JP2008218187A - Snめっき付き銅合金端子及びその製造方法 - Google Patents
Snめっき付き銅合金端子及びその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】Snめっき銅合金板をプレス打抜き加工した後、端子部3の下側の角部15をプレス圧縮加工して平坦に潰し、かつディンプル状の破断面9を平滑化する。端子部3の両端面がプレス打抜き加工によるせん断切り口面6からなり、せん断面8の少なくとも一部がダレ部7から引き延ばされたSn層11で被覆され、下側の角部15がプレス圧縮加工により平坦に潰され、かつ破断面9が平滑化されている。破断面9の一部が下表面から引き延ばされたSn層17で被覆されている。
【選択図】 図4
Description
そのため、打抜き加工を施した後にSnめっきを施す、即ち後めっきを施すことで、素材が露出した端面をSnめっきで被覆し、はんだ付け性を維持させる方法が通常とられている。しかし、後めっきを施すことでコストが高くなるという問題がある。
なお、この端子において打抜き加工によりダレ部が形成された側が上であり、破断面が形成された側が下である。
本発明に係る端子ははんだ付け性が必要とされる端子、特に車載電装品等に使用される基板用端子に適しており、打ち抜き後の端面のSnめっき被覆を施さずとも、基板との良好な接合性を維持できる
端子部3の断面は、図4(a)に示すように略角形であり、銅合金素材4の上下両表面がSnめっき層5により被覆されている。端子部3の端面6(プレス打抜き加工により形成された端面であり、以後せん断切り口面6という)には、上からダレ部7、せん断面8、破断面9が形成されている。ダレ部7は、銅合金板1に打抜き工具の刃先が食い込むとき、銅合金板1の自由面が塑性変形したものであり、せん断面8は、銅合金板1に食い込んだ工具の側面によりバニッシュされ平滑化した面であり、破断面9は銅合金素材4が割れて分離した面で、ディンプル状となっている。
銅合金素材4は酸化しやすく、酸化が進行しすぎると、端子と基板とを接合させる際のはんだ付け時に使用されるフラックスで酸化膜を除去しきれず、はんだ付け性を劣化させてしまう。即ち、端子と基板との接合信頼性を劣化させる。しかし、ダレ部7のSnめっき層5をせん断面8に引き延ばし、せん断面8をSn層11で被覆することにより、せん断面8において銅合金素材4の酸化を防ぎ、はんだ付け性を改善して、接合信頼性を向上することができる。
これを防止するため、この例では、プレス打抜き加工後、図2,3に示す金型12(下型のみ示す)及び図示しない上型を用い、銅合金素材1を通板方向に流しながら、端子部3を1リードずつプレス圧縮加工し、端子部3の下方側の角部15を斜めに潰す。なお、金型12は内面側が傾斜した成形型13と側面に肉が逃げるのを防止する逃げ防止型14からなる。むろん角部15を潰すプレス圧縮加工手段は上記に限られない。
角部15を潰し加工して銅合金素材4の露出面積を減少させることは、経時によるCuの酸化部位を減少させることになり、はんだ濡れ性の維持に寄与する。また、ディンプル状の破断面9を平滑にすることにより、表面形態が均一となりはんだ濡れ性が向上する。さらにSn層17による被覆面積が増加することにより、はんだ濡れ性が向上する。
プレス圧縮成形後、端子部3Aは適宜曲げ加工等を施されて、製品としての端子が製造される。
本発明に係るはんだ付け性に優れる端子は、最上層をSnめっきとする多層めっきが形成されたものでもよい。この場合、Snめっきの下地層には例えばNiめっき、Coめっき、Ni−Coめっき、Cuめっき等が施される。
それぞれのめっき厚さは、Snめっきは0.5μm以上、10μm以下が望ましく、下地めっきを行う場合、その厚さは1μm以下程度が望ましい。Snめっきが0.5μm未満でははんだ濡れ性が劣化し、10μmを超えるとはんだ濡れ性は維持できるが表面性状が十分でない。一方、下地めっき層は1μmを超えると端子成形時の曲げ加工性に劣る。
そのほか本発明は、Snめっき層の下にリフロー処理等によりCu−Sn合金層が形成されたもの(例えば特開平10−60666号公報参照)、さらにその下にNiめっき層が形成されたもの(例えば特開2002−226982号公報、特開2004−68025号公報参照)、このような多層めっきにおいて表面に凹凸が形成されたもの(例えば特開2006−77307号公報参照)、さらに凹凸表面にSnフラッシュめっきを施したものなど、種々の多層めっきが形成されたものにも適用できる。
本発明に係る端子の接合に用いられるはんだは、Sn−Pbはんだ、Pbを含まないPbフリーはんだ(Sn−Ag−Cu、Sn−Ag、Sn−Ag−Cu−Bi、Sn−Zn、Sn−Cu等)のいずれでも使用できる。
なお、Niめっき厚さ及びSnめっき厚さは、蛍光X線膜厚計(セイコー電子工業株式会社;型式SFT3200)を用いて測定した。
続いて各試験片に付着した油分等を除去するため、試験片をアセトン及びエタノールにて超音波洗浄した。これら試験片を恒温湿潤試験機にて、85℃×85%RH×24Hrの経時試験を行った後、はんだ付け試験を行った。
評価は外観観察及び濡れ時間、濡れ力測定にて行った。外観観察はディウェットやピットが見られる場合は×、はんだ付け表面の荒れが見られる場合を△、見られない場合を○(合格)と評価し、濡れ時間は1.5sec以下を合格、濡れ力測定は0.5mN以上を合格と評価した。
以上の結果を表2にあわせて示す。
一方、比較例No.6〜10は潰し加工が施されていないため、はんだ濡れ性及びはんだ付け後の外観が劣り、比較例No.11、12は潰し加工の有無に関らず、銅合金素材上にSnめっきが施されていないために、はんだ濡れ性及びはんだ付け後の外観が劣化している。
4 銅合金素材
5 Snめっき層
6 せん断切り口面
7 ダレ部
8 せん断面
9 破断面
11,17 Sn層
15 角部
16 平坦部
Claims (4)
- 上下両表面にSnめっき層を有する銅合金板から形成されたSnめっき付き銅合金端子において、両端面がプレス打抜き加工によるせん断切り口面からなり、前記せん断切り口面のせん断面がダレ部から引き延ばされたSn層で被覆され、破断面と下表面により構成される角部が潰され、かつ前記破断面が平滑化されていることを特徴とするSnめっき付き銅合金端子。
- 前記破断面の一部が下表面から引き延ばされたSn層で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載されたSnめっき付き銅合金端子。
- 上下両表面にSnめっき層を有する銅合金板を所望の形状にプレス打抜き加工して、せん断切り口面のせん断面をダレ部から引き延ばされたSn層で被覆し、次いで前記せん断切り口面の破断面と下表面により構成される両側の角部をプレス圧縮加工して潰し前記破断面を平滑化することを特徴とするSnめっき付き銅合金端子の製造方法。
- 前記圧縮加工において前記角部を潰すとき、下表面のSn層を引き延ばして前記破断面の一部を被覆することを特徴とする請求項3に記載されたSnめっき付き銅合金端子の製造方法。
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