JP4513297B2 - 金属酸化物の還元方法及び金属酸化物の還元装置 - Google Patents

金属酸化物の還元方法及び金属酸化物の還元装置 Download PDF

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この発明は、無機溶融塩からなる電解浴中で電気分解を行って金属酸化物を還元する金属酸化物の還元方法、及び無機溶融塩からなる電解浴中で電気分解を行って金属酸化物を還元する金属酸化物の還元装置に関するものである。
金属の多くは酸素と極めて強い親和力を持つため、金属製錬用に使用する鉱石中においてもその多くが酸化物として存在する。これらの金属酸化物は適当な湿式処理や乾式処理を施すことによって、より高純度な金属酸化物として精製され、あるいは目的金属を主として含む塩化物やフッ化物等に形を変える等の処理を行い、次いで更にこの金属酸化物や金属塩化物等を適当な方法によって還元し、目的の金属を得ている。
例えばチタンは、酸化鉄と酸化チタンとが化合したイルメナイト鉱として多くが産出され、酸化チタンの精製方法は既に種々のものが報告されている。代表的なものとしては、炭素還元によりイルメナイト鉱中の酸化鉄を鉄まで還元した後、塩化アンモニウム水溶液(NH4Cl)を用いた湿式処理によって鉄を溶解・分離し残渣固形物として酸化チタンを得る方法や、炭素によりイルメナイト鉱中の酸化鉄を部分還元した後、硫酸を用いた湿式処理によって酸化チタンを得る方法等が挙げられる。
そして、上記によって得られた酸化チタンを塩素および炭素と混合して高温で反応させることによって酸化チタンを一旦四塩化チタンとした後、この四塩化チタンをマグネシウムによって還元する、いわゆるクロール法によって金属チタンを得ることができる。
しかしながら、このクロール法による金属チタンの製錬では、鉱石から得た酸化チタンを中間原料として、この酸化チタンを一旦低沸点の四塩化チタンに変えてから還元するため、その製造工程が長くなるばかりか、エネルギー的にも損失が大きい。また、クロール法の特徴として製造過程で高温減圧下の真空分離が不可欠となり、更には製品金属であるスポンジ状金属チタンの破砕・粉砕処理や分別処理が必要となることから、結果として金属チタンの製造コストが高くなる問題がある。
そこで、従来において、金属チタンの需要の拡大を反映し、上記クロール法に代わる幾つかの金属チタンの製錬方法が提案されている。一般的にこれらの方法では、反応槽内に無機溶融塩からなる電解浴を形成し、この電解浴中で行う電気分解を利用して酸化チタンを金属チタンに還元する。
例えば、竹内栄及び渡辺治、日本金属学会第28巻(1964)第9号第549〜554頁には、黒鉛製ルツボを使用し、この黒鉛製ルツボを陽極とすると共に、その中央部には陰極としてモリブデン製電極を配置し、また、ルツボ内には電解浴として、塩化カルシウム(CaCl2)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化チタン(TiO2)からなる900〜1100℃の混合溶融塩を入れ、不活性ガスのアルゴン(Ar)の雰囲気下に電解浴中で酸化チタンを電解し、生成したチタンイオン(Ti4+)をモリブデン製電極の表面に析出させて金属チタンを製造する方法が記載されている(非特許文献1参照)。
この方法においては、黒鉛製ルツボを反応容器及び陽極として兼用しており、電解浴中で酸化チタンを電気分解した際には酸素イオン(O2-)が発生するので、反応容器として用いた黒鉛製ルツボは酸素イオンの攻撃を受けて炭酸ガス(CO2・CO)となり、生成した炭酸ガスは電解浴中を浮上する間に、陰極に析出した金属チタン(Ti)と接触し、金属チタンの炭素汚染を不可避に引き起こす。そのため、著者たちは析出した金属チタンと陽極から発生するCOガスとの物理的接触による金属チタンの炭素汚染を回避するため、CaTiO3で製造した隔壁を使用することを教えている(非特許文献1第552頁左欄参照)。
反応容器と陽極とを兼用した黒鉛製ルツボを使用した電気分解では、金属チタンが析出する陰極が陽極の上方に位置するため、これを炭酸ガスから完全に遮断するためには、少なくとも下面、望ましくは完全に陰極周辺を隔壁によって塞ぐ必要がある。
しかしながら、黒鉛製ルツボ表面で発生した炭酸ガスは電解浴のほぼ全域に渡って浮上するため、黒鉛製ルツボ内の電解浴全体が炭酸ガスの飽和溶液になりやすい。そのため下面のみ塞いだ場合には、それ以外の場所から流入する陽極反応ガスが飽和した電解浴によって金属チタンの炭素汚染が避けられず、一方、完全に隔壁によって塞いだ場合は、通電可能な状態にするためには隔壁を多孔質状に形成する必要があり、これにより電解浴中に溶解した炭酸ガスの浸入を防ぐことができない。そのためいずれの場合においても金属チタンの炭素汚染が防止できない。尚、この方法に置いてはCaTiO3による隔壁自体が陰極において発生する強還元性物質であるCaに還元されるばかりか、空気中で隔壁に亀裂が生じてしまうことから耐久性の面でも問題がある。
一方、本発明者らは、酸化チタン(TiO2)を熱還元して金属チタン(Ti)を製造する金属チタンの製錬方法であって、塩化カルシウム(CaCl2)と酸化カルシウム(CaO)及び/又はカルシウム(Ca)からなる混合溶融塩で電解浴を構成し、この電解浴を混合溶融塩中の酸化カルシウム及び/又は塩化カルシウムを電気分解する電解帯域と酸化チタンを還元する還元帯域とに区画し、上記電解帯域では混合溶融塩中の酸化カルシウム及び/又は塩化カルシウムを電気分解してカルシウム(Ca)および1価カルシウムイオンに還元すると共に、これらにより酸化チタンを還元し、スポンジ状金属チタン(Ti)のを得る金属チタンの製錬方法を提案している(特許文献1参照)。
この方法によれば、単一反応槽で酸化チタンから直接かつ連続的に金属チタンを製造することが可能であり、しかも、この金属チタン中の固溶酸素濃度を制御することもできるので、金属チタンを工業的に有利に製造できるという格別な利点がある。
しかしながら、この方法においても、陽極における陽極反応によって生成する炭酸ガスが電解浴である無機溶融塩中に炭酸イオンとして溶解するため、電解浴の対流や濃度勾配による拡散とともに移動し、酸化チタンの還元領域あるいは陰極近傍へと到達する。このようにして到達した炭酸ガスは、高温下における金属チタンの高い反応活性のために速やかに金属チタンと反応し、炭化チタンあるいは固溶炭素となり、製品金属チタンの炭素汚染を引き起こす。更に、陰極近傍へ到達した陽極反応ガスは、本来酸化チタンを熱還元するために生成されたカルシウム(Ca)とも反応し、酸化カルシウム(CaO)と炭素(C)とを生成する逆反応を生じてしまうため、酸化チタンから金属チタンへの還元効率を低下させる要因ともなる。
上記のように炭酸ガス等の陽極反応によって生じる陽極反応ガスによって引き起こされる金属チタンの汚染や金属チタンへの還元効率の低下を防止するため、P.D.Ferroらの、Waste Management, Vol.7(1997), No.7, P451-461では、マグネシアルツボの中心部に炭素陽極、外周部にステンレス陰極、更にこの陽極と陰極との間に両電極を区画する多孔質マグネシア隔壁を配置し、アルゴン雰囲気中にて塩化カルシウム(CaCl2)と酸化カルシウム(CaO)の混合溶融塩の電気分解を行う方法を提案している(非特許文献2参照)。この方法によれば、混合溶融塩中に生じる酸素イオン(O2-)は多孔質マグネシア隔壁を通過して陽極へ移動し、陽極反応ガスとして放出される。また、電解浴中に気泡状で放出された陽極反応ガスは、物理的に多孔質マグネシア隔壁の微小孔を通過することは出来ず、陽極表面へ浮上し排出される。更に、炭素陽極の不均一な酸化消耗により不可避に発生する脱落炭素が比重差により電解浴表面を浮遊するが、その微小固体炭素についても物理的に多孔質マグネシア隔壁の微小孔を通過することが出来ず、よって、得られる金属チタンの炭素汚染を防止する効果を発揮する。
しかしながら、上記非特許文献2に係る方法では、多孔質マグネシア隔壁内において陽極反応ガスとして生成した炭酸ガス等は一部が電解浴中に溶解して炭酸イオン等となるため、この炭酸イオン等は電解浴の対流や濃度勾配によって多孔質マグネシア隔壁を通り抜けて陰極側へと移動してしまい、得られる金属チタンの汚染を完全に防ぐことが出来ないばかりか、酸化チタンを還元するために生成されるカルシウム(Ca)とも反応してしまい、酸化チタンから金属チタンへの還元効率を低下させる原因となる。また、陰極において生成されるカルシウムは隔壁であるマグネシアをも還元するため、次第に金属マグネシウムとなって隔壁が破壊されてしまうおそれがある。この問題を回避する方法として、電解浴を構成する無機溶融塩の凝固層で多孔質隔膜を保護する手段が考えられるが、その場合には隔壁が多孔質ではなく完全に閉じた壁となってしまうため電気を流すことが出来なくなって、当該手段を適用できない。更に、カルシウムの生成速度は多孔質セラミックス隔壁を通過する酸素イオンの移動速度に依存し、その移動速度は多孔質セラミックス隔壁の厚さ、気孔率、形状などに依存するとしており、実験においては2.0〜2.5mm程度の厚さの多孔質マグネシア隔壁を使用しているが、多孔質セラミックスの形状、大きさ、強度、寿命、及び費用等を勘案すると、多孔質セラミックス隔壁を利用した電解方法は、工業的規模での適用は困難であるといわざるを得ない。
一方、チタン以外の金属について、例えば、ニオブはコロンバイト鉱〔(Fe、Mn)(Ta、Nb)2O6〕等として産出されるため、これらはフッ酸と硫酸の混酸を用いて錯フッ化物として溶解することによって鉄やマンガンと分離し、更に有機溶媒による選択抽出を繰り返すことによってニオブ(Nb)とタンタル(Ta)とを分離し、水相に残ったフッ化ニオブ酸(H2NbF7)をアンモニア(NH4OH)と作用させることによって酸化ニオブ(Nb2O5)を得る等の処理を行う。そして、得られた酸化ニオブをアルミニウムや炭素、炭化ニオブ(NbC)等の適当な還元剤によって還元し、最終的に金属ニオブを得ている。
上記の場合では、酸化ニオブを得た後の金属ニオブを生成する段階で還元剤として用いられるアルミニウムが不可避に混入しその結果製品ニオブの用途が限定されてしまう問題や、炭素還元において1900〜2500Kでの真空高温反応が必要となるため多大なエネルギーが必要となる等の潜在的な問題を抱えている。そのため、チタン以外の金属においても溶融塩電解を利用した金属酸化物の還元方法に注目が集まっており、上記金属チタンの製造における問題の早急な解決が望まれている。
上述したように、反応槽内に無機溶融塩の電解浴を形成して、特に炭素陽極を用いた電気分解を利用して金属酸化物Mxyを還元する方法では、一般に、金属酸化物が還元された際に発生する酸素イオンが陽極で電子を渡して酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、及び一酸化炭素(CO)等の陽極反応ガスを放出する。このとき、陽極反応ガスは気泡として電解浴中を比重差によって上昇し、この気泡の多くは電解浴の表面に排出されるが、一部の気泡は液流動に乗って電解浴中を移動する。更には、電解浴を形成する無機溶融塩はこれらの陽極反応ガスの一部あるいは全量を溶解するため、無機溶融塩の対流などによって溶解した陽極反応ガスは反応槽内を移動する。
電解浴である無機溶融塩の流動に伴い気泡として移動する気泡性陽極反応ガス及び電解浴に溶解する溶解性陽極反応ガスは、陰極で発生する陰極反応生成物と接触した場合直ちに次の式(1)で表わされる反応を起こす。
M+O2/CO2/CO → Mxyz+C ・・・ ・・・(1)
(ここで、Mは製品金属あるいは無機溶融塩を構成する金属、x, y, zはM、O、及びCの結合元素数を示す。)
すなわち、気泡性陽極反応ガス及び溶解性陽極反応ガスは、電気分解によって還元され製品となる金属と接触すると、このような製品金属の再酸化あるいは炭素汚染を引き起こし、また、無機溶融塩を構成し、電気分解によって陰極に生成するカルシウム等の強還元性金属と接触すると、酸化反応によってそれらの持つ強還元性が失われてしまい、その結果として還元効率の低下を引き起こす。更には、陽極として炭素陽極を使用する場合では、陽極反応の際に同時に生成する微粒炭素が溶融塩中に懸濁して二次的に製品金属の炭素汚染を引き起こしてしまい、場合によってはこのような微粒炭素が電解浴の液面上に浮遊して電気分解用の陽極・陰極間に滞留し、電極を短絡させてしまう。
尚、無機溶融塩への陽極反応ガスの飽和溶解度は、雰囲気中の陽極反応ガス分圧、無機溶融塩温度、無機溶融塩中の混合物濃度等などに依存する。例えば、Masafumi Maedaらによって、塩化カルシウム(CaCl2)と酸化カルシウム(CaO)の混合溶融塩では、炭酸ガス分圧(PCO2)が高いほど、溶融塩温度が低いほど、そしてCaO濃度が高いほど、溶融塩中の炭酸ガスの平衡溶解度は高くなることが報告されている(非特許文献3参照)。ここで炭酸ガスは、無機溶融塩中で炭素陽極を用いた電気分解を利用し金属Mを製錬する方法において、陽極反応ガスとして代表的なガスである。
特願2002−210,537号の明細書及び図面 竹内栄及び渡辺治、日本金属学会第28巻(1964)第9号第549〜554頁 P.D.Ferro, B.Mishra, D.L.Olson and W.A.Averill, Waste Management, Vol.17(1997), No.7, P451-461 Masafumi Maeda, Alexander McLean, ISS TRANSACTIONS, Vol.8(1987),P23-27
そこで本発明者らは、無機溶融塩からなる電解浴中で行う電気分解によって金属酸化物を還元し、金属を製造する金属酸化物の還元の際に生じる種々の問題、すなわち、陽極から不可避に発生する陽極反応ガスに起因して生じる金属の再酸化又は汚染の問題や無機溶融塩中での逆反応による還元効率の低下の問題、炭素陽極を用いて電気分解を行う場合であって、電気分解によって生成する微粒炭素が溶融塩中を懸濁し二次的に金属の炭素汚染を引き起こしたり、この微粒炭素が溶融塩の表面に浮遊して電気分解に用いる陽極と陰極との間に滞留し電極を短絡させてしまったりする問題を解決し、更には、工業的に実現可能であって、簡便で安価に金属を製造することができる金属酸化物の還元方法について鋭意検討した。
その結果、陽極反応ガスを気泡の状態で可及的速やかに電解浴から排出させると共に、電解浴に溶解する陽極反応ガスの電解浴中での移動・拡散を防止させることによって上記問題を解決することができるという知見に到達した。そして、陽極の周辺に陽極反応領域を形成するための隔壁を配設して、この陽極反応領域で生成した陽極反応ガスが陰極側に移動するのを防止することによって上記問題点をすべて解決できることを見出し、本発明を完成させた。
従って、本発明の目的は、金属酸化物を還元して得られる金属に対する汚染を可及的に防止することができると共に還元効率が良く、また、簡便で安価に行え、更には、工業的規模での実施が可能な金属酸化物の還元方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、金属酸化物を還元して得られる金属に対する汚染を可及的に防止することができると共に還元効率が良く、また、簡便で安価に行え、更には、工業的規模での操業が可能な金属酸化物の還元装置を提案することにある。
すなわち、本発明は、反応槽内に収容した無機溶融塩からなる電解浴中で金属酸化物を還元し、陽極から陽極反応ガスを放出する金属酸化物(Mxy)の還元方法であり、上記陽極の周辺には陽極反応領域を形成する隔壁を配設して、上記陽極反応領域で生成した陽極反応ガスが陰極側に移動するのを防止し、上記陽極反応領域の下方側で陰極側との電解浴中のイオンの移動を可能とすることを特徴とする金属酸化物の還元方法である。
また、本発明は、反応槽内に収容した無機溶融塩からなる電解浴中で金属酸化物を還元し、陽極から陽極反応ガスを放出する金属酸化物(Mxy)の還元装置であり、上記陽極の周辺には陽極反応領域を形成する隔壁が配設され、上記陽極反応領域で生成した陽極反応ガスが陰極側に移動するのを防止し、上記陽極反応領域の下方側で陰極側との電解浴中のイオンの移動が可能であることを特徴とする金属酸化物の還元装置である。
本発明における金属酸化物の還元方法は、反応槽内に形成した無機溶融塩からなる電解浴中で電気分解を行って金属酸化物を還元し、陽極からは陽極反応によって生成された陽極反応ガスを放出する金属酸化物の還元方法であれば特に制限されることなく全ての方法において用いることができる。
本発明における金属酸化物の還元方法において、金属酸化物は一般式Mxy(ここで、Mは金属元素、Oは酸素元素、x及びyはそれぞれM、Oの結合元素数を示す)で表わすことができるものであればよく、金属元素Mについては、例えば、チタン(Ti)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ウラン(U)、ネオジウム(Nd)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)から選ばれた1種又は2種以上の金属を挙げることができ、好ましくはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ウラン(U)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)である。これらの金属は酸素との親和力が強いために無機溶融塩からなる電解浴中で電気分解によって行う還元方法が有利である。また、この金属酸化物については、それがどのような方法で得られたものであってもよく、その形状については、結晶型、粒子径、形状、表面状態等において特に制限されない。
また、本発明においては、反応槽内に形成する電解浴として無機溶融塩を用いる。この無機溶融塩については特に制限されず、例えば、塩化カルシウム(CaCl2)、カルシウム(Ca)及び酸化カルシウム(CaO)からなる混合溶融塩、塩化カルシウム(CaCl2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる混合溶融塩、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)及び酸化カルシウム(CaO)からなる混合溶融塩、塩化カルシウム(CaCl2)及び塩化マグネシウム(MgCl2)からなる混合溶融塩等を示すことができ、好ましくは塩化カルシウムを含む溶融塩であるのがよい。無機溶融塩が塩化カルシウムを含む溶融塩であれば、陰極において強還元性金属であるカルシウムを生成することができ、金属酸化物の還元能力が高い。また金属酸化物の還元によって生成する酸化カルシウムの溶解度を持つため、還元により発生した酸化カルシウムが電解浴中に溶解し、還元が速やかに進行するなどの点で有利である。
また、この無機溶融塩については、単独の溶融塩を使用してもよく、複数の溶融塩が混合した混合溶融塩を使用してもよく、電解浴を形成して電気分解を開始する際には単独の溶融塩であって、電気分解により混合溶融塩となってもよい。
また、本発明においては、電気分解に使用する陽極について特に制限はされず、金属酸化物の電気分解において一般的に使用される陽極を使用することができ、例えば炭素陽極等を使用することができる。炭素陽極は、陽極炭素自体が電気分解によって生じた酸素イオン(O2-)を二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素ガス(CO)、酸素ガス(O2)の全部又は一部から成る混合気体として放出する陽極であり、金属酸化物還元の際の電解電圧を下げる効果、すなわち電解に使用する電気エネルギーを節約する効果がある点や、材料費用を含めた陽極製造費が比較的低いという点で一般的に使用される。しかしながら、先の従来技術の記載において説明したように、炭素陽極の消耗によって生成する微粒炭素が溶融塩中を懸濁して二次的に金属を汚染するおそれや、この微粒炭素が溶融塩の表面に浮遊して陽極と陰極とを短絡させてしまうおそれがある。そこで、本発明によれば、炭素陽極を使用する場合に生じる微粒炭素に起因する問題をも後述する理由によって解決することができるため、本発明における効果がより一層顕著になって現れることになる。
また、本発明における金属酸化物の還元方法では、電解浴中で電気分解を行う陽極の周辺には陽極反応領域を形成する隔壁を配設して、この陽極反応領域で生成した陽極反応ガスが陰極側に移動するのを防止し、上記陽極反応領域の下方側で陰極側との電解浴中のイオンの移動を可能とする。
以下でこの隔壁の作用について以下で説明する。尚、炭素陽極を用いて電気分解を行う場合を例にして説明するが、これ以外の陽極の場合においても同様である。
陽極の周辺に配設した隔壁によって形成する陽極反応領域とは、電解浴中で行う電気分解によって生じた酸素イオン(O2-)と陽極とが反応し、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、及び一酸化炭素(CO)等のガスを生成する陽極反応が行われる領域である。
また、陽極反応によって生成した陽極反応ガスについては、陽極反応領域内において気泡として電解浴中に放出され、この気泡の多くは電解浴中における比重差によって電解浴の液面に向かって浮上し、気体として電解浴の液面から放出される。このように電解浴中を気泡として移動する陽極反応ガスを気泡性陽極反応ガスと呼ぶ。また、電解浴中に気泡として放出された陽極反応ガスの一部又は全部は電解浴中を浮上する過程において電解浴中に溶解する。このように電解浴中に溶解する陽極反応ガスを溶解性陽極反応ガスと呼ぶ。
陽極反応領域で生成した気泡性陽極反応ガスは陰極側に移動するのを隔壁によって防止されるため、気泡性陽極反応ガスは陰極側の電解浴と接触することなく陽極反応領域内の電解浴の液面から放出される。また、陽極反応領域内で生成した陽極反応ガスはその一部が電解浴に溶解するため、この陽極反応領域内の電解浴では溶解性陽極反応ガスの濃度が次第に上昇し、最終的にはこの陽極反応領域内の電解浴には陽極反応ガス(溶解性陽極反応ガス)が飽和状態で溶解することになる。尚、無機溶融塩からなる電解浴中での陽極反応ガスの溶解度は、無機溶融塩の種類、無機溶融塩の液面における雰囲気の陽極反応ガス分圧、無機溶融塩温度等によって変わるため、これらの条件を適宜勘案して陽極反応領域を設計して隔壁を設けることができる。
陽極反応ガスが飽和状態で溶解した陽極反応領域内の電解浴中には、これ以上の陽極反応ガスが溶解できないため、陽極反応ガスで飽和した以降は、電気分解によって陽極で生成した陽極反応ガスは電解浴中に溶解することなく、気泡状態のまま電解浴の液面に向かって浮上し、この液面から放出される。すなわち、陽極反応領域内の電解浴が陽極反応ガスで飽和した以降は、電解によって発生する略全ての陽極反応ガスが陰極側に移動することなく系外に排出することができる。
また、本発明においては、上記陽極反応領域の下方側で陰極側との電解浴中のイオンの移動を可能とする。すなわち、電気分解によって電解浴中に生成した無機溶融塩由来の強還元性金属イオン、金属酸化物の還元によって生成する酸素イオン、あるいは目的金属酸化物が直接溶融塩に溶解することにより生成する金属イオンは、全て陽極反応領域の下方側の領域を通じて陽極側と陰極側とのやり取りをすることになる。
一方、陽極反応によって陽極の表面において生成し陽極反応領域内において炭酸イオン(CO3 2-)、酸素イオン(O2-)等として電解浴に溶解した溶解性陽極反応ガスは、可能性としては唯一この陽極反応領域の下方側の領域を通じて陰極側への移動が可能であるが、電気分解によって与えられる電位によってこれらの溶解性陽極ガスは陽極側へ引きつけられるため、これらの溶解性陽極反応ガスは陽極反応領域からの拡散を防止することができる。
更には、陽極反応ガスが溶解した無機溶融塩は、局部的に溶解性陽極反応ガスが追加された混合溶融塩となるため、陽極反応領域内の電解浴と陽極反応領域外の電解浴とは比重などの性状が変わる。例えば、塩化カルシウム(CaCl2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる混合溶融塩の場合では、この溶融塩に炭酸ガスが溶解して追加されて、塩化カルシウム(CaCl2)及び、酸化カルシウム(CaO)及び炭酸カルシウム(CaCO3)から成る混合溶融塩になった場合、初期の塩化カルシウム及び酸化カルシウムからなる混合溶融塩より比重が小さくなる。その結果、反応槽内における電解浴全体として塩化カルシウムと酸化カルシウムとからなる混合溶融塩であっても、陽極反応ガスが飽和して炭酸カルシウムをも含む混合溶融塩となった陽極反応領域内の電解浴はその比重差によって浮上し、陽極反応領域内に留まろうとする。したがって、陽極反応ガスが溶解した電解浴が陽極反応領域外の電解浴に混入することを防止することができる。
また、陽極反応の際に炭素陽極から生成する微粒炭素については、一般的に電気分解に使用される電解浴より比重が小さいため、炭素陽極を脱落後直ちに電解浴表面に浮上し、その後隔壁により移動を妨げられ陰極側へ移動することはない。
本発明において、上記のような隔壁を形成する材料については、電解浴を形成する無機溶融塩に対し大きな溶解度を持たない材料であればよく、例えば、無機溶融塩が、塩化カルシウム(CaCl2)及び酸化カルシウム(CaO)から成る場合には、アルミナ、マグネシア等のレンガやキャスタブル等の一般的に使用される耐火材で形成することができる。また、本発明における金属酸化物の還元方法では、特定のイオンを通過させる等の機能性は隔壁に対して要求されないため、特定材料の選択、厚み、気孔率等に影響されずに隔壁を形成することができるため、工業的に簡便、長寿命、低コスト等の観点において比較的自由に設計することが可能となる。
また、上記のような隔壁について、好ましくは隔壁の一部又は全部の表面が、電解浴を形成する無機溶融塩の凝固層によって覆われているのがよい。隔壁の表面に形成する凝固層について、具体的には、反応槽外部との熱バランスによって徐々に形成される緻密なものであるのがよく、例えば、反応槽内部の反応温度を混合溶融塩の凝固開始温度より20℃から30℃程度高い温度で操業すれば、隔壁部が反応槽外部に通じる部分の放熱により自発的に凝固層を形成することができる。ただし、反応槽内部の反応温度と混合溶融塩の凝固開始温度とに30℃以上の温度差がある場合や、隔壁の先端が電解浴に十分浸漬しており放熱が進まない場合等は、圧縮空気の吹きつけ等により隔壁周辺あるいは隔壁自体を冷却する必要があるが、このような条件を満足させることで、隔壁を形成する材料自体の損傷をなくすことが可能であるばかりでなく、当該隔壁の材料が電気的良導体である場合でも、無機溶融塩の凝固層が電気的絶縁体として機能するため、電解浴中で意図していない部分で電解電流が流れてしまう等の問題を防止することができる。更には、隔壁を形成する材料の選定がより一層自由度を増し、工業的により低コストの材料を選定することが可能となる。
また、本発明における金属酸化物の還元方法では、得られる金属の原料となる金属酸化物を上記陽極反応領域以外の電解浴中に供給するのがよい。金属酸化物を陽極反応領域以外の電解浴中に供給することによって、得られる金属の炭素汚染や再酸化を防止することができる。また、好ましくは陰極に近い領域に供給することによって還元効率を上昇させるようにするのがよい。更には、金属酸化物を陰極と接触するように直接陰極に金属酸化物を配置してもよく、陰極と直接には接触しない金属ネット等の通液性のある容器を利用して、金属酸化物をこれに保持し、還元後引き上げるようにしてもよく、あるいは予め金属酸化物を固形物状に形成して陰極周囲や陰極上に懸垂させるようにしてもよい。
また、本発明における金属酸化物の還元方法では、好ましくは陽極反応領域内の電解浴の液面から放出される陽極反応ガスを封じ込める陽極反応ガス空間領域を形成するのがよい。陽極反応ガスを封じ込める陽極反応ガス空間領域を形成することにより、陽極反応領域内の電解浴の液面から放出される陽極反応ガスが陽極反応領域以外の電解浴中に溶解したり、あるいは陽極反応領域における電解浴の液面以外で放出されたりすることがないため、一旦電解浴外に放出された陽極反応ガスが再び陽極反応領域以外の電解浴の表面を通じて電解浴中に溶解することを防止でき、また、陰極において生成された強還元性金属が酸化されることを防止することができる。更に好ましくは上記陽極反応ガス空間領域内の陽極反応ガスを反応槽外に排出するのがよい。陽極反応ガス空間領域内の陽極反応ガスを反応槽外に排出することで、予期せず隔壁の亀裂などが発生した場合においても、陽極反応ガスが陽極反応ガス空間領域以へ漏洩することを防止することができる。
このような陽極反応ガス空間領域を形成するための手段については特に制限はなく、例えば、陽極反応領域を形成する隔壁によって陽極反応領域における電解浴の液面を全て囲うようにしてもよく、隔壁と反応槽の側壁とを利用して陽極反応領域における電解浴の液面上部に蓋を形成するようにしてもよい。
本発明における金属酸化物の還元方法では、好ましくは陽極反応領域内の電解浴を一定速度で吸引して反応槽外に排出するのがよい。上述したように、陽極反応領域内の電解浴には陽極反応ガスが飽和状態で溶解しているが、この陽極反応領域内の電解浴を一定速度で吸引して反応槽外に排出することで、陽極反応ガスが飽和した状態の電解浴が陽極反応領域以外の電解浴に混入しようとする流れと逆の電解浴の流れを生じさせて、陽極反応ガスが溶解した電解浴が陽極反応領域以外の電解浴へ移動することを防止することができる。
また、本発明における金属酸化物の還元方法では、好ましくは陽極反応領域以外の電解浴の液面における雰囲気を外部から遮断するのがよい。例えば、塩化カルシウム(CaCl2)と酸化カルシウム(CaO)を含む無機溶融塩の電気分解において、陰極にカルシウム(Ca)を析出し、そのカルシウムの強還元性を利用して、目的金属酸化物を還元する金属製錬方法のような場合、陰極で析出するカルシウムの比重が無機溶融塩の比重より小さいため、このカルシウムは析出後に浮上していく。浮上していく過程でこのカルシウムが金属酸化物と十分な濃度で接触できないか、あるいは十分な時間接触できないと、目的の金属酸化物を還元することなく無機溶融塩表面に浮上し、浮上後には液面の雰囲気中の酸素と反応し直ちに燃焼してしまう。そのため、陽極反応領域以外の電解浴の液面における雰囲気を外部から遮断することによって、この雰囲気内に当初に混入していた酸素が消耗した以降はもはやカルシウムが燃焼することはなく、無機溶融塩の表面に浮上したカルシウムが、無機溶融塩の対流やカルシウムの濃度勾配等によって金属酸化物の供給位置に再び移動して、この金属酸化物を還元し還元効率が向上する。
また、本発明において、更に好ましくは外部と遮断した電解浴の液面上の雰囲気を不活性ガス雰囲気にするのがよい。金属酸化物を還元して得た目的金属を回収する作業等で陽極反応ガス空間領域以外の雰囲気を外部に開放した際に、新たな雰囲気中の酸素が混入するのを防止し、更には還元効率を向上させることができる。
本発明における隔壁の配設については、電気分解に用いられる陽極及び陰極の配置等によって適宜設計することができる。
例えば、電解浴中で陽極と陰極とが左右方向に位置する場合、隔壁が陽極と陰極との間に配設されると共にこの隔壁の下端が陽極の下端より低い位置に設けられて、上記隔壁と反応槽の側壁とが陽極を取り囲む領域であり、かつ、上記隔壁の下端より上方に陽極反応領域を形成せしめるようにするのがよい。このように隔壁を設けることで上述したような本発明における隔壁の作用をすることができる。
上記電極の位置関係の場合において、好ましくは隔壁の下端が陰極の下端より低い位置になるように設けるのがよい。例えば、塩化カルシウム(CaCl2)と酸化カルシウム(CaO)を含む無機溶融塩の電気分解であって、陰極にカルシウム(Ca)を析出させ、このカルシウムの強還元性を利用して目的金属酸化物を還元する金属製錬の場合、陰極で析出するカルシウムの比重が無機溶融塩の比重より小さいため、析出後に浮上していく。したがって、陰極の下端が隔壁の下端より高くなることによって、陰極における強還元性物質(カルシウム)が隔壁の下端を通って陽極反応領域に移動して還元効率を低下させてしまう問題を防止することができる。
また、上記電極の位置関係の場合において、好ましくは隔壁と反応槽の側壁とが陰極を取り囲んだ領域内に金属酸化物を供給するのがよい。例えば、塩化カルシウム(CaCl2)と酸化カルシウム(CaO)を含む無機溶融塩の電気分解であって、陰極にカルシウムを(Ca)を析出させ、このカルシウムの強還元性を利用して目的金属酸化物を還元する金属製錬の場合、陰極における強還元物質(カルシウム)が浮上していく過程で濃度勾配や電解浴の対流などにより拡散していくが、原料となる金属酸化物を隔壁と反応槽の側壁とが陰極を取り囲んだ領域内に供給することで、拡散によって陽極反応領域に移動するよりも先に目的の金属酸化物を還元することができるため、還元効率の点で有利となる。
一方、電解浴中で陽極と陰極とが左右方向に位置する場合、隔壁が陽極を取り囲んで配設されると共に陽極の下端より低い位置に開口部が設けられて、上記隔壁が陽極を取り囲む領域であり、かつ、上記開口部より上方に陽極反応領域を形成せしめるようにするのがよい。このように隔壁を設けることで上述したような本発明における隔壁の作用をすることができる。
電解浴中で陽極と陰極とが左右方向に位置する場合、好ましくは陽極反応領域以外の電解浴の液面における雰囲気を外部と遮断する遮蔽板を配設して、この遮蔽板の一部を延設して電解浴中の陰極の周辺を取り囲むと共に、陰極の下端より低い位置に開放口を設けて、上記遮蔽板が陰極を取り囲む領域であり、かつ、上記開放口より上方に金属酸化物を供給するのがよい。このように遮蔽板を配設すると、例えば、塩化カルシウム(CaCl2)と酸化カルシウム(CaO)を含む無機溶融塩の電気分解において、陰極にカルシウム(Ca)を析出し、そのカルシウムの強還元性を利用して、目的金属酸化物を還元する金属製錬方法等の場合において、陰極で析出したカルシウムの比重が無機溶融塩の比重より小さいため、析出したカルシウムが無機溶融塩の対流によって拡散するのを防止でき、効率良く目的金属酸化物を還元することができる。更に、金属酸化物が目的金属に還元され製品として回収する作業において、陰極とこの遮蔽板とを目的金属の収納容器として用いることも可能となり、作業効率が向上するだけでなく、回収する金属が雰囲気中の酸素に再酸化されることを防止できて回収効率を向上させることができる。
また、電解浴中で陽極と陰極とが左右方向に位置する場合の別の例として、好ましくは陽極反応領域以外の電解浴の液面における雰囲気を外部と遮断する遮蔽板を配設して、この遮蔽板の下端を陰極の下端より低い位置まで延設して、上記遮蔽板と反応槽の側壁とが陰極を取り囲む領域であり、かつ、上記遮蔽板の下端より上方に金属酸化物を供給し、上記遮蔽板の下方側で陽極側との電解浴中のイオンの移動を可能とするのがよい。このように遮蔽板を配設すると、上記のように遮蔽板が電解浴中の陰極の周辺を取り囲むと共に、陰極の下端より低い位置に開放口を設けた場合と同じ理由から、析出したカルシウムが無機溶融塩の対流によって拡散するのを防止できて効率良く目的金属酸化物を還元することができる。
更に、電解浴中で陽極より下方に陰極が位置する場合、隔壁が陽極を取り囲んで配設されると共に陽極の下端より低い位置に開口部が設けられて、上記隔壁が陽極を取り囲む領域であり、かつ、上記開口部より上方に陽極反応領域を形成せしめるようにするのがよい。この場合においては、隔壁の作用は上述した場合と同じであり、例えば、耐火チューブ、加工レンガ等のような肉厚で強度のある材料で隔壁を形成するのがよい。
このような電極の位置関係の場合において、好ましくは開口部より下方に金属酸化物を供給するのがよい。例えば、塩化カルシウム(CaCl2)と酸化カルシウム(CaO)の混合溶融塩を電解して強還元性物質であるカルシウム(Ca)を析出させ、目的の金属酸化物を還元する金属製錬においては、陰極で析出する強還元性物質が、全体の電解浴より比重が小さく浮上するため、開口部より下方に原料となる金属酸化物を供給することによって、逆反応を起こすよりも先に目的金属酸化物と接触するため、効率的に目的金属酸化物を製錬することができる。
本発明においては、上述した金属酸化物の還元方法を用いて金属酸化物の還元装置とすることができるが、好ましくは反応槽内に複数の陽極を備えるのがよい。工業的に金属酸化物を還元して金属を製造する際に、陽極の消耗等の理由からある陽極を交換する場合でも、別の陽極の存在によって、反応槽における全体の電流を停止することなく交換することが可能となり、反応槽全体としての生産性が向上する。尚、この場合、各陽極をそれぞれ個別の隔壁が取り囲んで陽極反応領域を形成してもよく、隔壁と反応槽の側壁とで囲まれて形成された陽極反応領域に複数の陽極を配置するようにしてもよい。
また、本発明においては、好ましくは反応槽内に複数の陰極を備えるのがよい。この場合、上述したように遮蔽板を延設して陰極の周辺を取り囲むようにすると共に、この取り囲んだ領域内に金属酸化物を供給するようにすれば、工業的に金属酸化物を還元して金属を製造する際に、還元した金属と陰極とを一体で回収する場合などにおいて、別の陰極の存在によって、反応槽における全体の電流を停止することなく交換することが可能となり、反応槽全体としての生産性が向上する。尚、上記の場合、反応槽内における複数の陰極の配置については特に制限はなくて自由に配置することができる。また、上述したようにあわせて陽極を複数備える場合には、陽極を中心にしてこの陽極を挟むように陰極を配置してもよく、このような陽極と陰極との組み合わせを反応槽内に複数備えるようにしてもよい。
尚、本発明における金属酸化物の還元方法及び還元装置では、電解処理等の条件を適正なものとすることで、例えば、塩素ガスの発生等の問題を回避するようにするのがよい。
本発明によれば、陽極において不可避に発生する陽極反応ガスを気泡状態で可及的速やかに電解浴の液面から排出させることができ、また、電解浴中に溶解する陽極反応ガスについては陽極反応領域以外の電解浴中への移動を防止することができるため、金属酸化物の還元において得られる金属の汚染を可及的に低減でき、かつ、還元効率を低下させることもなく、更には、簡便で安価であって工業的に有利に金属酸化物を還元することができる。特に、炭素陽極を用いた電気分解を利用する場合には、上記効果に加えて、炭素陽極から発生する微粒炭素による金属汚染の問題や電極を短絡させてしまう等の問題についても解消できる。
以下、添付する図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態を説明する。
図1は、参考実施形態に係る金属酸化物の還元装置Xを示している。耐火物であるアルミナレンガによって形成された反応槽1には塩化カルシウム(CaCl2)、カルシウム(Ca)及び酸化カルシウム(CaO)からなる混合溶融塩2が収容されており、この混合溶融塩2には炭素陽極3及びステンレス陰極4が浸漬されて、それぞれ配置されている。また、これらの電極の下端はそれぞれ傾斜している。この炭素陽極3とステンレス陰極4との間にはアルミナレンガからなる隔壁5が配設されており、この隔壁5と反応槽1の側壁とによって炭素陽極3を取り囲んだ領域における混合溶融塩2の液面の上方には、外部雰囲気と遮断するための遮蔽板6が設けられており、同じく隔壁5と反応槽1の側壁1aとによってステンレス陰極4を取り囲んだ領域における混合溶融塩2の液面の上方には、外部雰囲気と遮断するための遮蔽板7が設けられている。これらの遮蔽板6及び遮蔽板7は、それぞれ独立して開閉が可能であり、炭素陽極3側に設けられた遮蔽板6には、電気分解によって炭素陽極3から生成する二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)等の陽極反応ガスを反応槽1の外部に吸引して排出する陽極反応ガス排出管8が取付けられており、また、電気分解によって消耗した炭素陽極3が交換できるようになっている。一方、ステンレス陰極4側に設けられた遮蔽板7には、混合溶融塩2内に原料となる酸化チタン(TiO2)を投入するための原料投入口9が取付けられており、また、酸化チタンを還元して製造した金属チタンが回収できるようになっている。
また、この金属酸化物の還元装置Xにおける反応槽1は、収容した混合溶融塩2が直接触れる部分である側壁1a及び底部1bには、混合溶融塩2からなる凝固層10によって覆われており、同じく隔壁5は、混合溶融塩2に浸漬する部分の表面は混合溶融塩2の凝固層10によって覆われており、凝固層10を備えた隔壁5の下端は炭素陽極5の下端より低い位置となるようにされている。そして、この凝固層10を備えた隔壁5と凝固層10を備えた反応槽1の側壁とが炭素陽極3を取り囲む領域であり、かつ、隔壁5に備え付けられた凝固層10の下端より上方に陽極反応領域11が形成される(図中斜線で示した領域)。尚、反応槽1内において炭素陽極3側と陰極4側との間での混合溶融塩2に存在するカルシウムイオン(Ca+)、酸素イオン(O2-)等のイオンの移動は、この陽極反応領域11の下方側でのみ可能となる。
この金属酸化物の還元装置Xの炭素陽極3及び陰極4に図示外の直流電源器を接続して電気分解を行ったところ、陽極反応領域11の下方側で炭素陽極3とステンレス陰極4との導通が行われ、炭素陽極3からは二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、及び酸素(O2)を含んだ陽極反応ガスが発生し、炭素陽極3に形成された傾斜部3aを伝わるようにして混合溶融塩2の中を浮上した。そして、隔壁5と凝固層10に覆われた反応槽1の側壁1aとが炭素陽極3を取り囲む領域であって、隔壁5を覆う凝固層の下端より上方である陽極反応領域11の混合溶融塩2は、電気分解が進むにつれて炭素根(CO3)濃度が上昇し、最終的には炭酸ガスが飽和した状態で溶解した混合溶融塩2となった。
また、図2には、本発明の実施の形態に係る別の金属酸化物の還元装置Xが示されている。
アルミナレンガで作られた反応槽1の底面部分が陰極4に相当し、この陰極4の上方には炭素陽極3が3本並列に並べられており、これらの炭素陽極3はそれぞれが上下させることが可能であって、陰極4との電極間距離を変えることができるため、それぞれの炭素陽極3に流れる電流値をこの電極間距離の変動によって制御することができる。また、これらの炭素陽極3の周りには、それぞれの炭素陽極3を取り囲むようにアルミナ製耐火チューブを使用した隔壁5が配設されており、この隔壁5には炭素陽極3の下端より低い位置に開口部5aが設けられている。そして、この隔壁5が炭素陽極3を取り囲む領域であり、かつ、隔壁5の開口部5aより上方に陽極反応領域11が形成される(図中斜線で示した領域)。尚、反応槽1内において、炭素陽極3側と陰極4側との間での混合溶融塩2に存在するカルシウムイオン(Ca+)、酸素イオン(O2-)等のイオンの移動は、開口部5aを介してのみ可能である。
また、反応槽1には塩化カルシウム(CaCl2)、カルシウム(Ca)及び酸化カルシウム(CaO)からなる混合溶融塩2が収容されており、この反応槽1は遮蔽板6によって混合溶融塩2の液面の上方が外部雰囲気から遮断されている。更に、各炭素陽極3に配設されたそれぞれの隔壁5は陽極反応ガス排出管8と接続されており、陽極反応領域11内で生成した二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、及び酸素(O2)を含んだ陽極反応ガスが吸引されて反応槽1の外部に排出される。
そして、粉末状の酸化チタンを陰極4の上面に配置し、炭素陽極3と陰極4との間に接続された図示外の直流電源器を用いて電気分解を行ったところ、開口部5aを介して炭素陽極3と鉄陰極4との導通が行われ、炭素陽極3からは上記陽極反応ガスが発生した。電気分解が進行してしばらくすると、陽極反応領域11における混合溶融塩2は、炭酸根(CO3)濃度が上昇し、最終的には炭酸ガスが飽和した状態で溶解した混合溶融塩2となった。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
図3には本発明の実施例1に係る金属酸化物の還元装置Xを示した。
内部の空間が幅1000mm×奥行280mm×高さ900mmである密閉型電気炉12の内側に、幅840mm×奥行150mm×高さ400mmのステンレス鋼板製の反応槽1を配置した。この反応槽1は150mm×150mm×2.5mmのアルミナ製角板1cによって内張りしてある。
また、炭素陽極3には幅30mm×奥行30mm×高さ140mmの人造黒鉛製のものを用い、この炭素陽極3の周りを内径100mmφ×高さ100mmの上部アルミナ容器5Xb、及び内径100mmφ×高さ100mmの下部アルミナ容器5Xcとからなる隔壁5Xによって取り囲むようにした。この上部アルミナ容器5Xbには直径8.5mmφと17.5mmφの穴あけ加工が施してあり、これらの穴に直径8mmφのSUS製丸棒13と内径13mmφのアルミナチューブ8を通して固定してある。このSUS製丸棒13は炭素陽極3を上部アルミナ容器5Xbの内部に固定するためのものであり、また、SUS製丸棒13の他端を密閉型電気炉12の外まで出し、直流電源器14に接続して導電棒の役割も兼ねている。アルミナチューブ8は他端を密閉型電気炉12の外へ出すことによって、上部アルミナ容器5Xbと下部アルミナ容器5Xcとで形成した隔壁5Xの内側に発生した陽極反応ガスがこのアルミナチューブ8を通じて密閉型電気炉12の外側に排出される構造となっている。更に、下部アルミナ容器5Xcには20mm×20mmの開口部5Xaが穴あけ加工されている。
反応槽1内には塩化カルシウム(CaCl2)を溶解してなる電解浴2が収容されており、また、陰極4は、直径8mmφのSUS製陰極丸棒4aと幅30mm×高さ60mm×厚さ3mmのSUS製陰極角板4bとから形成されている。尚、電解中は、下部アルミナ容器5Xcが下方、上部アルミナ容器5Xbが上方となる方向で配置されるため、塩化カルシウム(CaCl2)を溶解したとき、電解浴2中では隔壁5Xの開口部5Xaが唯一陽極側の電解浴2及び陰極側の電解浴2に含まれるカルシウムイオン(Ca+)、酸素イオン(O2-)等のイオンの移動が可能となる場所である。また、炭素陽極3は電解浴中に浸漬して、その下端は下部アルミナ容器5Xcに加工した20mm×20mmの開口部5Xaの上端部より20mm上方に位置する。また、隔壁5Xが炭素陽極3を取り囲む領域であって、開口部5Xaより上方には陽極反応領域11を形成した。
実施例1において、起動および電解は以下のようにして行った。
まず、隔壁5Xを反応槽1に配置した後、炭素陽極3との電極間距離が130mmの極間を保つように陰極4を配置した。次いで、純度95%の塩化カルシウム約40kgを反応槽1に充填し、その後、密閉型電気炉12を全て密閉して図示外の真空ポンプによって内部の空気を一旦排気した後、アルゴンガス(Ar)を送入した。その後も3L/minの流量でアルゴンガスを流しながら密閉式電気炉1の内部が正圧となるようにして、約2日間かけて電気炉12を昇温した。昇温後は電解浴2の温度が900℃になるように電気炉12をコントロールして保持した。
陰極4の陰極丸棒4aと炭素陽極3に取付けられたSUS製丸棒13は最大出力750Wの直流電源器14に接続してあり、この陰極丸棒4aとSUS製丸棒13との間に1.5Vで一定の電圧をかけて予備電解を行った。予備電解は主に塩化カルシウム(CaCl2)に混入している水分、鉄などの不純物を除去する目的であり、電流が流れなくなるまで約20時間電圧をかけ続けた。その間陰極4に析出した鉄などの不純物は適宜電気炉12から抜き取り系外に除去した。尚、密閉型電気炉12から抜き取る作業の際には炉内へ送入するアルゴンガス流量を増加し電気炉12内が正圧になるようにして実施した。
予備電解終了後、同形状の新しい陰極4に取り替え、40Aの定電流により電解を開始した。電解中、1時間に15gの割合で原料投入口(兼金属回収口)9から陰極4の近傍に酸化チタン(TiO2)を投入した。酸化チタンは電解浴中を比重差によって沈降していくため、100メッシュのSUS製ネット15でそれを受けて数時間毎に回収した。回収方法は、アルゴンガスを流した図示外のSUS製配管用パイプを密閉型電気炉12に接続し、SUS製ネット15をその配管用パイプに引き上げながら蓋をして、随伴する塩化カルシウムとともにアルゴンガス中でそのまま冷却して回収した。回収した酸化チタン試料は、冷却後水洗ろ過により周囲に固着した塩化カルシウムを除去し、図示外の真空恒温槽にて乾燥させた。更に、乾燥した試料はX線回折分析、酸素分析等により分析を行った。
また、電解中、適宜、隔壁5Xの内部の内圧増加による自然排出を利用して陽極反応ガスを回収した。アルミナチューブ8から排出される陽極反応ガスを図示外のフッ化ビニル樹脂製のバッグにて過不足無く回収し、任意の時間あたりに発生する陽極反応ガス量を測定し排出速度を調査した。更に、排出された陽極反応ガス中の二酸化炭素濃度(CO2)、酸素濃度(O2)、及び一酸化炭素濃度(CO)をオルザット分析によって測定した。これら陽極反応ガスの測定時には、電流を一時的に増減し、電流値による排出速度および組成の変化も調査した。
更に、電解中、陰極4の周辺及び陽極反応領域11内外の電解浴2を適宜採取し、カルシウム(Ca)、酸化カルシウム(CaO)、固定炭素(C)、及び炭酸根(CO3)の濃度を測定した。測定する電解浴試料の採取方法は、図示外の内径5.5mmφ×長さ1000mmの石英ガラス管の一端を図示外のガラス製注射器に接続し、石英ガラス管内をアルゴンガスと置換した後、もう一端を電解浴2の所定の深さに沈め、ガラス製注射器を吸引し測定する電解浴試料を石英ガラス管内で凝固させて回収する方法を用いた。
このようにして得た電解浴試料は、硝酸水溶液で満たされた図示外の容器内へ投入し、カルシウム(Ca)が水と反応して水素(H2)を発生する際のその水素の体積を測定して、カルシウム濃度を算出し、更にカルシウム(Ca)及び酸化カルシウム(CaO)が水と反応して全量水酸化カルシウム〔Ca(OH)2〕となることから硝酸水溶液を滴定することによって、水酸化カルシウムを定量し、先に求めたカルシウム量を差し引いて、酸化カルシウムの濃度を算出した。更にまた、硝酸水溶液中の残渣をろ過して、燃焼重量測定を行うことにより電解浴中の固体炭素(C)を測定した。更に別の電解浴試料を硝酸水溶液に溶解して煮沸し、排出される炭酸ガスを苛性ソーダ(NaOH)と塩化バリウム(BaCl2)混合水溶液に吸収し、炭酸ガスを炭酸バリウム(BaCO3)として沈殿させ、その際消費した苛性ソーダを滴定により定量することによって、電解浴中の炭酸根を定量した。
その結果、この実施例1において、回収した酸化チタン試料は全量金属チタン(Ti)に還元されていた。また、この回収した酸化チタン試料からは炭素化合物は検出されなかった。更に、酸素分析の結果、得られた金属チタン中の酸素濃度は2100ppmであった。一方、隔壁5Xで炭素陽極3を取り囲んだ領域内の浴組成は20mm×20mm開口部5Xaの上部を境に上下において組成が変化し始め、電解開始20時間後の浴組成では、表1に示したように、反応槽1の底近くでは(陽極反応領域外)、酸化カルシウム濃度が0.39mol%、及び炭酸根濃度が0.05wt%であるのに対し、開口部5Xaより上方の電解浴表面近傍では(陽極反応領域内)、酸化カルシウム濃度が0.05mol%、及び炭酸根濃度が1.12wt%であり、両領域の電解浴では濃度がかなり異なるものであった。また、隔壁4の外側の領域における電解浴の分析では、酸化カルシウム濃度が0.52mol%、及び炭酸根濃度が0.06wt%であった。このことから、炭素陽極3の陽極反応により生成した陽極反応生成ガスが電解浴に溶解し、この陽極反応ガスが溶解した電解浴は陽極反応領域内に留められて、隔壁5Xの開口部5Xaより上方では電解浴組成が変化したと考えられる。
また、陽極反応ガスは、適宜、全量採取して排出速度の実測値として測定し、更に、オルザット分析を実施した。その結果、陽極反応ガスは電流を変化することによって組成が変化した。例えば15A以下では二酸化炭素および一酸化炭素が多く占め、15Aから30Aでは酸素の割合が多く、30A以上では塩素と思われるガスが支配的になった。更に、オルザット分析により測定した二酸化炭素濃度(CO2)、酸素濃度(O2)、及び一酸化炭素濃度(CO)の組成を勘案してその時の電流値における陽極反応ガス発生速度を計算し、上記排出速度の実測値との差を陽極反応ガスの未回収量とし、その未回収量と陽極反応ガス発生速度の計算値との比を未回収率として調査した結果、15A以下の電流値において、電解開始直後では未回収率が40%あったものが、次第に未回収率が少なくなり電解開始6時間後では未回収率は5%以下となった。また15A以上の電流値においても、電解開始初期では未回収率が高くその後次第に減少するという同様の結果となった。このことから、陽極反応領域11での陽極反応ガスの飽和が電解時間と共に進行したと考えられる。
一方、陰極4の周辺の電解浴試料では、カルシウム(Ca)が1.0から1.3mol%と高く、酸化カルシウム(CaO)が0.8から1.0mol%、および固体炭素(C)が0.03wt%と低いものであった。これらの結果を表1に示す。
Figure 0004513297
[実施例2]
図4には本発明の実施例2に係る金属酸化物の還元装置の一部分を示した。
実施例2では、炭素陽極3とこの炭素陽極3を取り囲む隔壁5Xに係る条件については実施例1と同様にした。また、陰極4については以下のようにした。
内径120mmφ×高さ600mmのアルミナチューブを用いてその一端に幅60mm×高さ30mmの開放口16aが設けられた遮蔽板16を形成し、この遮蔽板16が陰極4を取り囲むようにして、開放口16aが反応槽1の底側に位置するように立設させた。陰極4は、厚さ6mm×外径90mmφの陰極円盤4cに対し8mmφSUS製陰極丸棒4aが垂直となるように溶接して形成し、更に、このSUS製陰極丸棒4aは図示外の内径9mmφのアルミナ製保護管で被覆されている。また、この陰極4については、遮蔽板16の下端に形成された開放口16aの上端部より10mm上方の位置で陰極円盤4cが水平になるように8mmφSUS製陰極丸棒を反応槽1の上部に吊って固定した。また、この遮蔽板16の上端は反応槽1の上蓋と接続されて、この遮蔽板16に囲まれた領域内の電解浴は外部雰囲気から遮断されている。
予備電解を実施した後、40Aの定電流によって電解を行い、実施例1と同じ条件で酸化チタンの投入、回収、電解浴試料の採取、及び分析を行った。
その結果、回収した酸化チタン試料は、全量金属チタン(Ti)まで還元されており、その酸素濃度は1600ppmであった。炭素化合物の検出はされなかった。更に、陰極4の周辺で回収した電解浴試料はカルシウム(Ca)が1.3から2.0mol%と高く、酸化カルシウム(CaO)および固体炭素(C)がそれぞれ0.3から0.6mol%および0.02wt%と低いものであった。結果を表1に示した。
[実施例3]
図5には本発明の実施例3に係る金属酸化物の還元装置の一部分を示した。
内部の空間が幅1000mm×奥行280mm×高さ900mmである密閉型電気炉内に、幅840mm×奥行150mm×高さ400mmのステンレス鋼板製の反応槽1を配置した。この反応槽1には150mm×150mm×2.5mmのアルミナ製角板1cが内張りされている。
炭素陽極3は直径50mm×長さ80mmの人造黒鉛製のものであり、その一端にM8のネジ切り加工を施して直径8mmφのSUS製丸棒13と接続した。また、内径60mmφ×長さ1000mmのアルミナ製チューブを利用して炭素陽極3の周辺に配設する隔壁5Yとした。この隔壁5Yの下端側には開口部5Yaが形成されており、隔壁5Yは開口部5Ya側が約90mm電解浴2に浸漬している。他端側は、図示外であるが、密閉型電気炉の外側に出て密閉型電気炉の上蓋に固定されている。
また、隔壁5Y内の炭素陽極3は電解浴2に約30mm浸漬するように高さが調節されて、シリコン栓17によってアルミナ製チューブからなる隔壁5Yに固定した。シリコン栓17には更に15mmφの穴あけ加工が施してあり、内径12mmφのガラス管18が固定されて、陽極反応ガスが全量系外へ排出される構造となっている。また、陰極4については、幅400mm×奥行120mm×厚さ6mmのSUS製陰極角板4bを反応槽1の底面に敷いて、この陰極角板4bに導線として直径8mmφのSUS製陰極丸棒4aを接続し、密閉型電気炉の外へと出した。
このようにして、開口部5Yaより上方に陽極反応領域11を形成し、また、この開口部5Yaが唯一陽極側の電解浴2と陰極側の電解浴2に含まれるイオンの移動が可能となる場所とした。
反応槽1内には、実施例1と同様に塩化カルシウム約40kgを入れて溶解させた。その際、実施例1と同様にして予備電解を行った。予備電解後、20Aの定電流で電気分解を行った。電解中、隔壁5Yの外側周辺に1時間に7.5gの割合で酸化チタン(TiO2)を投入した。酸化チタンは電解浴中を比重差によって沈降していくため、100メッシュのSUS製ネットを用いて陰極4の陰極角板4b上でそれを受け数時間毎に回収した。回収方法および回収試料の分析方法は実施例1と同様である。また、陰極角板4b周辺の電解浴を適宜採取し、カルシウム(Ca)および酸化カルシウム(CaO)の濃度を測定した。試料の採取方法および分析方法は、実施例1と同様である。
その結果、回収した酸化チタン試料は、全量金属チタン(Ti)まで還元されており、その酸素濃度は2200ppmであった。炭素化合物の検出はされなかった。更に、電解浴試料はカルシウム(Ca)が1.0から1.2mol%と高く、酸化カルシウム(CaO)が0.5から0.8mol%、及び固体炭素(C)が0.03wt%と低いものであった。結果を表1に示した。
[実施例4]
図6には本発明の実施例4に係る金属酸化物の還元装置の一部分を示した。
実施例3と同じ炭素陽極3とこの炭素陽極3を取り囲むように配設した隔壁5Yとをそれぞれ2セット用意し、それぞれが反応槽1の底に敷かれた幅400mm×奥行120mm×厚さ6mmのSUS製陰極角板4bの上に位置するよう横並びにした。それぞれの炭素陽極3に形成する陽極反応領域11と、この陽極反応領域11の下方における陽極側と陰極側との間の電解浴2に含まれるイオンの移動についての関係は実施例3と同様とした。
また、上記炭素陽極3における2本のSUS製丸棒13は1台の直流電源器の陽極に接続すると共に、それぞれの陰極4におけるSUS製陰極丸棒4aはこの直流電源器の陰極に接続して並列の構成とした。陰極4のSUS製陰極丸棒4aと陽極3のSUS製丸棒13との間に1.5Vの定電圧をかけて予備電解を実施し、その後、2セットの炭素陽極3に併せて40Aの定電流電解を実施した。電解中は、炭素陽極3と直流電源器とを結ぶ導線において、導線の両端における電圧降下を測定して導線を流れる電流に換算し、2セットの炭素陽極3に流れる電流がほぼ等しくなるように、一方の炭素陽極3を上下させて陰極4の陰極角板4bとの極間抵抗を変えることにより電流を調節した。
電解中、隔壁5Yの外側周囲に、1時間に15gの割合で酸化チタン(TiO2)を投入した。この際、1つの陽極当り約7.5gとなるように酸化チタンを分けて隔壁5Yの外側周辺にそれぞれ投入した。酸化チタンは電解浴中を比重差によって沈降していくため、100メッシュのSUS製ネットを用いて陰極4の陰極角板4b上で投入した酸化チタンを受けて数時間毎に回収した。回収方法および回収試料の分析方法は、実施例1と同様である。また、陰極角板4b周辺の電解浴を適宜採取し、カルシウム(Ca)および酸化カルシウム(CaO)の濃度を測定した。試料の採取方法および分析方法は、実施例1と同様である。
その結果、2本の炭素陽極3を用いた実施例4においては、回収した酸化チタン試料は、全量金属チタン(Ti)まで還元されており、その酸素濃度は2400ppmであった。炭素化合物の検出はされなかった。更に、電解浴試料はカルシウム(Ca)が1.0から1.2mol%と高く、酸化カルシウム(CaO)が0.4から0.9mol%、及び固体炭素(C)が0.03wt%と低いものであった。結果を表1に示した。
[比較例1]
図7に比較例1に係る還元装置の一部分を示した。
実施例1に示した上部アルミナ容器5Xbのみを残して、下部アルミナ容器5Xcを取り除いた。この上部アルミナ容器5Xbの下端と電解浴2の液面との距離は約5mmとした。その他の装置、材料、昇温・電解方法等の条件は実施例1と同様とした。尚、上部アルミナ容器5Xbに固定されたアルミナチューブ8の上端は、通常時には図示外のシリコン栓をして密閉した。そのため、定電流で電解中、炭素陽極3から発生する陽極反応ガスは電解浴中を上昇して電解浴2の液面であって上部アルミナ容器5Xbの下方側で反応槽雰囲気内に排出されるが、アルミナチューブ8の上端が塞がれており、また、上部アルミナ容器5Xbの下端と電解浴2の液面との間に約5mmの隙間があるため、陽極反応ガスは反応槽雰囲気に拡散していった。すなわち、上部アルミナ容器5Xbの内側に陽極反応ガスが滞留することなく、また、この上部アルミナ容器5Xbの内側で陽極反応ガスが区分されることなく、密閉式電気炉内に送入されるアルゴンガス(Ar)とともに僅かずつ系外に排出された。
酸化チタンの投入位置、投入量、及び回収方法は実施例1と同様にした。陽極反応ガスの排出速度の測定および組成の分析は、陽極全体を下方に押し下げて、上部アルミナ容器5Xbの下端が電解浴2に浸かる状態として、上部アルミナ容器5Xbの内側の内圧増加による自然排出によってアルミナチューブ8の上端から陽極反応ガスを回収して行った。排出ガスの未回収率およびガス組成の分析は実施例1と同様に行った。また電解浴2の採取及び分析も実施例1と同様に実施した。
その結果、上記のように炭素陽極3の周辺に陽極反応領域11を形成することなく、また、陽極反応ガスを速やかに排出しなかった比較例1においては、回収した酸化チタン試料は、ほとんどが低級酸化物(Ti6O、Ti3O、TiO)であった。また、チタン炭化物(TiC)も一部確認された。陽極反応ガスは電流を変化することによって組成が変化したが、その組成は実施例1とほぼ同様であった。排出ガス未回収率は、15A以下の電流において、電解初期開始直後の段階では実施例1と同様40%であったが、その後もほとんど減少することはなく、電解開始20時間後においてでも未回収率は30%であった。また、15A以上の電流値でも同様に未回収率が減少することは少なかった。このように、陽極反応領域11を形成しない場合には、陽極反応ガスが溶解した溶融塩が対流等によって自由に移動でき、陰極で生成するカルシウムと反応を起こして消費されるため、電解時間が経過しても陽極反応ガスの溶解が収束しなかったと考えられる。一方、電解浴はカルシウムが0.2から0.3mol%とほとんど無く、反対に、酸化カルシウムが2.5mol%、及び固体炭素が1.4wt%から2.3wt%と高かった。
本発明における金属酸化物の還元方法及び金属酸化物の還元装置によれば、無機溶融塩からなる電解浴中で電気分解を行って金属酸化物を還元して金属を製造する金属製錬、複数の金属酸化物を同時に還元して合金金属を製造する合金製造分野、あるいは金属表面に形成した酸化皮膜を還元し除去するリサイクル分野等において、製品となる金属の汚染、特に炭素汚染を可及的に低減でき、かつ、還元効率を低下させることがないため、工業的に有利に金属を製造することができる。特に、電気分解において炭素陽極から発生する微粒炭素に由来する問題を解消することができるため、炭素陽極を用いた電気分解を利用する場合には本発明における効果を一層顕著にして用いることができる。
図1は、参考実施形態に係る金属酸化物の還元装置を説明する断面概念図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る金属酸化物の還元装置を説明する断面概念図である。 図3は、本発明の実施例1に係る金属酸化物の還元装置を説明する断面概念図である。 図4は、本発明の実施例2に係る金属酸化物の還元装置の一部分を説明する断面概念図である。 図5は、本発明の実施例3に係る金属酸化物の還元装置の一部分を説明する断面概念図である。 図6は、本発明の実施例4に係る金属酸化物の還元装置の一部分を説明する断面概念図である。 図7は、本発明の比較例1に係る金属酸化物の還元装置の一部分を説明する断面概念図である。
符号の説明
1:反応槽、1a:反応槽側壁、1b:反応槽底部、1c:アルミナ製角板、2:電解浴(溶融塩)、3:炭素陽極、3a:傾斜部、4:陰極、4a:SUS製陰極丸棒、4b:陰極角板、4c:陰極円盤、5:隔壁、5X,5Y:隔壁、5Xa,5Ya:開口部、5Xb:上部アルミナ容器、5Xc:下部アルミナ容器、6,7:遮蔽板、8:陽極反応ガス排出管(アルミナチューブ)、9:原料投入口、10:凝固層、11:陽極反応領域、12:密閉型電気炉、13:SUS製丸棒、14:直流電源器、15:SUS製ネット、16:遮蔽板、16a:開放口、17:シリコン栓、18:ガラス管、X:金属酸化物の還元装置。

Claims (29)

  1. 反応槽内に収容した無機溶融塩からなる電解浴中で金属酸化物を還元し、陽極から陽極反応ガスを放出する金属酸化物(Mxy)の還元方法であり、陽極を取り囲むように隔壁を配設して陽極反応領域を形成すると共に陽極の下端より低い位置に開口部を設け、かつ、陽極より下方に陰極を配置することで、陽極反応領域で発生した陽極反応ガスが陰極側に移動するのを防止すると共に、開口部を通じて陽極と陰極との間での電解浴中のイオンの移動を可能にしたことを特徴とする金属酸化物の還元方法。
  2. 陽極反応ガスが、電解浴中に気泡として放出される気泡性陽極反応ガスと電解浴中に溶解する溶解性陽極反応ガスとを含む請求項1に記載の金属酸化物の還元方法。
  3. 陽極反応領域内の電解浴には陽極反応ガスが飽和状態で溶解している請求項1又は2に記載の金属酸化物の還元方法。
  4. 陽極反応領域以外の電解浴中に金属酸化物を供給する請求項1〜3のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  5. 陽極反応領域内の電解浴の液面から放出される陽極反応ガスを封じ込める陽極反応ガス空間領域を形成する請求項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  6. 陽極反応ガス空間領域内の陽極反応ガスを反応槽外に排出する請求項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  7. 陽極反応領域内の電解浴を一定速度で吸引して反応槽外に排出する請求項1〜6のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  8. 陽極反応領域以外の電解浴の液面における雰囲気を外部から遮断する請求項1〜7のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  9. 外部と遮断した電解浴の液面上の雰囲気を不活性ガス雰囲気にする請求項8に記載の金属酸化物の還元方法。
  10. 隔壁の一部又は全部の表面が、電解浴を形成する無機溶融塩の凝固層によって覆われている請求項1〜9のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  11. 陽極が消耗性炭素陽極である請求項1〜10のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  12. 無機溶融塩が塩化カルシウムを含む溶融塩である請求項1〜11に記載の金属酸化物の還元方法。
  13. 金属酸化物(Mxy)の金属(M)が、チタン(Ti)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ウラン(U)、ネオジウム(Nd)、ニオブ(Nb)、及びタンタル(Ta)から選ばれた1種又は2種以上の金属である請求項1〜12のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  14. 開口部より下方に金属酸化物を供給する請求項1〜13のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  15. 反応槽内に複数の陽極を備える請求項1〜14のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  16. 反応槽内に複数の陰極を備える請求項1〜15のいずれかに記載の金属酸化物の還元方法。
  17. 反応槽内に収容した無機溶融塩からなる電解浴中で金属酸化物を還元し、陽極から陽極反応ガスを放出させる金属酸化物(M x y )の還元装置であり、陽極を取り囲むように隔壁が配設されて陽極反応領域を形成すると共に陽極の下端より低い位置に開口部が設けられ、かつ、陽極より下方に陰極が配置されて、陽極反応領域で発生した陽極反応ガスが陰極側に移動するのを防ぐと共に、開口部を通じて陽極と陰極との間での電解浴中のイオンの移動を可能にしたことを特徴とする金属酸化物の還元装置。
  18. 陽極反応ガスが、電解浴中に気泡として放出される気泡性陽極反応ガスと電解浴中に溶解する溶解性陽極反応ガスとを含む請求項17に記載の金属酸化物の還元装置。
  19. 陽極反応領域内の電解浴には陽極反応ガスが飽和状態で溶解する請求項17又は18に記載の金属酸化物の還元装置。
  20. 陽極反応領域以外の電解浴中に金属酸化物が供給される請求項17〜19のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
  21. 陽極反応領域内の電解浴の液面から放出される陽極反応ガスを封じ込める陽極反応ガス空間領域が形成されている請求項17〜20のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
  22. 陽極反応ガス空間領域内の陽極反応ガスを反応槽外に排出する手段を有する請求項17〜21のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
  23. 陽極反応領域内の電解浴を一定速度で吸引して反応槽外に排出する手段を有する請求項17〜22のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
  24. 陽極反応領域以外の電解浴の液面における雰囲気が外部から遮断されている請求項17〜23のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
  25. 隔壁の一部又は全部の表面が、電解浴を形成する無機溶融塩の凝固層によって覆われている請求項17〜24のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
  26. 陽極が消耗性炭素陽極である請求項17〜25のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
  27. 開口部より下方に金属酸化物が供給される請求項17〜26のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
  28. 反応槽内に複数の陽極を備える請求項17〜27のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
  29. 反応槽内に複数の陰極を備える請求項17〜28のいずれかに記載の金属酸化物の還元装置。
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