JP2010238408A - 燃料電池システム及びバルブ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した信頼性の高い燃料の遮断動作を得られる圧電バルブを有する燃料電池システム及び圧電バルブ装置を提供する。
【解決手段】燃料電池本体1に対して燃料を供給するポンプ104と直列に圧電バルブ106を設け、圧電バルブ106の運転期間は、駆動回路9の第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95のオン動作により出力電圧を圧電バルブ106に供給し、圧電バルブ106を開放状態に制御し、圧電バルブ106の運転停止にともなう第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95のオフ動作期間、又は駆動回路9の出力電圧が停止すると、駆動回路9の出力電圧に代わって補助電源4の出力電圧を圧電バルブ106に供給し、圧電バルブ106を閉止状態に制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料電池本体1に対して燃料を供給するポンプ104と直列に圧電バルブ106を設け、圧電バルブ106の運転期間は、駆動回路9の第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95のオン動作により出力電圧を圧電バルブ106に供給し、圧電バルブ106を開放状態に制御し、圧電バルブ106の運転停止にともなう第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95のオフ動作期間、又は駆動回路9の出力電圧が停止すると、駆動回路9の出力電圧に代わって補助電源4の出力電圧を圧電バルブ106に供給し、圧電バルブ106を閉止状態に制御する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池システム及びこの燃料電池システムに適用されるバルブ装置に関する。
携帯電話機や携帯情報端末などの電子機器の小型化は目覚しいものがあり、これら電子機器の小型化とともに、電源として燃料電池を使用することが試みられている。燃料電池は、燃料と空気を供給するのみで、発電することができ、燃料のみを交換すれば連続して発電できるという利点を有するため、小型化が実現できれば、小型の電子機器の電源として極めて有効である。
そこで、最近、燃料電池として、直接メタノール型燃料電池(以下、DMFC;Direct Methanol Fuel Cellと称する。)が注目されている。かかるDMFCは、液体燃料の供給方式によって分類され、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式のものと、燃料収容部内の液体燃料を電池内部で気化させて燃料極に供給する内部気化型等のパッシブ方式のものがあり、これらのうち、パッシブ方式のものはDMFCの小型化に対して特に有利である。
従来、このようなパッシブ方式のDMFCとして、特許文献1に開示されるように、例えば燃料極、電解質膜および空気極を有する膜電極接合体(燃料電池セル)を、樹脂製の箱状容器からなる燃料収容部上に配置した構造のものが考えられている。
また、DMFCの燃料電池セルと燃料収容部とを流路を介して接続する構成のものも特許文献2〜4に開示されている。これら特許文献2〜3は、燃料収容部から供給された液体燃料を燃料電池セルに流路を介して供給することによって、流路の形状や径等に基づいて液体燃料の供給量を調整可能としたもので、特に、特許文献3では燃料収容部から流路にポンプで液体燃料を供給している。この場合、液体燃料を供給するためのポンプとして、例えば、特許文献4に開示されるような圧電素子(ダイアフラム)を用いた圧電ポンプが知られている。
国際公開第2005/112172号パンフレット
特表2005−518646号公報
特開2006−085952号公報
特開2001−271757号公報
W02008/081576A1号公報
従来のDMFCを主発電部とした燃料電池システムでは、燃料電池の運転の安定性や信頼性を高めるため、液体燃料を供給するポンプと直列に燃料遮断用のバルブを配置したものがある(特許文献5)。かかる、ポンプと直列に燃料遮断用のバルブを配置したものでは、例えば、ポンプを運転する直前にバルブを開放し、ポンプの運転停止直後にバルブを閉止するような動作を行うことにより、ポンプの運転停止時でも発生する、意図しない燃料の送液を確実に遮断して不要な燃料消費を防止できるようにしている。
ところで、従来、この種の燃料遮断用のバルブとして、圧電素子を使用した圧電バルブが知られている。かかる圧電バルブは、単純なスイッチング回路などで構成される駆動回路より発生される駆動電圧が圧電素子に供給され、この駆動電圧により圧電素子の変形方向を切替えることによりバルブの開閉動作を得られるようにしている。この場合、駆動回路より発生される駆動電圧は、正側半波と負側半波からなる駆動波形が用いられ、圧電バルブは、例えば、駆動電圧の正側半波による圧電素子の変形によりバルブを開放し、負側半波による圧電素子の変形によりバルブを閉止するようにしている。
ところが、このような駆動回路の駆動電圧により開閉動作される圧電バルブによると、駆動波形の状態(正側半波又は負側半波)によりバルブの開放、閉止の動作を規定することができるが、例えば、何らかの原因で駆動回路より発生される駆動電圧が停止すると、圧電素子の状態が不定となり、仮に、駆動電圧の停止によりバルブが開放状態のままになっていると、ポンプの運転停止時でも意図しない燃料の送液が発生することがあり、燃料電池の発熱や無駄な燃料消費の原因になるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、安定した信頼性の高い燃料の遮断動作を得られる圧電バルブを有する燃料電池システム及び圧電バルブ装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、燃料供給により電力を発電する燃料電池本体と、前記燃料電池本体に燃料を供給する燃料移送制御手段と、圧電素子を有し、該圧電素子の変形動作により前記燃料移送制御手段への燃料の供給を遮断可能にした圧電バルブと、補助電源と、駆動電圧を前記圧電バルブに供給し前記圧電素子を所定の方向に変形させて前記燃料移送制御手段へ燃料供給させるとともに、前記駆動電圧の停止により前記補助電源の出力電圧を前記圧電バルブに供給し前記圧電素子を前記所定の変形方向と異なる方向に変形させて前記燃料移送制御手段への燃料の供給を遮断させる駆動手段とを具備したことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記補助電源は、燃料電池本体の発電出力により充電される二次電池であることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記駆動手段は、スイッチング素子を有し、該スイッチング素子のオン動作により前記駆動電圧を前記圧電バルブに供給し、前記スイッチング素子のオフ動作により前記補助電源の出力電圧を前記圧電バルブに供給するようにしたことを特徴としている。
請求項4記載の発明は、圧電素子を有し、該圧電素子の変形動作により流体供給を遮断可能にした圧電バルブと、補助電源と、駆動電圧を前記圧電バルブに供給し前記圧電素子を所定の方向に変形させて燃料移送制御手段へ燃料供給させるとともに、前記駆動電圧の停止により前記補助電源の出力電圧を前記圧電バルブに供給し前記圧電素子を前記所定の変形方向と異なる方向に変形させて前記燃料移送制御手段への燃料の供給を遮断させる駆動手段とを具備したことを特徴とする圧電バルブ装置である。
本発明によれば、安定した信頼性の高い燃料の遮断動作を得られる圧電バルブを有する燃料電池システム及び圧電バルブ装置を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる燃料電池システムの概略構成を示している。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる燃料電池システムの概略構成を示している。
図1において、1は燃料電池本体(DMFC)で、この燃料電池本体1は、起電部を構成する燃料電池発電部(セル)101、液体燃料を収容する燃料収容部102、燃料収容部102と燃料電池発電部(セル)101を接続する流路103及び燃料収容部102から燃料電池発電部(セル)101に液体燃料を移送するための燃料供給制御手段としての圧電ポンプ104及び圧電バルブ106を有している。この圧電バルブ106については後述する。
図2は、このような燃料電池本体1をさらに詳細に説明するための断面図である。
この場合、燃料電池発電部101は、アノード触媒層11とアノードガス拡散層12とを有するアノード(燃料極)13と、カソード触媒層14とカソードガス拡散層15とを有するカソード(空気極/酸化剤極)16と、アノード触媒層11とカソード触媒層14とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜17とから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を有している。
ここで、アノード触媒層11やカソード触媒層14に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層11にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層14にはPtやPt−Ni等を用いることが好ましい。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
電解質膜17を構成するプロトン伝導性材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(登録商標)(商品名、デュポン社製)やフレミオン(登録商標)(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の電解質膜17はこれらに限られるものではない。
アノード触媒層11に積層されるアノードガス拡散層12は、アノード触媒層11に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層11の集電体も兼ねている。カソード触媒層14に積層されるカソードガス拡散層15は、カソード触媒層14に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層14の集電体も兼ねている。アノードガス拡散層12およびカソードガス拡散層15は多孔質基材で構成されている。
アノードガス拡散層12やカソードガス拡散層15には、必要に応じて導電層が積層される。これら導電層としては、例えばAu、Niのような導電性金属材料からなる多孔質層(例えば、メッシュ)、多孔質膜、箔体あるいはステンレス鋼(SUS)などの導電性金属材料に金などの良導電性金属を被覆した複合材等が用いられる。電解質膜17と後述する燃料分配機構105およびカバープレート18との間には、それぞれゴム製のOリング19が介在されており、これらによって燃料電池発電部101からの燃料漏れや酸化剤漏れを防止している。
カバープレート18は酸化剤である空気を取入れるための不図示の開口を有している。カバープレート18とカソード16との間には、必要に応じて保湿層や表面層が配置される。保湿層はカソード触媒層14で生成された水の一部が含浸されて、水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層14への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。
燃料電池発電部101のアノード(燃料極)13側には、燃料分配機構105が配置されている。燃料分配機構105には配管のような液体燃料の流路103を介して燃料収容部102が接続されている。
燃料収容部102には、燃料電池発電部101に対応した液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料収容部102には燃料電池発電部101に応じた液体燃料が収容される。
燃料分配機構105には燃料収容部102から流路103を介して燃料が導入される。流路103は燃料分配機構105や燃料収容部102と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料分配機構105と燃料収容部102とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ燃料の流路であってもよい。燃料分配機構105は流路103を介して燃料収容部102と接続されていればよい。
ここで、燃料分配機構105は図3に示すように、燃料が流路103を介して流入する少なくとも1個の燃料注入口21と、燃料やその気化成分を排出する複数個の燃料排出口22とを有する燃料分配板23を備えている。燃料分配板23の内部には図2に示すように、燃料注入口21から導かれた燃料の通路となる空隙部24が設けられている。複数の燃料排出口22は燃料通路として機能する空隙部24にそれぞれ直接接続されている。
燃料注入口21から燃料分配機構105に導入された燃料は空隙部24に入り、この燃料通路として機能する空隙部24を介して複数の燃料排出口22にそれぞれ導かれる。複数の燃料排出口22には、例えば燃料の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離体(図示せず)を配置してもよい。これによって、燃料電池発電部101のアノード(燃料極)13には燃料の気化成分が供給される。なお、気液分離体は燃料分配機構105とアノード13との間に気液分離膜等として設置してもよい。燃料の気化成分は複数の燃料排出口22からアノード13の複数個所に向けて排出される。
燃料排出口22は燃料電池発電部101の全体に燃料を供給することが可能なように、燃料分配板23のアノード13と接する面に複数設けられている。燃料排出口22の個数は2個以上であればよいが、燃料電池発電部101の面内における燃料供給量を均一化する上で、0.1〜10個/cm2の燃料排出口22が存在するように形成することが好ましい。
燃料分配機構105と燃料収容部102の間を接続する流路103には、燃料移送制御手段としてのポンプ104と燃料遮断手段としての圧電バルブ106が直列に挿入されている。ポンプ104は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部102から燃料分配機構105に燃料を移送する燃料供給ポンプである。このようなポンプ104で必要時に燃料を送液することによって、燃料供給量の制御性を高めるものである。この場合、ポンプ104としては、少量の燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーベーンポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。
また、圧電バルブ106は、図4に示すように中空部を有するバルブ本体1061を有している。この場合、同図(b)に示すように、バルブ本体1061上面に燃料流入口1062及び燃料排出口1063が並べて配置されている。燃料排出口1063は、バルブ本体1061上面の略中央部に位置している。また、燃料流入口1062には、燃料収容部102が接続され、燃料排出口1063には、ポンプ104が接続されている。
バルブ本体1061の内部には、バルブ本体1061上面と平行な方向に沿ってバイモルフタイプの圧電素子1064が配置されている。この圧電素子1064は、後述する駆動回路9及び補助電源4より供給される出力電圧により変形動作するもので、図示破線a状態又は図示破線b状態に湾曲動作して燃料排出口1063を開閉可能にする。ここでは、圧電素子1064が図示破線a状態に湾曲動作すると、燃料排出口1063を開放して燃料流入口1062から燃料排出口1063に向かう図示矢印A方向の燃料の移動を可能にしてバルブを開放状態にする。また、圧電素子1064が図示破線b状態に湾曲動作すると、燃料排出口1063を閉じて燃料の移動を遮断しバルブを閉止状態にする。
また、圧電バルブ106は、ポンプ104を運転する直前に燃料排出口1063を開放し、ポンプ104の運転停止直後に燃料排出口1063を閉止するように動作する。かかる動作の詳細は、後述する。
このような構成において、燃料収容部102に収容された燃料は、圧電バルブ106、ポンプ104を介して流路103を移送され、燃料分配機構105に供給される。そして、燃料分配機構105から放出された燃料は、燃料電池発電部101のアノード(燃料極)13に供給される。燃料電池発電部101内において、燃料はアノードガス拡散層12を拡散してアノード触媒層11に供給される。燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層11で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層14で生成した水や電解質膜17中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
この反応で生成した電子(e-)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる出力として負荷側に供給された後、カソード(空気極)16に導かれる。また、(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜17を経てカソード16に導かれる。カソード16には酸化剤として空気が供給される。カソード16に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層14で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成される。
この反応で生成した電子(e-)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる出力として負荷側に供給された後、カソード(空気極)16に導かれる。また、(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜17を経てカソード16に導かれる。カソード16には酸化剤として空気が供給される。カソード16に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層14で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成される。
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
図1に戻って、このように構成された燃料電池本体1は、燃料電池発電部(セル)101に出力検出部6及び出力調整手段としてDC−DCコンバータ(電圧調整回路)2が接続されている。出力検出部6は、燃料電池発電部(セル)101の出力、例えば出力電流を検出し、この出力電流に対応する検出信号を制御部7に出力する。
図1に戻って、このように構成された燃料電池本体1は、燃料電池発電部(セル)101に出力検出部6及び出力調整手段としてDC−DCコンバータ(電圧調整回路)2が接続されている。出力検出部6は、燃料電池発電部(セル)101の出力、例えば出力電流を検出し、この出力電流に対応する検出信号を制御部7に出力する。
DC−DCコンバータ2は、不図示のスイッチング要素とエネルギー蓄積要素を有し、これらスイッチング要素とエネルギー蓄積要素により燃料電池本体1で発電された電気エネルギーを蓄積/放出させ、燃料電池本体1からの比較的低い出力電圧を十分の電圧まで昇圧して生成される出力を発生する。このDC−DCコンバータ2の出力は、補助電源4に供給される。なお、ここでは標準的な昇圧型のDC−DCコンバータ2を示したが、昇圧動作が可能なものならば、他の回路方式のものでも実施可能である。
DC−DCコンバータ2の出力端には、補助電源4が接続され、所謂ハイブリッド型燃料電池を構成している。この補助電源4は、DC−DCコンバータ2の出力により充電可能としたもので、電子機器本体3の瞬間的な負荷変動に対して電流を供給し、また、燃料枯渇状態になって前記燃料電池本体1が発電不能に陥った場合に電子機器本体3の駆動電源として用いられる。この補助電源4には、充放電可能な蓄電素子(例えばリチウムイオン二次電池(LIB))や電気二重層コンデンサ)が用いられる。
補助電源4には、燃料供給制御回路5及び駆動回路9が接続されている。燃料供給制御回路5は、補助電源4を電源としてポンプ104のオンオフ動作を制御するもので、制御部7の指示に基づいてポンプ104による燃料供給時間及び燃料供給量などを制御する。
駆動回路9は、図5に示すように補助電源4にDC−DCコンバータ91が接続されている。このDC−DCコンバータ91は、補助電源4の出力電圧(例えば3.7〜4.1V)を所定の電圧値に変換して出力する。この場合、DC−DCコンバータ91の出力は、例えば6Vに設定される。DC−DCコンバータ91の出力端子には、例えば、PチャンネルのMOS−FETからなる第1のスイッチング素子92を介して圧電バルブ106の圧電素子1064の一方端子が接続されている。この圧電素子1064の一方端子は、抵抗素子93を介して接地されている。また、補助電源4の正極側端子には、抵抗素子94を介して圧電バルブ106の圧電素子1064の他方端子が接続されている。この圧電素子1064の他方端子は、例えば、NチャンネルのMOS−FETからなる第2のスイッチング素子95を介して接地されている。つまり、ここでの駆動回路9には、Hブリッジ回路が使用されている。なお、抵抗素子93、94は、消費電流を抑制するため、例えば100kΩ程度の抵抗値のものが用いられる。
第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95は、後述する制御部7のバルブ制御部703からの制御信号により同時にオンオフ動作される。これにより、第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95がともにオンしている期間、つまり圧電バルブ106の運転期間は、DC−DCコンバータ91の出力電圧(6V)が圧電バルブ106に供給され、圧電素子1064は、図4に示す破線a状態(開放状態)に湾曲動作され、圧電バルブ106を開放状態にする。また、第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95がともにオフしている期間、つまり圧電バルブ106の運転停止期間は、補助電源4よりDC−DCコンバータ91の出力電圧と逆極性の出力電圧(3.7〜4.1V)が抵抗素子94,93を介して圧電バルブ106に供給され、圧電素子1064は、図4に示す破線b状態(閉止状態)に湾曲動作され圧電バルブ106を閉止状態にする。さらに、何らかの原因でDC−DCコンバータ91の出力電圧が停止したような場合も、圧電バルブ106には、DC−DCコンバータ91の出力電圧の停止とともに、補助電源4の出力電圧(3.7〜4.1V)が供給され、圧電素子1064は、図4に示す破線b状態(閉止状態)に湾曲動作され圧電バルブ106を閉止状態にする。つまり、圧電バルブ106の運転停止期間、又はDC−DCコンバータ91の出力電圧が停止した場合は、必ずノーマリークローズ(常時閉止)状態を得られるようにしている。
燃料供給制御回路5及び駆動回路9には、制御部7が接続されている。制御部7は、システム全体を制御するもので、出力設定部701、ポンプ制御信号発生部702、バルブ制御部703を有している。出力設定部701は、出力検出部6の検出信号と予め設定される目標値との比較結果に基づいて燃料電池本体1の出力(発電量)を設定する。ポンプ制御信号発生部702は、出力設定部701で設定される出力(発電量)に基づいて燃料供給制御回路5に対してポンプ104による燃料供給時間及び燃料供給量などの運転制御信号を出力する。バルブ制御部703は、ポンプ制御信号発生部702より燃料供給制御回路5に対してポンプ104の運転制御信号が出力される直前に駆動回路9の第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95をオンさせるスイッチ制御信号を出力し、燃料供給制御回路5に対するポンプ104の運転制御信号が停止すると、この直後にスイッチ制御信号を停止して、第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95をオフさせる。
次に、このように構成された実施の形態の作用を説明する。
いま、燃料電池システムが起動モードに設定され、制御部7のポンプ制御信号発生部702より燃料供給制御回路5に対してポンプ104の運転制御指令を出力されると、この運転制御指令の直前に、バルブ制御部703より駆動回路9の第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95に対するスイッチ制御信号が出力される。これら第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95は同時にオンし、圧電バルブ106には、DC−DCコンバータ91の出力電圧(6V)が印加される。これにより、圧電素子1064は、図4に示す破線a状態(開放状態)に湾曲動作され、圧電バルブ106を開放状態にしてポンプ104への燃料が供給される。
この状態で、燃料電池発電部101に圧電バルブ106、ポンプ104を介して燃料が供給される。そして、燃料電池発電部101で発電された出力がDC−DCコンバータ2で十分な電圧まで昇圧され、電子機器本体3に供給されるとともに、補助電源4に充電される。また、制御部7の出力設定部701において出力検出部6の検出信号と予め設定される目標値との比較結果に基づいて燃料電池本体1の出力(発電量)が設定され、ポンプ制御信号発生部702より出力設定部701で設定される出力(発電量)に基づいた制御信号が出力される。これにより、燃料供給制御回路5によりポンプ104の動作期間が制御され、燃料電池発電部101の出力(発電量)が目標値に応じて制御される。
その後、ポンプ制御信号発生部702より燃料供給制御回路5に対してポンプ104の運転制御信号が停止されると、この運転制御信号の停止直後にバルブ制御部703からのスイッチ制御信号も停止して第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95を同時にオフする。これにより、圧電バルブ106には、補助電源4よりDC−DCコンバータ91の出力電圧と逆極性の出力電圧(3.7〜4.1V)が抵抗素子94,93を介して印加され、圧電素子1064が図4に示す破線b状態(閉止状態)に湾曲動作され圧電バルブ106を閉止状態にする。この閉止状態は、次に、バルブ制御部703のスイッチ制御信号が出力され、第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95がオン動作するまで維持される。
また、何らかの原因により駆動回路9においてDC−DCコンバータ91の出力電圧が停止すると、DC−DCコンバータ91の出力電圧の停止とともに、補助電源4の出力電圧(3.7〜4.1V)が抵抗素子94,93を介して圧電バルブ106に印加される。これにより、圧電素子1064は、図4に示す破線b状態(閉止状態)に湾曲動作され、圧電バルブ106を閉止状態にする。つまり、圧電バルブ106の運転停止期間と同様に、DC−DCコンバータ91の出力電圧が停止したような場合も、圧電バルブ106は、ノーマリークローズ(常時閉止)状態を得ることができる。
したがって、燃料供給により電力を発電する燃料電池本体1に対してポンプ104より燃料を供給するとともに、このポンプ104と直列に燃料遮断用の圧電バルブ106を設けたもので、圧電バルブ106の運転期間は、駆動回路9の第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95のオン動作によりDC−DCコンバータ91の出力電圧(6V)を圧電バルブ106に供給し、圧電素子1064を所定の方向に変形させて圧電バルブ106を開放状態に制御し、圧電バルブ106の運転停止にともなう第1のスイッチング素子92と第2のスイッチング素子95のオフ動作期間、又はDC−DCコンバータ91の出力電圧が停止すると、DC−DCコンバータ91の出力電圧に代わって補助電源4よりDC−DCコンバータ91の出力電圧と逆極性の出力電圧(3.7〜4.1V)を圧電バルブ106に供給し、圧電素子1064を上記変形方向と反対方向に変形させて圧電バルブ106を閉止状態に制御するようにした。つまり、圧電バルブ106の運転停止、又は駆動回路9の出力電圧が停止したような場合は、駆動回路9と別に用意された補助電源4の出力電圧を圧電バルブ106に供給してノーマリークローズ(常時閉止)状態を得られるようにした。
これにより、圧電バルブ106は、運転停止期間は勿論、駆動回路9より発生される駆動電圧が停止することがあると、補助電源4の出力電圧を圧電バルブ106に供給して圧電バルブ106をノーマリークローズ状態に移行させるようにできるので、安定した信頼性の高い燃料の遮断動作を得られ、駆動電圧の停止によりバルブが開放状態のままになるのを皆無にでき、ポンプの運転停止時でも意図しない燃料の送液が発生を防止し、燃料電池の発熱や無駄な燃料消費を生じるようなことを確実に無くすことができる。
実験の結果によると、従来の駆動電圧の停止によりバルブが開放状態のままになると、図6(a)に示すようにポンプの運転停止時に関わらず時間経過とともに燃料電池発電部の温度Tが上がり続けることが確認された。これは、バルブが開放したままになると、ポンプが運転されていなくてもポンプを通って燃料が燃料電池発電部に漏れ出していることを意味している。なお、燃料電池発電部の温度Tは、終端部分で下がり始めているが、これは、バルブを閉める動作を何回も繰り返したか、燃料を燃料収容部から抜いたためである。図示Iは、燃料電池発電部に供給される燃料の送液時間を示している。一方、本願発明のようなノーマリークローズ状態に制御されるバルブを用いると、図6(b)に示すようにポンプの運転停止に関わらず時間が経過しても、燃料電池発電部の温度Tがほぼ一定(例えば45℃)に制御されることが確認された。これは、バルブがポンプの運転停止期間に確実に閉止状態になるためで、ポンプを通って燃料が燃料電池発電部に漏れ出すのを確実に防止できることを意味している。この場合も、図示Iは、燃料電池発電部に送液される燃料の送液時間を示している。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述では、補助電源として燃料電池本体1の発電出力により充電される二次電池の例を述べたが、二次電池に代えて一次電池を用いることもできる。
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
さらに燃料電池発電部へ供給される液体燃料の気化成分においても、全て液体燃料の気化成分を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
1…燃料電池本体、101…燃料電池発電部
102…燃料収容部、103…流路
104…ポンプ、106…圧電バルブ
1061…バルブ本体、1062…燃料流入口、
1063…燃料排出口、1064…圧電素子、
105…燃料分配機構、2…DC/DCコンバータ、
3…電子機器本体、4…補助電源、5…燃料供給制御回路、
6…出力検出部、7…制御部、701…出力設定部、702…ポンプ制御信号発生部、
703…バルブ制御部、9…駆動回路
11…アノード触媒層、12…アノードガス拡散層
13…アノード、14…カソード触媒層
15…カソードガス拡散層、16…カソード
17…電解質膜、18…カバープレート
19…Oリング、21…燃料注入口
22…燃料排出口、23…燃料分配板
24…空隙部
102…燃料収容部、103…流路
104…ポンプ、106…圧電バルブ
1061…バルブ本体、1062…燃料流入口、
1063…燃料排出口、1064…圧電素子、
105…燃料分配機構、2…DC/DCコンバータ、
3…電子機器本体、4…補助電源、5…燃料供給制御回路、
6…出力検出部、7…制御部、701…出力設定部、702…ポンプ制御信号発生部、
703…バルブ制御部、9…駆動回路
11…アノード触媒層、12…アノードガス拡散層
13…アノード、14…カソード触媒層
15…カソードガス拡散層、16…カソード
17…電解質膜、18…カバープレート
19…Oリング、21…燃料注入口
22…燃料排出口、23…燃料分配板
24…空隙部
Claims (4)
- 燃料供給により電力を発電する燃料電池本体と、
前記燃料電池本体に燃料を供給する燃料移送制御手段と、
圧電素子を有し、該圧電素子の変形動作により前記燃料移送制御手段への燃料の供給を遮断可能にした圧電バルブと、
補助電源と、
駆動電圧を前記圧電バルブに供給し前記圧電素子を所定の方向に変形させて前記燃料移送制御手段へ燃料供給させるとともに、前記駆動電圧の停止により前記補助電源の出力電圧を前記圧電バルブに供給し前記圧電素子を前記所定の変形方向と異なる方向に変形させて前記燃料移送制御手段への燃料の供給を遮断させる駆動手段と
を具備したことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記補助電源は、燃料電池本体の発電出力により充電される二次電池であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
- 前記駆動手段は、スイッチング素子を有し、該スイッチング素子のオン動作により前記駆動電圧を前記圧電バルブに供給し、前記スイッチング素子のオフ動作により前記補助電源の出力電圧を前記圧電バルブに供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
- 圧電素子を有し、該圧電素子の変形動作により流体供給を遮断可能にした圧電バルブと、
補助電源と、
駆動電圧を前記圧電バルブに供給し前記圧電素子を所定の方向に変形させて燃料移送制御手段へ燃料供給させるとともに、前記駆動電圧の停止により前記補助電源の出力電圧を前記圧電バルブに供給し前記圧電素子を前記所定の変形方向と異なる方向に変形させて前記燃料移送制御手段への燃料の供給を遮断させる駆動手段と
を具備したことを特徴とする圧電バルブ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009082815A JP2010238408A (ja) | 2009-03-30 | 2009-03-30 | 燃料電池システム及びバルブ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009082815A JP2010238408A (ja) | 2009-03-30 | 2009-03-30 | 燃料電池システム及びバルブ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010238408A true JP2010238408A (ja) | 2010-10-21 |
Family
ID=43092574
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2009082815A Withdrawn JP2010238408A (ja) | 2009-03-30 | 2009-03-30 | 燃料電池システム及びバルブ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010238408A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101157140B1 (ko) | 2010-09-29 | 2012-06-22 | (주)오선텍 | 연료 전지 시스템의 전동 밸브 컨트롤러, 정전 발생 구역의 연료 공급을 차단하는 시스템 및 방법 |
EP2568522A1 (en) * | 2011-09-12 | 2013-03-13 | Research In Motion Limited | Integrated starter element for a fuel cell in a handheld device |
-
2009
- 2009-03-30 JP JP2009082815A patent/JP2010238408A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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