JP2008217843A - ハードディスクサスペンション用基材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステンレス層/絶縁樹脂層/銅及び銅合金の層からなるハードディスクサスペンション用基材であって、絶縁樹脂層が熱可塑性樹脂/非熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂の三層からなり、該熱可塑性樹脂の少なくとも一層が、吸水率1.0%以下、誘電率3.0以下であり、且つアルカリ性水溶液によるエッチング速度が3.0μm/min以上の熱可塑性樹脂層であることを特徴とするハードディスクサスペンション用基材。
【選択図】 なし
Description
(式中、R1は2価の芳香族基、R2は2価の芳香族基、R3は4価の芳香族基を示す。)該繰り返し単位のモル分率が[A]/[B]=50/50から99/1の範囲であるポリイミド樹脂である請求項1記載のハードディスクサスペンション用基材であり、更に好ましくは、前記一般式(1)中のR1基が下記式(3)
本発明のハードディスクサスペンション用基材の構成要素であるステンレス層は、ステンレスであれば特に制限されるものではないが、サスペンションに必要なバネ特性や寸法安定性の観点から好ましくはSUS304であり、より好ましくは300℃以上の温度でテンションアニール処理が施されたSUS304H−TAである。ステンレス層の好ましい厚さは10〜70μmであり、より好ましくは15〜30μmである。
本発明のハードディスクサスペンション用基材の構成要素である銅及び銅合金の層は、銅が主成分であれば特に制限されるものではない。サスペンションに必要な銅合金と樹脂界面の接着性の観点から、銅合金の表面に一定以上の大きさの粗化があり、Zn、Cr、Ni、Coといった金属元素がめっきされ、さらにシランカップリング材により処理された銅合金が好ましい。銅合金の厚さは、1〜20μmが好ましく、3〜12μmがより好ましい。
本発明のハードディスクサスペンション用基材において、絶縁樹脂層は、熱可塑性樹脂/非熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂の三層からなるものである。これらの絶縁樹脂層は、ポリイミド系樹脂が好まく、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が例示できる。例えば、三層構造の場合、ステンレス及び銅及び銅合金層と接する部分は熱可塑性ポリイミド系樹脂を用いるのが好ましく、それ以外の層には、非熱可塑性ポリイミド系樹脂を用いるのが好ましい。即ち、より好ましい具体的構成は、熱可塑性ポリイミド層/非熱可塑性ポリイミド層/熱可塑性ポリイミド層の三層構造である。
非熱可塑性樹脂としては、好ましい例としては非熱可塑性ポリイミド樹脂である。使用可能な非熱可塑性ポリイミド樹脂としては、本ハードディスクサスペンション用基材の使用環境においては耐熱性が要求項目の一つであることが多いという観点から考慮すると、ポリイミド、あるいは充填材入りのポリイミドが好ましい。使用可能な具体的商品名としては例えば、「カプトン(登録商標)スーパーV」、「カプトン(登録商標)V」、「カプトン(登録商標)E」、「カプトン(登録商標)EN」、「カプトン(登録商標)H」、(以上、東レ・デュポン株式会社製)、「ユーピレックス(登録商標)S」、「ユーピレックス(登録商標)SGA」(以上、宇部興産株式会社製)、「アピカル(登録商標)AH」、「アピカル(登録商標)NPI」、「アピカル(登録商標)HP」(以上、鐘淵化学工業株式会社製)等が挙げられ、これらは市場において容易に入手可能であり、本発明に好適に利用可能である。
本発明に熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリイミド系樹脂が好ましい。使用可能な熱可塑性ポリイミド樹脂とは、主鎖にイミド構造を有するポリマーであって、好ましくはガラス転移温度が150℃〜350℃の範囲内にあり、この温度領域では弾性率が急激に低下するものを例示することができる。
(式中、R1は2価の芳香族基、R2は2価の芳香族基、R3は4価の芳香族基を示す。) 該繰り返し単位のモル分率が[A]/[B]=50/50から99/1の範囲である。接着性、吸水率、比誘電率、エッチング性のバランスより、好ましくは[A]/[B]=60/40から95/5であり、さらに好ましくは[A]/[B]=70/30から90/10である。
以下にハードディスクサスペンション用基材の製造方法の一例について述べる。
本発明のハードディスクサスペンション用基材は、まず絶縁樹脂層となる(例えばポリイミド系樹脂の前駆体の)ワニスをステンレス箔或いは銅または銅合金層といった金属箔に塗布した後、乾燥することにより製造する。金属箔上に熱可塑性ポリイミドの溶液またはポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液(以下、これらを総称してワニスという)を直接塗布・乾燥することより製造することができる。ワニスは、上記の特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶媒中で重合して得られた溶液である。
ステンレス箔や銅または銅合金等の金属箔上にワニスを直接塗工する方法としては、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等の公知の方法が利用できる。塗布厚みは、ワニス等に応じて選択することができる。
塗布したワニスを乾燥・キュアする方法として、通常の加熱乾燥炉を利用することができる。乾燥炉の雰囲気としては、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。乾燥の温度としては、溶媒の沸点により適宜選択するが60〜600 ℃ の温度範囲が好ましい。乾燥時間は、厚み、濃度、溶媒の種類により適宜選択するが0.5〜500分で行うのが好ましい。
本発明のハードディスクサスペンション用基材は前記方法で製造された絶縁樹脂と金属との積層体と金属箔とを加熱圧着することにより製造することができる。以下に例としてポリイミド系樹脂と金属箔とを加熱圧着する方法を述べる。代表的な方法として、加熱プレス法及び/又は熱ラミネート法がある。例えば加熱プレス法は、ポリイミド系樹脂と金属箔を所定の大きさに切り出し、重ね合わせた状態で加熱プレスを行い、両者を接着することができる。加熱温度としては150〜600 ℃ の温度範囲が好ましい。加圧力の制限はないが、好ましくは0.1〜500 kg/cm2 で製造することが好ましい。加圧時間については特に制限はない。
熱ラミネート後、加熱アニールすることも好ましい。加熱装置として、通常の加熱炉、オートクレーブ等が利用できる。加熱雰囲気として、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。加熱方法としてはフィルムを連続的に加熱する方法、又はフィルムを巻き軸に巻いた状態で加熱炉に放置する方法が好ましい。加熱方式としては、伝導加熱方式、輻射加熱方式、及びこれらの併用方式が好ましい。加熱温度は200〜600℃の温度領域が好ましい。加熱時間は0.05〜5000分の時間が好ましい。
上記に製造方法の一例を示したが、以下の製造方法を使用することも出来る。市販の非熱可塑性フィルムの両面に、上記と同様の塗工方法で、熱可塑性ポリイミド前駆体を塗工し、上記と同様の方法で乾燥する。その後、熱可塑性ポリイミド/非熱可塑性ポリイミド/熱可塑性ポリイミドのポリイミド積層体の上下にそれぞれステンレス箔、銅または銅合金箔を配置し、上記の加熱圧着方法と同様に加熱圧着することで、所定の構造のハードディスクサスペンション用基材が得られる。
DMAc:N,N’−ジメチルアセトアミド
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ESDA:2,2’-ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物
EGDA:3,3’,4,4’―エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物
TMPG:3,3’,4,4’-プロピレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物
実施例1〜3
ワニス合成
窒素雰囲気中にて、三口セパラブルフラスコ300mlに、BAPP12.32mgを入れ、表1中に示したDMAcの量を加え、BAPPが完全に溶解するまで攪拌した。その後、表1中に示した量のBTDAとESDAをBAPPが溶解したDMAc溶液中に、順次ゆっくりと添加し、25℃で12時間程度攪拌を行い、粘調なポリアミック酸溶液1〜3を得た。
メスフラスコ100mlにイソキノリン10.00gと無水酢酸10.00gを入れ、十分に攪拌した。その後、上記で得たポリアミック酸100gに、メスフラスコ中の溶液を加え、2分間程度十分に攪拌した。十分に脱気した後に、該溶液をPETフィルム上に塗工し、80℃で30分間加熱を行った。その後、PETフィルムを剥がし、得られたフィルムの四隅の端部を固定して、80℃〜250℃まで5℃/minで昇温し、250℃に達した後、10分間加熱してイミド化を完了させ、25μm厚みの熱可塑性ポリイミドフィルムを得た。
得られた熱可塑性ポリイミドフィルムを東レデュポン株式会社製の非熱可塑性のポリイミドフィルム カプトン(R)の両面に配置し、熱可塑性ポリイミドフィルムの非熱可塑性ポリイミドフィルムが接していない側に、それぞれ銅箔として日本オーリンブラス株式会社製のC7025 18μmとステンレス箔として新日鉄マテリアルズ株式会社製のSUS304H−TA20μmを重ね、温度260℃、圧力80kg/cm2、時間30minの条件で加熱圧着を行い、本発明のハードディスクサスペンション用基材を得た。
上記で得た熱可塑性ポリイミドフィルムについては、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度を測定し、ハードディスクサスペンション用基材については、ステンレス側のピール強度を測定した。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定DSC(日本ブルカー社製)を用いて測定を行った。吸水率は、ASTM D-570に従い、20℃純水中に浸した後の重量変化を測定した。誘電率は、自動平衡ブリッジ法(常態、1MHz)で測定を行った。エッチング速度は、市販のアルカリエッチング用溶液を用いて、ポリイミドフィルムが単位時間当たりに減少する厚みを測定した。また、ステンレス箔と樹脂界面のピール強度については、JIS C6471に従い測定を行った。それらの結果を表2に示す。
比較例1では、ESDAを用いずBTDAのみで、比較例2では、少量のESDAとBTDAを用いて、ポリアミック酸を合成した以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリイミドフィルムとポリイミド金属積層体を得た。(表1に記載)その後、実施例1〜3と同様の方法で、カ゛ラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表2に示す。
EGTAを酸二無水物として用いた以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリアミック酸を合成し、ポリイミドフィルムとハードディスクサスペンション用基材を得た(表1に記載)。その後、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表3に示す。
比較例3では、EGTAを用いずBTDAのみで、比較例4では、少量のEGTAとBTDAを用いて、ポリアミック酸を合成した以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリイミドフィルムとハードディスクサスペンション用基材を得た。その後、実施例1〜3と同様の方法で、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表3に示す。
TMPGを酸二無水物として用いた以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリアミック酸を合成し、ポリイミドフィルムとハードディスクサスペンション用基材を得た(表1に記載)。その後、実施例1〜3と同様の方法で、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表4に示す。
比較例5では、TMPGを用いずBTDAのみで、比較例6では、少量のTMPGとBTDAを用いて、ポリアミック酸を合成した以外は、実施例1〜3と同様の方法で、ポリイミドフィルムとハードディスクサスペンション用基材。その後、実施例1〜3と同様の方法で、ガラス転移温度、吸水率、誘電率、エッチング速度及びピール強度の測定を行った。結果を表4に示す。
Claims (5)
- ステンレス層/絶縁樹脂層/銅及び銅合金の層からなるハードディスクサスペンション用基材であって、絶縁樹脂層が熱可塑性樹脂/非熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂の三層からなり、該熱可塑性樹脂の少なくとも一層が、吸水率1.0%以下、誘電率3.0以下であり、且つアルカリ性水溶液によるエッチング速度が3.0μm/min以上の熱可塑性樹脂層であることを特徴とするハードディスクサスペンション用基材。
- 前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)
(式中、R1は2価の芳香族基、R2は2価の芳香族基、R3は4価の芳香族基を示す。)該繰り返し単位のモル分率が[A]/[B]=50/50から99/1の範囲であるポリイミド樹脂である請求項1記載のハードディスクサスペンション用基材。 - 前記一般式(1)中のR1基が下記式(3)
- ステンレス層に接する熱可塑性樹脂が、前記一般式(1)及び前記一般式(2)であらわされるポリイミド樹脂である請求項1記載のハードディスクサスペンション用基材。
- 請求項1〜4記載のハードディスクサスペンション用基材から製造されるハードディスクサスペンション。
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2007
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