JP2008217843A - ハードディスクサスペンション用基材 - Google Patents

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修一 横澤
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Abstract

【課題】低吸水率、低誘電率とハードディスクサスペンションに必要な高エッチング速度、ステンレスとの高ピール強度を両立したハードディスクサスペンション用基材を提供することにある。
【解決手段】ステンレス層/絶縁樹脂層/銅及び銅合金の層からなるハードディスクサスペンション用基材であって、絶縁樹脂層が熱可塑性樹脂/非熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂の三層からなり、該熱可塑性樹脂の少なくとも一層が、吸水率1.0%以下、誘電率3.0以下であり、且つアルカリ性水溶液によるエッチング速度が3.0μm/min以上の熱可塑性樹脂層であることを特徴とするハードディスクサスペンション用基材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハードディスクドライブのワイヤレスサスペンションに使用されるハードディスクサスペンション用基材に関する。
近年、ハードディスクドライブはサーバ、パーソナルコンピュータ、さらには各種民生機器に搭載され、その需要は益々増大している。これらの需要とともに、ハードディスクドライブの機能として、小型化・大容量化が日々要求されてきた。それに伴い、ハードディスクサスペンションも銅配線がサスペンション上に直接形成された軽量且つ小型のワイヤレスサスペンションが多く用いられるようになってきた。このサスペンションの銅配線材料として、銅及び銅合金層/ポリイミド系樹脂層/ステンレス層の構成からなる基材が現在では広く用いられてきた。
ハードディスクドライブに要求される小型化・大容量化を満たすために、ハードディスクサスペンション用基材には加工精度の向上、電気特性の改善が要求されている。加工精度に関しては、ポリイミド樹脂のエッチング加工の際に、樹脂が吸水し膨張することで、寸法変化が生じ、加工精度が悪化するという問題がある。また、ハードディスクドライブの大容量化に伴い、ハードディスクサスペンションに高周波信号に対応した回路が求められている。高周波回路では、伝送損失が大きくなり易い。絶縁樹脂の誘電率が大きい場合、マイクロ波を吸収して熱に変える作用が大きくなり、信号の伝送損失が大きくなる。そのため、低誘電率の絶縁樹脂が求められてきた。従って、吸水率が小さく、且つより低い誘電率を有するポリイミド系絶縁樹脂が求められてきた。また、ハードディスクサスペンション用基材においては、所望の形状を得るためにステンレス層、ポリイミド系樹脂層、銅及び銅合金層の各層がエッチングされる。一般にポリイミド系樹脂のエッチングとしてはドライ法とウェット法の二種類の加工方法があるが、エッチング時間が短く生産性に優れるという観点から、ウェット法が優れている。近年では、さらに生産性を高くするという要求から、エッチングされやすくエッチングに要する時間が短い樹脂が求められている。また、ステンレス層は表面粗度が小さく、且つ酸化皮膜により被覆されていることから、銅及び銅合金層に比べ、一般的にポリイミド系樹脂との密着性が発現しづらく、ステンレス層と絶縁樹脂層とのピール強度が問題となることが多い。
上記の低吸水率、低誘電率を達成したフレキシブル銅張積層体として、例えば所定の酸二無水物、ジアミンを用いたポリイミド樹脂を用いる技術が、例えば下記特許文献1に記載されている。しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、低吸水率、低誘電率に関する開示のみであり、ハードディスクサスペンション用基材として必要なエッチング速度やステンレス層と該ポリイミド樹脂界面の接着性に関しては、なんら開示されていない。
特開平8-294993号公報
本発明の目的は、低吸水率、低誘電率とハードディスクサスペンションに必要な高エッチング速度、ステンレスとの高ピール強度を両立したハードディスクサスペンション用基材を提供することにある。
本出願人は、鋭意検討した結果、特定の物性を持つ樹脂を用いることで、より好ましくはステンレス層に接する樹脂層に特定ポリイミド樹脂を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、ステンレス層/絶縁樹脂層/銅及び銅合金の層からなるハードディスクサスペンション用基材であって、絶縁樹脂層が熱可塑性樹脂/非熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂の三層からなり、該熱可塑性樹脂の少なくとも一層が、吸水率1.0%以下、誘電率3.0以下であり、且つアルカリ性水溶液によるエッチング速度が3.0μm/min以上の熱可塑性樹脂層であることを特徴とするハードディスクサスペンション用基材であり、より好ましくは、前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)
で表される繰り返し単位(A)及び一般式(2)
で表される繰り返し単位(B)からなり、
(式中、R1は2価の芳香族基、R2は2価の芳香族基、R3は4価の芳香族基を示す。)該繰り返し単位のモル分率が[A]/[B]=50/50から99/1の範囲であるポリイミド樹脂である請求項1記載のハードディスクサスペンション用基材であり、更に好ましくは、前記一般式(1)中のR1基が下記式(3)
で表される2価の有機基のいずれかであり、一般式(1)及び一般式(2)中のR2基が下記式(4)
で表される2価の有機基であり、一般式(2)中のR3基が下記式(5)
で表される4価の有機基のいずれかであるハードディスクサスペンション用基材である。尚、より好ましくは、ステンレス層に接する熱可塑性樹脂が、前記一般式(1)及び前記一般式(2)であらわされるポリイミド樹脂であるハードディスクサスペンション用基材である。また、本発明は、前述のハードディスクサスペンション用基材から製造されるハードディスクサスペンションも提供する。
本発明により、ハードディスクドライブに要求される小型化・大容量化を満たすことができ、加工精度の向上、電気特性の改善されたハードディスクサスペンション用基材を提供することが可能となった。第一に、加工精度に関しては、ポリイミド樹脂のエッチング加工の際に、樹脂の吸水率が低く膨張が小さいため、寸法変化が生じにくく、加工精度が良好である。第二に、電気的特性に関しては、高周波数領域の信号を伝送する際に、絶縁樹脂の誘電率が低いため、信号の伝送ロスが小さい。第三に、ポリイミド系樹脂のエッチング速度が高いため、エッチングが完了するまでの時間が短く、より短いリードタイムで生産が可能となる。第四に、ステンレス層とポリイミド系樹脂界面の密着性が良好であるために、エッチング加工時の衝撃により、該界面に剥がれが生ずる可能性が小さく、加工性に優れている。
本発明は、ステンレス層/絶縁樹脂層/銅及び銅合金の層からなるハードディスクサスペンション用基材であって、絶縁樹脂層が熱可塑性樹脂/非熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂の三層からなり、該熱可塑性樹脂の少なくとも一層が、吸水率1.0%以下、誘電率3.0以下であり、且つアルカリ性水溶液によるエッチング速度が3.0μm/min以上の熱可塑性樹脂層であることを特徴とするものである。次に各構成について以下に説明する。
ステンレス層
本発明のハードディスクサスペンション用基材の構成要素であるステンレス層は、ステンレスであれば特に制限されるものではないが、サスペンションに必要なバネ特性や寸法安定性の観点から好ましくはSUS304であり、より好ましくは300℃以上の温度でテンションアニール処理が施されたSUS304H−TAである。ステンレス層の好ましい厚さは10〜70μmであり、より好ましくは15〜30μmである。
銅及び銅合金の層
本発明のハードディスクサスペンション用基材の構成要素である銅及び銅合金の層は、銅が主成分であれば特に制限されるものではない。サスペンションに必要な銅合金と樹脂界面の接着性の観点から、銅合金の表面に一定以上の大きさの粗化があり、Zn、Cr、Ni、Coといった金属元素がめっきされ、さらにシランカップリング材により処理された銅合金が好ましい。銅合金の厚さは、1〜20μmが好ましく、3〜12μmがより好ましい。
絶縁樹脂層
本発明のハードディスクサスペンション用基材において、絶縁樹脂層は、熱可塑性樹脂/非熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂の三層からなるものである。これらの絶縁樹脂層は、ポリイミド系樹脂が好まく、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が例示できる。例えば、三層構造の場合、ステンレス及び銅及び銅合金層と接する部分は熱可塑性ポリイミド系樹脂を用いるのが好ましく、それ以外の層には、非熱可塑性ポリイミド系樹脂を用いるのが好ましい。即ち、より好ましい具体的構成は、熱可塑性ポリイミド層/非熱可塑性ポリイミド層/熱可塑性ポリイミド層の三層構造である。
非熱可塑性樹脂
非熱可塑性樹脂としては、好ましい例としては非熱可塑性ポリイミド樹脂である。使用可能な非熱可塑性ポリイミド樹脂としては、本ハードディスクサスペンション用基材の使用環境においては耐熱性が要求項目の一つであることが多いという観点から考慮すると、ポリイミド、あるいは充填材入りのポリイミドが好ましい。使用可能な具体的商品名としては例えば、「カプトン(登録商標)スーパーV」、「カプトン(登録商標)V」、「カプトン(登録商標)E」、「カプトン(登録商標)EN」、「カプトン(登録商標)H」、(以上、東レ・デュポン株式会社製)、「ユーピレックス(登録商標)S」、「ユーピレックス(登録商標)SGA」(以上、宇部興産株式会社製)、「アピカル(登録商標)AH」、「アピカル(登録商標)NPI」、「アピカル(登録商標)HP」(以上、鐘淵化学工業株式会社製)等が挙げられ、これらは市場において容易に入手可能であり、本発明に好適に利用可能である。
さらに、酸二無水物とジアミンとを直接イミド化して形成される非熱可塑性ポリイミドも使用することができる。このようなポリイミドの原料として使用できる酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ビフタル酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ハイドロフランジフタル酸二無水物等が挙げられる。
一方、原料のジアミンとしては、例えば、メトキシジアミノベンゼン、4,4’ーオキシジアニリン、3,4’オキシジアニリン、3,3’オキシジアニリン、ビスジアニリノメタン、3,3’ージアミノゼンゾフェノン、p,p−アミノフェノキシベンゼン、p,m−アミノフェノキシベンゼン、m,p−アミノフェノキシベンゼン、m,m−アミノフェノキシベンゼン、クロル−m−アミノフェノキシベンゼン、p−ピリジンアミノフェノキシベンゼン、m−ピリジンアミノフェノキシベンゼン、p−アミノフェノキシビフェニル、m−アミノフェノキシビフェニル、p−ビスアミノフェノキシベンジスルホン、m−ビスアミノフェノキシベンジスルフォン、p−ビスアミノフェノキシベンジルケトン、m−ビスアミノフェノキシベンジルケトン、p−ビスアミノフェノキシベンジルヘキサフルオロプロパン、m−ビスアミノフェノキシベンジルヘキサフルオロプロパン、m−ビスアミノフェノキシベンジルヘキサフルオロプロパン、p−ビスアミノフェノキシベンジルプロパン、o−ビスアミノフェノキシベンジルプロパン、m−ビスアミノフェノキシベンジルプロパン、p−ジアミノフェノキシベンジルチオエーテル、m−ジアミノフェノキシベンジルチオエーテル、インダンジアミン、スピロビジアミン、ジケトンジアミン等が挙げられる。
尚、本発明においては、非熱可塑性樹脂とは、400℃以下で溶融流動しない性質を持つ樹脂を指し、非熱可塑性ポリイミドとは、400℃以下で溶融流動しないという性質をもち、イミド結合を有するポリマーを意味する。
このような非熱可塑性樹脂の厚みは特に限定されるものではなく、3〜150μmの厚みのものが好ましく、さらには3〜100μmのものが好ましく、特には5〜75μmの厚みのものが好ましい。
熱可塑性樹脂
本発明に熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリイミド系樹脂が好ましい。使用可能な熱可塑性ポリイミド樹脂とは、主鎖にイミド構造を有するポリマーであって、好ましくはガラス転移温度が150℃〜350℃の範囲内にあり、この温度領域では弾性率が急激に低下するものを例示することができる。
本発明においては、ハードディスクサスペンション用基材の、絶縁性樹脂層のうち、ステンレス層及び又は金属層に接する熱可塑性樹脂層の吸水率が小さく、比誘電率が小さく、更にステンレスと樹脂間の接着性が良好で、且つエッチング速度が大きいことが特徴である。尚、特にステンレス側にこの物性を有する熱可塑性樹脂層を有するものが好ましい態様である。
第一に、吸水率が大きい場合、サスペンション形状へのエッチング加工時に、ポリイミド樹脂が吸水し、膨張するので、形状の寸法が変わり、加工精度が落ちるためである。そのため吸水率は1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下であり、更に好ましくは0.6%以下である。
第二に、絶縁樹脂の比誘電率が小さい場合、高周波信号の伝送特性に優れ、近年の記録容量の急激な増加に対し効果的であり、比誘電率は3.0以下であることが好ましい。より好ましくは2.8以下であり、更に好ましくは2.6以下である。電気的特性の観点では、比誘電率は低いほど好ましく、最も誘電率が低いポリオレフィン系樹脂では2.1である。樹脂を発泡させることにより、さらに比誘電率を低下させることが可能であるが、フィルム形成の観点から好ましくない。従って比誘電率は2.1以上であることが好ましい。
第三に、ステンレスと樹脂間の接着性(ピール強度)が0.6kN/m以上ある場合、ハードディスクサスペンションの形状への加工時に剥がれ、浮き等の可能性がないので、好ましい。より好ましくは1.0kN/m以上である。界面の密着性の観点からは、ピール強度は高いほど好ましい。しかし、ピール強度が大きすぎると、測定時にステンレスと樹脂の界面から剥離せずに、樹脂の破壊が生じる。従ってピール強度は3.0kN/m以下であることが好ましい。
第四に、エッチング速度が3.0μm/min以上の場合、サスペンション形状へのエッチング加工に要する時間が少ないので生産性に優れ、好ましい。より好ましくは4.0μm/min以上である。さらに好ましくは5.0μm/min以上である。エッチング性の観点からは、エッチング速度が大きい程、加工工程の時間が短縮され生産性が向上する。ただし、エッチング速度が10μm/min以上の場合、一般的にポリイミド構造中の単位体積当たりにイミド基が多く存在するため、非熱可塑性ポリイミドの性質を有することとなり、金属箔との加熱圧着の際に問題が生ずる。従って10μm/min以下であることが好ましい。
上記物性を有する樹脂を選択するには、例えばメチル基のような分岐鎖を分子骨格内に導入することにより、その分子構造は立体的に嵩高くなり、分子間に空隙が生じることになる。その結果、その樹脂の誘電率が小さいものを選択することができる。また更にアルカリ溶液中におけるイミド基とヒドロキシルイオンの開環反応も生じやすく、エッチングされやすくすることもできる。また、エステル基を分子骨格に導入することにより、アルカリエッチング時にイミド基だけでなく、エステル基もヒドロキシルイオンと反応する。すなわち、ヒドロキシルイオンと反応する部位が分子内に多いので、エッチングされやすくすることができる。さらに疎水性のベンゼン環やメチル基を多く導入することによって、その骨格は柔軟となりガラス転移温度以上で高い密着性を示し、且つ疎水性であるため吸水率が低くなる傾向にある。このような骨格を有するものを選択することにより、本発明の特性を有する樹脂を選択することが可能である。その中でも具体的には、以下の構造を有するものが好ましい。一般式(1)
に表される繰り返し単位(A)及び一般式(2)
に表される繰り返し単位(B)からなり、
(式中、R1は2価の芳香族基、R2は2価の芳香族基、R3は4価の芳香族基を示す。) 該繰り返し単位のモル分率が[A]/[B]=50/50から99/1の範囲である。接着性、吸水率、比誘電率、エッチング性のバランスより、好ましくは[A]/[B]=60/40から95/5であり、さらに好ましくは[A]/[B]=70/30から90/10である。
前記一般式(1)及び一般式(2)中のR1基は、下記式(3)で
表される2価の有機基のいずれかであることが好ましく、またR2基が下記式(4)
で表される2価の有機基であることが好ましく、更にR3基が下記式(5)
で表される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
本発明においてこれら熱可塑性樹脂層の厚みは、特に限定されるものではなく、好ましくは、0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μm程度である。
製造方法
以下にハードディスクサスペンション用基材の製造方法の一例について述べる。
ワニス
本発明のハードディスクサスペンション用基材は、まず絶縁樹脂層となる(例えばポリイミド系樹脂の前駆体の)ワニスをステンレス箔或いは銅または銅合金層といった金属箔に塗布した後、乾燥することにより製造する。金属箔上に熱可塑性ポリイミドの溶液またはポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液(以下、これらを総称してワニスという)を直接塗布・乾燥することより製造することができる。ワニスは、上記の特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶媒中で重合して得られた溶液である。
塗工方法
ステンレス箔や銅または銅合金等の金属箔上にワニスを直接塗工する方法としては、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等の公知の方法が利用できる。塗布厚みは、ワニス等に応じて選択することができる。
乾燥方法
塗布したワニスを乾燥・キュアする方法として、通常の加熱乾燥炉を利用することができる。乾燥炉の雰囲気としては、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。乾燥の温度としては、溶媒の沸点により適宜選択するが60〜600 ℃ の温度範囲が好ましい。乾燥時間は、厚み、濃度、溶媒の種類により適宜選択するが0.5〜500分で行うのが好ましい。
加熱圧着方法
本発明のハードディスクサスペンション用基材は前記方法で製造された絶縁樹脂と金属との積層体と金属箔とを加熱圧着することにより製造することができる。以下に例としてポリイミド系樹脂と金属箔とを加熱圧着する方法を述べる。代表的な方法として、加熱プレス法及び/又は熱ラミネート法がある。例えば加熱プレス法は、ポリイミド系樹脂と金属箔を所定の大きさに切り出し、重ね合わせた状態で加熱プレスを行い、両者を接着することができる。加熱温度としては150〜600 ℃ の温度範囲が好ましい。加圧力の制限はないが、好ましくは0.1〜500 kg/cm2 で製造することが好ましい。加圧時間については特に制限はない。
熱ラミネート法には様々な手法が存在するが、ポリイミド系樹脂と金属箔をロールとロールの間に挟み、張り合わせる方法が好ましい。ロールの種類には金属ロールとゴムロールがある。ゴムロールには耐熱性を有するシリコンゴム、フッ素系ゴムを使用するのが好ましい。金属ロールには鋼材やステンレス材料が使用されており、表面にクロムメッキ等が施されたロールを使用するのが好ましい。ラミネートの温度としては150〜400℃の温度範囲が好ましい。加熱方式は伝導加熱、輻射過熱、誘導加熱方式がある。
アニール方法
熱ラミネート後、加熱アニールすることも好ましい。加熱装置として、通常の加熱炉、オートクレーブ等が利用できる。加熱雰囲気として、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。加熱方法としてはフィルムを連続的に加熱する方法、又はフィルムを巻き軸に巻いた状態で加熱炉に放置する方法が好ましい。加熱方式としては、伝導加熱方式、輻射加熱方式、及びこれらの併用方式が好ましい。加熱温度は200〜600℃の温度領域が好ましい。加熱時間は0.05〜5000分の時間が好ましい。
その他製造方法
上記に製造方法の一例を示したが、以下の製造方法を使用することも出来る。市販の非熱可塑性フィルムの両面に、上記と同様の塗工方法で、熱可塑性ポリイミド前駆体を塗工し、上記と同様の方法で乾燥する。その後、熱可塑性ポリイミド/非熱可塑性ポリイミド/熱可塑性ポリイミドのポリイミド積層体の上下にそれぞれステンレス箔、銅または銅合金箔を配置し、上記の加熱圧着方法と同様に加熱圧着することで、所定の構造のハードディスクサスペンション用基材が得られる。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例に用いた溶剤、酸無水物、ジアミンの略称を以下に示す。
DMAc:N,N’−ジメチルアセトアミド
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ESDA:2,2’-ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物
EGDA:3,3’,4,4’―エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物
TMPG:3,3’,4,4’-プロピレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物
実施例1〜3
ワニス合成
窒素雰囲気中にて、三口セパラブルフラスコ300mlに、BAPP12.32mgを入れ、表1中に示したDMAcの量を加え、BAPPが完全に溶解するまで攪拌した。その後、表1中に示した量のBTDAとESDAをBAPPが溶解したDMAc溶液中に、順次ゆっくりと添加し、25℃で12時間程度攪拌を行い、粘調なポリアミック酸溶液1〜3を得た。
フィルム化
メスフラスコ100mlにイソキノリン10.00gと無水酢酸10.00gを入れ、十分に攪拌した。その後、上記で得たポリアミック酸100gに、メスフラスコ中の溶液を加え、2分間程度十分に攪拌した。十分に脱気した後に、該溶液をPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間加熱を行った。その後、PETフィルムを剥がし、得られたフィルムの四隅の端部を固定して、80℃〜250℃まで5℃/minで昇温し、250℃に達した後、10分間加熱してイミド化を完了させ、25μm厚みの熱可塑性ポリイミドフィルムを得た。
ラミネート
得られた熱可塑性ポリイミドフィルムを東レデュポン株式会社製の非熱可塑性のポリイミドフィルム カプトン(R)の両面に配置し、熱可塑性ポリイミドフィルムの非熱可塑性ポリイミドフィルムが接していない側に、それぞれ銅箔として日本オーリンブラス株式会社製のC7025 18μmとステンレス箔として新日鉄マテリアルズ株式会社製のSUS304H−TA20μmを重ね、温度260℃、圧力80kg/cm2、時間30minの条件で加熱圧着を行い、本発明のハードディスクサスペンション用基材を得た。
評価
上記で得た熱可塑性ポリイミドフィルムについては、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度を測定し、ハードディスクサスペンション用基材については、ステンレス側のピール強度を測定した。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定DSC(日本ブルカー社製)を用いて測定を行った。吸水率は、ASTM D-570に従い、20℃純水中に浸した後の重量変化を測定した。誘電率は、自動平衡ブリッジ法(常態、1MHz)で測定を行った。エッチング速度は、市販のアルカリエッチング用溶液を用いて、ポリイミドフィルムが単位時間当たりに減少する厚みを測定した。また、ステンレス箔と樹脂界面のピール強度については、JIS C6471に従い測定を行った。それらの結果を表2に示す。
比較例1〜2
比較例1では、ESDAを用いずBTDAのみで、比較例2では、少量のESDAとBTDAを用いて、ポリアミック酸を合成した以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリイミドフィルムとポリイミド金属積層体を得た。(表1に記載)その後、実施例1〜3と同様の方法で、カ゛ラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表2に示す。
実施例4〜6
EGTAを酸二無水物として用いた以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリアミック酸を合成し、ポリイミドフィルムとハードディスクサスペンション用基材を得た(表1に記載)。その後、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表3に示す。
比較例3〜4
比較例3では、EGTAを用いずBTDAのみで、比較例4では、少量のEGTAとBTDAを用いて、ポリアミック酸を合成した以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリイミドフィルムとハードディスクサスペンション用基材を得た。その後、実施例1〜3と同様の方法で、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表3に示す。
実施例7〜9
TMPGを酸二無水物として用いた以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリアミック酸を合成し、ポリイミドフィルムとハードディスクサスペンション用基材を得た(表1に記載)。その後、実施例1〜3と同様の方法で、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表4に示す。
比較例5〜6
比較例5では、TMPGを用いずBTDAのみで、比較例6では、少量のTMPGとBTDAを用いて、ポリアミック酸を合成した以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリイミドフィルムとハードディスクサスペンション用基材。その後、実施例1〜3と同様の方法で、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表4に示す。
本発明により、特定の物性を持つ樹脂を用いることで、より好ましくはステンレス層に接する樹脂層に特定ポリイミド樹脂を用いることで、強接着性、低誘電率、低吸水率、高エッチング性を備えたハードディスクサスペンション用基材を提供することが出来る。

Claims (5)

  1. ステンレス層/絶縁樹脂層/銅及び銅合金の層からなるハードディスクサスペンション用基材であって、絶縁樹脂層が熱可塑性樹脂/非熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂の三層からなり、該熱可塑性樹脂の少なくとも一層が、吸水率1.0%以下、誘電率3.0以下であり、且つアルカリ性水溶液によるエッチング速度が3.0μm/min以上の熱可塑性樹脂層であることを特徴とするハードディスクサスペンション用基材。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)
    で表される繰り返し単位(A)及び一般式(2)
    で表される繰り返し単位(B)からなり、
    (式中、R1は2価の芳香族基、R2は2価の芳香族基、R3は4価の芳香族基を示す。)該繰り返し単位のモル分率が[A]/[B]=50/50から99/1の範囲であるポリイミド樹脂である請求項1記載のハードディスクサスペンション用基材。
  3. 前記一般式(1)中のR1基が下記式(3)
    で表される2価の有機基のいずれかであり、一般式(1)及び一般式(2)中のR2基が下記式(4)
    で表される2価の有機基であり、一般式(2)中のR3基が下記式(5)
    で表される4価の有機基のいずれかである請求項2記載のハードディスクサスペンション用基材。
  4. ステンレス層に接する熱可塑性樹脂が、前記一般式(1)及び前記一般式(2)であらわされるポリイミド樹脂である請求項1記載のハードディスクサスペンション用基材。
  5. 請求項1〜4記載のハードディスクサスペンション用基材から製造されるハードディスクサスペンション。
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