JP2008221287A - 鋳型内溶鋼の流動制御方法及び連続鋳造鋳片の表面品質判定方法 - Google Patents

鋳型内溶鋼の流動制御方法及び連続鋳造鋳片の表面品質判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 溶鋼の連続鋳造に際し、モールドパウダーや脱酸生成物の鋳片への捕捉を防止するための鋳型内溶鋼流動制御方法を提供すると共に、鋳片品質の判断方法を提供する。
【解決手段】 本発明の鋳型内溶鋼の流動制御方法は、鋳型3内の溶鋼を水平方向に回転させるように磁場発生装置19から磁場を印加しながら鋳片を連続鋳造する際に、鋳型内のメニスカス16から鋳片引抜き方向に10〜135mm離れた範囲の鋳型長辺銅板背面の幅方向に複数個の測温素子21を配置して鋳型長辺銅板温度の幅方向分布を測定し、鋳型長辺銅板の幅中央を中心として、移動磁場による溶鋼の回転方向上流側の鋳型温度分布の平均値(Tup)が、溶鋼の回転方向下流側の鋳型温度分布の平均値(Tdown)よりも高くなるように前記移動磁場を印加する。また、本発明の鋳片品質判定方法は、前記平均値(Tup)と前記平均値(Tdown)との差(ΔT)差に基づいて表面品質を判定する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、鋳型内溶鋼の流動制御方法及び連続鋳造鋳片の表面品質判定方法に関し、詳しくは、移動磁場の印加によって鋳型内の溶鋼を水平方向に回転させながら鋳造するときの流動制御方法及びその際に製造される連続鋳造鋳片の表面品質判定方法に関するものである。
スラブ連続鋳造機により鋳造される鋼のスラブ鋳片(以下、単に「鋳片」とも記す)に要求される品質の1つとして、鋳片表層の介在物量が少ないことが挙げられる。鋳片表層に捕り込まれる介在物には、(1)Alなどによる溶鋼の脱酸工程で発生し、溶鋼中に懸濁している脱酸生成物、(2)タンディッシュや浸漬ノズルで溶鋼内に吹き込まれるArガス気泡、(3)鋳型内溶鋼湯面上に散布したモールドパウダーが溶鋼中に巻込まれて懸濁したものなどがある。これらは何れも鉄鋼製品において表面欠陥となるため、何れも少なくすることが重要である。
この内、脱酸生成物やArガス気泡を低減する手段として、鋳型内の溶鋼に移動磁場を印加することにより、鋳型内の溶鋼を水平方向に攪拌し、溶鋼界面における溶鋼流速を付与して凝固界面を洗浄させ、介在物の捕捉を防止する方法が広く行われている。鋳型内の溶鋼を水平方向に回転させるための具体的な磁場の印加方法は、鋳型の長辺方向に沿って水平に移動する磁界を、相対する長辺面に沿ってそれぞれ相反する向きに移動させ、凝固界面に沿って水平方向に回転するような溶鋼流動を誘起させる印加方法であり、本稿においては、この印加方法を「EMRS」或いは「EMRSモード」と記すこととする(EMRS:electromagnetic rotative stirring )。この技術の例としては、例えば特許文献1などが挙げられる。
ところで、鋳型内の溶鋼流動は、鋳造条件が同一であっても、浸漬ノズル内部でのAl23 付着量、浸漬ノズルの溶損、スライディングノズルの開度などにより、鋳造中に変化する。そのために、鋳造中に鋳型内の溶鋼流動を検知し、検知した溶鋼流動状況から印加する磁場の強度や方向を調整して鋳型内の溶鋼流動を適正化する方法が、鋳片品質向上の重要な課題として多数提案されている。
例えば、特許文献2には、鋳型内の浸漬ノズル左右での溶鋼湯面のレベル差を鋳型短辺銅板に埋設した熱電対により検知し、左右のレベル差が無くなるように、移動磁場発生装置の撹拌方向と撹拌推力とを調整した溶鋼流動制御方法が開示されている。
特開平5−329594号公報 特開昭62−252650号公報
特許文献2では、鋳型銅板温度の分布から溶鋼流動を検知し、浸漬ノズルの左右の湯面位置のレベル差がなくなるように、左右対称な流動パターンとするべく流動制御を行っているが、本発明者等の調査結果によれば、EMRSモードで鋳造した場合には、モールドパウダーや脱酸生成物を高率的に減少させるためには、鋳型内において偏流を防止して左右対称な流れとするだけでは不十分であり、最適な流動パターンは、左右非対称な特定の流動パターンであることが確認された。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、EMRSモードで溶鋼を連続鋳造するに当たり、モールドパウダーや脱酸生成物の鋳片表面への捕捉を防止し、表面品質に優れた鋳片を製造することのできる鋳型内溶鋼の流動制御方法を提供するとともに、EMRSモードで鋳造された鋳片の表面品質を的確に判断することのできる連続鋳造鋳片の表面品質判定方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る鋳型内溶鋼の流動制御方法は、鋳型内溶鋼を水平方向に回転させるように移動磁場を印加しながらスラブ鋳片を連続鋳造するに際し、鋳型内のメニスカス位置から鋳片引抜き方向に10〜135mm離れた範囲の鋳型長辺銅板背面の幅方向に複数個の測温素子を配置して鋳型長辺銅板温度の幅方向分布を測定し、鋳型長辺銅板の幅中央を中心として、移動磁場による溶鋼の回転方向上流側の鋳型温度分布の平均値が、溶鋼の回転方向下流側の鋳型温度分布の平均値よりも高くなるように、前記移動磁場を印加することを特徴とするものである。
また、本発明に係る連続鋳造鋳片の表面品質判定方法は、鋳型内溶鋼を水平方向に回転させるように移動磁場を印加しながらスラブ鋳片を連続鋳造するに際し、鋳型内のメニスカス位置から鋳片引抜き方向に10〜135mm離れた範囲の鋳型長辺銅板背面の幅方向に複数個の測温素子を配置して鋳型長辺銅板温度の幅方向分布を測定し、鋳型長辺銅板の幅中央を中心として、移動磁場による溶鋼の回転方向上流側の鋳型温度分布の平均値と、溶鋼の回転方向下流側の鋳型温度分布の平均値との差に基づいて鋳片の表面品質を判定することを特徴とするものである。
本発明によれば、移動磁場による溶鋼の回転方向上流側の鋳型温度分布の平均値の方が、溶鋼の回転方向下流側の鋳型温度分布の平均値よりも高くなるように移動磁場を印加して鋳型内溶鋼流動を制御するので、モールドパウダーや脱酸生成物の凝固シェルへの捕捉が防止され、表面品質に優れた鋳片を製造することができる。また、移動磁場による溶鋼の回転方向上流側の鋳型温度分布の平均値と、溶鋼の回転方向下流側の鋳型温度分布の平均値との差に基づいて鋳片の表面品質を判定するので、オンラインで容易に且つ確実に連続鋳造中の鋳片ごとに表面品質を判定することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者等は、実機において、EMRSモードでの種々の鋳造条件で鋳型内幅方向の鋳型長辺銅板温度のプロファイルを調査した。その結果、幅方向の温度プロファイルは、図1に示すように概ね3つのパターンに分類された。Aパターンは、鋳型長辺の幅中央を中心として、移動磁場による回転攪拌方向上流側の鋳型温度分布の方が下流側に比べて低温である場合、Bパターンは、上流側と下流側とが概ね同等な温度である場合、Cパターンは、Aパターンとは逆に、移動磁場による回転攪拌方向上流側の鋳型温度分布の方が下流側に比べて高温である場合である。尚、一般的に、鋳型銅板温度は、その前面の凝固シェル側の溶鋼流動の大きさに伴って高くなる。鋳型内溶鋼流動は、鋳型サイズ、浸漬ノズルからの溶鋼の吐出流や短辺衝突後の反転流、スループットなど様々な要因に支配され、加えてEMRSモードによる攪拌流付与の影響も当然受ける。
上記の鋳型内溶鋼の流動による温度パターン別に、薄鋼板製品におけるモールドパウダー性欠陥及び気泡性欠陥による製品不良の発生量を調査した。図2にその調査結果を示す。図2に示すように、鋳型内溶鋼の流動による温度パターンがパターンCの場合に欠陥が少なく、鋳片品質が最も良好であることが判明した。この理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
Aパターン:回転攪拌方向上流側は、移動磁場による溶鋼流動付与方向と浸漬ノズルからの吐出流とが対向し、流動の停滞が起こりやすい領域と考えられる。そのために、Aパターンでは、回転攪拌方向上流側の温度分布が下流側に比べ低温となったと考えられる。即ち、凝固前面への流動付与による洗浄効果が低くなったために、気泡介在物が凝固シェルに補足されやすく、製品品質が最も悪かったと考えられる。
Cパターン:Aパターンとは逆に、吐出流による減速が起こりやすい回転攪拌方向上流側の方が高い温度になっている。これは、攪拌流が有効に付与された結果として、相対する長辺からの攪拌流が短辺面に沿って回り込み、回転攪拌方向上流側へ衝突して入熱が増大したと考えられる。よって、このCパターンの場合が最も洗浄効果が大きく、製品品質も最良だったと考えられる。
Bパターン:Aパターン及びCパターンの攪拌状況の中間的な場合と考えられる。
これらの結果から、鋳造条件による溶鋼流動条件の変化と対応して変化する鋳型長辺銅板温度のプロフィールによって、鋳片表面の品質判定が可能であり、また、例えば移動磁場の印加強度を鋳型幅方向で差を持たせるなどして、鋳型長辺銅板温度のプロファイルがCパターンのようになるように、移動磁場によって溶鋼流動を制御することで、表面品質に優れた鋳片を製造可能であることが分った。本発明は、これらの知見に基づきなされたものである。
鋳型長辺銅板温度のプロファイルから鋳片品質を判定するには、例えば図3に示すような鋳型長辺銅板の幅方向温度分布において、鋳型幅中央を中心とし、移動磁場による溶鋼の回転攪拌方向上流側の鋳型温度の平均値を(Tup)、回転攪拌方向下流側の鋳型温度の平均値を(Tdown)とし、上流側の平均値(Tup)から下流側の平均値(Tdown)を引いた値(ΔT=Tup−Tdown)で鋳片の品質を予測することができる。
但し、鋳型長辺銅板の測温位置を鋳型内のメニスカス位置から鋳片引抜き方向に10〜135mm離れた範囲とする必要がある。メニスカス位置から10mm未満の範囲は鋳造中のメニスカスの変動により鋳型長辺銅板温度が昇降するため、溶鋼流動による鋳型長辺銅板温度の変化を正確に把握することができず、また、メニスカスから135mmを越えた下方の位置では、溶鋼流動の変化による鋳型長辺銅板温度の変化量が少なくなり、正確に鋳型長辺銅板温度の変化量を把握することができないからである。
このようにして鋳型長辺銅板温度の幅方向分布を解析することで、モールドパウダーの巻込み、皮張り、ブロー疵、及び、ノロカミなどの鋳片の表面欠陥の程度をオンラインで即座に判定することができるとともに、その結果を、移動磁場発生装置の磁場強度制御装置にフィードバックすることにより、鋳型内溶鋼流動を最適な流動パターンに制御することが可能となる。
次に、本発明の具体的な実施方法を図面に基づき説明する。図4は、本発明の実施の形態例を示す連続鋳造機の正面断面の概略図、図5は、その側面断面の概略図である。
図4及び図5において、相対する一対の鋳型長辺銅板4と、この鋳型長辺銅板4に内装された、相対する一対の鋳型短辺銅板5と、から構成される鋳型3の上方所定位置に、タンディッシュ6がタンディッシュカー(図示せず)に積載されて配置されている。タンディッシュ6は、タンディッシュカーに設置された昇降装置(図示せず)により上下移動されて、所定位置で保持されるようになっている。
タンディッシュ6の底部には上ノズル7が設けられ、この上ノズル7に接続して、固定板9、摺動板10及び整流ノズル11からなるスライディングノズル8が配置され、更に、スライディングノズル8の下面側には、下部に吐出孔13を有する浸漬ノズル12が配置されて、タンディッシュ6から鋳型3への溶鋼流出孔14が形成される。
鋳型長辺銅板4の背面の上部及び背面の下部には、長辺水箱23が設置されており、背面下部の長辺水箱23から供給された冷却水25は、水路24を通って鋳型長辺銅板4を冷却し、上部の長辺水箱23へ排出される。鋳型長辺銅板4の前面側表面から水路24までの厚み、即ち鋳型長辺銅板4の厚みはdm である。図示はしないが、鋳型短辺銅板5も同様にして冷却される。鋳型長辺銅板4の背面には、磁場発生装置19が設置されている。磁場発生装置19の発生する磁場は移動磁場であり、磁場発生装置19の磁場強度は磁場強度制御装置27によって制御されている。この場合、図4では、磁場発生装置19を幅方向で一つのものとして表示しているが、鋳型幅方向の中心を境として少なくとも二箇所以上に分割されており、それぞれ独立して磁場強度制御装置27の信号が入力されるようになっている。つまり、EMRSモードで移動磁場を印加した場合に、回転攪拌方向上流側と回転攪拌方向下流側との少なくとも二箇所で磁場強度を変えることができるように構成されている。
また、鋳型長辺銅板4の背面には、鋳型長辺銅板4の幅方向に沿って複数の孔が設けられ、鋳型長辺銅板4の銅板温度を測定する測定点20となっている。各測定点20には測温素子21が、鋳型長辺銅板4の溶鋼側表面から測温素子21の先端までの距離をdとして、その先端を鋳型長辺銅板4に接して配置されている。この場合に、時々刻々の溶鋼流速の変化を正確に捉えるために、距離(d)は16mm以下とすることが好ましい。また、メニスカス16から測定点20までの距離は、鋳造中のメニスカス16の上下動による温度変動の影響を受けないようにするために10mm以上とする必要があり、且つ、溶鋼流動の変化による鋳型長辺銅板温度の変化量を正確に把握するために135mm以下にする必要がある。更に、鋳型幅方向の鋳型長辺銅板4の温度分布を正確に把握するために、隣合う測定点20の間隔は200mm以下とすることが好ましい。
測温素子21の他端は零点補償器28に連結されており、測温素子21から出力される起電力信号は零点補償器28を経由して変換器29に入力され、変換器29にて起電力信号を電流信号に変換された後、電流信号としてデータ解析装置30に入力される。データ解析装置30による解析データは、データ解析装置30の表示部に表示されるともに、磁場強度制御装置27に入力されるようになっている。尚、測温接点となる測温素子21の先端が冷却水25により直接冷却されないようにするために、測定点20はシール材(図示せず)により冷却水25からシールされている。また、測温素子21は、熱電対や抵抗測温体などのうち±1℃以上の精度で測温できるものであれば種類を問わない。
このような構成のスラブ連続鋳造機において、以下のようにして本発明を実施する。
図示せぬ取鍋からタンディッシュ6に溶鋼1を注入してタンディッシュ6に所定量の溶鋼1を滞留させ、次いで、タンディッシュ6に滞留した溶鋼1を、溶鋼流出孔14を経由して、浸漬ノズル12の下部に設けられ且つ鋳型内の溶鋼1に浸漬された吐出孔13から、溶鋼1の吐出流15を鋳型短辺銅板5に向けて鋳型3に注入する。溶鋼1は、鋳型3により冷却されて凝固シェル2を形成する。そして、凝固シェル2を外殻とし、内部を未凝固の溶鋼1とする鋳片を、引抜きロール18により鋳型3の下方に連続的に引抜き、溶鋼1の連続鋳造を実施する。その際、鋳型3のメニスカス16の上にはモールドパウダー17を添加する。モールドパウダー17は溶融して、凝固シェル2と鋳型3との間に流れ込みモールドパウダー層22を形成する。引抜きロール18は鋳片引抜き速度制御装置26により制御される。
また、上ノズル7をポーラス煉瓦により構成し、溶鋼流出孔14の壁面へのAl23 付着を防止するために、上ノズル7と連結されたAr導入管(図示せず)とAr導入管に設置されたAr流量調整弁(図示せず)とからなるAr供給装置を介して、上ノズル7から溶鋼流出孔14の内部に所定量のArを吹き込む。吹き込まれたArは、溶鋼1とともに浸漬ノズル12を通り、吐出孔13を介して鋳型3に流入し、鋳型3の溶鋼1を通ってメニスカス16に浮上し、メニスカス16の上のモールドパウダー17を貫通して大気に至る。
また更に、磁場発生装置19により、相対する長辺面に沿ってそれぞれ相反する向きの移動磁場を印加し、凝固界面に沿って水平方向に回転する溶鋼流動を誘起させる。つまり、EMRSモードの移動磁場を、鋳型内の溶鋼1に印加する。図4の磁場発生装置19に示す矢印は、紙面の前面側の磁場発生装置19における移動磁場の移動方向を示す図であり、この方向は、紙面の前面側の凝固シェル界面の溶鋼流動の方向でもある。相対する長辺面における移動磁場の移動方向は、この方向とは逆向きの方向になる。
この鋳造中に、測温素子21による鋳型長辺銅板温度の測温値を入力したデータ解析装置30では、入力されるデータを、所定の間隔、例えば数秒間ないし数分間の間隔で解析する。つまり、測定された鋳型長辺銅板温度の幅方向の複数の温度測定値から鋳型幅中央を中心として、移動磁場による回転攪拌方向上流側の鋳型温度分布の平均値(Tup)を求めるとともに、回転攪拌方向下流側の鋳型温度分布の平均値(Tdown)を求め、求めた平均値(Tup)及び平均値(Tdown)からその差(ΔT=Tup−Tdown)を求め、品質グレードに応じてそれぞれ予め設定された閾値と比較して欠陥の発生程度を鋳片ごとに判定し、鋳片の手入れ方法を決定する。
また、データ解析装置30からのデータを入力した磁場強度制御装置27は、平均値(Tup)と平均値(Tdown)の差(ΔT=Tup−Tdown)が正の値になるように、鋳型幅方向の磁場強度を変更する。また、品質グレードに応じてそれぞれ予め設定された閾値と比較して、その値を確保するように、印加条件を変更する。この場合、磁場強度の変更を頻度高く行うと、溶鋼流動を制御できずに発散してしまう恐れがあるので、5分間ないし10分間程度の間隔を隔てて、磁場強度を変更することが好ましい。
このように、本発明によれば、モールドパウダーや脱酸生成物の凝固シェルへの捕捉が防止され、表面品質に優れた鋳片を製造することができる。また、鋳片の表面品質判定がオンラインでしかも鋳片ごとに行われるので、移動磁場の印加条件が適正でなかった場合にも、鋳片の手入れ方法を変更するなどして、薄鋼板製品における表面疵の発生を防止することが可能となる。
図4及び図5に示すスラブ連続鋳造機で本発明を適用した例を示す。表1に、用いた連続鋳造機の緒言を示す。
Figure 2008221287
鋳片の厚みを220mm、250mm、300mmの3水準として、幅が1600〜1800mmの極低炭素鋼の鋳片を鋳造した。鋳片引抜き速度は1.2〜1.8m/min、溶鋼流出孔内へのArの吹き込み量は10NL/min、浸漬ノズルは山形の2孔ノズルで、その吐出角度は下向き35度である。測温素子として熱電対を用い、メニスカスから50mm下の位置に、浸漬ノズルを中心として左右対称に65mm間隔で配置した。鋳型内溶鋼の流動制御は、表2に示す移動磁場発生装置を用いてEMRSモードによる磁場印加を行った。
Figure 2008221287
鋳造した鋳片を無手入れのままで熱間圧延し、更に冷間圧延して冷延コイルを製造し、冷延コイルの表面欠陥を目視で検査した。図6は、その調査結果であり、横軸を、鋳型幅中央を中心として、移動磁場による回転攪拌方向上流側の鋳型温度分布の平均値(Tup)から下流側の平均値(Tdown)を引いた値(ΔT=Tup−Tdown)とし、縦軸を冷延コイルの1コイル当たりの表面欠陥個数として表示したものである。この場合、横軸のΔTは、各コイルに対応する鋳片において10秒ごとに測定した幅方向温度分布から、それぞれの測定時期のΔTを計測し、これらを平均した値を代表値として表示している。図6に示すように、ΔTが大きい、即ち、回転攪拌方向上流側の温度の方が下流側の温度に比べて高いほど、欠陥が減少していることが分った。
このように、EMRSモードでの鋳造において、鋳型長辺銅板の幅方向温度分布から求めたΔTに基づいて冷延コイルの表面欠陥の程度が予測でき、冷延コイルの用途及びグレードによって閾値を設定することで、無手入れ−手入れの判断が可能となることが分った。因みに図6のグレードのコイルの場合には、閾値を5℃として、ΔTが5℃以上の場合には「無手入れ」とし、5℃未満の場合には「手入れ」とすることができる。
EMRSモードで印加したときの鋳型内幅方向の鋳型長辺銅板温度のプロファイルを示す図である。 鋳型内溶鋼の温度パターン別に、薄鋼板製品におけるモールドパウダー性欠陥及び気泡性欠陥による製品不良の発生量を比較して示す図である。 鋳型長辺銅板温度のプロファイルの判定方法を示す図である。 本発明の実施の形態例を示す連続鋳造機の正面断面の概略図である。 図4の側面断面の概略図である。 回転方向上流側の鋳型温度の平均値と下流側の鋳型温度の平均値との差(ΔT)と、欠陥個数との関係を示す図である。
符号の説明
1 溶鋼
2 凝固シェル
3 鋳型
4 鋳型長辺銅板
5 鋳型短辺銅板
6 タンディッシュ
7 上ノズル
8 スライディングノズル
9 固定板
10 摺動板
11 整流ノズル
12 浸漬ノズル
13 吐出孔
14 溶鋼流出孔
15 吐出流
16 メニスカス
17 モールドパウダー
18 引抜きロール
19 磁場発生装置
20 測定点
21 測温素子
22 モールドパウダー層
23 長辺水箱
24 水路
25 冷却水
26 鋳片引抜き速度制御装置
27 磁場強度制御装置
28 零点補償器
29 変換器
30 データ解析装置

Claims (2)

  1. 鋳型内溶鋼を水平方向に回転させるように移動磁場を印加しながらスラブ鋳片を連続鋳造するに際し、鋳型内のメニスカス位置から鋳片引抜き方向に10〜135mm離れた範囲の鋳型長辺銅板背面の幅方向に複数個の測温素子を配置して鋳型長辺銅板温度の幅方向分布を測定し、鋳型長辺銅板の幅中央を中心として、移動磁場による溶鋼の回転方向上流側の鋳型温度分布の平均値が、溶鋼の回転方向下流側の鋳型温度分布の平均値よりも高くなるように、前記移動磁場を印加することを特徴とする、鋳型内溶鋼の流動制御方法。
  2. 鋳型内溶鋼を水平方向に回転させるように移動磁場を印加しながらスラブ鋳片を連続鋳造するに際し、鋳型内のメニスカス位置から鋳片引抜き方向に10〜135mm離れた範囲の鋳型長辺銅板背面の幅方向に複数個の測温素子を配置して鋳型長辺銅板温度の幅方向分布を測定し、鋳型長辺銅板の幅中央を中心として、移動磁場による溶鋼の回転方向上流側の鋳型温度分布の平均値と、溶鋼の回転方向下流側の鋳型温度分布の平均値との差に基づいて鋳片の表面品質を判定することを特徴とする、連続鋳造鋳片の表面品質判定方法。
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