JP2008214145A - 光学素子の成形金型 - Google Patents
光学素子の成形金型 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008214145A JP2008214145A JP2007055330A JP2007055330A JP2008214145A JP 2008214145 A JP2008214145 A JP 2008214145A JP 2007055330 A JP2007055330 A JP 2007055330A JP 2007055330 A JP2007055330 A JP 2007055330A JP 2008214145 A JP2008214145 A JP 2008214145A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mold
- pair
- molding
- optical element
- thermal expansion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
Abstract
【課題】型押しする際には、胴型と上下型の間のクリアランスを最小にし、成形型を冷却して成形したレンズ取り出す際には上記クリアランスを増大させる。
【解決手段】ガラスモールド成形金型1は、ガラス2を加熱軟化させて対向面3a,4aで挟んで押圧してこれら対向面3a,4aの形状をガラス2に転写する一対の成形型3,4と、一対の成形型3,4を互いに接離方向にガイドする筒状の胴型5と、一対の成形型の対向面3a,4aと反対側の端面側に配置されていて胴型5に沿って成形型3,4を接離方向に移動させるプレス軸6,7と、を備えている。成形型3,4は、胴型5の長さ方向の端部で該胴型内への挿入量を規制される。成形型3,4は、胴型5よりも熱膨張率の大きな素材で形成されている。成形型3,4の少なくとも一方の成形型とプレス軸との間に胴型よりも熱膨張率の小さな素材で形成されたスペーサを介在させた。
【選択図】図1
【解決手段】ガラスモールド成形金型1は、ガラス2を加熱軟化させて対向面3a,4aで挟んで押圧してこれら対向面3a,4aの形状をガラス2に転写する一対の成形型3,4と、一対の成形型3,4を互いに接離方向にガイドする筒状の胴型5と、一対の成形型の対向面3a,4aと反対側の端面側に配置されていて胴型5に沿って成形型3,4を接離方向に移動させるプレス軸6,7と、を備えている。成形型3,4は、胴型5の長さ方向の端部で該胴型内への挿入量を規制される。成形型3,4は、胴型5よりも熱膨張率の大きな素材で形成されている。成形型3,4の少なくとも一方の成形型とプレス軸との間に胴型よりも熱膨張率の小さな素材で形成されたスペーサを介在させた。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学機器に使用されるレンズやプリズム等の光学素子をガラスモールド法により成形するための光学素子の成形金型に関する。
近年、レンズやプリズム等の光学素子の製造にガラスモールド法が盛んに用いられるようになった。ガラスモールド法とは、一対の成形型を筒状の胴型内に挿入し、該胴型内において加熱軟化させたガラスを上記一対の成形型の先端の転写面でプレスしてレンズやプリズム等の光学素子を成形した後、冷却して胴型内から取り出す方法である。
ガラスモールド法は、非球面レンズのような研磨加工が難しいレンズの製造に適していて、研磨加工を施すものに較べて製造が容易で小さいレンズでも容易に安価に製造することができることからデジタルカメラやカメラ付き携帯電話機等の普及に貢献している。デジタルカメラ等の高性能化に伴なってレンズ等の光学素子にも高い精度が要求される。
ガラスモールド法によって高精度のレンズ等の光学素子を製造する上で以下の2点が問題点となっている。
第1の問題点は、上記一対の成形型の外周面と上記胴型の内周面との間のクリアランスによる成形型の偏芯、即ち光学素子の光軸のズレの発生である。
第2の問題点は、加熱軟化させたガラスを上記一対の成形型でプレスしてレンズやプリズム等の光学素子を成形した後、成形型を冷却する際に、上記一対の成形型が収縮して、これら成形型の先端の転写面と上記光学素子との間に所謂剥離等が生じ、上記転写面を所定の圧力で光学素子に押し付けた状態に維持できなくなり、これがために光学素子の面精度等が悪くなることである。一般にガラスは、転移点温度を超えると急激に膨張し、成形型の熱膨張率よりも大きくなる。従って、冷却時に成形型よりも収縮するので、成形型の熱膨張率が胴型の熱膨張率よりも大きい場合には、成形型の方が胴型よりも、より大きく収縮することになるので、成形型の冷却が始まると同時に、ガラスが成形型から剥がれるような力が働く。
上記一対の成形型の外周面と上記胴型の内周面との間のクリアランスは、上記一対の成形型を上記胴型内で摺動させるために必要不可欠のものであり、クリアランスを大きくすればするほど、一対の成形型を胴型内で摺動させ易くなるが、上記クリアランスによって上記一対の成形型の平行偏芯量(シフト量)や倒れ量(チルト量)が増大し、成形された光学素子の光軸のズレが発生する。
そこで、第1の問題点を解決する方法、即ち上記一対の成形型の摺動性を確保して、光学素子の光軸のズレを抑制する方法として、上記一対の成形型を上記胴型よりも熱膨張率の大きな素材で形成し、上記光学素子素材を加熱、軟化させて一対の成形型で上記光学素子素材を型押しする際には、上記クリアランスを最小にして上記一対の成形型の平行偏芯量や倒れ量を抑制する一方、上記成形金型を冷却して成形した光学素子を取り出す際等には、上記クリアランスを増大させて、光学素子の取り出し等を容易に行うことを可能にした成形金型が開発されている。
また、図5に示すように、一対の成形型101,102のうち成形時に胴型103内を摺動させる一方の成形型101(以下、摺動成形型と称する)の素材の熱膨張率α1とし、上記胴型103内を摺動させない他方の成形型(以下、非摺動成形型と称する)102の素材の熱膨張率α2とし、上記胴型103の素材の熱膨張率α3とした場合に、α2>α1≧α3の関係になるように、上記各素材の熱膨張率を設定し、成形時の高温下での成形型101,102と胴型103のクリアランスCを小さくしてガラス104等から形成される光学素子の光軸のズレを抑制すると共に、摺動成形型101の熱膨張率α1を、非摺動成形型102の熱膨張率α2よりも小さくしたことにより摺動成形型101の摺動に必要最小限のクリアランスCを確保できる構成にしたものが開発されている。なお、摺動成形型101は、プレス軸105により操作される。(例えば、特許文献1参照)。
また、上記第2の問題点を解決するものとして、図6に示すように、一対の成形型101,102と胴型103から構成され、成形型摺動方向への胴型寸法により、レンズ厚み規制を行う押圧成形において、成形型摺動方向の胴型103の熱膨張量L1が成形型摺動方向のレンズ104の厚みおよび上記胴型103に摺動収納されている成形型部分の熱膨張量L2よりも大きくしたガラスレンズ成形型が開発されている。(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−231933号公報
特開平1−226745号公報
上記特許文献1の成形金型は、摺動成形型101の素材の熱膨張率α1とし、非摺動成形型102の素材の熱膨張率α2とし、上記胴型103の素材の熱膨張率α3とした場合に、α2>α1≧α3の関係になるように、上記各素材の熱膨張率を選択したので、上述したように、光学素子素材としてのガラス104を加熱、軟化させて一対の成形型101,102で上記ガラス104を型押しする際には、上記クリアランスを最小にして上記一対の成形型の平行偏芯量(シフト量)や倒れ量(チルト量)を抑制することができ、また、上記成形型を冷却して上記ガラス104から成形した光学素子を取り出す際等には、上記クリアランスを増大させて、光学素子の取り出し等を容易に行うことができるという利点があるが、上述したように、摺動成形型101の素材の熱膨張率α1および非摺動成形型102の素材の熱膨張率α2が胴型103の素材の熱膨張率α3よりも大きな素材で形成されているために、成形型を冷却する際に、上記一対の成形型が収縮して、これら成形型の先端の転写面と上記ガラスとの間に剥離等が生じ、上記転写面を所定の圧力でガラスに押し付けた状態に維持できなくなり、これがために光学素子の面精度等が悪くなる。即ち、上記第2の問題点は、依然として解決されていない。
また、上記特許文献2の成形金型は、上述したように、一対の成形型101,102と胴型103から構成され、成形型摺動方向への胴型寸法により、レンズ厚み規制を行う押圧成形において、成形型摺動方向の胴型の熱膨張量L1を成形型摺動方向のレンズ厚みと成形型の胴型に摺動収納される部分の熱膨張量L2よりも大きくしたので、成形終了後の冷却過程においても常にレンズ素材に圧力が加えられた状態になるため、高精度な面形状を有するレンズを製造することができるという利点があるが、レンズ素材を加熱して一対の成形型で上記レンズ素材を加圧する加圧時に成形型の外周面と胴型の内周面との間のクリアランスが増大して光学素子の光軸のズレが発生する。即ち上記第1の問題点は、依然として解決されていない。
上記第1の問題点と第2の問題点を同時に解決するべく様々な工夫を施した成形金型も開発されているが、これら成形金型は、いずれも構造が複雑であったり、制御が難しい等の問題点があった。
本発明の目的は、簡単な構成で上記第1の問題点と第2の問題点を同時に解決することのできる成形金型を提供することにある。
本発明は、加熱軟化させた光学素子素材を対向面で挟んで押圧してこれら対向面の形状を光学素子素材に転写する一対の成形型と、上記一対の成形型を互いに接離方向にガイドする胴型と、上記一対の成形型の上記対向面と反対側の端面側に配置されていて上記胴型に沿って上記一対の成形型を接離方向に移動させるプレス軸と、を備え、上記一対の成形型は、上記胴型の長さ方向の端部で上記胴型内への挿入量を規制される光学素子の成形金型において、
上記一対の成形型を、上記胴型よりも熱膨張率の大きな素材で形成するとともに、上記一対の成形型の少なくとも一方の成形型と上記プレス軸との間に上記胴型よりも熱膨張率の小さな素材で形成されたスペーサを介在させた。
上記一対の成形型を、上記胴型よりも熱膨張率の大きな素材で形成するとともに、上記一対の成形型の少なくとも一方の成形型と上記プレス軸との間に上記胴型よりも熱膨張率の小さな素材で形成されたスペーサを介在させた。
特に、上記光学素子の成形金型において、一対の成形型で光学素子素材を圧縮する成形温度をT1、成形後の型開き温度をT2とし、一対の成形型の熱膨張率をα1、胴型の熱膨張率をα2、光学素子素材の熱膨張率をα3、スペーサの熱膨張率をα4とし、胴型の長さをL1、一対の成形型の長さをそれぞれL2,L3、成形後の光学素子の最薄部の厚みをL4、スペーサの厚みをL5としたときに、
α1>α2
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×L1×α2
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3+L5×α4}
E1−E2≧0
の関係を満たす型構成にした。
α1>α2
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×L1×α2
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3+L5×α4}
E1−E2≧0
の関係を満たす型構成にした。
上記一対の成形型の熱膨張率α1を胴型の熱膨張率α2よりも大きな素材で形成したので、光学素子素材の加熱成形時において、成形型と胴型間のクリアランスを縮小させ、成形型の偏芯精度を向上させて、光学素子の光軸のズレの発生を防止する一方、成形金型冷却時においては、成形型と胴型間のクリアランスを増大させて成形された光学素子の取り出しを容易にする。
また、上記一対の成形型の少なくとも一方の成形型とプレス軸との間に、上記胴型よりも熱膨張率の小さな素材で形成されたスペーサを介在させたので、スペーサを介さずプレス軸に成形型を取り付けた場合に較べて、成形金型冷却時における成形型側の収縮を抑制することができる。特に、胴型側の熱膨張量と成形型側の熱膨張量を略等しくすることにより、加熱成形後、成形金型冷却時において上記対向面で上記光学素子素材を加圧状態に保つことができ、成形金型冷却時においても、成形型を光学素子に押し付けた状態に維持して、光学素子の面精度等を向上させることができる。
図1,図2は、本発明の第1実施形態を示す。成形金型1は、ガラス等の光学素子素材(以下、ガラスと称する)2を対向面3a,4aで挟んで押圧してこれら対向面3a,4aの形状を光学素子素材2に転写する一対の成形型(以下、上,下型と称する)3,4と、上,下型3,4を互いに接離方向にガイドする筒状の胴型5と、上,下型3,4の上記対向面3a,4aと反対側の端面側に配置されていて胴型5に沿って上,下型3,4を接離方向に移動させる一対のプレス軸(以下、上,下プレス軸と称する)6,7と、上型3と上プレス軸6との間に介在されたスペーサ8とを備えている。上,下型3,4の中央部には熱電対9が埋設されている。
上,下型3,4は、上記胴型5の素材の熱膨張率α2よりも大きな熱膨張率α1を有する素材で形成されている。
上型3は、小径部11と、該小径部11の一端部側に設けられたフランジ状の大径部12と、からなっている。
下型4は、小径部21と、該小径部22の一端部側に設けられたフランジ状の大径部22と、からなっている。
胴型5は、上,下型3,4の素材の熱膨張率α1よりも小さな熱膨張率α2を有する素材で形成されている。
胴型5は、小内径部31と、該小内径部31に連続する大内径部32と、からなっている。胴型5の小内径部31には、上型3の小径部11と、下型4の小径部21と、が挿入される。また、胴型5の大内径部32には、上型3の大径部12と、スペーサ8と、が挿入される。
胴型5の小内径部31の孔径は、上型3の小径部11の外径および下型4の小径部21の外径よりも4μm程度大径に形成されていて、胴型5の小内径部31の内周面と、上型3の小径部11および下型4の小径部21の外周面と、の間には、常温において、4μm程度のクリアランスC1が発生するようになっている。また、胴型5の大内径部32の内周面と、上型3の大径部12およびスペーサ8の外周面と、の間には、常温において、上記クリアランスC1の数倍のクリアランスCが発生するようになっている。
上記スペーサ8は、胴型5の熱膨張率α2よりも小さな熱膨張率α4(略零に近い熱膨張率)を有する素材、例えば炭化珪素や超硬合金等で形成されている。上記スペーサ8は、円形状の多数のシート材8aを積層し、これらシート材8aを一体的に結合することにより形成されている。上記スペーサ8は、胴型側の熱膨張量と成形型側の熱膨張量を略等しくすると共に、成形金型冷却時における上型3の収縮量を抑制して、成形型側の収縮量を胴型側の収縮量と略同じ値にして、成形金型冷却時においても上記対向面3a,4aで上記光学素子素材2を加圧状態に保つためのものである。
スペーサ8は、下面側が上型3の上面側に取り付けられ、上面側が上部プレス軸6の下面6aに取り付けられている。そして、スペーサ8と上型3は、上部プレス軸6の下面6aが胴型5の上端面5aに当接する位置まで胴型5内に挿入される。
ここで、成形温度をT1、成形後の型開き温度をT2とし、胴型の長さをL1、上型3と下型4の最長部の長さをL2+L3、成形後のガラス2の最薄部の厚みをL4、スペーサの厚みをL5とし、
α1>α2
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×L1×α2
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3+L5×α4
E1−E2≧0
の関係を満たす型構成にすると、
成形金型を加熱した場合に、上,下型3,4と胴型5の間のクリアランスC1は常温の時の数分の一に縮小して上,下型3,4の偏芯を防止する。また、成形後に冷却した場合には、上記スペーサ8によって、成形型部分(成形型側)の収縮量が緩和され、上記ガラス2に掛かるプレス圧は成形時の状態に維持される。なお、上記第1実施形態においては、スペーサ8は、多数の円形状のシート材8aを重ね合せることにより形成されているので厚さ調整が容易である。また、次に説明する第2実施形態のスペーサ8のようにリング状に形成する必要がないのでスペーサ8の製造が容易である。
α1>α2
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×L1×α2
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3+L5×α4
E1−E2≧0
の関係を満たす型構成にすると、
成形金型を加熱した場合に、上,下型3,4と胴型5の間のクリアランスC1は常温の時の数分の一に縮小して上,下型3,4の偏芯を防止する。また、成形後に冷却した場合には、上記スペーサ8によって、成形型部分(成形型側)の収縮量が緩和され、上記ガラス2に掛かるプレス圧は成形時の状態に維持される。なお、上記第1実施形態においては、スペーサ8は、多数の円形状のシート材8aを重ね合せることにより形成されているので厚さ調整が容易である。また、次に説明する第2実施形態のスペーサ8のようにリング状に形成する必要がないのでスペーサ8の製造が容易である。
次に、上記成形金型1を使用してレンズを成形する方法について説明する。図2に示すように、球形状にプリフォーム成形された光学素子素材としてのガラス2を成形金型1内にセットして、図示しない加熱装置により、成形金型1と一緒にガラス2を加熱する。成形金型1を加熱することにより、胴型5と上,下型3,4との間のクリアランスは、減少して、上,下型3,4が胴型5内で偏芯するのを防止する。
ガラス2が軟化したらプレス軸6を、その下面6aが胴型5の上端面5aに当接するまで押し下げる。プレス軸6を押し下げることにより、ガラス2は、上記一対の成形型103,104を上記対向面3a,4aで圧縮され、即ちプレス圧を掛けられて、これら対向面3a,4aの形状にそって変形し、整形される。
次に、ガラス2にプレス圧を掛けた侭の状態で、成形金型1およびガラス2を冷却する。冷却すると成形金型1およびガラス2は、収縮するが、上述したように、成形金型1は、
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×L1×α2
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3+L5×α4}
E1−E2≧0
の関係を満たすような型構成になっているので、図1に示すように、胴型5の上端面5aとスペーサ8の上面は、成形金型を開くまで同一面に維持され、ガラス2にプレス圧を掛けた状態に維持される。
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×L1×α2
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3+L5×α4}
E1−E2≧0
の関係を満たすような型構成になっているので、図1に示すように、胴型5の上端面5aとスペーサ8の上面は、成形金型を開くまで同一面に維持され、ガラス2にプレス圧を掛けた状態に維持される。
そして、成形金型の冷却により、胴型5と上,下型3,4との間のクリアランスは、加熱時に較べて、増大するので、上,下型3,4を胴型5から容易に抜き出して、ガラス2を整形することにより形成したレンズ等の光学素子を取り出すことができる。なお、上記実施の形態においては、上型3と上プレス軸6の間にスペーサ8を介在させた場合を示したが、下型4と下プレス軸7の間にスペーサ8を介在させても、或いは、上型3と上プレス軸6の間および下型4と下プレス軸7の間の両方にスペーサ8を介在させてもよい。
図3は、本発明の第2実施形態を示す。第1実施形態と第2実施形態の主たる相違点は、スペーサ8Aを胴型5側に配置した点にある。
第2実施形態において、成形金型1Aは、光学素子素材としてのガラス2を対向面3a,4aで挟んで押圧してこれら対向面3a,4aの形状をガラス2に転写する一対の成形型(以下、上,下型と称する)3,4と、上,下型3,4を互いに接離方向にガイドする筒状の胴型5と、上,下型3,4の上記対向面3a,4aと反対側の端面側に配置されていて胴型5に沿って上,下型3,4を接離方向に移動させる一対のプレス軸(以下、上,下プレス軸と称する)6,7と、上型3と上プレス軸6との間に介在されたスペーサ8Aとを備えている。
上,下型3,4は、上記胴型5の素材の熱膨張率α2よりも大きな熱膨張率α1を有する素材で形成されている。
上型3は、小径部11と、該小径部11の一端部側に設けられたフランジ状の大径部12と、からなっていて、大径部12の上面が上プレス軸6の下面に取り付けられている。
下型4は、小径部21と、該小径部21の一端部側に設けられたフランジ状の大径部22と、からなっている。
胴型5は、上,下型3,4の素材の熱膨張率α1よりも小さな熱膨張率α2を有する素材で形成されている。
胴型5は、小内径部31と、該小内径部31に連続する大内径部32と、からなっている。胴型5の大内径部32の下端にはスペーサ8Aが取り付けられている。スペーサ8Aは、胴型5の大内径部32と略同じ内,外径を有する筒状に形成されている。
胴型5の大内径部32には上型3の大径部12が挿入され、胴型5の小内径部31には上型3の小径部11が挿入される。また、スペーサ8Aおよび上型3の小径部11には、下型4の小径部21が挿入される。
胴型5の小内径部31およびスペーサ8Aの孔径は、上型3の小径部11の外径および下型4の小径部21の外径よりも4μm程度大径に形成されていて、胴型5の小内径部31およびスペーサ8Aの内周面と、上型3の小径部11および下型4の小径部21の外周面と、の間には、常温において、4μm程度のクリアランスC1が発生するようになっている。また、胴型5の大内径部32の内周面と、上型3の大径部12の外周面と、の間には、常温において、上記クリアランスC1の数倍のクリアランスCが発生するようになっている。
上記スペーサ8Aは、上,下型3,4の熱膨張率α1よりも大きな熱膨張率α5を有する素材で形成されている。上記スペーサ8Aは、多数のリング状のシート材8aを積層し、これらシート材8aを一体的に結合することにより形成されている。上記スペーサ8Aは、成形時に胴型側の熱膨張量と成形型側の熱膨張量を略等しくすると共に、成形金型冷却時において、成形型側の収縮を促進させ胴型側の収縮量と略同じ値にして、成形金型冷却時においても上記対向面3a,4aで上記光学素子素材2を加圧状態に保つためのものである。
上型3は、上部プレス軸6の下面6aが胴型5の上端面5aに当接する位置まで胴型5内に挿入される。下型4は、大径部22の上面がスペーサ8Aの下面に当接するまで、スペーサ8Aおよび胴型5の小径部31内に挿入される。
ここで、成形温度をT1、成形後の型開き温度をT2とし、一対の成形型の熱膨張率をα1、胴型の熱膨張率をα2、光学素子素材の熱膨張率をα3、スペーサの熱膨張率をα5とし、胴型の長さをL1、上型3と下型4の最長部の長さをL2+L3、成形後のガラス2の最薄部の厚みをL4、スペーサの厚みをL5とし、
α1>α2
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×(L1×α2+L5×α5)
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3
E1−E2≧0
の関係を満たす型構成にすると、
成形金型を加熱した場合に、上,下型3,4と胴型5の間のクリアランスC1は常温の時の数分の一に縮小して上,下型3,4の偏芯を防止する。また、成形後に冷却した場合には、上記スペーサ8Aによって、胴型側の収縮が促進され、上記ガラス2にプレス圧が掛かった状態に維持される。特に、第2実施形態においては、スペーサ8Aを、上,下型3,4の熱膨張率α1よりも大きな熱膨張率α5を有する素材で形成するので、第1実施形態の場合のように、スペーサ8を、胴型5の熱膨張率α2よりも小さな素材で形成する場合に較べて素材の選択が容易になる。何故ならば、上,下型3,4や胴型5の熱膨張率α2よりも小さい熱膨張率α4の素材の数は、上,下型3,4の熱膨張率α1よりも大きな熱膨張率α5を有する素材に較べて、圧倒的に少ないからである。
α1>α2
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×(L1×α2+L5×α5)
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3
E1−E2≧0
の関係を満たす型構成にすると、
成形金型を加熱した場合に、上,下型3,4と胴型5の間のクリアランスC1は常温の時の数分の一に縮小して上,下型3,4の偏芯を防止する。また、成形後に冷却した場合には、上記スペーサ8Aによって、胴型側の収縮が促進され、上記ガラス2にプレス圧が掛かった状態に維持される。特に、第2実施形態においては、スペーサ8Aを、上,下型3,4の熱膨張率α1よりも大きな熱膨張率α5を有する素材で形成するので、第1実施形態の場合のように、スペーサ8を、胴型5の熱膨張率α2よりも小さな素材で形成する場合に較べて素材の選択が容易になる。何故ならば、上,下型3,4や胴型5の熱膨張率α2よりも小さい熱膨張率α4の素材の数は、上,下型3,4の熱膨張率α1よりも大きな熱膨張率α5を有する素材に較べて、圧倒的に少ないからである。
図4は、第2実施形態の他の実施例を示す。この実施例においては、上型3の大径部12の下面12aを胴型5の上端面5aに当接させる構成にした。このような構成にすることにより、上型3の大径部12の下面12aの加工精度(平行度)と胴型5の上端面5aの加工精度(平行度)を向上させることにより、上型3の小径部11を胴型5内に挿入した時に、胴型5内における上記小径部11の倒れ(傾き)を防止することができる。また、胴型5を単一内径にすることができる。その他の構成は、図3に示す基本の実施例と同じであるので重複する説明は省略する。
1,1A…成形金型、2…ガラス(光学素子素材)、3,4…一対の成形型(上型,下型)、5…胴型、6,7…上下のプレス軸、8,8A…スペーサ。
Claims (5)
- 加熱軟化させた光学素子素材を対向面で挟んで押圧してこれら対向面の形状を光学素子素材に転写する一対の成形型と、上記一対の成形型を互いに接離方向にガイドする胴型と、上記一対の成形型の上記対向面と反対側の端面側に配置されていて上記胴型に沿って上記一対の成形型を接離方向に移動させるプレス軸と、を備え、
上記一対の成形型は、上記胴型の長さ方向の端部で上記胴型内への挿入量を規制される光学素子の成形金型において、
上記一対の成形型を、上記胴型よりも熱膨張率の大きな素材で形成し、
上記一対の成形型の少なくとも一方の成形型と上記プレス軸の間には、上記胴型よりも熱膨張率の小さな素材で形成されたスペーサを介在させたことを特徴とする光学素子の成形金型。 - 成形温度をT1、成形後の型開き温度をT2とし、一対の成形型の熱膨張率をα1、胴型の熱膨張率をα2、光学素子素材の熱膨張率をα3、スペーサの熱膨張率をα4とし、胴型の長さをL1、一対の成形型の長さをそれぞれL2,L3、成形後の光学素子の最薄部の厚みをL4、スペーサの厚みをL5としたときに、
α1>α2
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×L1×α2
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3+L5×α4}
E1−E2≧0
の関係を満たす型構成にしたことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の成形金型。 - 加熱軟化させた光学素子素材を対向面で挟んで押圧してこれら対向面の形状を光学素子素材に転写する一対の成形型と、上記一対の成形型を互いに接離方向にガイドする胴型と、上記一対の成形型の上記対向面と反対側の端面側に配置されていて上記胴型に沿って上記一対の成形型を接離方向に移動させるプレス軸と、を備え、
上記一対の成形型は、上記胴型の長さ方向の端部で上記胴型内への挿入量を規制される光学素子の成形金型において、
上記一対の成形型を、上記胴型よりも熱膨張率の大きな素材で形成し、
上記胴型と上記プレス軸の間には、上記一対の成形型よりも熱膨張率の大きな素材で形成されたスペーサを介在させたことを特徴とする光学素子の成形金型。 - 成形温度をT1、成形後の型開き温度をT2とし、一対の成形型の熱膨張率をα1、胴型の熱膨張率をα2、光学素子素材の熱膨張率をα3、スペーサの熱膨張率をα5とし、胴型の長さをL1、一対の成形型の長さをそれぞれL2,L3、成形後の光学素子の最薄部の厚みをL4、スペーサの厚みをL5としたときに、胴型の長さをL1、上型3と下型4の最長部の長さをL2+L3、成形後のガラス2の最薄部の厚みをL4、スペーサの厚みをL5とし、
α1>α2
胴型の膨張量:E1=(T1−T0)×(L1×α2+L5×α5)
成形型部分の膨張量:E2=(T1−T0)×{(L2+L3)×α1+L4×α3}
E1−E2≧0
の関係を満たす型構成にしたことを特徴とする請求項3に記載の光学素子の成形金型。 - 上記スペーサは、多数のシート材を積層することにより形成されていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の光学素子の成形金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007055330A JP2008214145A (ja) | 2007-03-06 | 2007-03-06 | 光学素子の成形金型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007055330A JP2008214145A (ja) | 2007-03-06 | 2007-03-06 | 光学素子の成形金型 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008214145A true JP2008214145A (ja) | 2008-09-18 |
Family
ID=39834637
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007055330A Pending JP2008214145A (ja) | 2007-03-06 | 2007-03-06 | 光学素子の成形金型 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008214145A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113732096A (zh) * | 2021-08-13 | 2021-12-03 | 广东伟业铝厂集团有限公司 | 一种局部温度可调的铝材成型模具 |
-
2007
- 2007-03-06 JP JP2007055330A patent/JP2008214145A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113732096A (zh) * | 2021-08-13 | 2021-12-03 | 广东伟业铝厂集团有限公司 | 一种局部温度可调的铝材成型模具 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI589535B (zh) | Forming die set, and optical element manufacturing method | |
JP5458822B2 (ja) | 光学素子用成形型及び光学素子の成形方法 | |
CN112218832B (zh) | 玻璃透镜成型模具 | |
JP2008214145A (ja) | 光学素子の成形金型 | |
JP4559784B2 (ja) | 光学素子の製造方法 | |
US7561355B2 (en) | Optical lens unit including lens barrel containing lens and method for producing optical lens unit | |
JP2000095532A (ja) | プレス成形光学素子とその製造方法と光学素子プレス成形用型および光学素子プレス成形装置 | |
JP5233745B2 (ja) | 素子成形用部材および素子の製造方法 | |
JP4426910B2 (ja) | モールドプレス成形型、光学素子の製造方法、及びモールドプレスレンズ | |
JP4508804B2 (ja) | 光学素子の成形方法 | |
JP5269477B2 (ja) | 光学素子の製造方法、光学素子の製造装置、及び光学素子 | |
JP2005162547A (ja) | 光学素子成形型と光学素子製造装置及び光学素子製造方法 | |
JP4477518B2 (ja) | 光学素子の製造方法及び装置 | |
JPWO2009016992A1 (ja) | 成形金型及び光学素子の製造方法 | |
JP5100790B2 (ja) | 光学素子の製造方法 | |
JP4708958B2 (ja) | 光学素子の成形用型 | |
JPH04317427A (ja) | 球面成形レンズ | |
JP4952614B2 (ja) | ガラスレンズの成形装置 | |
JP2006298668A (ja) | 光学素子の成形方法とその装置、及び光学素子 | |
JPH01226746A (ja) | ガラスレンズ成形型 | |
JP5867260B2 (ja) | 光学素子用成形型及び光学素子の成形方法 | |
JP2008156177A (ja) | 光学素子の製造方法 | |
JP2009173464A (ja) | ガラス成形体の製造方法 | |
JP4751818B2 (ja) | 成形用型及びその製造方法 | |
JP2005272180A (ja) | プレス成形装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20081225 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20090204 |