部で、コンパニオンフランジ147がスプライン連結されている。
【0065】
図8のように、このコンパニオンフランジ147は継ぎ手149側のフランジ151に連結されており、回転ケ−ス3をプロペラシャフト117側に連結している。
【0066】
電磁石19のコア35は、支持部材37によってデフキャリヤ135に固定されている。
【0067】
回転ケ−ス3のケ−ス21は前部を両側シ−ルのベアリングによってデフキャリヤ135に支承されており、ロ−タ23は両側シ−ルのベアリング39とコア35と支持部材37とを介してデフキャリヤ135に支承されている。
【0068】
インナ−シャフト5は後方から回転ケ−ス3に貫入している。インナ−シャフト5の前端部はボ−ルベアリング41を介してケ−ス21に支承されており、後端部はニ−ドルベアリング43を介してロ−タ23に支承されている。インナ−シャフト5とロ−タ23との間には、断面がX字状のシ−ルであるXリング45が配置され、オイル漏れを防止している。
【0069】
前記インナ−シャフト5のスプライン部47には、ドライブピニオンシャフト153が連結されている。図8のように、ドライブピニオンシャフト153にはドライブピニオンギヤ155が形成されており、ドライブピニオンギヤ155はリヤデフ119側のリングギヤ157と噛み合ってリヤデフ119を回転駆動する。
【0070】
デフキャリヤ135にはリヤデフ119側の潤滑用オイルが封入されており、ドライブピニオンギヤ155とリングギヤ157との噛み合い部及びこれらの支持ベアリングや各部材の摺動部などを潤滑している。
【0071】
回転ケ−ス3は、上記のように、ケ−ス21とロ−タ23による2分割構造になっており、さらに、ケ−ス21とロ−タ23間のOリング31と、インナ−シャフト5とロ−タ23間のXリング45とによって密閉型ケ−シングにされている。
【0072】
また、回転ケ−ス3の内部にはオイル供給用の流路49からオイルが充填され、充填後この流路49は密閉ボ−ル51を圧入してシ−ルされる。
【0073】
このオイルの充填率は、密閉型回転ケ−ス3の全内容量に対して70%から85%の範囲から選択されており、残りの部分は空気で占められている。
【0074】
このオイルにはデフキャリヤ135のオイルと異なった専用のオイルが用いられており、回転ケ−ス3を密閉型にしたことによって、このオイルとデフキャリヤ135のオイルとの混入は生じない。
【0075】
メインクラッチ7は、回転ケ−ス3の内周とインナ−シャフト5の外周との間に配置されている。また、メインクラッチ7と回転ケ−ス3との間にはプレ−ト53が配置されており、メインクラッチ7の押圧力を受けると共に、厚さの異なるものと交換することによって、各クラッチ板の隙間を調整する。
【0076】
パイロットクラッチ9は、回転ケ−ス3の内周とカムリング11との間に配置されており、後述のように、ア−マチャ17によって回転ケ−ス3のロ−タ23に押圧されて締結される。
【0077】
ボ−ルカム13は、カムリング11とプレッシャプレ−ト15との間に配置されている。このプレッシャプレ−ト15は、インナ−シャフト5の外周に軸方向移動自在にスプライン連結されている。
【0078】
前記カムリング11とロ−タ23との間には、ボ−ルカム13のカム反力を受けるスラストベアリング55及びワッシャ57が配置されている。
【0079】
ア−マチャ17は円板状であり、パイロットクラッチ9とプレッシャプレ−ト15との間に配置されている。ア−マチャ17はケ−ス21の内周に軸方向移動自在にスプライン連結されていると共に、スナップリングなどによって位置を規制することにより、プレッシャプレ−ト15と接触しないように、かつ、パイロットクラッチ9から離れないようにされている。
【0080】
電磁石19のコア35は、上記のように、デフキャリヤ135側に固定されていると共に、コイル59を収容する部分は、ロ−タ23に設けられている凹部61に貫入して、エアギャップ63を形成している。
【0081】
また、電磁石19のリ−ド線はグロメットを介してデフキャリヤ135から外部に引き出され、車載のバッテリに接続されている。
【0082】
コントロ−ラは、車速、操舵角、横Gなどから旋回走行を検知し、あるいは、路面状態などに応じて、電磁石19の励磁、励磁電流の制御、励磁停止などを行う。
【0083】
電磁石19が励磁されると、磁力のル−プ65が形成されてア−マチャ17が吸引され、回転ケ−ス3のロ−タ23との間でパイロットクラッチ9を押圧して締結させる。パイロットクラッチ9が締結されると、回転ケ−ス3とインナ−シャフト5の間のトルクがボ−ルカム13に掛かり、生じたカムスラスト力がプレッシャプレ−ト15を介してメインクラッチ7を押圧し、締結させる。
【0084】
こうしてカップリング1が連結されると、エンジン101の駆動力が後輪125,127に送られて車両は4輪駆動状態になり、悪路などの走破性や、車体の安定性が向上する。
【0085】
この電磁石19の励磁電流を制御すると、パイロットクラッチ9の滑りによってボ−ルカム13のカムスラスト力が変化し、メインクラッチ7の連結力が変化して後輪125,127の駆動力が調整される。
【0086】
このようにして、前後輪間の駆動力配分比を制御すると、例えば、旋回走行中の車両の操縦性や安定性などが向上する。
【0087】
一方、電磁石19の励磁を停止すると、パイロットクラッチ9が開放されてボ−ルカム13のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ7が開放されてカップリング1の連結が解除され、車両は2輪駆動状態になる。
【0088】
前記パイロットクラッチ9の各クラッチ板には開口67とブリッジ部が互いに周方向に形成されており、磁力ル−プ65からの磁気漏れを防止し、電磁石19の磁力をア−マチャ17に集中させている。
【0089】
インナ−シャフト5には、区画壁69によって回転ケ−ス3の内容量を増大する空間部71が形成されている。この容量増大空間部71には、回転ケ−ス3の他の部分と同様に、充填オイルと空気が収容されている。
【0090】
該インナ−シャフト5には、空間部71とボ−ルベアリング41とを連通する開口73と、空間部71とメインクラッチ7とを連通する径方向の油路75と、空間部71とスラストベアリング55及びワッシャ57とを連通する径方向の油路77が設けられている。
【0091】
空間部71のオイルは、カップリング1の遠心力によって開口73、油路75,77からそれぞれボ−ルベアリング41、メインクラッチ7、スラストベアリング55及びワッシャ57側に流出し、これらを潤滑・冷却すると共に、カムリング11の内周とインナ−シャフト5の外周との摺動面、ボ−ルカム13、パイロットクラッチ9などに供給され、これらを潤滑・冷却する。
【0092】
また、プレッシャプレ−ト15には貫通孔79が設けられており、プレッシャプレ−ト15が受けるオイルの抵抗を低減してメインクラッチ7の押圧レスポンスを向上させると共に、メインクラッチ7側とパイロットクラッチ9側との間でオイルを移動し易くし、これらの潤滑性と冷却性を向上させている。
【0093】
上記のように、オイルの充填率は回転ケ−ス3の全内容量に対して70%(下限値)から85%(上限値)の範囲の中から選択されている。
【0094】
この下限値は、当業者による従来の経験から明らかであり、回転ケ−ス3の内部を充分に潤滑するために必要な最低充填率(%)に設定すればよく、例えば、回転ケ−ス3が回転している状態で、パイロットクラッチ9の内周側、つまり、カムリング11の外周スプライン部81がオイルに浸るオイルレベルであることなどの条件を満たすように充填率が決定されており、この実施形態(カップリング1)では、上記のように、70%に設定されている。
【0095】
このオイル充填率70%では、回転ケ−ス3の内部温度が上昇したときの内圧を余裕をもって吸収できる。
【0096】
さらに、パイロットクラッチ9の摺動部のレベルでオイル潤滑が十分に行われると共に、オイル中の空気を防止するため、電磁石19を励磁した場合にパイロットクラッチ9の各々のクラッチ板および該クラッチ板とアーマチャ17との間でのエアギャップの変動が抑制されるので、磁力線が安定し、クラッチ締結特性が安定する。
【0097】
また、上限値の85%は、上記のように、図2〜6のデ−タと図7のグラフに基づいて設定されたものである。
【0098】
図2〜6のデ−タは、次のようにして計算した。
【0099】
すなわち、回転ケ−ス3にオイルを充填し、その温度が20℃からそれぞれ100℃、150℃、200℃に上昇したときのオイルの熱膨張(容積変化)から、回転ケ−ス3と大気圧との間に生じる内圧変化(差圧変化)を計算し、さらに、この計算を充填率(50%〜90%)の範囲で行った。
【0100】
図2〜4に示すように、回転ケ−ス3の全容量(cc)は153.7ccであり、空気容量は充填オイルと共に回転ケ−ス3を満たす空気の容量(cc)であり、断面積とスラスト荷重はケ−ス21とロ−タ23を連結するダブルナット部(ねじ部25とナット29)の断面積(cm2)とここに掛かるスラスト荷重(kgf)であり、内圧(絶対:差圧)は回転ケ−ス3に生じる圧力(kgf/cm2)である。
【0101】
一方、オイルには図2〜4に示すような比重と膨張係数のオイルが用いられており、このオイルはカップリング1のような動力伝達装置の充填オイルに頻用されるものである。
【0102】
図2の表はオイル温度が20℃から100℃に上昇したときのデ−タであり、図3の表はオイル温度が20℃から150℃に上昇したときのデ−タであり、図4の表はオイル温度が20℃から200℃に上昇したときのデ−タである。また、図5の表は図2〜4の各表での充填率%の変化に対するスラスト荷重(kgf)の変化を纏めたものであり、図6の表は、同じく、充填率%の変化に対する内圧(差圧:kgf/cm2)の変化を纏めたものである。
【0103】
図7の各グラフ83,85,87は図6の表に基づいて描いたそれぞれ100℃、150℃、200℃のグラフであり、充填率(横軸)の変化に伴う内圧(差圧)縦軸の変化を示す。また、この実施形態で設定した充填率70%から充填率85%の範囲はそれぞれ破線Aと実線Bで区画した。
【0104】
各グラフ83,85,87が示すように、回転ケ−ス3の内圧は温度が上昇する程大きくなる。また、200℃では、オイルの充填率が85%を超えると内圧が急激に立ち上がっているが、150℃では、充填率が85%を超えないと内圧が急上昇することはない。さらに、100℃では、充填率が90%を数%超えないと内圧が急上昇することはなく、充填率と内圧に大きな余裕があることが分かる。
【0105】
そこで、実際にはオイルが100℃以下で用いられることを考慮すると、オイル充填率の上限を85%に設定すれば、すなわち、密閉型の回転ケ−ス3にオイルを85%充填しても、稼働中の温度上昇に対して内圧の上昇を低く抑えることができる。
【0106】
こうして、カップリング1が構成されている。
【0107】
上記のように、カップリング1は、密閉型の回転ケ−ス3に充填するオイルの充填率範囲を、充分な潤滑作用を得るために必要な最低充填率(70%)から、温度が上昇しても内圧が低く抑えられる85%の範囲に限定した。
【0108】
従って、稼働中に温度が上昇しても、ケ−ス21とロ−タ23との間のOリング31、インナ−シャフト5とロ−タ23間のXリング45、流路49の密閉ボ−ル51などに掛かる圧力が低く抑えられ、これらの破損が防止されるから、オイル漏れなどが発生することはなく、正常な機能が保つことができる。
【0109】
また、分割構造ケ−シングである回転ケ−ス3のダブルナット部(連結部:ねじ部25とナット29)に掛かるスラスト荷重(kgf)も、内圧が緩和されたことによって大幅に軽減されるから、この連結部の構造を簡素にすることが可能になり、それだけ軽量で低コストに構成できる。
【0110】
しかも、オイルの充填率を85%に抑えたことによって、内部で回転するインナ−シャフト5、メインクラッチ7、パイロットクラッチ9、カムリング11、ボ−ルカム13、プレッシャプレ−ト15、ア−マチャ17などに掛かるオイルの回転抵抗がそれだけ軽減されるから、カップリング1のトルク伝達効率が高く保たれると共に、エンジン101の燃費が向上する。
【0111】
一方、オイル充填率の下限値を、充分な潤滑作用を得るために必要な最低充填率(70%)に設定したことにより、回転ケ−ス3の内部が充分に潤滑されるから、耐久性低下、焼き付き、オイルの温度上昇と劣化などが防止される。
【0112】
このオイル量は、金属粉のようなコンタミネ−ションの相対的な割合を小さくするためには充分なオイル量であり、オイルの劣化がそれだけ緩和され、耐久性などがさらに向上する。
【0113】
しかも、潤滑不足が生じないから、従来例と異なって、多板式のメインクラッチ7とパイロットクラッチ9のクラッチ板に対する制約がなくなり、ペ−パ−プレ−ト、カ−ボンプレ−ト、スティ−ルプレ−トなどからクラッチ板を自由に選択することが可能になり、それだけ低コストに構成できる。
【0114】
また、操作手段に電磁石19を用いた構成は、上記のように、カップリング1の伝達トルクによって前後輪間の駆動力配分比を制御し旋回走行中の車両の操縦性や安定性などを向上させる際に、パイロットクラッチ9の滑りを精密に調整することが可能である。
【0115】
しかも、電磁石19を用いたことによって、例えば、圧力式のアクチュエ−タを用いた構成と較べて、カップリング1をコンパクトで軽量に構成できるから、車載性が向上する。
【0116】
さらに、電磁石19は熱源であり、回転ケ−ス3のオイル温度がそれだけ上昇するが、上記のように、カップリング1には内圧に充分な余裕があるから、このように温度がさらに上昇してもオイル漏れが防止され、正常な機構が保つことができる。
【0117】
カップリングは、このように利点の多い電磁石を用いて構成されることが一般的であるから、上記のように、電磁石の熱を受けてもシ−ルを保護し、オイル漏れを防止する本発明の効果はこのようなカップリングにおいて特に大きい。
【0118】
なお、カップリング1は、図8の矢印201が示すように、トランスファ105とプロペラシャフト117との間に配置してもよい。
【0119】
この場合、カップリング1は、プロペラシャフト117とリヤデフ119との間に配置された図8の場合と同様に、後輪125,127の連結と切り離し、及び、伝達トルクの制御を行う。
【0120】
前記カップリング1は、矢印203,205が示すように、フロントデフ107と左右いずれかの前輪113,115との間に配置してもよく、矢印207,209が示すように、リヤデフ119と左右いずれかの後輪125,127との間に配置してもよい。
【0121】
矢印203,205の位置に配置した場合は、カップリング1を連結すると車両は4輪駆動状態になり、連結を解除すると、フロントデフ107の差動回転が自由になり、前輪113,115への駆動力伝達が停止されて、車両は2輪駆動状態になる。
【0122】
また、矢印207,209の位置に配置した場合は、カップリング1を連結すると車両は4輪駆動状態になり、連結を解除すると、リヤデフ119の差動回転が自由になり、後輪125,127への駆動力伝達が停止されて、車両は2輪駆動状態になる。
【0123】
なお、このような場合には、トランスファ105に駆動力断続用のクラッチ(2−4切り換え機構)を設ければ、プロペラシャフト117を完全に静止状態に保つことが可能となり、騒音、振動、摩耗などが大きく軽減されると共に、エンジン101の燃費が向上する。
【0124】
さらに、カップリング1は、矢印211が示すように、トランスファ105内のギヤ機構と組み合わせて配置してもよく、この場合は、プロペラシャフト117とリヤデフ119との間に配置された図8と同等の機能が得られる。
【0125】
前記カップリング1を矢印201,211の個所に配置した場合は、後車軸121,123と後輪125,127との間にハブクラッチ213,215を配置し、これらの連結をカップリング1と連動して解除すれば、カップリング1から後輪125,127までの動力伝達系が、エンジン101の回転と後輪125,127による連れ回りの両方から遮断され、回転が停止して騒音、振動、摩耗などが大きく軽減されると共に、エンジン101の燃費が向上する。
【0126】
なお、請求項4の発明は、多板クラッチの摩擦抵抗によって差動機構の差動を制限するデファレンシャル装置であり、請求項1または請求項2の密閉式多板クラッチ装置を用いたことによって、温度が上昇してもシ−ルが保護され、正常な機構が得られる。
【0127】
【発明の効果】
請求項1の密閉式多板クラッチ装置は、オイル充填率の上限を、温度が上昇しても内圧が低く抑えられる85%に設定したから、稼働中に温度が上昇しオイルが膨張しても、従来例と異なって、内圧が低く抑えられ、シ−ルの破損やオイル漏れなどが防止されると共に、分割構造にする必要がある密閉型ケ−シングの連結部に掛かる負荷が軽減されるから、連結部の構造を簡素にし、軽量、低コストに構成できる。
【0128】
しかも、オイルの充填率を85%に抑えたことによって、回転部材に掛かるオイル抵抗が軽減し、トルク伝達効率が高く保たれ、車載装置の場合はエンジンの燃費が向上する。
【0129】
一方、オイル充填率の下限値を、充分な潤滑作用を得るために必要な最低充填率(%)に設定したから、多板クラッチが充分に潤滑され、耐久性低下、焼き付き、オイルの温度上昇と劣化などが防止されると共に、このオイル量は、コンタミネ−ションの相対的な割合を小さくするためには充分なオイル量であり、オイルの劣化がそれだけ緩和され、耐久性が向上する。
【0130】
また、多板クラッチにペ−パ−プレ−ト、カ−ボンプレ−ト、スティ−ルプレ−トなどのクラッチプレ−トを自由に選択することが可能になり、それだけ低コストに構成できる。
【0131】
請求項2の発明は、請求項1の構成と同等の効果を得ると共に、操作手段に熱を発生する電磁石を用いても、内圧の充分な余裕によって、シ−ルが保護され、オイル漏れが防止されて正常な機構が保つことができる。
【0132】
請求項3のカップリングは、請求項1または請求項2の密閉式多板クラッチ装置を用いたことにより、温度が上昇してもシ−ルが保護され、オイル漏れが防止されて正常な機構が保つことができる。
【0133】
しかも、操作手段に利点の多い電磁石を用いて構成されることが多いカップリングにおいて、電磁石の熱を受けてもシ−ルを保護しオイル漏れを防止する本発明の効果は特に大きい。
【0134】
請求項4のデファレンシャル装置は、請求項1または請求項2の密閉式多板クラッチ装置を用いたことによって、温度が上昇してもシ−ルが保護され、正常な機構が保つことができる。
【0135】
また、請求項3の構成と同様に、操作手段に電磁石を用いて構成されることが多いデファレンシャル装置において、電磁石の熱を受けてもシ−ルを保護しオイル漏れを防止する本発明の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のカップリングを示す断面図である。
【図2】オイル温度が20℃から100℃に上昇したときのデ−タを示す図表。
【図3】オイル温度が20℃から150℃に上昇したときのデ−タを示す図表。
【図4】オイル温度が20℃から200℃に上昇したときのデ−タを示す図表。
【図5】充填率%の変化に対するスラスト荷重(kgf)の変化のデ−タを示す図表。
【図6】充填率%の変化に対する内圧(差圧:kgf/cm2)の変化のデータを示す図表。
【図7】図2のデ−タによって描いたグラフである。
【図8】図1のカップリングが用いられた4輪駆動車の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図9】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 カップリング
3 回転ケ−ス(密閉型ケ−シング:ケ−ス状トルク伝達部材)
5 インナ−シャフト(軸状トルク伝達部材)
7 メインクラッチ(多板クラッチ)
9 パイロットクラッチ(多板クラッチ)
13 ボ−ルカム(カム)
19 電磁石19(操作手段)
Claims (4)
- トルク伝達部材間の連結を断続する多板クラッチと、この多板クラッチを収容し、内部にオイルが充填された密閉型ケ−シングと、多板クラッチを断続操作する操作手段とを備え、オイル充填率の下限が、密閉型ケ−シングの内部を潤滑するために必要な最低充填率(%)であり、同上限が、85%であることを特徴とする密閉式多板クラッチ装置。
- 請求項1に記載の発明であって、操作手段が、電磁石を用いて構成されていることを特徴とする密閉式多板クラッチ装置。
- ケ−ス状トルク伝達部材と、このケ−ス状トルク伝達部材の内側で相対回転自在に配置された軸状トルク伝達部材と、これら両トルク伝達部材の間に配置されたメインクラッチと、操作手段によって断続操作されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチが連結されると両トルク伝達部材の間の伝達トルクを受けて作動しメインクラッチを連結させるカムと、請求項1または請求項2に記載の密閉式多板クラッチ装置とを備え、その密閉型ケ−シングが、ケ−ス状トルク伝達部材であり、多板クラッチが、パイロットクラッチ及びパイロットクラッチであることを特徴とするカップリング。
- エンジンの駆動力によって回転するケ−ス状トルク伝達部材と、このケ−ス状トルク伝達部材の回転を一対の軸状トルク伝達部材を介して車輪側に配分する差動機構と、ケ−ス状トルク伝達部材と一方の軸状トルク伝達部材との間で差動機構の差動を制限するメインクラッチと、操作手段によって断続操作されるパイロットクラッチと、パイロットクラッチが連結されると両トルク伝達部材の間の伝達トルクを受けて作動しメインクラッチを連結させるカムと、請求項1または請求項2に記載の密閉式多板クラッチ装置とを備え、その密閉型ケ−シングが、ケ−ス状トルク伝達部材であり、多板クラッチが、パイロットクラッチ及びパイロットクラッチであることを特徴とするデファレンシャル装置。
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