JP2008230632A - チューブ式容器 - Google Patents

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哲 竹花
Manabu Okamoto
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Yasutake Ono
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Misao Tsubakihara
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Abstract

【課題】 使用時に容器を前傾するか否かにかかわらず、エアゾール缶容器であっても、吸上げることができない容器内の液体残量を極力少なくしながら、最後まで一定の吐出量で安定して吐出することができるチューブ式容器を提供すること。
【解決手段】 容器内に収容した液体を、容器底部からチューブを通して吸上げて容器上部から吐出するチューブ式容器であって、前記チューブの下端は、前記容器底部の内表面に接触し、該容器底部の内表面は、少なくとも前記チューブの下端が接触する範囲が凸凹で、該内表面に前記チューブの下端が密着しないようになっていることを特徴とするチューブ式容器とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、チューブ式容器に関し、より詳しくは、安定して収容された内容物を最後まで吐出することが可能な底部形状を有するチューブ式容器に関するものである。
容器内に収容された液体を、例えば霧状にして吐出(噴射)するスプレー容器(非圧力容器)やエアゾール缶容器等においては、容器内に備えられたチューブによって液体を吸い上げるようになっている。
そのチューブは、容器内の液体が少なくなっても吸い上げることができるように、容器の底部に達するように、容器毎に精密にチューブ長が設計される。ところが、チューブ先端が容器底部に密着するくらい近いと、チューブから液体を吸引し難くなり、吐出量(噴射量)が極端に少なくなる。
このような吐出量の変動がなく、一定の吐出量で安定して容器内の液体を吐出できるように、チューブの長さを短くしたり、チューブ下を斜めにしたりすることが行われている。しかしながら、これらのようにした場合、チューブによって吸引されずに容器内に残留する液体が多くなってしまう。
そこで、容器内に収容した液体を最後まで充分に吸い上げるものとして、チューブの下端を屈曲させて容器底の隅部に位置させ、吐出方向と、チューブ下端の屈曲方向を一致させることが提案されている(下記特許文献1及び2参照)。
これによって、前傾状態での使用で液体の残量が少なくなっても、最後まで的確に吸上げることができる。
しかしながら、これらの容器を前傾させないで吐出する場合には、残り少なくなった液体を的確に吸上げることはできず、残量も多くなる。透明容器であれば、前傾させると吸上げやすくなることが分かるが、中が見えないエアゾール缶容器等に適用しても確実に効果を奏することは期待できない。
容器を前傾することなく収容した液体を最後まで吸上げるものとしては、チューブの下端に位置する容器底の部分に残り少なくなった液体が集まるようにすることが提案されている。具体的には、下記特許文献3のように容器の底部内面を擂り鉢状にしたり、下記特許文献4のように、容器の底部形状を内側に向かって馬蹄形に膨出して容器底部周縁部と中央部を連結する1本溝を設けたりしている。また、より確実に最後まで吸上げるため、下記特許文献5のように、容器の底部分にテーパー角を付けて中心に凹部を設け、チューブの端部に切り込みを入れたものも提案されている。
これらの容器では、残り少なくなってチューブ下の一箇所に集まった液体を、チューブで吸上げることができる。特に下記特許文献5では切り込みが入れられたチューブ下端が容器底部に接しても密着せず、吐出量が極端に少なくなることがなく、安定して吸上げることができる。
しかしながら、これらの容器は、前傾するとチューブ下に液体が集まらないので、前傾して用いる一般的な容器には適用することができない。
また、中が見えず前傾して用いるエアゾール容器において、収容した液体を完全に排出するものとして、チューブ部分を排出管、可撓性管、圧縮ばね及び可動ノズルで構成したものを挙げることができる(下記特許文献6参照)。具体的には、排出管の下端部に半径方向へ湾曲するように付勢された可撓性管が接続され、可撓性管には圧縮ばねと可動ノズルが嵌挿され、可動ノズルは圧縮ばねに連結され、ばね圧によって可撓性管から押し出すように付勢されている。
この容器によれば、容器底部に溜っている内容物を完全に排出することができ、可撓性管に無理な力がかからず、可撓性管が折れ曲る等の不都合もない。
しかしながら、この構成は複雑であるとともに、前傾の方向によっては湾曲した可撓性管の先の可動ノズルから残り少なくなった液体を吸上げることができない。
このように、エアゾール缶、非圧力容器等の容器の種類や、前傾するか否か等の使用方法に関わりなく、適用可能で有効な提案はない。
特開平8−11957号公報 特開平10−53269号公報 実開平5−35648号公報 特開2003−237863号公報 登録実用新案第3041807号公報 特開2001−324098号公報
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、使用時に容器を前傾するか否かにかかわらず、エアゾール缶容器であっても、吸上げることができない容器内の液体残量を極力少なくしながら、最後まで一定の吐出量で安定して吐出することができるチューブ式容器を提供するものである。
請求項1に係る発明は、容器内に収容した液体を、容器底部からチューブを通して吸上げて容器上部から吐出するチューブ式容器であって、前記チューブの下端は、前記容器底部の内表面に接触し、該容器底部の内表面は、少なくとも前記チューブの下端が接触する範囲が凸凹で、該内表面に前記チューブの下端が密着しないようになっていることを特徴とするチューブ式容器に関する。
請求項2に係る発明は、前記凸凹は、前記内表面に刻まれた溝によって形成されていることを特徴とする請求項1記載のチューブ式容器に関する。
請求項3に係る発明は、前記内表面の凸凹に対応して外表面が凹凸で、前記容器底部は略均一な厚みになっていることを特徴とする請求項1記載のチューブ式容器に関する。
請求項4に係る発明は、前記凸凹における各凸部及び凹部は、チューブの下端面と面接する平面部分を有しないことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のチューブ式容器に関する。
請求項1に係る発明によれば、収容した液体を底部からチューブを通して吸上げて上部から吐出するチューブ式容器において、チューブの下端を底部の内表面に接触させ、底部の内表面は、少なくともチューブの下端が接触する範囲が凸凹で、チューブの下端が密着しないようになっているので、チューブの下端を底部の内表面に接触させて備えても、その内表面にチューブの下端が密着することがないので、内容液を吸引し難くならずに安定して吸引することができるとともに、容器内で吸引することができない内容液の残存量をより少なくすることができる。
請求項2に係る発明によれば、前記凸凹は内表面に刻まれた溝によって形成されているので、チューブのサイズに応じたサイズの溝を有する容器を、比較的容易に作成することができる。
請求項3に係る発明によれば、前記内表面の凸凹に対応して外表面が凹凸で、底部は略均一な厚みになっているので、チューブの下端が底部の内表面に密着することがなく、凹部から内容液を安定に吸引することができるとともに、底部が略均一な厚みになっていることによって、底部の強度を確保することができる。
請求項4に係る発明によれば、前記凸凹における各凸部及び凹部は、チューブの下端面と面接する平面部分を有しないので、チューブの下端と面接する平面部分がなく、チューブの下端が凸凹と密着する可能性を低くすることができる。
以下、本発明に係るチューブ式容器の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るチューブ式容器の実施形態の第一例を示し、(a)は全体構成図、(b)は底部断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
実施形態の第一例のチューブ式容器は、エアゾール缶(11)であって、缶本体(2)と、この本体内の内容液を吸上げるチューブ(3)と、チューブ(3)によって吸上げられた内容液を容器外へ放出する吐出部(4)とで構成される。
缶本体(2)は、円筒状の缶胴(21)、底蓋(22)及び天蓋(23)からなる。
チューブ(3)は、その下端を底蓋(22)の内面略中央と接触して略垂直に備えられている。このようにチューブ(3)が略垂直に備えられるのは、例えば、粘性が高い等の性質を有する内容液を吸い上げるため、チューブ(3)として比較的太くて、曲がらないような固いものを採用する必要がある場合である。このようなチューブ(3)のサイズ例としては、外径(a)が約5mm、厚み(c)が約1mmで、内径(b)が約3mmのものを挙げることができる。
缶本体(2)の底部の内表面には、溝(5)が刻まれて凸凹になっている。
底蓋(22)は、内圧に対する耐圧性を付与するために湾曲されている。なお、エアゾール缶(11)においても内圧が低い場合には、図2に示すように底蓋(22)はフラットに構成することが可能であり、底蓋(22)がフラットな底部の内表面においても、湾曲されている場合と全く同様に溝(5)が刻まれ、後述するような湾曲されている場合と全く同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態において缶本体(2)の底部とは、底蓋(22)のみでなく缶胴(21)の下部を含む部分をいう。
図3は、図1の缶本体底部の内表面を上方から見た平面図である。図4(a)は、図1(b)の中央付近を上方から見た部分拡大平面図であり、(b)は好ましくない例の部分拡大平面図である。
本実施形態の第一例では、溝(5)は、缶本体(2)の底部の内表面に、同じ間隔で格子状に刻まれている。溝(5)の幅(d)は極狭く、チューブ(3)の外径(a)、内径(b)及び厚み(c)は、いずれも溝(5)の幅(d)より広く設定されている。また、各溝(5)の間隔(e)は、厚み(c)よりは広いが内径(b)よりは狭く設定されている。なお、間隔(e)は、幅(d)と同様に極狭く形成して、厚み(c)より狭く設定してもよい。
これに対して図4(b)の好ましくない例では、溝(5)の間隔(e)がチューブ(3)の外形(a)よりは狭くて内径(b)より広く設定されているため、チューブ(3)の下端が缶本体(2)の底部の内表面に密着し、この下端から内容液を吸引し難くなる。
具体的なチューブ(3)及び溝(5)のサイズとしては、例えば、チューブ(3)は、外径(a)が1〜10mm程度、厚み(c)が0.1〜2mm程度で、内径(b)が0.5〜8mm程度のものが備えられる。このようなサイズのチューブ(3)に対して、溝(5)は、幅(d)及び間隔(e)はいずれも、0.1〜8mm、好ましくは0.3〜3mm、深さは0.01〜1mm程度、好ましくは0.01〜0.5mmに設定することができる。
溝(5)の幅(d)及び間隔(e)を0.3〜3mmに設定すれば、一般的なサイズのチューブ(3)を備える場合、チューブ(3)が溝(5)に嵌まることなく、内径(b)の中に溝(5)が位置することになり、チューブ(3)の下端が底部の内表面に密着しないようにすることができる。
また、溝(5)の深さを0.01〜0.5mmに設定すれば、缶本体(2)の底部の強度低減を抑えることができる。
このようなチューブ(3)及び溝(5)のサイズ設定において、缶本体(2)の底部の内表面に溝(5)を刻むことによって、チューブ(3)のサイズに応じて溝(5)のサイズを容易に変更して溝(5)を形成することができる。これに対し、例えばプレス加工の場合には金型を必要とするので、変更が容易とは言えない。
本実施形態の第一例では、溝(5)が格子状に刻まれ、チューブ(3)の厚み(c)が、その溝(5)の幅(d)より広く設定されていることによって、チューブ(3)が溝(5)に嵌まることがない。また、内径(b)より間隔(e)が狭く設定されていることによって、チューブ(3)の内径(b)の中に必ず溝(5)が位置し、チューブ(3)の下端が缶本体(2)の底部の内表面に密着することがなく、この溝(5)から内容液を吸引することができる。
即ち、従来のようにチューブ(3)の下端を缶本体(2)の底部の内表面から離すことなく、接触させて備えても、その内表面にチューブ(3)の下端が密着することがないので、内容液を吸引し難くならずに安定して吸引することができるとともに、容器内で吸引することができない内容液の残存量をより少なくすることができる。
また、チューブ(3)については、精密な長さ設計を必要とせず、底部の内表面に接するように備えればよく、下端も容器の底部形状等を考慮して斜めに切断する必要はなく、チューブ(3)の軸心方向と直角方向に切断したものを使用することができる。
なお、本実施形態の第一例のようなチューブ式容器において、チューブ(3)の下端は、缶本体(2)の底部の中央付近以外に位置することはないので、溝(5)は最小限この中央付近に刻まれていればよいことになる。
この第一例のように、格子状の溝(5)が底部に刻まれている場合には、上述のようなチューブ(3)と溝(5)とのサイズ関係であれば、チューブ(3)が溝(5)に嵌まらず、チューブ(3)の内径(b)の中に溝(5)が位置し、チューブ(3)の下端が底部の内表面に密着しないようになり、内容液を安定して吸引でき、残存量も少なくすることができる。
よって、本発明に係るチューブ式容器は、第一例のような、溝(5)の形状やチューブ(3)と溝(5)とのサイズ関係に限らず、チューブ(3)が溝(5)に嵌まらず、チューブ(3)の内径(b)の中に溝(5)が位置するようになっていればよい。
図5は、実施形態の第二例のチューブ式容器の底部の内表面を上方から見た平面図である。図6(a)は、図5の中央付近にチューブが位置する状態を上方から見た部分拡大平面図であり、(b)は好ましくない例の部分拡大平面図である。
本第二例のチューブ式容器は、缶本体(2)の底部の内表面に刻まれる溝(5)の形状が同心円状であること以外は、第一例と全く同様に構成されている。
第二例においても、第一例と同様、溝(5)は、缶本体(2)の底部の内表面に同じ間隔で刻まれ、溝(5)の幅は極狭く、チューブ(3)の外径(a)、内径(b)及び厚み(c)は、いずれも溝(5)の幅(d)より広く設定されている。
また、各溝(5)の間隔(f)は、幅(d)と略同じで、厚み(c)及び内径(b)より狭く設定されている。
これに対して図6(b)の好ましくない例では、溝(5)の間隔(f)がチューブ(3)の厚み(c)より広く設定されているため、この間隔(f)を構成している缶本体(2)の底部の内表面に、チューブ(3)の下端が密着し、この下端から内容液を吸引し難くなる。
具体的な溝(5)のサイズは、第一例と同様に設定することができる。
本実施形態の第二例では、溝(5)が同心円状に刻まれ、チューブ(3)の厚み(c)が、同心円状の溝(5)の幅(d)より広く設定されていることによって、チューブ(3)が溝(5)に嵌まることがない。また、内径(b)より溝(5)の幅(d)及び間隔(f)が狭く設定されていることによって、チューブ(3)の内径(b)の中に必ず溝(5)が位置し、チューブ(3)の下端が缶本体(2)の底部の内表面に密着することがないので、第一例と同様に、内容液を吸引し難くならずに安定して吸引することができるとともに、容器内で吸引することができない内容液の残存量をより少なくすることができる。
ただし、図示例のように、チューブ(3)の軸心と、同心円状の溝(5)の中心とが略一致するとき、チューブ(3)の厚み(c)の部分が、溝(5)を塞いでしまったり、溝(5)の間隔(f)部分と密接して隣接する溝(5)間での内容液の移動を制限してしまったりすることも考えられる。このような状態を避けるため、各溝(5)が繋がるように渦巻き状に溝(5)を刻むようにしてもよい。また、チューブ(3)の軸心と、同心円状の溝(5)の中心とが一致しないように、チューブ(3)を備え、又は、溝(5)を刻むことによって、前記のような状態を避けることができる。
このように、本発明に係るチューブ式容器は、缶本体(2)の底部の内表面が凸凹で、その内表面にチューブ(3)の下端が密着しないようになっていればよく、具体例としては、溝(5)を刻んで凸凹を形成する場合、チューブ(3)が溝(5)に嵌まらず、チューブ(3)の内径(b)の中に溝(5)が位置するようになっていればよい。従って、溝の形状としては、第一例の格子状及び第二例の同心円状や渦巻き状に限定されず、第一例及び第二例を合わせた格子状と同心円状のコンビネーション(図7参照)であってもよく、その他種々の形状を採用することができる。
また、本発明に係るチューブ式容器は、缶本体(2)の底部の内表面が凸凹で、その内表面にチューブ(3)の下端が密着しないようになっていればよいので、その内表面には、溝(5)が刻まれて凸凹になっている必要はない。例えばプレス加工等によって凸凹が形成されていてもよい。
図8は、実施形態の第三例のチューブ式容器の底部の内表面を示し、(a)はチューブが位置する付近を上方から見た部分拡大平面図であり、(b)は(a)のA−A切断面である。
本第三例のチューブ式容器は、缶本体(2)の底部の内表面にプレス加工によって四角錐が形成され、その頂点(6)付近が凸に、隣接する四角錐との境界(7)付近が凹になって凸凹を構成していること以外は、第一例と全く同様に構成されている。
本第三例では、内表面に形成された四角錐の頂点(6)付近に、チューブ(3)の下端が被さるようになっている。図示例では、チューブ(3)の下端が2つの頂点(6)に被さり、図8(a)のようにチューブ(3)の左右は頂点(6)付近と密着しているが、図8(b)から判るようにチューブ(3)の前後には四角錐との隙間がある。このような隙間は、軸心の直角方向の断面が円形のチューブ(3)と、複数の四角錐からなる凸凹とを採用すれば、チューブ(3)と四角錐とのサイズ関係に関わらず発生する。
従って、本第三例では、この隙間によって、チューブ(3)は底部の内表面に密着して内容液を吸引し難くなることがなく、内容液を安定して吸引することができる。
なお、第三例では、四角錐を例示したが、三角錐等の他の角錐を採用することも可能で、完全な角錐である必要はなく、頂点(6)や境界(7)等が曲面であってもよく、チューブ(3)が被さったときに隙間ができるものであればよい。
図9は、実施形態の第四例のチューブ式容器の底部の内表面の状態を示す断面図である。
本第四例のチューブ式容器は、缶本体(2)の底部のプレス加工によって、内表面の凸凹とともにこれに対応して外表面に凹凸が形成され、その底部は略均一な厚みになっていること以外は、第二例と同様に同心円状に構成されている。
即ち、内表面の凸部(8)が第二例の溝(5)の間隔(f)部分に相当し、凹部(9)が第二例の溝(5)に相当する。従って、チューブ(3)と凸凹とのサイズ関係も第二例におけるチューブ(3)と溝(5)と同様に設定されるが、凸凹は溝(5)のような平面を有しないので、チューブ(3)の下端と面接する平面部分がなく、その下端が凸凹と密着する可能性は低い。
本第四例によれば、第二例と同様、チューブ(3)の下端が缶本体(2)の底部の内表面に密着することがなく、凹部(9)から内容液を安定に吸引することができるとともに、底部が略均一な厚みになっていることによって、缶本体(2)の強度を確保することができる。
即ち、例えば略均一な厚みの底部に溝(5)を刻む場合には、溝(5)が刻まれた箇所は薄くなるので、特に圧力がかかるエアゾール缶(11)では、缶本体(2)の強度を確保するために溝(5)を刻む前の底部を厚く設定するなどの措置が必要となる。
本第四例では、底部を厚くすることなく、缶本体(2)の強度を確保することができ、容器製作のコストを抑えることが可能である。
本実施形態の第一例〜第四例のチューブ式容器は、チューブ(3)が、その下端を底蓋(22)の内面略中央と接触して略垂直に備えられるエアゾール缶(11)である場合について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、チューブが同様に略垂直に備えられる非圧力容器等にも、全く同様に第一例〜第四例の本体缶(2)の底部の構成を適用することができる。このような非圧力容器としては、図10に示すようなポンプタイプのものを例示することができ、静置した状態でポンプ機構によって内容液を吐出するシャンプーやハンドソープ等に使用される。
また例えば、エアゾール缶において、チューブの下端を屈曲させて容器底の隅部に位置させたものや、これと同様にしたチューブを備えた非圧力容器等に対しても、全く同様に第一例〜第四例の本体缶(2)の底部の構成を適用することが可能である。
非圧力容器としては、図10に示すようなポンプタイプの他、図12に示すようなトリガータイプの容器を例示することができる。なお、これらの非圧力容器においては、エアゾール缶と異なって容器内に内圧がかからないので、耐圧性を付与するために底を湾曲させる必要はなく、フラットな底を採用する場合も多いが、容器底の隅部に内容液を集めるために湾曲させた底を採用する場合もある。
図11は、チューブの下端を屈曲させたエアゾール缶に本実施形態の第一例の底部の構成を適用させた例を示す部分拡大断面図であり、(a)は底蓋が湾曲しているものを示し、(b)は、底蓋がフラットなものを示す。
チューブ(3)が、その下端を屈曲させて缶本体(2)の底部の隅部に位置していること以外は、本実施形態の第一例と全く同様に構成されている。このようにチューブ(3)の下端を屈曲させて缶本体(2)の底部の隅部に位置されるのは、例えば、内容液の粘性が低く、チューブ(3)として比較的細くて軟らかいものを採用できる場合である。
このようにチューブ(3)の下端を屈曲させることは、図11(a)のような底蓋(22)が湾曲している容器だけでなく、図11(b)のような底蓋(22)がフラットなものにも同様に適用される。
このように隅部にチューブ(3)の下端を位置すれば、底蓋(22)が湾曲している容器では、内容液が残り少なくなって底部の中央付近では吸引できなくなった場合でも、隅部に残った内容液を吸引することができ、底蓋(22)がフラットな容器では、容器を傾斜して隅部に集まる内容液を吸引することができ、容器内の液体残量をより少なくすることが可能である。
このような隅部では、平坦ではなく屈曲しているので、中央付近ほどチューブ(3)が密着することはないと考えられるが、隅部とチューブとの形状によっては密着することもあり、また、完全に密着しなくてもチューブ(3)の内径がかなり塞がれる状態になると、安定して内容液を吸引することはできない。さらに、液体残量をより少なくするために、チューブ(3)の下端を隅部に合わせて斜めに切断する場合には、チューブ(3)が隅部に密着する可能性が高くなる。
従って、その底部の隅部においても、溝(5)が刻まれていることによって、チューブ(3)の下端が隅部に密着するようなことがなく、安定して内容液を吸引することができる。
図12は、チューブの下端を屈曲させた非圧力容器に本実施形態の第一例の底部の構成を適用させた例を示し、(a)は全体図であり、(b)は底部の部分拡大断面図である。
トリガータイプの非圧力容器(12)であって、本体(14)と、この本体内の内容液を吸上げるチューブ(3)と、チューブ(3)によって吸上げられた内容液を容器外へ放出する吐出部(13)とで構成される。
吐出部(13)は、チューブ(3)を接続した状態で本体(14)から取外すことができ、その取外したところから本体(14)へ内容液を注ぎ入れることができるようになっている。
チューブ(3)は、細くて軟らかく、その下端を屈曲させて図12(b)の破線で示すように、本体(2)の底部(15)の隅部に位置するように設定されている。図12(a)及び(b)の実線では、吐出部(13)を取外した後で装着する際に、チューブ(3)が底部(15)の隅部に設定されていない状態を示している。
底部(15)は、図示例では、湾曲されて残り少なくなった内容液が隅部に集まるようになっている。前述のように、非圧力容器では耐圧性を付与するために底を湾曲させる必要はないので、本トリガータイプの非圧力容器(12)では、図13に示すように底部(15)をフラットにしてもよく、後述するような湾曲させたものと全く同様の効果を奏することができる。
このような非圧力容器(12)では、本体(14)の筒状部分の下部を含む底部(15)全体の内表面に、溝(5)が刻まれて凸凹になっているので、チューブ(3)の下端が底部(15)の隅部に位置する場合は勿論、正しく設定されずに中央付近に位置する場合であっても、底部(15)のいずれの位置でもチューブ(3)の下端が密着するようなことがなく、安定して内容液を吸引することができる。
このような第一例の凸凹だけでなく、チューブ(3)の下端を屈曲させて缶本体(2)の底部の隅部に位置させたエアゾール缶や非圧力容器の底部においては、第一例の凸凹と同様にして、第二例〜第四例のような凸凹を適用することができる。
以上のように、本発明に係るチューブ式容器は、エアゾール缶や非圧力容器等の種類を問わず、それらに備えられるチューブについても、容器底部から内容液を吸上げて容器上部から吐出するようになっていれば、略垂直に備えるか屈曲させて底部の隅部に備えるかの別を問わず、容器を前傾する等の使用方法も問わず、適用可能である。
このような本発明に係るチューブ式容器によれば、容器底部の内表面が凸凹で、そこにチューブの下端を接触させるので、チューブの下端が内表面に密着することなく、容器内の液体残量を極力少なくしながら、安定して内容液を吐出することができる。
本発明は、容器底部からチューブを通して液体を吸上げて容器上部から吐出するエアゾール缶や非圧力容器等のチューブ式容器に対して好適に利用されるものである。
本発明に係るチューブ式容器の実施形態の第一例を示し、(a)は全体構成図、(b)は底部断面を拡大して示す部分拡大断面図である。 底蓋がフラットに構成された底部を示す部分拡大断面図である。 図1の缶本体底部の内表面を上方から見た平面図である。 (a)は、図1(b)の中央付近を上方から見た部分拡大平面図であり、(b)は好ましくない例の部分拡大平面図である。 実施形態の第二例のチューブ式容器の底部の内表面を上方から見た平面図である。 (a)は、図5の中央付近にチューブが位置する状態を上方から見た部分拡大平面図であり、(b)は好ましくない例の部分拡大平面図である。 チューブ式容器の底部の内表面が格子状と同心円状のコンビネーションである例を示す平面図である。 実施形態の第三例のチューブ式容器の底部の内表面を示し、(a)はチューブが位置する付近を上方から見た部分拡大平面図であり、(b)は(a)のA−A切断面である。 実施形態の第四例のチューブ式容器の底部の内表面の状態を示す断面図である。 ポンプタイプのチューブ式容器の例を示す全体構成図である。 チューブの下端を屈曲させたエアゾール缶に本実施形態の第一例の底部の構成を適用させた例を示す部分拡大断面図である。 チューブの下端を屈曲させた非圧力容器に本実施形態の第一例の底部の構成を適用させた例を示し、(a)は全体図であり、(b)は底部の部分拡大断面図である。 フラットに構成された底部を示す部分拡大断面図である。
符号の説明
2 缶本体
3 チューブ
4 吐出部
5 溝
21 缶胴
22 底蓋
23 天蓋

Claims (4)

  1. 容器内に収容した液体を、容器底部からチューブを通して吸上げて容器上部から吐出するチューブ式容器であって、
    前記チューブの下端は、前記容器底部の内表面に接触し、
    該容器底部の内表面は、少なくとも前記チューブの下端が接触する範囲が凸凹で、該内表面に前記チューブの下端が密着しないようになっていることを特徴とするチューブ式容器。
  2. 前記凸凹は、前記内表面に刻まれた溝によって形成されていることを特徴とする請求項1記載のチューブ式容器。
  3. 前記内表面の凸凹に対応して外表面が凹凸で、前記容器底部は略均一な厚みになっていることを特徴とする請求項1記載のチューブ式容器。
  4. 前記凸凹における各凸部及び凹部は、チューブの下端面と面接する平面部分を有しないことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のチューブ式容器。
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