JP2008212859A - 機能性被膜形成基材の製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、大サイズで、矩形形状又は、縦横比が1ではない曲面形状等の形状を有する基材の主面に高粘性の塗布液を塗布する場合であっても、均質な被膜を形成することを可能とする機能性被膜形成基材の製法を提供することを課題とする。
【解決手段】スピン成膜工程を有する機能性被膜形成基材の製法であり、該スピン成膜工程は、基材端部に堰を設ける工程、静止又は10rpm未満で回転中の基材に機能性被膜を形成させる塗布液を給液する工程、及びスピン回転の遠心力で塗布液を塗り広げる工程を有すること。
【選択図】図1
【解決手段】スピン成膜工程を有する機能性被膜形成基材の製法であり、該スピン成膜工程は、基材端部に堰を設ける工程、静止又は10rpm未満で回転中の基材に機能性被膜を形成させる塗布液を給液する工程、及びスピン回転の遠心力で塗布液を塗り広げる工程を有すること。
【選択図】図1
Description
本発明は、スピン塗布装置を使用して基材に撥水性被膜、親水性被膜、吸水性被膜、低反射被膜等の機能性被膜を形成する方法に関し、特には、車両用窓ガラス、建築用窓ガラス、その他産業用窓ガラス等に用いられる大サイズ、矩形形状又は、曲面形状等の形状を有する基材へ効率的に機能性被膜を形成する方法に関する。
車両用窓ガラス、建築用窓ガラス、その他産業用窓ガラス等に用いられる大サイズで、矩形形状又は曲面等の形状を有する基材を高機能化するため、撥水性被膜、親水性被膜、吸水性被膜、低反射性被膜等の機能性被膜が形成される。そして、これら機能性被膜を形成するため、機能性塗布液がスピン成膜法により基材に塗布されることが多い。
近年、機能性被膜はより高機能なものが指向されており、結果、機能性被膜を得るための塗布液の基材への塗布は難易度が高くなっている。例えば、車両用途では、窓に使用されるガラス等基材の室内側に、窓の曇りを防止するために吸水機能を有する被膜を形成することが提案されている。そして、本出願人は、特許文献1等で、吸水機能を有する被膜として、ウレタン樹脂による被膜を提案している。
上記のような吸水性被膜による吸水量は、形成された被膜の膜厚に左右される。少ない塗布回数で厚い膜厚を得るためには、塗布液の固形分濃度を高く調整する必要がある。結果として、塗布液の粘性を高いものとする。そして、特許文献2は、高粘性の塗布液を、光学レンズ等の基材上に少量塗布して厚膜を形成する技術を開示している。
特開2005−187276号公報
特開2005−13873号公報
大サイズで、矩形形状又は、曲面形状等の形状を有する基材に、高粘性の塗布液を塗布する場合、基材がスピン回転中に給液すると、塗布液中に泡を噛み込みやすく、泡欠陥が生じやすいので、大サイズの基材主面上に泡欠陥の少ない被膜を得ることが難しい。
大サイズで、矩形形状又は、縦横比が1ではない曲面形状等の形状を有する基材の主面、特に凹面側の面に塗布する場合、特に液切れ欠陥が発生しやすい。該液切れ欠陥とは、基材上に必要とする塗布量を留めることができないことによって生じる被膜を形成できない欠陥のことである。
大サイズで、矩形形状又は、縦横比が1ではない曲面形状等の形状を有する基材の主面、特に凹面側の面に塗布する場合、特に液切れ欠陥が発生しやすい。該液切れ欠陥とは、基材上に必要とする塗布量を留めることができないことによって生じる被膜を形成できない欠陥のことである。
基材に塗布された塗布液は、成膜される過程で塗布液の塗布された箇所から、多くの場合は、基材主面の中心部から基材の端部へと広げられる。塗布液を基材主面に広げるためには、塗布液は、被膜形成に絶対的に必要な塗布量よりも多く使用されるので、端部へと到達した塗布液は、やがて端部から流れ落ちる。そして、矩形形状又は、縦横比が1ではない曲面形状等の形状を有する基材の場合、端部に塗布液が到達する時間は、端部の領域毎で一定ではない。従って、塗布液が速く到達する端部領域は、遅く到達する領域と比較して、塗布液を基材上に留めにくいものとなり、結果、液切れ欠陥となる。
本発明は、大サイズで、矩形形状又は、縦横比が1ではない曲面形状等の形状を有する基材の主面に高粘性の塗布液を塗布する場合であっても、均質な被膜を形成することを可能とする機能性被膜形成基材の製法を提供することを課題とする。
本発明の機能性被膜形成基材の製法は、スピン成膜工程を有する機能性被膜形成基材の製法であり、該スピン成膜工程は、基材端部に堰を設ける工程、静止又は10rpm未満で回転中の基材に機能性被膜を形成させる塗布液を給液する工程、及びスピン回転の遠心力で塗布液を塗り広げる工程を有することを特徴とする。
基材端部に設けられた堰が、給液された塗布液を基材上に留めるので、塗布液の給液工程、塗布液を基材の主面上に塗り広げる工程を経たとしても、機能性被膜の液切れ欠陥が防止される。そして、給液された塗布液を基材上に留めるとの観点を考慮すると、堰は、基材の水平面又は略水平面に対して垂直な角度を基準として、±15度、より好ましくは、±10度となるように設置されることが好ましい。
塗布液の給液工程、塗布液を基材の主面上に塗り広げる工程を経て、前記堰には、塗り広がってきた余剰な塗布液が溜まり始める。塗布液の流動性や、給液量によっては、端部に形成される被膜の膜厚が、他の部分と比べて厚くなりすぎる場合が生じうる。この膜厚偏差が生じると、形成される被膜に光学的な透視歪が生じる場合があるので、回避されることが望ましい。
従って、本発明の機能性被膜形成基材の製法は、さらには、機能性被膜を形成させる塗布液がスピン回転の遠心力で基材全面に塗り広がった後に、基材端部に設けられた前記堰を、回転の外側へ倒して堰の機能を失わせる工程を有することが好ましい。そして、本発明で使用されるスピン成膜装置は、基材端部に設けられた前記堰が、基材に対して30〜−30度の配置となるように外側へ倒して堰の機能を失わせる機構を有するものとすることが好ましい。この角度は、堰が基材と水平となった状態を0度とし、堰を形成する側を+の数値としている。
前記機構には、機械的に堰を倒す機構の他、堰自らの重量と溜まった塗布液の重量を起因とする基材回転時の遠心力によって堰を倒す機構などを採用できる。
本発明の機能性被膜形成基材の製法は、大サイズで、矩形形状又は、縦横比が1ではない曲面形状等の形状を有する基材の主面に高粘性の塗布液を塗布する場合であっても、均質な被膜を形成することを可能とする。多様な形状の基材上に、泡欠陥、液切れ欠陥、裏廻り欠陥などが抑制された機能性被膜を形成することに奏功する。
本発明の機能性被膜形成基材の製法は、スピン成膜工程を有する機能性被膜形成基材の製法であり、該スピン成膜工程は、基材端部に堰を設ける工程、静止又は10rpm未満で回転中の基材に機能性被膜を形成させる塗布液を給液する工程、及びスピン回転の遠心力で塗布液を塗り広げる工程を有する。
基材端部に設けられる堰、及び堰が基材端部に設けられるときの状態を図面で説明する。図1及び3は、本発明の実施のために基材1端部の堰を設けた状態、図2及び4は、設けられた堰が堰としての機能が消失した状態の要部断面図を示している。図1及び2は、堰を機械的に制御する場合のものであり、堰2aは、基材端部と接する箇所には、堰の土台22上に設けられた緩衝材21を有する。堰2aは、回転軸23を介してエアーシリンダー24で稼動可能とされ、エアーシリンダー24は、制御系25にて制御される。
堰の基材1端部への設置は、基材1端部の全周、又は端部の一部分とすることもできる。端部の一部分とする場合、堰が設置される箇所は、基材1に塗布液3を給液した際、塗布液3が基材1からこぼれやすい箇所とすることが好ましい。例えば、基材1の形状が矩形状の場合、堰は基材の主面の中心から近い側の端部に設けるだけとしてもよい。
図3及び4は、スピン回転の遠心力で塗布液を塗り広げる工程で、堰自らの重量と堰2bの淵部に溜まった塗布液の重量に起因する遠心力によって堰を倒す場合のものである。堰2bは、好適には、粘着剤によって粘着可能な面が形成された金属箔が使用される。尚、該金属箔は、以降、金属テープと表記される場合がある。図3及び4の形態は、堰2bが、被膜が形成される面側に取り付けられている。この形態は、周縁部の被膜形成を避けたい場合に好ましいものである。周辺部の被膜形成を避けたい場合の例として、基材の主面の周縁部にセラミックペーストや有機インクなどで黒枠11が形成されている場合が挙げられる。図3及び4の形態に加えて、堰2bは、被膜が形成される面の反対面の周縁部に取り付けられてもよい。金属テープを堰として使用する方式は、少量多品種の生産に対応する場合に特に有効である。
緩衝材21には、耐薬品性と適度な柔軟性と強度を有する部材が使用されることが好ましい。このような部材の例としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ポリウレタン、フッ素樹脂が挙げられる。緩衝材21の厚みは、基材1への塗布液の給液時に基材端部と堰2aとの密着性が保持される厚みとされることが好ましい。この厚みの例は、3mm以上、好ましくは、5mm以上である。厚みの上限は、前記密着性が得られればよいので、この観点から特に制限されるものではないが、緩衝材21は、消耗品でもあるので、定期的に交換される必要があり、該部材は、コストが低いことが望ましい。従って、低コスト化の観点から、厚みの上限は、30mm、好ましくは、20mmとすることが好ましい。
また、図1又は2で表される緩衝材21の堰の高さ方向の長さは、塗布液を基材2へ給液したときに塗布液が自然と基材上を広がって基材2の周縁に到達したときに、塗布液が基材2からこぼれ出ない程度に堰の高さを形成できるものであることが好ましい。例えば、基材が車両用、建築用の窓ガラス等で使用される大サイズの基材の場合、緩衝材21の堰の高さは、基材から上の堰となる部分が好ましくは、10mm以上とされ、さらには20mm以上、またさらには30mm以上とすることが好ましい。
緩衝材21の堰の高さの上限は、消耗品でもあるので、定期的に交換される必要があり、該部材は、コストが低いことが望ましい。従って、低コスト化の観点から、高さの上限は、100mm、好ましくは、50mmとすることが好ましい。緩衝材21の堰の長さは、基材2へ給液した塗布液が、スピン回転昇速時に早期にこぼれ出ない程度に堰の長さを形成できるものであることが好ましい。該長さは、好ましくは150mm以上とされ、さらには300mm以上、またさらには500mm以上とすることが好ましい。緩衝材21の長さは、スピン回転昇速時に早期にこぼれ出ない程度の長さとする観点から、特に制限されるものではないが、消耗品でもあるので、定期的に交換される必要があり、該部材は、コストが低いことが望ましい。従って、低コスト化の観点から、長さの上限は、1200mm、好ましくは、800mmとすることが好ましい。
土台22、及び回転軸23は、剛性を有する部材であれば、特に制限されないが、ゴミや油などの発生のない材質からなる部材が好ましい。本発明での土台22を形成する部材の材質例は、鉄鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、アルミニウム合金、ニッケル鋼、銅である。
堰2bの金属テープの好適な材質例は、アルミニウム、ステンレス、銅である。堰2bは、スピン回転の遠心力で塗布液を塗り広げる工程で、堰自らの重量と堰2bの淵部に溜まった塗布液の重量に起因する遠心力によって倒れるものであるから、適度な強度と柔軟性、及び耐薬品性を有することが好ましい。この観点を考慮すると、堰2bの金属テープの特に好適な材質例は、アルミニウムである。
堰2bの厚みは、基材1への塗布液の給液時に堰2bの淵に塗布液を留めることできる剛性を保持できるように10〜200μm、好ましくは20〜120μm、より好ましくは30〜90μm、とすることが好ましい。
また、図3又は4で表される堰2bの断面長さは、基材2へ給液した塗布液が、スピン回転昇速時に早期にこぼれ出ない程度に堰の長さを形成できるものであることが好ましい。該長さは、好ましくは150mm以上とされ、さらには300mm以上、またさらには500mm以上とすることが好ましい。堰2bの長さは、スピン回転昇速時に早期にこぼれ出ない程度の長さとする観点から、特に制限されるものではないが、消耗品であり、該部材は、コストが低いことが望ましい。従って、低コスト化の観点から、長さの上限は、1200mm、好ましくは、800mmとすることが好ましい。
次に静止又は10rpm未満で回転中の基材に機能性被膜を形成させる塗布液を給液する工程について図5を用いて説明する。図5は、基材1の主面の中心部に給液されたときの状態を示す斜視図である。塗布液3は、好ましくは、基材1の主面の中心部に給液される。そして、塗布液3が基材1の主面上に広がる。この段階で、好ましくは、塗布液を堰2a又は2bの一部には到達する。図5で例示された基材1の主面上の周縁部には、セラミックペーストや有機印刷などによる黒枠11が形成されており、黒枠11上に被膜が形成されないように、黒枠11上は、マスキングテープやマスキング剤などにより保護されることが好ましい。本工程で基材1の端部に堰2a又は2bを設けることにより給液された塗布液は、基材1上に保持されることができるようになる。
次にスピン回転の遠心力で塗布液を塗り広げる工程について説明する。基材1上に給液された塗布液3を基材1の主面上に均質に塗り広げるために、基材を図示していないスピン成膜装置の回転機構を利用して回転させる。この回転時に堰2a又は2bが、堰として機能したままだと、堰の淵部に液溜まりが発生しやすく、この部分の膜厚が過大となりやすい。そして、これに起因して、基材の主面の周縁部に光学的な歪が生じやすくなり、基材を窓とした場合などの光の透視性に不具合が生じやすくなる。
この不具合を回避するためには、該工程にて、基材端部に設けられた堰2a又は2bを、基材に対して30〜−30度、10〜−20度、より好ましくは、0〜−10度の配置となるように外側へ倒して堰の機能を失わせることが好ましい。この堰を倒すタイミングは、基材のスピン回転により、塗布液が基材1の主面全面に塗り広がったときが好ましい。この堰を倒す操作により、堰淵部の液溜まりとなりうる余剰な塗布液が基材1の主面上から排除される。また、この操作により倒れた堰は、排除される余剰な塗布液が、塗布液が塗布されるべき主面の裏面へと廻り込むことを制限することも可能とする。
堰2aの場合、エアーシリンダー24の作動は、塗布液3が基材1の主面上を塗り広がる時のスピン回転数、スピン回転の開始時間等に応じて調整可能とできるように、コンピュータ制御によるものとすることが好ましい。
堰2aの場合、エアーシリンダー24の作動は、塗布液3が基材1の主面上を塗り広がる時のスピン回転数、スピン回転の開始時間等に応じて調整可能とできるように、コンピュータ制御によるものとすることが好ましい。
また、堰2bの場合、基材2が所定のスピン回転数になって塗布液3が基材1の主面上に塗り広がった後、堰2bには、堰2b自身の重量に影響される遠心力、及び堰2bの淵部に留まった塗布液3の重量に影響される遠心力が働き、堰2bは基材1の外側に倒れ、堰としての機能が消失する。堰2bの倒れるタイミングは、堰2bの剛性とスピンの回転数により調整されうる。
本発明で使用されうる基材には、主に自動車用窓ガラスであるウィンドシ−ルド、バックウィンド、サイドウィンド、フロントベンチ、リアクォーター等に汎用的に使用されているクリアガラス品、グリーン、ブロンズ等の各種着色ガラス品、UV又はIRカットガラス等の機能性ガラス品、強化ガラス、合わせガラス等の安全ガラス品等の好適にはフロート法で製造される無機系のソーダケイ酸塩ガラス種による基材が使用されうる。又、無機系のガラス以外にも、有機系ガラスとして使用されるポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのプラスティックガラス種による基材も使用されうる。
基材に塗布される塗布液は、形成される機能性被膜に応じて選択される。例えば、機能性被膜が、吸水することで、防曇性の機能をもたらすものである場合、その防曇性は、膜厚に依存するために、10〜70μm、好適には、30〜50μmの厚い膜厚で被膜が形成される。厚い膜を得るために調製される塗布液は、固形分濃度が高く粘度も高い塗布液、例えば、10〜50mPa・sの粘度を有する塗布液になる。
10mPa・s以上の粘度を有する塗布液は、基材への塗布液の給液過程等で、塗布液への泡噛みが生じやすいものであり、被膜の泡欠陥が生じやすい。塗布液へ一旦泡が噛み込むと、これを消滅させることは難しい。従って、基材が10rpm以上のスピン回転時に塗布液を給液する方法は、泡欠陥の発生が不可避な問題となりやすい。
静止又は10rpm未満で回転中の基材に塗布液を給液する本発明は、泡欠陥の問題を解消し、堰を使用することで液切れ欠陥の問題も解消せしめる。
10mPa・s以上の粘度を有する塗布液は、基材への塗布液の給液過程等で、塗布液への泡噛みが生じやすいものであり、被膜の泡欠陥が生じやすい。塗布液へ一旦泡が噛み込むと、これを消滅させることは難しい。従って、基材が10rpm以上のスピン回転時に塗布液を給液する方法は、泡欠陥の発生が不可避な問題となりやすい。
静止又は10rpm未満で回転中の基材に塗布液を給液する本発明は、泡欠陥の問題を解消し、堰を使用することで液切れ欠陥の問題も解消せしめる。
基材に塗布液が塗布された後は、乾燥工程、加熱工程等を経て、機能性被膜が形成される。塗布液が、反応硬化性の成分、例えば、イソシアネート基含有化学種とポリオール化学種、又はこれらの硬化反応物を有する場合、溶媒を揮発させる乾燥工程、硬化反応を促進させ機能性被膜を形成させるための加熱工程を経て、機能性被膜が形成される。
実施例1
(機能性被膜を形成するための塗布液の調製)
イソシアネート基を有するイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネート(商品名「デスモジュールN3200」;住化バイエルウレタン製)を塗布液Aとした。
(機能性被膜を形成するための塗布液の調製)
イソシアネート基を有するイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネート(商品名「デスモジュールN3200」;住化バイエルウレタン製)を塗布液Aとした。
平均分子量1000のポリエチレングリコール(キシダ化学社製)、及び平均分子量3000のアクリルポリオールを50重量%有する溶液(商品名「デスモフェンA450BA」;住化バイエルウレタン社製)を準備し、ポリエチレングリコールとアクリルポリオールの重量比が「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=60:40」となるように混合し、これを塗布液Bとした。
塗布液Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布液B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.2倍量となるように、100gの塗布液Bに対し、26gの塗布液Aを添加混合し、ウレタン成分総量が40重量%となるように塗布液A及び塗布液Bの混合物に希釈溶媒として酢酸イソブチルを添加混合し、機能性被膜(防曇性被膜)を形成するための塗布液を調製した。尚、該塗布液の粘度は、18mPa・sであった。
(基材の準備)
図5に示す形状を有する車両用ウィンドシ−ルド(対向する辺の中心間の最短距離を計測したときの距離が、短い方で800mm、長い方で1,200mmであり、対向する辺(長辺)の中心間の最短距離を結ぶ直線から凹面側主面に向けて垂線を下ろしたときの垂線の最長が80mm、対向する辺(短辺)の中心間の最短距離を結ぶ直線から凹面側主面に向けて垂線を下ろしたときの垂線の最長が10mmとなっているもの)として使用されうるガラス基材を基材1として用意した。
図5に示す形状を有する車両用ウィンドシ−ルド(対向する辺の中心間の最短距離を計測したときの距離が、短い方で800mm、長い方で1,200mmであり、対向する辺(長辺)の中心間の最短距離を結ぶ直線から凹面側主面に向けて垂線を下ろしたときの垂線の最長が80mm、対向する辺(短辺)の中心間の最短距離を結ぶ直線から凹面側主面に向けて垂線を下ろしたときの垂線の最長が10mmとなっているもの)として使用されうるガラス基材を基材1として用意した。
基材の2主面中、車内面側として使用される面、すなわち、基材の凹面側を塗布液が塗布される面とした。水にセリア(三井金属鉱業製ガラス研磨剤)を2重量%分散させた懸濁水を100ccかけてブラシ研磨した後、流水でセリアの残渣を流した。
(基材の前処理)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(キシダ化学社製)を、90重量%のエタノールと10重量%のイソプロピルアルコールからなる変性アルコール(エキネンF−1)で1重量%となるように溶液を調製し、さらに1Nの塩酸を1重量%添加して2時間撹拌して基材の前処理を実施するための液を得た。得られた液を5cc吸収させたセルロース繊維からなるワイパー(商品名「ベンコット」、型式M−1、50mm×50mm、小津産業製)に含浸させ、該ワイパーで、塗布液が塗布される面を払拭し、その後、流水で払拭された面を水洗し、基材の前処理を行った。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(キシダ化学社製)を、90重量%のエタノールと10重量%のイソプロピルアルコールからなる変性アルコール(エキネンF−1)で1重量%となるように溶液を調製し、さらに1Nの塩酸を1重量%添加して2時間撹拌して基材の前処理を実施するための液を得た。得られた液を5cc吸収させたセルロース繊維からなるワイパー(商品名「ベンコット」、型式M−1、50mm×50mm、小津産業製)に含浸させ、該ワイパーで、塗布液が塗布される面を払拭し、その後、流水で払拭された面を水洗し、基材の前処理を行った。
(堰の設置)
前処理された基材の長辺側両辺に、図3及び5に示す形態を参考に金属テープ(緑十字社製AH−130:厚さ50μmのアルミニウムテープ)を設置した。この際、堰はコーナーから300mmの部分には設置しなかった。基材の端部から約5mmの位置に金属テープの粘着部分を接着し、接着しなかった残りの部分45mmを基材に対して略垂直として堰とした。すなわち、堰の高さを45mmとした。使用した金属テープの長さは1.4mだった。
前処理された基材の長辺側両辺に、図3及び5に示す形態を参考に金属テープ(緑十字社製AH−130:厚さ50μmのアルミニウムテープ)を設置した。この際、堰はコーナーから300mmの部分には設置しなかった。基材の端部から約5mmの位置に金属テープの粘着部分を接着し、接着しなかった残りの部分45mmを基材に対して略垂直として堰とした。すなわち、堰の高さを45mmとした。使用した金属テープの長さは1.4mだった。
(基材への塗布液の塗布)
基材の重心が回転中心に重なるように基材をスピン成膜装置に設置した。この際、基材中央部分が略水平になるよう取り付け位置を調整して固定する。該スピン成膜装置は、スピン回転制御装置のプログラムを有するものであり、あらかじめ、スピン回転制御装置のプログラムをスタートから3秒で第1速の150rpmに昇速し5秒間保持した後、第2速の20rpmに減速し15分間保持して停止するようにセットしておく。そして、静止状態の基材の中央に前記の塗布液600ccを泡が噛み込まないよう静かに給液し、スピン回転プログラムをスタートさせた。
基材の重心が回転中心に重なるように基材をスピン成膜装置に設置した。この際、基材中央部分が略水平になるよう取り付け位置を調整して固定する。該スピン成膜装置は、スピン回転制御装置のプログラムを有するものであり、あらかじめ、スピン回転制御装置のプログラムをスタートから3秒で第1速の150rpmに昇速し5秒間保持した後、第2速の20rpmに減速し15分間保持して停止するようにセットしておく。そして、静止状態の基材の中央に前記の塗布液600ccを泡が噛み込まないよう静かに給液し、スピン回転プログラムをスタートさせた。
第1速に昇速する途中では、基材から液がこぼれはなかった。そして、第1速で、150rpmに達したころに、塗布液が基材に全面に塗り広げられ、図4のように堰が基材の外側へ約20度の角度まで倒れて余剰な塗布液が基材から排除された。
第2速では、基材上部に設置されたヒーターで加熱させながら、塗布された液を乾燥させ、さらに膜を硬化させ、機能性被膜を形成した。
第2速では、基材上部に設置されたヒーターで加熱させながら、塗布された液を乾燥させ、さらに膜を硬化させ、機能性被膜を形成した。
上記方法で得られた機能性被膜形成基材はJISR3212(透視歪試験方法、1998年)による試験に合格し、車両用ウインドシールドとして実用可能なものであった。
実施例2
厚さ100μmの金属テープ(スリオンテック製品番8060;アルミニウム)を用いた以外は実施例1と同じとした。アルミテープの剛性が高く第1速の150rpmでは倒れなかった。得られた機能性被膜形成基材は上下辺の端部には堰で溜まった塗布液により過大な膜厚の歪が発生した。それ以外には外観の欠陥はなかった。
厚さ100μmの金属テープ(スリオンテック製品番8060;アルミニウム)を用いた以外は実施例1と同じとした。アルミテープの剛性が高く第1速の150rpmでは倒れなかった。得られた機能性被膜形成基材は上下辺の端部には堰で溜まった塗布液により過大な膜厚の歪が発生した。それ以外には外観の欠陥はなかった。
実施例3
堰の設置範囲を、基材の長辺側両辺の中央部分100mmとした以外は実施例1と同じとした。塗布液は必要量の600ccを給液できたが、第1速に昇速する途中で多くの塗布液が堰の横からこぼれて液不足となり、得られたウインドシールドは液切れ欠陥が発生した。また、液のこぼれた付近の裏側に多くの塗布液が付着した。
堰の設置範囲を、基材の長辺側両辺の中央部分100mmとした以外は実施例1と同じとした。塗布液は必要量の600ccを給液できたが、第1速に昇速する途中で多くの塗布液が堰の横からこぼれて液不足となり、得られたウインドシールドは液切れ欠陥が発生した。また、液のこぼれた付近の裏側に多くの塗布液が付着した。
実施例4
堰の設置を基材の全周にした以外は実施例1と同じとした。ただし、コーナー部分の金属テープは切り目を入れて堰が倒れるように工夫した。得られた機能性被膜形成基材は実施例1と同様に良好な外観が得られたが、金属テープの使用量は約4mと多かった。
堰の設置を基材の全周にした以外は実施例1と同じとした。ただし、コーナー部分の金属テープは切り目を入れて堰が倒れるように工夫した。得られた機能性被膜形成基材は実施例1と同様に良好な外観が得られたが、金属テープの使用量は約4mと多かった。
比較例1
堰を設けない以外は実施例1と同じとした。給液する時に400cc以上塗布液を給液すると基材の長辺部側端部から液がこぼれた。また、昇速途中で多くの液がこぼれた。得られた機能性被膜形成基材は、液切れと裏面付着の欠陥が激しかった。
堰を設けない以外は実施例1と同じとした。給液する時に400cc以上塗布液を給液すると基材の長辺部側端部から液がこぼれた。また、昇速途中で多くの液がこぼれた。得られた機能性被膜形成基材は、液切れと裏面付着の欠陥が激しかった。
比較例2
給液を第1速回転に昇速してから実施した以外は実施例1と同じとした。得られた機能性被膜形成基材は、被膜中に多数の泡欠陥が観察された。また、泡の移動した軌跡の歪欠陥が観察された。
給液を第1速回転に昇速してから実施した以外は実施例1と同じとした。得られた機能性被膜形成基材は、被膜中に多数の泡欠陥が観察された。また、泡の移動した軌跡の歪欠陥が観察された。
1 基材
11 黒枠
2a 機械的に制御される堰
21 緩衝材
22 土台
23 回転軸
24 エアーシリンダー
25 制御系
2b 遠心力による制御される堰
3 塗布液
11 黒枠
2a 機械的に制御される堰
21 緩衝材
22 土台
23 回転軸
24 エアーシリンダー
25 制御系
2b 遠心力による制御される堰
3 塗布液
Claims (2)
- スピン成膜工程を有する機能性被膜形成基材の製法であり、該スピン成膜工程は、基材端部に堰を設ける工程、静止又は10rpm未満で回転中の基材に機能性被膜を形成させる塗布液を給液する工程、及びスピン回転の遠心力で塗布液を塗り広げる工程を有することを特徴とする機能性被膜形成基材の製法。
- 機能性被膜を形成させる塗布液がスピン回転の遠心力で基材全面に塗り広がった後に、基材端部に設けられた前記堰を、基材に対して30〜−30度の配置となるように外側へ倒して、堰の機能を失わせることを特徴とする請求項1に記載の機能性被膜形成基材の製法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007055254A JP2008212859A (ja) | 2007-03-06 | 2007-03-06 | 機能性被膜形成基材の製法 |
PCT/JP2008/053016 WO2008108184A1 (ja) | 2007-03-06 | 2008-02-22 | 機能性被膜形成基材の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007055254A JP2008212859A (ja) | 2007-03-06 | 2007-03-06 | 機能性被膜形成基材の製法 |
Publications (1)
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JP2008212859A true JP2008212859A (ja) | 2008-09-18 |
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Country Status (2)
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- 2008-02-22 WO PCT/JP2008/053016 patent/WO2008108184A1/ja active Application Filing
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