JP2008222737A - ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】低融点にも関わらず結晶性に優れ、操業性よく生産することができ、バインダー繊維をはじめ、各種の接着用途に好適に使用することができるポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオールを50モル%以上とするジオール成分とからなるポリエステルであって、融点が100〜150℃、結晶核剤としてポリオレフィンを0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂。 b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
【選択図】図1

Description

本発明は、低融点にも関わらず結晶性に優れ、操業性や生産性に優れるポリエステル樹脂に関するものである。
近年、ポリエステル系樹脂において低融点化したものの要求が高く、バインダー繊維や接着剤等に用いられている。このような用途には、一般に共重合ポリエステルが用いられており、例えば、特許文献1には好適なポリマーとして、ポリマー組成がいくつか提案されている。
しかしながら、これらの共重合ポリエステルは、明確な結晶融点を示さないものが多く、通常90〜200℃で軟化する。明確な結晶融点を示さないポリマーを用いて繊維(バインダー繊維)を製造した場合、延伸・熱処理工程において熱処理温度を100℃以上とすると、繊維の融解・膠着が生じ、実施が困難となる。このため、延伸・熱処理工程を低温で行うこととなり、得られるバインダー繊維は熱収縮率が高く、熱接着時の収縮が大きいものとなる。そして、このようなバインダー繊維を使用した製品は、寸法安定性が悪くなるという問題があった。
そこで、上記の問題を解決するには、共重合ポリエステルは明確な結晶融点を示すことが望ましい。特許文献2には、明確な結晶融点を示す共重合ポリエステルからなる耐熱バインダー繊維も提案されている。
しかしながら、アジピン酸を共重合成分としているため、ポリエステルの結晶性は良好であるが、ポリエステルのガラス転移温度が低くなり、重合したポリエステルをストランド状に払い出してチップ化する際、ポリマーをガラス転移点以下に冷却することが困難となり、ポリマーの冷却固化が不足する。このため、カッターブレードへのポリエステルの固着やストランド間の融着等が発生するなど、操業性に問題が生じていた。
また、酸成分が芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸または脂肪族ラクトンからなり、ジオール成分が脂肪族ジオール成分からなり、結晶性が良好なポリエステルも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この共重合ポリエステルは融点が150〜200℃の範囲のものであり、まだ低融点領域であるとはいえず、熱接着させる際には加工温度を高くする必要があり、コスト的にも不利であった。
特開平7-34327号公報 特開平10-298271号公報 特開平9-12693号公報
本発明は、上記のような問題点を解決するものであって、低融点にも関わらず結晶性に優れ、操業性よく生産することができ、バインダー繊維をはじめ、各種の接着用途に好適に使用することができるポリエステル樹脂を提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオールを50モル%以上とするジオール成分とからなるポリエステルであって、融点が100〜150℃、結晶核剤としてポリオレフィンを0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂を要旨とするものである。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
本発明のポリエステル樹脂は、低融点にも関わらず結晶性に優れているため、操業性よく生産することができ、バインダー繊維をはじめ、各種の接着用途に好適に使用することができる。特に繊維を製造する際には、延伸・熱処理工程において繊維の融解・膠着が生じることなく高温で熱処理することができるので、熱収縮率の低い繊維を得ることができる。このように、本発明のポリエステル樹脂を使用することにより寸法安定性に優れた製品を得ることが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とするものであり、ジオール成分が1,6−ヘキサンジオールを50モル%以上とするものである。
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸(TPA)が60モル%以上、中でも80モル%以上であることが好ましい。TPAが60モル%未満であると、ポリマーの融点が本発明の範囲外のものとなったり、結晶性が低下しやすくなるため好ましくない。
なお、TPA以外の共重合成分としては、その効果を損なわない範囲であれば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フタル酸、イソフタル酸、5−(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ビフェニルジカルボン酸、などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
ジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられる。
ジオール成分としては、1,6−ヘキサンジオール(以下、HDとする)を50モル%以上とするものであり、他の成分としてはエチレングリコール(以下、EGとする)や1,4−ブタンジオール(以下、BDとする)を用いることが好ましい。ジオール成分において、HDは50モル%以上であり、中でも60〜95モル%であることが好ましい。HDが50モル%未満の場合、融点が150℃を超えるものとなり、また、(1)式を満足しないものとなる。
ジオール成分として、HDとともにEGやBDを用いる際には、EGやBDをジオール成分において、5〜50モル%とすることが好ましく、中でも5〜40モル%とすることが好ましい。
さらに、ジオール成分には、HD、EGやBD以外の他の共重合成分として、その特性を損なわない範囲で、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA、2,5−ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコールなどに例示される芳香族グリコールを用いることができる。
グリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
環状エステルとしては、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
そして、本発明のポリエステル樹脂の融点は、100〜150℃であり、中でも105〜140℃、さらには120〜135℃であることが好ましい。ポリエステルの融点が100℃未満であると、熱安定性が悪くなるため、操業性や生産性も低下する。一方、融点が150℃を超えると、接着用途に用いる際に、高温での熱処理が必要となりコスト的にも不利となり、接着用途に適さないものとなる。
そして、本発明のポリエステル樹脂は、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線において、b/aが0.05(mW/mg・℃)以上であることが必要であり、0.1以上であることが好ましい。一方、b/aが大きいほど結晶性に優れるものとなるが、本発明で目的とする効果を奏するには、b/aを0.5以下とすることが好ましい。
上記b/aは、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線より求められる。図1に示すように、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
b/aは、降温時の結晶性を表す指標であり、b/aの値が高いと結晶化速度が速く、逆に0に近いほど、結晶化速度が遅いことを示している。b/aが0.05(mW/mg・℃)未満の場合、結晶化速度が遅いため、ポリエステルのチップ化や貯蔵・運搬、および乾燥工程においてブロッキングが生じやすくなる。
また、繊維化する際には延伸・熱処理工程における熱処理温度を高くすると、繊維の融解・膠着が生じ、高温での熱処理を行うことができないため熱収縮率の低い繊維を得ることができず、このような繊維を用いて得られる製品は寸法安定性の悪いものとなるといった問題が生じる。
上記b/aは、ポリエステルの共重合組成や結晶核剤の含有量を調節することにより、本発明で規定する範囲に設定することができる。
なお、本発明における融点とDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線は、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、温度範囲−20℃〜250℃、昇温(降温)速度20℃/分で測定するものである。
本発明のポリエステル樹脂は、結晶核剤としてポリオレフィンを0.01〜5.0質量%含有するものであり、中でも0.05〜3.0質量%の含有量とすることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、結晶核剤を含有することによって結晶性に優れたものとなり、(1)式を満足することができるものである。結晶核剤の含有量が0.01質量%未満であると、ポリマーの結晶性が不十分となり、(1)式を満足することができない。一方、5.0質量%を超えると、ポリマーの重合性が悪化するため好ましくない。
本発明で結晶核剤として含有させるポリオレフィンは、反応系内で溶融するため、形状については特に限定するものではない。例えば粒径2mm程度のチップ状のものであったり、粒径数μmのワックス状のものであってもよい。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などを挙げることができ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、プロピレン・エチレンランダム共重合体が特に好ましい。なお、ポリオレフィンが炭素原子数3以上のオレフィンから得られるポリオレフィンである場合には、アイソタクチック重合体であってもよく、シンジオタチック重合体であってもよい。
また、ポリオレフィンは、どのような製造方法、触媒で得られたものであってもよい。例えば、従来のチーグラー・ナッタ型触媒により得られたポリオレフィンだけでなく、メタロセン触媒により得られたポリオレフィンも好適に使用できる。
このようなポリオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂は、極限粘度が0.5以上であることが好ましい。極限粘度が0.5未満のものでは、各種の物理的、機械的、化学的特性が劣るとともに、繊維とする際には紡糸性が損なわれるため好ましくない。一方、極限粘度が高すぎても溶融粘度が高くなるため、押出が困難になったり、また繊維とする際には、溶融粘度を下げるべく紡糸温度を上げると、ポリエステルの熱分解が顕著になり紡糸が困難になることから、実用上1.5以下であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂中には、目的を損なわない範囲内で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
次に、本発明のポリエステル樹脂の製造方法について、一例を用いて説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応またはエステル交換反応させ、重縮合反応を行うことにより本発明のポリエステル樹脂組成物を製造することができる。
具体的には、重縮合反応は通常 0.01〜10hPa程度の減圧下、220〜280℃の温度で所定の極限粘度のものが得られるまで行う。また、重縮合反応は、触媒存在下で行われるが、触媒としては従来一般に用いられているアンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マンガンおよびコバルト等の金属化合物のほか、スルホサリチル酸、o-スルホ安息香酸無水物等の有機スルホン酸化合物を用いることができる。
結晶核剤(ポリオレフィン)や各種添加剤(本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる)は、粉体またはジオールスラリー等の形態で、ポリエステルを製造する際の任意の段階で添加すればよい。例えば、エステル化またはエステル交換反応時に添加してもよいし、重縮合反応の段階で添加してもよい。
そして、重縮合反応においてポリエステルが所定の極限粘度に到達したら、ストランド状に払い出して、冷却、カットすることによりチップ化する。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
(b)融点、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線
前記の方法により測定した。
(c)ポリマー組成
ポリエステルを重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比 1/20 の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にて 1H-NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(d)結晶核剤含有量
ポリエステルをフェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒に溶解させ、未溶解物(結晶核剤)の質量を測定した。
(e)操業性
〔チップ化〕
ポリエステル樹脂をAUTOMATIK社製USG-600型カッターでチップ化する際、フィードローラーまたはカッターブレードへのポリエステルの巻き付きやストランド間の融着により2つ以上のチップが融着したものの発生等により、カッターの運転を中断した場合を×、融着等の問題が生じ、時折中断するもののチップ化できた場合を△、融着等の問題は生じながらも、カッターの運転を中断することなくチップ化できた場合を○、融着による問題が生じることなくチップ化できた場合を◎とした。
〔チップのブロッキング〕
チップの貯蔵・運搬および乾燥工程で、崩れないブロック状の塊や壁面への融着物が生じた場合を×、ブロック状の塊や壁面への付着物があり、ハンマー等で直接衝撃を加えるなどある程度の力により解消される場合を△、ブロック状の塊や壁面への付着物があるものの、手で触れたり、ハンマー等により壁面へ衝撃を加えることによりそれらが解消される程度である場合を○、ブロック状の塊や壁面への融着が全く発生しなかった場合を◎とした。
実施例1
エステル化反応缶に、TPAとEG(モル比 1/1.6) のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%の反応物を得た。この反応物40kgを重縮合反応缶に移送し、HD28kgを重縮合反応缶に投入し、温度240℃、常圧下で1時間攪拌した。
次に、結晶核剤としてポリエチレンワックス(クラリアント社製、Licowax PE190)を0.04kg、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートを0.04kg、これらを重縮合反応缶に投入した後、反応器内の圧力を徐々に減じ、70分後に1.2hPa以下にした。この条件下で撹拌しながら重縮合反応を約3時間行い、常法によりストランド状に払出し、チップ化した。
実施例2
結晶核剤としてポリエチレンワックス(クラリアント社製、Licowax PE190)を0.8kg添加した以外は実施例1と同様にして実施した。
実施例3
結晶核剤としてポリエチレンワックス(クラリアント社製、Licowax PE190)を0.02kg添加した以外は実施例1と同様にして実施した。
実施例4
重縮合反応缶へのHDの投入量を26kgとした以外は実施例1と同様にして実施した。
実施例5
結晶核剤としてポリエチレンチップ(日本ポリケム社製、HJ-490)を用い、0.2kg添加した以外は実施例1と同様にして実施した。
比較例1
結晶核剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして実施した。
比較例2
重縮合反応缶へのHDの投入量を5kgとした以外は実施例1と同様にして実施した。
比較例3
重縮合反応缶へのTPAとEGの反応物の投入量を24kgとし、イソフタル酸(IPA)を15kg、エチレングリコールを50kg投入したこと以外は実施例1と同様にして実施した。
比較例4
結晶核剤としてポリエチレンワックス(クラリアント社製、Licowax PE190)を0.002kg添加した以外は実施例1と同様にして実施した。
比較例5
結晶核剤としてポリエチレンワックス(クラリアント社製、Licowax PE190)を2.4kg添加した以外は実施例1と同様にして実施した。
実施例1〜5、比較例1〜5で得られた樹脂の特性値及びチップ化時の操業性の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5のポリエステル樹脂は、結晶核剤としてポリオレフィンを適量含有するものであり、(1)式を満足し、結晶性に優れるものであった。このため、チップ化工程での操業性も良好であった。
一方、比較例1のポリエステル樹脂は、結晶核剤を含有していなかったため、比較例4のポリエステル樹脂は、結晶核剤の含有量が少なかったため、ともに(1)式を満足せず、結晶性が低いものであった。このため、チップ化の操業性が悪く、チップ同士のブロッキングも生じた。比較例2のポリエステル樹脂は、HDが50モル%未満であったため、融点が150℃を超えるものであった。比較例3のポリエステル樹脂は、TPAが少なかったため融点がDSCでは確認できず、熱安定性が悪く、結晶性も有しておらず、チップ化できなかった。比較例5のポリエステル樹脂は、結晶核剤の量が多かったため、重合性が悪化し、チップ化できなかった。
本発明におけるDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線の一例である。

Claims (1)

  1. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオールを50モル%以上とするジオール成分とからなるポリエステルであって、融点が100〜150℃、結晶核剤としてポリオレフィンを0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂。
    b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
    なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
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