JP2008223030A - 紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物および紫外線遮蔽性積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリシロキサン結合と反応性シリル基を有するモノマー(A1)、紫外線吸収性基を有するモノマー(B)および炭素数6以上のアルキル基を有するモノマー(C1)を必須的に含むモノマー混合物(D1)から合成されるポリマーか、(A1)に変えて、分子中にSi原子を1個のみ有し、かつ、炭素原子に直結する反応性シリル基を有するモノマー(A2)を用いたモノマー混合物(D2)から合成されるポリマーに対し、有機シラン化合物を反応させて得られる変性ポリマーを含有する紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物である。
【選択図】なし
Description
このモノマー(A1)は、少なくとも末端に反応性シリル基を有すると共に、重合性二重結合を有するモノマーである。そして、末端の反応性シリル基は、置換基を有していてもよいポリシロキサン結合を介して、モノマー中の炭素原子と連結している。ポリシロキサン結合とは、通常−SiH2−O−SiH2−O−を示すが、置換基を有していてもよい。すなわち、Siに結合するいずれか1個以上の水素原子が、炭素数1〜6のアルコキシ(アルキルオキシ)基や炭素数1〜10のアルキル基と置換されていてもよい。もちろん各置換基は同一でも異なっていても構わない。置換基としてアルコキシ基が存在すればポリシロキサン結合部分にも反応性シリル基が存在することとなる。なお、反応性シリル基とは、加水分解性シリル基を意味し、加水分解反応によってシラノール(Si−OH)基を生成することのできる官能基全てを意味する。
分子中にSi原子を1個のみ有し、かつ、炭素原子に直結する反応性シリル基を有するモノマー(A2)は、重合性二重結合と、炭素原子に直結する反応性シリル基を1個有する化合物である。具体例としては、前記一般式(A−1)〜(A−3)で示される。
有機シラン化合物は、下記一般式で示される有機シラン化合物および/またはその加水分解縮合物である。
R5 mSi(OR6)n
上記反応性シリル基を有するモノマー(A2)と有機シラン化合物の反応に際しては、反応物である反応性シリル基含有モノマー(A1)の側鎖に導入したい−O−Si結合の数によって有機シラン化合物の量を調整する。例えば、平均5つの−O−Si結合を導入したい場合は、モノマー(A2)1モルに対し、有機シラン化合物が5モルとなるように反応させることが好ましい。ここで、(A2)と有機シラン化合物の合計を100モル%として、(A2)が30モル%を超えると、反応物であるモノマー(A1)中に重合性二重結合が多数導入されることとなり、モノマー混合物(D1)を重合する際にゲル化しやすくなる。(A2)が0.1モル%よりも少ないと、(A1)の中に重合性二重結合が導入されなくなる場合があるため、好ましくない。(A1)中の好ましい二重結合量は、1分子当たり1〜4個の範囲である。
紫外線吸収性基を有するモノマー(B)としては、分子中に重合性二重結合と紫外線吸収性基を同時に有する全てのモノマーを使用できるが、本発明において特に好ましく用いられるのは、下記一般式(B−1)〜(B−3)で表されるモノマーから選ばれる少なくとも1種であり、これらのモノマーを共重合成分として使用することにより、得られるポリマーに紫外線吸収能が付与される。つまり、得られる塗膜に紫外線が照射されても、遮蔽層で紫外線が吸収されてしまうので、遮蔽層よりも下側の部材の変色や劣化を抑えることが可能となる。しかも、添加型紫外線吸収剤を配合した場合のように紫外線吸収剤がブリードアウトすることもないので、紫外線遮蔽性能の持続性が高められると共に、その上にハードコート層が形成される場合の密着性も阻害されない。
このモノマー(C1)は、具体的には、下記一般式で表される(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく用いられる。
本発明では第1および第2のタイプいずれにおいても、上記炭素数6以上のアルキル基を有するモノマー(C1)を必須成分とするが、ポリマーの疎水性を高めつつ、塗膜の物性を用途に応じて設計変更するために、炭素数4〜5のアルキル基を有するモノマー(C2)や炭素数3以下のアルキル基を有するモノマー(以下、C3とする)を併用することができる。具体的には、モノマー(C2)としては、炭素数4〜5のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが、モノマー(C3)としては炭素数3以下のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましいものとして挙げられる。
紫外線安定性基を有するモノマー(E)を共重合させると、塗膜に紫外線安定性が付与され、紫外線遮蔽効果が一層高まる。また、モノマー(B)の紫外線吸収性基の光分解が抑制され、紫外線遮蔽性能が長期間持続することとなる。紫外線安定性基を有するモノマー(E)とは、分子中に重合性二重結合と紫外線安定性基を同時に有するものであれば特にその種類は限定されないが、中でも特に好ましいのは、下記一般式(E−1)や(E−2)で示されるモノマーである。
本発明の第1のタイプで用いられるモノマー混合物(D1)および第2のタイプで用いられるモノマー混合物(D2)には、塗膜物性の調整の目的で、これまで説明したモノマー以外のその他のモノマー(F)を含有させてもよい。このようなその他のモノマー(F)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製;商品名「CYCLOMER M−100」)等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、水酸基末端可撓性(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業株式会社製;商品名「プラクセルFM」)等の活性水素基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、イミド(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の含窒素モノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2個の重合性二重結合を有するモノマー;塩化ビニル等のハロゲン含有モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系モノマー;ビニルエーテル等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
紫外線吸収性基を有するモノマー(B);0.1質量%以上(より好ましくは3質量%以上)、60質量%以下(より好ましくは40質量%以下)、
炭素数6以上のアルキル基を有するモノマー(C1);3質量%以上(より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、最も好ましくは11質量%以上)、80質量%以下(より好ましくは60質量%以下)、
炭素数4〜5のアルキル基を有するモノマー(C2)および炭素数3以下のアルキル基を有するモノマー(C3);適宜調整、
紫外線安定性基を有するモノマー(E);0.1質量%以上(より好ましくは0.5質量%以上)、30質量%以下(より好ましくは10質量%以下)、
その他のモノマー(F);適宜調整
脱水剤は、保存時の加水分解反応とそれによるポットライフの短縮化を抑える効果を有する。脱水剤としては、例えば、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケート等の加水分解性エステル化合物等が非限定的に挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。
樹脂組成物の主成分のポリマー(第2のタイプの変性ポリマーも含む。以下同様)は、反応性シリル基の存在によって硬化反応性を示すが、さらに硬化反応を促進させたい場合には、硬化触媒を使用することも有効である。硬化触媒としては、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズジラウレート、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物;リン酸、モノメチルホスフェート等のリン酸またはリン酸エステル;アルキルチタン酸塩;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等の有機アルミニウム化合物;テトラブチルジルコネート、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム等の有機ジルコニウム化合物;酢酸、プロピオン酸、マレイン酸およびこれらの酸無水物、パラトルエンスルホン酸等の酸性化合物;トリエチルアミン、4級アンモニウム塩類の他、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤類;アミンと酸性リン酸エステルとの混合物または反応物;水酸化ナトリウム等のアルカリ性化合物等が非限定的に例示される。
前記した紫外線安定性基を有するモノマー(E)を用いずにポリマーを合成した場合には、添加型の紫外線安定剤を用いることもできる。添加型の紫外線安定剤として好ましいのは、立体障害ピペリジン化合物であり、例えば市販品としては、「チヌビン123」、「チヌビン144」、「チヌビン765」(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。また、これらの比較的低分子量の紫外線安定剤はブリードアウトの可能性があるため、前記した紫外線安定性基を有するモノマー(E)から別途ポリマー型の紫外線安定剤を合成し、これを添加してもよい。なお、添加型の紫外線吸収剤はブリードアウトの影響が大きいため、使用しないことが好ましい。
樹脂組成物中には、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、その他の樹脂を一部共存させてもよい。例えば、熱可塑性樹脂や樹脂自身の作用あるいは硬化剤(架橋剤)によって架橋硬化する熱硬化性樹脂が挙げられる。これら他の樹脂の種類や使用量は、紫外線遮蔽性樹脂積層体の用途や要求特性等に応じて適宜決定すればよい。その他の樹脂の具体例としては、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱可塑性樹脂;ウレタン系樹脂、アミノプラスト系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等の単独硬化型の熱・紫外線・電子線硬化性樹脂;ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の硬化剤によって硬化する熱硬化性樹脂を挙げることができる。
塗料等の層形成用組成物に一般に使用されるレベリング剤、酸化防止剤、タルク等の充填剤、防錆剤、蛍光性増白剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、染料、増粘剤、コロイダルシリカ、アルミナゾル等の無機微粒子やポリメチルメタクリレート系のアクリル系微粒子等を添加してもよい。また、特開平7−178335号公報や同9−302257号公報に記載されているような無機微粒子の表面に有機ポリマーが固定された複合無機微粒子を添加することもできる。さらには、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、インドール系等の有機系紫外線吸収剤や酸化亜鉛等の無機系紫外線吸収剤を一部含んでも構わない。
以下、本発明の樹脂組成物を用いて形成される紫外線遮蔽性積層体について説明する。基材として最適なのは、紫外線により劣化し易い樹脂であり、このような樹脂基材こそが本願の紫外線遮蔽層を必要とするからである。紫外線により劣化するとは、紫外線により主鎖が切断して分子量が低下したり、逆に架橋によってゲルが形成する等の化学構造が変化して、その結果として、機械強度・透明性低下あるいは黄変等の物性低下を起こすことをいう。このような樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ABS系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。中でも、安価で軽くて丈夫でかつ透明性に優れたポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
攪拌機、温度計、冷却管を備えたフラスコに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(モノマー(A2))12.4部(0.05モル)、有機シラン化合物として、テトラメトキシシラン106.4部(0.7モル)とジメチルジメトキシシラン30部(0.25モル)、メタノール100部、水18部(1モル)、固体触媒(ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の陽イオン交換樹脂;商品名「アンバーリスト15」)5部を入れ、メタノールの還流下(65℃)で2時間撹拌し、反応させた。
モノマー合成例1で合成したモノマー(A1)10部、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシシエチル)フェニル]―2H−ベンゾトリアゾール(モノマー(B);大塚化学社製;商品名「RUVA93」)20部、シクロヘキシルメタクリレート(モノマー(C1))20部、2−エチルヘキシルアクリレート10部(モノマー(C1))、ブチルアクリレート(モノマー(C2))10部、メチルメタクリレート(モノマー(C3))30部、ダイアセトンアルコール110部、メチルイソブチルケトン30部およびオルソ蟻酸メチル(脱水剤)10部を仕込み、窒素ガスを導入して撹拌しながら110℃に昇温させた。開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部とメチルイソブチルケトン30部との混合物を2時間かけて滴下し、滴下後さらに4時間加熱して、重合を行った。不揮発分濃度が38.8%のポリマー溶液No.1を得た。このポリマーの重量平均分子量(Mw)は56000であった。なお各合成例において、不揮発分濃度は、ポリマー溶液1gを秤量し、200℃で15分加熱乾燥させて測定した値であり、重量平均分子量はGPCを用いて標準ポリスチレンを基準として求めた値である。表1にモノマーの種類等と仕込み・配合量等をまとめた。
表1に示したようにモノマー種類等と仕込み・配合量を変えた以外は、上記ポリマー合成例1と同様にしてポリマー溶液No.2〜13を製造し、それらの特性を表1に併記した。なお、合成例2では、添加型紫外線安定剤(立体障害ピペリジン化合物;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名「チヌビン123」)2部を、重合終了後にフラスコ内へ添加した。
モノマー(A1):モノマー合成例1で合成したポリシロキサン結合と反応性シリル基を有するモノマー(A1)
モノマー(B):紫外線吸収性基を有するモノマー(B)
UVA(i):2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]―2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製;商品名「RUVA93」)
UVA(ii):2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン(大阪有機化学工業社製;商品名「BP−1A」)
UVA(iii):2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン
モノマー(C1):炭素数6以上のアルキル基を有するモノマー(C1)
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
モノマー(C2):炭素数4〜5のアルキル基を有するモノマー(C2)
t−BMA:tert−ブチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
モノマー(C3):炭素数3以下のアルキル基を有するモノマー(C3)
MMA:メチルメタクリレート
モノマー(E):紫外線安定性基を有するモノマー(E)
HALS(i):紫外線安定性基を有するモノマー(旭電化工業社製;商品名「アデカスタブLA82」)
DAA:ダイアセトンアルコール
MIBK:メチルイソブチルケトン
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(モノマー(A2))を用い、表2に示したようにモノマー種類等と仕込み・配合量等を変えた以外はポリマー合成例1と同様にしてポリマー(変性前)の合成を行い、不揮発分38.7%のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液が入っているフラスコ内に、テトラメトキシシラン100部とジメチルメトキシシラン30部、メタノール13部、水18部、前記固体触媒5部を加え、撹拌しつつ65℃で4時間反応させた。トルエンで不揮発分が15%になるように希釈し、室温まで冷却した後、固体触媒を濾別した。変性ポリマーが含まれたポリマー溶液No.14を得た。
表2に示したようにモノマー種類等と仕込み・配合量等を変えた以外は、上記ポリマー合成例14と同様にして、ポリマーの合成および変性を行って、ポリマー溶液No.15〜22を製造した。特性を表2に併記した。
ポリマー合成例1〜11とポリマー合成例14〜21で得られたポリマー溶液No.1〜11とNo.14〜21をトルエンで不揮発分が10%になるように希釈し、硬化触媒としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランを不揮発分に対して5000ppm添加して混合した後、得られた溶液を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラーT」;東レ社製)にバーコーターで乾燥厚さが約10μmとなるように塗工し、80℃で1時間乾燥させた。硬化塗膜(紫外線遮蔽層)が形成された積層体が得られた。
ポリマー合成例12〜13とポリマー合成例22で得たポリマー溶液No.12〜13とNo.22をトルエンで不揮発分が10%になるように希釈し、硬化触媒としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランを不揮発分に対して5000ppm添加して混合した後、得られたポリマー溶液を用いて、実験例1〜19の場合と同様に硬化塗膜が形成された積層体を作製した。下記項目の評価を行い、結果を表3および表4に示した。
各基材上に積層された紫外線遮蔽層(塗膜)の表面を、トルエンを充分に含ませた脱脂綿で50回擦り、硬化性を下記の基準で評価した。
〇;塗膜に異常なし、△;塗膜に僅かに傷が付く、×;塗膜全面に傷が付く、または塗膜が膨潤あるいは一部溶解する。
硬化触媒を配合する前の各合成例で得られた不揮発分10%のポリマー溶液70gを100mlの容器に入れ、蓋をすることなく、40℃、相対湿度90%に調湿された雰囲気下で、マグネットスターラーで撹拌しながら放置した。ゲル化して内容物が完全に固化するまでの時間を測定し、下記基準で評価した。
○;30日間以上放置してもゲル化しない、○〜△;20日間以上30日間未満でゲル化した、△〜×;10日間以上20日間未満でゲル化した、×;10日間未満でゲル化した。
紫外線遮蔽層が積層された積層体試験片を、固定式メタルハライドランプ型促進耐候性試験機であるスガ試験機社製の超エネルギー照射試験機「UE−IDEC型」(インナーフィルターとして石英、アウターフィルターとして#275を使用)に、紫外線入射側が紫外線遮蔽層となるようにセットした。[70℃、70%RHの環境下、100mW/cm2の紫外線を6時間照射]→[50℃、90%RHの環境下、6時間放置]を1サイクルとし、20サイクル、40サイクル、60サイクルと曝露を繰り返した。
なお、表中「××」とあるのは基材(PETまたはPC)が劣化して破壊してしまい、測定不能であったことを意味する。
上記(3)の耐候性1の各サイクル毎に、紫外線遮蔽層の外観を下記基準で評価した。
○:異常なし、○〜△:マイクロクラックが僅かに入る、△:僅かに艶引けまたは黄変、×:全体が艶引け・黄変、××:基材破壊により評価不能
紫外線遮蔽層が積層された積層体試験片を、50℃、95%RHの環境下に、1000時間および2000時間保持した後の紫外線遮蔽層の外観をそれぞれ下記基準で評価した。
○:異常なし、△:僅かに艶引けまたは白化、×:全体が艶引け・白化
紫外線遮蔽層が積層された積層体試験片を、60℃の温水中に14日間および28日間浸漬した後、取り出し、紫外線遮蔽層の外観をそれぞれ下記基準で評価した。
○:異常なし、△:僅かに艶引けまたは白化、×:全体が艶引け・白化
実験例1〜19および比較実験例1〜3で得られた紫外線遮蔽層積層体の紫外線遮蔽層の上に、シリコーン樹脂系ハードコート剤として「ソルガードNP730」(日本ダクロシャムロック社製)を乾燥後の塗膜厚が5μmとなるように塗工して、120℃で1時間加熱して硬化させ、ハードコート層を形成した。得られた各ハードコート層含有積層体について次のように評価し、その結果を表5および表6に示した。
ハードコート層と紫外線遮蔽層が積層された積層体試験片を、前記スガ試験機社製のサンシャインウエザーメーターで、サンシャインスーパーロングライフカーボンを使用し、63℃で降雨なし2時間と、同じく63℃で降雨18分間のサイクルを繰り返す条件で、3000時間および5000時間の曝露を行った。初期(促進試験前)、3000時間後、5000時間後のそれぞれについて、塗膜外観、層間密着性、表面硬さを評価した。
初期(促進試験前)、曝露3000時間後および5000時間後に、積層体試験片の外観を下記基準で評価した。
○:異常なし、○〜△:マイクロクラックが僅かに入る、△:僅かに艶引けまたは黄変、×:全体が艶引け・黄変、××:基材破壊により評価不能
初期(促進試験前)、曝露3000時間後、曝露5000時間後の各積層体試験片に、ハードコート層側から100個の碁盤目(1mm2)を刻み、碁盤目部分にセロファンテープを密着させ、次いで密着したセロファンテープを、剥離角度が積層体に対して直角となるように急激に手で剥がし、剥離した碁盤目の個数を勘案しながら、積層体試験片の外観を下記基準で評価した。
○:異常なし、△1:碁盤目が僅かにハードコート層と紫外線遮蔽層との間で剥離する、△2:碁盤目が僅かに紫外線遮蔽層と基材との間で剥離する、×1:かなりの碁盤目がハードコート層と紫外線遮蔽層との間で剥離する、×2:かなりの碁盤目が紫外線遮蔽層と基材との間で剥離する。
ASTM D 1044に準拠し、テーバー摩耗試験機で摩耗輪としてCS−10Fを用いハードコート層を摩耗させる。試験荷重は4.9N(500gf)、試験回数は500回とした。試験片の摩耗試験前後のヘイズの変化を、分光側色色差計(「SZ−Σ90」;日本電色工業社製)を用いて測定した。ブランクとして、試験前の積層体のヘイズを測定してから、試験後の積層体のヘイズを測定し、下記基準で表面硬さを評価した。
A:ヘイズ変化10%未満…充分な表面硬度がある、B:ヘイズ変化10%以上20%未満…やや傷が付きやすい、C:ヘイズ変化20%以上…傷が付きやすい。
Claims (8)
- 少なくとも末端に反応性シリル基を有すると共に、この末端反応性シリル基が、置換基を有していてもよいポリシロキサン結合を介して炭素原子に連結した構造の反応性シリル基含有モノマー(A1)、紫外線吸収性基を有するモノマー(B)および炭素数6以上のアルキル基を有するモノマー(C1)を必須的に含むモノマー混合物(D1)から合成されるポリマーを含有することを特徴とする紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物。
- 上記反応性シリル基を有するモノマー(A1)が、分子中にSi原子を1個のみ有し、かつ、炭素原子に直結する反応性シリル基を有するモノマー(A2)と有機シラン化合物との反応物である請求項1に記載の紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物。
- 分子中にSi原子を1個のみ有し、かつ、炭素原子に直結する反応性シリル基を有するモノマー(A2)、紫外線吸収性基を有するモノマー(B)および炭素数6以上のアルキル基を有するモノマー(C1)を必須的に含むモノマー混合物(D2)から合成されるポリマーに対し、有機シラン化合物を反応させて得られる変性ポリマーを含有することを特徴とする紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物。
- 上記モノマー混合物(D1)または(D2)が、さらに、炭素数4〜5のアルキル基を有するモノマー(C2)を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物。
- 上記モノマー混合物(D1)または(D2)が、さらに、紫外線安定性基を有するモノマー(E)を含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物。
- 紫外線劣化性樹脂基材とハードコート層との間に紫外線遮蔽層を形成するために用いられるものである請求項1〜6のいずれかに記載の紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物。
- 紫外線劣化性樹脂基材とハードコート層との間に、請求項1〜6のいずれかに記載の紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物から得られた紫外線遮蔽層を備えることを特徴とする紫外線遮蔽性積層体。
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