以下、本発明に係るカップリング及び連結軸の形成方法の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1はカップリングを示し、図2はこのカップリングを用いた四輪駆動車の動力系を示している。
図2に示すように、この動力系は、横置きのエンジン3とトランスミッション5、トランスファ7、フロントデフ9、前車軸11、13、左右の前輪15、17、後輪側のプロペラシャフト19、カップリング209、リヤデフ21、後車軸23、25、左右の後輪27、29などから構成されている。このように、カップリング209は後輪側の動力伝達系に配置されており、後輪27、29の連結と切り離し及び伝達トルクの制御を行う。
エンジン3の駆動力は、トランスミッション5の出力ギヤ31からリングギヤ33を介してフロントデフ9のデフケース35に伝達され、フロントデフ9から前車軸11、13を介して左右の前輪15、17に配分され、更に、デフケース35からトランスファ7を介してプロペラシャフト19を回転させる。
又、カップリング209が連結されると、エンジン3の駆動力は、リヤデフ21から後車軸23、25を介して左右の後輪27、29に配分され、車両は四輪駆動状態になる。
又、カップリング209の連結が解除されると、リヤデフ21以下の後輪側が切り離されて車両は二輪駆動状態になる。
図2のように、リヤデフ21はデフキャリヤ37(静止側のケーシング)に収容されている。このデフキャリヤ37はケーシング本体39(静止側ケーシングの本体)とフロントケーシング41(静止側ケーシングの蓋部材)とをボルト43で連結して構成されている。図1と図2のように、カップリング209はこのフロントケーシング41に収容されている。
カップリング209は、回転ケース45(一側のケース状トルク伝達部材)、連結軸47(他側の軸状トルク伝達部材)、多板式のメインクラッチ49及びコントロールクラッチ51、カムリング53、ボールカム55、プレッシャプレート57、アーマチャ59、リング状の電磁石61、リング状のねじ211(規制部材:ねじ部材)、コントローラなどから構成されている。
電磁石61はデフキャリヤ37の開口79に配置されており、リード線123はコア83から直接外部に引き出されている。
このコア83の外周圧入部84の前方(図5の左方)には、ねじ部213とストッパ部215とが形成されている。ねじ211をねじ部213に係合し締め付けることにより、ねじ211とストッパ部215とがフロントケーシング41(静止側のケーシング:蓋部材)の開口79を両側から挟み込み、電磁石61をデフキャリヤ37に固定している。
ストッパ部215は回転ケース45の前方(軸方向一方向)への移動を規制し、ねじ211により後方(軸方向他方向)への移動を規制し、フロントケーシング41に対して回転ケース45の軸方向位置が決定されている。
又、ストッパ部215とデフキャリヤ37との間に、隙間調整用のワッシャなどを配置すれば、その厚さを変えることによって、電磁石61(コア83)と回転ケース45の前側ロータ65とのエアギャップ95を最適値に調整し、磁力をアーマチャ59に効率よく導くことができる。
図3のように、回転ケース45の前側ロータ65には周上の複数箇所に凸部217が設けられており、後側ケース67には周上の複数箇所に凹部219が設けられている。前側ロータ65は凸部217を凹部219に係合させて後側ケース67に連結されている。前側ロータ65と後側ケース67は突き当たり部71とスナップリング73とによって位置決めされ、Oリング75でシールされている。
前側ロータ65は両側シールベアリング85を介してコア83に支承されていると共に、前側ロータ65の動力伝達軸77には、継ぎ手81(図2参照)がコンパニオンフランジを介して連結されており、前側ロータ65はこれらを介してプロペラシャフト19側に連結されている。
なお、二点鎖線で示すようなジョイント部を介してプロペラシャフト19側の同様なジョイント部に直接連結してもよい。
連結軸47(他側の軸状トルク伝達部材)は、回転ケース45の後側ケース67に貫入し、その前端部は摺動ブッシュ223を介して回転ケース45の前側ロータ65に支承され、後端部は片側シールベアリング99を介して後側ケース67に支承されている。
又、連結軸47はスプライン部101に連結されたドライブピニオンシャフト103(駆動軸)などを介してリヤデフ21側に連結されている。
このドライブピニオンシャフト103はベアリングによってデフキャリヤ37に支承されており、回転ケース45の後側ケース67は、ドライブピニオンシャフト103と連結軸47と片側シールベアリング99とを介してデフキャリヤ37側に支承されている。
又、後側ケース67とデフキャリヤ37との間にはオイルシール225が配置されている。
このオイルシール225と、回転ケース45の前側に配置された両側シールベアリング85とによって、回転ケース45とデフキャリヤ37の間に大気室109が形成されている。
又、デフキャリヤ37の前側のフロントケーシング41の上部にはブリーザ227が取り付けられている。ブリーザ227は大気室109を外部の大気空間と連通させて温度と圧力をほぼ一定に保ち、大気室109から外部へのオイルの噴き出しを防止している。
なお、ブリーザ227には、管の一端が連結し、管の他端は車両走行時に異物や水滴などの侵入の恐れが少ない車体フレーム側に開放されている。
又、回転ケース45は、前側Oリング75と後側の片側シールベアリング99とによって密封型にされている。
回転ケース45の内部にはオイル供給用の流路229からオイルが注入され、その後オイル供給用流路229は密封ボール113を圧入してシールされる。ケーシング本体39のオイルとフロントケーシング41のオイルには、それぞれの用途に応じて適確なオイルが選択されている。
又、メインクラッチ49と回転ケース45との間に配置されたプレート115には、オイル供給用流路229との干渉を防止する切り欠き231が設けられている。
又、連結軸47には、区画板233を固定することによって容量増大空間部135が形成されている。
これにより、後述する参考例と異なって、区画板233が薄いので回転ケース45内の容量増大空間部135の容量を増すことが可能となる。
カップリング1と同様に、このオイルは遠心力によって、各油路を介してメインクラッチ49、摺動ワッシャ223、スラストベアリング117、カムリング53の内周と連結軸47の外周との摺動面、ボールカム55、コントロールクラッチ51などに供給され、これらを充分に潤滑する。
なお、連結軸47には一体の区画壁がないから、スプライン部101は、ホブカッター、あるいは、ブローチによって容易に加工できる。
又、カップリング209は、図2の車両の矢印149、151、152、153、155、157の各箇所に配置してもよく、いずれの場合もカップリング209と同等の機能によって、前輪や後輪への駆動力伝達を断続し、伝達される駆動力の制御を行う。
こうして、カップリング209が構成されている。
カップリング209は、カップリング1と同様に、デフキャリヤ37の開口79に固定した電磁石61のリード線123をコア83から直接デフキャリヤ37の外部に引き出しているから、グロメット取り付け用の開口をデフキャリヤ37に加工する必要がなく、加工工数と加工コストが低減される。
又、グロメットを用いないでも、異物や水分がリード線123の引き出し部からデフキャリヤ37に侵入することが防止されると共に、グロメットを用いないだけ部品点数と部品コストが低減される。
又、回転ケース45はベアリング85と電磁石61のコア83とを介してデフキャリヤ37に支承されており、このように、ベアリング85と電磁石61とを径方向に配置したカップリング209は、これらを軸方向に配置した構成に較べて、ベアリング85の配置寸法だけ軸方向に短くなっている。
又、ベアリング85にシール型のベアリングを用いたことによって、ベアリング85の周辺に配置するシールが不要になり、部品点数とコストが低減されると共に、カップリング209は、シールの配置寸法だけ軸方向に短くなっている。
又、カップリング209は、ベアリング85とシールの配置スペースだけ軸方向に短くなったことにより、大幅に軽量化されているから、上記のように、図2の車両の各箇所に搭載する場合、配置スペースと負担重量の点で特に有利である。
又、カップリング209のこのようなコンパクト化に伴って、デフキャリヤ37(フロントケーシング41)を短くすれば、更に大幅な軽量化が可能になる。
又、電磁石61が1個のねじ211によってデフキャリヤ37に固定されているから、このねじ211を着脱するだけで電磁石61の取り付けと取り外しとを容易に行うことができる。
又、コア83にストッパ部215を設けたから、このストッパ部215とデフキャリヤ37との間に配置した隙間調整用ワッシャの厚さを変えることによって、電磁石61(コア83)と回転ケース45とのエアギャップ95を最適値に調整し、磁力をアーマチャ59に効率よく導くことができる。
又、回転ケース45は、一端側(前方)でベアリング85によりコア83を介して静止側ケーシングであるフロントケーシング41に支持され、他端側(後方)でベアリング99により連結軸47、スプライン部101、ドライブピニオンシャフト103とこの支持ベアリングとを介して静止側ケーシングであるケーシング本体39に支持されている。
従って、他端側(後方)に、回転ケース45を直接デフキャリヤ37側に支持するベアリングなどの支持構造が不要となり、回転ケース45及びデフキャリヤ37の構造が簡易化して、軸方向及び径方向のコンパクト化が可能である。
<第2実施形態>
次に、図4によってカップリング401(第2実施形態)の説明をする。
図4において、左右の方向は図2の四輪駆動車の左右の方向であり、図4の左方はこの車両の前方に相当する。
カップリング401は、上記第1実施形態のカップリング209と同様に、図2の車両の後輪側プロペラシャフト19とリヤデフ21との間に配置されており、後輪27、29側の連結と切り離し及び伝達トルクの制御を行う。以下、カップリング1、209と同機能部材には同一の符号を与えて参照しながら説明する。
カップリング401は、回転ケース403(一側のケース状トルク伝達部材)、連結軸405(他側の軸状トルク伝達部材)、多板式のメインクラッチ49及びコントロールクラッチ51、カムリング53、ボールカム55、プレッシャプレート57、アーマチャ59、リング状の電磁石61、コントローラなどから構成されている。
電磁石61のコア83は外周圧入部84でデフキャリヤ37の開口79に圧入され、回り止めピン407によって回り止めされている。この回り止めピン407は電磁石61のリード線123の取り出し部110に対して周方向に180°反対の位置に配置されており、装着が容易である。
回転ケース403は、前側のロータ408(電磁石とアーマチャの間に位置する部分:トルク伝達経路に用いない部分)と中空状のケース67と後側の連結部材409から構成されている。
ケース67は前側ロータ408のねじ部411に螺着され、互いの間に設けられた突き当たり部412によって位置決めされており、更に、ねじ部411に螺着されたナット413によって固定される、設計手段としては一般的な手段である、ダブルナット機能によって固定されている。
又、ケース67と連結部材409はボルト415で固定されており、これらの間にはオイル漏れを防止するシールリング417が配置されている。
又、連結部材409はその内周に形成されたスプライン部101によってドライブピニオンシャフト103(駆動軸)にスプライン連結されている。
このように、ボルト415で固定された連結部材409がドライブピニオンシャフト103にスプライン連結されてトルク伝達経路に用いられており、前側ロータ408はケース67に螺着されているから、前側ロータ408は、非磁性材料のリング129を含めてトルクの伝達には関与しない。
又、トルク伝達部材である連結部材409は、静的強度と衝撃強度とを増すために浸炭処理が施されている。
回転ケース403は、前端側を両側シールのベアリング85とコア83を介してデフキャリヤ37のフロントケーシング41に支承されており、後端側を両側シールのベアリング89を介してデフキャリヤ37のケーシング本体39に支承されている。
又、ベアリング89とケーシング本体39との間には隙間調整用のワッシャ419が配置されている。
回転ケース403は、ワッシャ419と当接するケーシング本体39の突き当たり部421(規制部)によりベアリング89を介してデフキャリヤ37との間で後方(軸方向の他方向)への移動を規制され、ボルト43によってフロントケーシング41をケーシング本体39に固定するだけで、回転ケース403の軸方向位置決めが完了する。
又、このワッシャ419の厚さを変えれば、回転ケース403の軸方向位置を調整できる。
ドライブピニオンシャフト103はベアリング423によってケーシング本体39に支承されている。ベアリング423とそのロックナット425との間にはワッシャ427とインナープレート429が固定されており、インナープレート429とケーシング本体39との間にはオイルシール431が配置されている。
両側シールベアリング89とこのオイルシール431とによって、ケーシング本体39と回転ケース403とドライブピニオンシャフト103との間に大気室109が形成されている。
連結軸405は前方から回転ケース403に貫入している。その前端部はニードルベアリング97を介して前側ロータ408に支承されており、後端部はベアリング433を介してケース67に支承されている。
相対回転する連結軸405と前側ロータ408との間には、断面がX字状のシールであるXリング435が配置され、オイル漏れを防止している。
又、連結軸405には、動力伝達軸77が一体に形成されている。この動力伝達軸77にはコンパニオンフランジ437がスプライン連結され、ねじ部78に締め付けたナットによって固定されている。このコンパニオンフランジ437は継ぎ手81(図2参照)側のフランジにボルトで連結されており、連結軸405をプロペラシャフト19側に連結している。
連結軸405には、大径と小径の同軸孔439、441が設けられており、連結部材409に形成された中空のハブ部443は大径の同軸孔439に相対回転自在に貫入している。
このハブ部443には、密閉プラグ(区画壁)445が固定されており、同軸孔439、441との間で容量増大空間部135を形成している。この容量増大空間部135には、封入オイルや空気が収容される。
又、連結軸405には、径方向の油路447、449が設けられており、油路447は容量増大空間部135とニードルベアリング97とを連通し、油路449は容量増大空間部135とスラストベアリング117とを連通する。
又、連結部材409のハブ部443には、外周に螺旋状の油路451が設けられており、ハブ部443と連結軸405の同軸孔439との摺動面を潤滑している。
容量増大空間部135のオイルは、カップリング401の遠心力により、各油路447、449からそれぞれニードルベアリング97とスラストベアリング117に送られ、更に、カムリング53の内周と連結軸405の外周との摺動面、ボールカム55、コントロールクラッチ51などに供給され、更に、プレッシャプレート57の開口148と、円周状空間139からメインクラッチ49に送られ、これらを充分に潤滑し、冷却する。
又、このとき、螺旋状油路451は、螺旋の歩みによるポンプ作用によってオイルを容量増大空間部135側に押圧し、上記のようなオイルの流れつまりオイル循環作用を促進し、潤滑性と冷却性を大きく向上させる。
又、薄い密閉プラグ445によって区画された容量増大空間部135は、後述する参考例と異なって、それだけ容量が増大している。
又、連結部材409には一体の区画壁がないから、同軸孔439、441は、ドリルによって容易に加工できる。
電磁石61を励磁すると、アーマチャ59によってコントロールクラッチ51が押圧され、ボールカム55によってメインクラッチ49が押圧され、カップリング401が連結される。
カップリング401が連結されると車両は四輪駆動状態になり、第1と2の実施形態と反対に、エンジンの駆動力は連結軸405から回転ケース403側に伝達されて後輪27、29を駆動し、悪路などの走破性や、車体の安定性が向上する。
又、励磁電流によってカップリング401の連結力を制御し、後輪27、29への伝達トルクを調整すると、旋回走行中の車両の操縦性や安定性などが向上する。
又、電磁石61の励磁を停止すると、カップリング401の連結が解除され、車両は二輪駆動状態になる。
なお、カップリング401は、図2の車両の矢印149、151、152、153、155、157の各箇所に配置してもよく、いずれの場合もカップリング1、209と同等の機能によって、前輪や後輪への駆動力伝達を断続し、伝達される駆動力の制御を行う。
こうして、カップリング401が構成されている。
カップリング401は、上記のように、回転ケース403の連結部材409をトルク伝達経路にし、磁気回路の一部を構成する前側ロータ408をトルク伝達経路から除外した。
従って、連結部材409は、磁気透過性の要求から解放され、充分な静的強度と衝撃強度とを持った部材を選定することができる。
又、前側ロータ408は、強度上の要求から解放され、磁気透過性に優れた部材を選定することができる。
更に、連結部材409は、駆動力を入出力する相手側部材との連結形態を、例えば、ボルト連結、スプライン連結、セレーション連結、溶接などの中から自由に選択することが可能になる。
これに加えて、カップリング401は、第1実施形態のカップリング209のそれぞれの特徴を除き、これらと同等の効果を得る。
<第3実施形態>
次に、図5によってカップリング501の説明をする。
このカップリング501は上記カップリング401の部分的な変形例である。以下、カップリング401と同機能部材には同一の符号を与えて参照しながら説明する。
カップリング501は、回転ケース503(一側のケース状トルク伝達部材)、連結軸405(他側の軸状トルク伝達部材)、多板式のメインクラッチ49及びコントロールクラッチ51、カムリング53、ボールカム55、プレッシャプレート57、アーマチャ59、リング状の電磁石61、コントローラなどから構成されている。
回転ケース503は、前側のロータ408と中空状のケース505と連結部材409とから構成されている。
第1実施形態と異なって、ケース505は鋼で作られている。
ケース505は、前側ロータ408のねじ部411に螺着されており、互いの間に設けられた突き当たり部412によって位置決めされ、更に、ねじ部411に螺着されたナット413のダブルナット機能によって固定されている。
又、ケース505と連結部材409は、互いの間に設けられたスプライン部507によって連結されている。このスプライン部507はケース505と連結部材409との中心合わせを行うと共に、駆動力の伝達を行う。
なお、ケース505と連結部材409は圧入によって連結してもよい。
又、ケース505と連結部材409はいずれも鋼製であり、これらは溶接で一体にされている。この溶接は、ケース505を、アルミニウム製ではなく鋼製にしたことによって可能になり、容易になった。連結部材409の内周にはスプライン部101が形成され、ドライブピニオンシャフト103(駆動軸)とスプライン連結されている。
又、ケース505の、前側ロータ408と対向する部分(ハッチングで示す部分)には、磁束漏れを防止するコーティング509が施されている。
このコーティング509は、例えば、CrN、TiNなどのコーティング、クロムや亜鉛などのメッキ、フェノール、エポキシ、フッ素、シリコンなどの樹脂塗装、あるいは、合成ゴムの塗装や薄板を配置することによって行うことができる。
ケース505を鋼製にしても、これらのコーティング509によってケース505からの磁束漏れが防止され、電磁石61の磁力がアーマチャ59に効率よく導かれる。
こうして、カップリング501が構成されている。
カップリング501は、磁束漏れ防止用のコーティング509を施すことにより、回転ケース503のケース505を鋼製にした。
ケース505は、アルミニウム製のケースと較べて強度が大きく向上するから、薄肉化が可能になり、ケース505の薄肉化によって回転ケース503(カップリング501)及びデフキャリヤ37がコンパクト化され、軽量化されるから、車載性が大きく向上する。
又、ケース505と連結部材409とを溶接できるから、連結用のボルトが不要になり、部品点数と部品コストが低減する。
これに加えて、カップリング501は、第2実施形態のカップリング401の特徴を除き、これと同等の効果を得る。
なお、各実施形態におけるストッパ部は、静止側ケーシングに電磁石を固定するための締結ボルトの頭部を利用してもよい。
又、ストッパ部と規制部は、摺動部材や皿ばねを介して軸方向に位置決めするように構成してもよい。
又、各実施例で説明したカップリングは、図3におけるプロペラシャフト19上に配置し、デフキャリア37を車体フレーム側にゴム、バネや粘性ダンパを介して取付け、固定してもよい。又、静止側ケーシング(特に蓋部材)については、プレス成型品の板金製を採用し、軽量化や、波状部を形成するなど凹凸形状を工夫し、放熱性を向上させることもできる。
<参考例>
図6と図7及び図2によってカップリング1(参考例)の説明をする。
図6はカップリング1を示し、図2はカップリング1を用いた四輪駆動車の動力系を示している。
図2のように、この動力系は、横置きのエンジン3とトランスミッション5、トランスファ7、フロントデフ9、前車軸11、13、左右の前輪15、17、後輪側のプロペラシャフト19、カップリング1、リヤデフ21、後車軸23、25、左右の後輪27、29などから構成されている。
このように、カップリング1は後輪側の動力伝達系に配置されており、後輪27、29の連結と切り離し及び伝達トルクの制御を行う。
エンジン3の駆動力は、トランスミッション5の出力ギヤ31からリングギヤ33を介してフロントデフ9のデフケ−ス35に伝達され、フロントデフ9から前車軸11、13を介して左右の前輪15、17に配分され、更に、デフケ−ス35からトランスファ7を介してプロペラシャフト19を回転させる。
又、カップリング1が連結されると、エンジン3の駆動力は、リヤデフ21から後車軸23、25を介して左右の後輪27、29に配分され、車両は四輪駆動状態になる。又、カップリング1の連結が解除されると、リヤデフ21以下の後輪側が切り離されて車両は二輪駆動状態になる。
図2のように、リヤデフ21はデフキャリヤ37(静止側のケ−シング)に収容されている。このデフキャリヤ37はケ−シング本体39(静止側ケ−シングの本体)とフロントケ−シング41(静止側ケ−シングの蓋部材)とをボルト43で連結して構成されている。
図6と図2のように、カップリング1はこのフロントケ−シング41に収容されている。カップリング1は、回転ケ−ス45(一側のケ−ス状トルク伝達部材)、連結軸47(他側の軸状トルク伝達部材)、多板式のメインクラッチ49及びコントロ−ルクラッチ51、カムリング53、ボ−ルカム55、プレッシャプレ−ト57、ア−マチャ59、リング状の電磁石61、カバ−63、コントロ−ラなどから構成されている。
図6のように、回転ケ−ス45は、前側のロ−タ65(電磁石とア−マチャの間に位置する部分:トルク伝達経路に用いる部分)と中空状の後側ケ−ス67とから構成されており、前側ロ−タ65と後側ケ−ス67は互いの間に設けられたねじ部69によって連結されており、互いの間に設けられた突き当たり部71と、ケ−ス67に取り付けられたスナップリング73とによって位置決めされている。又、前側ロ−タ65と後側ケ−ス67の間にはOリング75が配置されている。
後述する非磁性材料のリング129を含めて前側ロ−タ65はトルク伝達経路の部分とされており、動力伝達軸77が一体に形成され、入力トルクをケ−ス67へ伝達する。又、デフキャリヤ37のフロントケ−シング41には開口79が、車両前方側に位置するように設けられており、動力伝達軸77はこの開口79から前方に突き出して、継ぎ手81(図2)側の連結軸にコンパニオンフランジがスプライン連結され、ねじ部78にナットを締め付け固定した後、ボルトにて連結されている。
デフキャリヤ37の開口79には、電磁石61のコア83の背面の外周圧入部84が圧入されており、外部に露出している。
又、外周圧入部84の前方(図1の左方)にはストッパ部86が形成されており、このストッパ部86で回転ケ−ス45とフロントケ−シング41とが突き当たることにより、回転ケ−ス45の前方(軸方向一方向)への移動を規制している。
又、回転ケ−ス45の前側ロ−タ65は両側シ−ルのベアリング85を介してこのコア83に支承されている。このように、コア83とベアリング85は径方向に配置されている。
前側ロ−タ65にはダストカバ−87が取り付けられている。このダストカバ−87は動力伝達軸部77とコア83との間を覆って、走行中に飛来する障害物とベアリング85との衝突を防止し、ベアリング85を保護する。
ダストカバ−87は、上記のコンパニオンフランジをナットで締め付け固定する際に、コンパニオンフランジの端面と前側ロ−タ65との間で挟持固定される。
又、ダストカバ−87の外周側は凹凸状に前方に張り出しており、回転により外気側の異物がフロントケ−シング41内に入るのを抑制している。
又、回転ケ−ス45の後側ケ−ス67は両側シ−ルのベアリング89を介してデフキャリヤ37の後側ケ−シング本体39に支承されている。
ベアリング89のインナ−レ−ス91と後側ケ−ス67との間には、隙間調整用のワッシャ93が配置されており、後述のように、ケ−シング本体39とフロントケ−シング41との軸方向取り付け隙間を調整する。
回転ケ−ス45は、ワッシャ93と当接する側壁94(規制部)によりベアリング89を介してデフキャリヤ37との間で後方(軸方向他方向)への移動を規制され、フロントケ−シング41をケ−シング本体39にボルト43にて連結することにより、回転ケ−ス45の軸方向位置が決定されている。
連結軸47は回転ケ−ス45の後側ケ−ス67に貫入している。連結軸47の前端部はニ−ドルベアリング97を介して回転ケ−ス45の前側ロ−タ65に支承されており、後端部は片側シ−ルのベアリング99を介して後側ケ−ス67に支承されている。
又、連結軸47のスプライン部101には、ドライブピニオンシャフト(駆動軸)103が連結されている。図2のように、このドライブピニオンシャフト103に形成されたドライブピニオンギヤ105は、リヤデフ21側のリングギヤ107と噛み合ってリヤデフ21を回転駆動する。
回転ケ−ス45の前後両側に配置された両側シ−ルベアリング85、89によって、回転ケ−ス45とデフキャリヤ37との間に大気室109が形成されている。
そして、コア83の外周圧入部84の重力方向上方に位置して形成されたリ−ド線取り出し部110は、大気室109と大気空間とを連通させており、大気室109内の温度上昇による内圧上昇を抑制している。
又、回転ケ−ス45は、前側ロ−タ65と後側ケ−ス67間のOリング75と、後側ケ−ス67と連結軸47間の片側シ−ルベアリング99によって密封型にされている。
デフキャリヤ37の後側ケ−シング本体39部分には、リヤデフ側の潤滑用オイルが封入されており、ドライブピニオンギヤ105とリングギヤ107の噛み合い部及びこれらの支持ベアリングや各部材の摺動部などを潤滑している。
又、回転ケ−ス45の内部にはオイル供給用の流路111からオイルが注入され、注入後このオイル供給用流路111は密封ボ−ル113を圧入してシ−ルされる。回転ケ−ス45の内部に封入するこのオイルには、後側ケ−シング本体39のオイルと異なった専用のオイルが用いられている。
この専用オイルの充填率は、密封型にされた回転ケ−ス45の全容量に対して50%〜90%のレベル、好ましくは70%〜85%のレベルであり、残りの部分は空気で占められている。
この充填率は、回転ケ−ス45が回転している状態で、コントロ−ルクラッチ51の内周側、つまり、カムリング53の外周スプライン部54が浸るオイルレベルであること、回転ケ−ス45内部の温度上昇時の内圧を吸収できること、又、メインクラッチ49のクラッチ板の表面に例えば、ペーパやカーボンなどのフェーシング材を貼り付けた場合の締結耐久性、すなわちフェーシング材の耐剥離性などの所望の使用条件を満たすように決定される。
又、デフキャリヤ37のケ−シング本体39に封入されたオイルと、フロントケ−シング41に封入されたオイルは、シ−ルベアリング89、99によって互いに混ざり合うことが防止されているから、それぞれの用途に適したオイルが選択されている。
メインクラッチ49は、回転ケ−ス45の内周と連結軸47の外周との間に配置されている。又、メインクラッチ49と回転ケ−ス45との間にはプレ−ト115が配置されており、メインクラッチ49の押圧力を受けると共に、厚さの異なるものと交換することによって、各クラッチ板の隙間を調整する。
コントロ−ルクラッチ51は、回転ケ−ス45の内周とカムリング53との間に配置されており、後述のように、ア−マチャ59によって回転ケ−ス45の前側ロ−タ65に押圧されて締結される。
ボ−ルカム55は、カムリング53とプレッシャプレ−ト57との間に配置されている。又、プレッシャプレ−ト57は、連結軸47の外周に形成されたメインクラッチ49のインナ−プレ−トが係合するスプライン部56に係合部58を介して軸方向移動自在に連結されている。
又、カムリング53と前側ロ−タ65との間には、ボ−ルカム55のカム反力を受けるスラストベアリング117及びワッシャ118が配置されている。
スラストベアリング117はワッシャ118を介して後側ケース67に当接し、後側ケース67の内側壁面の内周側には、スラストベアリング117を収容する円筒部がワッシャ118に当接するように形成されている。
円板状のア−マチャ59は、コントロ−ルクラッチ51とプレッシャプレ−ト57との間に配置されている。又、ア−マチャ59は内周側でプレッシャプレ−ト57に対して微小な所定間隔を有して対向しており、コントロ−ルクラッチ51から離れないように、位置を規制されていると共に、外周側ではコントロ−ルクラッチ51とメインクラッチ49の外側クラッチ板が係合する回転ケ−ス45の内周に形成されたスプライン部46の先端に位置を規制されており、電磁石61による引きつけコントロ−ル性を高めている。
電磁石61のコア83は、上記のように、デフキャリヤ37の開口79に圧入して固定されていると共に、そのコイル119の部分は、前側ロ−タ65に設けられている凹部121に貫入して、エアギャップ95を形成している。
又、上記のように、コア83はデフキャリヤ37の開口79から外部に露出しており、電磁石61のリ−ド線123はコア83から直接外部に引き出されている。
コア83に設けられたリ−ド線123の取り出し部110には、固形接着材やゴム製プラグを取り付けて、リ−ド線123の疲労断線を防止し、耐候性を向上させることが可能である。
図7のように、リ−ド線123の引き出し部には、カバ−63がボルト125、125によってデフキャリヤ37に固定されており、飛来する障害物などからリ−ド線123を保護し、破損を防止している。
又、これらのボルト125はコア83にも螺着されており、電磁石61の回り止めをしている。
コントロ−ラは、車速、操舵角、横Gなどから旋回走行を検知し、あるいは、路面状態などに応じて、電磁石61の励磁、励磁電流の制御、励磁停止などを行う。
電磁石61が励磁されると、磁力のル−プ127が形成されてア−マチャ59が吸引され、回転ケ−ス45の前側ロ−タ65との間でコントロ−ルクラッチ51を押圧して締結させる。コントロ−ルクラッチ51が締結されると、回転ケ−ス45と連結軸47の間のトルクがボ−ルカム55に掛かり、生じたカムスラスト力によりプレッシャプレ−ト57を介してメインクラッチ49が押圧され、締結する。
又、電磁石61のコア83と回転ケ−ス45とのエアギャップ95は、ア−マチャ59が充分な強さで吸引されるように、コア83とベアリング85と前側ロ−タ65との軸方向の取り付け位置をワッシャやスナップリングの厚さを変えることによって、最適値に調整されている。
こうしてカップリング1が連結されると、エンジン3の駆動力が後輪27、29に送られ、車両は四輪駆動状態になり、悪路などの走破性や、車体の安定性が向上する。
又、電磁石61の励磁電流を制御すると、コントロ−ルクラッチ51の滑りによってボ−ルカム55のカムスラスト力が変化し、メインクラッチ49の連結力が変化して後輪27、29の駆動力が調整される。
このようにして、前後輪間の駆動力配分比を制御すると、例えば、旋回走行中の車両の操縦性や安定性などが向上する。
又、電磁石61の励磁を停止すると、コントロ−ルクラッチ51が開放されてボ−ルカム55のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ49が開放されてカップリング1の連結が解除され、車両は二輪駆動状態になる。
又、回転ケ−ス45の前側ロ−タ65にはステンレス鋼のような非磁性材料のリング129が配置されている。前側ロ−タ65自体は、動力伝達軸77の部分及びその延長部外周にかけての静的強度と衝撃強度を増すために硬化表面処理としての浸炭処理がなされていると共に、リング129の内外周側及びエアギャップ95を形成する凹状部分121には、前述の強度を考慮した上での防炭剤塗布処理が行われ、磁力のル−プ127を阻害することを抑制し、コントロ−ルクラッチ51の制御性を向上させている。
なお、前側ロ−タ65の材質は前述の強度及び磁力の透過性を考慮し、適宜選択可能である。
更に、コントロ−ルクラッチ51の各クラッチ板には開孔131及びブリッジ部が形成され、磁力ル−プ127からの磁気漏れを防止し、電磁石61の磁力をア−マチャ59に集中させている。
又、上記のように、ア−マチャ59は隣接部材との間で軸方向及び径方向の位置決めがなされているフリ−部材ではあるが、プレッシャプレ−ト57との微小な所定隙間を有する部分は磁力ル−プ127に対して磁束密度の低い内周側外端部であるから、ア−マチャ59の吸引力には実質的に影響を与えない。
連結軸47には、区画壁133によって、封入オイルや空気を溜めるため、すなわち、回転ケ−ス45内の容量増大空間部135が形成されている。
連結軸47には空間部135と連通する径方向の油路137と、プレッシャプレ−ト57との円周状空間139を介して油路137と連通する軸方向の油路141と、この油路141と連通しメインクラッチ49側のインナ−プレ−トを各1枚隔てて3箇所で開口する径方向の油路143が設けられており、空間部135とメインクラッチ49側をスム−ズに連通させ潤滑性及び冷却性を向上させている。
又、連結軸47の外周には、螺旋状の油路145が設けられている。更に、連結軸47と回転ケ−ス45の前側ロ−タ65との間には、容量増大空間部135と連通する円周状空間部147が形成されている。
空間部135のオイルは、カップリング1の遠心力により、油路137と円周状空間139と油路141を通って油路143から流出し、メインクラッチ49を潤滑する。又、空間部135のオイルは、円周状空間部147から流出し、油路145から、ニ−ドルベアリング97、スラストベアリング117、カムリング53の内周と連結軸47の外周との摺動面、ボ−ルカム55、コントロ−ルクラッチ51などに供給され、これらをスム−ズに潤滑する。
又、プレッシャプレ−ト57には開口148が設けられており、プレッシャプレ−ト57が受けるオイルの抵抗を低減してメインクラッチ49の押圧レスポンスを向上させると共に、メインクラッチ49側にオイルを移動し易くし、メインクラッチ49の潤滑性と冷却性を向上させている。
又、カップリング1は、図2の矢印149が示すように、トランスファ7とプロペラシャフト19との間に配置してもよい。
この場合、プロペラシャフト19とリヤデフ21との間に配置した場合と同様にして後輪27、29の連結と切り離しとを行う。
又、カップリング1は、矢印151、153が示すように、フロントデフ9と前車軸11、13との間に配置してもよく、又、矢印152が示すように、トランスファ7内のギヤ機構と組み合わせて配置してもよく、更に、矢印155、157が示すように、リヤデフ21と後車軸23、25との間に配置してもよい。
矢印151、152、153の位置に配置した場合は、カップリング1を連結すると車両は四輪駆動状態になり、連結を解除すると、フロントデフ9の差動回転が自由になり、前輪15、17への駆動力伝達が停止されて、車両は二輪駆動状態になる。
又、矢印155、157の位置に配置した場合は、カップリング1を連結すると車両は四輪駆動状態になり、連結を解除すると、リヤデフ21の差動回転が自由になり、後輪27、29への駆動力伝達が停止されて、車両は二輪駆動状態になる。
なお、この場合には、トランスファ7内に駆動力断続用のクラッチを設ければ、プロペラシャフト19を完全に静止状態に保つことが可能となり、車両走行燃費が向上する。
又、図8は、図2の四輪駆動車と異なった構成の動力系を持つ四輪駆動車を示している。
この動力系は、縦置きのエンジン159及びトランスミッション161、トランスファ163、前輪側のプロペラシャフト165、フロントデフ167、前車軸169、171、左右の前輪173、175、後輪側のプロペラシャフト177、リヤデフ179、後車軸181、183、左右の後輪185、187などから構成されている。
エンジン159の駆動力は、トランスミッション161からトランスファ163を介して、それぞれ前輪側と後輪側の各プロペラシャフト165、177を回転させる。
前輪側プロペラシャフト165の回転は、フロントデフ167から前車軸169、171を介して左右の前輪173、175に配分され、後輪側プロペラシャフト177の回転は、リヤデフ179から後車軸181、183を介して左右の後輪185、187に配分される。
図11の車両では、カップリング1は、矢印189、191が示すように、トランスファ163と後輪側プロペラシャフト177との間及びプロペラシャフト177とリヤデフ179との間に配置してもよい。
又、カップリング1は、矢印193、195が示すように、トランスファ163と前輪側プロペラシャフト165との間及びプロペラシャフト165とフロントデフ167との間に配置してもよい。
後輪側に配置した場合は、後輪181、183の連結と切り離しとを行い、前輪側に配置した場合は、前輪173、175の連結と切り離しとを行う。
又、カップリング1を前輪側に配置した場合、前車軸169、171と各前輪173、175との間にハブクラッチ197、199を配置し、これらの連結をカップリング1と連動して解除すれば、カップリング1から前輪173、175までの動力伝達系が、エンジン159の回転と前輪173、175による連れ回りの両方から遮断され、回転が停止して騒音、振動、摩耗などが大きく軽減されると共に、エンジン159の燃費が向上する。
又、カップリング1は、矢印201、203が示すように、フロントデフ167と前車軸169、171との間に配置してもよく、矢印205、207が示すように、リヤデフ179と後車軸181、183との間に配置してもよい。
前車軸169、171上に配置した場合は、カップリング1を連結すると車両は四輪駆動状態になり、連結を解除すると、フロントデフ167の差動回転が自由になり、前輪173、175への駆動力伝達が停止され、車両は二輪駆動状態になる。
又、後車軸181、183上に配置した場合は、カップリング1を連結すると車両は四輪駆動状態になり、連結を解除すると、リヤデフ179の差動回転が自由になり、後輪185、187への駆動力伝達が停止され、車両は二輪駆動状態になる。
こうして、カップリング1が構成されている。
上記のように、カップリング1は、電磁石61のコア83をデフキャリヤ37の開口79に固定して外部に露出させたことにより、従来例と異なって、電磁石61のリ−ド線123をコア83から直接デフキャリヤ37の外部に引き出している。
従って、グロメットを取り付けるための開口をデフキャリヤ37に加工する必要がないから、それだけ加工工数が減少し、加工コストが低減される。
又、グロメットを用いないでも、リ−ド線123をコア83から引き出すことによって、リ−ド線123の引き出し部から異物や水分がデフキャリヤ37に侵入することが防止される。
又、グロメットを用いないから、それだけ部品点数が減少し、部品コストが低減される。
又、回転ケ−ス45はベアリング85と電磁石61のコア83とを介してデフキャリヤ37に支承されており、このように、ベアリング85と電磁石61とを径方向に配置したカップリング1は、これらを軸方向に配置した構成に較べて、ベアリング85の配置寸法だけ軸方向に短くなっている。
又、ベアリング85にシ−ル型のベアリングを用いたことによって異物や水分の侵入とオイル漏れなどが防止されるから、ベアリング85の周辺に配置するシ−ルが不要になり、部品点数が低減され、低コストになると共に、カップリング1は、シ−ルの配置寸法だけ軸方向に短くなっている。
又、カップリング1は、ベアリング85とシ−ルの配置スペ−スだけ軸方向に短くなったことにより、大幅に軽量化されているから、上記のように、車両の各箇所に搭載する場合、配置スペ−スと負担重量の点で特に有利である。
又、カップリング1のこのようなコンパクト化に伴って、デフキャリヤ37(フロントケ−シング41)を短くすれば、更に大幅な軽量化が可能になる。
又、デフキャリヤ37の開口79に固定したカバ−63によって、走行中に飛来する障害物などからリ−ド線123が保護されるから、カップリング1の耐久性が大きく向上している。
又、このカバ−63と電磁石61のコア83とをボルト125でデフキャリヤ37に共締めしたから、デフキャリヤ37に圧入されている電磁石61の固定機能(回り止め機能)が更に強化されている。
なお、カバ−をリング状にし、ボルト125でこのカバ−と電磁石61とをデフキャリヤ37に共締めすれば、カバ−と電磁石61の間で固定手段(ボルト125)を共用することが可能になり、それだけ部品点数が低減され、低コストになる。