JP2006189064A - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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正幸 佐山
Yoshiyuki Nakabayashi
義幸 中林
Makoto Ishizuka
石塚  誠
Koji Iizuka
浩司 飯塚
Hikari Hasegawa
光 長谷川
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Abstract

【課題】 高速回転かつ高トルク伝達が可能で振動を低減する駆動力伝達装置の提供。
【解決手段】 高速回転かつ高トルク伝達が可能にすべく、モータM、減速ギヤ組2、デファレンシャル装置50、および減速ギヤ組2とデファレンシャル装置50とを収容するケーシング3とを備えた駆動力伝達装置1の振動を低減すべく、各部材の配置や支持構造などを設定した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モータからの駆動力を伝達する駆動力伝達装置に関する。
特許文献1の駆動力伝達装置は、モータの駆動力を減速する減速ギヤ組と、減速ギヤ組で減速された駆動力を出力側に配分するデファレンシャル装置と、減速ギヤ組とデファレンシャル装置とを収容するケーシングからなり、減速ギヤ組は、2組の大径ギヤと小径ギヤからなる。この駆動力伝達装置では、小型化を達成すべく、各部材の配置や支持構造などを特定している。
近年、従来構造のような駆動力伝達装置は、駆動源としてエンジンとは異なるモータを用いて車輪を駆動するために用いられるものであり、新たな4輪駆動車両、或いはハイブリッド車両などの駆動システムとして一般車両の市場に投入されるに至った。
従来のモータを駆動源とする駆動力伝達装置は、主に車両の発進がスムーズに行えるように駆動アシストするために用いられてきたが、車両の発進時にのみならず、発進後の車両の走行状態を安定化させる車速領域で使用する市場要望、すなわち、駆動力伝達装置自体の高速回転かつ高トルク伝達化の市場要望が高まってきた。
特開2003−80962号公報
このような要望を実現すべく、従来の駆動力伝達装置を検証したところ、駆動力伝達装置のような構造においては、モータと連結するトルク伝達軸が一対のベアリングで支持され、ベアリングの軸方向外側に小径ギヤを備えており、高速回転かつ高トルク伝達に対して駆動力伝達装置の振動が増大する懸念があった。
そこで、この発明は、高速回転かつ高トルク伝達が可能で振動を低減する駆動力伝達装置の提供を目的としている。
請求項1の発明は、モータの駆動力を減速する減速ギヤ組と、減速ギヤ組で減速された駆動力を出力側に配分するデファレンシャル装置と、減速ギヤ組とデファレンシャル装置とを収容するケーシングとを備えた駆動力伝達装置であって、前記減速ギヤ組は、前記モータ側からの駆動力が入力する第1回転軸上に設けられた第1小径ギヤ部と、前記第1回転軸と平行に配置された第2回転軸上に設けられ前記第1小径ギヤ部と噛み合う第1大径ギヤ部からなり、前記第1回転軸は、前記第1小径ギヤ部の軸方向両側部を一対の軸受部により前記ケーシングに回転自在に支持され、前記第2回転軸は、前記第1大径ギヤ部の軸方向両側部を一対の軸受部により前記ケーシングに回転自在に支持されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の駆動力伝達装置であって、前記第1回転軸は、前記モータ側からの駆動力が入力する入力部を軸方向一端側に備え、該入力部と前記第1小径ギヤとの軸方向間に前記軸受部が位置することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2記載の駆動力伝達装置であって、前記入力部は、前記第1回転軸の一端側の軸端面に形成された凹穴に形成されており、該入力部の外径側と前記ケーシングとの間には、シール部が設けられていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3記載の駆動力伝達装置であって、前記減速ギヤ組は、前記第2回転軸上に設けられた第2小径ギヤ部と、前記第2回転軸と平行に配置された第3回転軸に設けられ前記第2小径ギヤ部と噛み合う第2大径ギヤ部を備えることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4記載の駆動力伝達装置であって、前記第1回転軸の軸方向他端側の軸外径は、前記第1小径ギヤ部の歯底径より小さく設定され、前記第2回転軸の軸方向一端側の軸外径は、前記第2小径ギヤ部の歯底径より小さく設定されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5記載の駆動力伝達装置であって、前記第1回転軸の軸方向他端側の軸外径と前記第2回転軸の軸方向一端側の軸外径は、ニードルベアリングで支持されていることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項4記載の駆動力伝達装置であって、前記第1回転軸の軸方向一端側の前記軸受部の少なくとも一部が、前記第2回転軸の前記第2小径ギヤ部と軸方向位置が重なるように前記ケーシングの一部を挟んで半径方向に対向することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1記載の駆動力伝達装置であって、前記第1回転軸の入力部の少なくなくとも一部が、前記第2回転軸の軸方向一端側の前記軸受部と軸方向位置が重なるように前記ケーシングの一部を挟んで半径方向に対向することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項4記載の駆動力伝達装置であって、前記大径ギヤ部は、前記第2回転軸と別体に形成されて前記第2回転軸上に一体的に取付けられ、前記第2回転軸上に一体形成された前記第2小径ギヤ部と前記第2回転軸の軸方向他端側の前記軸受部との間に配置されていることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9記載の駆動力伝達装置であって、前記第2回転軸の軸方向他端側の前記軸受部は、固定部材で軸方向位置を規制され、該軸受部の軸方向に隣接する部材には、前記固定部材を取付けるための工具が挿入可能な開口が形成されていることを特徴とする。
請求項1の駆動力伝達装置は、モータから駆動力が入力する第1小径ギヤ部の軸方向両側を一対の軸受部でケーシングに支持しているので、モータの回転振れが減速ギヤ組の噛合い部以降の駆動力伝達経路の下流側に伝播することを抑制できる。
また、減速ギヤ組を確実に支持しているので、モータ側と連結して高速回転する減速ギヤ組の噛合い振動を抑制し、異音や振動の発生を最も効果的に抑制することができる。
請求項2の駆動力伝達装置は、入力部と第1小径ギヤ部との軸方向間に軸受部が配置されているので、入力部と軸受部とを第1回転軸上で軸方向にオフセット配置することで、駆動トルクに合わせた軸受サイズの設定ができる。
また、入力部の外径側に軸受部が配置されていないので、入力部の外径寸法が軸受部で制約されず、入力部の連結径の設定自由度が向上する。
請求項3の駆動力伝達装置は、入力部とシール部とが半径方向にオーバーラップしているので、減速ギヤ組の軸方向のコンパクト化を達成することができる。
また、軸受部が入力部の外径側に配置されていない、つまり、シール部と軸受部とが所定の間隔を有して軸方向にオーバーラップしているので、シール部は軸受部での第1回転軸の回転による昇熱の影響を受けにくく、シール機能が安定し耐久性が向上する。
請求項4の駆動力伝達装置は、2段減速ギヤ組を採用しているので、モータ駆動による駆動力伝達装置の駆動速度域を広範囲に設定することができる。つまり、減速ギヤ組の減速比の設定自由度を向上することができる。
請求項5の駆動力伝達装置は、第1回転軸の軸方向他端側の軸外径と第2回転軸の軸方向一端側の軸外径とをそれぞれ第1小径ギヤ部、第2小径ギヤ部の歯底径より小さく設定しているので、第1回転軸及び第2回転軸を、第1大径ギヤ部、第2大径ギヤ部の外径と干渉することなく、軸方向から支持軸受に対して組付けることができる。
請求項6の駆動力伝達装置は、第1回転軸の軸方向他端側の軸外径と第2回転軸の軸方向一端側の軸外径とをニードルベアリングで支持しているので、組付け性が良いと共に、第1回転軸と第2回転軸の軸膨張を許容するので、大小ギヤ部の噛合い歯当たりを向上し、静粛性、耐久性を向上することができる。
請求項7の駆動力伝達装置は、第1回転軸の軸方向一端側の軸受部を軸方向第2回転軸の第2小径ギヤ部側に近づけるように配置設定しているので、モータ取付け位置または入力部の位置を軸方向の中心側に近づけて配置することができる。従って、駆動力伝達装置の左右モーメントの振れを抑制することができ、駆動力伝達装置全体のバランス向上が可能となるので、車両挙動の安定化に寄与する。
請求項8の駆動力伝達装置は、第1回転軸の入力部を第2回転軸の軸方向一端側の軸受部側に近づけるように配置設定しているので、モータ取付け位置または入力部の位置を軸方向の中心側に配置することができる。従って、駆動力伝達装置の左右モーメントの振れの抑制、すなわちバランス向上が可能になり、車両挙動の安定化に寄与する。
請求項9の駆動力伝達装置は、軸受部、第1大径ギヤ部及び第2小径ギヤ部を隣接配置しているので、駆動力伝達装置の軸方向の小型化を達成することができる。
また、第1大径ギヤ部を別体に形成しているので、第2小径ギヤ部の加工を容易にすることができ、製造コストを低減することができる。
請求項10の駆動力伝達装置は、請求項1乃至請求項9の駆動力伝達装置の効果に加えて、軸受部の軸方向に隣接する部材には固定部材を取付けるための工具が挿入可能な開口が形成されているので、開口を用いて固定部材を取付けることができ、ケーシングの構造を簡易化できる。例えば、ケーシングは、2分割の椀型ケーシングを用いることができる。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1を用いて駆動力伝達装置1、101、201、301を用いた車両の動力系について説明する。なお、ここでは駆動力伝達装置1を用いているとする。
図1に示すように、動力系は、主駆動輪側と副駆動輪側とに大別される。主駆動輪側では、原動機501、フロントデフ502(原動機の駆動力を左右の前輪に配分するデファレンシャル装置)、前車軸503、503、左右の前輪504、504などが配置されている。副駆動輪側では、モータM、減速ギヤ組2、デファレンシャル装置50、後車軸505、505、左右の後輪506、506などが配置されている。また、主駆動輪側と副駆動輪側との間には、主駆動輪側のみを駆動するか、又は、主駆動輪側と副駆動輪側とを駆動するかを制御するコントローラ507が配置されている。
コントローラ507は、4輪駆動スイッチセンサ、車速センサ、加速度センサ、ブレーキセンサ、スロットル開度センサ、左右輪回転差センサ、前後輪操舵角センサなどと連結されており、各センサからの信号を受けて主駆動輪側のジェネレータ508を制御している。
主駆動輪側では、原動機501の駆動力がフロントデフ502に伝達され、フロントデフ502から前車軸503、503を介して左右の前輪504、504に配分される。原動機501には、ジェネレータ508が設けられている。ジェネレータ508は、コントローラ507と連結されており、コントローラ507によって制御されている。また、ジェネレータ508は、副駆動輪側のモータMと連結されており、原動機501の駆動力により発生した電力をモータMに供給する。
副駆動輪側では、コントローラ507によって作動されたジェネレータ508の電力を授与したモータMの駆動力が減速ギヤ組2に伝達され、減速ギヤ組2で減速された駆動力がデファレンシャル装置50に伝達され、デファレンシャル装置50から後車軸505、505を介して左右の後輪506、506に配分される。このモータMと減速ギヤ組2とデファレンシャル装置50とで駆動力伝達装置1が構成されている。
(第1実施形態)
図2及び図3を用いて第1実施形態について説明する。
本実施形態の駆動力伝達装置1は、モータMの駆動力を減速する減速ギヤ組2と、減速ギヤ組2で減速された駆動力を出力側に配分するデファレンシャル装置50と、減速ギヤ組2とデファレンシャル装置50とを収容するケーシング3とを備え、減速ギヤ組2は、モータ側からの駆動力が入力する第1回転軸4上に設けられた第1小径ギヤ部5と、第1回転軸4と平行に配置された第2回転軸6上に設けられ第1小径ギヤ部5と噛み合う第1大径ギヤ部7からなり、第1回転軸4は、第1小径ギヤ部5の軸方向両側部を一対の軸受部8、9によりケーシング3に回転自在に支持され、第2回転軸6は、第1大径ギヤ部7の軸方向両側部を一対の軸受部10、11によりケーシング3に回転自在に支持されている。
図2に示すように、モータMは、ケーシング3の外部一側に固定されている。モータMで発生した駆動力は、減速ギヤ組2に伝達されて減速される。
減速ギヤ組2は、第1回転軸4上に設けられた第1小径ギヤ部5と第2回転軸6上に設けられた第1大径ギヤ部7とを備えている。
図2及び図3に示すように、第1回転軸4は、外径上に形成された軸受面12、13でボールベアリング14とニードルベアリング15とを介して回転自在にケーシング3に収容されている。ニードルベアリング15はケーシング3の凹部16に圧入されており、このニードルベアリング15に第1回転軸4の他端側が圧入されている。第1回転軸4上の軸受面12、13とボールベアリング14、ニードルベアリング15とで、それぞれ軸受部8、9を形成している。第1回転軸4の一端側には、モータと連結した入力部17が形成されている。この入力部17は、第1回転軸4の一端側の端面に形成された凹穴18を有している。凹穴18の内径側には、スプライン部19が形成されている。このスプライン部19とモータMの駆動軸外径に形成されたスプラインとで、第1回転軸4とモータMの駆動軸とがスプライン連結されている。入力部17の外径側には、ケーシング3を密閉するシール部20が設けられている。ここで、シール部20と軸受部8との間隔は、第1回転軸4の回転によって発生する軸受部8での摺動熱がシール部20に影響を与えないように設定されている。第1回転軸4の他端側には、軸受部9が設けられている。また、第1回転軸4の他端側の軸外径21は、第1回転軸4上に設けられた第1小径ギヤ部5の歯底径22より小さく設定されている。
第1小径ギヤ部5は、第1回転軸4と一体に形成、もしくは別体に形成されて第1回転軸4と一体に取付けられている。第1小径ギヤ部5の軸方向両側には、軸受部8、9が配置されている。また、第1小径ギヤ部5は、第2回転軸6上に設けられた第1大径ギヤ部7と噛合っている。
第2回転軸6は、第1回転軸4と平行にケーシング3に収容されている。この第2回転軸6は、外径上に形成された軸受面23、24でニードルベアリング25とボールベアリング26とを介して回転自在に支持されている。ニードルベアリング25はケーシング3の凹部27に圧入されており、このニードルベアリング25に第2回転軸6の一端側が圧入されている。第2回転軸6上の軸受面23、24とニードルベアリング25、ボールベアリング26とで、それぞれ軸受部10、11を形成している。軸受部10は、第2回転軸6の一端側に設けられ、軸受部11は、第2回転軸6の他端側に設けられている。また、軸受部10、11の間には、第1大径ギヤ部7が設けられている。
第1大径ギヤ部7は、第2回転軸6と一体に形成、もしくは別体に形成されて第2回転軸6と一体に取付けられている。第1大径ギヤ部7は、第1回転軸4上に設けられた第1小径ギヤ部5と噛合っている。なお、本実施形態では、第1大径ギヤ部7と軸受部10との間に第2小径ギヤ部28が設けられている。
第2小径ギヤ部28は、第2回転軸6と一体に形成、もしくは別体に形成されて第2回転軸6と一体に取付けられている。第2小径ギヤ部28の歯底径29は、第2回転軸6の一端側の軸外径30より大きく設定されている。つまり、第2回転軸6の一端側の軸外径30は、第2小径ギヤ部28の歯底径29より小さく設定されている。また、第2小径ギヤ部28は、第1回転軸4の軸方向一端側の軸受部8の少なくとも一部と軸方向位置が重なるようにケーシング3の一部を挟んで半径方向に対向している。さらに、第2小径ギヤ部28は、デファレンシャル装置50の筒状部材(第3回転軸)51に設けられた第2大径ギヤ部31と噛合っている。
デファレンシャル装置50は、筒状部材51と、筒状部材51に収容されたデフケース52と、デフケース52に収容された差動機構53と、筒状部材51とデフケース52とを断続する断続機構54とを備えている。
筒状部材51は、ケーシング3に回転自在に収容されている。また、筒状部材51には、第2大径ギヤ部31が一体に形成、もしくは別体に形成されて筒状部材51と一体に取付けられている。この第2大径ギヤ部31によって、減速ギヤ組2で減速されたモータMの駆動力がデフケース52に収容された差動機構53側に伝達される。
デフケース52には、左右の車軸がそれぞれ挿通されるボス部55、56が形成されている。これらのボス部55、56でベアリングを介してデフケース52がケーシング3の内部に回転自在に支承されている。
差動機構53は、ピニオンシャフト57と、ピニオンシャフト57に回転自在に支承されたピニオンギヤ58と、ピニオンギヤ58と噛み合うと共に、一対の出力軸にそれぞれ連結された一対の出力ギヤ59、60とから構成されている。
ピニオンシャフト57は、端部をデフケース52に係合し、デフケース52と一体に回転駆動される。ピニオンギヤ58は、左右の出力ギヤ59、60に減速ギヤ組2で減速されたモータMの駆動力を伝達すると共に、噛み合っている左右の出力ギヤ59、60に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト57に支承されている。
出力ギヤ59、60には、ボス部61、62が形成されている。ボス部61、62を介して出力ギヤ59、60がデフケース52に回転自在に支承されている。また、ボス部61、62の内径側には、左右の車輪側に連結された車軸がスプライン連結されている。
このように構成された筒状部材51と筒状部材51の内周側に配置されたデフケース52とが断続機構54で接続されると、減速ギヤ組2で減速されたモータMの駆動力がデフケース52に収容された差動機構53を介して左右の車輪側に伝達される。
断続機構54は、電磁石63と、電磁石63の磁気的吸引力により軸方向へ移動可能に配置されたアーマチャ64と、アーマチャ64の軸方向への移動により締結されるパイロットクラッチ65と、パイロットクラッチ65の締結によりスラスト力を発生するカム機構66と、カム機構66のスラスト力をメインクラッチ68へ伝達する環状のプレッシャリング67とからなるアクチュエータに、プレッシャリング67の軸方向への移動により締結されるメインクラッチ(断続クラッチ)68とを備え、筒状部材51とデフケース52とを断続する。
電磁石63は、ケーシング3に固定されると共に、ベアリングを介してデフケース52のボス部56の外周に支持されている。アーマチャ64は、磁性体から形成され、パイロットクラッチ65を挟んで電磁石63の一側に配置されている。また、電磁石63とパイロットクラッチ65との間には、磁路形成部材69が配置されている。
パイロットクラッチ65は、筒状部材51の内周にスプライン連結された複数のアウタクラッチ板とデフケース52のボス部56の外周に嵌合されたカムリング70の外周にスプライン連結された複数のインナクラッチ板とから構成され、電磁石63とアーマチャ64との間に配置されている。このパイロットクラッチ65は、電磁石63に通電した際にアーマチャ64が電磁石63側に吸引されることにより締結され、カムリング70とプレッシャリング67との間に差回転が生じることによりカム機構66でカムスラスト力を発生させる。
カム機構66は、カムリング70と、デフケース52のボス部56の外周に配置されたプレッシャリング67と、カムリング70とプレッシャリング67との間に配置されたカムボール71とから構成されている。パイロットクラッチ65が締結されると、パイロットクラッチ65に連結されたカムリング70とプレッシャリング67との間に差回転が生じ、カム機構66のカムスラスト力によってプレッシャリング67がメインクラッチ68側へ移動されてメインクラッチ68が締結する。
メインクラッチ68は、筒状部材51の内周にスプライン連結された複数のアウタクラッチ板とデフケース52の外周にスプライン連結された複数のインナクラッチ板とから構成されている。メインクラッチ68は、パイロットクラッチ65の締結によってメインクラッチ68側に移動されたプレッシャリング67によって締結される。メインクラッチ68が締結されると、筒状部材51とデフケース52とが接続され、減速ギヤ組2で減速されたモータMの駆動力が左右の車輪側に伝達される。
なお、72、73はボールベアリングであり、このボールベアリング72、73を介して、デフケース52の両端がケーシング3に回転自在に支持されている。また、74は一対のボールベアリングであり、このボールベアリング74を介して、デフケース52が回転自在に筒状部材51に収容されている。
以上のように構成された減速ギヤ組2とデファレンシャル装置50は、ケーシング3の内部に収容されている。そこで、ケーシング3の構成について説明する。
ケーシング3は、モータ側ケーシング32と、カバーケーシング33とから構成されている。モータ側ケーシング32の一側には、モータMが取付けられるモータ取付面34が形成されている。モータ取付面34には、第1回転軸4の入力部17が配置されている。モータ側ケーシング32の他側には、減速ギヤ組2とデファレンシャル装置50とを収容するための大開口部35が形成されている。この大開口部35側にカバーケーシング33が取付けられる。
カバーケーシング33のモータ側ケーシング32の大開口部35と対向する側には、減速ギヤ組2とデファレンシャル装置50とを収容するための大開口部36が形成されている。大開口部36の軸方向反対側には、開口37が形成されている。開口37の口径38は、軸受部11のボールベアリング26を固定するための固定部材39、39を取付ける工具が挿入可能な大きさとなっている。また、開口37には、キャップ40が配置されて、開口37を閉塞している。
なお、大開口部35、36を対向して封鎖するように複数本のボルト75によってモータ側ケーシング32とカバーケーシング33が固定されている。
このように、モータMの駆動力を減速する減速ギヤ組2と、減速ギヤ組2で減速された駆動力を出力側に配分するデファレンシャル装置50と、減速ギヤ組2とデファレンシャル装置50とを収容するケーシング3とを備えた駆動力伝達装置1が構成されている。
次に、減速ギヤ組2のケーシング3への組付け、及び減速ギヤ組2のギヤ部の加工について説明する。
第1回転軸4をケーシング3に組付ける際には、軸受部8を構成するボールベアリング14を、第1回転軸4上に予め組付け、スナップリング76により固定する。軸受部9を構成するニードルベアリング15は、予めケーシング3の凹部16に圧入し、スナップリング77により固定する。そして、この圧入されたニードルベアリング15に第1回転軸4の他端側を圧入して第1回転軸4をケーシング3に組付ける。第2回転軸6をケーシング3に組付ける際には、軸受部11を構成するボールベアリング26を、第2回転軸6上に予め組付ける。軸受部10を構成するニードルベアリング25は、予めケーシング3の凹部27に圧入しておく。そして、この圧入されたニードルベアリング25に第2回転軸6の一端側を圧入して第2回転軸6をケーシング3に組付ける。
また、第1大径ギヤ部7を第2回転軸6と別体で形成し、第2回転軸6上に第2小径ギヤ部28を一体に形成する場合、第2小径ギヤ部28は、製造工程で第1大径ギヤ部7の干渉がないので、歯切り加工などで容易にギヤ部を形成される。さらに、この場合、第2小径ギヤ部28に対して、最終寸法を確保するためのシェービング加工もでき、容易に所定の歯車精度を得ることができる。そして、第2小径ギヤ部28の最終的なギヤ部の加工が終了した後、第1大径ギヤ部7を第2回転軸6に一体に設ける。なお、各ギヤ部は、歯切り加工に限定されるものではなく、鍛造、転造、焼結などで形成可能である。
また、カバーケーシング33には、軸受部11のボールベアリング26を固定するための軸寸法調整ワッシャ39’とスナップリング39からなる固定部材を取付ける工具が挿入可能な開口37が形成されているので、カバーケーシング33とモータ側ケーシング32とを組付けた後でも、ボールベアリング26に対して固定部材39、39’を取付けることができる。また、固定部材39、39’を取付けた後、開口37をキャップ40によって閉塞する。なお、78、79はスナップリングであり、それぞれボールベアリング14、26をケーシング3に固定している。
次に、駆動力伝達装置1の機能について説明する。
モータMから駆動力が入力部17に伝達されると、第1回転軸4が回転し、第1回転軸4上に一体に設けられた第1小径ギヤ部5も回転する。この第1小径ギヤ部5の回転により、第1小径ギヤ部5と噛合っている第1大径ギヤ部7が回転する。この第1大径ギヤ部7の回転により、第1大径ギヤ部7と一体に設けられた第2回転軸6が回転する。この第2回転軸6の回転により、第2回転軸6上に一体に設けられた第2小径ギヤ部28が回転する。この第2小径ギヤ部28の回転により、第2小径ギヤ部28と噛合っている第2大径ギヤ部31が回転する。そして、この第2大径ギヤ部31の回転により、第2大径ギヤ部31と一体に設けられた筒状部材(第3回転軸)51が回転する。
このようにして、モータMからの駆動力が減速ギヤ組2で減速されてデファレンシャル装置50側に伝達される。
なお、減速ギヤ組2で減速された駆動力を車輪側に伝達する場合、断続機構54のメインクラッチ68を締結して筒状部材51とデフケース52とを接続すれば良い。また、メインクラッチ68を締結しなければ、筒状部材51とデフケース52とが接続されず、減速ギヤ組2で減速された駆動力が車輪側に伝達されない。
このような駆動力伝達装置1では、モータMから駆動力が入力する第1小径ギヤ部5の軸方向両側を一対の軸受部8、9でケーシング3に支持しているので、モータMの駆動軸の回転振れが減速ギヤ組2の噛合い部以降の駆動力伝達経路の下流側に伝播することを抑制できる。また、減速ギヤ組2を確実に支持しているので、モータ側と連結して高速回転する減速ギヤ組2の噛合い振動を抑制し、異音や振動の発生を最も効果的に抑制することができる。
さらに、入力部17と第1小径ギヤ部5との軸方向間に軸受部8が配置されているので、入力部17と軸受部8とを第1回転軸4上で軸方向にオフセット配置することで、駆動トルクに合わせた軸受サイズの設定ができる。例えば、ボールベアリング(軸受)14の小型化が図れ軸受寿命が延び耐久性が向上すると共に、小型化・低コスト化が図れる。
また、入力部17の外径側に軸受部8が配置されていないので、入力部17の外径寸法が軸受部8で制約されず、入力部17の連結径の設定自由度が向上する。このため、ケーシング3に取付けられるモータ容量の設定選択肢を向上させる。
さらに、入力部17とシール部20とが半径方向にオーバーラップしているので、減速ギヤ組2の軸方向のコンパクト化を達成することができる。加えて、シール部20と軸受部8とが所定の間隔を有して軸方向にオーバーラップしているので、シール部20は軸受部8での第1回転軸4の回転による昇熱の影響を受けにくく、シール機能が安定し耐久性が向上する。
また、減速ギヤ組2は2段減速ギヤ組を採用しているので、モータ駆動による駆動力伝達装置1の駆動速度域を広範囲に設定することができる。つまり、減速ギヤ組2の減速比の設定自由度を向上することができる。
さらに、第1回転軸4の軸方向他端側の軸外径21と第2回転軸6の軸方向一端側の軸外径30とをそれぞれ第1小径ギヤ部5、第2小径ギヤ部28の歯底径22、30より小さく設定しているので、第1回転軸4及び第2回転軸6を、第1大径ギヤ部7、第2大径ギヤ部31の外径と干渉することなく、軸方向から軸受部9、10に対して組付けることができる。
また、第1回転軸4の軸方向他端側の軸外径と第2回転軸6の軸方向一端側の軸外径とをニードルベアリング15、25で支持しているので、組付け性が良いと共に、第1回転軸4と第2回転軸6の軸膨張を許容するので、大小ギヤ部の噛合い歯当たりを向上し、静粛性、耐久性を向上することができる。
さらに、第1回転軸4の軸方向一端側の軸受部8を軸方向第2回転軸6の第2小径ギヤ部28側に近づけるように配置設定しているので、モータ取付面34または入力部17の位置を軸方向の中心側に配置することができる。従って、駆動力伝達装置1の左右モーメントの振れを抑制することができ、駆動力伝達装置1全体のバランス向上が可能となるので、車両挙動の安定性向上に貢献することができる。
また、軸受部10、第1大径ギヤ部7及び第2小径ギヤ部28を隣接配置しているので、駆動力伝達装置1の軸方向の小型化を達成することができる。さらに、第1大径ギヤ部7を別体に形成した場合、第2小径ギヤ部28の加工を容易にすることができ、製造コストを低減することができる。
また、軸受部11の軸方向に隣接するケーシング3には固定部材39、39’を取付けるための工具が挿入可能な開口37が形成されているので、開口37を用いて固定部材39、39’を取付けることができ、ケーシング3の構造を簡易化できる。例えば、ケーシング3は、モータ側ケーシング32とカバーケーシング33のように2分割の椀型ケーシングを用いることができる。
なお、本実施形態では、減速ギヤ組2を2段減速ギヤ組としたが、第1大径ギヤ部7と第2大径ギヤ部31とが噛合う減速ギヤ組としても良い。
(第2実施形態)
図4を用いて第2実施形態について説明する。
本実施形態の駆動力伝達装置101は、第1回転軸104の入力部117の少なくなくとも一部が、第2回転軸106の軸方向一端側の軸受部110と軸方向位置が重なるようにケーシング3の一部を挟んで半径方向に対向している。なお、他の構成については、図1に示す第1実施形態の駆動力伝達装置1と同構成なので、同様の符号を記し、説明は省略するが、同様な構成によって得られる効果も同様である。
図4に示すように、第1回転軸104の軸方向一端側には、入力部117を形成する凹穴118が形成されている。この入力部117は、図1に示す入力部17と比較して、凹穴118の先端部141とモータ(不図示)の駆動軸の先端面142とが近接している。
また、第2回転軸106の軸方向一端側には、軸受部110が形成されている。この軸受部110は、図1に示す軸受部10と比較して、第2回転軸106の軸方向一端側の端面143と端面143と対向するケーシング3の面144とが近接している。つまり、軸受部110とケーシング3の面144とが近接している。
このようにして、第1回転軸104の入力部117の少なくなくとも一部が、第2回転軸106の軸方向一端側の軸受部110と軸方向位置が重なるようにケーシング3の一部を挟んで半径方向に対向している。
このような駆動力伝達装置101では、第1回転軸104の入力部117を第2回転軸106の軸方向一端側の軸受部110側に近づけるように配置設定しているので、モータ取付面34または入力部117の位置を軸方向の中心側に配置することができる。従って、駆動力伝達装置101の左右モーメントの振れの抑制、すなわちバランス向上が可能になり、車両挙動の安定性向上に貢献することができる。
(第3実施形態)
図5を用いて第3実施形態について説明する。
本実施形態の駆動力伝達装置201では、第2回転軸6の軸方向他端側のボールベアリング26(軸受部11)は、スナップリング(固定部材)245で軸方向位置を規制され、軸受部11の軸方向に隣接する第1大径ギヤ部(部材)207には、固定部材を取付けるための工具が挿入可能な開口246が形成されている。なお、他の構成については、図1に示す第1実施形態の駆動力伝達装置1と同構成なので、同様の符号を記し、説明は省略するが、同様な構成によって得られる効果も同様である。
図5に示すように、第2回転軸6の軸方向他端側のボールベアリング26は、スナップリング245で軸方向位置を規制されている。スナップリング245の軸方向一側には、第1大径ギヤ部207が隣接されている。第1大径ギヤ部207には、スナップリング245を取付けるための工具が挿入可能な開口246が形成されている。なお、固定部材39、39と対向するケーシング3の壁部には、開口が形成されていない。また、第1回転軸4の他端側の軸受部9には、ボールベアリング247が設けられている。
このような駆動力伝達装置201では、第2回転軸6上に第1大径ギヤ部207を一体に設けた後でも、第1大径ギヤ部207にはスナップリング245を取付けるための工具が挿入可能な開口246が形成されているので、ボールベアリング26にスナップリング245を取付けることができる。このため、ケーシング3の構造を簡易化できる。
なお、ケーシング3の固定部材39、39と対向する壁部に固定部材39、39を取付けるための工具が挿入可能な開口を形成しても良い。
(第4実施形態)
図6を用いて第4実施形態について説明する。
本実施形態の駆動力伝達装置301では、第2回転軸6の軸方向他端側のボールベアリング26(軸受部11)は、固定板345によって固定されている。なお、他の構成については、図1に示す第1実施形態の駆動力伝達装置1と同構成なので、同様の符号を記し、説明は省略するが、同様な構成によって得られる効果も同様である。
図6に示すように、固定板345には、第1大径ギヤ部7のギヤ部の外径より大きい位置に設定された複数の取付穴348が形成されている。この取付穴348と対向するケーシング3の内壁には、取付孔349が形成されている。この取付穴348と取付孔349とを合わせてネジでネジ止めすることによって、固定板345がケーシング3に固定される。
このような駆動力伝達装置301では、第2回転軸6上に第1大径ギヤ部7を一体に設けた後でも、固定板345の取付穴348は第1大径ギヤ部7のギヤ部の外径より大きく設定されているので、第1大径ギヤ部7のギヤ部と干渉することなく、固定板345をケーシング3に取付けることができる。
なお、デファレンシャル装置50は、各実施形態のようなベベル式の差動ギヤ組を用いたものに限らない。例えば、プレネタリーギヤ、フェースギヤ、ウォームギヤなど他の差動ギヤ組、または左右両輪各々に設けたクラッチ機構を用いて左右車輪間の差動機能を生じさせても良い。
また、本願の駆動力伝達装置1、101、201、301は、副駆動輪側に搭載された例を示しているが、モータ駆動力のみで走行させる電気自動車の駆動系に単独搭載しても良い。
さらに、減速ギヤ組2は、3段以上の減速段を有しても良いし、プレネタリーギヤ組を動力経路のいずれにかに設けても良い。
また、各ギヤ部の歯数は、使用回転域で共振又は振動、騒音の問題を極力低減できるように設定されている。例えば、第1ギヤ組と第2ギヤ組の単独の問題又は第1、第2ギヤ組間の問題を考慮して歯数や歯数比を決定するのは、机上及び解析から導き出すことができる。
加えて、上記各実施形態では、主駆動輪側のジェネレータ508と副駆動輪側のモータMとが直結しているとしたが、図7に示すように、ジェネレータ608とモータMとをバッテリー609に接続しても良い。この動力系では、モータMはバッテリー609から電力が供給されている。そして、コントローラ507の制御信号によってモータMが作動する。
また、この動力系では、モータMを駆動源として使用する場合と、モータMをジェネレータとして使用することができる。すなわち、モータMは、インバータ610を介してバッテリー609に接続され、ジェネレータとして使用する場合に発電した電力をインバータ610を介してバッテリー609に充電する。また、モータMを駆動源として用いる場合は、バッテリー609からの電力によってモータMが作動する。さらに、ジェネレータ608とバッテリー609との間にも、インバータ611が配置されている。こうして、原動機501の駆動力によって作動したジェネレータ608の電力がバッテリー609に充電される。また、後輪506、506の回転によりジェネレータとして用いたモータMの電力がバッテリー609に充電される。
従って、このような動力系では、原動機501の駆動による電力や後輪506、506の回転によるバッテリー609への充電により、燃費を向上することができる。
また、本願の駆動力伝達装置の減速ギヤ組以外にも、広義で見れば、噛合い方式としてローラとディスクあるいはシリンダからなるトロイダル方式(摩擦駆動方式)の減速ギヤ組を用いても良く、軸支持構造は本願の配置構造を適用可能である。
車両の動力系の概略図である。 駆動力伝達装置1の断面図である。 駆動力伝達装置1の右側面図である。 駆動力伝達装置101の断面図である。 駆動力伝達装置201の断面図である。 駆動力伝達装置301の断面図である。 車両の動力系の概略図である。
符号の説明
1、101、201、301…駆動力伝達装置
2…減速ギヤ組
3…ケーシング
4、104…第1回転軸
5…第1小径ギヤ部
6、106…第2回転軸
7、207…第1大径ギヤ部
8…軸受部
9…軸受部
10、110…軸受部
11…軸受部
14…ボールベアリング
15…ニードルベアリング
17、117…入力部
20…シール部
21…軸外径
22…歯底径
25…ニードルベアリング
26…ボールベアリング
28…第2小径ギヤ部
29…歯底径
30…軸外径
31…第2大径ギヤ部
32…モータ側ケーシング
33…カバーケーシング
34…モータ取付面
37…開口
39、39’…固定部材(スナップリング、ワッシャ)
50…デファレンシャル装置
51…筒状部材
52…デフケース
53…差動機構
54…断続機構
245…スナップリング
246…開口
247…ボールベアリング
345…固定板
348…取付穴
349…取付孔
501…原動機
502…フロントデフ
507…コントローラ
508、608…ジェネレータ
609…バッテリー
610、611…インバータ
M、M…モータ

Claims (10)

  1. モータの駆動力を減速する減速ギヤ組と、減速ギヤ組で減速された駆動力を出力側に配分するデファレンシャル装置と、減速ギヤ組とデファレンシャル装置とを収容するケーシングとを備えた駆動力伝達装置であって、
    前記減速ギヤ組は、前記モータ側からの駆動力が入力する第1回転軸上に設けられた第1小径ギヤ部と、前記第1回転軸と平行に配置された第2回転軸上に設けられ前記第1小径ギヤ部と噛み合う第1大径ギヤ部からなり、
    前記第1回転軸は、前記第1小径ギヤ部の軸方向両側部を一対の軸受部により前記ケーシングに回転自在に支持され、前記第2回転軸は、前記第1大径ギヤ部の軸方向両側部を一対の軸受部により前記ケーシングに回転自在に支持されていることを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の駆動力伝達装置であって、
    前記第1回転軸は、前記モータ側からの駆動力が入力する入力部を軸方向一端側に備え、該入力部と前記第1小径ギヤとの軸方向間に前記軸受部が位置することを特徴とする駆動力伝達装置。
  3. 請求項2記載の駆動力伝達装置であって、
    前記入力部は、前記第1回転軸の一端側の軸端面に形成された凹穴に形成されており、該入力部の外径側と前記ケーシングとの間には、シール部が設けられていることを特徴とする駆動力伝達装置。
  4. 請求項1乃至請求項3記載の駆動力伝達装置であって、
    前記減速ギヤ組は、前記第2回転軸上に設けられた第2小径ギヤ部と、前記第2回転軸と平行に配置された第3回転軸に設けられ前記第2小径ギヤ部と噛み合う第2大径ギヤ部を備えることを特徴とする駆動力伝達装置。
  5. 請求項4記載の駆動力伝達装置であって、
    前記第1回転軸の軸方向他端側の軸外径は、前記第1小径ギヤ部の歯底径より小さく設定され、前記第2回転軸の軸方向一端側の軸外径は、前記第2小径ギヤ部の歯底径より小さく設定されていることを特徴とする駆動力伝達装置。
  6. 請求項5記載の駆動力伝達装置であって、
    前記第1回転軸の軸方向他端側の軸外径と前記第2回転軸の軸方向一端側の軸外径は、ニードルベアリングで支持されていることを特徴とする駆動力伝達装置。
  7. 請求項4記載の駆動力伝達装置であって、
    前記第1回転軸の軸方向一端側の前記軸受部の少なくとも一部が、前記第2回転軸の前記第2小径ギヤ部と軸方向位置が重なるように前記ケーシングの一部を挟んで半径方向に対向することを特徴とする駆動力伝達装置。
  8. 請求項1記載の駆動力伝達装置であって、
    前記第1回転軸の入力部の少なくなくとも一部が、前記第2回転軸の軸方向一端側の前記軸受部と軸方向位置が重なるように前記ケーシングの一部を挟んで半径方向に対向することを特徴とする駆動力伝達装置。
  9. 請求項4記載の駆動力伝達装置であって、
    前記大径ギヤ部は、前記第2回転軸と別体に形成されて前記第2回転軸上に一体的に取付けられ、前記第2回転軸上に一体形成された前記第2小径ギヤ部と前記第2回転軸の軸方向他端側の前記軸受部との間に配置されていることを特徴とする駆動力伝達装置。
  10. 請求項1乃至請求項9記載の駆動力伝達装置であって、
    前記第2回転軸の軸方向他端側の前記軸受部は、固定部材で軸方向位置を規制され、該軸受部の軸方向に隣接する部材には、前記固定部材を取付けるための工具が挿入可能な開口が形成されていることを特徴とする駆動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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