JP2008214156A - 多結晶シリコンの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】四塩化珪素の還元により生成された塩化亜鉛を電気分解して亜鉛を取り出し、該亜鉛を四塩化珪素の還元に再利用する多結晶シリコンの製造方法および製造装置において、不純物の混入を抑えつつ亜鉛を補給する。
【解決手段】多結晶シリコン製造装置1は、固体亜鉛B1を加熱して亜鉛ガスG1を生成する気化装置5と、亜鉛融液L2を加熱して亜鉛ガスG2を生成する気化装置6と、亜鉛ガスG1,G2の何れかにより四塩化珪素ガスG3を還元して多結晶シリコン及び塩化亜鉛ガスG4を生成する反応炉2と、塩化亜鉛ガスG4が液化して成る塩化亜鉛融液L1を電気分解して亜鉛融液L2を生成し、該亜鉛融液L2を気化装置6へ提供する電解装置4とを備え、気化装置6から延びる配管12には、亜鉛ガスG1の流入を防止する逆止弁19が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】多結晶シリコン製造装置1は、固体亜鉛B1を加熱して亜鉛ガスG1を生成する気化装置5と、亜鉛融液L2を加熱して亜鉛ガスG2を生成する気化装置6と、亜鉛ガスG1,G2の何れかにより四塩化珪素ガスG3を還元して多結晶シリコン及び塩化亜鉛ガスG4を生成する反応炉2と、塩化亜鉛ガスG4が液化して成る塩化亜鉛融液L1を電気分解して亜鉛融液L2を生成し、該亜鉛融液L2を気化装置6へ提供する電解装置4とを備え、気化装置6から延びる配管12には、亜鉛ガスG1の流入を防止する逆止弁19が設けられている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、多結晶シリコンの製造方法および製造装置に関するものである。
多結晶シリコンは、例えば太陽電池や電子デバイスなどに好適に用いられる。多結晶シリコンは、例えば四塩化珪素を亜鉛で還元することにより、高純度のものが製造される。特許文献1,2には、四塩化珪素を亜鉛で還元する際に生じる塩化亜鉛を電気分解して亜鉛と塩素ガスとを分離し、取り出された亜鉛を四塩化珪素の還元に再利用する方法が記載されている。
特開2003−342016号公報
特開2004−210594号公報
亜鉛による四塩化珪素の還元反応は、次の反応式で表される。
SiCl4+2Zn → Si+2ZnCl2 …(1)
また、塩化亜鉛の電気分解による反応は、次の反応式で表される。
ZnCl2 → Zn+Cl2 …(2)
従って、理想的には、(2)式により生成される亜鉛(Zn)を(1)式に戻して使用すれば、亜鉛(Zn)を追加することなく永遠に四塩化珪素の還元が可能となる。しかしながら、実際には、(2)式により生成された塩素(Cl2)を排出する際に微量の塩化亜鉛(ZnCl2)や亜鉛(Zn)が塩素と共に排出されてしまい、亜鉛は次第に減少する。従って、上記方法により多結晶シリコンを製造する際には、亜鉛を定期的に補給する必要がある。しかし、例えば亜鉛の循環経路の一部を開放して亜鉛を投入すると、その際に大気成分や不純物が循環系に混入し易く、電解槽の汚染や配管の閉塞などの原因となる。従って、多結晶シリコンの連続的な製造プロセスが妨げられ、多結晶シリコン純度や製造効率の低下を招くこととなる。
SiCl4+2Zn → Si+2ZnCl2 …(1)
また、塩化亜鉛の電気分解による反応は、次の反応式で表される。
ZnCl2 → Zn+Cl2 …(2)
従って、理想的には、(2)式により生成される亜鉛(Zn)を(1)式に戻して使用すれば、亜鉛(Zn)を追加することなく永遠に四塩化珪素の還元が可能となる。しかしながら、実際には、(2)式により生成された塩素(Cl2)を排出する際に微量の塩化亜鉛(ZnCl2)や亜鉛(Zn)が塩素と共に排出されてしまい、亜鉛は次第に減少する。従って、上記方法により多結晶シリコンを製造する際には、亜鉛を定期的に補給する必要がある。しかし、例えば亜鉛の循環経路の一部を開放して亜鉛を投入すると、その際に大気成分や不純物が循環系に混入し易く、電解槽の汚染や配管の閉塞などの原因となる。従って、多結晶シリコンの連続的な製造プロセスが妨げられ、多結晶シリコン純度や製造効率の低下を招くこととなる。
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、四塩化珪素の還元により生成された塩化亜鉛を電気分解して亜鉛を取り出し、該亜鉛を四塩化珪素の還元に再利用する多結晶シリコンの製造方法および製造装置において、不純物の混入を抑えつつ亜鉛を補給することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明による多結晶シリコンの製造方法は、四塩化珪素を亜鉛で還元することにより多結晶シリコンを製造する方法であって、固体亜鉛を取り込む前室、固体亜鉛を加熱して気化させる加熱室、及び前室と加熱室とを気密に仕切るゲートバルブを有する第1の気化装置の前室に固体亜鉛を収容し、該前室内を不活性ガスで満たす第1の工程と、加熱室内を不活性ガスで満たし、ゲートバルブを開いて固体亜鉛を加熱室へ移動する第2の工程と、ゲートバルブを閉じ、固体亜鉛を加熱し気化させて第1の亜鉛ガスを生成する第3の工程と、反応炉へ第1の亜鉛ガスを供給すると共に、該反応炉へ四塩化珪素ガスを供給し、四塩化珪素ガスを第1の亜鉛ガスで還元して多結晶シリコン及び塩化亜鉛ガスを生成する第4の工程と、塩化亜鉛ガスを冷却して塩化亜鉛融液とし、電解装置により塩化亜鉛融液を電気分解して亜鉛融液を生成する第5の工程と、第2の気化装置により亜鉛融液を加熱し気化させて第2の亜鉛ガスを生成する第6の工程と、第2の気化装置から延びる配管を介して第2の亜鉛ガスを反応炉へ供給する第7の工程とを備え、配管には第1の亜鉛ガスの流入を防止する逆止弁が設けられており、第7工程の後、第2の気化装置から反応炉へ第2の亜鉛ガスを供給しつつ、四塩化珪素ガスを反応炉へ供給して多結晶シリコンの生成を継続するとともに、第1〜第3の工程を断続的に繰り返すことを特徴とする。
上記した多結晶シリコンの製造方法では、第1〜第3の工程において、第1の気化装置の前室に固体亜鉛を収容し、前室内及び加熱室内を不活性ガスで満たした後に固体亜鉛を加熱室へ移動し、ゲートバルブを閉じ、固体亜鉛を加熱し気化させて亜鉛ガス(第1の亜鉛ガス)を生成している。そして、この第1〜第3の工程を、断続的に繰り返している。この方法により、大気成分や不純物の混入を抑制しつつ亜鉛ガスを補給できるので、電解槽の汚染や配管の閉塞を防ぎ、連続的な製造プロセスを好適に維持できる。
また、多結晶シリコンの製造方法は、逆止弁がボール式であり、その弁体が比重1.6g/cm3未満のカーボン製であることを特徴としてもよい。亜鉛の沸点は907℃であり、従って、第2の配管には約1000℃或いはそれ以上の高温の亜鉛ガスが流れる。また、この温度付近での亜鉛ガスの蒸気圧は1気圧(約100kPa)程度であり、逆止弁の弁体には軽さが求められる。更に、亜鉛は他の金属と反応(合金反応)し易いため、逆止弁は金属以外の材料によって構成されることが望ましい。この多結晶シリコンの製造方法によれば、逆止弁の弁体が比重1.6g/cm3未満と極めて軽いカーボン製であることによって、約1000℃の高温に耐え、亜鉛ガスの蒸気圧で浮動でき、且つ、亜鉛と殆ど反応しないボール式逆止弁を好適に実現できる。
また、第1の気化装置により生成される第1の亜鉛ガスを反応炉へ供給する際には、電気分解により生成される第2の亜鉛ガスの供給経路(配管)への逆流を防ぐことが望ましい。第1の亜鉛ガスがこの配管へ逆流すると、亜鉛ガスを反応炉へ十分に供給することができず、多結晶シリコンの還元が不完全となるおそれがあるからである。これに対し、上記した多結晶シリコンの製造方法によれば、第1の亜鉛ガスの流入を防止するための逆止弁が配管に設けられているので、第1の亜鉛ガスの逆流を好適に防止できる。
また、本発明による多結晶シリコンの製造装置は、四塩化珪素を亜鉛で還元することにより多結晶シリコンを製造する装置であって、固体亜鉛を取り込む前室、固体亜鉛を加熱して第1の亜鉛ガスを生成する加熱室、及び前室と加熱室とを気密に仕切るゲートバルブを有する第1の気化装置と、亜鉛融液を加熱して第2の亜鉛ガスを生成する第2の気化装置と、第1及び第2の亜鉛ガスのうち少なくとも一方により四塩化珪素ガスを還元して多結晶シリコン及び塩化亜鉛ガスを生成する反応炉と、塩化亜鉛ガスが液化して成る塩化亜鉛融液を電気分解して亜鉛融液を生成し、該亜鉛融液を第2の気化装置へ提供する電解装置とを備え、第2の気化装置から延びており第2の亜鉛ガスを通す配管に、第1の亜鉛ガスの流入を防止する逆止弁が設けられていることを特徴とする。
上記した多結晶シリコンの製造装置によれば、前述した多結晶シリコンの製造方法を好適に実施できるので、大気成分や不純物の混入を抑制しつつ亜鉛を補給でき、電解槽の汚染や配管の閉塞を防ぎ、連続的な製造プロセスを好適に維持できる。また、第2の気化装置から延びる配管に第1の亜鉛ガスの流入を防止するための逆止弁が設けられているので、第1の亜鉛ガスの逆流を好適に防止できる。
本発明によれば、四塩化珪素の還元により生成された塩化亜鉛を電気分解して亜鉛を取り出し、該亜鉛を四塩化珪素の還元に再利用する多結晶シリコンの製造方法および製造装置において、不純物の混入を抑えつつ亜鉛を補給できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による多結晶シリコンの製造方法および製造装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明による多結晶シリコン製造装置の一実施形態の構成を概略的に示すブロック図である。本実施形態に係る多結晶シリコン製造装置1は、四塩化珪素(SiCl4)を亜鉛(Zn)で還元することにより多結晶シリコン(Si)を製造する装置である。図1を参照すると、多結晶シリコン製造装置1は、亜鉛ガスG1及びG2のうち少なくとも一方の亜鉛ガスによって四塩化珪素ガスG3を還元するための反応炉2と、反応炉2から排出された塩化亜鉛ガスG4に混入したシリコン微粒子を除去する除去装置3と、塩化亜鉛ガスG4が液化してなる塩化亜鉛融液L1を電気分解する電解装置4と、固体亜鉛B1を加熱して亜鉛ガス(第1の亜鉛ガス)G1を生成する気化装置(第1の気化装置)5と、電解装置4から排出された亜鉛融液L2から亜鉛ガス(第2の亜鉛ガス)G2を生成する気化装置(第2の気化装置)6と、気化装置5から延びる配管(第1の配管)11と気化装置6から延びる配管(第2の配管)12とを結合する結合部7とを備えている。
この製造装置1において、気化装置5と結合部7とは配管11を介して接続されている。気化装置6と結合部7とは配管12を介して接続されている。結合部7と反応炉2とは配管13を介して接続されている。反応炉2と除去装置3とは配管14を介して接続されている。除去装置3と電解装置4とは配管15を介して接続されている。電解装置4と気化装置6とは配管16を介して接続されている。さらに、反応炉2には、四塩化珪素を導入するための配管17が接続されており、電解装置4には、生成された塩素ガスG5を排出するための配管18が接続されている。
ここで、図2は、反応炉2の構成を示す側面断面図である。なお、図2には説明のためxyz空間座標系が示されている。図2を参照すると、反応炉2は、筐体21と、筐体21内に収容された反応室22とを備える。反応室22は、z軸方向に沿って延びている。z軸方向は水平面に交差する方向であることが好ましく、鉛直方向であることが特に好ましい。これにより、重力を利用して反応室22の下端から多結晶シリコンを効率的に回収することができる。
側壁23の上部には、四塩化珪素ガスを反応室22内へ供給するための供給口22aと、亜鉛ガスを反応室22内へ供給するための供給口22bとが形成されている。供給口22aは配管17を介して四塩化珪素ガス生成装置(不図示)と接続されており、供給口22bは配管13を介して結合部7と接続されている。また、反応室22の上部の周囲には、反応室22の上部を加熱するためのヒータH1が設けられている。反応室22の上部の温度は、ヒータH1によって1100℃以上1350℃以下にに制御される。これにより、反応室22の上部では、四塩化珪素ガスG3と亜鉛ガスG1,G2とが反応して多結晶シリコン粒子および塩化亜鉛ガスG4を含む生成ガスG6が生成される。
側壁23の中央部付近には、不活性ガスを反応室22内に供給するための供給口22cが形成されていることが好ましい。この場合、不活性ガスにより生成ガスG6を冷却することができるので、生成ガスG6に含まれる多結晶シリコン粒子を結晶成長させることができる。多結晶シリコン粒子の粒径が大きくなると重力によって落下し易くなるので、多結晶シリコン粒子を回収し易くなる。不活性ガスは、例えばヘリウム、アルゴン、キセノン等の希ガスである。生成ガスG6の冷却効率を向上させる観点から、不活性ガスの温度は1000℃以下であることが好ましい。なお、供給口22cは、側壁23の上部に形成されていてもよい。
反応室22の中央部の周囲には、反応室22の中央部を加熱するためのヒータH2,H3が設けられていることが好ましい。これにより、反応室22の中央部の温度を制御することができる。ヒータH2,H3により、反応室22の中央部の温度は1100℃以上1350℃以下に制御されることが好ましい。
反応室22の下部には、シリコン融液L3を収集するための漏斗24が設けられている。漏斗24には、重力により落下した多結晶シリコン粒子が付着する。また、反応室22の下部の周囲には、反応室22の下部を加熱するためのヒータH4〜H6が設けられている。反応室22の下部の温度は、ヒータH4〜H6によって1350℃以上に制御される。これにより、反応室22の下部では、多結晶シリコン粒子が溶融してシリコン融液L3となる。
シリコン融液L3は、漏斗24の先端24aから容器25内に滴下される。容器25は、漏斗24の先端24aに対向配置されている。容器25としては、例えば、るつぼ等が挙げられる。容器25の温度は、例えば900℃に制御される。シリコン融液L3が容器25内で冷却固化されることにより、多結晶シリコンB2が得られる。多結晶シリコンB2は、高純度であるので、例えば太陽電池に使用される。
塩化亜鉛ガスG4は、その沸点が732℃と比較的低いため、反応室22において液化することなく下部へ移動する。反応炉2の下部には塩化亜鉛ガスG4を排出するための排出口26が設けられており、排出口26は配管14を介して除去装置3(図1参照)と接続されている。塩化亜鉛ガスG4は、排出口26から排出され、この塩化亜鉛ガスG4に混入したシリコン微粒子が除去装置3において除去され、冷却されて塩化亜鉛融液L1となり、電解装置4へ送られる。なお、除去装置3としては、例えば多孔質の複数のカーボン板を厚さ方向に並べ、カーボン板同士の隙間に塩化亜鉛ガスを通過させることによってカーボン板にシリコン微粒子を付着させ、このシリコン微粒子を加熱して溶融し、落下させて回収する構成が考えられる。
図3は、電解装置4の構成を示す側面断面図である。図3を参照すると、電解装置4は、本体部41及び電極構造体42を備える。
本体部41は、溶融した金属塩化物を収容するとともに該金属塩化物を電解するための電解槽43と、電解槽43の内部を加熱するための熱源であるヒータ44とを有する。電解槽43の上方には空間45が設けられ、該空間45の水平方向の一端には除去装置3から延びる配管15が配置され、他端には配管18が配置されている。配管15から導入された塩化亜鉛融液L1は、電解槽43へ導かれる。また、電解槽43において発生した塩素ガスG5は、空間45を通って配管18から排出される。また、電解槽43の底部には配管16が連結されており、電解槽43の底部に堆積した純亜鉛の融液L2は、この配管16を通って気化装置6へ送られる。
電極構造体42は、複数の電極板46を有する。複数の電極板46は、隙間をあけて板厚方向に並置され、該板厚方向を水平方向として電解槽43内に配置されている。複数の電極板46は、例えば高純度炭素材料といった、高温に強く塩素に対し耐食性を有する導電性物質からなり、水平方向に延設された一または複数の棒状部材47によって貫通され、相互の位置関係が保持されている。
複数の電極板46のうち、水平方向の一端に位置する電極板46には、該電極板46と電気的に接続された通電部材48aを介して所定の正電圧が印加され、この電極板46は陽極として機能する。また、水平方向の他端に位置する電極板46には、該電極板46と電気的に接続された通電部材48bを介して所定の負電圧が印加され、この電極板46は陰極として機能する。これら陽極および陰極の間に配置された電極板46には、図示しない通電部材を介して、上記した正電圧および負電圧の間で電位勾配が与えられ、これらの電極板46はそれぞれ中間電極として機能する。なお、陽極と陰極との間の電位差は、例えば5V程度である。また、隣り合う各電極間を流れる電流は、例えば電解面積1m2あたり8000A程度である。ここでいう電解面積とは、例えば図3のように各電極板46の極間が6つ存在する場合、各電極板46の一方の板面積の6倍となる。
配管15から導入された塩化亜鉛融液L1は、電解槽43に取り込まれる。電解槽43内はヒータ44によって例えば500℃以上の高温に保たれるので、塩化亜鉛融液L1は溶融状態のまま維持される。また、電解槽43の内部には複数の電極板46が配置されており、溶融した塩化亜鉛中に複数の電極板46が浸される。そして、所定の電位差が各電極板46に与えられると、隣り合う電極板46同士の対向する面(電解面)を介して塩化亜鉛融液L1中に電流が流れ、塩化亜鉛融液L1が塩素と純亜鉛とに電気分解される。こうして生成された純亜鉛の融液L2は、塩化亜鉛融液L1より比重が大きいので電解槽43の底部に堆積し、配管16を通って気化装置6へ送られる。また、生成された塩素は、塩素ガスG5となって電解槽43の上方へ移動し、配管18を通って電解装置4の外部へ排出される。
図4は、気化装置6の構成を示す側面断面図である。図4を参照すると、気化装置6は、電解装置4から送られた亜鉛融液L2を加熱して気化させるための気化室61を備える。気化室61は上下方向に筒状に延びており、気化室61の側壁には電解装置4から延びる配管16が接続されており、気化室61の上端には結合部7へ延びる配管12が接続されている。電解装置4において生成された亜鉛融液L2は、配管16を介して気化室61の内部へ送られる。気化室61の周囲にはヒータ62が配置されており、このヒータ62により気化室61内の亜鉛融液L2が加熱され、亜鉛融液L2が気化して亜鉛ガスG2が生成される。生成された亜鉛ガスG2は、配管12を通って結合部7へ送られる。
図5は、気化装置5の構成を示す側面断面図である。気化装置5は、固体亜鉛B1を取り込む前室51と、固体亜鉛B1を加熱して亜鉛ガスG1を生成する加熱室52と、前室51及び加熱室52を気密に仕切るゲートバルブ53とを有している。本実施形態では、前室51の上方に加熱室52が配置されており、ゲートバルブが水平方向に動作して前室51及び加熱室52を気密に仕切るしくみとなっている。また、気化装置5は、固体亜鉛B1を収容する容器(溶解槽)54を更に有しており、容器54は前室51と加熱室52との間で垂直方向に移動可能となっている。
前室51および加熱室52にはパージガスを導入するための図示しない導入口がそれぞれに設けられており、各々独立してパージガスが導入される。なお、このパージガスとしてはいわゆる不活性である希ガス(ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等)が好適である。
前室51は開放可能に構成されており、外部から固体亜鉛B1を取り込むことができる。また、加熱室52には配管(第1の配管)11の一端が取り付けられている。この配管11の他端は、図1に示すように結合部7に達している。また、加熱室52の周囲には、固体亜鉛B1を加熱して気化するためのヒータ55が設けられている。加熱室52内に移動した容器54内の固体亜鉛B1は、ヒータ55によって沸点以上の温度に加熱され、亜鉛ガスG1となって配管11へ導入され、結合部7へ送られる。
図6は、結合部7の構成を示す側面断面図である。結合部7は、気化装置5から提供される亜鉛ガスG1と、気化装置6から提供される亜鉛ガスG2とを合流させるための主管71を有している。主管71の側壁には、気化装置5から延びる配管11と、気化装置6から延びる配管12とがそれぞれ接続されており、これらの配管11,12を介して主管71へ亜鉛ガスG1,G2が導入される。また、主管71の一端には反応炉2へ延びる配管13が接続されており、亜鉛ガスG1,G2はこの配管13を通って反応炉2へ送られる。また、主管71の周囲にはヒータ72が設けられており、亜鉛ガスG1,G2が液化しないように主管71の内部を加熱できるしくみになっている。
また、図6に示すように、配管12には、逆止弁19が設けられている。逆止弁19は、亜鉛ガスG1が配管12を介して気化装置6へ流入することを防ぐために設けられており、本実施形態では、いわゆるボール式逆止弁によって構成されている。具体的には、逆止弁19は、管の内径が下方から上方へ向けて拡大する拡径部19aと、該拡径部19aの最小径(例えば1cm程度)よりも大きく最大径よりも小さい直径を有し該拡径部19a上に浮動可能に載置された球状の弁体19bとを有する。そして、亜鉛ガスG2が下方から上昇してくると亜鉛ガスG2の圧力によって弁体19bが浮上し、亜鉛ガスG2は弁体19bと配管12の管壁との隙間を通って移動する。また、亜鉛ガスG1が主管71に導入されると、弁体19bは亜鉛ガスG1の圧力によって拡径部19aに押し付けられ、拡径部19aを塞ぐ。この動作によって、亜鉛ガスG1は配管12へ逆流することなく配管13へ流れるとともに、亜鉛ガスG2は配管12を通って配管13へ流れる。
以上の構成を備える多結晶シリコン製造装置1において、各装置(反応炉2、除去装置3、電解装置4、気化装置5、気化装置6、および結合部7)並びにこれらの装置同士を連結する配管11〜18の材質には、当該装置や配管を通過する融液やガスの温度に耐えうると同時に、亜鉛や塩化亜鉛等と反応しないことが求められる。例えば、亜鉛ガス(約1000℃以上)を生成する気化装置5及び6や該亜鉛ガスが通過する結合部7、並びに四塩化珪素ガスを還元させる反応炉2の側壁23などは、耐熱性および耐食性に優れた例えばSiO2(石英)、SiC、アルミナ等のセラミックス製、またはカーボン製であることが好ましい。また、塩化亜鉛融液や亜鉛融液(約500℃以上)を扱う電解装置4の電解槽43、或いは配管11〜18などについても、これらのうち何れかの材質からなることが好ましい。
特に、逆止弁19(図6参照)の材質については、以下のとおりである。拡径部19aについては、耐熱性や耐食性を考慮し、例えばSiO2(石英)、SiC、アルミナ等のセラミックス製、またはカーボン製であることが好ましい。また、この温度付近での亜鉛ガスの蒸気圧は1気圧(約100kPa)程度であり、逆止弁19の弁体19bにはこの蒸気圧で浮上するための軽さが求められる。このような条件を満たす弁体19bの材質としては、カーボンが好適である。特に、このカーボンが比重1.6g/cm3未満となるような構造を有することによって、亜鉛ガスの蒸気圧でも浮上する弁体19bをより好適に実現できる。
比重1.6g/cm3未満となるようなカーボン材は、例えば炭素原子同士がガラス状に結合したガラス状カーボンによって好適に実現される。ガラス状カーボンは、比重が1.52g/cm3程度(通常のカーボンの比重は1.6〜1.9g/cm3)と極めて軽く、また、耐熱性、耐摩耗性、亜鉛に対する耐食性、及び機械的強度においても優れており、本実施形態の弁体19bの材質として好適である。なお、このようなカーボン材を用いた弁体19bとしては、例えば(株)タンケンシールセーコウ製のカルボン球(登録商標)を用いることができる。
以上の構成を備える多結晶シリコン製造装置1を用いた多結晶シリコンの製造方法について、以下に説明する。図7は、本実施形態による多結晶シリコンの製造方法を示すフローチャートである。また、図8は、この製造方法のうち亜鉛ガスG1を生成する過程について詳細に示すフローチャートである。また、図9は、この製造方法のうち多結晶シリコンの還元工程について詳細に示すフローチャートである。また、図10は、この製造方法のうち塩化亜鉛を電気分解する工程について詳細に示すフローチャートである。
図7に示すように、まず気化装置5において亜鉛ガスG1を生成する(ステップS1)。具体的には、図8に示す各工程を行う。すなわち、気化装置5の前室51(図5参照)を開放し、容器54に固体亜鉛B1を収容する(第1の工程、ステップS1a)。そして、前室51を気密に閉じ、前室51の内部をパージガス(不活性ガス)で満たすことにより、前室51内の大気成分を完全に除去する(第1の工程、ステップS1b)。続いて、加熱室52の内部をパージガス(不活性ガス)で満たし、ゲートバルブ53を開いて容器54を加熱室52内へ移動する(第2の工程、ステップS1c)。そして、ゲートバルブ53を閉じ、ヒータ55により加熱室52内の温度を亜鉛の沸点以上に上昇させて、固体亜鉛B1を気化する。こうして、亜鉛ガスG1が生成される(第3の工程、ステップS1d)。
続いて、図7に示すように、反応炉2へ亜鉛ガスG1及び四塩化珪素ガスG3を供給し、四塩化珪素ガスG3を亜鉛ガスG1で還元して多結晶シリコンおよび塩化亜鉛ガスG4を生成し、多結晶シリコンを取り出す(第4の工程、ステップS2)。具体的には、図9に示す各工程を行う。すなわち、反応室22(図2参照)の側壁23の上部の温度を1100℃以上として、供給口22a及び供給口22bから、反応室22内に四塩化珪素ガスG3と亜鉛ガスG1とを供給して反応させることにより、多結晶シリコン粒子を生成する(ステップS2a)。この工程では、多数の多結晶シリコン微粒子が生成される。このとき、四塩化珪素ガスG3と亜鉛ガスG1との反応により、多結晶シリコン粒子を含む生成ガスG6が得られる。生成ガスG6には、例えば、シリコンガス、シリコン液滴、反応副生成物としての塩化亜鉛ガス等が含まれている。
続いて、生成ガスG6を冷却する(ステップS2b)。これにより、生成ガスG6に含まれる多結晶シリコン粒子を核として多結晶シリコンが結晶成長するので、多結晶シリコン粒子を回収し易くなる。多結晶シリコン粒子の粒径が大きくなると、重力により落下して漏斗24に付着する。よって、多結晶シリコン粒子が反応室22外に放出され難くなり、製造される多結晶シリコンB2の収率が向上する。生成ガスG6を冷却する際には、生成ガスG6に不活性ガスを供給することが好ましい。この場合、生成ガスG6を冷却する際に側壁23の温度の低下を抑制することができる。これにより、多結晶シリコン粒子が側壁23に付着することに起因する多結晶シリコンB2の収率の低下を抑制できる。
続いて、ステップS2bによって生成された多結晶シリコン粒子を溶融させてシリコン融液L3を得る(ステップS2c)。この工程では、ヒータH4〜H6を用いて側壁23の下部を加熱することによって、漏斗24に付着した多結晶シリコン粒子を溶融させる。そして、シリコン融液L3を冷却固化して多結晶シリコンB2を得る(ステップS2d)。この工程では、漏斗24を用いてシリコン融液L3を反応室22から取り出し、容器25内でシリコン融液L3を冷却固化する。こうして得られた多結晶シリコンB2が、反応炉2から取り出される。また、四塩化珪素ガスG3と亜鉛ガスG1との反応により生成された塩化亜鉛ガスG4は、除去装置3へ排出される。
続いて、塩化亜鉛ガスG4に混入したシリコン微粒子を除去装置3によって除去したのち、図7に示すように、この塩化亜鉛ガスG4を冷却して塩化亜鉛融液L1とし(第5の工程、ステップS3)、電解装置4により塩化亜鉛融液L1を電気分解して亜鉛融液L2を生成する(第5の工程、ステップS4)。具体的には、図10に示す各工程を行う。すなわち、塩化亜鉛融液L1を配管15(図3参照)を介して電解装置4の内部へ導入し、電解槽43に取り込む(ステップS4a)。電解槽43内はヒータ44によって例えば500℃以上の高温に保たれるので、塩化亜鉛融液L1は溶融状態のまま維持される。また、電解槽43の内部には複数の電極板46が配置されており、塩化亜鉛融液L1中に複数の電極板46が浸される。そして、所定の電位差を各電極板46に与えると(ステップS4b)、隣り合う電極板46同士の対向する面を介して塩化亜鉛融液L1に電流が流れ、塩化亜鉛融液L1が塩素と純亜鉛とに電気分解される(ステップS4c)。こうして生成された純亜鉛(亜鉛融液L2)は、塩化亜鉛融液L1より比重が大きいので電解槽43の底部に堆積し、配管16を通って気化装置6へ送られる(ステップS4d)。また、生成された塩素は、気体(塩素ガスG5)となって電解槽43の上方へ移動し、配管18を介して電解装置4の外部へ排出される。
続いて、図7に示すように、気化装置6において亜鉛融液L2を加熱し、気化させて亜鉛ガスG2を生成する(第6の工程、ステップS5)。すなわち、気化装置6の気化室61(図4参照)に送られた亜鉛融液L2をヒータ62により加熱して、亜鉛融液L2の温度を亜鉛の沸点以上に上昇させ、亜鉛融液L2を気化させて亜鉛ガスG2とする。この亜鉛ガスG2は、配管12を通って結合部7へ移動する。結合部7では、亜鉛ガスG2が逆止弁19(図6参照)を通過して配管13へ流入し、配管13を通って反応炉2へ供給される(第7の工程、ステップS6)。この後、気化装置6から反応炉2へ亜鉛ガスG2を供給しつつ、四塩化珪素ガスG3を反応炉2へ供給し続けて多結晶シリコンの生成(ステップS2)を継続する。すなわち、上記したステップS2〜S6の各工程が並行して行われ、多結晶シリコンが継続的に生成されると同時に、ステップS2〜S6において亜鉛が循環して使用されることとなる。
製造装置1を循環する亜鉛は、塩素ガスG5を排出する際に微量の塩化亜鉛ガスや亜鉛ガスとして塩素ガスG5と共に排出されるので、次第に減少する。反応炉2に亜鉛が多めに供給されていても四塩化珪素の還元反応は問題なく行われるが、亜鉛の量が不足すると十分な還元反応を行うことができないので、図7に示したステップS1(すなわち図8に示したステップS1a〜S1d)を断続的に繰り返すことにより、亜鉛を補給する。
以上に説明した多結晶シリコンの製造装置1および製造方法による効果について、背景とともに詳細に説明する。
多結晶シリコンは、主に太陽電池や電子デバイスの材料として用いられる。多結晶シリコンを量産する場合、四塩化珪素ガスを亜鉛ガスにより気相で還元する方法が、高純度の多結晶シリコンを大量に生産できるので好ましい。そして、工業的には、還元反応の副生成物として得られる塩化亜鉛を電気分解することにより亜鉛を取り出し、この亜鉛を四塩化珪素ガスの還元に再利用することが望ましい。このとき、如何にして亜鉛を気化して反応炉へ供給するかが重要な課題となる。
例えば、電解装置の後段に気化装置を接続し、電解装置内に初期投入分の亜鉛を予め投入しておき、電解装置内を昇温して亜鉛を溶融し、この亜鉛融液を気化装置により気化させる、といった方法で亜鉛を供給する方法が考えられる。しかし、装置内の亜鉛は次第に減少するので亜鉛を補給する必要があるが、この方法では、製造装置の運転を停止して亜鉛の融液を注ぎ込む、或いは、電解装置を完全に停止し降温させた後に、電解装置の蓋を開けて亜鉛を投入する、といった作業が必要となる。従って、循環系に大気成分が入り込むこととなり、不純物が混入する原因となる。また、工業的に入手可能な亜鉛の純度は最高でも99.995%程度であり、表面に酸化膜等が形成されているために、たとえ表面を研磨するなどの処理を行ったとしても、不純物が混入してしまう。循環系に不純物が混入すると、電解槽の汚染や、配管の閉塞といった問題が生じてしまう。このため、製造装置の連続的な運転が妨げられ、多結晶シリコンの純度低下や製造効率の低下を招くこととなる。
このような課題に対し、本実施形態による多結晶シリコンの製造装置1および製造方法では、気化装置5の前室51に固体亜鉛B1を収容し、前室51内及び加熱室52内を不活性ガスで満たした後に固体亜鉛B1を加熱室52へ移動し、ゲートバルブ53を閉じ、固体亜鉛B1を加熱し気化させて亜鉛ガスG1を生成する。そして、この工程を、断続的に繰り返す。これにより、大気成分や不純物の混入を抑制しつつ亜鉛ガスを装置内に補給できるので、電解槽の汚染や配管の閉塞を防ぎ、連続的な製造プロセスを好適に維持できる。
また、気化装置5により生成される亜鉛ガスG1を反応炉2へ供給する際には、亜鉛ガスG2の供給経路(配管12)への逆流を防ぐことが望ましい。亜鉛ガスG1が配管12へ逆流すると、亜鉛ガスG1を反応炉へ十分に供給することができず、多結晶シリコンの還元が不完全となるおそれがあるからである。特に、製造プロセスを開始する初期の状態では気化装置6や電解装置4に亜鉛が蓄積されていないため、亜鉛ガスG1の逆流を防ぐ手段がないと、気化装置5から排出された亜鉛ガスG1が気化装置6を経由して電解装置4へ逆流し易くなり、反応炉2へ亜鉛ガスG1が十分に供給されないこととなる。これに対し、本実施形態による多結晶シリコンの製造装置1および製造方法によれば、亜鉛ガスG1の流入を防止するための逆止弁19が配管12に設けられているので、亜鉛ガスG1の逆流を好適に防止できる。なお、この逆止弁19は配管12の任意の箇所に設置可能であるが、気化装置6からの亜鉛融液の飛沫による閉塞や劣化を防止する観点から、気化装置6からできるだけ離れた位置(本実施形態では、配管11と配管12とを結合する結合部7)に配置されることが好ましい。
(変形例)
図11は、上記実施形態の変形例として、気化装置8の構成を概略的に示す側面断面図である。この気化装置8は、上記実施形態における気化装置5に代替して設けられることができる。気化装置8は、固体亜鉛B1を取り込む前室81と、固体亜鉛B1を加熱して亜鉛ガスG1を生成する加熱室82と、前室81及び加熱室82を気密に仕切るゲートバルブ83とを有している。本変形例では、前室81の側方に加熱室82が配置されており、ゲートバルブが垂直方向に動作して前室81及び加熱室82を気密に仕切るしくみとなっている。また、気化装置8は、固体亜鉛B1を収容する図示しない容器(溶解槽)を更に有しており、この容器は前室81と加熱室82との間で水平方向に移動可能となっている。なお、前室81及び加熱室82は、上記実施形態の気化装置5と同様、耐熱性および耐食性に優れた例えばカーボン製やセラミック製の炉芯管によって好適に構成される。
図11は、上記実施形態の変形例として、気化装置8の構成を概略的に示す側面断面図である。この気化装置8は、上記実施形態における気化装置5に代替して設けられることができる。気化装置8は、固体亜鉛B1を取り込む前室81と、固体亜鉛B1を加熱して亜鉛ガスG1を生成する加熱室82と、前室81及び加熱室82を気密に仕切るゲートバルブ83とを有している。本変形例では、前室81の側方に加熱室82が配置されており、ゲートバルブが垂直方向に動作して前室81及び加熱室82を気密に仕切るしくみとなっている。また、気化装置8は、固体亜鉛B1を収容する図示しない容器(溶解槽)を更に有しており、この容器は前室81と加熱室82との間で水平方向に移動可能となっている。なお、前室81及び加熱室82は、上記実施形態の気化装置5と同様、耐熱性および耐食性に優れた例えばカーボン製やセラミック製の炉芯管によって好適に構成される。
前室81および加熱室82にはパージガスを導入するための図示しない導入口がそれぞれに設けられており、各々独立してパージガスが導入される。また、前室81は開放可能に構成されており、外部から固体亜鉛B1を取り込むことができる。また、加熱室82には配管11が取り付けられる。また、加熱室82の周囲には、固体亜鉛B1を加熱して気化するためのヒータ85が設けられる。加熱室82内に移動した固体亜鉛B1は、ヒータ85によって沸点以上の温度に加熱され、亜鉛ガスG1となって配管11へ導入され、結合部7(図1参照)へ送られる。
本発明における第1の気化装置は、図5に示した構成の他、本変形例のような構成を有しても良い。これにより、大気成分や不純物の混入を抑制しつつ亜鉛ガスを好適に補給できる。
本発明による多結晶シリコンの製造方法および製造装置は、上記した実施形態および変形例に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では逆止弁としてボール式の構造を例示したが、本発明における逆止弁としては、これ以外にも様々な構造を適用できる。
また、上記実施形態では第1の配管(配管11)と第2の配管(配管12)とを結合部により結合し、該結合部と反応炉とを別の配管(配管13)によって接続しているが、本発明における第1の配管及び第2の配管は、それぞれが反応炉に直接接続されていてもよい。
また、上記実施形態では逆止弁が第2の配管にのみ設けられているが、逆止弁は更に第1の配管にも設けられてもよい。
B1…固体亜鉛、B2…多結晶シリコン、G1,G2…亜鉛ガス、G3…四塩化珪素ガス、G4…塩化亜鉛ガス、G5…塩素ガス、L1…塩化亜鉛融液、L2…亜鉛融液、1…多結晶シリコン製造装置、2…反応炉、3…除去装置、4…電解装置、5…気化装置、6…気化装置、7…結合部、11〜18…配管、19…逆止弁、51…前室、52…加熱室、53…ゲートバルブ。
Claims (3)
- 四塩化珪素を亜鉛で還元することにより多結晶シリコンを製造する方法であって、
固体亜鉛を取り込む前室、前記固体亜鉛を加熱して気化させる加熱室、及び前記前室と前記加熱室とを気密に仕切るゲートバルブを有する第1の気化装置の前記前室に前記固体亜鉛を収容し、該前室内を不活性ガスで満たす第1の工程と、
前記加熱室内を不活性ガスで満たし、前記ゲートバルブを開いて前記固体亜鉛を前記加熱室へ移動する第2の工程と、
前記ゲートバルブを閉じ、前記固体亜鉛を加熱し気化させて第1の亜鉛ガスを生成する第3の工程と、
反応炉へ前記第1の亜鉛ガスを供給すると共に、該反応炉へ四塩化珪素ガスを供給し、前記四塩化珪素ガスを前記第1の亜鉛ガスで還元して多結晶シリコン及び塩化亜鉛ガスを生成する第4の工程と、
前記塩化亜鉛ガスを冷却して塩化亜鉛融液とし、電解装置により前記塩化亜鉛融液を電気分解して亜鉛融液を生成する第5の工程と、
第2の気化装置により前記亜鉛融液を加熱し気化させて第2の亜鉛ガスを生成する第6の工程と、
前記第2の気化装置から延びる配管を介して前記第2の亜鉛ガスを前記反応炉へ供給する第7の工程と
を備え、
前記配管には前記第1の亜鉛ガスの流入を防止する逆止弁が設けられており、
前記第7の工程の後、前記第2の気化装置から前記反応炉へ前記第2の亜鉛ガスを供給しつつ、前記四塩化珪素ガスを前記反応炉へ供給して多結晶シリコンの生成を継続するとともに、前記第1〜第3の工程を断続的に繰り返すことを特徴とする、多結晶シリコンの製造方法。 - 前記逆止弁がボール式であり、その弁体が比重1.6g/cm3未満のカーボン製であることを特徴とする、請求項1に記載の多結晶シリコンの製造方法。
- 四塩化珪素を亜鉛で還元することにより多結晶シリコンを製造する装置であって、
固体亜鉛を取り込む前室、前記固体亜鉛を加熱して第1の亜鉛ガスを生成する加熱室、及び前記前室と前記加熱室とを気密に仕切るゲートバルブを有する第1の気化装置と、
亜鉛融液を加熱して第2の亜鉛ガスを生成する第2の気化装置と、
前記第1及び第2の亜鉛ガスのうち少なくとも一方により四塩化珪素ガスを還元して多結晶シリコン及び塩化亜鉛ガスを生成する反応炉と、
前記塩化亜鉛ガスが液化して成る塩化亜鉛融液を電気分解して前記亜鉛融液を生成し、該亜鉛融液を前記第2の気化装置へ提供する電解装置と
を備え、
前記第2の気化装置から延びており前記第2の亜鉛ガスを通す配管に、前記第1の亜鉛ガスの流入を防止する逆止弁が設けられていることを特徴とする、多結晶シリコンの製造装置。
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JP2007056192A JP2008214156A (ja) | 2007-03-06 | 2007-03-06 | 多結晶シリコンの製造方法および製造装置 |
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WO2012073712A1 (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-07 | Jnc株式会社 | 亜鉛ガスの供給方法および供給装置 |
-
2007
- 2007-03-06 JP JP2007056192A patent/JP2008214156A/ja active Pending
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