JP2008218235A - 燃料電池システム及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料収容部での燃料枯渇状態を速やかに検出することにより、常に安定した電源供給を可能にした燃料電池システム及び電子機器を提供する。
【解決手段】 起電部を構成する燃料電池発電部101、液体燃料を収容する燃料収容部102及び前記燃料収容部102から燃料電池発電部101への液体燃料の移送を制御する電気浸透流ポンプ104を有する燃料電池本体1、燃料電池本体1の発電出力により充電される補助電源4と、補助電源4が電源として接続され、電気浸透流ポンプに対し駆動電流を供給する燃料供給制御回路5、燃料供給制御回路5から電気浸透流ポンプ104に供給される駆動電流を検出し、該駆動電流により燃料収容部102での液体燃料の枯渇状態を検出する状態検出部7を有し、状態検出部7の検出信号により前記燃料供給制御回路5の動作を停止させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システム及びこの燃料電池システムを電源として用いた電子機器に関する。
携帯電話機や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)などの電子機器の小型化は目覚しいものがあり、これら電子機器の小型化とともに、電源として燃料電池を使用することが試みられている。燃料電池は、燃料と空気を供給するのみで、発電することができ、燃料のみを交換すれば連続して発電できるという利点を有するため、小型化が実現できれば、小型の電子機器の電源として極めて有効である。
そこで、最近、燃料電池として、直接メタノール型燃料電池(以下、DMFC;Direct Methanol Fuel Cellと称する。)が注目されている。かかるDMFCは、液体燃料の供給方式によって分類され、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式のものと、燃料収容部内の液体燃料を電池内部で気化させて燃料極に供給する内部気化型等のパッシブ方式のものがあり、これらのうち、パッシブ方式のものはDMFCの小型化に対して特に有利である。
従来、このようなパッシブ方式のDMFCとして、特許文献1に開示されるように、例えば燃料極、電解質膜および空気極を有する膜電極接合体(燃料電池セル)を、樹脂製の箱状容器からなる燃料収容部上に配置した構造のものが考えられている。
また、DMFCの燃料電池セルと燃料収容部とを流路を介して接続する構成のものも特許文献2〜4に開示されている。これら特許文献2〜4は、燃料収容部から供給された液体燃料を燃料電池セルに流路を介して供給することによって、流路の形状や径等に基づいて液体燃料の供給量を調整可能としたもので、特に、特許文献3では燃料収容部から流路にポンプで液体燃料を供給している。また、ポンプに代えて、流路に電気浸透流を形成する電界形成手段を用いることも記載されている。さらに特許文献4には電気浸透流ポンプを用いて液体燃料等を供給することが記載されている。
国際公開第2005/112172号パンフレット 特表2005−518646号公報 特開2006−085952号公報 米国特許公開第2006/0029851号公報
ところで、このようなDMFCを主発電部とした燃料電池システムでは、DMFCの出力側に、充放電可能な二次電池(例えばリチウムイオン充電池(LIB))や電気二重層コンデンサ)からなる補助電源が接続されている。この補助電源は、DMFCの発電出力により常時充電可能にしたもので、上述した燃料収容部からDMFCへ液体燃料を供給するためのポンプの駆動電源として用いられる他、負荷(電子機器)の瞬間的な変動に対して電流を供給し、さらに、DMFCが燃料枯渇状態になって発電不能に陥った場合に一時的に負荷(電子機器)の駆動電源として用いられている。
ところが、液体燃料を収容する燃料収容部での燃料残量が少なり、燃料枯渇状態になると、燃料電池セルの発電能力が低下し、出力を低下することがある。そして、この状態が長く続くと、補助電源が負荷(電子機器)の電源として長い時間使用され続けるため、補助電源の電池残量が低下していき、遂には放電停止状態に陥り、負荷(電子機器)への給電が完全停止して使用が全くできなくなることがある。
また、燃料収容部が燃料枯渇状態にあるにも関わらず、補助電源によりポンプを駆動し続けることは、補助電源の充電電荷の無駄な浪費を招くとともに、補助電源の寿命を縮めるおそれもあり、さらに、液体燃料の移送が行われない状態で、ポンプを動作し続けるため、ポンプの劣化を招き、故障する原因となるおそれもあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、燃料収容部での燃料枯渇状態を速やかに検出することにより、常に安定した電源供給を可能にした燃料電池システム及び電子機器を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、起電部を構成する燃料電池発電部、液体燃料を収容する燃料収容部及び前記燃料収容部から前記燃料電池発電部への燃料の供給を制御する電気浸透流ポンプを有する燃料電池本体と、前記燃料電池本体の発電出力により充電される補助電源と、前記補助電源が電源として接続され、前記電気浸透流ポンプに対し駆動電流を供給する燃料供給制御手段と、前記燃料供給制御手段から前記電気浸透流ポンプに供給される駆動電流を検出し、該駆動電流により前記燃料収容部での燃料の枯渇状態を検出する状態検出手段と、を具備し、前記状態検出手段の検出信号により前記燃料供給制御手段の動作を停止させることを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載において、報知手段を有し、前記報知手段は、前記状態検出手段の検出信号により燃料収容部での燃料の枯渇状態を報知することを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載において、前記燃料供給制御手段は、前記状態検出手段の検出信号により前記電気浸透流ポンプの駆動を停止することを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1記載において、さらに前記燃料電池本体への燃料の供給を遮断可能にした燃料遮断バルブを有し、該燃料遮断バルブは、前記状態検出手段の検出信号により動作し、前記燃料電池発電部への燃料の供給を遮断することを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池システムを電源として使用した電子機器である。
本発明によれば、燃料収容部での燃料枯渇状態を速やかに検出することにより、常に安定した電源供給を可能にした燃料電池システム及び電子機器を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる燃料電池システムの概略構成を示している。
図1において、1は燃料電池本体(DMFC)で、この燃料電池本体1は、起電部を構成する燃料電池発電部(セル)101、液体燃料を収容する燃料収容部102、燃料収容部102と燃料電池発電部(セル)101を接続する流路103及び燃料収容部102から燃料電池発電部(セル)101に液体燃料を移送するための燃料供給制御手段としてのポンプ104を有している。
図2は、このような燃料電池本体1をさらに詳細に説明するための断面図である。
この場合、燃料電池発電部101は、アノード触媒層11とアノードガス拡散層12とを有するアノード(燃料極)13と、カソード触媒層14とカソードガス拡散層15とを有するカソード(空気極/酸化剤極)16と、アノード触媒層11とカソード触媒層14とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜17とから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を有している。
ここで、アノード触媒層11やカソード触媒層14に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層11にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層14にはPtやPt−Ni等を用いることが好ましい。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
電解質膜17を構成するプロトン伝導性材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の電解質膜17はこれらに限られるものではない。
アノード触媒層11に積層されるアノードガス拡散層12は、アノード触媒層11に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層11の集電体も兼ねている。カソード触媒層14に積層されるカソードガス拡散層15は、カソード触媒層14に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層14の集電体も兼ねている。アノードガス拡散層12およびカソードガス拡散層15は多孔質基材で構成されている。
アノードガス拡散層12やカソードガス拡散層15には、必要に応じて導電層が積層される。これら導電層としては、例えばAuのような導電性金属材料からなるメッシュ、多孔質膜、薄膜等が用いられる。電解質膜17と後述する燃料分配機構105およびカバープレート18との間には、それぞれゴム製のOリング19が介在されており、これらによって燃料電池発電部101からの燃料漏れや酸化剤漏れを防止している。
カバープレート18は酸化剤である空気を取入れるための不図示の開口を有している。カバープレート18とカソード16との間には、必要に応じて保湿層や表面層が配置される。保湿層はカソード触媒層14で生成された水の一部が含浸されて、水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層14への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。
燃料電池発電部101のアノード(燃料極)13側には、燃料分配機構105が配置されている。燃料分配機構105には配管のような燃料の流路103を介して燃料収容部102が接続されている。
燃料収容部102には、燃料電池発電部101に対応した液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料収容部102には燃料電池発電部101に応じた燃料が収容される。
燃料分配機構105には燃料収容部102から流路103を介して燃料が導入される。流路103は燃料分配機構105や燃料収容部102と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料分配機構105と燃料収容部102とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ液体燃料の流路であってもよい。燃料分配機構105は流路103を介して燃料収容部102と接続されていればよい。
ここで、燃料分配機構105は図3に示すように、燃料が流路103を介して流入する少なくとも1個の燃料注入口21と、液体燃料やその気化成分を排出する複数個の燃料排出口22とを有する燃料分配板23を備えている。燃料分配板23の内部には図2に示すように、燃料注入口21から導かれた燃料の通路となる空隙部24が設けられている。複数の燃料排出口22は燃料通路として機能する空隙部24にそれぞれ直接接続されている。
燃料注入口21から燃料分配機構105に導入された燃料は空隙部24に入り、この燃料通路として機能する空隙部24を介して複数の燃料排出口22にそれぞれ導かれる。複数の燃料排出口22には、例えば燃料の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離体(図示せず)を配置してもよい。これによって、燃料電池発電部101のアノード(燃料極)13には燃料の気化成分が供給される。なお、気液分離体は燃料分配機構105とアノード13との間に気液分離膜等として設置してもよい。液体燃料の気化成分は複数の燃料排出口22からアノード13の複数個所に向けて排出される。
燃料排出口22は燃料電池発電部101の全体に燃料を供給することが可能なように、燃料分配板23のアノード13と接する面に複数設けられている。燃料排出口22の個数は2個以上であればよいが、燃料電池発電部101の面内における燃料供給量を均一化する上で、0.1〜10個/cm2の燃料排出口22が存在するように形成することが好ましい。
燃料分配機構105と燃料収容部102の間を接続する流路103には、燃料移送制御手段として電気浸透流ポンプ104が挿入されている。この電気浸透流ポンプ104は、流路103内に電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体から構成される電気浸透材を有し、この電気浸透材の上流及び下流側端部にそれぞれ電極を配置した構成をしており、これら上流及び下流の電極間に一定の電圧を印加することにより、前記電気浸透材を介して前記流路103内に液体燃料を移送させるようにしている。この場合、電気浸透流ポンプ104は、電極間に一定電圧を印加された状態で、電気浸透流ポンプ104を通る液体燃料に応じた駆動電流が供給される。この駆動電流は、電気浸透流ポンプ104を流れる液体燃料が無くなると急激に低下する特徴を有している。
また、電気浸透流ポンプ104は燃料を循環される循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部102から燃料分配機構105に燃料を移送する燃料供給ポンプである。このような電気浸透流ポンプ104で必要時に燃料を移送することによって、燃料供給量の制御性を高めるものである。
電気浸透流ポンプ104には、燃料供給制御回路5が接続され、電気浸透流ポンプ104の駆動が制御される。この点については後述する。
このような構成において、燃料収容部102に収容された液体燃料は、電気浸透流ポンプ104により流路103を移送され、燃料分配機構105に供給される。そして、燃料分配機構105から放出された燃料は、燃料電池発電部101のアノード(燃料極)13に供給される。燃料電池発電部101内において、燃料はアノードガス拡散層12を拡散してアノード触媒層11に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層11で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層14で生成した水や電解質膜17中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
この反応で生成した電子(e-)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる出力として負荷側に供給された後、カソード(空気極)16に導かれる。また、(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜17を経てカソード16に導かれる。カソード16には酸化剤として空気が供給される。カソード16に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層14で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成される。
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
図1に戻って、このように構成された燃料電池本体1には、出力調整手段としてDC−DCコンバータ(電圧調整回路)2が接続されている。このDC−DCコンバータ2は、不図示のスイッチング要素とエネルギー蓄積要素を有し、これらスイッチング要素とエネルギー蓄積要素により燃料電池本体1で発電された電気エネルギーを蓄積/放出させ、燃料電池本体1からの比較的低い出力電圧を十分の電圧まで昇圧して生成される出力を発生する。このDC−DCコンバータ2の出力は、負荷である電子機器本体3に供給される。
なお、ここでは標準的な昇圧型のDC−DCコンバータ2を示したが、昇圧動作が可能なものならば、他の回路方式のものでも実施可能である。
DC−DCコンバータ2の出力端には、補助電源4が接続されている。補助電源4は、DC−DCコンバータ2の出力により充電可能としたもので、電子機器本体3の瞬間的な負荷変動に対して電流を供給し、また、燃料枯渇状態になって前記燃料電池本体1が発電不能に陥った場合に電子機器本体3の駆動電源として用いられる。この補助電源4には、充放電可能な二次電池(例えばリチウムイオン充電池(LIB))や電気二重層コンデンサ)が用いられる。
補助電源4には、燃料供給制御回路5が接続されている。この燃料供給制御回路5は、補助電源4を電源として電気浸透流ポンプ104による燃料電池発電部101への燃料供給を制御する。この場合、燃料供給制御回路5は、電気浸透流ポンプ104に対し一定の電圧を印加するとともに、電気浸透流ポンプ104を通る液体燃料の量に応じた駆動電流を供給する。
燃料供給制御回路5と電気浸透流ポンプ104との間の電路には、駆動電流検出手段としてシャント抵抗6が接続されている。このシャント抵抗6は、電気浸透流ポンプ104の駆動電流に応じた出力を発生する。シャント抵抗6には、状態検出部7が接続されている。この状態検出部7は、シャント抵抗6の出力から燃料収容部102の燃料枯渇状態を検出する。この場合、状態検出部7は、シャント抵抗6の出力から電気浸透流ポンプ104の駆動電流の大きさを常時監視しており、燃料収容部102の駆動電流が低下し、シャント抵抗6の出力が一定の値を下回ったとき、燃料収容部102の燃料枯渇と判断して異常信号を出力する。
状態検出部7には、電子機器本体3及び燃料供給制御回路5が接続されている。電子機器本体3は、報知手段としての表示部31及び記憶部32が設けられている。表示部31は、状態検出部7の異常信号により燃料収容部102の燃料が枯渇状態であることを表示するもので、例えばLEDが用いられる。勿論、報知手段としてブザーなど音を発生する手段を用いることもできる。記憶部32は、状態検出部7の異常信号を記憶する。この場合、記憶部32に記憶される情報は、燃料電池本体1の状態の解析などに用いられる。
また、燃料供給制御回路5は、異常検出部7の異常信号が入力されると、その動作を強制的に停止される。つまり、燃料収容部102の燃料枯渇より燃料供給制御回路5による電気浸透流ポンプ104の駆動を止めて燃料の供給を遮断し、燃料電池本体1の発電動作を強制的に停止させる。
このような構成において、いま、補助電源4の出力が、燃料供給制御回路5に電源として供給されると、燃料供給制御回路5は、電気浸透流ポンプ104に対し一定の電圧を印加するとともに、電気浸透流ポンプ104を通る燃料の量に応じた駆動電流を供給する。これにより、燃料収容部102に収容される液体燃料がポンプ104により流路103を介して燃料電池発電部101に供給され、燃料電池発電部101より発電出力が発生する。
燃料電池発電部101の発電出力は、DC−DCコンバータ2により昇圧され、電子機器本体3に供給される。同時に、補助電源4は、DC−DCコンバータ2の出力により充電される。これにより、電子機器本体3は、DC−DCコンバータ2から供給される電力を電源として動作される。
この状態で、燃料収容部102内の燃料が無くなって電気浸透流ポンプ104を通る液体燃料の流れがなくなると、燃料供給制御回路5から電気浸透流ポンプ104に供給される駆動電流が急激に低下し、シャント抵抗6の出力も低下する。そして、シャント抵抗6の出力が一定の値を下回ると、状態検出部7は、燃料枯渇と判断して異常信号を出力する。
この異常信号は、電子機器本体3の表示部31に送られ、燃料収容部102の燃料が枯渇状態であることが表示され、また、記憶部32にも記憶され、後日、燃料電池本体1の状態の解析などに用いられる。また、異常信号は、燃料供給制御回路5に送られる。これにより、燃料供給制御回路5による電気浸透流ポンプ104の制御が停止し、燃料電池本体1の発電動作が強制的に停止される。つまり、燃料収容部102の燃料枯渇状態の検出により燃料供給制御回路5による電気浸透流ポンプ104の駆動を停止して燃料電池本体1の発電動作を強制的に停止させる。
したがって、このようにすれば、燃料収容部102での燃料枯渇により電気浸透流ポンプ104に供給される駆動電流が一定の値を下回ると、燃料供給制御回路5による電気浸透流ポンプ104の駆動を停止し、燃料電池本体1の発電動作を強制的に停止させるようにした。これにより、従来、燃料収容部102での液体燃料が枯渇して燃料電池本体1の発電能力が低下しているにも関わらず運転を続けることで、補助電源4が長時間続けて使用され、結果、放電停止状態となって電子機器が全く使用できなくなるような状況を防止でき、電子機器に対して常に安定した電源供給が可能となる。
また、燃料収容部102での液体燃料の枯渇により補助電源4を電源とする電気浸透流ポンプ104の駆動を停止できるので、補助電源4の無駄な浪費を防止でき、補助電源4の寿命を縮める原因を取り除くことができ、さらに、液体燃料の移送が行われない状態での電気浸透流ポンプ104の駆動を完全に停止することにより、電気浸透流ポンプ104の劣化も防止でき、ポンプ劣化による故障を排除することもできる。
さらに、燃料収容部102の液体燃料が枯渇したことを表示部31に表示して報知するようにしたので、ユーザは、燃料枯渇の現状を速やかに知ることができ、液体燃料を供給するなどの対応を早急に実行することにより、速やかな危険回避を実現できる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、燃料分配機構105と燃料収容部102の間を接続する流路103に燃料移送制御手段としての電気浸透流ポンプ104を配置した例を述べたが、さらに電気浸透流ポンプ104と直列に燃料遮断バルブを配置してもよい。この燃料遮断バルブは、長期保管時等における電気浸透流ポンプ104からの液体燃料の蒸発を防止するために設けられるものであるが、電気浸透流ポンプ104の制御を停止する代わりに、状態検出部7の異常信号により燃料遮断バルブを強制的に遮断し燃料電池本体1への液体燃料の供給を断って、燃料電池本体1の発電動作を強制的に停止させる燃料供給制御手段の機能を持たせるようにしてもよい。さらには、燃料分配機構105から燃料電池発電部101への燃料供給が行われる構成であればポンプ104と共に燃料遮断バルブを配置しても良い。この場合には、燃料遮断バルブは、燃料収容部102と燃料分配機構105との間に燃料遮断バルブを挿入することによって、燃料電池の未使用時にも不可避的に発生する微量な燃料の消費や上述したポンプ再運転時の吸い込み不良等を回避することができる。これらは燃料電池の実用上の利便性の向上に大きく貢献するものである。また、異常検出部7の異常信号により燃料遮断バルブを強制的に遮断し燃料電池本体1への液体燃料の供給を断って、燃料電池本体1の発電動作を強制的に停止させる燃料供給制御手段の機能を持たせるようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
さらに燃料電池発電部へ供給される液体燃料の気化成分においても、全て液体燃料の気化成分を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
本発明の第1の実施の形態にかかる燃料電池システムの概略構成を示す図。 第1の実施の形態の燃料電池本体を詳細に説明するための断面図。 第1の実施の形態の燃料電池本体に用いられる燃料分配機構の斜視図。
符号の説明
1…燃料電池本体、101…燃料電池発電部
102…燃料収容部、103…流路
104…ポンプ、105…燃料分配機構
2…DC/DCコンバータ、3…電子機器本体
3a…表示部、3b…記憶部
4…補助電源、5…燃料供給制御回路
6…シャント抵抗、7…状態検出部
11…アノード触媒層、12…アノードガス拡散層
13…アノード、14…カソード触媒層
15…カソードガス拡散層、16…カソード
17…電解質膜、18…カバープレート
19…Oリング、21…燃料注入口
22…燃料排出口、23…燃料分配板
24…空隙部

Claims (5)

  1. 起電部を構成する燃料電池発電部、液体燃料を収容する燃料収容部及び前記燃料収容部から前記燃料電池発電部への燃料の供給を制御する電気浸透流ポンプを有する燃料電池本体と、
    前記燃料電池本体の発電出力により充電される補助電源と、
    前記補助電源が電源として接続され、前記電気浸透流ポンプに対し駆動電流を供給する燃料供給制御手段と、
    前記燃料供給制御手段から前記電気浸透流ポンプに供給される駆動電流を検出し、該駆動電流により前記燃料収容部での燃料の枯渇状態を検出する状態検出手段と、を具備し、
    前記状態検出手段の検出信号により前記燃料供給制御手段の動作を停止させることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 報知手段を有し、
    前記報知手段は、前記状態検出手段の検出信号により燃料収容部での燃料の枯渇状態を報知することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料供給制御手段は、前記状態検出手段の検出信号により前記電気浸透流ポンプの駆動を停止することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  4. さらに前記燃料電池本体への燃料の供給を遮断可能にした燃料遮断バルブを有し、
    該燃料遮断バルブは、前記状態検出手段の検出信号により動作し、前記燃料電池発電部への燃料の供給を遮断することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池システムを電源として使用した電子機器。
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