JP4092129B2 - スポンジチタンの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポンジチタンの製造装置及び製造方法に関し、さらに詳しくは電解槽から回収した電解マグネシウムとそれに混入した溶融塩とを分離するスポンジチタンの製造装置と製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、クロール法によるスポンジチタンの製造工程の一例を示す流れ図である。中間原料である四塩化チタンを製造する塩化工程と、還元炉内に配置した反応容器内に電解マグネシウムを溶融保持し、反応容器内に四塩化チタンを滴下して還元反応によりスポンジチタンを生成させる還元工程と、還元反応における未反応の電解マグネシウムや副生する塩化マグネシウムをスポンジチタンから分離する分離工程と、スポンジチタンを所定のサイズに粉砕する粉砕工程と、さらに、還元工程で副生する塩化マグネシウムを溶融塩電解して電解マグネシウムと塩素ガスとに電気分解する電解工程とからなっている。ここで、電解工程で生成する電解マグネシウムは還元工程に、そして塩素ガスは塩化工程に送られる。なお、還元工程で副生する塩化マグネシウムは還元炉から抜き取られた後、一旦、保存工程において溶融状態で保存された後、電解工程に移送されている。保存工程を設けることにより、低廉な夜間電力を使用して電解を行うことが可能となっている。
【0003】
電解工程においては、以下の方法により電解マグネシウムが回収されている。電解槽において、生成した電解マグネシウムは溶融塩から成る電解浴塩(以下、浴塩と略す。)に比べ比重が小さいので電解浴の液面に浮上する。この浮上分離した電解マグネシウムを取鍋に取付けたサイホンパイプにより吸引して抜き取り、一旦取鍋中に保管した後、適宜、還元炉に投入している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは、電解槽から電解マグネシウムを回収する際、、以下の問題があることを見出した。すなわち、電解槽から電解マグネシウムを回収する場合、電解マグネシウムのみならず、電解マグネシウムと電解浴の界面付近の浴塩も吸い込んでしまうため、取鍋中の電解マグネシウムに浴塩が混入する。この浴塩が混入した電解マグネシウムを還元炉に投入すると、還元反応に関係しない不純物の量が増加し電解マグネシウムの量が減少する。ここで、クロール法では、還元工程で生成したチタンはスポンジ状に成長し、その空隙に還元剤である電解マグネシウムが捕捉されるため、実際には理論値よりも過剰に供給する必要があることが知られている。しかし、不純物を多く含む電解マグネシウムを還元炉に投入すると、実質的に電解マグネシウムの量が減少して、スポンジチタンの収率が低下するという問題があった。また、不純物が多くなると、還元不良により還元炉内の圧力が高くなり過ぎ、反応を中止せざるを得ないという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、電解槽から回収された電解マグネシウムに混入する浴塩の濃度を低減することの可能なスポンジチタンの製造方法及び製造装置を提供することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、塩化マグネシウムを含む溶融塩を電解槽で電解して成る電解マグネシウムを還元炉に供給し、該電解マグネシウムにより四塩化チタンを還元するスポンジチタンの製造方法において、該製造方法は、上記電解槽と連通する連通管を備え移動自在な取鍋を用いて、上記電解槽から電解マグネシウムを抜き取る工程を有し、該工程は、連通管の一端を移動させて溶融塩の液面に浸漬させ、取鍋内を減圧する工程と、液面上の電解マグネシウムを連通管の一端から吸引して取鍋内に抜き取る工程と、取鍋内で沈降分離させた溶融塩を連通管の他端から排出せしめて電解槽に戻す工程とを含んでおり、その抜き取った電解マグネシウムを還元炉に供給するに先立って、マグネシウム用保温炉に移送して溶融状態で保存する一方、電解マグネシウムに混入した溶融塩を該保温炉内で沈降分離させて抜き取り、その抜き取った溶融塩と四塩化チタンの還元時に副生する塩化マグネシウムとを塩化マグネシウム用保温炉へ移送して溶融状態で保存する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の製造方法は、電解槽から抜き取った電解マグネシウムを還元炉に供給するに先立って、電解槽からの抜き取り時に混入した溶融塩を比重差により分離させて、電解マグネシウムを精製することができる。そのため、不純物の少ない電解マグネシウムを還元炉に供給することができ、スポンジチタンの収率を高めることが可能となる。
【0010】
また、本発明の製造方法は、電解マグネシウム用保温炉を651℃から800℃の温度範囲に加熱することが好ましい。
【0013】
本発明のスポンジチタンの製造装置は、少なくとも、塩化マグネシウムを含む溶融塩を電解して電解マグネシウムを製造する電解槽と、該電解マグネシウムで四塩化チタンを還元して金属チタンを製造する還元炉と、を有するスポンジチタンの製造装置において、上記電解槽と連通する連通管を備え、電解槽から電解マグネシウムを抜き取る移動自在な取鍋と、その抜き取った電解マグネシウムを還元炉に供給するに先立って、溶融状態で保存し比重差により電解マグネシウムと混入した溶融塩とを分離するマグネシウム用保温炉と、その分離した溶融塩と四塩化チタンの還元時に副生する塩化マグネシウムとを溶融状態で保存する塩化マグネシウム用保温炉とを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の製造装置は、マグネシウム用保温炉が、電解槽から抜き取った電解マグネシウムを導入する導入口と、精製した電解マグネシウムを抜き取る第1の導出管と、塩化マグネシウムを抜き取る第2の導出管と、を有し、第2の導出管が第1の導出管よりも先端が底板に近接するように配置されているものを用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係るスポンジチタンの製造工程の一例を示す流れ図である。中間原料である四塩化チタンを製造する塩化工程と、還元炉内に配置した反応容器内に電解マグネシウムを溶融保持し、反応容器内に四塩化チタンを滴下して還元反応によりスポンジチタンを生成させる還元工程と、還元反応における未反応の電解マグネシウムや副生する塩化マグネシウムをスポンジチタンから分離する分離工程と、スポンジチタンを所定のサイズに粉砕する粉砕工程と、還元工程で副生する塩化マグネシウムを溶融塩電解して電解マグネシウムと塩素ガスとに電気分解する電解工程と、還元工程で副生する塩化マグネシウムを溶融状態で保存する塩化マグネシウム保存工程と、そして電解工程で生成する電解マグネシウムを溶融状態で保存する電解マグネシウム保存工程と、を有している。
【0016】
本実施の形態の製造方法によれば、電解工程で抜き取った電解マグネシウムを還元工程に移送するに先立って、一旦、保存容器に収容し溶融状態で保存するようにしたので、電解マグネシウムを静置して、比重差により電解マグネシウムに混入した浴塩と電解マグネシウムとを分離することができる。すなわち、電解マグネシウムより比重の大きい浴塩は保存容器の底部に沈降分離される。この沈降分離した浴塩を抜き取ることにより電解マグネシウム中の不純物の濃度を低減することが可能となる。これにより、還元炉に不純物の少ない電解マグネシウムを供給することができるので、スポンジチタンの収率を高めるとともに、スポンジチタンの純度を高めることが可能となる。
【0017】
以下、電解槽から電解マグネシウムを電解マグネシウム用保温炉へ移送する方法について説明する。
図2は、電解槽から電解マグネシウムを抜き取る方法の一例を示す模式正面図であり、一部断面構造を示している。電解槽1は、隔壁4により仕切られた電解室2と金属収集室3とを備えており、電解室2は陽極6と陰極7を備えている。電解浴8には溶融塩化マグネシウムを含む溶融塩が用いられる。溶融塩化マグネシウムは電解室2で電気分解されて、陰極7には電解マグネシウムを、そして陽極6には塩素ガスを生成させる。電解マグネシウムを含む電解浴8は、隔壁4を貫通する流通口5を通って電解室2に隣接する金属収集室3に流入し、電解浴8よりも比重の小さい電解マグネシウムは電解浴8を浮上して分離され、電解浴8の液面8a上に電解マグネシウム層9を形成する。なお、電解時の電流効率を向上させるため、電解槽1としては、複数組の電極対を備え、さらに各組の陽極と陰極の間に双極電極を備えた多極式電解槽を用いることが好ましい。
【0018】
電解マグネシウム層9を移送容器の取鍋14に抜き取るには、連通管を用いサイホンの原理により抜き取ることができる。連通管10は、取鍋14と電解層1の金属収集室3とを連通しており、一端側には電解浴8に浸漬可能に電解槽の底部方向に伸びる導入部10bと、他端側には取鍋14の底部方向に伸びる排出部10cと、導入部10bと排出部10cを連通させる導出部10aと、を、さらに、バルブ12を介して支管11を有している。排出部10cは、取鍋に固着されている。図示しないクレーンに懸架された取鍋を、例えば、傾斜あるいは昇降させることにより、導入部10bを垂直方向に移動させることができる。
【0019】
電解マグネシウム層9を取鍋14に抜き取るには、例えば、以下の方法を用いることができる。
電解状態で、取鍋14を電解槽1に隣接するように移動させるとともに、下降させて、金属収集室3の抜き取り口1aに導入管10bを緩挿する。この時の、導入管10bの位置を待機位置とする。
【0020】
次に、バルブ12を開き支管11からアルゴンガスを流しながら、取鍋14をさらに下降させ、導入管10bの先端を電解浴8の液面8a付近まで下降させる。この時の取鍋14の位置を抜き取り開始位置とする。ここで、アルゴンガスを流すことにより、導入管10bが電解マグネシウム層9を通過する際、電解マグネシウムが冷却され導入管10bの内部に付着して固化するのを防止することができる。
【0021】
次に、バルブ12を閉じ支管11からのアルゴンガスの供給を停止させた後、取鍋14内を減圧状態とし、取鍋14の位置を抜き取り開始位置から徐々に上昇させて、導入管10bの先端から電解マグネシウム9を吸引させる。液面8a上の電解マグネシウム9をすべて吸引した後、導入管10bを上昇させ抜き取り口1a付近の待機位置で停止させる。取鍋14の減圧を停止し、アルゴンガスを流して常圧とする。次いで、取鍋14をさらに上昇させ連通管10の導入管10bを抜き取り口1aから抜出す。次いで、取鍋14をマグネシウム用保温炉の隣接位置に移動させる。
【0022】
マグネシウム用保温炉には、例えば、図3に示す上面に開口を有する円筒状の保温容器15を用いることができる。保温容器15は、電解槽から抜き取った電解マグネシウムを導入する、開口から成る導入口(不図示)と、精製した電解マグネシウムを抜き取る第1の導出管16と、塩化マグネシウムを抜き取る第2の導出管17と、を有し、第2の導出管17は第1の導出管16よりも先端が底板に近接するように配置されている。取鍋14内の電解マグネシウムは、例えば、取鍋14の内部に、例えばアルゴンガスを流して加圧状態とし、取鍋14の導入部10bから電解マグネシウムを保温容器15内に移動させる。保温容器15内の電解マグネシウムは時間とともに、電解マグネシウム9と浴塩8とに分離する。
次に、保温容器15の内部を加圧状態にすることにより、底部にたまった浴塩8を第2の導出管17を通して外部に抜き取り、図示しない塩化マグネシウム用保温炉に移送して保存する。ここで、保温容器15から抜き取った浴塩8を、直接、電解槽に戻すこともできる。
次に、浴塩8を抜き取った後、電解マグネシウム9を、第1の導出管16を通して適宜抜き取り、還元炉に投入する。
【0023】
マグネシウム用保温炉は図示しない加熱炉内に収容され、所定の保温温度に加熱される。保温温度は、金属マグネシウムの融点(651℃)以上で800℃以下、より好ましくは700℃〜740℃である。保温温度は、金属マグネシウムと浴塩とを溶融状態に維持することが必要であり、651℃より低いと金属マグネシウムが固化し易くなり、800℃より高いと金属マグネシウムが酸化され易くなるからである。
【0024】
また、マグネシウム用保温炉の形状や大きさは、必ずしも限定されないが、液面の面積を大きくして浴塩の沈降分離を促進させるために、少なくとも、取鍋よりも、水平断面の面積が大であり、かつ、容量も大である保温容器を用いることが好ましい。また、マグネシウム用保温炉には、例えば、ステンレス鋼あるいは内面を炭素鋼で内張りしたクラッド鋼を用いることができる。
【0025】
また、浴塩には、塩化マグネシウム電解還元用の公知の組成のものを用いることができ、例えば、NaCl 50重量%、CaCl2 25重量%、CaF2重量5%、そしてMgCl2 20重量%の組成から成るものを用いることが好ましい。
【0026】
実施の形態2.
本実施の形態に係る製造方法は、電解槽から電解マグネシウムを抜き取るに際し、一旦電解マグネシウムを取鍋内に抜き取り、次いで電解マグネシウムに混入した溶融塩のみを取鍋から電解槽に戻すようにした以外は、実施の形態1と同様である。
【0027】
すなわち、本実施の形態では、以下の手順で電解マグネシウムを取鍋に抜き取る。図2を用いて説明する。
電解状態で、取鍋14を電解槽1に隣接するように移動させるとともに、下降させて、金属収集室3の抜き取り口1aに導入管10bを緩挿して待機位置で停止させる。
【0028】
次に、バルブ12を開き支管11からアルゴンガスを流しながら、取鍋14をさらに下降させ、導入管10bの先端を電解浴8の液面8a付近まで下降させる。この時の取鍋14の位置を抜き取り開始位置とする。
【0029】
次に、バルブ12を閉じ支管11からのアルゴンガスの供給を停止させた後、取鍋14内を減圧状態とし、取鍋14の位置を抜き取り開始位置から徐々に上昇させて、導入管10bの先端から電解マグネシウム9を吸引させる。液面8a上の電解マグネシウム9をすべて吸引した後、導入管10bを上昇させ抜き取り口1a付近の抜き取り終了位置で停止させる。取鍋14の減圧を停止し、アルゴンガスを流して常圧とする。次いで、取鍋14をさらに上昇させ連通管10の導入管10bを抜き取り口1aから抜出す。
【0030】
次に、取鍋14の減圧を停止し、取鍋14にアルゴンガスを流すことにより加圧状態とする。取鍋14内に抜き取られた電解マグネシウムには、吸引時に吸い込まれた浴塩が混入しており、この浴塩は時間の経過とともに取鍋14の底部に沈降して電解マグネシウムと分離される。そのため、取鍋14内を加圧状態とすることにより、連通管10の排出部10cから吸い込まれた浴塩は、連通管10を逆流して電解槽1内に押出される。この時、電解マグネシウムが電解槽に逆流するのを防止するため、連通管10から排出される液体の色が赤(浴塩)から白(電解マグネシウム)に変った時点で、バルブ12を開いて取鍋14内を常圧に戻すとともに、取鍋14内へのアルゴンガス供給を停止する。
【0031】
本実施の形態によれば、従来に比べ浴塩の混入の少ない電解マグネシウムを取鍋内に回収することができる。これにより、還元炉への不純物の混入を抑制することができ、スポンジチタンの収率をさらに高めることが可能となる。また、浴塩を電解槽に戻すことにより浴塩組成の変化を抑制して、電解効率を高めることもできる。すなわち、従来、塩化マグネシウムは電解反応の進行とともに塩化マグネシウム用保温炉から供給されていたが、塩化マグネシウム以外の成分も抜き取り時に吸い出されるため、成分組成が変化してしまうことが問題であった。しかし、本実施の形態の方法によれば、取鍋に一旦抜き取られた浴塩を電解槽に戻すことができるため、上記の塩化マグネシウム以外の成分の減少を抑制して、浴塩の組成を一定に維持することが可能となる。
【0032】
【実施例】
実施例1.
(電解)
容量65tの電解槽を用い、浴塩組成をNaCl 50重量%、CaCl2 25重量%、CaF2 重量5%、そしてMgCl2 20重量%とし、電解槽の温度651〜655℃、電流120KAの条件で行った。電解マグネシウムは1日当り約3000kg生成した。
【0033】
(電解槽からの抜き取り)
塩化マグネシウム用保温炉から6000kgの塩化マグネシウムを容量6tの取鍋に移し、取鍋を780℃から800℃に加熱した。取鍋を電解槽に隣接するように移動させ、下降させながら金属収集室の抜き取り口に連通管の導入部を緩挿した。連通管の支管側のバルブを開き支管からアルゴンガスを流しながら、連通管の導入部が電解浴の液面付近まで達する抜き取り開始位置まで取鍋を下降させた。次に、支管側のバルブを閉じ支管からのアルゴンの供給を停止する。次に、取鍋にアルゴンガスを流して加圧することにより、取鍋内の塩化マグネシウムを連通管を通じて電解槽へ注入する。次に、取鍋の内部を減圧状態とし、取鍋を抜き取り開始位置から徐々に上昇させながら、電解マグネシウムを吸引した。電解浴の液面の電解マグネシウムを回収した後、連通管の導入部を、電解槽の抜き取り口付近の抜き取り終了位置まで上昇させた。次いで、減圧を停止し、アルゴンガスを流すことにより取鍋内を加圧状態とし、取鍋内の底部に沈降した浴塩を連通管を通して電解槽内に逆流させた。連通管から排出される液体の色が赤から白に変化した時点で、支管側のバルブを開き取鍋内を常圧に戻して逆流を停止させた。
【0034】
(電解マグネシウム用保温炉への移送)
抜き取った電解マグネシウムを含む取鍋を、電解マグネシウム用保温炉に隣接するように移動させた後、取鍋の連通管を電解マグネシウム用保温炉の導入管に挿入した。次に、取鍋の内部を加圧状態とし連通管を通して電解マグネシウムをマグネシウム用保温炉内に移動させた。マグネシウム用保温炉の温度は720℃に維持した。底部に沈降した浴塩は、マグネシウム用保温炉内にアルゴンガスを流して加圧状態とすることにより、1回当り1500〜2000kgを連通管を通して抜き取り、780℃に加熱した塩化マグネシウム用保温炉に移送した。浴塩を抜き取り不純物濃度を低減させた電解マグネシウムは、適宜、精製品用の取鍋に抜き取り、還元炉に投入した。
【0035】
比較例1.
取鍋中の浴塩を電解槽に戻す操作を行わず、電解槽から取鍋に抜き取った電解マグネシウムを、直接、取鍋から還元炉に投入した。
【0036】
(結果)
比較例では、電解槽からの電解マグネシウム3000kg当り200〜300kg、すなわち7〜10%の浴塩が混入し、その結果、1日当り200〜300kgの浴塩が還元炉に混入した。しかしながら、本実施例によれば、電解マグネシウム3000kgに対しほぼ0%まで浴塩の混入を抑制することができた。これにより、表1に示すように、1バッチ当りのスポンジチタンの収量を、比較例の10.38tよりも約5%増加させ、10.90tにすることができた。
【0037】
表1.
【0038】
【発明の効果】
本発明のスポンジチタンの製造方法及び製造装置によれば、以下のような効果を有する。すなわち、電解槽から抜き取った電解マグネシウムを還元炉に移送するに先立って、電解マグネシウムに混入した上記溶融塩を比重差により分離してするようにしたので、電解マグネシウムの不純物濃度を低減することができ、スポンジチタンの収率を向上させることができる。
【0039】
また、電解槽から抜き取った電解マグネシウムをマグネシウム用保温炉に移送し、電解マグネシウムに混入した溶融塩をその保温炉内で沈降分離させて抜き取るようにしたので、精製された電解マグネシウムのみを保存することが可能となる。
【0040】
また、マグネシウム用保温炉から抜き取った溶融塩を、塩化マグネシウム用保温炉に移送するようにしたので、浴塩をリサイクルすることができ、製造コストの低減が可能となる。
【0041】
また、マグネシウム用保温炉を651℃から800℃の温度範囲に加熱するようにしたので、浴塩及び金属マグネシウムの粘度を低くして、沈降分離を促進することができる。
【0042】
また、取鍋内で沈降分離させた溶融塩を電解槽に戻すようにしたので、浴塩をリサイクルできるとともに、浴塩の組成を一定に維持することができ、電解効率を向上させることが可能となる。
【0043】
また、取鍋内で沈降分離させた溶融塩を、取鍋内を加圧して、連通管の他端から吸引せしめて電解槽に戻すようにしたので、短時間で浴塩を戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るスポンジチタンの製造工程の一例を示す流れ図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係る製造方法における抜き取り操作の一例を示す模式正面図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係る製造方法に用いる電解マグネシウム用保温炉の構造の一例を示す模式断面図である。
【図4】 従来のスポンジチタンの製造工程の一例を示す流れ図である。
【符号の説明】
1 電解槽、1a 抜き取り口、2 電解室、3 金属収集室、4 隔壁、5流通口、6 陽極、7 陰極、8 電解浴、8a 液面、9 電解マグネシウム層、10 連通管、10a 導出部、10b 導入部、10c 排出部、11支管、12 バルブ、14 取鍋、15 保温容器、16 第1の導出管、17 第2の導出管。
Claims (5)
- 塩化マグネシウムを含む溶融塩を電解槽で電解して成る電解マグネシウムを還元炉に供給し、該電解マグネシウムにより四塩化チタンを還元するスポンジチタンの製造方法において、
該製造方法は、上記電解槽と連通する連通管を備え移動自在な取鍋を用いて、上記電解槽から電解マグネシウムを抜き取る工程を有し、該工程は、連通管の一端を移動させて溶融塩の液面に浸漬させ、取鍋内を減圧する工程と、液面上の電解マグネシウムを連通管の一端から吸引して取鍋内に抜き取る工程と、取鍋内で沈降分離させた溶融塩を連通管の他端から排出せしめて電解槽に戻す工程とを含んでおり、
その抜き取った電解マグネシウムを還元炉に供給するに先立って、マグネシウム用保温炉に移送して溶融状態で保存する一方、電解マグネシウムに混入した溶融塩を該保温炉内で沈降分離させて抜き取り、その抜き取った溶融塩と四塩化チタンの還元時に副生する塩化マグネシウムとを塩化マグネシウム用保温炉へ移送して溶融状態で保存する、ことを特徴とするスポンジチタンの製造方法。 - 上記取鍋内を加圧して、取鍋内で沈降分離させた溶融塩を連通管の他端から排出せしめて電解槽に戻すことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 上記連通管の一端を移動させて溶融塩の液面に浸漬させるに際し、その一端に向けてアルゴンガスを流すことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 少なくとも、塩化マグネシウムを含む溶融塩を電解して電解マグネシウムを製造する電解槽と、該電解マグネシウムで四塩化チタンを還元して金属チタンを製造する還元炉と、を有するスポンジチタンの製造装置において、
上記電解槽と連通する連通管を備え、電解槽から電解マグネシウムを抜き取る移動自在な取鍋と、
その抜き取った電解マグネシウムを還元炉に供給するに先立って、溶融状態で保存し比重差により電解マグネシウムと混入した溶融塩とを分離するマグネシウム用保温炉と、
その分離した溶融塩と四塩化チタンの還元時に副生する塩化マグネシウムとを溶融状態で保存する塩化マグネシウム用保温炉とを有することを特徴とするスポンジチタンの製造装置。 - 上記マグネシウム用保温炉は、電解槽から抜き取った電解マグネシウムを導入する導入口と、精製した電解マグネシウムを抜き取る第1の導出管と、塩化マグネシウムを抜き取る第2の導出管と、を有し、第2の導出管は第1の導出管よりも先端が底板に近接するように配置されていることを特徴とする請求項4記載の製造装置。
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